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2011年2月20日 (日)

武富士の贈与税裁判

 先週は、武富士の贈与税裁判の最高裁判決で、国税側が敗訴し、巨額(2,000億円弱)の還付がなされる話題がありました。

 この事件は、武富士の会長が相続対策で、武富士株を外国株に転換させて(会長等が保有の株をオランダの会社に移す)そのオランダの会社の株を息子(贈与時は、香港在住)に贈与させるというスキームでした。

 当時の税制においては、非居住者が贈与により受取った国外資産は、日本の贈与税の対象にならなかったからです。香港も贈与税ないですし。

 他にもやってた方はそれなりにいらっしゃったと思うのですが、武富士の場合は、あまりにも巨額だったから問題になったわけです。

 争点は、息子の住所は、香港かそれとも日本か。1年のうち3分の2ほど香港にいらっしゃったのですが、無理やりやっていますという感じだったみたいね。いかにも、贈与税はずしのためという意思が見え見え。

 でも、香港に1年の3分の2ほど滞在しているという事実は曲げられない。どのようなことを腹の中で思っていたかなんて住所の判定には関係ないし、そんなことで判断が覆されると法の支配がおかしくなる。当時の法にあてはめて判断すると、やはり長男は非居住者といわざるを得ない。日本は租税法定主義ですから、おかしなことをさせないようにするためには、おかしなことができないような法律を作らないとだめ。

 裁判官須藤正彦さんの補足意見として「結局、租税法律主義という憲法上の要請の下、法定意見の結論は、一般的な法感情の観点からは少なからず違和感も生じないではないけれども、やむを得ないところである。」

 税の世界で20年くらい生きている人間としては、最高裁の判決は全くごもっとも。いや、そうじゃないと困る。

 でも、金額が巨額すぎて、 だって、2,000億円って、平成23年の税制改正で相続税等の増税による増収額と同じ規模なんでしょ。金持ちから税金とれないから、普通の人から搾り取るといわれそう。

確定申告の時期だし、国会も危うい状況なのにね。

逆に長男さんの立場にたつと、2,000億円ももらって焼け太りといわれそうですけど、還付加算金の400億円部分は、雑所得として、50%は税金にもっていかれるし、裁判費用も必要経費にならないみたい。それに、1,600億円の贈与税の納税資金を借金で賄ったとしても利息が必要経費になるわけでもないから、ほとんどお金は残らないのではないのかなあ。にもかかわらず、過払い金請求の人たちにぎゃーぎゃー言われて、武富士もつぶれちゃったし、ちっともいいことがない。

度が過ぎる節税なんかで成功すると、反動で不幸がいっぱい押し寄せるのかもしれないね。

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