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2008年7月31日 (木)

金融立国 観光立国

今朝の日経の経済面には 「金融力 第2部リスクマネーと向き合う 市場環境、魅力出せず」

このブログでも、何度も書いているネタですが、ファンドが日本の投資顧問会社を通じて、金儲けをした場合、投資顧問会社が一定の要件を満たす場合は、そこをPE(支店みたいなもの)とみなして、そのファンドの儲けに対して日本で法人税をかけることはしないよというルールが平成20年の税制改正でできました。

このルールは、金融庁の強いプッシュがあったと思うのですが、その背景として、東京の金融マーケットの地盤沈下をくいとめようという強い意志があるようです。

課税リスクが大きいからという理由で(ほんとうは他にもあるような気もするのですが)、多くの投資顧問会社が、課税リスクがなく、儲けに対する税金も安いシンガポールに移ってしまったようですね。そういえば村上ファンドもシンガポールにでていきましたよね。

これはまずいということで、税制を改正しましたが、それくらいでは、戻ってこないだろうというのが本日の記事の論調であり、信託大好きおばちゃんもそうだよなあと。

シンガポールは、小さな国で観光資源もないから金融立国を国家戦略の真ん中において、徹底的に支援していますよね。税金だけでなく、インフラも充実させていますし。金融の世界の標準語の英語をみんな普通にしゃべれるようですし。どー考えても、今の東京より魅力的だよねえ。

他方、今朝の日経の経済教室面では、「ゼミナール 観光立国への挑戦ブランド構築 情報発信力に富む人材必要に」という連載があります。

信託大好きおばちゃんは、日本の将来を考えると、金融立国をめざすより観光立国をめざす方がいいと思うのです。すでにある資源を利用すればいいのですしね。日本には他の国にはない、四季があり、自然や温泉や美味しくて安全な食べ物もあるでしょ。いまどきの外国の人は、神社仏閣をみることが目的の人ばかりじゃない。

なぜ、日本を訪れるのかというと、自分たちの国では得られない何かが日本で発見できるからであり、それは、日本人にとっては、当たり前すぎて気づいていないものかもしれませんが、それに気づいて商売をつくり、外国の人が使っている言葉でコミュニケーションができる人がいたらなんとかなるかもしれない。

日本人は農耕民族だから、狩猟民族的な金融ビジネスをやってもなかなかついていけないような気もするのです。金融士を作るのだったら、是非、観光士も作って欲しいですねえ。

商売のための資格というより、ボランティア+アルファのための資格だけど、とっても権威があって、その資格をもっているとみんながうらやむようなものにしたらどうだろう。

日本には、英語や他の国の言葉が使えるおじちゃんやおばちゃんが、潜在的には結構いらっしゃると思うのですが、日本に住む限りは、あんまり使えない。これはもったいないですよね。

そんな人たちの力を引き出し、気持ちよく活躍してもらえる場所を提供してあげる。外国の人もいっぱい来てくれる。お金を落としてくれるから地方が潤う。東京だけじゃなく、各地でハッピーな人が多くなるからいいのではないかな。

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2008年7月30日 (水)

住宅公庫債券と信託 ファニーメイと比較して

 個人的な事情により、ようやく、日経新聞を配達してもらうことにした貧乏人の信託大好きおばちゃんです。

Kamomeさん

FNMAの話のなかで、下のブログにFNMAの証券化の信託の仕組みが説明されているようですが、ちょっとへんじゃないですか。

仕組みがちっともわかりません。

基本からできていないからか、ブログの説明がどこか誤っているのかと疑いたくもなります。

でもこんな奇妙な信託を数兆円投資する銀行って、すごい。

http://consumerloan.blog.shinobi.jp/Entry/102/

FNMAがそうだとしたら、日本の住宅公庫の証券化債券もそうなんでしょうか、ね?

ファニーの目論見書は英語です。信託大好きおばちゃんはアホですので、解読に時間がかかるから、日本の住宅債券のしくみをベースにつらつらと書きます。

たまたま、手元に平成161月の「貸付債権担保第14回住宅金融公庫債券」の商品内容説明書がありました。

住宅金融公庫(今は住宅金融支援機構なのかな)が、平成161月に社債みたいなものを発行しました。発行するに際して、なーんも手当てをしなかったら、住宅金融公庫がこけてしまったら、投資家に迷惑がかかります。

そこで、どーしたかというと、住宅金融公庫が下々に直接貸したローンや、業者が有しているローンで買い取ったものを他益信託(受益者≠委託者)したようです。

受益者は、説明書によると、公庫債の債権者の集合体を受益者としたそうです。誰か特定していないようなもの。

なぜ、こうしたかというと、この当時の信託税制では、受益者が特定していない(本件のようなケース)場合は、信託財産から生ずる所得は、委託者(住宅金融公庫)が申告納税義務を負うとなってたからだと思うのです。

もし、今、これから住宅金融公庫債のようなものを発行して、投資家の債権の担保のために信託を設定するなら、収益受益者は委託者、元本受益者を投資家というようなスキームを組むことになると思います。そうしないと課税関係がおかしくなって、投資家が怒るから。

で、もし、住宅金融公庫がこけてしまったら、そのときの公庫債をもってる投資家を信託の受益者だ!と確定させて、信託されたローンから彼らへの利息の支払や元本の弁済に当てるようです。

信託をすることにより、住宅金融公庫がこけてしまった場合の公庫債の投資家の被るリスクを避けることは可能なんですね。

でも、受託者がこけて、信託財産のベースにある債権も毀損してしまった場合のリスクまでは、この信託では、原則的にはカバーできないと思うのです。

そのようなリスクまで公庫債の場合、真剣に検討する必要ないような気がするのです。

なぜならば、日本人というのは非常にまじめな人種でしょ。借金したら踏み倒せなんて考えず、命がけで返済しますよね。返済できなかったら破産して社会的に×とされちゃうかもしれないからね。だから、日本の住宅ローンというのは、非常に優良な資産になるのでしょう。信託を設定して、受託者がこけるリスクを防御できたら、あとはほぼ安心。

でも、アメリカという国は、基本的には住宅ローンというのはノンリコースローンであり、払えなかったら、住宅が取り上げられるだけ。別に債務者の人生が終わることもないでしょ。だから、いくら住宅ローンを信託して、受託者がこけるリスクを避けることができても、信託財産の毀損リスクがそれ以上にあるから、おかしくなった場合、なんだかなあとなるのではないかな。それこそアメリカのお上が超法規的に助けないとね。

英文をまったく読まず、思いつきで書いているのではずしている可能性も大ですが♪

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2008年7月29日 (火)

環境税って何?

