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2008年7月 2日 (水)

本田のFin48による開示

本田さんは、4月25日にFin48に基づいて2008331日時点の税金の見積り額を、関連負債および税金費用として2008年3月期の連結財務諸表に反映させたというプレスリリースを行われました。

米国の会計基準が変更になり、既に確定している税金だけを税金として計上するのではなく、将来的に追加して税金が課せられる可能性が高い部分についても見積もって財務諸表に計上しなさいというようになったようです。あくまでも米国の会計のお話であり、日本のお話ではありません。本田さんのようにアメリカで上場している会社は、アメリカ基準で財務諸表を作らないといけないから、このようなプレスリリースをされたのです。

通常、日本においては、移転価格のような多額の更正は、株主総会が終わったあとあたりに打ち上げ花火のように行われるのですが、どうも、本田さんには、6月に更正がなされていなかったようです。

ということで、本田の20083月期の有価証券報告書を読んでみました。損益計算書や貸借対照表を読んでも、いまいちピンとこないので、注記の方を下記にコピペしておきます。

①税率差異分析

これは、連結ベースの税引前利益に日本の法人税等の実効税率(本田は40%としている)を乗じて計算した金額と、会社が税金費用(税効果会計考慮後)として計上した金額の差異を%を使って分析したものです。

2008.3.31期

法定税率                       40.0 

連結子会社の該当連結会計年度で発生した

欠損金に係る評価性引当金繰入              0.5

海外連結子会社の法定税率との差異           4.9

繰越欠損金の現象による評価性引当金戻入        0.9

試験研究費等税額控除                 △3.2

未認識税務ベネフィットにかかる調整           9.0

その他                         2.7

実効税率                       43.2

ちなみに、2007.3.31の実効税率は、35.2

② Fin48系の注記

当社および連結子会社は、2007年4月1日に米国財務会計基準審議会による解釈指針第48号「法人所得税の申告が確定していない状況における会計処理」を適用しました。2007年4月1日における未認識税務ベネフィットの合計額は36,330百万円です。2008年3月31日における未認識税務ベネフィットの合計額は99,527百万円であり、このうち85,403百万円については、連結損益計算書で認識された場合、実効税率を減少させます。なお、当連結会計年度の連結損益計算書において、当社は、未認識税務ベネフィットに係る利息および罰金を3,011百万円計上しました。また、2008年3月31日において、5,960百万円の未払利息および罰金を計上しました。未認識税務ベネフィットの増減は以下のとおりです。

(M円)                            

期首残高                  36,330

当連結会計年度に係る税務上の

ポジションに基づく追加計上額        9,213

過年度の税務上のポジションに

基づく追加計上額              74,674

過年度の税務上のポジションに基づく減少額 14,769

税務当局との問題の解決による減少額      △51

時効の到来による減少額           △555

為替変動による影響額           △5,315

期末残高                  99,527

当社は今後12ヵ月以内に未認識税務ベネフィットについて重要な増加または減少が生じることを予想していないため、未認識税務ベネフィットはその他の負債に計上しています。

当社は、2002年3月期から2007年3月期までの期間について、東京国税局による移転価格税制に関する調査を受けています。当該調査の予想される更正額を含む見積額は未認識税務ベネフィットとして、連結財務諸表上において計上されております。

また、2008年3月31日において、当社および連結子会社は、2001年3月期から当連結会計年度までの期間について、主に日本(2002年3月期から当連結会計年度)・米国(2001年3月期から当連結会計年度)・カナダ・英国・ドイツ・フランス・ベルギー・タイ・インド・ブラジル・オーストラリアなどの税務当局から税務調査を受ける可能性があります。

税務調査は複雑な問題を含んでおり、問題の解消に数年間を要する可能性があります。当社は未認識税務ベネフィットに係る見積りが妥当であると考えていますが、最終的な税務調査、行政手続および訴訟の結果などは、それらの見積りと異なることがありえます。

今後12ヵ月以内に、時効の到来や税務当局との問題の解決により、これらの未認識税務ベネフィットに係る見積りは、当社の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。また、行政手続や訴訟手続を行うこともあるため、未認識税務ベネフィットの変動額の範囲および時期を見積ることは困難です。したがって、当社は、これらの理由により今後12ヵ月以内に未認識税務ベネフィットについて重要な増加または減少が生じることを合理的に見積ることはできません。

  

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コメント

b8871さん コメントありがとうございます。
相互協議や異議申し立てをするということは、50%超の確率で勝てると思うから行うものだということですね。 more likely than notをどうとらえるかということなのでしょうけど。

税金に関する会計については、今の日本がノーマルだと思います。更正通知のあった時点で、その金額を費用計上ですから、恣意性のはいりようがない。

ただ、気になるのが、今は、アメリカの会計の方法ですが、この考え方が、国際会計基準に波及するのではないかと。

日本は、コンバージェンスという方向性からアドプションという方向性に舵がきられるかもしれません。

そうなると日本中の上場会社、いや世界中の上場会社がエライ目にあうことになるかもしれません。

投稿: 信託大好きおばちゃん | 2008年7月10日 (木) 08時04分

コメントバック有難うございます。
更正通知を受け取りもしなかったFIN48債務を立てるって、どういうなのでしょうね。
FIN48における蓋然性の見積もりには、統計でも使用できない限り、恣意性が入りますので、任意の引当金的に使われやすいのが難点と考えられます。
特に、導入初年度の2007年度は、期初で見ておけば、後日PLを通して振り戻しが出来るかもしれないというインセンティブが働きますので、なるべく保守的に見ておけば、あとで差額がPLで実現するかも、という思惑さえ働くかもしれません。
例えば、企業は争訟に行って勝てると思わなければ、普通は異議申立てや相互協議の申立ては行わないと思いますが、異議申立てや相互協議申立てを行って、且つその訴訟で負ける、或いは相互協議がワークしない可能性のほうが高いと見込んでいなければ、本来はFIN48の債務はたたないことになるのですけどね。
小生が云いたかったこと分かっていただけましたか?

投稿: b8871 | 2008年7月 9日 (水) 16時59分

b8871さんこんにちわ

Fin48は、、財務諸表を信じた投資家から、こんな巨額は負債(税金)があるのに計上していなかったといって訴えられるリスクを避けるために作られたような規定だと思います。

といっても、いくら評価しても絵に描いた餅にはかわらないですからねえ。

ご指摘のように税前までは、ちまちまと細かい税務処理まで気をつかって評価して、財務諸表にのっかている税金費用と実際の納税額の差を僅少にしていますが、なんだか馬鹿馬鹿しくなってきますねえ。

2007年の期首の処理ですが、税効果の処理と同様なのでしょうね。

投稿: 信託大好きおばちゃん | 2008年7月 3日 (木) 08時06分

はじめまして。
訴訟社会の米国と違って、日本のように税務争訟の件数が少なく、且つ当局の勝訴確率が統計的に高い国では、FIN48は馴染みませんよね。特に移転価格は相互協議という、もっと予測が難しい要素がありますので、FIN48は本当に精度の面で大きな問題があります。税前利益までは細かい積み上げを行ったうえで、税額はFIN48で極めて大胆な計算で割り切るというのなら、税前までの精度はいったい何なんだろう、という気がします。
また、2007年に限っていえば、期初の残高はPLを通さず資本見合いに立てているでしょうに、これを将来振り戻すときにはPLを通して振り戻すのでしょうから、これってフェアなんでしょうかね...

投稿: b8871 | 2008年7月 2日 (水) 17時40分

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