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2014年12月30日 (火)

劣後債権の償却原価法処理は、法人税法上もOK

 雑談友達、お上の世界からシャバに戻って来られてた弁護士の佐藤修二さんがジュリスト20151月号の租税判例速報で「流動化取引につき納税者の行った会計処理が法人税法上正当なものであるとされた事例」をお書きです。

 

 証券化でよくあるのが、資産を信託化して、受益権を優先と劣後にわける。優先は、ばくちは困る、ちょぼっとでも確実に利益がでて、しっかり元本回収できる商品が欲しい投資家に売りさばき、劣後は、もとの資産を持っていた人が多いけど、何かあったら責任とるけど、うまくいったら、残り福をがっつりいただきますぜというやつ。

 

 最初の資産を信託化して分割して譲渡した場合の会計処理はどうなるの?

 金融商品会計の実務指針にあって、優先・劣後に帳簿価額を分けるときは、時価で按分しようね。 劣後債について、債権額と帳簿価額が違う場合のその差額は、償却原価法で、利息と元本に分割して、回収時は、利息部分は収入計上、元本部分は元本の回収だから収入計上しなという処理を認めてる。

 

 で、住宅ローンの劣後債権を持ってる会社が、申告でも同様の処理をしたら、お上が全部益金です! 元本部分なんてないです! となった。

 

 争点としては、金融商品実務指針に従って会計処理をした場合、これが224項でいう公正妥当な会計基準として法人税法も認めてもらえる? 本件、取得って考えてるみたいだけど、ずっとローン債権あなたもってたでしょ? 

 

 実は佐藤さんが書いたのは 東京高裁平成26829日の判決のものだと思うけど、以前、同じようなスキームで納税者が負けて、それが問題となって 流動化・証券化協議会が「債権流動化における劣後受益権の会計・税務上の取り扱い 平成22年東京地裁・法人税更正処分取消等請求事件を踏まえて」なーんてレポートを出してた。

裁判所の判断は 

l 原告の保有する劣後受益権は、金融資産の取得としてではなく、信託した債権の残存部分として評価する必要がある。

l 帳簿価額と債権金額の差額は、帳簿処理に伴う技術的な理由によって計上されたにすぎない。だから償却原価法なんてだめよ

となって、これを批判するレポートだったわけ。

 

高裁の判決は 

  • 実務指針に従った会計処理は法人税法224項でいう一般に公正妥当な会計処理にあてはまるよ。

  • 本件は実務指針と同様の会計処理を選択したことは利益状況の類似性を合わせて考えると、取引の経済的実態からみて合理性を否定されるものとはいえない。

 

 だから、会計処理に沿った法人税の処理は認められるというもの。  租税法規はみだりに規定の文言を離れて解釈すべきでないという最高裁判決もでていますが、これは法令でなく会計基準ですからね。会計基準の類推適用はOKよ ちゅうことか。

 

 

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2014年12月25日 (木)

信託宣言がやってきた!! 外国の信託は登記できるか?

 以前から私が疑問に思っていた問題。つまり、外国の信託を使って日本の不動産について信託登記ができるか? これに関して、できるという体験談?が登記情報627号に掲載されてます。司法書士の林伸子さんの「信託宣言[Declaration of Trust]がやってきた!!」

 

 これは、米国に住んでいる人(当初日本人、最終的には米国人として人生を終えた)が、2000年にカリフォルニア州で自身の財産を自己信託(カリフォルニア州では委託者=受託者=受益者 1年超信託OKらしい)した。 そして、2006年相続により日本の不動産を取得し、2008年、追加信託(当時所有するすべての財産をすべて信託する)を設定し、20012年この世を去った。ちなみに受益者は、兄。信託を設定して、委託者死亡後に信託を終了して、残余財産をお兄さんに渡すというようなものなのかな。

 

 問題となるのが、そもそもカリフォルニアの信託が日本で登記できるの? カリフォルニアの信託が日本の信託と同様だったら問題ないかもしれないけど、一番大きく異なる点は自己信託で設定から1年超OKのところ。でも、

 

 それから「所有するすべての財産をすべて信託する」それってどの不動産?特定できる?って問題。

 

 で、どうやって解決したか? 米国では注ぎ込み遺言(pour-over Will)というのがあるらしい。遺言者の死亡時遺言書を通じて財産を信託に注ぎ込んで、信託として処理してしまおうというやつ。 たぶんprobateはずしなんかのためかな。

 