 今朝の日経の大磯小磯は「抜本税制改革を先送りするな」です。ようするに法人税率を低くして、消費税を上げましょうというようなこと。この辺については、いろいろ思うところはありますが、それはおいといて「環境税」のことが書いてありましたので、こっちを書きます。

 環境税って何?と考えて、Google したところ、環境税こども用リーフレット「環境税って何だろう?」を発見しました。

環境税は、地球温暖化を止めるため、電気・ガスやガソリンにかける税金。地球温暖化の原因となる二酸化炭素を空気中に出すとお金を払わなければならない仕組みだよ。温暖化を止めるために必要だという人がいて、注目を集めているんだ。

 ということだそうです。なーんも知識のない分野について、本質を理解しようとする場合、こども用の資料を読むことが一番だなあ。

 ちなみに地方税では環境税のようなものが既に導入されているところもあるようです。たとえば、福島県では、森林環境税という税金があるようです。福島県の森林を守るために、福島県に住んでいる個人や、福島県に事務所のある会社は、県民税の均等割に森林環境税分加算して納めないといけないようですねえ。

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2008年7月28日 (月)

おひとりさま現象と信託

 今朝の日経経済教室面は充実しています。経済教室は、前多康男慶応義塾大学教授の「世界的な金融市場の動揺 市場規律働く制度設計を」であり、ゼミナールは「観光立国への朝鮮 富裕層旅行者 受け入れ態勢整備課題に」であり、やさしい経済学は、上野千鶴子東大教授の「エイジングとポストモダン社会 おひとりさま現象」です。

 どれをチョイスするかふっと考えて、やっぱおひとりさま現象だなと思いました。おひとりさまの老後という本が75万部も売れたらしいです。信託大好きおばちゃんはまだ読んでいませんが、 3世代同居率が45%で夫婦世帯が35% おひとり世帯が16%らしいです。

 家族がいっぱいいるということは、老後、自分のめんどうをみてくれるという可能性もありますが、ドメスティックバイオレンスの犠牲になる可能性もあります。まあ、年寄りの価値というのは、お金を持っていてなんぼのもんというところもありますしね。

 上野教授は「おひとりさま」仕様の年金・社会保障制度を設計してもらいたいものと書かれて筆を置かれました。

 「おひとりさま」の老後の安定のためには、信託の利用もベストのひとつと思います。それなりにお金のある方が財産を信託されて、自分が生きている間は、毎月定額を信託から支給してもらう。病院に入ったり、介護を受ける状況になった場合も信託からの支給金で支払いを賄う。そして、自分が死亡した場合は残余財産で、葬式費用を捻出し、その後の手続きをやってもらって、残りは、自分の希望する人などに渡すというものです。

 いくらお金があっても、自分がぼけちゃったときに、そのお金を使って面倒をみてもらえるかが一番の不安なんですよね。ぼけたときに、変な人にお金を巻き上げられたら元も子もないでしょ。

 この辺の作業を的確にリーズナブルな値段でやってくれる信託会社などがあればほんとうにうれしいし、広まると思うのです。日本の将来に大きな安心をもたらすメリットがあるので、国がある程度のサポートをしてくれたらうれしいのですが、金持ち優遇ともいわれそうだから難しいかなあ♪

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2008年7月25日 (金)

アラブの国との租税条約 素朴な疑問

 今朝の日経の一面は「資源国との租税条約加速 政府 サウジ・オマーンと交渉」だそうです。

 税金の世界で、国際税務という言葉がしばしば使われますが、国際税務というか国際税法というかそのような法律はどこにもありません。

世界中の国はそれぞれ、独自の税法をもっており、その中で、外国の人や会社と取引をした場合に生じた所得についてどういう税金を課すのか決めています。2つの国の企業が取引をした場合、それぞれの企業のある国で、その取引について税金を課すルールがありますが、それぞれ好き勝手に作っていますから、ほっておくと、ひとつの取引から生じた所得について2つの国で税金をとるようなこともしばしばあります。それでは、国は儲かるけど、会社は困ります。お金がいっぱい国に吸い取られると、その分、投資にまわせないから会社が元気になれない。そうすると、結局、国も困ってしまう。

そこで、2つの国の間で生じた取引について、税金をどうかけるのか、2重課税が生じた場合はどう調整するか、2国間で税金のトラブルが生じた場合はどのように解決するかについてルールを決めており、それが租税条約といわれるものです。

 日本は、いろんな国と条約を結んでいるのですが、なぜか、アラブの国々とは結んでいなかったようです。昔から取引はいっぱいあったはずなのにね。記事では、カザフスタンやブルネイとも条約を結ぶようです。

 で、素朴な疑問。 アラブの国というとイスラム金融のメッカですよねえ。イスラム金融というのは、ご存知のように利子の存在を認めない。通常、租税条約では、利子から差っ引く税金の取扱いについて決めています。日本の預金の利子というのは、所得税は15%差っぴかれることになっているけど、租税条約で10%にディスカウントされるというようなものね。

 アラブの国々との間の租税条約の間でもこの利子の規定を入れるのかなあ。もし、いれるとして、租税条約というのは、たぶんアラビア語でも作られると思うのですが、利子をどのように表現するのでしょうか。また、実際に租税条約を使って利子に対する源泉税を減らすような取引がいっぱい発生するのでしょうか♪

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2008年7月24日 (木)

日本は、道州制になるのかなあ

今日の未明、岩手で震度6強の地震があったそうです。お怪我をなさった方もいらっしゃったようですね。実は、信託大好きおばちゃんは、この3連休、青森県の下北半島に出没していました。お世話になったみなさんは大丈夫だったかなあ。

昨日だったと思うのですが、日経にちっちゃな財団法人経済広報センターの道州制に関するアンケートの広告が載っていて、そのエッセンスをHPからコピペしますと、

「道州制に関するアンケート」調査結果-

(1) 道州制の議論を進めることに「賛成」は男性が60%、女性が23%。「どちらともいえない/分からない」は男性が31%、女性が62

(2) 道州制の導入で特に期待される効果は「独自の産業振興策が展開され、雇用が創出される」(64%)、「地域医療・介護の体制充実が図られる」(61%)

(3)

道州制導入に向けて当面必要となる改革として「地方分権改革の実現(国から地方への大幅な権限の移譲)」が71

信託大好きおばちゃんはこの辺について本当に何にも知らないのですが、どうも、道州制になりそうなトレンドがあるようです。これ以上の東京一極集中はないのかもしれない。

で、道州制とは何かというと、いまの都道府県制度をもっと統合させて、大きな地方行政体をつくり、その行政体に今以上の権限を認めさせるようなものです。

北海道だけでなく、東北道とか 首都圏道とか、関西道とか、(なんで東海道や中山道はないんや?笑)というネーミングの行政体を作り、そこに今以上の権限を渡すというものです。

どれくらいの権限を渡すかというと、今、3通りあるようです。

① 現在の都道府県を合併し広域行政権のみを与えるもの

 ② さらに財政運営の権限を与えるもの

 ③ さらに立法権を与えるもの

http://www.doshusei.com/main/three_doshuseis.htm

 これ、③になると凄いですね。 独自に新しい法律を作れるようなものだから。税法で考えると、たとえば、国税である法人税の税率を20%にして、各道ごとに、地方法人税の税率を自由に税率を決めることもできるわけです。地方法人税の税率を0% とか1%とかにすると、世界中から企業を誘致することも可能になるわけですよね。長靴を履いた食堂のおばちゃんが英会話しているニセコ(北海道のスキー場)のような場所が日本の原風景のような地域で広がることは素敵なことです。やっぱ、日本の再生のためには、日本から外へ出て行くだけでなく、外からいっぱい人・モノ・金がやってくる必要がありますから。

