商社は、日本の投資銀行か
今朝の日経新聞を読むと三菱商事が上場来最高値だそうです。資源高、円高の影響で、トヨタが減益を発表しているなど多くの企業の業績が低迷している中、商社の好調な業績が目に付きます。
エコノミストの2008.5.27では「商社の鼻息」ということで、商社の好業績の要因などを特集しています。
ここ「トップレフト」などの著者である黒木亮さんは、「商社は日本最強の「投資銀行」か」という記事を書いていらっしゃいます。
また、私が通っている大学院の先生も、先日の授業で投資銀行といったら外資系の金融機関をイメージするけど、日本にも強い投資銀行がある。それは商社だとおっしゃってました。
投資銀行というのは、定義は難しいのですが、ようするに企業の資金調達のニーズにいろんなアイテムを提供してお金をもうける金融機関だと思います。儲けの基本はファイナンスしてなんぼ プラスアルファだと思います。
私自身の最初の職業は商社のお茶汲みねえちゃんだったので実感としてわかるのですが、商社というのは、メーカーのように工場のような資産がなく、あるのは人だけです。商社に勤めている人が食べていくためには、他の人たちがやっている商売の中に入って、お互いのニーズを探り、仕事を作り出す必要があります。黙っていたら、仕事なんてやってこないし、メリットのない仕事だったらはじかれてしまいます。儲かることなら、何でも商売に取り込んでしまう。
だから、投資銀行という定義づけはちょっと商社の一面しかあらわしていない。
ただ、投資銀行的な側面の商社の仕事は何かと考えると
大学院の先生いわく、在庫ファイナンスなどの流動資産のファイナンスに関しては、実質的に金融の役割を商社は果たしていて、金融機関以上に強い。なぜなら、商社は商売を知っているから。
エコノミストでの黒木亮さんがおっしゃっていることをそのまんま引用すると
「途上国向けの大型プロジェクトのファイナンスでは、先進各国の公的輸出信用機関や貿易保険などが融資や保証、保険をつけるが、誰の保証や保険もつかない数%の欠け目が必ず出る。そんなとき、商社は自らのリスク判断で、その欠け目を取るケースが多い。長年の経験やプロジェクトが生み出す収益機会、例えばプラント輸出や製品の引取りなど、モノに関与しているからこそ、独自のリスク分析ができるのだ。」商売を知っていているからリスクをとれるということ。
それと、エコノミストにもあるのですが、なぜ資源高で商社が儲けているかというと、商社は、こんな事態になるずっと前に将来を読んで、資源の権益取得のために巨額の投資をしていたからです。たとえば、三井物産は、2003年にブラジルの鉄鉱石最大手の会社の株を1,000億円かけて取得されたようですが、この当時の三井物産の利益は311億円で、失敗したら屋台骨に影響しかねないものなのですがあえて決断した。そしてその株は、今では1兆500億円を超える価値に化けたそうです。
先を見る目がある、というより先を見る目がないと商社は存在自体あやうくなるから自然とそうなるのでしょう。
商社と銀行とどこが違うかというと、お上に保護されている(管理されている)か否かだというのが大きなファクターかもしれません。
いざとなってもお上が助けてくれないとなると、自分たちですべてのリスクをとらないといけません。そのことがリスクに対する(リターンに対する)研ぎ澄まされた感覚を磨き、それがビジネスの発展につながる。何度も商社不要といわれ、危機に瀕したはずなのに、危機をばねにして、危機以前よりも確実に変化して成長していますね。
獅子は千尋の谷に突き落とさないとだめなのかもしれません。お上も規制ばっかり考えず、成長させるためにはどうすればいいのかということを考えて欲しいものです。
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