で、委託者の2008年の追加信託は注ぎ込み遺言みたいなものである。だから、どうしたかというと日本の不動産については、遺贈によって新受託者(旧受託者は死んでますから)に所有者が変わる。その受託者が、自己信託をして、受益者をお兄さんとし、その後1か月ぐらいして信託を終了して、財産をお兄さんに渡す。自己信託しても他益信託だし、1か月で終わってますから。これ以外にできなかったのかなというところもありますが、事例としては貴重ですので。

 

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2014年12月23日 (火)

遺言信託における信託の変更

 信託協会の出している「信託」という雑誌の260号に商事信託法研究会報告(平成25年度)というのがあってその中で「信託をめぐる相続の局面における諸問題」というものがあります。

 遺言信託については、委託者が信託の効力発生時点でいないし、相続人が委託者の地位を引き継ぐのはいろいろ大人の事情でまずいから、原則的には、委託者のいない信託になってしまいます。そうすると、困ったことがあって、信託のダイナミックな変更ができない。もう信託なんていやだからやーめたもできないという風になってしまいます。しかし、絶対に信託するーっとやるとこれまた困ったことが起こるので、「信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかなとき」は、受益者が受託者に「わたし変えます」といって変えることができます。じゃ、どれが信託の目的に反しないこと? どれが受託者の利益を害しないこと?となる。

 

 事例として、遺言信託で、信託財産が金銭2億円、自宅X、農地Y 受益者は相続人 受託者はA信託銀行。 ところが A信託銀行は 金銭、自宅の信託はOKだが 農地は×

この場合、金銭、自宅のみの信託の引き受けはできるか?

 

 この場合の対応として

  A信託銀行は全部の引き受けはだめだから Bに信託を頼む

  A信託銀行は金銭と自宅Xを引き受け、農地Yは別の人を探す

  A信託銀行が全部引き受けられないから、信託の設定をあきらめる。

 

 一番大事なのは遺言者の意思で、それが実現できるなら受託者は誰でもいいなら、現実的には①か②。 別々の受託者で問題ないなら② この場合は、信託の変更ではなく、遺言で設定された3つの信託のうち2つについて受託者が引き受けたに過ぎないと考えるそうです。

 しかし 金銭とX自宅、Y農地を合わせてA信託銀行が管理する信託こそ私(遺言者)の望みなのだ! にもかかわらずA信託銀行の問題で農地Yが信託できないような場合、これは遺言者の意思に背くから信託の変更となり、信託の変更のルール、すなわち、「信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき」に限られることになる。だから②が、範囲外の場合は選択できない。

 

 なんだか 禅問答チックなお話です。 じゃ、どこまでが目的の範囲かどうかという、みんなが知りたいことはこれからいっぱいもめてもらって決まるんでしょうね。

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2014年12月21日 (日)

信託を用いた株式の議決権と経済的な持分の分離

 なんか、難しそうなタイトルです。信託法研究39号で、白井正和さんがお書きです。

これは信託法学会の雑誌です。実は、最近、信託法学会の会員になっちゃいました。信託大好きおばちゃんなのに、いままで、学会員じゃなかったんですね。 入会のためには2人の会員の推薦が必要なのが大変そうだからだったので。 ところが友人から「私、信託法学会に入りたいから、先に会員になってよ。」みたいなことをいわれ、断るのも角が立つかなということで、え~い♪と推薦してくれそうな方2人みつけてサインしてもらって申込書をわーっとだしたらあっさりOK。理事会って年に一度じゃないんですね。

 

 そんなどーでもいい話ではなく本題。 株式を信託した場合は、株主総会の議決権を行使するのは受託者だけど、総会でOKか×かを決める指図権者を信託で決めることができます。受益者がA,B2人いても、指図権者をAのみとすることができます。この辺が、事業承継なんかに使えるわけですよね。 株式を複数の相続人に分散して後継者の持ち分が減ると、経営がしにくいですけど信託を使えば集中できますから。このように信託を使うと、株式の経済的権利(配当とか残余財産分配権)と議決権を分離できちゃいます。

 

 これが問題とならないか? たとえば、Aが社長で、議決権を集中させた結果、それまで配当をコンスタントに払っていたのをゼロにして、そのかわり、がんがん役員報酬をAに支払うなーんてことも理屈の上ではできるわけ。 そこで白井さんは問題の解決の方法を米国で議論されているエンプティ―・ボーディングに求めた。

 

