2012年4月 9日 (月)

金融から学ぶ民事法入門

 債権法が改正するといわれてかれこれ数年たちました。民法というのは、法律の一つであり、学ぼうと思うと、頭痛の元のような難しそうな本を何冊も読まないといけません。それは会社法とかも同じこと。

 

 でも、民法や会社法って、そこらの生活の中に入り込んでいて、実は、私たちは、難しいことを考えずに使っています。法律って、学ぼうとして背筋を伸ばすと急に敷居が高くなる不思議な媒体。

 大垣尚司教授の「金融から学ぶ民事法入門」は、そんな民事法が、ビジネスや生活の中でどのように使われているかという視点から、民事法の基礎をわかりやすく伝えた優れた入門書だと思います。

目次を一部紹介すると 

3講  サラ金と質屋

4講  中古車を買う

5講  新車を買う

6講  家を借りる マイホームを買う

7講  マイホームを建てる

8講  住宅ローンと債権保全

第9講  家を買ってから死ぬまで

10講 預金取引と決済

 大垣節の一部を引用しますと 

 債権は特定の人に「おカネを返せ」といった特定の行為を要求する権利であるが、突き詰めて考えるとこれには損害賠償という金銭債権に転換し、債務者の全財産をこのために充てる権利だと言い換えてもよいだろう。そして、債務の引当となる財産のことを責任財産という。

  このように、債権とはつまるところ「人」の「責任財産」に対する権利ということになるので、「人」と「責」を組み合わせた「債」という漢字を用いるのだと理解しておくとよいだろう。実は,漢和辞典を引くと、大昔の中国で借りたお金を払わないと拷問で人を責め立てることに由来があるようだが、現代的には、責め苦の代わりに責任財産を差し出せということになるわけである。

 大垣さんの前著「金融と法」は、かなり売れたということだそうですが、これは、より、広い読者層に受け入れられそうだなと読み進めるごとに思いますね。

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2012年3月28日 (水)

知れば使える! デリバティブのABC

 AIJ騒動で、またもや悪者デリバティブですが、今週の月、火、水の夜19:00~20:30まで、大手町の日経ビルのスペース二オで「知れば使える! デリバティブのABC」というセミナーが開かれています。

 縁がありまして、受講しました。

 月、火の講師が日経QUICKニュースの下野和典さんですが、とても話がわかりやすく、かつ、どんな質問にも丁寧に答えていらっしゃるので、相当な実力があるとお見受けしました。

 昨日は、オプション取引~たとえるならば掛け捨て保険!? 株価指数オプション取引とは、というタイトルで、オプション取引の説明がありました。

 オプションの価格に占める時間的価値の本質的価値の基礎の説明は、うまいこと表現しているなと思いました。

 下野さんは、ファンドマネージャーのご経験もあるようですが、長いこと運用に携わることができるかどうかは、取引を手仕舞うタイミングの見極めができるかどうかだそうです。利益を確定できるか。これはまあできるかもしれない。難しいのが、損切ができるかどうか。自分の相場観と実際が狂ったら損失が生じますが、その際に、いつか必ず取り返せる自分は正しい、だって何度も成功しているんじゃないかという思い込みが損失を膨らませ、退場を余儀なくされるそうです。

 これは、ファンドマネージャー以外にも通ずること。

 相場観と異なる展開となった場合、反対売買をして手仕舞うこともできますが、そうすると査定に響くので、オプションを合成して取引を継続させようとする。その結果、複雑な形のオプションが次々作られたそうです。 最終的に損益がどうなったのかはわかりませんが。

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2010年6月 4日 (金)

金融と法 企業ファイナンス入門

今朝の日経の1面下の書籍広告のトップは、大垣尚司さんの「金融と法 企業ファイナンス入門」です。

 大垣さんは、銀行マンや生命保険会社の役員等を経て、現在は立命館大学大学院法学研究科教授をなさりながら、住みかえ支援機構の代表理事もおやりになっていらっしゃいます。豊富な実務経験の裏打ちのある学者にして、経営者。天才というか、はっきりいって、化け物系ですね。

 その大垣さんが立命で講義された内容を網羅したような本がこの著書です。私自身も以前、大垣さんの講義を拝聴していたのですが、とにかく、面白いですね。 何をいってるのか頭にすーっと入るのですよ。授業後に、何を学んだのか、文章として自分なりにまとめることができる。どんなにすばらしい先生のお話でも、メモは残っても、頭に残らなかったら時間の無駄でしかありませんからね。

