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2008年6月12日 (木)

不動産デリバティブが流行るためには

 昨日、日本経済新聞社広告局主催の「不動産リスク管理セミナー 戦略的リスク管理の新潮流 ~これからの不動産資産のあり方」に参加してきました。

 朝の10時から、夕方の5時半までありまして、信託大好きおばちゃんは、ほぼ全部聴講しました。

 この中で、これから普及が期待されるものとして「不動産デリバティブ」があることを、何人かの講師の方がおっしゃってました。

 昔だったら、不動産は右肩上がりに価値があがるもので、価格面でのリスクなんて、ほとんどないと信じられてきましたが、それは、過去完了形のお話。賃貸用不動産だって、必ず、店子が入り続けるとは限らないし、土地の値段は、上がったり下がったりするでしょう。

 で、そんな賃貸用不動産の収益が落ちるリスクやら、不動産の値下がりリスクをヘッジするためにデリバティブが使えないかということです。

 たとえば、A社の有する不動産(100億円)の利回りが10%とします。この利回りが将来、落ちるのを避けるために、B銀行と想定元本100億円のスワップ契約を結びます。このスワップ契約によると、A社は、ARES-J-REIT Property Index Total Return (不動産証券化協会が公表しているJREITの開示資料に基づく収益率、 毎月更新)分、B銀行に支払い、B銀行は元本の10%の収益をA社に支払います。 1年後のA社の保有資産の利回りが5%に低下し、Indexの収益も5%となった場合、A社はSwapにより5%(△5%+10%)の収益を受けるので、実際の賃料収益5%とあわせると10%の利回りを確保できるというようなものです。

 これだけ読むと非常に魅力的なんですけれど。

 でも、不動産って、金利や為替や石油やとうもろこしと比較すると非常に個性が高い。

不動産インデックスに連動して、その会社の有する不動産の収益が変化するというのは稀な気がします。

 三菱地所が丸の内にある不動産をまとめ、それをヘッジするためにスワップを仕組んだような場合は、三菱地所の不動産の利回りと、INDEXの利回りは、相関関係が高いのかもしれませんが、こんなケースは他にはほとんどないですよねえ。

  デリバティブ取引については、会計も税務も、原則としては、時価で毎期評価しないといけません。でも、そのデリバティブが、ヘッジのために使われているとして、一定の要件を満たす場合は、評価損益を繰延ることができます。

 この要件として、ヘッジ対象とヘッジの手段の相関関係が高いことがあります。ちなみにこの相関度のチェックは半年ごとに一定の枠(80%から125%)に入らないといけない。

 でも、不動産の値動きって、長いスパンで見ると、インデックスと相関関係があると思うけど、半年周期でみると、かなりぶれるケースが多いと思うのです。そうなると、時価会計の対象となるので、企業としても不動産デリバティブを使うのを躊躇するかもしれません。

 不動産デリバティブを推進するためには、ヘッジ会計や税務を改正しないとあんまりうまくいかないのではないかなぁ♪

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