なんか、見果てぬ夢のような気もします。

今後10年以内の実現可能性は?ですが、信託大好きおばちゃんの生きている間には実現するかもしれませんね。

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2008年7月23日 (水)

クーポン・スワップのリスク

クーポン・スワップという金融商品があります。異なる通貨を交換しようというデリバティブですが、特徴なのは、元本は交換せずに、金利部分のみを交換するようなものです。

先物の値段というのは、現物の値段より高くなるはずです。今、現物を借金して買い将来売って損しないようにするためには、今の現物の値段+利息となるからです。でも、為替の場合はそうならない場合が多い。なぜなら、円の金利よりも、ドルの金利の方が高いから。今、円でお金を借りて、ドルを買って、そのドルをドル預金で運用すると、受取利息>支払利息となるから、差額分だけ先物の値段が安くてもいいわけです。こんな金利差を利用して、クーポンスワップというのは組成されます。このクーポンスワップによると、外貨の交換レートというのが当初はとってもおいしいレートで固定され、為替変動によるリスクが避けられるといいうものです。

ただ、このクーポン・スワップにもリスクがあります。クーポンスワップで固定されたことにより、何もしなかったら得たかもしれない為替差益を享受することができないというのがあります。

そして、もうひとつの潜在的だけど大きなリスクとして税務上のリスクというのがあります。簡単にいうとクーポンスワップは税務上、ヘッジ処理が、原則的には、難しいので、毎期、クーポンスワップを時価で評価して、評価損益を計上しないといけないのです。評価益がでたら、その分税金を払わないいけない。しかし、評価益というのはキャッシュを伴わない利益だから、儲けに対する税金が払えないというリスクが生ずるわけです。この辺の知識があまり浸透していないのではないかなあ。一般的には。

ここからオタク系――――――――――――――――――――――――――――――

会計上は、数年前に長期為替予約みたいなものは、原則的には時価で計上してねというお達しがありました。

税務上のお話ですが、一般の事業会社がクーポンスワップを組むのは、輸入企業が、外貨建買掛金の支払にあてるような場合が多いのではないかなあ。

外貨建債権債務についての換算方法は発生時のレートか、期末レートを選ぶことが出来ますが、買掛金については、原則は、期末時レートとなります。会計上も期末時レート。

外貨建債権債務については、期末時レートで計上しないといけないのですが、例外的に、為替予約をした場合や、直先フラット型の通貨スワップの場合は、振り当て処理といって、固定させたレートで計上してもいいですよとなってます。そして、予約時レートと直物レートの差は期間配分してねと。

でも、クーポンスワップは、為替予約でもないし、直先フラット型の通貨スワップにも該当しない。なぜなら、元本は交換せず、利息だけ交換しているものだから。

じゃ、振り当て処理はだめでも繰延ヘッジ処理はOKかなとなるのですが、これもだめ。だって、ヘッジ処理というのは、ヘッジ対象を時価評価しないから、ヘッジ手段のデリバティブの時価評価しないでいいですよねというものです。ヘッジ対象の買掛金は、通常、税務的には期末レートで評価替えするということは時価評価することになるのです。なのに、その手段であるデリバティブだけ評価損益を繰延るのはおかしいでしょという理屈です。この辺の意味合いは条文(法法61の6①一、二)の中でもしっかり書かれていますね。

で、留めを刺すというのもなんですが、平19. 1.29 東裁(法)平18-162の裁決がありますので、ご興味のある方は、国税不服審判所のページで裁決を検索してください。争点は、「特殊な損益の計算/5外貨建債権債務の評価損益」です。

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2008年7月22日 (火)

2030年には石油が使えなくなる

本日の日経の社説は「日本企業は環境技術で新たな地平を」、トヨタ自動車さんが6月半ばに東京都内で開かれた環境フォーラムで「2030年には石油が使えなくなる」と発言されたそうです。そして、ガソリンエンジンに変わる動力源として次世代電池の開発を急ぐ意向を明らかにされたそうです。

 これって、劇的な産業革命の予感ですね。今、空気のように存在しているインフラが、数十年以内にがらっと変わってしまう かもしれない。 

 キーワードは、やっぱり環境。この環境問題をクリアするためにどうすればいいかおということが、今後の企業活動の基本になりそうです。

この情報をとりあえず、頭にピンで留めとこう。

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2008年7月18日 (金)

非上場株の価格算定への指針を作るそうです

昨日(717日)の日経の夕刊に非上場株、価格算定へ指針という記事がのっていました。

非上場株 つまり、その会社の株を、誰でも自由にマーケットで買うことができないような会社の株というのややっかいなものです。その会社が儲かってたり、含み益が多いと株価は高くなります。固定資産税がかかるわけでもないので、普通に持っている状況だと別に困らない。でも、相続のときは、そのときの会社の価値を一定のルールで計算して、それをベースに相続税を払わないといけないのです。価値が高いと、当然、相続税も高くなるのですが、その価値の高い非上場株というのは、売れないのです。だから、相続税が払えない、困った。それだったら生前に会社をやめて、誰かに株式を売りたいけど、その値段をどうつけたらいいのか、これがまたわからない。

今の非上場株式の価値の尺度というのは、お上が決めた相続税の評価のベースになる財産評価基本通達になっています。この財産評価基本通達というのは、その非上場株式を誰がもらったかによって、まず価値を2つにわけます。大株主側と小株主側。

小株主側にとって、非上場株を持つ価値というのは、その会社の支配ではなく、配当をもらえる権利だから配当の利回りをベースに価値を計算しましょうとなっています。

一方、大株主側にとっては、会社をコントロールする価値があるということで、その会社の大きさの大小や、その会社が事業会社なのか、それとも持株会社や不動産のかたまりのような会社なのか等の区分によって、たとえば、その会社の相続時に会社が解散したらいくら?という観点や、同じような業種の上場会社の株式と比較してどのくらいの価値がある?という観点などなどから算定されます。

お上公認の株価算定ルールのベースになるのは、過去形の数字でした。これは事実ですので、うそのつきようがない。

 昨今のM&Aで会社の価値を算定する方法としては、過去形の数字でなく、これから将来稼ぐかもしれない予想利益をベースに計算する方法が、主流です。

 今回、中小企業庁が、非上場株式の価格算定の指針を年内にも作るようですが、この方法の中には、巷で主流の将来稼ぐかもしれない予想利益ベースの算定方法もいれようと考えていらっしゃるようです。

 良くも悪くも、算定者の主観が入らざるを得ない将来利益を評価を、お上公認の財産評価に取り込むことも視野にいれていらっしゃるようですが、お上も下々も納得できるような評価基準を構築することが出来るでしょうかねぇ。

