2009年11月 5日 (木)

もし、山梨県民信用組合の資本増強が自己信託だったら

今日は、あんまり面白いニュースがないので、ニッチな信託ネタです。

税理士法人UAP、株式会社UAP信託さん編の「詳解 信託の税務」が、なかなか面白くって、ときどき、めくっています。この本をはらっと読んで、以前このブログで書いた

山梨県民信用組合の資本増強に信託を利用しているという記事を思い出し、再考してみました。

どういうスキームだったかというと、

全国信用協同組合連合会が山梨県民信用組合から 優先出資証券578億円(既存分128億円、新規分450億円)を引き受ける。

これらの優先出資証券を、 あおぞら信託銀行(受託者)が引き受ける。

受益権を優先受益権(450億円)と劣後受益権(128億円)にワケワケする。

優先受益権の受益者は、整理回収機構、劣後受益権の受益者は、全国信用協同組合連合会。

優先受益権の配当は確定配当で 配当率はTIBOR+1.73%(上限8%)劣後受益権の配当は実績配当

信託期間はいずれも25年(延長可能)エライ長いな 永久債に限りなく近いかもしれない。

で、この信託の受託者が、もし、あおぞら信託銀行ではなく、全国信用協同組合連合会だったらという仮定で、何か大きな問題はなかったかということをちょっとだけ考えています。

大きな問題はありましたね。そ、税金の問題です♪

もし、このスキームが自己信託だったら、これ、法人課税信託というものになっていたのではないかと。法人課税信託だったら、信託財産から生ずる所得について、信託段階で課税されるので、投資家に分配される利益が減ってしまうのです。

なぜ、これが、法人課税信託になるかというと、

○法人課税信託になる要件として、法人が委託者で自己信託した場合で、存続期間が20年を超えるものは原則として、法人課税信託になりますよ。

これは、信託期間が最低25年だから 原則的には、該当する

○例外規定として、信託財産に属する主たる資産が償還期間20年を超える金銭債権を含む金銭債権であることが見込まれていた場合

これ、金銭債権なんですね、金銭債権等じゃない。金銭債権等だったら有価証券も含めるという条文が近くにあるんだけどね。

信託財産の優先出資証券って、有価証券じゃないのかなあ。金銭債権って、たとえば、貸付金みたいなものでしょ。有価証券は金銭債権とは違う。だから、例外規定には該当しないような気がする。 したがって、法人課税信託となる。

でも、この条文、今後の使い勝手を考えると、金銭債権じゃなくて金銭債権等にしといてもいいような気もするけど。

じゃ、もし、信託期間が20年として、延長可能だったらどうなるのか?

これは、お上のお言葉を引用

「契約の自動更新条項があるなどの理由により結果的に20年を超えてしまったような場合には、上記要件には該当せず、法人課税信託には該当しない」

ということは、もし、信託期間が20年(自動更新付)で、全信連が優先出資証券を自己信託をした場合は、課税リスクは回避できるということ かな♪

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2009年10月15日 (木)

事業証券化と自己信託

なんだか、最近、信託まわりの記事ばっかりかいております信託大好きおばちゃんです。

 法律時報81巻9号「シリーズ 新信託法制と流動化・証券化8」で、宮澤秀臣さんが「事業証券化と自己信託・1」をお書きになられていらっしゃいます。

 事業証券化 事業の信託の一種ですが、宮澤さんは、病院事業の証券化 具体的には国保や社保の診療報酬債権を自己信託して、資金調達しましょう♪ 問題は何かなということにフォーカスしていらっしゃいます。

 病院事業は、設備投資が常に必要で、しかも、設備が入ってきたら、どっと患者さんがやってきて売上が爆発的に増加したなんてことはまずない。

 だから、資金調達をどうするかが重要です。資金調達の引当は、既にある診療報酬債権だけでなく、将来の債権も引当にするとしとかないと、資金の出し手が躊躇してしまう。

 なぜ、自己信託(医療法人自体が受託者となる)かというと、病院事業は許認可事業ですが、自己信託の場合、病院=委託者=受託者だから、新たに許認可をとる必要がない。

 病院が診療報酬債権を自己信託し、受益権を合同会社に譲渡し、合同会社が投資家等からお金を調達し、受益権の代金を病院に支払うというようなものです。

 問題点について

 報酬債権の支払先を受託者でなく、受益者(合同会社)にできないか? ちょっと無理かな。

 コミングリングリスク 診療報酬債権の入金口座は、たぶん他の入出金と同じ口座の場合が多いと思います。ちゃんと分別管理できるだろうか。万が一、病院がつぶれた場合、診療報酬債権を受益者のために守ってもらえるか

 将来の診療報酬債権を当てにしているので、適切な経営計画を策定し、それが実行されるか。最初の見極めも大事だし、途中でのチェックも必要。

診療報酬債権を信託すると、この報酬債権を当てにしていた他の債権者に迷惑がかかる場合もある。あとで大問題になることもあるから根回しが大事。

 簿外債務が生じたらどうするか。 予測されるものは事前に対策を練ることができるけど、想定外が生じたらどうするか。 想定外の簿外債務が、ほぼ、生じないくらいの入念な調査が必要。

 ということかな♪

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2009年10月13日 (火)

信託社債と証券化

法律時報10月号に藤瀬裕司さんの「信託社債 シリーズ 新信託法制と流動化・証券化10」という記事があります。

 信託社債は、信託が発行する社債で、信託法には明確な定めがありませんが、会社法施行規則等で会社が発行する場合のルールが定められているようです。

この信託社債を、証券化の新しいツールとして利用できないか、その場合の信託法や会社法上の検討課題はなにかということが書かれています。

現在、証券化における信託の使われ方は、ビークルではなく、資産を投資家のニーズに応えられるような形(優先・劣後など)に転換させるツールとしてです。

 でも、信託社債を利用することにより、信託を転換ツールではなく、ビークルとしても利用できるのではないか。

 どうするかというと、たとえば、不動産を信託し、オリジネーターが受益権を取得する。信託財産を引当として信託社債を発行し、そのお金で受益権部分を償還して、オリジネーターが資金調達をすることもできるし、受益権を売却して資金調達することもできる。

 このスキームは、自己信託でも可能。自己信託だったら、誰でもできるけど、だから、怖いところもあるよ。

 また、信託から生じた債務に対して、原則的に受託者は、固有財産も引当にしないといけないけど、それは、特約をつけることや限定責任信託にすることで回避することはできるよ。でも、平成20年度 限定責任信託の事例はなかったみたい。

あえて、固有財産も信託債務の引当にできるようしておくことによりカバード・ボンド類似信託をつくれるよ。ネガティブ・プレッジ条項(他の債権者のために担保を設定したらだめ)にひっかかるという問題点があるかもしれないけど

