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2012年6月 5日 (火)

国際相続における住所(日本の相続税・贈与税のあり方についての論点整理)

 日本の相続税・贈与税のあり方についての論点整理 -主要各国の相続税・贈与税との比較を通じてという論稿が、東京税理士会61日号に載っています。

 日本税務会計学会 国際部門 国際相続グループのメンバーで一緒に勉強させていただいている関根美男さんがお書きになっていらっしゃいます。

 発表のときも、すごく骨格がしっかりした勉強をしているなと思いましたが、論稿もその一端を垣間見ることができます。

 この論稿の中で国際相続における住所というのを最後の方に書いていらっしゃいますが、これは、いまの相続税・贈与税の日本の納税義務者の区分で、外国籍で相続・贈与時に日本に住んでいなかったら、日本の財産についてだけ税金かけまっせという制度はいかがなものかということ。

 なぜ、こう書かれるかというと、以前にも少し書きましたが米国の信託を利用して、赤子を米国籍にして、贈与税逃れをしたという事件が裁判になったことが原因。

 関根さんは、イギリスのドミサイル(居住地基準とも国籍基準とも異なる納税義務者の課税対象範囲基準)の考え方を参考に 日本の居住者である親の扶養になっている未成年者は、無制限納税義務者にすべきだ!というお考え。

 赤子の住所について、仲谷栄一郎さん、田中良さん「海外の信託を利用した租税軽減策 ~名古屋地裁平成23324日判決~」国際税務20119では、「いかに民法上の権利能力がないとはいえ、胎児として母親と行動を共にしている側面があるため、出生前の父母の事情を考慮してもよいのではないかと思われるが、他方胎児は「生活」しているとはいえないであろうから、出生前の父母の事情を考慮することには異論もあると思われる。」というご意見。

この国籍問題については、宮脇義男さんが「相続税・贈与税の納税義務者制度に関する研究」(税大論叢69号)でも論じられていまして、こちらは、

「相続人・受遺者が財産の取得時に日本国籍を有していなくても、被相続人・贈与者側において、財産の移転時に国内に住所を有している場合や、財産の移転時には国内に住所を有していなくても過去5年以内のいずれかの時において国内に住所を有していたことがある場合には、無制限納税義務を課すといった見直しを行うことが考えられるほか、将来的には、国内居住要件を適用する過去の期間を延長すること検討すべきと考える。」

 いろいろみなさんご意見がありますが、でも、国籍変更の上の相続税・贈与税逃れは、裁判でめだっているけど、そんなに頻発するとは思えないような気もするし。あんまし、がちがち制度を設計すると、課税逃れを意図していない外国籍の人に多大な負担がかかるかもしれないから慎重に考えてほしいというのが私の思い。

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