2012年6月25日 (月)

生命保険信託の事例の広告

日経ビジネス2012.6.25にプルデンシャル生命保険の広告記事として生命保険信託の事例が2つ掲載されています。

 生命保険は保険事故により多額のお金が支払われますが、この支払方法を自由に設計できるようにすることが信託を使ってできます。

 利用例としては、一つ目は お父さんが他界された後にお母さんが生命保険の契約者となり、ついでに信託を設定することにより もし、お母さんが亡くなったら、子供に毎月10万円ずつ支払う、 亡父の命日に5年間にわたって400万円を義理の両親に支払う。毎年、1225日に5年間にわたって社会福祉法人に100万円ずつ支払うということにしたもの。

2つ目は、お母さんが生命保険の契約者となり、お母さんが亡くなったら、障害のある長男に毎月一定額と臨時の出費について生命保険で支払う。もし、長男が受け取れない状況にあれば次男に支払われるというようなもの。 保険金をいつ、いくら払うかという指示は夫としたようです。

 信託の使い方として価値があり、たぶん、廃れることがないものの代表が、親亡き後の子供の養育費や治療費の適切な支払のためのツールで、その一つがこの生命保険信託。

 保険のいいことは、保険料以上のおカネを作り出せることですね。

 あと、保険の税制が使われるから、課税時期が信託設定時ではなく、支給時まで繰り延べられることもあるね。

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2012年5月30日 (水)

家族信託で財産守る

今日の日経にタイトルの記事があります。家族信託というか民事信託について、日経さんが取り上げることがひとつの驚きです。

 記事では、お母さんの不動産を娘さんを受託者として信託し、お母さんの生前はお母さんを受益者とし、死亡後はたぶん信託が終了して、娘さんが本来の所有者となるものです。

 娘さんが受託者となることにより、お母さんが老人ホームに入る時も、娘さんが責任をもって売却して代金を入居金に充てることもできます。

 老後に認知症になった場合の資産管理の方法として成年後見人が、また、資産承継の方法としては遺言がありますが、信託を使えば、状況に応じて柔軟に資産管理と承継を行うことができます。

 受託者としては信託銀行さんしかなれないといいうものではなく、記事のように家族でもできます。信託銀行さんがすべての信託のニーズにこたえることは現状で難しく、かといって、家族がベストかというとそうでもない場合もあります。第3の方法も考えられますが、基本的には信託業法の厚い壁がある。

 信託は今後の高齢化社会の進展に不可欠のツールですが、そのためには、信託業法だけでなく、今回は記事にはあまり書かれていませんが税制の改正も必要ではないかと思いますね。

 最後になりましたが、日経さん、今回は、記事に名前とコメントをいれていただきほんとうにありがとうございました。この記事は早速コピーして田舎の老母に送ります。中身はわからないかもしれませんが、大新聞に悪いことではなく名前が載るということは最大の親孝行ですから♪

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2012年2月15日 (水)

受取安心信託

今朝の日経に「大相続時代 備えは 資産整理、遺言きっちり」という記事があります。

そこに次のようなことが書かれていました。

相続人を確定し、全員の実印がないと、通常、預貯金は引きだせない。遺族の葬儀費用や当面の生活費も考えておきたい。

 三菱UFJ信託銀行が昨年夏に発売した「受取安心信託」は、50万~500万円を信託設定し、受取人を指定しておけば、預金の名義書き換え手続きなしで、相続直後の資金需要に対応できる。発売後半年で約1500件売れるという異例のヒットとなった。

これは、委託者がお金を三菱に信託し、委託者の死亡により信託が終了し、帰属権利者1名(三親等以内の親族に限定)が残ったお金をもらうというもの。

指定された親族は、死亡診断書(除籍謄本)、通帳、その親族の印鑑証明書、印鑑をもっていくとお金がもらえる。だから、預金凍結リスクを避けることができるというようなもの

それとともに、委託者が入院した場合は、その親族がかわりに医療費を信託された財産から引き出して支払うようにすることもできるらしい。

信託財産は元本保証の5年の金銭信託で運用される。

http://www.tr.mufg.jp/shisan/uketorianshin_01.html

当然、手数料はとられますが、成年後見支援信託ほど大層ではなく、金額のバーもそんなに高くないし、ジョイント口座のように香港へ行って英語で交渉なんて大変さもない。

問題点は何か? ぱっと思い浮かびませんが、売れているという理由はなんとなくわかるよーな気がします♪

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2012年1月30日 (月)