というようなことかな。

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2009年10月 3日 (土)

中国の信託法

昨日、早稲田で「中国における信託法の適用における問題点」ということで、王涌中国政法大学教授のお話を伺っていました。

 そのお話のメモをベースにまとめてみると

 中国はここ最近不動産バブルの状況です。なぜ、そうなったかというと、中国政府が必要なお金を調達するために、不動産を売却する必要があったからのようです。ただ、売却したくとも買い手がいなかったらどうしようもないので、緩和した金融政策を選択し、その結果、金持ちが不動産を投機の対象として売買するにようになり、ますます、不動産の価格が暴騰しました。他方、貧乏な人たちは、お金がないから不動産を買うこともできず、格差の激しい社会となっています。

 これじゃ、いかん。ということで、何らかの措置を考えているのですが、いま、考えていることの一つが信託を利用した土地の売買等だそうです。これは、2つの方向があって、ひとつは、金持ちの役人等が、特別に知りえた情報に基づいて不動産を売買して、ぼろ儲けすることを避けるために信託を利用するというもの。もうひとつは、農民が集団所有している土地を流通させることが現状では難しいことから、農民が収入を得ることができず貧しいという問題があるので、この問題緒の解決のために信託を利用できないかということです。

信託法の理論的な問題としては、

       信託における2重所有権の問題をどう考えるか

       信託とは、物権か、債権か

王さんは、信託は、物権的なものだと考えていらっしゃるようです。日本では、債権説の方が有力ですが、あまり、物権か債権で大きな問題となることはありません。消滅時効の年数がどうなるかというような点では問題となるようですが。

実務上の問題として

       商事信託は発展したが民事信託は発展していない

       信託登記が行われていない。

       信託の概念が明確ではない。

日本も民事信託はあんまり発展していませんが、中国で発展していないのは、信託法がアバウトなところにあるようです。

信託登記が行われていないのは、信託は登記をしないといけないということは信託法?で決めていますが、どのように登記をするのかというルールがないからだそうです。

ちょっと、驚きですね。

信託の概念が明確ではないので、たとえば、証券会社等が資産管理を行うときに信託と同じようなことをしているけど、これは信託ではないととらえられているようです。そうすると、何が問題かというと、信託会社は信託業務しか行えず、資金調達は私募に限られているそうですが、証券会社等は、公募で資金調達もできるよで、よりいっぱいお金を調達してビジネスが展開できる。そうすると、信託は他の金融機関との競争に負けてしまうというようなことがあるようです。

現在の中国の信託法は、2001年に作られたようですが、2010年にまた改正するようです。より使い勝手をよくするということだと思いますが、上にも書きましたように農地の問題を信託を利用して解決したいという意思があるようです。農民をほんとうに怒らせると大変なことになるからなのでしょうね♪

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2009年9月16日 (水)

またまた、山梨県民信用組合の資本増強は信託方式 バージョンアップ

 JDC信託が免許取り消しになっちゃいましたね。まあ、受託者としては、絶対にやってはならない、信託財産のねこばばをしちゃいましたからねえ。

 で、金融庁のお仕置きはどんなのかなあと思って金融庁のHPに飛んでみたら、全国信用協同組合連合会に対する信託受益権等の買取りの決定について

 なーんていうものがありました。

以前、弊ブログで、山梨県信用組合に対する全国信用協同組合の資本増強は、いったん全信連が優先出資証券を引き受けて、自己信託をして、優先受益権を国に買ってもらうのではないかと、日経の記事だけを頼りに想像して考えて書いてみたのですが、実際は違うようです。ごめんなさい。

実際は、全国信用協同組合連合会が山梨県民信用組合から 優先出資証券578億円(既存分128億円、新規分450億円)を引き受ける。

これらの優先出資証券を、 あおぞら信託銀行(受託者)が引き受ける。

受益権を優先受益権(450億円)と劣後受益権(128億円)にワケワケする。

優先受益権の受益者は、整理回収機構、劣後受益権の受益者は、全国信用協同組合連合会。

優先受益権の配当は確定配当で 配当率はTIBOR+1.73%(上限8%)劣後受益権の配当は実績配当

信託期間はいずれも25年(延長可能)エライ長いな 永久債に限りなく近いかもしれない。

信託報酬は、いずれも委託者である全国信用協同組合連合会が負担

だそうです。

信託大好きおばちゃん的には、かっこよく自己信託でやって欲しかったなあ。受益者2人ということですから、これだけみたら、別に信託の免許だ登録だってことにはならないはずですしね。

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2009年9月 5日 (土)

アメリカ信託税制の諸問題 没になった2つの課税方式

今日はお天気な土曜日♪ ちょっと落ち着いて文章を書いてみました。

 信託239号(信託協会)で渕准教授が「アメリカ信託税制の諸問題」を寄稿されていらっしゃいます。

 アメリカは信託のメッカであり、課税方式も定着していると思うのですが、現行の課税方式を決める際にいくつか検討されていたようです。検討され、没になったものの中で、信託大好きおばちゃんがピッときたものを2つ紹介します。

 日本の信託の課税方式の基本は、信託財産そのものを受益者もっているものとし(実際は受託者)、発生した収益費用も、そのまま、受益者に帰属すると考えます。つまり、信託財産が土地で、賃料収入が発生したら、発生した時点(受益者に分配がされる時点ではない)で、受益者に賃料収入が発生したものとして、受益者に課税されます。こういう風な課税方法は、パススルー課税とかいわれます。

 私が注目した課税方式は、信託段階での所得計算は、原則的には(収益をすぐ受益者に分配するような場合)行わないが、パススルーじゃない。受益者が信託財産をもっているととらえるのではなく、信託に対する投資持分を有していると考え、信託した土地から賃料が生じてもそれは受益者に賃料が発生したものと考えず、投資利益が生じたものとして考えます。組合課税の純額法に近いかもしれませんが、でも違う。

この2つの方法ですが、事例を作って考えてみます。

(前提)

Aが土地を信託期間20年でXに信託します。収益受益者はBで、信託終了後に土地はC(元本受益者)が受取ります。B,Cは信託受益権の対価を支払っていません。ただでもらったんだったら贈与税払え(アメリカでは贈与した側が払うはずですが)となるのですが、その場合の各受益権の税務上の取得価額を計算したらBが200円 Cが150円となりました。論文から推察すると、この算定は保険数理とかも使うらしい。よーわからん。

(取得時)

