2008年9月11日 (木)

信託を活用した事業承継 なぜ遺言代用信託を使うのか

中小企業庁が信託を活用した中小企業の事業承継の円滑化に向けてを公表しています。

この中で遺言代用信託を利用した手法を紹介しています。遺言代用信託というのは、委託者が生きている間に信託を設定するのだけど、自分があの世に行ってからあとの受益者を誰にすると決めるようなものです。

信託の効力は生前に発生するけど、受益者は相続後であり、相続までの期間に受益者がいないような信託を作ってしまうと、税法上、法人課税信託になって、おどろおどろしいくらいの税金がとられてしまうかもしれません。だから、生前は、委託者自身を受益者とするスキームをノーマルな人だったら設計すると思います。

報告書で書いている一番単純なケースは、会社のオーナーが自社株を信託し、生前は自分を受益者とし、相続後は後継者を受益者とします。議決権は、受託者が有しますが、議決権指図権を誰にするかを決めることができ、生前はオーナーに、オーナーの相続発生後は後継者とすることができます。

単純に自社株を持つのではなく、信託をすることのメリットは、受託者が株式を管理することにより、オーナーがある日、発狂して、株式を第三者に売ってしまうというようなリスクを避けることが出来たり、相続開始と同時に後継者を受益者とすることにより経営の空白を避けることが出来ることです。

遺言だったら、自社株を後継者に相続させるとかいっても、いつでも撤回できるけど、信託だったら、契約で受益者を変更する権利をオーナーは有しないとすることもできます。

また、遺言だったら、もしかしたら他にも別の遺言があるかもしれないという懸念から、遺言の執行まで時間がかかるので、その間、経営の空白期間が生ずるリスクがあるけど、信託だったら、相続発生と同時に受益者がかわるので、経営の空白期間が生ずるリスクがなくなります。

だから、遺言代用信託は使えるということだと思います。

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