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2008年7月17日 (木)

日本に利益を還流させる2つの方法

 今朝の日経のトップは「製造業の税負担率 最低 国内より低い税率 海外に利益、還流せず」です。

 昔の日本の企業は、企業の成績は経常利益の大小で見る傾向にありました。税金なんて、天から降ってくるものなので、自分たちでどうすることもできないところもあるから。

でも、今は、全世界的な動向として、企業経営者の成績は連結ベースの税引後利益で判断されるようです。最終的にどれだけの利益を残せたかが大事であり、そうなると、利益の半分近くもっていく税金をいかに減らすかも経営者の腕であるということになります。

そこで、多くのメーカーはコストが低く、また、稼いだ利益に対する税率が低い国に進出しました。そして、現地で稼いでも、日本に配当という形で戻すと、配当に40% の税金がかかってしまうのは、あほらしいから稼いだ利益はその国で再投資にまわしました。

かくして、日本の企業はさまざまな苦境を乗り越え復活しましたが、利益は海外に残ったまんまで日本に還流されず、それが将来的な日本の繁栄に暗い影を落とすのではないかという懸念が広がってきました。

そこで、どうも2つの方法でこの問題を解決しようと考えているようです。

1つは、海外の子会社などから日本の親会社に対して配当を支払った場合、その配当に対する税金を免除しましょうというものです。日本の子会社が日本の親会社に対して配当を支払った場合は、親会社サイドでこの受取配当を益金(税務上の収入)にしませんという規定があるから、これを海外の子会社にもあてはめましょうということだと思います。今でも、外国の子会社が配当を払った場合は、その子会社が外国で払った法人税のうち配当対応部分を親会社の法人税から控除できるという仕組みはあるのですが、これが複雑系なのだ。

でも、この制度を作る場合、いろんな問題点があります。たとえば、海外に進出する形態は子会社だけではない。金融機関などは免許の関係があるから支店で進出している。子会社の配当を非課税にするのだったら、海外支店の利益も非課税にしないと、同じ海外の利益なのに税負担に差が生じてしまう。税金の世界では、実質的に同じ経済取引に対して、税負担が異なる場合、かならず裁定取引が行われますからね。

 2つ目は、日本の法人税率を下げること。一面に「都市と地方 豊かさ再評価 アイルランドの奇跡」という記事が載っていて、アイルランドが法人税率を日本の3分の1程度に抑えた結果、欧州最貧国からGDPが世界第4位の金持ち国に変身したらしい。

だから、日本も税率を下げたらいいということでしょう。

でもね、税金というのは、会計上の利益に税率をポン乗じて計算するのではありません。

会計上の利益を税務上の利益に調整するわけです。たとえ、会計上費用として計上して

も、税務上、費用として計上できなければ、その分だけ税務上の利益は増えます。たとえ、税率を下げても、税務上の費用を減らした結果、法定税率は減少しても、企業の税負担率は変わらないということも当然あるわけでして、そうなると、頭のいい企業の人たちは、やっぱり日本に利益を還流させないでしょう。

なんてことを、新聞をさらっと読んで、ふっと考えてみた信託大好きおばちゃんでした♪

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2008年7月16日 (水)

デリバティブの評価損益の認識と、金融庁のPEに関する参考事例

今朝は、非常に税法オタクなお話です。

 先日、金融庁のPEに係る参考事例 Q&Aという記事を書きましたが、今日は、そのマニアックな内容に関する疑問を

 金融庁のPEに関する参考事例というのは、日本にPE(恒久的施設、お金儲けをするための一定の場所)のない外人投資家が、たとえば、日本の会社の株を、日本の投資顧問会社と一任契約(おまかせ契約)を結んで売り買いして、配当やキャピタルゲインが生じても、これらの所得について、投資顧問会社が外人投資家のPEとみなして日本で法人税を課税することは、原則としては、ないですよ。せいぜい、配当を支払うときに、源泉税を20% 限度でいただくだけで、基本的には日本で課税しませんよというものです。

 株の場合は、わかりやすいのです。問題は、デリバティブなんです。金融庁のペーパーを読んでいると、投資顧問会社は、日本の会社の株だけでなく、デリバティブの運用もしていいのですよ。

 デリバティブというのは、大きく分けて、3つのカテゴリー、すなわち、先物、先渡取引、スワップ取引、オプション取引というものに分類されます。それぞれ、似て非なるもの。とくに、先物グループ、スワップグループと オプショングループは、税法的には少し形が違うような気もするのです。

 デリバティブの課税のしくみの基本形は、契約を結んだときから、デリバティブを結んだ当事者が法人である場合は、毎期、期末にデリバティブを時価評価して、評価損益を計上しないといけないシステムなのです。

 次に日本の税法において、日本の国内において生ずる所得と認められるものとして次があります。

「国内において行う事業から生じ、又は国内にある資産の運用、保有若しくは譲渡により生ずる所得(次号から第11号までに該当するものを除く。)その他その源泉が国内にある所得として政令で定めるもの」(法法138①一)

そして、日本にPEのない外国法人に対して、日本のお上が日本で税金払えといえる範囲は次と定められています。

「第138条第1号に掲げる国内源泉所得のうち、国内にある資産の運用若しくは保有又は国内にある不動産の譲渡により生ずるものその他政令で定めるもの」(法法141①四イ)

つまり、日本にPEのない外国法人でも、日本にある資産の運用もしくは保有により生じた所得については税金を払わないといけない。 だから、株式投資をしたときは、配当については源泉税がとられるのですが、キャピタルゲインについては資産の譲渡による所得だから、国内源泉所得だけど、買占めでもしない限り、日本では税金がかからないのです。

株式投資なら簡単だけど、デリバティブというのは難しい。そもそもデリバティブのポジション(契約上の地位)というのは、資産なのか否か、この辺に関しては、以前ご照会した 税務大学校研究部教育官の中村隆一氏の論文「国内源泉所得の研究 -国内源泉所得の1号所得における「資産」概念」によると、ポジションも資産だぁなんておっしゃってる。

また、中村さんの論文で紹介された宮武敏夫弁護士の「デリバティブ取引の所得源泉法則」(税務弘報Vol47 No6)によると、ポジションを資産とは考えないが、少なくとも、オプションを買った場合、これは権利だから税法上は資産だとおっしゃってます。

中村説は強烈なので、宮武説に沿って考えると日本のオプションの保有から生ずる所得、つまりデリバティブの評価益については、たとえ、日本にPEのない外国法人といえども日本で税金を払わないといけないと考えられるのです。独立代理人がいようがいまいが、そんなの関係ない。

では、どのような契約を結んだらオプションは、日本の資産となるのでしょうか。オプションを売ってるのが日本の会社だったら日本の財産なのでしょうか。

この辺の議論というのがあまりなされていないような気がするのです。だから、今回の改正は、株に関してはわりとクリアにされたのですが、デリバティブの所得に関してはクリアにされていない。信託大好きおばちゃんの勉強不足だけなら、ハッピーなのですが♪