取得時の仕訳は、2法とも同じです。つまり、

B  収益受益権 200 受贈益 200

C  元本受益権 150 受贈益 150

1法 これは、受託者段階では、原則的には、課税せず、ダイレクトに受益者に課税し、受益権の価額を増減させます。

1年後に 収益15円が発生した。

B  受益権 15   信託利益  1

ただし、当初の収益受益権(本件では200)は信託期間を通じて償却していきます。収益受益権の価額というのは、収益受益権者が収益の納税義務者となる場合には、営業権のようなものだから償却しないとね。仕訳は次のとおり。

B  償却費 10  受益権 10

もし、信託利益15が分配されたら、その時点のBの仕訳は次のとおり

B  現金 15   受益権 15

信託期間が終了し、Cが土地を受取った。この時点での土地の評価額は250だった。

この場合、Cの元本受益権の価額が150だから差額100の利益が生じているのですが、この100について課税するのか否か。論文では、信託段階での所得の元本への組み入れは元本からの分配については適当な調整がなされるとあるのですがよーわからん。

受益権が土地に転換しても実質的にかわらないし、担税力ないから課税しないとなるのかな。そうなると仕訳は次のとおり。

C  土地  150   受益権 150

論文では、信託段階での分配可能額の増加については、信託段階で課税されるとなっています。これは、たとえば、上記事例で、信託期間中に土地を売却するけど、売却代金のCへの分配は信託終了時で、売却時点から分配時点まで時間がかかるような場合は、Cに課税せずにX(受託者)に課税しましょうということと理解しています。

2法は、おそらく、賃料収入が発生し、お金が入ってきて、期間をおかずに収益受益者Bに分配した場合は、信託段階で課税せず、ダイレクトにBに課税するけど、利益を留保した場合は、信託段階でいったん課税して、分配した時点で還付しましょうというやつと思います。

信託して1年後に収益15が生じたが、この収益は10年くらい留保する。

X(受託者)  現金 15   賃料収入 15

この利益に対して税金を6支払った。

X       税金 6     現金   6

10年後 この収益をBに分配することになり、税金6を還付してもらった。

X       現金 6    還付税金  

        分配金15   現金    15

B       現金 15   信託利益   15

受益者はあくまでも現実に分配された時点で課税されるべきであるという思想がまず根っこにあって、だけども、そうすると信託に留保された利益に対する課税逃れがあるから、それについては、信託段階で課税するしくみにしましょうと整理しています。

合理的といえば合理的。もし、この手法を採用するならば、従来の信託税制をいったん壊して再構築するようなところもあります。誰でも理解できて、使えて、税金を払うことに納得できる形になればいいのですが、すでにジャングルのように存在している既存の税法や国際課税の諸問題、それに組合(任意組合やら匿名組合やら)の課税の整合性なんて考えると、どうなりますことやら♪

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2009年9月 3日 (木)

なぜ「アメリカ信託税制の諸問題」という論文が書かれたのか?

今日はニッチな信託ネタ 信託239 という雑誌に淵圭吾学習院大学法科大学院准教授が「アメリカ信託税制の諸問題」という論文を書かれています。

 以前、松永和美さんが信託238号に「米国の信託の税制について」という論文をかかれましたが、どうもシリーズのようです。

 この辺の分野に関して、日本では、論文が皆無で、かつ、将来的に日本においても発展する可能性を秘めているので、マニアには面白い。お宝、ひとつ見―つけた♪

 この論文は、ざーっとアメリカの信託税制の体系とそれぞれの課税の問題、そして、立法に際し、採用されなかったけど検討された課税方法まで詳解されてます。

でもなぜ、こんな論文を書いたのだろう。 なーんとなく 某お上の影を感じるのですがね(笑)。

 この答えは、論文の「まとめ」にさわりがあるので引用させていただくと

「日本で民事信託に対する所得課税を構想する場合も、信託という法形式から一律に課税ルールを決めるのではなく、信託財産を構成する資産の帰属の実態に応じた課税ルールを適用することを目指すべきだと思われる。」

 これですね。 今の日本の信託の税制、民事信託に限定すると、税法的には受益者等課税信託ということになるのですが、このルールで統一的に課税するのはいかがなものかということか。

 アメリカの信託税制では、民事信託というか家族の資産管理信託というくくりと、利潤追求型の信託というくくりに大きく分かれていて、日本でもおなじみのパートナーシップ課税は利潤追求型の方になるみたい。民事信託の方は大きく分けると2つあって、1つは、委託者が信託財産をもっているとみなして課税する方法であり、もうひとつは、信託財産をひとつの納税義務者として課税するけど、受益者に分配する場合は、限度額の範囲内で分配額を所得から差し引いて税金が計算できるしくみだと思います。

 ただ、このような制度となる過程ではいくつかの方法が検討されており、日本で民事信託の課税を検討する場合は、この採用されなかった方法の中にヒントがあるように思えます。どんな方法があったのか。それは、長くなるので、いずれこのブログで書きます。

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2009年8月26日 (水)

持ち合い株終了信託

 ネタが尽きて、信託ネタをブログに書くと、不思議と信託の記事が紹介されます。

今朝の日経の経済2面に「持ち合い株 信託で解消 住信が新型譲渡後も実施議決権」という新商品を販売するという記事があります。

 これは、どういうものかというと、株式に他益信託(委託者≠受益者)を設定する。ただし、信託期間中の議決権は委託者である企業が持つというもの。じゃないかなあ。違ってたらごめんなさい。

受益者は、記事のケースだと、ドイツ証券。 信託により株式は住友信託に移転され、名義も住友信託となるけど、配当はたぶんドイツ証券が受け取り、信託終了後、株式はドイツ証券に移る。委託者側は信託を設定した時点で、経済的利益がドイツ証券に移るからこの時点でドイツ銀行からお金をもらう。ただ、信託期間中の議決権は委託者がキープ。

この信託は別に新しいものでもなんでもなくて、昔からあったと思います。ヒルズ黙示録という、なつかしいホリエモン騒動のお話の中でも登場していたスキームじゃないかな。

会社法上の問題点として、受益者はドイツ証券だけど、議決権指図権は、株式からの経済的利益をまったく享受できない委託者がキープするということはいかがなものかというものがあるのではないか。たぶん、エライ先生がノープロブレムとおっしゃったのでしょうけど。

税法上の問題点として、 信託期間中の議決権は評価0であるということを認めることになりますよね。 

上場会社の株で、信託した株数が少なく、その議決権の株主総会の中での影響もそんなに大きくないような場合は、議決権評価0でもまあいいかなと。株主にとって株をもっている価値は、議決権ではなく、配当やキャピタルゲインを生み出す含み益だから。

でも、昨日も書いたのですが、非上場会社のオーナー系の株式の価値というのは経済的価値ではなく会社支配権すなわち議決権であると考えると、議決権指図権は無償で税法上もOKよとやっちゃうと、いろいろ面白いことがおこるわけでして。