 エンプティ―・ボーディングって何? ある株主に対して、経済的価値以上の議決権をもたせること たとえば、貸株で議決権集めて、総会で好きなように決議させることができますよね。エンプティ―・ボーディングで問題となるのは、この結果、会社の価値を下げることにならないかということみたいだけど、あっちの会社法で具体的な規制はないみたい。

 

上記の事業承継で使える信託では、会社の価値の毀損というより、他の受益者や株主の利益の毀損が問題で、白井さんは、指図権を持っている人というのは、受託者のもってる権限の一部を代わりに行使する人なんだから、受託者が持ってる重い責任(善管義務、忠実義務、等)も類推適用できて、もし、受益者の利益を害するような議決権を行使して、株式の価値を損なわせた場合は、他の受益者や受託者の責任追及を認めるべきなんてことが書いてます。

 

ということは、配当をゼロにして役員報酬をガンガン払ったけどAがあほで会社の業績が降下した場合は、受託者責任の類推適用は可能だけど、猛烈に働いたAが会社の業績を躍進させた場合は、配当が0であり続けても信託法では追及できない?

 

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2014年12月15日 (月)

鬼はいつも颯爽と現れる

 人生は、いろいろな人との出会いで色がつき、色と色が混ざり合って、明るい配色にもなれば、暗い配色に変化することもあります。 

 

 初対面の人について、この人と会えば幸運が降ってくる♪なんてことがビビットひらめくことはまあほとんどなく、でも、まれのビビッが正解もあれば、大きな間違いもあります。

 

 人生、長く生きれば、不幸をどっさり運んでくる人もいる。それはどんな人か。ほぼ100%に近く、いかにも893のような人は、実は鬼になる可能性は非常に低い。当方も警戒しますし。おおよそ鬼は、パリッとしたスーツをきて、颯爽と感じのよさをふりまいて現れる、心の中に冷たい刀を携えて。これが怖い。。。。。

 

 どうすれば発見できるのか。 過去の経験からなんとなくわかるのは、心の中と違う立ち振る舞いをし続けると、どこか微妙な違和感が言葉の端からこぼれてくるんですよね。

 

また、誰かに強制的に言わされているような場合、不思議な理路整然。 背後にいる人の顔はみえないのですが、人にはそれぞれ、モノを考える筋道というのはほぼ決まっていて、別の人が説明しても、筋の流れを反芻すると、これはこの人がいってるのではなく、先日、他の人が言っていた筋道と変わらないから、背後にいるXの差し金だろうと。。。「いたこ」たちのせりふを総合して勘案すると、Xのメッセージは○○だろう。なるほど、となる。

 

 この微妙な違和感の察知というのが実はとても大切で、何度も人生の危機を救ってくれたセンサーなのですが、この微妙な違和感を他人に代理人になってもらって察知してもらうことはできない。生涯、自己責任100%、自分で感じて、自分で決めるしかない。

これからの人生、どーなるかわかりませんが 絶対にキープしなければならないスキルは違和感の察知と、迅速な判断。 鬼退治は時間が勝負ですからね。

 

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2014年12月 7日 (日)

初体験 リコール

 初めて、自分の持っている製品のリコールに遭遇しました。私は、パナソニックのレッツノートの愛用者で10台以上保有していたことになります。現在も2台、絶対に1台にはさせません。ぶっ飛んだ時にリカバーできないから。

 

 で、先日、夜の9時過ぎに突然、電話がかかってきました。えらい低姿勢のねえちゃんですが、やたら注文が厳しい。 

l バッテリーパックに不具合があるから交換する。しいては、交換するまで、バッテリーパックをとりはずして、冷蔵庫にいれろ。

l 持ってるパソコンの製造番号やロット番号を教えろ? 

 

それどこの数字なんだ? いろいろ書いてるからわからん。

起きている間はPCを起動し続けないと死活問題だ!!!(ここは怒ってた)

 

l ACアダプターで処理せよ。 6日ぐらい後に宅急便が交換品をもってくるからそれをつかって、いまの分は返送せよ。

 

6日ぐらい? その間、バッテリーパックを冷蔵庫に置いた状態で作業するの?

