日本版ESOPの報告書
遅ればせながら、平成20年11月17日に新たな自社株式保有スキーム検討会が「新たな自社株式保有スキームに関する報告書」を公表されました。
これ、日本版ESOP 従業員持株会の進化版?みたいなものです。
中間法人や信託を利用して、自社株をプールさせて、その自社株を、持株会に売却したり、一定期間経過したら、一定の従業員にプレゼント♪するようなものです。
このスキームについて、会計、会社法、労働法、税務の4つの観点から検討が重ねられています。
さーっと読んだ信託大好きおばちゃんの思いつきの感想
会社法の視点からは、たとえば中間法人が株を持った場合、子会社が親会社の株をもっちゃだめの規定に反しないかという問題点や、自己株式とみられないかという問題点が検討されています。
自己株式とみられちゃうと、議決権は行使できないは、配当ははゲットできないはとなり、このスキームを作った意味がなくなるのですよね。で、自己株式にはみられませんよというような理屈付けが細やかになされています。
他方、税務上、信託を使った場合は、 委託者である企業が、その信託の受益者であるとみなされるように契約を作っていこうとしてますね。 旧信託法時代に広島ガスでESOPを設計したときは、たしか、委託者に変更権を与えないとしていたけど、今回は委託者に変更権与えてますしね。
なぜそうするかというと、委託者が受益者でないとすると、おそらくこの信託は法人課税信託となって、課税関係がややこしくなる可能性があるからでしょ。
労働法はちょっとおいといて、問題が会計なんですね。 アメリカではESOPは個別財務諸表にいれるみたいだし、国際会計基準では、たぶん、通常は連結財務諸表にいれましょうねという方向性。
じゃ、日本はということで、中間法人、信託にわけ、現行のルールをあてはめていろいろ論じていらっしゃるのですが、結局のところ、どうすればいいの、何を尺度に判断すればいいのということが霧の中です。まあ、この報告書は論点を洗い出されたところに価値があるようなものだから、これはこれで素晴らしいのでしょうけど。
| 固定リンク
コメント