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2010年1月26日 (火)

Q&A 国際相続の税務

 国際税務の分野は以前から税務の世界では、高収益マーケットのひとつとして存在し、これからも日本企業のグローバル化に寄り添い発展することは間違いないと思われますが、国際税務という税法があるわけでは決してありません。いろんな国の税法とその間の租税条約をにらんで、取引の課税関係を判断するようなお仕事です。日本にいる日本の税理士が判断するのは基本的には日本の税法+租税条約。外国の税法を理解することも必要ですが、これは判断を得るための補完に過ぎないことが多いと思います。でも、この日本の税法っていう80%くらいは法人税や法人取引の間接税(消費税とかね)で15%くらいは所得税で、残り5%のうちのいくつかは相続税なんじゃないでしょうか。つまり、国際税務のプロと称する人たちのほとんどは、実際には国際税務のうちの法人税や所得税のプロであり、相続税のプロではない。

 でも、グローバルな経済取引の展開とともに人の移動もグローバル化する。人は必ず死ぬ。ある国籍を持った人が、その国で死ぬとは限らないし、その国にだけ財産を残すとも限りません。そうなると、国際的な相続税の課税関係がどうなっているのかというところなります。国際相続の問題点は各国の相続税がどうなっているのかということだけでなく、その国の相続法(民法)がどうなっているのかも考えないといけないという問題があります。日本にずっと住んでいる日本人にとって、日本の民法は空気みたいなものだから、相続のルールも空気みたいに感じますが、ほかの国では異なることが多いのです。そのへんもきちんと理解しないと相続・相続税問題と解決できないのです。

 Q&A国際相続の税務は、米国・台湾・韓国 そして日本の相続税周りの問題点をQ&A形式て書いています。信託大好きおばちゃんは、このうちの米国を読み、うなりました。おおよそ、日本で検討しなければならない問題点をついていらっしゃいますね。

 実は、以前、国際相続に関する案件にぶちあたったことがあります。それは、日本居住の米国人で、日本と米国に財産があって、それを日本居住の日本人や米国居住の米国人やらにあげたい、しかも、米国の信託のツールを使ってというようなものです。

 日本と異なり、米国では、信託を使った財産の承継はあたりまえの方法です。遺言で財産を承継するより合理的だから。でも、米国の信託を使う米国人の財産がすべて米国にあるとは限らないし、財産を受ける人が米国人とも限らないのです。日本の財産もあれば、日本人ということもある。じゃ、課税関係はどうなるの? と考えると、少なくとも日本サイドの税理士としては、米国の信託のしくみと、そのしくみを日本の税法で判断するとどうなるのか、日本での課税関係、日米の相続税等の租税条約による読み替え、そして、米国での課税関係、2重課税の調整の方法はどうなるのかまで、ほかにもあるかもしれないけど、この辺をすべて理解しないといけない。しかも、その辺のヒントになる参考書なんてなーんもない。日本の税法・租税条約と税法がイメージする日本の信託法の理解と、米国の信託に関するベーシックな理解に基づいて頭を絞りました。ずーーっと、解答の検討過程が間違っているんじゃないかと不安に思っていましたが、この著書を読んで ほっと胸をなでおろしました(笑)。

と、いうわけで お薦めの本です。信託大好きおばちゃんの将来の方向性としても、大昔に相続税法を税理士受験校で教えた経験がありますが、それ以降、相続やら資産税やらとちょっと異なる畑で生息していました。でも、信託にどっぷりつかったこともあり(信託の税法の最大の難所は 現時点では相続税法ですからねえ(笑))、残りの税理士人生は、相続税・資産税 その中でも国際相続の分野をひとつとエリアとして開拓していくとよいのではないか。

なんとなく、専門家が不足している、でも、マーケットは伸びる。英語はずーっとこつこつ勉強してきたし、米国の税法の基礎を教えた経験があるから少なくとも米国の税法や英文での専門書の読解は苦痛じゃない。もういい年なのですが、基礎力がある分野なので、いまからスタートしても決して遅くないんじゃないかなと。

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コメント

司法試験を合格することで得られる資格は残念ながら
とることができませんでしたが、法学部の学位は
何とか取れました。
民法の家族法の単位もとったし。
英語の勉強もそれなりにしました。
税法の講義も単位をとりました。
国際法の講義の単位もとりました。
残念ながら、信託の単位はとりませんでした。

「国際相続の税務」

専門家がいなくて、伸びる可能性あるのなら、
このスペックでも絡んでいいのかなと、ふと
思いました。
税理士の資格ないと、案件きませんか・・・。
やっぱり、「単位」より「資格」っすか・・。

投稿: 過去司法試験受験生 | 2010年1月26日 (火) 22時30分

興味深い分野です。昨年はまさにこの分野に振り回されかけました(USCPA受験の授業で聞いた話で間に合う訳もなく、国内の話だけでお茶を濁しましたorz)。早速リンクから注文しました。判らないことが出てきたらご教示頂きたく。

投稿: krp | 2010年1月26日 (火) 13時34分

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