 

l 状況によっては,早くなるかもしれん。

 

そして、本日、宅急便が到着。これが、また指示だらけ。 梱包をといて新しいバッテリーパックを取り出すのですが、バッテリーパックをつつんでいるビニールを破ってはいけない。

梱包は返送時に再利用するから指示にしたがって、元の形に復元せよ! だけどこの復元が難しい。そこそこ適当にやって梱包完了して、さきほど、宅急便の業者さんに渡して任務終了。ちなみにクール宅急便。

 

いやーこの対応のむずかしさ、いくら低姿勢でご説明されても青天の霹靂のユーザーは切れるよね。

いいたかないけど、レッツノートは他のパソコンより、値段が高いのに。思わず、書かずにはいられませんでした。


 

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2014年12月 3日 (水)

第4版 外形標準課税の申告実務ガイド

 これは、日本税務会計学会という東京税理士会に併設している学会の現トップである多田雄司さんの書籍です。

 

 外形標準課税といいますのは、法人の事業税のうち資本金が1億円を超えているような株式会社が従わなければならない課税方法。 平成15年に導入。あれから10年たちました。この外形標準課税という言葉に???となる人が多いと思いますし、専門家でも ニッチなフィールドですので、なぜ、この本が第4版なのかと疑問にも思う方がいらっしゃるかもしれません。私も頂いてなんで?と思いましたが、自分なりの視点でななめ読みして理由がわかりました。 この分野は税理士という中小企業相手の人たちにとっては、あんまし勉強しなくていいかも(いまどき、地方税はソフトでほぼ自動計算)ですが、深く、ここまで目が行き届いているのか!という書籍はまず、出現しない、つまりオンリーワン本だからです。

 

 学会の経験がにじみでているのは、たとえば、付加価値割の説明 「付加価値に対する課税は、企業そのものに課税するタイプ(シャウプ勧告に基づき立法されたが、実施することなしに廃止した我が国の付加価値税、2011年に廃止されたアメリカのミシガン州の単一事業税)と最終消費者に負担させるタイプ(EU等多数の国が実施している)に分かれる。」実務書ではなかなかこのようには書けません。

 

 私自身は、特定内国法人の課税関係についてちょっと読んでました。昔、申告書の作成にかかわらなかったのですが、ある上場会社の法人税の実効税率が低い原因が海外展開していて、事業税がかからないからというのがあったので。これは、海外に恒久的施設(支店とかPE)がある場合は、その支店の所得は事業税を計算する場合は除いていいよというものです。だって事業税というのは日本に事業所がある場合、その事業者はなんらかの地方のサービスの恩恵を受けているはずですから「ショバ代」払え!という趣旨でしょ。外国の支店はサービスを受けていないから税金(ショバ代)は不要でしょだからです。ただ、国外源泉所得でも、支店に帰属していないものは、事業税の計算から除外されないし、タックスヘイブン税制による所得も事業税の除外の対象にならない。タックスヘイブン税制の国外所得は、法人税の安い国に会社作って利益プールして、法人税を節税するのはダメよということだと思うけど、もし、タックスヘイブンの子会社はPEだとして事業税の計算上除外すると、事業税の節税メリットがあることになって、それはよろしくないということなのでしょうか。

 

 いずれにせよ、凄い本です。上記、特定内国法人についても事例が記載されています。なぜ、学会の例会で多田さんの指摘が鋭いのか、その理由がよくわかりました。

 

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2014年12月 1日 (月)

モノよりソフトに投資すべきなんだろうね。

 とうとう12月になってしまいました。 あと1か月で2014年も終わります。最後の1か月くらいハッピーになれたらという希望もあっさり消えていくのかなあ。  ブルーなクリスマスと正月が二人三脚のようにやってくる! 今年こそ ほっとした気持ちで行く年くる年のぼーんという鐘を聴きたいよ! なんとかしろ!!

 

 で、タイトル、つくづく思うこと おカネがあった場合何に投資すべきか、 やはりモノよりソフトというか知識というか、知識というより知恵の発酵に投資すべきなんだろうなと。 モノにめちゃくちゃおカネ投資したって 利用して回収が可能かどうか。 出口で売却して最終的に回収といっても。 だから、モノへの投資は最低限で、失敗してもやり直しがきく程度に押さえておくべきかなあと。だって、自分の知恵ではどーにもならんところがありすぎでしょ。

 

 ソフトに投資。これは実在性に疑問があり、モノ以上に回収に怪しいところがありますが、 でも自分が「こうだ♪」と決めたフィールドのソフトにおカネを投資して、その方向にセンサーを張り巡らして、一生懸命考えて人脈を作り、知識をつなげて自分のものにした場合、いっぱい失敗というかコストを計上したとしても、時間軸を大幅に広げた場合、案外採算がとれる確率はモノへの投資よりもいいかもなあと。こつは、採算があうまでブラッシュアップというかギブアップをしなというか、つまるところ資金力との勝負となりますが、

 

 

 

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