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2010年2月25日 (木)

REITの話

今朝の日経で「国内初 未公開REIT 野村不HD 安定運用ニーズ狙う」という記事があります。REITは不動産のかたまりの法人で上場しているものがほとんどですが、記事のREITは、上場しないのが特徴だそうです。

 REITの特徴は、支払われた配当が損金となるところにあります、配当が損金となることからREIT段階で利益に法人税を払わなくていいので、その分、利益を投資家に回すことができます。ただし、この要件を満たすためには、国内公募で、事業年度末に50人以上の株主が投資口を持つか、機関投資家等だけが投資口を有しているもの等の要件が必要であります。この野村のREITは記事によると主に年金から資金を募りとなるから、機関投資家むけなのかもしれません。

さて、REITといえば、昨日の記事で、「REITの保有不動産減損リスク対応に苦慮」というものがあり、現状の税制は問題だというようなことが書かれていました。

これは、どういうものかというと、

記事の例を使いますが、REIT10億円の利益を稼いだけど、不動産の価値が下落したため4億円の減損損失を計上し税引前当期純利益が6億円になったので6億円の配当を払いました。

平成21年の税制改正前

平成21年の税制改正前は、配当6億円の支払いを損金(税務上の費用)とするためには、税務上の利益の90%を配当にまわさないといけませんよというルールでした。税務上の利益というのは6億円ではなく、10億円なのです。なぜならば、減損損失は会計上は費用ですが税務上は損金とならないからです。そうすると10億円の税務上の利益のうち6億円しか配当が支払えないので、配当が損金となる規定を満たさないため、10億円の税務上の利益に対して税金を4億円払わないといけなくなりました。そうすると配当は6億円払えません。なぜなら当期純利益は2億円(税引き前当期純利益6億円―法人税等4億円)だからです。これはおかしいということで税制改正が行われました。

平成21年の税制改正後

平成21年の税制改正で、配当が損金となる場合の基準となる利益は税務上の利益から会計上の利益をベースに計算しましょうとなりました。この場合、減損損失は90%控除で算定してみてね。そうなるとどうなるかというと、判定の基礎は6億円(配当)/64,000万円(10億円―4億円×90%)=93.75%>90% したがって配当の損金算入OK

 REITの税金を計算する際に配当を損金とすることは可能となる改正はありましたが、もうひとつの問題として、減損損失の取り扱いが残りました。こちらに関しては、平成21年の改正でも手当てがなされていないため、あいかわらず損金となりません。したがって

REITは、このケースの場合、減損損失の4億円相当部分については税務上の利益となるため、これに対応する税金を16,000万円くらい払わなければなりません。

ここで、昨日の日経の記事が登場したわけです。減損の損失が税務上の費用とならないために税金を払わないといけないのは不合理であり、この問題を解決するためには不動産を売却して損失を実現させるしか今のところ方法がない。これでは、買い手に足元見られて買い叩かれ、それは投資家の利益にそぐわないので、いずれ、投資家がREITから手を引くのでまずい。だから税制を改正して。海外では減損も損金となるらしいし。ということらしい。

では、この意見を酌んで税制改正が実現されるでしょうか。減損損失って見積もりの損失なんですね。税金の世界では、費用が損金となるのは、基本的には債務が確定しているものに限定しているのです。見積もりの費用は損金とならない。だって、これを認めると、なんぼでも節税というか租税回避できちゃうからね。なぜ、REITに認めるのか。投資家のニーズこたえるため? それだったら株式だって上場しているといっぱい投資家がいるじゃない。REITで減損損失の損金認めるのだったら、上場会社でも減損損失の損金を認めてよ。と必ず吼える人たちがいっぱいでてくるから、難しいような気もするけど、どうなるんでしょうかねえ。

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