« 2021年1月 | トップページ

2021年3月18日 (木)

暮らしにかかわる法律と税金

 最近、本がどんどん送られてきてます。なんかあるのでしょうか(笑)。
首記の書籍は 税理士の遠藤みちさんの最新版です。

 遠藤さんは、御年86歳かな。凄いです。現在もバリバリの現役。私、遠藤さんの年まで生きてるか、たとえ生きていたとしても現役として書籍が作れるか? 体と頭と心とお金の徹底管理を継続的に行わないと無理じゃねと思ってます。

 遠藤さんは全国女性税理士連盟の会長職も務められた方です。評価の高い「両性の平等をめぐる家族法・税・社会保障」という著作もあり、女性と税の関係については第一人者でしょうか。長年の知見の成果としての著作をベースに、誰でも気楽に読める書籍として作られたのが、このタイトルの書籍です。

 見開き2ページで一項目。「結婚」、「離婚」、「家族や親子」、「相続」に関する法律と税金の両面の問題がわかりやすく説明されてます。

 一つ紹介させていただくと「共働きの場合、住宅ローンはどのように組めばいい?」
1. 夫婦それぞれがローンを組む方法
2. 「連帯債務」として借り入れる方法
3. 「連帯保証」として借り入れる方法

 住宅ローン控除という税額控除を夫婦が両方で受けるためには 1か2のチョイス 3は×
 連帯債務か連帯保証か選択できる金融機関と各自がローンを組む以外は連帯保証のみという金融機関があり、住宅金融支援機構はどのような持分割合だろうと連帯債務
 住宅ローンの組み合わせのポイントは、一方が仕事を辞める可能性があるかとか離婚や相続のときにどうなるかなどもチェックポイント。
 あと借入の際につける団体生命保険は、連帯債務の場合は、主たる債務者1人のみ被保険者で、 その被保険者が死亡した場合は、妻の借金もちゃらになるらしい。
 住宅金融支援機構の場合は、1.5倍の保険料を支払うことで、夫婦が被保険者になれるらしい。各自がローンを組んだ場合は、片方が死んだとしても残りの人の債務は残る
でもどの方法がよかったかは、死んでみないとわからない。金融機関を選ぶ際、今後の人生設計を考えてローンの組み方も選択しましょう。

 参考になる方がいっぱいいらっしゃるかもしれませんね。

| | コメント (1)

2021年3月17日 (水)

信託法からみた民事信託の手引き

 これは、ひまわり信託研究会 弁護士伊庭潔さん編著の信託本を送っていただきました。ありがとうございます。 最初からはらはらと読みだしましたが、実際に信託を行っている人の知恵がつまっていることから、ものすごく面白いので、ちょっとずつ読み始めています。

 面白いのが 信託の相談をだれがしたのかのアンケート結果
 委託者となる本人のみ 16% 委託者となる本人とその家族56% 委託者の家族のみ24% 委託者となる本人とその家族以外の第三者4%

 着目が 委託者の家族のみ24%  多くの場合、特定の相続人が、他の相続人を差し置いて 自分だけ有利に親の財産を相続したいという意図の下、相談に訪れるようです。
 相続争いは 相談からスタートということでしょうか まあ信託といいましても 遺留分の問題が裁判沙汰になったりしておりますので、腹黒な相続人さまのご意向通りに財産が承継されることはないと思うのですがねえ。

 税務についても、かなり深くつっこんでいらっしゃいます。 債務控除の問題について、信託期間中と信託終了時に分け 信託期間中は債務控除ができる 終了時は無理というのが本書の見解のようです。がここはどうだろうかと思うところがあります。
 債務控除として認める場合は、財産<負債の場合、財産の価額を超えて引くことができますが、 負担付遺贈と考えると財産の価額が限度となる。 たしかに債務控除の方がメリットが大きいように見えますが、他方、債務控除ができるのは相続人等に絞られるが、負担付遺贈の場合は、相続人じゃなくてもいいわけです。
 また、信託期間中に死亡原因でなく、受益者が移転した場合は、贈与税になるのですが、この場合、たとえば不動産信託で預り保証金もセットで移転した場合は、負担付贈与とされて資産が時価課税される懸念があり、私もそうかなと思います。そうすると 生前の移転なら負担付贈与だけど死亡による移転の場合は、負担付遺贈ではなく、債務控除が使えるとなるとこれもおかしいとなったりします。