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2008年7月15日 (火)

ファニーもフレディも大丈夫かなあ

 今朝の日経は、ファニーメイやフレディマック(アメリカ人は人の名前をつけるのが好きですねえ。台風だってカテリーナとかでしょ。)が、大変な重病らしい。つい最近まで、ぴんぴんしていたはずなのに、つい1週間ほど前に、会計基準が変わって、オフバランスにした資産を貸借対照表に戻すと、その分だけ自己資本が減って自己資本の増強のために莫大な増資が必要だというレポートがでたことが発端らしい。

 ファニーメイとかフレディマックというのは、いわゆる住宅ローンなどをいっぱい買い取ってそれを、そのまま売るのではなく、いっぱいあるローンをまとめて1枚の紙にして、ウォールストリートの金融機関などに売って商売をしているようです。

 みそは、政府の保証がある(らしい)ということ。ファニーやフレディが作った証券の中身のローンがこげついても、政府がその分保証してくれるようだから、非常に安全性が高い。トリプルAみたいなものでしょうね。だから、投資家たちが安心して、この証券をいっぱい買ったり、売ったりする。この証券を投資家に売買して儲けるのは、証券会社。証券会社がお金を稼げるポイントは2つあって、最初の証券を発行して手数料をもらうときと、投資家間で売買して手数料をもらうとき。ファニーやフレディの証券は安全だからいっぱい売買をしてくれて、そこで手数料をいっぱい稼げるから、発行時はそんなに手数料がいらない。そんなわけで、仲介業者への手数料をさげることにより、ますますマーケットが広がったようです。

 で、ファニーやフレディは、ローン担保証券だけでなく、自分のところの社債もいっぱい発行している(米国債規模の3割強らしい)ようですが、もし、彼らがこけてしまったら、社債などこれらの証券は紙切れになってしまう。この証券は世界中の金融機関やら事業会社やらが持っていて、この証券を担保に資金調達をしているようなところもいっぱいある。そうすると、世界中が大変になるということらしい。

 だから、アメリカの金融当局者は、必死のようですね。記事を読んでいても、彼らの心臓の鼓動の高鳴りが聞こえてきそうです。

 

 日経新聞を読むと、住宅金融会社支援の次は、日本と同様、公的資金を使った銀行への資本増強策だそうです。 さて、いつか、どこに対してか。

 

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2008年7月14日 (月)

農林中央金庫のサブプライム評価損

 今日は、新聞がお休みらしい。 コンビニでどうしようと思って 週刊ダイヤモンド2008/7/19を読んだら、「米銀を再び窮地に追い込む「カバードボンド」導入の衝撃」という記事があったので、ぱっと買いました。

 以前、このブログ「証券化商品の次にはやるのは何だ?」(2008/5/30)でカバードボンドをちらっと紹介したことがあるので、ええっと反応したからです。

 カバードボンドというのは、証券化商品の一種なのですが、ローンを証券化して、焦げ付いたような場合、投資家がそのローンを最初に組んだ金融機関に金払えと要求できるようなもののようですね。今、世の中に出回っている商品では、元のローンが焦げ付いた場合の損は投資家が被ることになっていて、それが大問題になったのですが、カバードボンドにすると投資家は救われる。かもしれない。でも、カバードボンドを発行すると、金融機関は資産をオンバランスにしないといけないから自己資本比率が下がってしまう。そうすると、またまた資本増強をしないと大変なことになるという問題をかかえることになるそうです。

 で、今日、信託大好きおばちゃんがより反応したのは、この記事にある「損失拡大に歯止めがかからない 主要金融機関のサブプライム関連損失額」という表なのです。

 この表にベスト18(?)が載っているのですが、日本の金融機関は、みずほファイナンシャルグループさんと野村ホールディングスさんだけでなく、なんと農林中央金庫さん、1,869億円も入っているではないですか。

 農林中央金庫さんって、日本のバブル崩壊のときも渦中の会社だったような記憶があるのですが、懲りないのですねえ。

 とりあえず、農林中央金庫のホームページに、ぴょんと出かけてみました。

まず、430日のプレスリリースでは、

「平成20年3月期決算(単体)に関しましては,保有する有価証券につきまして, いわゆるサブプライム関連で約1,000億円,金融市場混乱の影響により海外の証券化商品と株式で約1,800億円,合計約2,800億円の減損・引当処理等が生じる見込みです。」

この辺の損失に関しては、20083月期決算概要説明資料で、ディスクローズされていらっしゃいます。

ダイアモンドの記事に載っている1,869億円というのは、

商品区分別の損失額として掲載されているものの集計であり、この表によると

住宅ローン担保証券が 205億円、債務担保証券が1,664億円です。

で、プレスリリースのサブプライム関連の損失約1,000億円の明細は、サブプライム住宅ローン担保証券 (サブプライムRMBS:一次証券化商品)が205億円、サブプライムRMBSを含むABS-CDO(二次証券化商品)が816億円です。

ここから、オタク系

税効果の方の資料をみると、有価証券償却で損金とならないものの残高が20年末は48,448M円 19年末が19,914M円ということは 差額28,534M円を40%で割り戻した約713億円くらいの評価損を税務上は否認させています。つまり、サブプライム等の証券化商品の評価損の一部は損金性を認める処理をしていらっしゃいます。どんな基準で振り分けたのか興味ありますねえ。

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2008年7月12日 (土)

初物 秋刀魚は、安くておいしかった♪

 今日の東京は、午前中から暑かったけど、午後3時ごろ、突然、強烈な雨と雷雨(雹のようなものも降ったのではないか)でしたよね。

 お昼ご飯前に近くのスーパーマーケットに出かけたところ、初物の秋刀魚を売ってました。東京に来てよかったと思うことのひとつは、秋刀魚の値段が非常に安い。 今日は80円でした。 しかも、冷凍モノと違って、脂ののり具合というか、なんともぷりっとして、いい感じなのですよね。

 そういうわけで、晩御飯は、秋刀魚を塩、胡椒をふりかけて、最後にレモン汁をかけて焼いたものをいただきました。

 美味しかったねえ。 今年も、秋刀魚は、信託大好きおばちゃんの重要な栄養供給源の地位を占めそうです♪

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2008年7月11日 (金)

地方債を買ってもらうためには

今朝の日経の経済教室は 徳島勝幸ニッセイ基礎研究所主任研究員による「格付け取得で起債円滑に」です。

 地方公共団体がより多くの資金を調達したいと思ったら、税金を増やすか、お国から補助金をいっぱいもらうだけではなく、地方が借金(地方債)を発行するというツールがあります。

 社債をマーケットで売るためには、自分のところがどの程度大丈夫かを示す格付けをとるものですが、地方債というのは、国に保障されるようなものだからということで、ずっとなされておらず 1999年に 格付投資情報センターによる発行体の依頼に基づかない「勝手格付け」が最初のようです。そして、2006年に実質的な依頼格付けが解禁されたようです。といっても格付けをとったのは数えるほど。

