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2009年8月25日 (火)

非上場会社の株式の本質は、受益者連続型信託の問題

株式会社は誰のものと考えると、それは、株主のものです。社長はえらいといっても、株式会社で営むお金儲けの責任者のようなものですが、社長が誰かを選ぶのは、取締役会があるならば、取締役会であり、取締役会のメンバーを誰が選ぶのかというと、株主です。

株主は、どういう人たちかというと、会社にお金を出資している人たちです。この人たちは 事業がうまくいって、投資したお金が太ってくれることを望んでます。お金を貸したら、お約束で、相手が赤字だろうが利息はもらえます。でも株式を投資した人の場合は、赤字の場合はもらえません。 会社が解散した場合、残った財産を、お金を貸した人と、お金を出資した人で、わけわけしますが、優先順位は、まずお金を貸した人であり、出資した人は後回しです。 こんな感じで、株主は、お金を出資してもあんまり経済的メリットはないことが多い。でも、お金を貸した人と決定的に違うことがあるのです。それは、お金を出資した人は、通常は、会社の経営にいちゃもんをつける権利です。このいちゃもんの種類はいろいろありますが、一番大きなパワーは、取締役を選んだり、首にしたりする権利でしょうね。人間の集団の世界で一番のパワーは人事権ですから。

さて、非上場会社です。出資した人にとって、投資したお金をどのようにして回収するのかが重要です。上場会社なら、市場で売却することによりいつでも回収できます。しかし、非上場会社というのは、市場で売買できないことから、投下資本の回収が難しい。だから、お金儲けの手段として非上場会社に投資するのはちょっとねです。じゃなんで非上場会社の株式を持ってるの? それは、その会社を経営するために必要だからであり、経営はしたくないけど義理か義務で持たされているというのもありますね。

このような非上場会社の株式の評価はどう考えるのでしょうか。市場では取引されませんが、欲しい人もいれば、売りたい人もいる。専門書を読めば、いろんな手法が紹介されています。それでは、税法上、というより相続税の世界ではどう考えるか。これは、もっている人が、その会社にとって、オーナー一族のメンバーか否かで異なります。オーナー一族のメンバーの場合、通常は、その会社の株式は、純資産価値や、その会社と同種の上場会社の利益、配当、純資産をベースにした価値などで計算します。オーナー一族以外のメンバーは、配当利回りをベースにした価値で計算します。

なぜ、一物二価なの? というと、オーナー一族が株を持っているのは、株主権を行使して会社を支配できるため、つまり、経営支配の対価であり、これは会社の資産をもっているようなものと考えるから、オーナー一族以外は、経営をコントロールなんてできず、株を持っているメリットは配当をくれるからだと思います。

株式の価値というのは、上記にも書いているのですが、3つあり、配当をもらえる権利、残余財産をもらえる権利、経営を支配できる権利です。 非上場会社のオーナーが株式を持つのは、配当をもらうためでもなく、継続前提なら売却も考えられず、残余財産をもらうためでもなく、経営支配できる権利があるからです。経営支配できる権利というのは株主総会の議決権です。つまり、非上場会社のオーナー一族の評価額(純資産など)は、議決権の対価と考えられるのです。

さて、信託の方にうつりますが、株式を信託した場合、株式の名義は受託者となりますが、議決権指図権は信託契約で誰にするかを決めることができます。受益者連続型信託といって、次々の何らかの要因で受益者が移転するような信託で、受益権が元本受益権と収益受益権に分割されている場合は、信託期間中は収益受益権者が株式を全部持っているとして評価し、元本受益者の評価は0とするとされています。たとえ、元本受益者が議決権指図権を持っていてもです。これって、非上場会社の株式のように目にみえる経済的価値よりも目に見えない経営支配価値がすべてのようなものにフォーカスあてると異常ですよね。

本質的に資産の持つ価値を有している人が財産をもっているものとして課税するのが合理的だと思うので、少なくとも相続税法上純資産価値等で評価される人が議決権も有しているならば、その人が財産を持っているとした方がいいのではないかなぁ。

では、議決権の内容をわけわけして、複数の者が別々の議決権を持っている場合はどう考えるのか。その場合は、議決権をもっている人が均等に株式をもっているという考えもありますが、議決権の中の議決権が取締役の選解任権であるならば、その権利をもっている人が株式をもっているというように整理するというほうが本質をついているのではないかなあ。

また、議決権指図権を受益者以外の者が持っているというケースも必ずあると思うのです。このような異常な行為をするのは、節税目的が多いので、この場合は、議決権指図権を持っている人が受益権をもっていなくても株式は持っているものとして課税する。

ただ、このようにがちがちに設計していくと、誰も信託を使わなくなり、望ましいものではない。また、がちがちにしても、信託はやわらかい仕組みだから、すぐ穴を見つけられてしまう。

そこで、払いすぎた税金を還付する制度を取り入れ、もらう人にもらえる分だけ税金を払ってもらうあたりまえの形にもっていくというのがあるべき姿なのではないかと。そうすることにより、使い勝手が向上し、おかしなことを考える人が減るのではないかと思うのですけど。

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