 お上の見解がないからなんともいえないですが、

 信託終了時のことですが、信託法や相続税法から債務を財産で精算するものとも考えられますが、現実的には、債務を受託者なりがそのまま引き継いでいるケースが多いので、私は逆にこちらはどうかなとも思ってたりします。受益者にとって債務はバーチャルですが、帰属権利者にとっての債務はリアル負担ですので、お上もしっかり現状をみてご判断していただけたらと思います。
 ということで、 明日以降もちょっとずつ読んでいこうと思っています。

| | コメント (0)

2021年3月 9日 (火)

障害のある子が「親なき後」も幸せに暮らせる本

 この本がいいといううわさを聞いてAmazonで注文して読みましたが、心揺さぶるものがあったのでしょうか、一気に読めてしまいました。

 この書籍の著者は、ダウン症の娘さんをもつ鹿内幸四朗さんです。実際に親として知的障害のある子どもと向かい合い、どう考え、どうしていこうかということが書かれています。日本には、障害のある人に対する社会福祉制度も充実してきていると思いますが、その制度がほんとうに自分の子供の幸せのために使えるかというとそれはまた別だよということを教えています。

 障害者でも意思能力がないような人の場合、20歳(2022年4月1日以降は18歳)までは親が親権者としてその子のために必要なことを代わりにすることが可能ですが、20歳になると親権は消え、自分で判断ができないならば成年後見人を立てなければなりません。しかし、最近の傾向として、成年後見人は専門家などの第三者がなる傾向が強く、第三者の成年後見人がつくと、親といえども子供の財産管理を含めた人生のコントロールをすることができなくなってしまいます。「障害のある子の親は、例え法律家のライセンスがなくても、我が子を守ることに関してはプロフェッショナルです。」その通りです。そして、法定後見人の問題点として、当たり外れが多く、親が法定後見人を選ぶことができず、気に入らないからといって、解任することもできない。

だから、著者は、法定後見人より任意後見人がいい。なぜなら、親が後見人を選ぶことができるから。では、誰を任意後見人にすべきかということで、著者は悩みますが、結論としては、親がベスト、子供について親以上に守れる存在はいないから。でも、親は子供より年上で、高齢となり自分自身の判断能力が衰えるリスクもある。だから、夫が代理人となり、妻を後見人に指名し、妻が代理人として夫を後見人と指名する「親心後見」を考えました。

また、大きな財産を障害のある子に遺しても自分で使えないから幸せで豊かな人生を築くことができない。だから、その子に財産を遺すのではなく、「子供のためにお金を使ってくれる人がそばにいること」が大切だから、財産は母親に遺すべきだと。

それでは両親とも他界した親なき後のためには誰が代わりをするのか? 兄弟や頼りになる親戚がいる場合は、彼らになるかもしれません。著者は、団体や法人を検討していますが、しかし、お金は別のところで預かり、カギをかける仕組みにした方が安心と語っています。

そして、子供の居場所はどこになるの? 両親が生きているならば自宅でしょうが、いなくなったらグループホームが考えられますが、安心できる居場所でしょうか。ここはまだ解決策が多くないのが現実のようです。

いずれにせよ、この書籍は心に響くところが多く、同じような問題で悩んでいらっしゃる方が読まれたら、ヒントをいくつも教えてくれる一冊ではないかと思います。

| | コメント (2)

« 2021年1月 | トップページ