この辺のうまいさじ加減が、いまほど、お上に求められる時はないでしょうねえ。どうするんだろう。

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2009年7月15日 (水)

山梨県民信用組合の資本増強は信託方式

 今朝の日経の経済2面に「山梨県民信組への資本支援 全信組連、信託方式で、リスクを政府と分担」という記事があります。

 信用組合というのは、

「信用組合は、組合員によって組織されている協同組織の金融機関です。組合員は、地元の中小企業や住民、勤労者に限られています。つまり信用組合は地域の人々によって組織運営されている相互扶助の精神をいかした地域密着型の金融機関です。」

http://www.yamanashikenmin.shinkumi.jp/shinkumi.html

 この信用組合が元気がない。いろんな事情があると思うのですが、次のようなディスクローズもあります。

平成21 3 27 日 「前理事長並びに前常務理事1 名に対する損害賠償請求訴訟について」

 さて、調子が悪いといっても、金融機関をあっさりつぶすと負の連鎖がおきかねないので、信用組合の親玉の全信組連が、過去に支援されたようですが、今回は、信託を用いて、全信連だけでなく国も巻き込んだ支援をなさるようです。

 記事からの推測ですが、 山梨県民信用組合が優先出資証券を全信組連に引き受けてもらう。この優先出資証券を全信組連が、おそらく自己信託(自分がもっている資産を自分に信託すること)して、優先受益権と劣後受益権にわけ、優先受益権部分を国にもってもらうというものだと思います。

 全信組連は、おそらく、信託業の免許をもっていらっしゃらない(詳しく調べたわけではないので、間違っていたらごめんなさい)。このような場合、営利を目的として継続的に信託の引き受けビジネスをしたらいけないのだけど、自己信託の場合は、規制が少しゆるいし、コストも削減できるしね。社会的責任があるから、無報酬でやっているので、民事信託となるのかもしれませんが。

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2009年4月15日 (水)

セキュリティ・トラストの登記

 昨日、みずほのセキュリティトラストのエントリーを書いたのですが、セキュリティトラストについてちょっと調べようと思って金融法務事情N01795No1796「実務研究会報告 セキュリティ・トラスト活用に向けての法的課題(上)(下)」を読んでみました。

セキュリティ・トラストの場合、委託者が債務者 受託者が担保権者 受益者が債権者という形をとり、債権者と担保権者が別人という特徴があります。

 不動産を使ったセキュリティ・トラストの場合は、抵当権登記と信託の登記の二つが必要です。

 債権者が受益者だから、債権者の名前を受益者のところに書いて、譲渡の場合は受益者の変更の登記をすることになるだけだから、従来よりも簡単という理解だったのですが、

もっと簡単なようです。

 不動産登記法(信託の登記の登記事項)

第九十七条  信託の登記の登記事項は、第五十九条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

  委託者、受託者及び受益者の氏名又は名称及び住所

  受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定めがあるときは、その定め

この2号は信託法の改正とともに改正が行われたようですが

上記論文のNo1795の34ページを引用させていただくと

「信託契約における受益者の定めについて、受益者の具体名ではなく、そのときどきの被担保債権の債権者と定めた場合、信託目録においても、「受益者の指定に関する条件又は受益者を定める方法の定め」を登記するのみで、受益者の名称・住所は表示されないため、債権譲渡を行った場合に、受益権の譲渡手続が不要であるだけでなく、変更登記を行うことも要しないと考えられる。」

担保付債権が頻繁に譲渡されるような場合の手間がはぶけるというメリットがあるようです。

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2009年4月14日 (火)

みずほのセキュリティトラスト

久々の信託ねたです。 

 今朝の日経の経済1面に「みずほ信託とコーポ銀 動産担保融資で新手法」です。

 みずほ銀行が、古河電気工業に200億円のお金を貸すけど、セキュリティトラストという手法を使いますよというお話。

銀行さんは担保の管理業務を信託銀行に任せるので楽になり、古河さんは、無担保融資よりコストが安いというメリットがあるようです。一般的に動産担保融資というのは、信用リスクのある会社に貸すので利息が高いとお聞きしたことがありますが、上場会社の古河さんですからそんなことはないということでしょう。

信託報酬はどっちがとるのか? ここはわかりませんが。

セキュリティトラストという手法は、新信託法により一般的に可能になった担保権を信託しましょうというものです。普段は委託者が、担保の対象となった資産を利用できるけど、もし、万が一のことがあったら、信託銀行が担保を競売にかけて換金し、その代金を受益者である銀行さんなんかに払うというものです。

担保権者=債権者というお約束の例外

被担保債権が譲渡されても、担保権の設定しなおしをせず、受益者変更だけでよいということ等のメリットがあるといわれてます。

セキュリティトラストの設定の仕方としては、直接設定方式(債務者が債権者を受益者と設定し、受託者に担保権を設定するもの)二段階設定方式(いったん担保権を設定してから、その担保権自体を信託するもの)あるようです。

条文は、特定の者との間で、担保権の設定だから直接設定方式を規定しているけど、二段階設定方式も認められていると解されているようです。

記事によると「みずほ信託が担保権を設定。その上で、みずほ信託は担保の受益権をみずほ銀に受け渡すという仕組み。」なんとなく直接設定方式のような気がします。

法律が改正され、利便性のあるものといわれたセキュリティトラストがあんまりブレークしていないのですが、そろそろ浸透していくのでしょうかね♪

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2009年3月26日 (木)

平田副大臣はなぜ、株を売却したのか

 

ひさびさに紙面に信託という言葉がでてきたので反応した信託大好きおばちゃんです。

日経の社会面のタイトルは「保有株、信託せず売却 平田財務副大臣 市場価格の2倍 大臣規範に抵触」

 あんまりいい話題ではありませんね。

 日本では、大臣のような公職につかれた人のために倫理規定が設けられていて、その中で、在任中に有価証券などの取引を自粛するために信託してねというものがあります。

 ところが平田さんは、このルールに従わず、ジャスタック上場のチヨダウーテ株を信託せず、ゼロシステムという会社に時価の2倍くらいの対価で売却したようです。

 そんなことしたら、自分の首が飛ぶかもしれないのになぜやったのでしょう?