成年後見支援信託と成年後見研修

先週の金曜日 税理士会の成年後見人等養成研修履修者向け研修を受講していました。専門職の成年後見人というと司法書士さんが有名で浸透していますが、税理士会も遅ればせながらということで活動しています。

 今後、成年後見人等の講座の修了者については、更新制度を設けて、研修時間を義務規定のようにするらしい。ということは、税理士制度自体も更新制度になるかも、それはないない。そんなことをしたら、税理士会も会費収入が激減する可能性があるからね。数はチカラ、カネはチカラですから。

 で、タイトルは成年後見支援信託 1年前くらいに、スタートするはずだったこの信託がようやっとこの2月にスタートするらしい。

 成年後見人が被後見人の財産をねこばばするリスクを避けるために、お金を信託して、自由に引き出せることができなくするしくみです。

 これについてもちょっと研修会でお話しがありました。

 このスキームを導入するためには、後見人が当初は信託を理解できるプロにすることが前提のようです。信託って難しいからね。パターンとしては下記3つがある。

     当初は、親族後見人と専門職後見人がつき、信託締結後は親族後見人のみになる

     当初は、専門職後見人がつき、信託締結後は親族後見人にバトンをわたす

     親族後見人に専門職後見監督人がつく

現実的には①のパターンで動くことになりそう ということらしい

講師の方のおっしゃる支援信託の問題点は 

     コストがかかるのではないか。    そんなにバカ高くないような気がするけど

    ねこばばリスクは減るけど、後見人が被後見人のためにベストだと思ってもお金をつかってあげることもできない。  やっぱりねこばばリスク回避は大きいと思うけど

導入してみないと問題点もみえてこないかもしれないけど、これは、動くね。

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2011年9月20日 (火)

FPフェアと信託

この週末、京都でFPフェアというファイナンシャルプランナーのイベントがあり、2日間にわたって 信託大好きおばちゃんは講師をさせていただきました。聴講していただいた皆様におかれましては感謝、感謝でございます。

 タイトルは「シニア世代の資産管理を考える 個人信託の可能性と課題」という大層なものです。このフェアでは同じ時間帯に6つのセミナーがあり、受講生は事前登録となっています。ですから、人気による差が絶対にでる。

 私は、上記、どう考えてもニッチで、あんまり興味をもたれなさそうな分野ですので、絶対不人気だろう。受講生が10人を超えることはないだろうと予想していましたが、意外や意外、土曜日だけでなく、日曜日にもたくさんの方に聴講していただき、なぜなのかなあと不思議に思いました。きっと、潜在的ニーズに対する関心と、こんな話、あんまし聞けないという希少性からかもしれません。

 内容は、高齢化社会の資産管理を円滑に進めるためのツールとして成年後見制度、資産承継のツールとして遺言があるけど、これで満たせない部分があるよ。そこを信託でうめることができる可能性がある。じゃ、信託ってどういうもの?信託の税制ってどうなっているの? でも、信託って問題もあるよね。 それでも、高齢化社会の問題解決のためには信託は必要だと思うから、きっと信託は使いやすくなるでしょう。そのためにも早めに勉強しすることがあなたの未来にプラスになる♪ てな感じです。

 終了後、名刺交換があったのですが、そのときのお話によると、どうも、信託をつかった承継対策が最近、結構、出回っているということです。なるほどね。私がこのブログでほえていたのは、それこそ34年前だったんだけど。

 信託を勉強し始めてから78年以上たちましたが、ようやっと時代がおばちゃんに追いついてきたのかな(笑)。でも、信託大好きおばちゃん10年後、20年後を見据えて、新たな投資をこれからスタートさせるのだけどね。

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2011年6月 6日 (月)

実例にみる 信託の法務・税務と契約書式

 久々に信託ねたです。このブログが信託大好きおばちゃんであるということを忘れてしまいそうな昨今ですが、原点に返ります。

タイトル「実例にみる 信託の法務・税務と契約書式」ですが、これは、NPO法人 遺言・相続リーガルネットワークさん編です。弁護士さんがたくさん執筆していますが、類書と際立って異なる点がありまして、それは信託会社さんから提供していただいた事例が17ほどあるところです。この事例は、頭の中で考えただけのものではなく、実際に使われた事例をアレンジしています。どういうものなのか、法務面はどうなっているのか、税務面はどうなっているかというようなものが書かれています。さすがに、実例をベースにしていますので、法務的にも税務的にも大胆なものはありませんが、これから実際に信託を使おうとする場合には、役にたつものではないかと思います。

なぜ、こんな紹介分がかけるかというと、私も、原稿を書いたからです(笑)!

