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2008年7月17日 (木)

日本に利益を還流させる2つの方法

 今朝の日経のトップは「製造業の税負担率 最低 国内より低い税率 海外に利益、還流せず」です。

 昔の日本の企業は、企業の成績は経常利益の大小で見る傾向にありました。税金なんて、天から降ってくるものなので、自分たちでどうすることもできないところもあるから。

でも、今は、全世界的な動向として、企業経営者の成績は連結ベースの税引後利益で判断されるようです。最終的にどれだけの利益を残せたかが大事であり、そうなると、利益の半分近くもっていく税金をいかに減らすかも経営者の腕であるということになります。

そこで、多くのメーカーはコストが低く、また、稼いだ利益に対する税率が低い国に進出しました。そして、現地で稼いでも、日本に配当という形で戻すと、配当に40% の税金がかかってしまうのは、あほらしいから稼いだ利益はその国で再投資にまわしました。

かくして、日本の企業はさまざまな苦境を乗り越え復活しましたが、利益は海外に残ったまんまで日本に還流されず、それが将来的な日本の繁栄に暗い影を落とすのではないかという懸念が広がってきました。

そこで、どうも2つの方法でこの問題を解決しようと考えているようです。

1つは、海外の子会社などから日本の親会社に対して配当を支払った場合、その配当に対する税金を免除しましょうというものです。日本の子会社が日本の親会社に対して配当を支払った場合は、親会社サイドでこの受取配当を益金(税務上の収入)にしませんという規定があるから、これを海外の子会社にもあてはめましょうということだと思います。今でも、外国の子会社が配当を払った場合は、その子会社が外国で払った法人税のうち配当対応部分を親会社の法人税から控除できるという仕組みはあるのですが、これが複雑系なのだ。

でも、この制度を作る場合、いろんな問題点があります。たとえば、海外に進出する形態は子会社だけではない。金融機関などは免許の関係があるから支店で進出している。子会社の配当を非課税にするのだったら、海外支店の利益も非課税にしないと、同じ海外の利益なのに税負担に差が生じてしまう。税金の世界では、実質的に同じ経済取引に対して、税負担が異なる場合、かならず裁定取引が行われますからね。

 2つ目は、日本の法人税率を下げること。一面に「都市と地方 豊かさ再評価 アイルランドの奇跡」という記事が載っていて、アイルランドが法人税率を日本の3分の1程度に抑えた結果、欧州最貧国からGDPが世界第4位の金持ち国に変身したらしい。

だから、日本も税率を下げたらいいということでしょう。

でもね、税金というのは、会計上の利益に税率をポン乗じて計算するのではありません。

会計上の利益を税務上の利益に調整するわけです。たとえ、会計上費用として計上して

も、税務上、費用として計上できなければ、その分だけ税務上の利益は増えます。たとえ、税率を下げても、税務上の費用を減らした結果、法定税率は減少しても、企業の税負担率は変わらないということも当然あるわけでして、そうなると、頭のいい企業の人たちは、やっぱり日本に利益を還流させないでしょう。

なんてことを、新聞をさらっと読んで、ふっと考えてみた信託大好きおばちゃんでした♪

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