 ファイナンスの定義として、「企業や家計が事業や生活を営む上で生じる資金の過不足を第三者との間でやりくりすること」とまずお書きになっています。

 大垣さんは以前、生命保険会社の役員をおやりになっていたので、生命保険に特化して、この著書を追いかけていくと、

 ファイナンスの血液はお金(キャッシュフロー)であり、ファイナンスの世界においては何でもキャッシュフローの額で評価することになっています。

 だから、命の値段だって、お金で評価する。でも、命の値段なんて、いくらかなんて誰もわからない。人によっては、「私なんぞに何の価値もありません」と謙遜するだろうし、強気な人は国家予算規模のことを言うかもしれない。これでは裁判所も困るから、保険契約は自分で決めてくださいということなっている。つまり、自分で保険金の額を決め、保険料を支払う仕組みになっています。

 では、その保険料はどのように決めるかというと、ベースは生命表に基づいているようです。ただ、これらの数値は、予想に基づくので、実際には異なることが多いです。予想よりも寿命が長かったら、一般的な生命保険金の場合、生命保険会社は得をするが、年金保険の場合は、損をします。

生命保険会社は、契約者からお金を集めてきて、長期で運用し、保険事故等が発生したら、一定のお金を払う仕組みであり、もし、保険会社が倒産したら保険金が予想通りはいってこないので、契約者は保険会社の信用リスクを負うことになります。

生命保険会社は保険料であつめたお金を運用してますが、銀行と異なるのは、銀行の場合は、貸付のための営業がいっぱいいて、信用リスクのチェック等に多くのマンパワーが使われますが、生命保険会社では、負債を集めてくるための営業がいっぱいて、集めた莫大なお金は、少数の運用担当者がリスク分散をベースに運用をしています。

資産の運用期間が負債の期間よりも長いものはほとんどないことから、負債より短い期間の資産を上手に運用するかが重視され、これは、銀行とは正反対(資産の期間>負債の期間)の特徴だそうです。

というように、単に学問的にファイナンスって何ということにとどまらず、金融機関が、どうやってお金儲けをしているのかというあたりまで書かれているので、(大垣さんの講義では、これからどうやって稼いでいけばいいのかまで、踏み込んでいらっしゃいましたが)ほんとうに面白い一冊だと思います。

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2009年7月28日 (火)

景気がよくなると評価損 CDSの場合

今朝の日経の経済2面に「損失回避商品のCDS 一転、業績の重しに」という記事があります。

CDSとは、倒産保険のようなもの ある企業を参照して、もし、その企業が倒産したら約束したお金を払いますよ。その代わりに、保険料を払ってねというようなものです。

社債をもっている企業が、社債発行会社の倒産による損失を回避するために利用しているところもあるようです。

代表的なCDSの指標として、iTraxx Japan 5年ものが 日経のマーケット欄に毎日掲載されていますが、昨日は実勢価格が153.12円 理論価格が307.98円。かなり乖離してますが、この価格は、金融危機のころからくらべると激減しています。

それは、景気が回復しているからであり、非常によいことなのですが、このCDSをもっている金融機関にとっては困ったことなのです。というのも、時価のあるCDSは、時価で評価しないといけないのですが、この時価が下落しているということは評価損を計上しないといけない。

一般的な株式の場合、評価損を計上するのは、未曾有の経済危機が生じたとき、その会社固有の未曾有の大問題が生じたときなど、ネガティブな時なのですが、


CDS
は逆 未曾有の経済危機のときは、倒産確率が上昇するから、CDSの価値(保険料)も暴騰し、その結果、評価益がでる。でも、景気が回復すると、倒産確率が下落するから、CDSの価値も暴落。その結果、評価損が生じ、企業の業績を悪くする。

CDS自体が逆張り商品ですから、当然といえば当然ですけどね。

記事によると、「みずほFGの場合、093月期(未曾有の経済危機のとき)決算で、CDSの評価益が230億円に上がった。」

とされていますが、 有価証券報告書を読むと次のような記載があります。

クレジットデリバティブ取引(平成21年3月31日現在)

                                          (単位 M円)

区分    種類       契約額等  時価   評価損益

店頭 クレジットデリバティブ  

 売建                          7,466,539       475,432     475,432

 買建            8,894,025           565,893       565,893

   合計                          90,460

売建は、信用リスクの引受取引、 買建は、信用リスクの引渡取引

信用リスクが増しているから、買建の時価が上昇し、評価益が生じている。

この中に記事にあるCDSの評価益230億円があるのかなあ。

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2009年7月 9日 (木)

