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2009年9月 5日 (土)

アメリカ信託税制の諸問題 没になった2つの課税方式

今日はお天気な土曜日♪ ちょっと落ち着いて文章を書いてみました。

 信託239号(信託協会)で渕准教授が「アメリカ信託税制の諸問題」を寄稿されていらっしゃいます。

 アメリカは信託のメッカであり、課税方式も定着していると思うのですが、現行の課税方式を決める際にいくつか検討されていたようです。検討され、没になったものの中で、信託大好きおばちゃんがピッときたものを2つ紹介します。

 日本の信託の課税方式の基本は、信託財産そのものを受益者もっているものとし(実際は受託者)、発生した収益費用も、そのまま、受益者に帰属すると考えます。つまり、信託財産が土地で、賃料収入が発生したら、発生した時点(受益者に分配がされる時点ではない)で、受益者に賃料収入が発生したものとして、受益者に課税されます。こういう風な課税方法は、パススルー課税とかいわれます。

 私が注目した課税方式は、信託段階での所得計算は、原則的には(収益をすぐ受益者に分配するような場合)行わないが、パススルーじゃない。受益者が信託財産をもっているととらえるのではなく、信託に対する投資持分を有していると考え、信託した土地から賃料が生じてもそれは受益者に賃料が発生したものと考えず、投資利益が生じたものとして考えます。組合課税の純額法に近いかもしれませんが、でも違う。

この2つの方法ですが、事例を作って考えてみます。

(前提)

Aが土地を信託期間20年でXに信託します。収益受益者はBで、信託終了後に土地はC(元本受益者)が受取ります。B,Cは信託受益権の対価を支払っていません。ただでもらったんだったら贈与税払え(アメリカでは贈与した側が払うはずですが)となるのですが、その場合の各受益権の税務上の取得価額を計算したらBが200円 Cが150円となりました。論文から推察すると、この算定は保険数理とかも使うらしい。よーわからん。

(取得時)

取得時の仕訳は、2法とも同じです。つまり、

B  収益受益権 200 受贈益 200

C  元本受益権 150 受贈益 150

1法 これは、受託者段階では、原則的には、課税せず、ダイレクトに受益者に課税し、受益権の価額を増減させます。

1年後に 収益15円が発生した。

B  受益権 15   信託利益  1

ただし、当初の収益受益権(本件では200)は信託期間を通じて償却していきます。収益受益権の価額というのは、収益受益権者が収益の納税義務者となる場合には、営業権のようなものだから償却しないとね。仕訳は次のとおり。

B  償却費 10  受益権 10

もし、信託利益15が分配されたら、その時点のBの仕訳は次のとおり

B  現金 15   受益権 15

信託期間が終了し、Cが土地を受取った。この時点での土地の評価額は250だった。

この場合、Cの元本受益権の価額が150だから差額100の利益が生じているのですが、この100について課税するのか否か。論文では、信託段階での所得の元本への組み入れは元本からの分配については適当な調整がなされるとあるのですがよーわからん。

受益権が土地に転換しても実質的にかわらないし、担税力ないから課税しないとなるのかな。そうなると仕訳は次のとおり。

C  土地  150   受益権 150

論文では、信託段階での分配可能額の増加については、信託段階で課税されるとなっています。これは、たとえば、上記事例で、信託期間中に土地を売却するけど、売却代金のCへの分配は信託終了時で、売却時点から分配時点まで時間がかかるような場合は、Cに課税せずにX(受託者)に課税しましょうということと理解しています。

2法は、おそらく、賃料収入が発生し、お金が入ってきて、期間をおかずに収益受益者Bに分配した場合は、信託段階で課税せず、ダイレクトにBに課税するけど、利益を留保した場合は、信託段階でいったん課税して、分配した時点で還付しましょうというやつと思います。

信託して1年後に収益15が生じたが、この収益は10年くらい留保する。

X(受託者)  現金 15   賃料収入 15

この利益に対して税金を6支払った。

X       税金 6     現金   6

10年後 この収益をBに分配することになり、税金6を還付してもらった。

X       現金 6    還付税金  

        分配金15   現金    15

B       現金 15   信託利益   15

受益者はあくまでも現実に分配された時点で課税されるべきであるという思想がまず根っこにあって、だけども、そうすると信託に留保された利益に対する課税逃れがあるから、それについては、信託段階で課税するしくみにしましょうと整理しています。

合理的といえば合理的。もし、この手法を採用するならば、従来の信託税制をいったん壊して再構築するようなところもあります。誰でも理解できて、使えて、税金を払うことに納得できる形になればいいのですが、すでにジャングルのように存在している既存の税法や国際課税の諸問題、それに組合(任意組合やら匿名組合やら)の課税の整合性なんて考えると、どうなりますことやら♪

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