« 金融立国 観光立国 | トップページ | 公共工事代金債権信託 »

2008年8月 1日 (金)

武田薬品のM&A、移転価格がらみの組織再編

 今朝の日経の投資・財務面を読むと「武田、買収費用一括計上」というのがあります。

米バイオベンチャー買収や米合弁会社の子会社化にしたがって一括計上しなければならない「インプロセスR&D」が発生したためとあります。

第一四半期の業績の概要を読むと

TAP社の分割・子会社化 (米合弁会社の子会社化の方)

インプロセスR&D 565億円

ミレニアム社の買収(米バイオベンチャー買収の方)

インプロセスR&D 1,098億円

 買収価額>被買収会社の純資産の場合の差額は、通常はのれんとして決められた償却期間で償却をしないといけないのですが、このうちの研究開発で生じた部分については、一括計上しないといけないから、上記のような計上がなされたのだと思います。

 記事によると税務上は損金にならないと書いていますが、この場合はアメリカの税法と日本の税法上どうかということを考える必要があります。日本の税法においては、直接、武田さんが株式を取得したのならば、その株式の評価損をすぐ計上することは×ということです。武田さん自体がこれらの事業を譲り受けたことはないようですしね。

 さて、今日の記事の内容を検証するために武田さんのプレスリリースを調べたところ武田薬品の米国子会社郡の組織再編に関するプレスリリースと、移転価格の相互協議に関するプレスリリースを発見しました。

 この組織再編というのは、どうやら移転価格の問題を解決するための手段として行われたようです。

 武田さんは、2006年に日本のお上から、武田さんが間接的に50%出資しているTAP社との消化性潰瘍治療剤「プレバシド」の製品供給について、移転価格の更正処分を受け、571億円納められたようです。

 これをどう処理するのか、興味をもっていたのですが、 どうも 武田さんはTAP社を会社分割により間接的に100%子会社とし、武田さんが100% 間接的に保有しているTPNA社と合併。 そして、武田さんが100%間接保有しているTPNA社が「プレバシド」事業をやるようです。

この組織再編については、おそらくアメリカでも日本でも組織再編税制による課税がお子ならないようなスキームなのではないかなと思います。

 そして、今後の「プレバシド」の製品の価格等について、近日中に、日米課税当局に対して事前確認(その価格で取引をすることについて、あとで移転価格により課税することはないよねとお上に確認すること)を申請するようなので、平成2078日に、以前の571億円の更正について、国税庁に対し、米国との相互協議(日本で税金を払った分、アメリカで既に払った税金を還付してねということ)申立書を提出されたようです。

 まあ、50%合弁会社だから、自分たちが価格をコントロールできない。だから移転価格による課税は不当だといっても 移転価格の対象となるのは50%以上保有しているような海外関連会社を含むと法律で決めている限り、原則的は、法律に従って処理せざるを得ないですからねえ。 

それにしても、えらい、手の込んだスキームを採用したのですねえ。

*8月1日13時ころ若干修正をいれています。

  TAP社の会社分割のプレスリリースは、 

http://www.takeda.co.jp/press/article_26285.html

|

« 金融立国 観光立国 | トップページ | 公共工事代金債権信託 »

コメント

信託大好きおばちゃん様、おはようございます。

 今朝の朝刊1面トップに新銀行東京が新商品として、東京都発注工事の受注会社を対象に「公共工事代金債権信託担保融資」と言うサービスを本日(8/1)より開始するとありました。
 従来の公共工事信託では対象とならなかった「工事の未完成部分」にも融資対象を広げることで、迅速な資金供給を可能にするのがミソとの事です。(建通新聞 東京版 2008年8月1日)

 私興味があったので、新銀行東京のホームページを覗いてみました。
http://www.sgt.jp/
 ニュースリリース添付のスキーム図によると、
1.委託者(公共工事の元請業者)が東京都に対して保有する公共工事代金債権(都発注工事)を新銀行東京・信託部門に信託する。
2.新銀行東京は受託した債権に基づき信託受益権を発行する。(委託者が受益権取得)
3.委託者は、取得した受益権を担保として、新銀行東京・銀行部門に差し入れる。
4.担保の差し入れを受けた新銀行東京・銀行部門は、担保に一定の掛け目を設定し、融資を実行する。

と、言うような仕組みだそうです。

御参考までに。
 

投稿: オフィス許認可@台東 | 2008年8月 1日 (金) 10時22分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 金融立国 観光立国 | トップページ | 公共工事代金債権信託 »