石油業者が先物取引を利用しているというけど

 今朝の日経の商品面に「商品先物調査上 石油業者の利用最多」という記事があります。

先物取引市場というのは、証券取引所と比べるとニッチというかマイナーというか、いまいち、一般人には程遠い世界です。

 この市場をなぜ利用するかというと、 日経のデータを引用すると 143社中 ヘッジが58社 ディーリングが46社 現物の受け渡しが38社で、どうもヘッジ利用が多いらしい。へーっと感心しまして、誰がヘッジに利用しているかというと、どうも石油業者が多いらしい。

 石油の価格って 去年の金融危機の最中はどーんと高騰し、下落し、そしていまという感じです。なぜ ジェットコースターのような状況になったかというと、世界中の余剰資金が、いままでは証券化商品に向いていたけど、金融危機でぽしゃって、もっとわかりやすいものということで石油に向かったからのようです。実需をはるかにこえるお金が先物市場等に流れた結果、石油の価格が、どーんと上昇し、がーんと下がった。これでは、実需の石油でごはんを食べている人たちは困ってしまう。価格をそう簡単に転嫁できませんからね。そこで、先物市場を利用して、ヘッジをしようとしていらっしゃるようです。

 といっても利用数が少ない。どうすればいいのかということで流動性の上昇 ようするにいっぱい取引をする人に来て欲しいということでしょう。

 信託大好きおばちゃん的には、ヘッジで利用する人を増やして欲しいと考えます。でも、これはね。現状の会計や税務の障壁が高すぎてね。 難しいのです。何かいているかわからないのです。おまけに、 以前このブログに書かせていただいた新日本石油の税務調査が、信託大好きおばちゃんは否認取り消しかなと思ったのだけど、実はそうではなく、2年ほどかけて、お上(国税不服審判所)に否定されてしまったのです。

ヘッジ取引への更正処分に対する国税不服審判所長の審査結果について

2009年1月30日

記者各位

 当社(社長:西尾 進路)は、2009年1月26日、国税不服審判所長より、当社が行っているヘッジ取引についての裁決書を受領いたしましたのでお知らせいたします。

 当社は、東京国税局により実施された税務調査による2006年10月31日付の更正処分のうち、ヘッジ取引に関する部分について、2006年12月22日、国税不服審判所長に更正処分の取り消しを求める審査請求を行っておりましたが、今般、同審判所長より当社の主張を棄却する旨の裁決書を受領いたしました。

 当社は、裁決書の内容を検討のうえ、今後の対応を決定する所存です

 何が問題化というと、あんまり詳しいことは知らないのですが、どうやら会計上正しいと思っておこなった処理はきっと税務上も正しいだろうと思ったところ、税務はそんな処理はだめですよと判断されたようです。なるほど、条文を素直に読むと、お上のいってることはごもっとも。でも、この否認が確定されると、結構影響が多い。

 それに、このヘッジの会計や税務処理、創設されてから10年近くたつけど、使い勝手が悪すぎるというか、難しすぎて実務で、特に人手の足りない中小企業で使えない。マイナーチェンジして欲しいなあ。

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2009年6月18日 (木)

ソフトバンクの連結貸借対照表に関する注記事項

 久々にニッチな信託ねたから、人気のあるソフトバンク系のねたへ

 なんとなく、ソフトバンクの平成213月期の決算短信を読んでましたが、さすがにこの会社の連結財務諸表に関する注記事項は読ませてくれます。

 ソフトバンクは、実は格付けがあまりよくない Ba2とか、BBとかBBBとか

なぜかというとやはり自己資本比率が低いからでしょう。

 平成203月期で8.4% 平成213月期で8.5%

 で、どうなっているのかなと思って、連結財務諸表に関する注記事項を読むと、出てくる出てくる資金調達関係の情報がてんこ盛りです。

 実質的ディフィーザンスの失敗による750億円の損失やらもありますが、 担保提供、債権流動化及び株式等貸借取引契約による借入金等の項目だけご紹介すると

(1)   担保提供資産および対応債務 (銀行借入の担保はなんですかというようなやつ)

(2)   債権流動化による借入金 (ソフトバンクモバイルの割賦債権やソフトバンクBBによるADSL料債権流動化)(将来の売掛金を期待してお金を借りよう)

(3)   株券等寄託取引契約および株式等貸借取引契約による借入金(子会社の株を預けてお金を借りよう)

そして、おそらくボーダフォンを買収したときに1兆円くらいお金を借りたけど、そのときにつけられたと思われる財務制限条項いいときは何もいわないけど、もしルールに違反したら、資金は全額回収、首も飛ぶぞというおそろしいやつです。