 チヨダウーテは ジャスタックに上場されていますが、平田さん一族が作った会社のようであり、副大臣自身も以前は社長をしていらっしゃったようです。 ゼロシステムというのは、副大臣のオーナー会社

 副大臣との一問一答(日経)を読むと

「株式の信託は、ゼロシステムから売ってくれといわれていたのでできなかった」

 ゼロシステムは副大臣の会社 売ってくれと自分がいっているようなもの

「売却額の使途は、一部は自分の借入金の返済に使うが、残りはゼロ社に貸付金として残し、同社の増資に使う。現金化する気はなく、選挙資金にも使わない」

 これは、平田さん個人の借金を返済する必要があるためでしょうね。 記事によるとゼロシステム自身は株式購入の資金を自社資金でまかなったとされていますけど、6億円の資金があったのかなあ。平田さんの借金をゼロに付け替えたようなものではないかな。どうしても平田さん自身が借金を返済する必要があったからではないのか。

平田さん自身は、株の売却代金を返済に当てて、残りは貸付金とし、将来、DES(債務の資本化)すると書いてらっしゃいますが、これだけ高額な値段で市場外の相対取引で公開株式を売却すると、株式の譲渡益に対する税金(税率20% )も馬鹿にならないはず。この税金分のお金はあるのか。それとも、平田さんのチヨダウーテ株の購入代金が高いから、時価の倍で売っても損がでて税金を払う必要がないのか?

うーん たぶん税金を払う必要のない取引になっているのでしょうね。

倫理規定違反でも罰則はないようですが、平田さんが来週の今頃も副大臣である可能性は非常に低いものと思われます♪

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2008年12月 4日 (木)

日本版ESOPの報告書

遅ればせながら、平成201117日に新たな自社株式保有スキーム検討会が「新たな自社株式保有スキームに関する報告書」を公表されました。

 これ、日本版ESOP 従業員持株会の進化版?みたいなものです。

 中間法人や信託を利用して、自社株をプールさせて、その自社株を、持株会に売却したり、一定期間経過したら、一定の従業員にプレゼント♪するようなものです。

 このスキームについて、会計、会社法、労働法、税務の4つの観点から検討が重ねられています。

 さーっと読んだ信託大好きおばちゃんの思いつきの感想

 会社法の視点からは、たとえば中間法人が株を持った場合、子会社が親会社の株をもっちゃだめの規定に反しないかという問題点や、自己株式とみられないかという問題点が検討されています。

 自己株式とみられちゃうと、議決権は行使できないは、配当ははゲットできないはとなり、このスキームを作った意味がなくなるのですよね。で、自己株式にはみられませんよというような理屈付けが細やかになされています。

 他方、税務上、信託を使った場合は、 委託者である企業が、その信託の受益者であるとみなされるように契約を作っていこうとしてますね。 旧信託法時代に広島ガスでESOPを設計したときは、たしか、委託者に変更権を与えないとしていたけど、今回は委託者に変更権与えてますしね。

 なぜそうするかというと、委託者が受益者でないとすると、おそらくこの信託は法人課税信託となって、課税関係がややこしくなる可能性があるからでしょ。

 労働法はちょっとおいといて、問題が会計なんですね。 アメリカではESOPは個別財務諸表にいれるみたいだし、国際会計基準では、たぶん、通常は連結財務諸表にいれましょうねという方向性。

 じゃ、日本はということで、中間法人、信託にわけ、現行のルールをあてはめていろいろ論じていらっしゃるのですが、結局のところ、どうすればいいの、何を尺度に判断すればいいのということが霧の中です。まあ、この報告書は論点を洗い出されたところに価値があるようなものだから、これはこれで素晴らしいのでしょうけど。

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2008年9月25日 (木)

普通預金の一部を自己信託することは可能か?

 久々に、超マイナーな信託ねた♪ ぐぐっとヒット率が落ちるのでしょうけど気にしない気にしない。だって、信託大好きおばちゃんのブログだもん♪

 以前もこのブログで平成20年7月8日に金融法委員会が公表した「サービサー・リスクの回避策としての自己信託の可能性」をベースに書きましたが、今日もそうです。

 資産の証券化のスキームでオリジネーターが持っている債権をSPCに売却するけど、そんなことは債務者の人には知らせずに、あいかわらずオリジネーターがサービサーとして代金を回収していることも多いと思います。債権自体はSPCにちゃんと譲渡しているから、サービサーがつぶれても問題ないかもしれないけど、サービサーが代金を回収して、受託者に支払うまでの間に倒産した場合、その回収金は誰のもの?という問題があります。

 この問題を解決するために、サービサーが、回収金を受益者をSPCとかにして自己信託しちゃいましょうということが考えられています。この問題の法務的解決方法を示唆したのがこの報告書です。

 この中の論点に回収金といっても何を信託財産とするのかというのがあって、通常、回収金は普通預金に入ってくるから、この普通預金が信託財産として問題がないかということが検討されています。

 普通預金といったら残高が日々、増減するものですけど、それぞれの普通預金について口座番号が付されて特定が可能だから信託財産となるのは問題ない。だから、たとえば、サービサーの普通預金が回収金オンリーの口座で、この普通預金を丸ごと信託宣言!するのはOKだろうと。

 それじゃ、この普通預金の口座が回収金だけでなく、サービサーの他の業務の入出金もある場合、たとえば、電気代の支払もあれば、信託されてない債権の回収金も入ってくるよといった場合どうなるのか。

 普通預金の口座に入ってくるお金のうち、証券化した債権とリンクするやつだけ信託宣言!ってできるのか?

 これについて「「当該普通預金口座に係る預金債権のうち、(将来確定される)
証券化対象債権の回収金に対応する部分」という特定の仕方が許されるかどうかという点については、意見分かれ得るところであり、引き続き検討を要する。」

 だそうで、じゃ、どうするとなって出て来たアイディアが、普通預金口座丸ごと自己信託するけど、受益権を2つにわけて、1つは受益者を証券化した債権をもってるSPCとし、もう1つは受益者をサービサーである自分自身とするというもの。

 これは、信託財産の特定性を潜脱するものか? 誰の迷惑にもならないからいいじゃん♪

 受益権を不均等に2つに分けるっていいの? 別に証券化だったら優先・劣後って感じでわけてるから、これだけダメっていうのもおかしいじゃん♪

 という感じで論じていらっしゃいますから、きっと、普通預金を丸ごと信託して受益権を2つに分けるという方法になるのでしょうねえ。

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2008年9月 9日 (火)

債権譲渡禁止特約には自己信託は含まれるのか?

