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2010年11月10日 (水)

ファイナイト保険課税事件

月刊国際税務2010.11において、水野忠恒さんが「ファイナイト課税事件に関する判決の検討」という解説をお書きです。

 ファイナイト保険、 たとえば、何らかの大事故があったらビッグな保険金を払うよ。この大事故というのは、起きる確率は低いのだけど、いざ、事故発生したら、莫大な損害が生ずるので、保険料は、相当高い。ただし、めったにおこる事故じゃないので、一定期間に事故が起こらなかった場合には、お金を返しましょうというもの。

 保険会社は、自分のところで引き受けた保険のリスクで倒産しないように、再保険をかけて、リスクを、お金を払って他の会社に移すことがあるのです。

 ある保険会社が、このファイナイト保険を使って、リスクを他にふろうとしたのですが、その保険会社はちょっと知恵を絞った。つまり、日本にある保険会社がファイナイト契約を結ぶのではなく、アイルランドに子会社を作って、親会社と子会社が再保険契約をまず結ぶ。そして、そのアイルランドの子会社が、他の保険会社とファイナイト契約を結んだ。日本の保険会社からしたら、アイルランド子会社への再保険料の支払いだから、保険料は損金となる。そして、アイルランドの子会社がファイナイト保険料を払い、期間満了後の還付金をアイルランドで運用していた。

 このファイナイト保険って、もし、日本の親会社が直接支払っているならば、この還付されるかもしれない部分の保険料の支払いっていのは損金にならなくて、資産計上しないいけない部分。なのに、あえてアイルランドに会社を作って契約を結んだのは、悪質な租税回避で許せんとなって、裁判になった。

 1審は、納税者の勝ち! お上がぎゃーぎゃー目くじらを立てるほどの租税回避があるとは思えない。お上の言い分は、アイルランドの子会社での取引は、組合や信託と同様にパススルーで、日本の保険会社自体が行っているようなもの。でも契約は、租税回避以外にも経済的な合理性のあるごもっともなものだから、親子会社の契約とファイナイトの契約は別のものであり、その前提で課税処理を判断すべき。そうすると、お上の判断は間違っており、処分は違法である♪

このパターンで納税者が主張すると、お上のグループ会社のような国税不服審判所までは、お上が勝つけど、そこから先は、納税者が強い傾向にある。たぶん、どこまでいっても納税者が勝つような気がするけど、大逆転はあるのかな。

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