 これもちょっとだけご紹介すると

もし、次の取り決めに抵触したら全額借金返せという条件には

(1)   当社の各四半期末における当社の純資産額は、次の①および②のいずれか大きい方を下回ってはならない。

       最近事業年度末における当社の純資産の額の75%

       平成17331日現在における当社の純資産の額の60

(2)、(3)をとばして

(4)ソフトバンクモバイル㈱は、WBS ファンディング(注1)から金銭の信託を受けた特定金外信託受託者たるみずほ信託銀行㈱(貸主)からローンの借り入れ(以下「SBM ローン」)を実行しました。当該SBM ローンの契約上、ソフトバンクモバイル㈱は、原則として事業経営における一定の自由度が許容されています。ただし、同契約に定める財務に係る一定のパフォーマンス基準(累積負債償還額、修正EBITDA(注2)、レバレッジ・レシオ(注3))や事業に係る一定のパフォーマンス基準(契約者数)を下回った場合、その重要性や期間に応じて、ソフトバンクモバイル㈱の事業に対する貸主の影響力が強まり、設備投資の支出制限、新規サービス展開についての事前承認、過半数の取締役選任、さらにはソフトバンクモバイル㈱株式を含む担保提供資産に対する担保権行使等の可能性があります。

 孫さんの首がふっとびますよというおどかしですね。

 貸したお金を確実に戻すためにはなりふりかまわないぞということですね。とっても勉強になります♪

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2009年5月28日 (木)

イスラム金融の成功の原因と方向性

今朝の日経の特集で 「イスラム金融 活性か再び」という記事があります。57.,8日にシンガポールで開かれた「第6IFSBサミット」の話題をまとめたものです。

 イスラム金融は、ここ数年日本でも話題となりましたが、金融危機で、萎んだようにも思えます。でも、イスラム金融は沈まない。

 信託大好きおばちゃんは、511日に早稲田大学で開かれた「論争アジア:イスラーム金融」を聴講していました。429日に債権法改正のシンポジウムが早稲田で開かれたときに、イスラーム金融の看板を見かけて、時間があったから、ひょいっと出かけたんです。

 早稲田の講義で教えていただいたのですが、なぜイスラム金融が成功したのかというと、

○イスラム系の人って、利子嫌いだから、結構たんす預金していらっしゃったようですが、イスラム系の人にフィットするような金融商品を作ったことにより、たんす預金を集めることができたこと、

○イスラム教の世界では、人が集まるとモスクができ、次にメッカ巡礼をしようと考えられるようですが、モスクを作るにもメッカにいくにもお金がいる。そのお金を集めるためにはどうすればいいか考えることにより、金融のノウハウが進化したこと

○イスラム世界の人たちは、自分たちは西欧資本主義社会とは違う。だから、西欧の金融システムと違うシステムでやりたい。やるべきだ。やらなければならない。という考えが底にあること。

○金融ビジネスで自分たちも大儲けしてみたいということもあるかもしれませんね。

 今後もイスラム金融は発展するでしょうけど、その方向性は、アラブの石油王から大金をかき集めるためのツールとしてだけではなく、マイクロクレジットといわれるような少ないお金を機織のおばさんに貸し付けるようなツールとしてもあるようです。そして、後者に発展の可能性がより多くあるような

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2009年5月19日 (火)

ソフトバンクの個人向け社債 お金があったら買いますか?

いやー日本郵政のトップ人事、外野を楽しませてくれそうですね。「財界や政界が反対しても、最後の一人になるまで戦う」人事権を持っているやつが一番エライ。だから俺が絶対♪で押してきましたねえ。いまどきの日本で珍しい人材です。でも、彼は企業のオーナー経営者じゃなくて、ちょっとしたスキャンダルで吹っ飛ぶようなポジションをテンポラリーでやっている派遣のおっちゃんにすぎないのですけどねえ。

 日経の投資財務面に「ソフトバンク2年ぶり社債」という記事があります。このブログでは、ソフトバンクの社債に関して、ちょこちょことねたを書いていますので気になります。いずれ、正式に発行されたら、改めて記事を書こうと思いますが、トリプルBの格付けのソフトバンクさんが個人向けに500億円ほど社債を発行して資金調達をされる予定だそうです。「福岡ソフトバンクホークスボンド」で、注目は表面利率がなんと年利5%ら。し。い。。。 個人の場合税率は20% なので 100万円あずけると、手取りで4万円 1,000万円だと40万円。 期間は2年 2年間ソフトバンクがつぶれなかったらこれだけの利息が入ってくるのです。

ちなみに、2年間、1,000万円を大口定期預金とすると年利0.3%年利で17倍くらいの差があります。

個人投資家がわーっと飛びつくかもしれません。ソフトバンクは危ない危ないという風説の流布が長年なされていますけど、まだ生きてますから。これからも2年くらいは生きてるだろうと思う人が結構いらっしゃるような気がするからねえ。

 

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2009年3月 9日 (月)

どの会社の保険に入ったらいいのか?