ようやっと本の中で、信託の原稿を書けるチャンスがめぐってきたのかといいう感慨もあります。総論部分では、マニアックなところもありますが、実例のほうはオーソドックスだと自分では思います。

この本は弁護士さんや信託会社さんとの共同作業的なものであったことは、とてもよかったと思います。自分の世界がぐぐっと広がりましたし。出版の時期がちょっと遅れましたが、それは、検討に時間を要したからであり、類書はまあ、当分出てこないのではないかと思います。

なお、この本の出版に大貢献のあった、弁護士の高垣勲さんは、出版を待たずに、インドの法律事務所に赴任されました。信託法の改正直後に本を出版されるような先進的なセンスとフレンドリーなキャラの持ち主の方であられます。お腹大丈夫かなぁ。

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2011年2月 8日 (火)

FPジャーナル シニア世代の資産管理を考える

フィナンシャルプランナー(CFP AFP)向けの月刊誌としてFPジャーナルがありますが、2月号は「シニア世代の資産管理を考える」を特集しています。

 今年は、相続税の増税が予想され、相続を話題にしている雑誌が増えていますが、相続は、あくまでもご本人の死後のこと。

 財産をお持ちのご本人の生活がきちんと賄えるようにできて、それからの問題なのですね。

この特集は、老後の生活で、体力も気力も衰える中、どうすれば、自分の生活のためにお金を使えるか、自分で資産管理ができなくなった場合のサポートとして何があるかということが書かれています。

その手法として、ひとつは、成年後見人があり、ひとつは信託がある。

成年後見人の仕事は、身上監護と資産管理、信託の仕事は資産管理。

この両方を上手に使うことが解決の道筋ですよということ。

両者をミックスした方法として、先日、公表された成年後見支援信託がありますが、これは、被法定成年後見人のみが対象で、被保佐人、被補助人、被任意成年後見人は適用外のようです。

資産管理を念頭にした信託として、三菱UFJは、「家族安心信託」を開発し、こちらは、最長30年 受託額は最低1,000万円、中央三井は「安心サポート信託」を6年前に開発、最長25年間、受託額は最低3,000万円。いずれも、金銭信託、金銭以外の資産を信託する商品ではないです。

こちらも成年後見人とセットにすれば、より資産管理に役に立つ。成年後見支援信託は、被後見人の死亡により終了ですが、こちらは、その後の遺族の資産管理にも使えますし。

ちなみに私も、この特集に「個人信託の可能性と課題」を寄稿しております♪

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2011年2月 4日 (金)

後見制度支援信託

 新日鉄と住友金属の合併がどーんと話題になっていますが、今日は、久々に信託大好きおばちゃんらしく、後見制度支援信託

信託協会のプレスリリースから

 成年後見開始事件数は高齢化の進展や介護保険制度の導入とあいまって急増しており、平成21年の開始事件数は22,983件と、制度開始当初(平成12年)の4倍超となっております。他方で、件数の増加に伴って、不正事例が発生していることも踏まえて、ご本人の財産の管理・保護のあり方を含め、適切な後見事務を確保するために信託を利用することができないかという問題意識から、最高裁判所事務総局家庭局の提案で、後見制度における信託制度の活用について法務省民事局を含めた三者で勉強会を開催し、信託制度の機能を活用して後見制度を財産管理面で支援するものとして「後見制度支援信託」のしくみを取りまとめ、本年4月から開始することとなりました

以前、こちらのブログでも書いたのですが、成年後見制度の最大の難所は、後見人が、被後見人のお金をねこばばすること。これを防止する為にお金を信託しましょう、しかも受託者が大信託銀行だから、間違ってもねこばばすることはない。

たぶん、ご本人のお金を家庭裁判所の指示で、信託し、必要に応じて引き出すことになるのだと思います。後見人が、自分のためにお金を多額に引き出したいといっても、受託者のチェックが入るからたぶん無理でしょう。このように信託を入れるだけで、ある程度以上の効果はあると思いますね。

まだ、リーフレットができていないから、このくらいしかわからないなあ。

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2011年1月20日 (木)

