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2009年10月14日 (水)

事業承継における信託の利用

 「東京税理士界」という税理士のうち東京税理士会に所属している方たちに毎月送られる機関誌の10月1日号VolN0633で 大崎史雄税理士が「事業承継における信託の活用」をお書きになられていらっしゃいます。

 これは、今年の4月の日本税務会計学会月次研究会の発表を文書化されたものであり、この発表は私も拝聴させていただきました。

 ここで書かれているのは、事業承継において信託がどのように利用できるかということと活用へ向けての課題のようなものですが、ベースとなるのは、昨年公表された、中小企業庁の信託を活用した中小企業の事業承継円滑化に関する研究会の報告書です。

 今年の税制改正で自社株の贈与税・相続税の納税猶予が可能となりましたが、これに信託した自社株も含められるかどうかは、改正には盛り込まれませんでした。

 それは、信託とツールが非常に柔軟であることから、きちっとした枠組みをつくらないとおかしなことがおこるかもしれないと思っていたからでしょうね。

 大崎さんは自社株納税猶予の要件として、

 信託を活用した場合、納税猶予制度の要件をどのように判定するのかについては、株主名簿に加えて受託者側に証明義務を課すことになると考える。

 信託の計算書の納税猶予バージョンを作るということかな。

 議決権行使の問題

 信託の場合、議決権行使を誰がするか、自由に決めることができます。非上場会社を信託財産とする受益権を複数の受益者が有し、議決権が差別的に配分されても、会社法上109条2項により問題がないとされています。でも、この条文をもとに、なぜ、受益者ではない委託者が議決権を保持し続けるのがOKなのかということは、つながらないのではないかなと思います。持株解消信託のようなものがでてきているので、会社法上もOKと考えられているのでしょうけど、その根拠がいまいちわかりません。

信託受益権の評価

 これは、私自身の考えを述べさせていただきますが、将来受けるべき利益の額の合理性ってどうやってはじきだせばいいのかなという問題点があります。配当還元のように過去の実績で評価するというように収益受益権の評価は、財産評価通達において定められていませんよね。

それから、この利益の額は税前の数値か、税引き後の数値かという問題点もあります。というのも収益受益権と元本受益権に受益権が分割され場合、信託期間の所得の帰属が収益受益者なのか元本受益者なのかわからないから。収益受益者なら税前でしょうね。元本受益者なら、収益受益者が受けるのは課税済み所得だから税引き後で評価しないとおかしいのではないかと。

租税回避を払拭するための要件整備

これは、大崎さんのご意見を引用

法定相続人間の付与等一定数の受益権発行に留め、目的を超えた受益権の細分化、あるいは受益者が特定できない信託とならないよう設計する

なるほどね。

種類株式の脱法的な手段とならないように手続きの透明性等を図るといった手続きが必要

この手続きとは、具体的には何をイメージしていらっしゃるのだろう?

というようなことを思いながら読ませていただきました♪

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