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2008年7月23日 (水)

クーポン・スワップのリスク

クーポン・スワップという金融商品があります。異なる通貨を交換しようというデリバティブですが、特徴なのは、元本は交換せずに、金利部分のみを交換するようなものです。

先物の値段というのは、現物の値段より高くなるはずです。今、現物を借金して買い将来売って損しないようにするためには、今の現物の値段+利息となるからです。でも、為替の場合はそうならない場合が多い。なぜなら、円の金利よりも、ドルの金利の方が高いから。今、円でお金を借りて、ドルを買って、そのドルをドル預金で運用すると、受取利息>支払利息となるから、差額分だけ先物の値段が安くてもいいわけです。こんな金利差を利用して、クーポンスワップというのは組成されます。このクーポンスワップによると、外貨の交換レートというのが当初はとってもおいしいレートで固定され、為替変動によるリスクが避けられるといいうものです。

ただ、このクーポン・スワップにもリスクがあります。クーポンスワップで固定されたことにより、何もしなかったら得たかもしれない為替差益を享受することができないというのがあります。

そして、もうひとつの潜在的だけど大きなリスクとして税務上のリスクというのがあります。簡単にいうとクーポンスワップは税務上、ヘッジ処理が、原則的には、難しいので、毎期、クーポンスワップを時価で評価して、評価損益を計上しないといけないのです。評価益がでたら、その分税金を払わないいけない。しかし、評価益というのはキャッシュを伴わない利益だから、儲けに対する税金が払えないというリスクが生ずるわけです。この辺の知識があまり浸透していないのではないかなあ。一般的には。

ここからオタク系――――――――――――――――――――――――――――――

会計上は、数年前に長期為替予約みたいなものは、原則的には時価で計上してねというお達しがありました。

税務上のお話ですが、一般の事業会社がクーポンスワップを組むのは、輸入企業が、外貨建買掛金の支払にあてるような場合が多いのではないかなあ。

外貨建債権債務についての換算方法は発生時のレートか、期末レートを選ぶことが出来ますが、買掛金については、原則は、期末時レートとなります。会計上も期末時レート。

外貨建債権債務については、期末時レートで計上しないといけないのですが、例外的に、為替予約をした場合や、直先フラット型の通貨スワップの場合は、振り当て処理といって、固定させたレートで計上してもいいですよとなってます。そして、予約時レートと直物レートの差は期間配分してねと。

でも、クーポンスワップは、為替予約でもないし、直先フラット型の通貨スワップにも該当しない。なぜなら、元本は交換せず、利息だけ交換しているものだから。

じゃ、振り当て処理はだめでも繰延ヘッジ処理はOKかなとなるのですが、これもだめ。だって、ヘッジ処理というのは、ヘッジ対象を時価評価しないから、ヘッジ手段のデリバティブの時価評価しないでいいですよねというものです。ヘッジ対象の買掛金は、通常、税務的には期末レートで評価替えするということは時価評価することになるのです。なのに、その手段であるデリバティブだけ評価損益を繰延るのはおかしいでしょという理屈です。この辺の意味合いは条文(法法61の6①一、二)の中でもしっかり書かれていますね。

で、留めを刺すというのもなんですが、平19. 1.29 東裁(法)平18-162の裁決がありますので、ご興味のある方は、国税不服審判所のページで裁決を検索してください。争点は、「特殊な損益の計算/5外貨建債権債務の評価損益」です。

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