 最近、日経月曜日の金融商品深堀りチェックを興味津々で読んでいます。

今週は「安全・安価な生保選びのコツは? 保険料・格付け比較して」です。

生保会社21社の格付け、ソルベンシーマージン比率、保険料配当の有無を比較しています。

そのいくつかをピックアップすると

会社      格付け ソルベンシー 保険料 配当の有無

日本       AA-   929   4,820    有

ソニー      A+   1995   3,420    無

アリコジャパン  A+    792   4,380    

明治安田     A   1091   5,540  

住友       BBB+  858    4,920    

ライフネット   -   30000   2,202   

 

格付けはS&P  保険料は 月額 定期10円保障2,000万円の死亡保険に28歳男性が加入した例

企業の倒産リスクが低いかどうかは格付けやソルベンシーマージン比率を読めばいいのですが、ソルベンシーマージン比率(異常事態発生事態に保険金を払える能力がどのくらいあるかを示したもの)というのは、新設会社ほど資本と比較してリスクが低いので高くなり、200810月に破綻した大和生命保険の20083月の比率は500%だったらしい。

じゃ、格付けの方が信頼があるのか? うーんどうだろう。

ところで、保険料にこれほどの差があるとは思いませんでした。明治安田は5,540円でライフネットは2,202円、この差は付加保険料といって、保険のおばちゃんへの手数料他、保険会社の経費の部分らしい。配当を支払う保険の場合は保険料が高いというけど、どれくらい配当がもらえるか過去の実績は開示されていない。

保険のような金融商品って、ちゃんと支払ってくれるなら、どこの保険会社に頼んでもサービスは同じようなもの。ブランド物のように高ければ高いほど買いたくなるというものではない。だったら、安い保険料の方にみんなわーっと群がりそうだけど、なかなかそうはいかない。商品を比較する情報がないからか。いまだに生保のおばちゃんの押しの強さが、経済的合理性を凌駕しているからか。

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2009年1月19日 (月)

二重通貨預金は、デリバティブのリスクの引き受けて

今朝の日経の家計欄は「金融商品 比べて選ぶ 二重通貨預金 外貨建てMMF」です。

二重通貨預金というのは、外貨建て預金で、利率は円預金よりはちょっといいけど、為替変動により、満期に返ってくる元本が円なのか外貨なのか決められているもののようです。

 この二重通貨預金をするということは、実は、一般的な預金の預け入れではなく、デリバティブのリスクの引き受けになるということみたいですね。

 で、信託大好きおばちゃんなりに、この記事をベースに事例を作ってみました。

円が1ドル120円のときに、 1ドル120円を二重通貨預金に預けます。 為替が1ドル110円を下回らない限り、元本は円(つまり120円)で返します。下回った場合は、ドルで返します。ドルを円転するかどうかはお客様の自由です。この預金は、利息が他の預金よりもよくて、毎年、5円支払います。

 この契約の段階で 銀行は預金者から 120円預かる。

他方、銀行は輸出業者とも契約を結びます。 もし円が110円を下回っても 1ドル110円で円転してあげます。ただし毎年 10円、銀行に支払ってください。

 そして、円が110円を下回らない段階では、 銀行は輸出業者から10円もらい、預金者に5円払うから 5円儲かる。

そして 突然、猛烈な円高になり円が1ドル90円となりました。

 輸出業者は、 オプションを行使します。そうすると、輸出業者は、銀行に1ドル払って、110円受け取ります。

 銀行は、預金者から預かった120円のうち110円を輸出業者に支払って1ドル受け取ります。

 預金者は、満期となりますが、円が110円下回ったので1ドル受け取ります。

銀行は120円預かったお金のうち110円は輸出業者に払ったけど10円は誰にも払うことがないので儲かります。

預金者は、120円の預金が90円の価値しかない1ドル通貨として戻ってきました。

30円の損失です。

こうしてみると、おいしいのは、真ん中の銀行だけですね。円が120円から110円になっても、元本を120円で返さないといけないからこの部分はリスクなのかもしれないけど、おそらくこれはカバーできるしくみになっているのでしょうね。

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