 徳島さんの地方債の依頼格付けの表を見ていろいろなことを思うのですが、

まず、ムーディーズは 一律 Aa1。 なぜか? 引用させていただくと「国のサポートが期待できる以上、ここの格付けに差は生じない」これじゃ、格付けって何となってしまいますね。

 大阪市の格付けは JCRがAA+ S&PがAA- ムーディーズがAa1 ほんまかいな。

 この表に大阪府は載っていませんが、この調子だったら大阪府だってAaなんちゃらとなるのでしょうか。 投資家をなめたらあかんでー

 アメリカでは地方債をマーケットで売るためには格付けが必須だそうです。日本もそうすればいいのですが、今の調子の格付けだったらなんだかなあとも思ってしまいます。

 で、格付けの話はこのくらいにして、 徳島さんの論文の最後の方に、「今年1月から非居住者は地方債の利息への源泉課税が免除されるようになった。」とあります。従来から国債を日本にいない外国の人たちが買った場合の利息については日本で課税しませんというルールがありましたが、この範囲を地方債に拡大しようというものです。

 この文章をみて、ふっと昔、アメリカの税法を勉強したり教えたりした時代を思い出しました。 今はどうだかわかりませんが、アメリカでは地方債の利子については、誰が買っても非課税というルールがありました。

 これは、地方が資金調達を、国からの補助金などにたよらず、自立して行うためには地方債の発行を増やすことが必要であり、そのためには投資家にとって魅力のあるものにしないといけない。インセンティブ効果が得られるように利子を非課税にしようというようなものだったと思います。

 今の日本の利子というのば微々たるものなので、非課税にしてもあまりインパクトはないのですが、こういう規定を導入するという発想はどうなんだろう♪

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2008年7月10日 (木)

金融庁のPEに係る参考事例、Q&A

サミットも終わったから、東京中に警官があふれている状態はもうすぐなくなるのかなあ。

 私も昨日まで知らなかったのですが、金融庁が、6月27日に恒久的施設(PE)に係る「参考事例集」・「Q&A」を公表しました。 ようですねえ。

 これは、平成20年の税制改正で、外国の投資家が、投資顧問会社などを使って、ある程度お任せで、日本に投資(日本の会社の株とかにね)した場合、日本でその投資利益などに対して税金がかからない条件が明確化されました。

 日本の将来を考えると、外資による投資は不可欠で、課税リスクがあると投資する気持ちが萎えますからね。 

 ただ、平成20年の改正のメイン・ターゲットとなるのは、いま大金持ちである石油産出国(アラブの国々)なんですね。これらの国々と日本との間には租税条約を結んでいないので。租税条約を結んでいる国(たとえばアメリカ)の投資家に関しては、上記のリスクは、租税条約で排除されている形になっていますから。

 で、本来なら税制改正にまつわる説明は財務省や国税庁がおやりになるところ、このPE課税に関しては、なぜか金融庁がおやりになられていらっしゃいます。それも懇切丁寧に、事例やらQ&Aを作って。 金融庁がいかにこの改正に努力して成果をもぎとられたかをPRしているようにも見えますが。

 金融庁のPRの底にある意図は、日本の金融の国際化だと思うのです。でも、そうであるならば、上記参考事例集やQ&Aは、日本文だけでなく、英文も添えて欲しかったですね。また、この改正のターゲットがアラブの産油国であるならば、アラビア語も添えると,なお,よろしかったのではなかったかと。

 法務省は、世界初の電子記録債権法の英訳版を公表しているのですけどね。

 重要 !追加 7月11日  「実は信託は不勉強」さんからご指摘がありまして、金融庁のHP(事例集とかのってるところ)の日付の上に 英語版はこちらというのを発見しました。 はやとちりをしてごめんなさいです。

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2008年7月 9日 (水)

久々の知財信託

今朝の日経の新興・中小企業蘭を読むと「「知財信託」を通じ大手の技術吸 大阪の中小、国内初事業化」という記事があります。

 ほんとうに久々だなあ。 

 この知財信託は、トキメックという一部上場会社が所有している休眠特許を、自分を受益者として信託し、信託銀行が、特許を使ってくれる会社を探して、うまくいったら、特許使用料をもらって、トキメック社に分配しましょうというものだと思います。

トキメック社自体は、受益権を売却してということは考えず、おそらく自社で持ち続けるのではないかなと。

ちなみにトキメック社の有価証券報告書を読むと、平成203月末で、連結ベースの貸借対照表の無形固定資産その他に計上されているものは7M円ですから、この中にこの特許権もあるのでしょうね。売上は連結ベースで、51,321M円 研究開発費は 2,503M円

(売上の5%くらいが研究開発投資にまわっている)

 今回の記事の肝は、東京の大企業の休眠特許を利用するのが、大阪の中小企業(マックマシンツール)ということで、このような事例は本邦初だそうです。

 中小から中小 中小から大というのはあったようですが、大から中小というのはなかったそうです。なぜなら、記事によると「大手の技術を単純に取り入れても、中小が応用技術を持たなければいけない。同行は今回、トキメックの開発担当者らによる技術指導を徹底するなど、マックスマシンツールが製品開発しやすい環境を整えた。」そうです。

 ようするに信託銀行が、総合商社のような役割を果たしたから、大から中小へのビジネスが可能となったということなのでしょうか。

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2008年7月 8日 (火)

東京都の排出量取引

 1週間に一度は、排出量関連のネタを書いて頭に格納していかないと、時代から放り出されそうな信託大好きおばちゃんです。

 今朝の日経の東京・首都圏経済面で「なるほど環境条例⑤排出量取引」があります。

 625日に東京都環境条例が可決されました。これによると、平成2241日から温室効果ガス排出総量を抑制することにより、総量削減を確実に実現できる仕組み(温室効果ガス排出総量の削減義務、補完的措置として、排出量取引の仕組みを導入、実効性の確保策として、評価・公表、違反者の公表・罰則等)が導入されるようです。

 削減義務の対象となるのは、温室効果ガスの排出量が相当程度大きい事業所であり、排出削減義務を自社で達成できない場合は、他から排出枠を購入して達成させることができるようです。この排出枠の取引というのは、日経の記事の例を引用すると、自社の排出枠が、たとえば1万トンで、実際の排出量が9,000トンの場合は、1,000トンだけ取引ができるというものだそうです。

 この排出量取引の相手は、東京都以外の地方の事業所は可能ですが、海外の事業所は当面認めないようであり、また、東京の事業所のCO21トンを削減するためには、地方事業所の1.5トン分の排出量を買う必要があるようです。

