おおすぎせんせいの「会社法の誕生と波紋」
おおすぎブログでおなじみの大杉謙一教授が、ご自身のブログで日本評論社の法律時報10月号の特集「会社法のいま」の宣伝をなさっていらっしゃったので、はじめて、法律時報なる雑誌を購入しました。
おおすぎせんせいはこの特集の中で、「会社法と誕生と波紋」というテーマでお書きになっていらっしゃいます。
時系列に会社法制定までの流れというか、いろんな利害関係者の方とのバトルがあったんだろうなということが淡々とした記述の中から読み取れますねえ。
日本の会社法はアメリカの会社法の流れを受け継がれているもので、事前規制よりも事後救済を重視しているけど、アメリカの会社法のように包括的な救済規定がなく、個別的で、弱いものが救済されない可能性があるからこれをどうすればいいのかということなども触れていらっしゃいます。
また、結びに代えてで誰のための会社法かということで、ブルドックソースの敵対的買収を例をあげられて、海外投資家がこの事件の後、日本に嫌気を指し、日本株売りに転じたことに見過ごせない真相が含まれているとお書きです。
日本人は、同じ髪の色をした同じ言語をしゃべる人たちの間だけの利害調整を考え、丸く収まれば一件落着と思っているけど、そんな江戸時代的感覚では、これからはだめでしょう。利害関係者の中には、外国人投資家も当然含まれるわけであり、そんな彼らの利害も考えて対応しないといけない。そのために外国の法律の翻訳輸入だけでなく、自国の法律の翻訳輸出も必要ではないかと。
ちなみに、おおすぎさんも委員として参加されている企業価値研究会の平成20年6月30日に「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策のあり方」においては、ブルドックソース問題の批判等を踏まえて、買収者にお金を払っちゃいけない! 株主総会の決議さえ通ればいいってもんじゃないよ!というような意見を公表していらっしゃいます。
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コメント
うっ、出遅れました(というか、自分のブログで紹介するより先に、ご購入&ご紹介頂き、ありがとうございました)。
論文そのものは感情がこもりすぎて(自分が読んでも)論旨不明確なところがありますが、もしも信託大好きおばちゃんの印象に残る点がいくつかあったということであれば、拙稿を書いてよかったと思います。
投稿: おおすぎ | 2008年10月 6日 (月) 16時28分