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2008年7月16日 (水)

デリバティブの評価損益の認識と、金融庁のPEに関する参考事例

今朝は、非常に税法オタクなお話です。

 先日、金融庁のPEに係る参考事例 Q&Aという記事を書きましたが、今日は、そのマニアックな内容に関する疑問を

 金融庁のPEに関する参考事例というのは、日本にPE(恒久的施設、お金儲けをするための一定の場所)のない外人投資家が、たとえば、日本の会社の株を、日本の投資顧問会社と一任契約(おまかせ契約)を結んで売り買いして、配当やキャピタルゲインが生じても、これらの所得について、投資顧問会社が外人投資家のPEとみなして日本で法人税を課税することは、原則としては、ないですよ。せいぜい、配当を支払うときに、源泉税を20% 限度でいただくだけで、基本的には日本で課税しませんよというものです。

 株の場合は、わかりやすいのです。問題は、デリバティブなんです。金融庁のペーパーを読んでいると、投資顧問会社は、日本の会社の株だけでなく、デリバティブの運用もしていいのですよ。

 デリバティブというのは、大きく分けて、3つのカテゴリー、すなわち、先物、先渡取引、スワップ取引、オプション取引というものに分類されます。それぞれ、似て非なるもの。とくに、先物グループ、スワップグループと オプショングループは、税法的には少し形が違うような気もするのです。

 デリバティブの課税のしくみの基本形は、契約を結んだときから、デリバティブを結んだ当事者が法人である場合は、毎期、期末にデリバティブを時価評価して、評価損益を計上しないといけないシステムなのです。

 次に日本の税法において、日本の国内において生ずる所得と認められるものとして次があります。

「国内において行う事業から生じ、又は国内にある資産の運用、保有若しくは譲渡により生ずる所得(次号から第11号までに該当するものを除く。)その他その源泉が国内にある所得として政令で定めるもの」(法法138①一)

そして、日本にPEのない外国法人に対して、日本のお上が日本で税金払えといえる範囲は次と定められています。

「第138条第1号に掲げる国内源泉所得のうち、国内にある資産の運用若しくは保有又は国内にある不動産の譲渡により生ずるものその他政令で定めるもの」(法法141①四イ)

つまり、日本にPEのない外国法人でも、日本にある資産の運用もしくは保有により生じた所得については税金を払わないといけない。 だから、株式投資をしたときは、配当については源泉税がとられるのですが、キャピタルゲインについては資産の譲渡による所得だから、国内源泉所得だけど、買占めでもしない限り、日本では税金がかからないのです。

株式投資なら簡単だけど、デリバティブというのは難しい。そもそもデリバティブのポジション(契約上の地位)というのは、資産なのか否か、この辺に関しては、以前ご照会した 税務大学校研究部教育官の中村隆一氏の論文「国内源泉所得の研究 -国内源泉所得の1号所得における「資産」概念」によると、ポジションも資産だぁなんておっしゃってる。

また、中村さんの論文で紹介された宮武敏夫弁護士の「デリバティブ取引の所得源泉法則」(税務弘報Vol47 No6)によると、ポジションを資産とは考えないが、少なくとも、オプションを買った場合、これは権利だから税法上は資産だとおっしゃってます。

中村説は強烈なので、宮武説に沿って考えると日本のオプションの保有から生ずる所得、つまりデリバティブの評価益については、たとえ、日本にPEのない外国法人といえども日本で税金を払わないといけないと考えられるのです。独立代理人がいようがいまいが、そんなの関係ない。

では、どのような契約を結んだらオプションは、日本の資産となるのでしょうか。オプションを売ってるのが日本の会社だったら日本の財産なのでしょうか。

この辺の議論というのがあまりなされていないような気がするのです。だから、今回の改正は、株に関してはわりとクリアにされたのですが、デリバティブの所得に関してはクリアにされていない。信託大好きおばちゃんの勉強不足だけなら、ハッピーなのですが♪

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コメント

思い付きですが、もし、金利スワップ評価益について実際の資産は存在しないとして4号PEが申告しなくていいと解釈すると、4号PEへのスワップの支払いは所得の161条のどれにもあたらず、日本で源泉税かけられないから、実質的に4号PEへの支払いが多くなるようなスワップ仕組めばノーコストで海外に簡単にお金持ち出せちゃう。そう考えると何となく金利スワップを時価評価して、4号PEの受けのが、支払より多い場合には将来キャッシュフロー割り引くと金利スワップ評価益認識されるはずだから、これについて4号PEであってもせめて、第一号の所得と取り扱って法人税の申告ぐらいさせるのが妥当なように思われました。

投稿: とおりすがり | 2008年7月16日 (水) 23時19分

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