 日銀の金融法委員会が平成2078日に「サービサー・リスクの回避策としての自己信託活用の可能性」を公表してます。

 なかなか、読み応えがあるので、ちょっとずつ、ちょっとずつ読んでいます。

 自己信託が930日から解禁となるのですが、この自己信託の使い方の一つとして、証券化業務でサービサーが代金を回収し、その代金を債権者に支払うまでの間にサービサーがこけてしまうことにより生ずる回収不能リスクを避けるために考えられているものです。

 

 すなわち、サービサーの回収金(たぶん預金の中に入ってくるのですが)を、自己信託し、受益者を債権者とすることにより、サービサーがこけた場合のリスクを避けるというものだと思うのです。

 この自己信託の活用に関して法的問題点を多角的に検討しています。

 その中のひとつに債権譲渡禁止特約のある債権を自己信託できるかというものがあります。

 銀行の普通預金というのは、譲渡禁止をお約束しているようです。どうしてなのかというと、銀行からお金をかりたA社がこけてしまった場合、預金があったら借金と預金を相殺して貸倒の被害を減らすことができるからだと思うのです。預金をA社が勝手に譲渡したら相殺できないからね。

 じゃ、A社がこの預金を自己信託したらどうか? 信託しても、名義人はかわらないですよね。でも、信託をしてしまうと、A社自身の借入金と、自己信託したA社の預金とを相殺できなくなっちゃうのね。 名義は同じだけど、預金はA社自身とは別の存在となるから。そうなると、A社がこけてしまった場合、銀行は困ってしまう。だったら債権譲渡禁止特約のグループに自己信託も入れなきゃまずんじゃないかと思う人もいる。

というわけで、これに関してはさらに検討を要するということだそうですが、銀行が自己信託OKよ♪と言ってくれたら問題はないんですけどね。

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2008年9月 2日 (火)

タイムシェア型住宅研究会報告書(概要版)

9月は、総理がやめる月♪ 去年は安倍さん、今年は福田さん、さて、来年は???

 タイムシェア型住宅研究会報告書が国交省のHPに掲載されました。

単独で購入すると購入価格も維持費も比較的高価となるリゾート地域等の居住施設の住戸について、1年のうちの特定の期間に毎年利用することができる権利(例:501号室を毎年1月の第1週に利用することができる権利)を販売する「タイムシェア方式」の住宅供給については、本年5月にタイムシェア型住宅供給研究会を設置し、計4回の研究会の開催等を通じて、その供給促進の意義や我が国において消費者が安心して取得できる環境整備のあり方等につき議論を進めてまいりましたが、今般、本研究会の報告書がとりまとめられました。

従来から、リゾート地のマンションを何人もが共有し、共有者ごとに使える日が割り当てられるシステムがありましたが、このシステムをもっとパワーアップさせて、地方の活性化、観光の振興、住宅投資の拡大に役立てましょうということかなあ。 だって、これらの3つは、日本の将来の成長のためには非常に重要な柱ですからね。

ただ、従来のリゾートマンションの会員権は、バブルが崩壊した後、その発行会社等がつぶれちゃって、紙切れ同然になったようなものも結構あったのではないでしょうか。せっかくそれなりの値段の会員権を買っても、使うこともなく紙切れになるのだったら、もう会員権なんて買わない、余剰資金は預金に回すとみんなが考えると、日本の経済は活性化されません。

そこで、たとえば、リゾートマンションを信託して、その信託受益権を分割して、その信託受益権を購入するという方法を使うのだと思います。 リゾートマンションが信託されたら、業者や信託銀行等がつぶれてもリゾートマンションは残りますからね。で、この信託受益権の内容を、たとえば上記のように501号室を毎年1月の第1週に利用することができる権利、501号室を毎年 8月の第2週、第3週に利用する権利 501号室を毎年ゴールデンウィークに利用する権利、501号室を閑散期に利用する権利、というように分割するのでしょう。そして、これを流通しやすいようにするなら、受益証券発行信託という形にするのでしょうか。ただ、受益証券発行信託にしただけだとそんなに広まらないかもしれないから、それなりのマーケットを創設し、誰でも欲しい人は、明朗なお値段で買えることが出来るようにするのでしょうね。

概要版には、国際的な交換プログラムの活用が重要とあるから、草津温泉のリゾート会員権(正月を過ごす)と ハワイのリゾート会員権(正月を過ごす)の交換も可能にするということなのかなあ。それはいいかもしれません。だって、いくら草津温泉好きといっても、生涯正月は草津温泉というのもねえ♪

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2008年9月 1日 (月)

中小企業庁の信託の報告書はいつでるの?

 昨日のNikkei Netに次のような記事がありました。

http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT3S22007%2030082008&g=MH&d=20080831

「事業承継に信託活用を 中小企業庁が報告書

 中小企業庁は個人経営の事業主や零細企業が事業を引き継ぐ際、信託の枠組みで株式相続などの手続きを円滑に進める手法を後押しする。会社法などとの関係や活用方法を列挙した報告書をつくり、事業主や信託銀行に周知。」

 これ、今日の日経に掲載されているかと思ったところ、載っていなかったですし、この報告書もまだ公表されていませんね。

会社法などの関係というとなかなか重い腰があがらない事業信託周りも報告書には記載されているのかもしれません。

この件に関しては、ブログでは報告書がでてから書きまーす♪

それから 今朝の日経の経済面に 「別荘など「タイムシェア型住宅」所有者の権利保全を 国交省検討会が報告書「信託方式が有効」」という記事がありまして、これは9月1日に公表される予定の報告書に記載されているようなので、こちらも報告書が公表されてからブログに書きまーす。

というわけで本日は、オンリー記事の紹介でした♪

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2008年8月20日 (水)

なぜ、貸付金の証券化で信託を使うのか。

 昨日も、早稲田の信託とファイナンス特別講座を聴講してました。さすがに2度目になると、1度目より理解が深まっているのかなという感じです。

 昨日は、債権の証券化のお話と不動産の証券化のお話でした。

最近、不動産の証券化は、信託を使わないでTMKを使う手法が広がっているようです。不動産の証券化で信託を使う理由のひとつとして不動産取得税が非課税だからというのがありますが、信託を使うと信託報酬がかかるし、最近のお上はうるさいからその延長でいろいろ煩わしいことが敬遠されている理由のひとつだそうです。

それと比較するとTMKは、楽なんでしょうね。投資家が適格機関投資家だけだったら同族要件なんてややこしい問題はないし、利益の9割配当したら、通常は配当が損金となるので、その分、投資家に対する利回りが高まるからねえ。

次に債権の証券化のお話。 これは、手形債権、売掛債権、貸付債権、リース料債権、割賦債権を証券化すること、これらの債権をSPCに譲渡して、SPCが証券を発行することよりもいったん信託して受益権を譲渡することも多いようです。

なぜ、コストがかかるのに債権を直接SPCに譲渡せず、信託を使うのかなと考えると。

債権だから貸し倒れるリスクがある。投資家は、投下資本が確実に返済できないなら、よほどの利回りをもらわないと投資できない。そこで、債権を優先、劣後に切り分けて、優先受益権だけをベースに証券化することにより、貸倒リスクを減らし、信用力を高め、利回りを下げて買ってもらうようにする。これは、これはオーソドックスな理由。

