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2008年5月13日 (火)

自社株の信託ってできるのかなあ

今朝はあんまりニュースがないので、久々に信託周りで思いついたこと

 財産として価値のあるものだったら、信託財産とすることは可能だと思います。また、信託財産を引き受ける受託者も、営利を目的としない限り、個人でもOKだと思います。

 それでは、X株式会社の大株主であるAさんが所有している株式をX株式会社を受託者として信託することはできますか。この場合の受益者はAさんであり、Aさんが議決権をどうするか指示する権利もあるとします。

 自社株を信託できるか? 信託財産に関して、特に信託法では制限できないから信託は可能だと思うのです。

 自己株式の取得に当たらないのか? 自己株式の取得というのは、X社が自分の会社の行為として、自己株式を取得しようとすることだと思います。そのためには、株主総会の特別決議なり普通決議なりが必要です。

一方、信託財産としての自己株式の取得というのは、形式的にはX社の株式がX社の名義となりますが、これは、X社の物であって、X社の物ではない。あくまでも信託財産という不思議な存在としてX社が受益者Aのために預かっているようなもの。だから自己株式の取得にはあてはまらないと思います。

 会計上も、自己株式を取得したものとして、X社の通常の貸借対照表に純資産の部の控除項目として記載されるのではなく、信託財産の貸借対照表のようなもの(財産目録のようなものかもしれない)に記載されるだけだと思うのです。信託って預かりみたいなものだから、代金をAさんに払うこともないですしね。そして、AさんがX株式を有しているという処理になる。

 税務上も、これは受益者がAだから、Aの財産としてX株式を有していると処理されます。

 つまり、会計上も税務上もX社が自己株式だ!という処理はでてこないと思うのです。

 じゃ、自己株式を信託することは何でもOKなのでしょうか。本件では議決権は受益者Aが有するとされていますが、議決権を誰が決めるかは信託で自由に決めれるはずです。そうすると受託者X社にX社の議決権をもたせることもできる。これはおかしいような気もするのです。

他にもなんか問題点がでてくるかなあ。

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コメント

はじめまして、どの記事も金融についていろいろとおもしろい考察がされていて、難しいながらもとても興味深く読ませていただきました。
この記事については少し思うことがあったので、書き込ませていただきます。
自社株の信託については、現実問題としてはなんら問題なくされているのではないでしょうか?
具体的には、金融銘柄に投資する株式投信や金銭信託が存在して、それらの信託で受託者は信託財産について制限があるとは思えません。
(X信託が上場していた場合、X信託受託の投信や金銭信託でX信託株を運用・保有できないなんてことはないと思います。)
議決権等の問題は、実質的にAさんがX社名義でX社の議決権を行使するだけであれば問題ないように思います。
本件のように、Aさん保有議決権をX社が行使するような取り決めを交わすことがあれば(議決権行使部門と経営側に意思疎通があるようだと)X社側に問題が発生するような気もしますね。。。

投稿: 公望 | 2008年5月25日 (日) 12時13分

初めてコメントさせていただきます!

「問題点」という点について少し考えてみました。

A氏の所有株を無償で会社が運用受託する・・・
これがA氏に対する特別扱いとして、株主平等原則に反する可能性があるのではないかと・・・。

かといって、信託報酬を請求すれば、定款に記載の無い営利業務になり、忠実義務違反等々の可能性が疑われるかと思います。

勉強中の身で恐れ多いかぎりですが、会社法からのアプローチで考えてみましたm(_ _)m

投稿: 駿府浪人 | 2008年5月14日 (水) 00時16分

議決権とういうのは誰を保有するかは信託で自由に決められるんですか?株主の権利にはいろいろあると思うんですが、個別に権利を誰が保有するかバラバラにできてしまうんでしょうか?議決権は経営陣保有、配当は受益者保有、残余財産は銀行などなど。。。

投稿: 祐介 | 2008年5月13日 (火) 23時16分

まいど。minor issueを1つ。
配当金から発行会社である受託者に信託報酬が支払われますよね?それが仮にサービス対価を上回って高額だった場合もいや~な感じですよね。

投稿: krp | 2008年5月13日 (火) 12時00分

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