 東京都の条例では、中小企業(こちらは削減義務がない)を巻き込むために、中小企業が削減した排出量を大規模事業所に売ることができるようにしたようですね。

 ちなみに東京都内のCO2の排出ランキングベスト5は、

1.六本木ヒルズエネルギーセンター

2.東京都下水道局 南部スラッジプラント

3.奥多摩工業 石灰加工本部 氷川工場

4.ブリヂストン東京工場

5.東京都下水道局 砂町水再生センター

「国の先を行く自治体 東京が排出権取引制度」2008.712 週刊東洋経済より

この条例は、「実効性のある具体的な対策を示せない国に代わって、東京が先駆的な施策を提起した」結果のようです。石原知事のしたり顔が浮かぶねぇ。

http://www.metro.tokyo.jp/INET/KEIKAKU/2007/06/70h61200.htm

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2008年7月 7日 (月)

消費者にやさしい民法改正

 今日は77日 七夕の日♪ 東京は、今(7時前)現在、雨模様ですね。

 今朝の日経の法務面は「「債権法」改正 消費者保護も配慮へ 法務省参与内田貴氏に焦点を聞く」です。

 民法が110年ぶりに改正されるそうです。といっても、民法は守備範囲がとっても広いので、主として債権法のあたりのようですが。

 内田貴氏といえば、民法の本が有名ですよねえ。信託大好きおばちゃんが大阪から東京へ引越ししたときも、内田本は持ってきました。

 東大教授だった内田さんが法務省の参与になられて民法の改正に実質的に取り組まれていらっしゃるようです。

 この債権法改正のキーは、一般市民が遭遇するかもしれないトラブルの解決に役立つ民法ではないかな。

 記事を読んでへーっと思ったは、現行民法は短期間に完成度の高い法典をつくるという政治的要請のもとで作られたものだったことです。

 原理原則だけ決めて、とっても抽象的。だから、条文だけ読んでも、どうしていいかわからない。

 内田さんが目指しているのは、条文を読んで、すっと理解できて、当事者の力関係や情報の非対称性を考慮して、弱者(消費者)にやさしい民法のようです。

 条文を読んで、そこでわかるというようなものを作ると、条文数が激増するのでしょうね。現在の条文数は1044. 記事によると20世紀に作られたオランダの民法は5,000条ほどなので、相当なボリュームになるのかもしれませんね。

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2008年7月 4日 (金)

ソフトバンク 証券化商品の買い手は、個人投資家

 今朝の日経新聞の投資・財務面を読んだら 「ソフトバンク 46月 割賦債券流動化機関投資家向け発のゼロ」

 ソフトバンクは、携帯の割賦販売を行っていますが、これは、商品の代金が2年くらいかかり、支払が先行する状況になるので、その間のファイナンスも兼ねて、割賦売掛金を証券化して、お金を早めに回収しましょうというものです。

運転資金のファイナンスのためには、銀行借入やら社債やらあるのですが、ソフトバンクさんの格付けは次のようです。

                    200764日現在

 Moody's           Ba2-

Standard & Poor's        BB

日本格付研究所(JCR)    BBB

http://www.softbank.co.jp/irdata/rank/index.html

結構、厳しいので、社債なんかで資金調達したら、金利が高くなってしまう。

一方 割賦売掛金を証券化した場合の格付けは、

平成19629日個人投資家向け230億円に関してはA(格付投資情報センター(R&I))という格付けです。そうすると、ソフトバンクで資金調達するよりも低い金利でお金が調達できます。

http://www.softbank.co.jp/news/release/2007/070629_0001.html

個人向けには、プレスリリースを読む限り、金銭信託として販売しているようですね。

格付け投資情報センターのHPに飛んでいったら、どうも単独運用指定金銭信託となるようです。

http://www.r-i.co.jp/jpn/rating/rating/rating_list/structured_jpn.pdf

あれっと思いました。合同運用信託だったら、分配時に利子所得だから、20%源泉分離課税で、実効税率50% ぐらいの個人の大金持ちの場合は税メリットを受けるのですが、

単独運用指定金銭信託の場合は、発生時課税で、他の所得と合算課税になるはず。

これでは、たくさんの個人投資家が買ってくれないから、実際は異なる形で販売されているのでしょうけど♪

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2008年7月 3日 (木)

カーボン債務の把握を急げ

 今朝の日経の経済教室は藤井良広上智大学教授の「カーボン債務の把握急げ」です。

 最近、温暖化の問題が日経の紙面やらいろんな情報媒体で話題になっているのですが、いまいちよくわからないことが多い。その原因のひとつとして、まだ決まっていないことがいっぱいあるからのようです。

 藤井教授の論稿を読むと、企業は温暖化債務(カーボン債務)を貸借対照表に計上しないといけなくなるようです。

 じゃ、温暖化債務とは何かというと、おそらく、それぞれの企業に割り当てれた排出量(ここまではCO2を排出いいですよという枠)と、実際に企業が排出した排出量の差額。

割当排出量が10で、実際の排出量が12なら 2がカーボン債務ということでしょうか。

 で、ここで問題になるのが、まず、割当排出量をどのように評価するのか。これがまだ決められていないようです。

 ASBJが2004年に「排出量取引の会計処理に関する当面の取り扱い」を公表しましたが、これは、よそから買ってきて自社で使うような場合や、転売目的で買ってきた場合は、どのような勘定科目を使って処理をしますかというようなものであり、評価には言及されていません。

 ただ、この論稿を読むと割当排出量評価は、時価ベースになる可能性が高いようです。

問題なのが、債務の方です。排出量の算定・報告は企業の義務で、算定自体は企業が行うようですが、唯我独尊ではないような算定、報告ができ、それを第三者が検証するようなシステムが未整備のようです。

いずれにしても新たなビジネスの分野ができ、国も支援し、永続的に続くことが予想されるから、何か自分がかかわれることはないかという視点でみていくとご利益があるかもしれませんね♪

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2008年7月 2日 (水)

本田のFin48による開示

本田さんは、4月25日にFin48に基づいて2008331日時点の税金の見積り額を、関連負債および税金費用として2008年3月期の連結財務諸表に反映させたというプレスリリースを行われました。

米国の会計基準が変更になり、既に確定している税金だけを税金として計上するのではなく、将来的に追加して税金が課せられる可能性が高い部分についても見積もって財務諸表に計上しなさいというようになったようです。あくまでも米国の会計のお話であり、日本のお話ではありません。本田さんのようにアメリカで上場している会社は、アメリカ基準で財務諸表を作らないといけないから、このようなプレスリリースをされたのです。

通常、日本においては、移転価格のような多額の更正は、株主総会が終わったあとあたりに打ち上げ花火のように行われるのですが、どうも、本田さんには、6月に更正がなされていなかったようです。

ということで、本田の20083月期の有価証券報告書を読んでみました。損益計算書や貸借対照表を読んでも、いまいちピンとこないので、注記の方を下記にコピペしておきます。

①税率差異分析

これは、連結ベースの税引前利益に日本の法人税等の実効税率(本田は40%としている)を乗じて計算した金額と、会社が税金費用(税効果会計考慮後)として計上した金額の差異を%を使って分析したものです。

