もし、山梨県民信用組合の資本増強が自己信託だったら
今日は、あんまり面白いニュースがないので、ニッチな信託ネタです。
税理士法人UAP、株式会社UAP信託さん編の「詳解 信託の税務」が、なかなか面白くって、ときどき、めくっています。この本をはらっと読んで、以前このブログで書いた
山梨県民信用組合の資本増強に信託を利用しているという記事を思い出し、再考してみました。
どういうスキームだったかというと、
全国信用協同組合連合会が山梨県民信用組合から 優先出資証券578億円(既存分128億円、新規分450億円)を引き受ける。
これらの優先出資証券を、 あおぞら信託銀行(受託者)が引き受ける。
受益権を優先受益権(450億円)と劣後受益権(128億円)にワケワケする。
優先受益権の受益者は、整理回収機構、劣後受益権の受益者は、全国信用協同組合連合会。
優先受益権の配当は確定配当で 配当率はTIBOR+1.73%(上限8%)劣後受益権の配当は実績配当
信託期間はいずれも25年(延長可能)エライ長いな 永久債に限りなく近いかもしれない。
で、この信託の受託者が、もし、あおぞら信託銀行ではなく、全国信用協同組合連合会だったらという仮定で、何か大きな問題はなかったかということをちょっとだけ考えています。
大きな問題はありましたね。そ、税金の問題です♪
もし、このスキームが自己信託だったら、これ、法人課税信託というものになっていたのではないかと。法人課税信託だったら、信託財産から生ずる所得について、信託段階で課税されるので、投資家に分配される利益が減ってしまうのです。
なぜ、これが、法人課税信託になるかというと、
○法人課税信託になる要件として、法人が委託者で自己信託した場合で、存続期間が20年を超えるものは原則として、法人課税信託になりますよ。
これは、信託期間が最低25年だから 原則的には、該当する
○例外規定として、信託財産に属する主たる資産が償還期間20年を超える金銭債権を含む金銭債権であることが見込まれていた場合
これ、金銭債権なんですね、金銭債権等じゃない。金銭債権等だったら有価証券も含めるという条文が近くにあるんだけどね。
信託財産の優先出資証券って、有価証券じゃないのかなあ。金銭債権って、たとえば、貸付金みたいなものでしょ。有価証券は金銭債権とは違う。だから、例外規定には該当しないような気がする。 したがって、法人課税信託となる。
でも、この条文、今後の使い勝手を考えると、金銭債権じゃなくて金銭債権等にしといてもいいような気もするけど。
じゃ、もし、信託期間が20年として、延長可能だったらどうなるのか?
これは、お上のお言葉を引用
「契約の自動更新条項があるなどの理由により結果的に20年を超えてしまったような場合には、上記要件には該当せず、法人課税信託には該当しない」
ということは、もし、信託期間が20年(自動更新付)で、全信連が優先出資証券を自己信託をした場合は、課税リスクは回避できるということ かな♪