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2009年10月 3日 (土)

中国の信託法

昨日、早稲田で「中国における信託法の適用における問題点」ということで、王涌中国政法大学教授のお話を伺っていました。

 そのお話のメモをベースにまとめてみると

 中国はここ最近不動産バブルの状況です。なぜ、そうなったかというと、中国政府が必要なお金を調達するために、不動産を売却する必要があったからのようです。ただ、売却したくとも買い手がいなかったらどうしようもないので、緩和した金融政策を選択し、その結果、金持ちが不動産を投機の対象として売買するにようになり、ますます、不動産の価格が暴騰しました。他方、貧乏な人たちは、お金がないから不動産を買うこともできず、格差の激しい社会となっています。

 これじゃ、いかん。ということで、何らかの措置を考えているのですが、いま、考えていることの一つが信託を利用した土地の売買等だそうです。これは、2つの方向があって、ひとつは、金持ちの役人等が、特別に知りえた情報に基づいて不動産を売買して、ぼろ儲けすることを避けるために信託を利用するというもの。もうひとつは、農民が集団所有している土地を流通させることが現状では難しいことから、農民が収入を得ることができず貧しいという問題があるので、この問題緒の解決のために信託を利用できないかということです。

信託法の理論的な問題としては、

       信託における2重所有権の問題をどう考えるか

       信託とは、物権か、債権か

王さんは、信託は、物権的なものだと考えていらっしゃるようです。日本では、債権説の方が有力ですが、あまり、物権か債権で大きな問題となることはありません。消滅時効の年数がどうなるかというような点では問題となるようですが。

実務上の問題として

       商事信託は発展したが民事信託は発展していない

       信託登記が行われていない。

       信託の概念が明確ではない。

日本も民事信託はあんまり発展していませんが、中国で発展していないのは、信託法がアバウトなところにあるようです。

信託登記が行われていないのは、信託は登記をしないといけないということは信託法?で決めていますが、どのように登記をするのかというルールがないからだそうです。

ちょっと、驚きですね。

信託の概念が明確ではないので、たとえば、証券会社等が資産管理を行うときに信託と同じようなことをしているけど、これは信託ではないととらえられているようです。そうすると、何が問題かというと、信託会社は信託業務しか行えず、資金調達は私募に限られているそうですが、証券会社等は、公募で資金調達もできるよで、よりいっぱいお金を調達してビジネスが展開できる。そうすると、信託は他の金融機関との競争に負けてしまうというようなことがあるようです。

現在の中国の信託法は、2001年に作られたようですが、2010年にまた改正するようです。より使い勝手をよくするということだと思いますが、上にも書きましたように農地の問題を信託を利用して解決したいという意思があるようです。農民をほんとうに怒らせると大変なことになるからなのでしょうね♪

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コメント

Yoshiさん:農民がその所有する土地を第三者に譲り渡し、その第三者が土地を運用する収益を得るようにすれば農業よりもっとお金が入って貧困からぬ抜け出せるだろう」
という意味でしょうか

まったく未確認の想像上のお話ですが、土地を売却すると、他人に利用権も移るので、農民は、農業を営めなくなります。他方、信託を設定し、受益権を売却することにより、一定のお金が農民にまず入ります。その後も信託された農地で農業が営めるようにし、委託者である農民が働けるようにできれば、彼らは今後も食べていけます。ただ、受益者に一定の利益は払ってあげないといけないと思いますが。

投稿: 信託大好きおばちゃん | 2009年10月 6日 (火) 08時13分

こんにちは。いつも拝見させていただいております。一つ質問なのですが、

「農民が集団所有している土地を流通させることが現状では難しいことから、農民が収入を得ることができず貧しいという問題があるので」

の部分、ここはつまり、農民はその所有する土地を使った農業からの収入が非常に低く貧しい。もし、農民がその所有する土地を第三者に譲り渡し、その第三者が土地を運用する収益を得るようにすれば農業よりもっとお金が入って貧困からぬ抜け出せるだろう」
という意味でしょうか?

よろしければ教えていただけないでしょうか。
よろしくお願いします。

投稿: Yoshi | 2009年10月 3日 (土) 08時31分

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