2008.3.31期

法定税率                       40.0 

連結子会社の該当連結会計年度で発生した

欠損金に係る評価性引当金繰入              0.5

海外連結子会社の法定税率との差異           4.9

繰越欠損金の現象による評価性引当金戻入        0.9

試験研究費等税額控除                 △3.2

未認識税務ベネフィットにかかる調整           9.0

その他                         2.7

実効税率                       43.2

ちなみに、2007.3.31の実効税率は、35.2

② Fin48系の注記

当社および連結子会社は、2007年4月1日に米国財務会計基準審議会による解釈指針第48号「法人所得税の申告が確定していない状況における会計処理」を適用しました。2007年4月1日における未認識税務ベネフィットの合計額は36,330百万円です。2008年3月31日における未認識税務ベネフィットの合計額は99,527百万円であり、このうち85,403百万円については、連結損益計算書で認識された場合、実効税率を減少させます。なお、当連結会計年度の連結損益計算書において、当社は、未認識税務ベネフィットに係る利息および罰金を3,011百万円計上しました。また、2008年3月31日において、5,960百万円の未払利息および罰金を計上しました。未認識税務ベネフィットの増減は以下のとおりです。

(M円)                            

期首残高                  36,330

当連結会計年度に係る税務上の

ポジションに基づく追加計上額        9,213

過年度の税務上のポジションに

基づく追加計上額              74,674

過年度の税務上のポジションに基づく減少額 14,769

税務当局との問題の解決による減少額      △51

時効の到来による減少額           △555

為替変動による影響額           △5,315

期末残高                  99,527

当社は今後12ヵ月以内に未認識税務ベネフィットについて重要な増加または減少が生じることを予想していないため、未認識税務ベネフィットはその他の負債に計上しています。

当社は、2002年3月期から2007年3月期までの期間について、東京国税局による移転価格税制に関する調査を受けています。当該調査の予想される更正額を含む見積額は未認識税務ベネフィットとして、連結財務諸表上において計上されております。

また、2008年3月31日において、当社および連結子会社は、2001年3月期から当連結会計年度までの期間について、主に日本(2002年3月期から当連結会計年度)・米国(2001年3月期から当連結会計年度)・カナダ・英国・ドイツ・フランス・ベルギー・タイ・インド・ブラジル・オーストラリアなどの税務当局から税務調査を受ける可能性があります。

税務調査は複雑な問題を含んでおり、問題の解消に数年間を要する可能性があります。当社は未認識税務ベネフィットに係る見積りが妥当であると考えていますが、最終的な税務調査、行政手続および訴訟の結果などは、それらの見積りと異なることがありえます。

今後12ヵ月以内に、時効の到来や税務当局との問題の解決により、これらの未認識税務ベネフィットに係る見積りは、当社の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。また、行政手続や訴訟手続を行うこともあるため、未認識税務ベネフィットの変動額の範囲および時期を見積ることは困難です。したがって、当社は、これらの理由により今後12ヵ月以内に未認識税務ベネフィットについて重要な増加または減少が生じることを合理的に見積ることはできません。

  

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2008年7月 1日 (火)

東証の金ETFは、アメリカの信託受益証券だ!

本日の日経の経済面には「東証、金ETF上場 商品投資個人と接点」という記事が載っています。

ETFというのは、上場している投資信託であり、株価指数に連動したようなものがメインだと思います。

実は、金ETFとしては、すでに大証でも「金価格連動型上場投資信託」が上場しています。これは、現物の金ではなく、金の値動きに連動するような債券に投資するようなものです。

でも、東証の方は、信託財産として金の現物を所有し、アメリカの銀行に預けているようです。

いずれにしても、金の値動きに基本的には連動するような商品なのですが、金の現物か債券かの違いで、これらの信託財産をいれている箱が投資信託か否かの差異がでてきます。

投資信託法施行令3条で投資信託の対象となる財産は決められていて、株や債券や不動産はOKですが、金はだめのようです。

そうすると今の法律では投資信託として金ETFを作れない。だけど、現物の金をベースにETFを作ってお金をかき集めたい。

東証の公表した資料によると、「当取引所は、本年3月に先般改正された信託法に基づいて、商品を直接信託財産に組み入れ、その受益権に基づいて発行された証券を「商品現物型ETF」として上場する制度を整備しました。」とあるから、これは、新信託法に基づく、受益証券発行信託を上場しているようなものかなあと思って、昨日提出された有価証券報告書を読んだら「本信託の管理は信託に関するニューヨークのコモンローおよび制定法に準拠します。」ということで、外国信託受益証券のようです。

また、この外国信託受益権は、すでにアメリカ(NYSEアーカ)やメキシコ、シンガポールでも上場しているようですね。

この外国信託受益証券というのは、日本の税法であてはめると外国法人課税信託みたいなものになるのではないかな。特定受益証券発行信託(税法上の特典のある受益証券発行信託のこと)というのは、あくまでも日本の法律で作った信託がベースのはずだし。日本国内で全く運用しなかったら、外国投資信託とそんなにかわらないですからねえ。(一応 Edinetでは、外国信託受益証券・信託受益権のカテゴリーであり、外国投資信託証券ではありませんでした。)

課税上の取扱いなのですが、有価証券報告書を読みながらですが、特徴的なこととしては、個人の場合は配当控除が使えず、法人の場合は受取配当の益金不算入が使えない。外国株のようなものですからね。

で、ここからマニアックなお話で、アメリカでの税金はどうなっているか、 どうも所得税はかからない可能性が高いようですが、この受益権を相続でもらった場合は、アメリカで税金がかかる可能性がある。贈与の場合ないようですが。

一応、有価証券報告書の米国遺産税の方をこぴぺしておきます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

米国遺産税および贈与税

 米国連邦税法では、米国の市民または(遺産税および贈与税目的で決定される)居住者のいずれにも該当しない者に関して、米国が「帰属地」となる財産全てに遺産税が課せられます。そのような課税目的上、本受益権の帰属地が米国であるとみなされる可能性があります。そうなった場合、本受益権は日本の個人所有者の米国総財産に含まれることになります。2008年度に関しては、課税対象財産の適正市場価額の上限45%の税率で米国遺産税が課せられます。米国遺産税の税率は、将来的に変更されることがあります。それに加えて、一定の状況では、米国連邦「世代間移転税」が課せられる可能性もあります。

 米国の非市民および非居住者については、一般的に、有形の個人財産または米国を帰属地とする不動産のみに米国連邦贈与税が適用されます。有形の個人財産(金を含みます。)は、それが実際に米国にある場合には、米国が帰属地となります。本件は未決着ですが、本受益権の所有は、課税上本受益権の裏付けとなる金の所有とはみなされず、金を米国のカストディに預託している場合も同様です。その代わり、本受益権は無形財産とみなされ、保有者の生存期間中に譲渡された場合には、米国贈与税の対象にならないものとします。

 日本人の本受益権の個人保有者には、日本と米国間の遺産および贈与税条約に関する潜在的な適用を含めて、それぞれの特定状況における米国遺産税、贈与税、および世代間移転税の適用について、自身の税務アドバイザーに相談されることをお勧めします。

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