以前、勉強してなるほどと思って、昨日もなるほど思ったのは、イールドカーブと、受益権の分割

イールドカーブとは、ようするに、同じ信用力のある貸付金でも、償還までの期間が長ければ長いほど、金利が高くなる。これはなぜかというといくつか説があるようですが、たとえば、自分の手元にあれば自由に使えるのに、長期間投資すると、その分お金を自由に使って利益をあげる機会を失うから、その代償により大きな利回りを要求するというようなもの。

たとえば1億円の貸付金があって償還期間が10年で利率が8%とする。毎年1,000万円ずつ元本は、返済するとする。

ちなみに償還期間が9年なら利率が7.5% 8年なら7%、、、、、1年なら3.5%の利率が妥当なレートとする。

ところで、この貸付金を信託して、11,000万円の受益権を10枚作ったとする。それぞれの受益権をベースに証券を発行し、償還期限を1年から10年として、たとえば1年の償還期限の利率を、3.5%とする。

そうすると、この償還期限1年の受益権の収支を計算すると

収入は 1,000万円 × 8% =80万円

支出は 1,000万円 × 3.5%=35万円

差引             45万円の儲け

こんな感じで利益がでるらしい。だから、証券化はおいしいと考える人がいるということもあるのでしょうね♪

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2008年8月 6日 (水)

分別管理

 昨日、毎年8月に催される早稲田大学ビジネス情報アカデミーの「信託とファイナンス」の講座に出席しました。1年ぶりですねえ。

 昨日は 住友信託の早坂文高氏の「信託Ⅰ、Ⅱ」ようするに信託法の基本をだーっと3時間で説明しましょうというものです。

 講義でも自己信託のお話があったので、ふっと思ったのですが、930日になったら自己信託が解禁になるのですねえ。私がいうのもなんですが、あと2ヶ月切っているわけです。

 自己信託、つまり、委託者が自分の財産を自分に信託すると、自分の財産であっても自分の財産でなくなるという不思議な現象がおこるわけです。自分がつぶれても、自分の債権者は、原則的には、その財産を取り押さえることができない。

 この自己信託をする際の大事なポイントの一つが分別管理です。自分の固有の財産と信託財産を分ける。土地や建物なら登記ではっきりするのですが、たとえば、棚卸資産ならどうするのか。同じ商品をまとめて買ったような場合は、倉庫に信託のもの、固有のものを別々にわかるように保管して、帳簿上もわけるというのが理想的なのでしょうね。でも、そのように分けられないものもありますよね。たとえば材料が液体で、でっかいタンクに入れないといけない。別々のタンクなんかいれることができないものもあります。このような場合は、帳簿管理しかないのでしょうね。他にもきちんと明確にわけれないものもあるはずです。共有の資産も当然、存在するはずです。微妙な時点で、微妙な状況で、地震がおきたり、受託者が倒産した場合、どうするのか。

ルールを徹底的に作っておけばいいのですが、事業なんて、想定外の連続ですからねえ。

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2008年8月 4日 (月)

公共工事代金債権信託

オフィス許認可@台東さんから、かの有名な新銀行東京さんが公共工事代金債権信託を利用した融資のサービスを81日から始めたことを教えていただきました。

HPを引用させていただくと 「東京都の信用力を背景に低コストでの資金調達が可能となります。 工事完成前に工事請負代金を現金化できます。決算書の提出が不要ですので、迅速な対応が可能です。

そういえば、工事契約に関する会計基準が昨年改正され、平成20年度で税制も改正されましたが、それとこのサービスは関係あるのかな。決算書の提出が不要だから関係はないですね。

さて、どのようなスキームかというと、

①委託者は東京都に対して保有する公共工事代金債権を、新銀行東京に信託して頂きます。

②新銀行東京は、①で受託した債権に基づき信託受益権を発行致します。

③委託者は、信託により取得した信託受益権を、新銀行東京(銀行部門)に担保として差し入れて頂きます。

④新銀行東京(銀行部門)は、③で受け入れた担保に、一定の掛け目を設定し融資を実行致します。

http://www.sgt.jp/about/newsrelease/pdf2008/080731.pdf

債務者が東京都だから、貸倒リスクがまずないので、債権を担保にお金を貸しても取りっぱぐれがないですからね。 債権者側からすると、通常融資を受ける場合は、自分の信用力をベースに金利が決まるから中小企業の場合は高い利息をとられる場合が多いけど、このケースの場合は、債権者側の信用でなく、債務者の信用力をベースに融資をするので、その分、利息が低くなるというメリットがあるのでしょうね。

決算書が不要ということでどのような書類が必要かというと

商業登記簿謄本(発行後3ヶ月以内のもの)

  印鑑証明書(発行後3ヶ月以内のもの)2

  工事請負契約書(変更契約書を含む)の写し

  受領済み前払金・部分払金額を確認できる資料

  工事履行報告書等

           その他必要に応じ、下請負人等に対する支払計画書をご提出いただくことがございます。

素朴な疑問なのですが、質権を設定するのですよね。請負業者が倒産して、会社更生法の適用を受けた場合、この質権を設定した信託受益権って影響ないのかなあ。

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2008年7月28日 (月)

おひとりさま現象と信託

 今朝の日経経済教室面は充実しています。経済教室は、前多康男慶応義塾大学教授の「世界的な金融市場の動揺 市場規律働く制度設計を」であり、ゼミナールは「観光立国への朝鮮 富裕層旅行者 受け入れ態勢整備課題に」であり、やさしい経済学は、上野千鶴子東大教授の「エイジングとポストモダン社会 おひとりさま現象」です。

 どれをチョイスするかふっと考えて、やっぱおひとりさま現象だなと思いました。おひとりさまの老後という本が75万部も売れたらしいです。信託大好きおばちゃんはまだ読んでいませんが、 3世代同居率が45%で夫婦世帯が35% おひとり世帯が16%らしいです。

 家族がいっぱいいるということは、老後、自分のめんどうをみてくれるという可能性もありますが、ドメスティックバイオレンスの犠牲になる可能性もあります。まあ、年寄りの価値というのは、お金を持っていてなんぼのもんというところもありますしね。

 上野教授は「おひとりさま」仕様の年金・社会保障制度を設計してもらいたいものと書かれて筆を置かれました。

 「おひとりさま」の老後の安定のためには、信託の利用もベストのひとつと思います。それなりにお金のある方が財産を信託されて、自分が生きている間は、毎月定額を信託から支給してもらう。病院に入ったり、介護を受ける状況になった場合も信託からの支給金で支払いを賄う。そして、自分が死亡した場合は残余財産で、葬式費用を捻出し、その後の手続きをやってもらって、残りは、自分の希望する人などに渡すというものです。

 いくらお金があっても、自分がぼけちゃったときに、そのお金を使って面倒をみてもらえるかが一番の不安なんですよね。ぼけたときに、変な人にお金を巻き上げられたら元も子もないでしょ。

 この辺の作業を的確にリーズナブルな値段でやってくれる信託会社などがあればほんとうにうれしいし、広まると思うのです。日本の将来に大きな安心をもたらすメリットがあるので、国がある程度のサポートをしてくれたらうれしいのですが、金持ち優遇ともいわれそうだから難しいかなあ♪

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2008年7月 1日 (火)

東証の金ETFは、アメリカの信託受益証券だ!

