サムスンの事業承継対策
会社のオーナーにとって、頭の痛い問題は、事業承継、つまり誰に会社を引き継ぐかという問題です。株式会社を芯からコントロールするためには、社長になるだけではだめで、会社の株式をいっぱいもってないとまずい。株価というのは、業績がいいところは当然高い。
オーナーが他人に株を譲るのだったら、より高い値段で売っていっぱいお金が欲しいと思うけど、子供に渡したいと思うのだったら、なるべく安いコストでわたしてあげたいと思うものです。
でも、コストを低くするということは難しいのです。税金が払えないから事業を引き継げない。だから会社をやめるという中小企業がいっぱいでてくることは大問題だということで、非上場株式を後継者に承継するような場合には、支払う相続税の納税を猶予しましょうねという制度ができるようです。これは、日本のお話です。
お隣の韓国の会社も事業承継対策が最大の悩みなのかもしれません。韓国を代表する企業であるサムスングループの李会長をめぐる問題がマスコミをにぎわしていましたが、何が問題だったかというと、息子に極端に安いコストで事業承継をさせたことだと思います。
日経ビジネス5月12日号 世界鳥瞰「創業一族による支配構造 包囲された韓国サムスン」によりますと、
サムスングループというのは、複雑な株式の持ち合いをして、会長である李さん一族が投資判断や人事権を牛耳っていらっしゃるようです。このグループのキーになるのが、エバーランドという非上場の会社で、この会社を支配する人が、グループを支配するしくみになっているようです。
このエバーランドが10年以上前に、転換社債を、李会長の子供たち(後継者含む)が引き受け、株式に転換したようですが、どうも転換価格が時価の11分の1以下だったようです。その結果、子供たちがエバーランドの株を64%持つことになったようです。つまり、李さんの事業承継の基本ラインは、非常にリーズナブルな形で10年以上も前に完了していた。
すごいなあ。転換社債の転換価格というのは、通常は、社債を発行した時点での発行会社の株価をベースにするから、転換時点の時価と異なるものですが、転換価格は何をベースに決めていたのか。韓国のこの辺の税法はどうなっていたのか気になります。
サムスンには会長直属の戦略企画室というのがあって、そこがグループを実務面で牛耳っていたようですが、この部署には税務の専門家もいたようです。きっと李会長一族の相続対策専任の頭のいい専門家が、お上も口をだせないような事業承継のプランニングをしたのでしょう。
記事にもあるのですが、韓国の財閥が問題を起こした場合、最終的には、高額な寄付をして一件落着になっているようです。今回の事件もどのような幕引きになるのかはわかりません。
力のある奴は金で問題を葬り去ることができる社会なのでしょうか。日本では、ちょっと考えられないことですね。
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コメント
借方差異さん コメントありがとうございます。
適切なアドバイスができる専門家としては、税理士がいると思います。
ただ、税理士もいろんな方がいらっしゃるので、会社のニーズにフィットしたような税理士に出会えたらベストパートナーですが、うまくいかないこともあります。各税理士の個性というか、強みは外部からはわかりにくいですからねえ。
投稿 信託大好きおばちゃん | 2008年5月13日 (火) 08時13分
相続・事業承継における税制の問題は本当に
大きなものですよね。
信託大好きおばちゃんさんが書かれているサムスンのように、財務や税制の専門スタッフがいて、転換社債を早々と発行するといった措置が講じられれば(その転換価格の妥当性はどうなのか?といった点はあるにせよ)クリアできることもありますが、日本経済の大半を占める中小企業にとっては社内やあるいは外部にもそういったことを相談できる専門家がなかないないことが問題なのでしょうね。「脱税」は良くないとは思いますが、合理的な「節税」はあってしかるべきだと思いますし、そういった意味ではあまねく税制に関する適切なアドバイスができる専門家が草の根的に地域地域に存在しているような社会になれればいいのではないでしょうか。
投稿 借方差異 | 2008年5月12日 (月) 09時21分