生命保険信託の事例

昨日の産経ニュースから

生保信託が初契約 保険金使途オーダーメード

2011.1.19 03:00

 死亡保険金の受取人や使途をあらかじめ柔軟に指定できる「生命保険信託」に広がりの兆しが出てきた。プルデンシャル生命保険と中央三井信託銀行が共同開発した商品では、このほど初めての契約が成立。少子高齢化の進展で、死後の保険金の使い方に対するニーズは多様化しており、数少ない成長性のある金融商品として注目されている。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110119/fnc11011903010014-n1.htm

昨年の7月ころ、生命保険信託ができましたという話題がありましたが、第一号がでてきたようです。

両社による生保信託の第1号契約者は佐賀県に住む50歳代の女性。夫と死別しているため、知的障害がある30歳代の長女が、自分の死後にどうやって生活するかとの不安を抱える。

 今回の契約では、女性の葬儀費用を保険金から支払うほか、保険金財産の信託を受けた中央三井信託銀が、保険金の中から長女に毎月の生活費を振り込む。

生命保険信託とは、保険金を受取る権利を信託して、渡したい人に渡したい形で支払うことができるようにしたもの。

普通の生命保険契約でも受取人を決めることができるけど、なかなか難しい問題があるらしい。

たとえば、ちゃんとした配偶者はOKだけど、内縁の妻は難しいとか、

また、受取り方式は、年金や一時金があり、受取人の裁量で、年金払いを一時金にかえたりすることもできる。でも、受取人が浪費家の場合は、固定で支払い続けてほしいというニーズもあるが、支給方法を制限するようなことは、いまの生命保険では難しい。

また、当初受取人の次の受取人を決めたいような場合、たとえば、保険金は、当初は配偶者に毎月、一定額を支払いたいが、死亡した場合は、残額を公益法人に寄付したいというニーズもあるがこれは、いまの生命保険では難しい。

このようなものが信託を使うことにより可能となる。

なんだ、かんだで民事信託に対するニーズは広がっていますが、私が知っている限り、信託財産は、預貯金、投資信託、株や不動産。 なぜ、信託かというと、障害のある子どもや高齢で認知症ぎみの配偶者の生活を生涯守るためには、信託を利用することが最適だから。

で、生保と金融資産が競合した場合の生保の有利な点は、金融資産の場合は、相当の財産がまず必要だけど、生命保険の場合は、掛金を支払うことができれば、掛金以上の財産を創出できる可能性がある。

信託をすることにより、コストはかかりますが、それと比較してメリットがあるかどうか。

生命保険会社サイドから考えると、生命保険に冷たい税制改正が毎年行われて、節税メリットによる保険加入は難しくなってきたし、既存の契約の見直しも行われると思うから、それでも生命保険を契約しようと契約者が思うような付加価値をつけて売っていくか、コストをさげて売っていくか、いずれかの方向性でやっていくしかない。生命保険信託は、付加価値系の売り方をするための有望なツール。

さて、この生命保険信託は、今年は、どれくらい契約がなされていくか。

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2010年12月20日 (月)

いわゆる「日本版プランド・ギビング信託」

以前、こちらのブログで日本版プランド・ギビング信託について、そのときの情報に基づいて好き勝手に書きましたが、税制改正大綱がでてきて、その中に盛り込まれていました。

 この信託は、一生使い切れないくらいのお金を持っていて、使い切れないお金は、孫子に渡すより、世の為に使って欲しいと思っている人が対象だと思います。

 しくみとして、現金を個人の委託者が信託して、その人が生きている間は、その人を受益者とするけど、その人がもらえるお金は信託したお金の3割くらいで、これを、定額で支払いましょう。残りは、公益法人に寄付しましょう。生きている間にも、一定の金額の範囲で寄付できますよ。亡くなったら、全部、寄付してもらいますよというもの。

 信託財産は、国債やら預貯金やらで運用するけど、メリットとして、利子にかかる税金(20%)が非課税になります!寄付した部分は、寄付金控除か税額控除が使えますよ!

 公益信託というのが、従来からあるけど、あれとは、ちょっと仕組みが違います。あっちは、信託した時点で、自分の手許から財産が離れるようなものだけど、こっちは、信託した時点では、お金が、自分手許から信託銀行に移ったようなもの。でも、自分がもらえるのは、上限3割で、残りはいつか公益法人にいってしまうようなもの。

 それなりにお金持ちはいるし、世の為に貢献したいと思っている人もいると思うから、遺産に期待を寄せている家族等がいないお金持ちの人だったら問題はないと思うけどねえ。

 

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