本日の日経の経済面には「東証、金ETF上場 商品投資個人と接点」という記事が載っています。

ETFというのは、上場している投資信託であり、株価指数に連動したようなものがメインだと思います。

実は、金ETFとしては、すでに大証でも「金価格連動型上場投資信託」が上場しています。これは、現物の金ではなく、金の値動きに連動するような債券に投資するようなものです。

でも、東証の方は、信託財産として金の現物を所有し、アメリカの銀行に預けているようです。

いずれにしても、金の値動きに基本的には連動するような商品なのですが、金の現物か債券かの違いで、これらの信託財産をいれている箱が投資信託か否かの差異がでてきます。

投資信託法施行令3条で投資信託の対象となる財産は決められていて、株や債券や不動産はOKですが、金はだめのようです。

そうすると今の法律では投資信託として金ETFを作れない。だけど、現物の金をベースにETFを作ってお金をかき集めたい。

東証の公表した資料によると、「当取引所は、本年3月に先般改正された信託法に基づいて、商品を直接信託財産に組み入れ、その受益権に基づいて発行された証券を「商品現物型ETF」として上場する制度を整備しました。」とあるから、これは、新信託法に基づく、受益証券発行信託を上場しているようなものかなあと思って、昨日提出された有価証券報告書を読んだら「本信託の管理は信託に関するニューヨークのコモンローおよび制定法に準拠します。」ということで、外国信託受益証券のようです。

また、この外国信託受益権は、すでにアメリカ(NYSEアーカ)やメキシコ、シンガポールでも上場しているようですね。

この外国信託受益証券というのは、日本の税法であてはめると外国法人課税信託みたいなものになるのではないかな。特定受益証券発行信託(税法上の特典のある受益証券発行信託のこと)というのは、あくまでも日本の法律で作った信託がベースのはずだし。日本国内で全く運用しなかったら、外国投資信託とそんなにかわらないですからねえ。(一応 Edinetでは、外国信託受益証券・信託受益権のカテゴリーであり、外国投資信託証券ではありませんでした。)

課税上の取扱いなのですが、有価証券報告書を読みながらですが、特徴的なこととしては、個人の場合は配当控除が使えず、法人の場合は受取配当の益金不算入が使えない。外国株のようなものですからね。

で、ここからマニアックなお話で、アメリカでの税金はどうなっているか、 どうも所得税はかからない可能性が高いようですが、この受益権を相続でもらった場合は、アメリカで税金がかかる可能性がある。贈与の場合ないようですが。

一応、有価証券報告書の米国遺産税の方をこぴぺしておきます。

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米国遺産税および贈与税

 米国連邦税法では、米国の市民または(遺産税および贈与税目的で決定される)居住者のいずれにも該当しない者に関して、米国が「帰属地」となる財産全てに遺産税が課せられます。そのような課税目的上、本受益権の帰属地が米国であるとみなされる可能性があります。そうなった場合、本受益権は日本の個人所有者の米国総財産に含まれることになります。2008年度に関しては、課税対象財産の適正市場価額の上限45%の税率で米国遺産税が課せられます。米国遺産税の税率は、将来的に変更されることがあります。それに加えて、一定の状況では、米国連邦「世代間移転税」が課せられる可能性もあります。

 米国の非市民および非居住者については、一般的に、有形の個人財産または米国を帰属地とする不動産のみに米国連邦贈与税が適用されます。有形の個人財産(金を含みます。)は、それが実際に米国にある場合には、米国が帰属地となります。本件は未決着ですが、本受益権の所有は、課税上本受益権の裏付けとなる金の所有とはみなされず、金を米国のカストディに預託している場合も同様です。その代わり、本受益権は無形財産とみなされ、保有者の生存期間中に譲渡された場合には、米国贈与税の対象にならないものとします。

 日本人の本受益権の個人保有者には、日本と米国間の遺産および贈与税条約に関する潜在的な適用を含めて、それぞれの特定状況における米国遺産税、贈与税、および世代間移転税の適用について、自身の税務アドバイザーに相談されることをお勧めします。

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2008年6月16日 (月)

排出量取引の代金信託

排出量と排出権がごちゃごちゃになっていました。排出権という言葉が妥当かどうかは議論がありますが、排出権に統一して、修正しまあす。6月17日お昼

日曜日の日経に「排出量取引の代金信託 住友信託 決済の安全性を高める」という記事があります。

 排出量取引というのが、動き出しているようですね。でも、これって普通の取引と違うところがいくつもあるようです。

 排出権(二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスを大気中に放出する権利)というものは、目に見える資産(有形固定資産)ではありません。それなら無形固定資産かというと、それっぽいけど、無形固定資産は、これ、これっと限定列挙されていて、その中には、今のところ、含まれてない。

 これは、わたしの排出権ですよということを明らかにするためには、国別登録簿システムである「割当量口座簿」に記録しないといけない。

 ただ、今の取引というのは、どうやら、すでに登録簿に登録された排出量を取引しているというより、その前の段階で、排出権をゲットしたいなら、先にお金を払ってねというものではないだろうか。

 お金を払った時期と、実際にわたしの排出権となる時期までの間に、相当の期間があり、かつ、確実に、排出権をゲットできるかどうかもあやういという問題があるのかもしれません。

 さて、排出量取引について信託が関係しているようです。三菱UFJ信託銀行編著の「信託の法務と実務 5訂版」を読むと、基本的な信託スキームというのは、登録された排出権を信託して、受益権を分割し、それを投資家に売るようのものと読み取れます。

 今回の日経の記事による住友信託の排出量取引というのは、既存の排出権を信託するのではなく、排出権をゲットしたい人がお金を信託して、信託銀行にプールし、排出権が手に入るようになった段階で、信託銀行に置いたお金を使って、排出権をゲットするようなものだと思います。

 ようするに排出権取引業者が、前金をねこばばして、とんずらしないようにするため、また、顧客が排出権の代金を踏み倒すというようなことをしないための信託なのでしょう。

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2008年6月 9日 (月)

イスラム法における信託類似制度

今日は、どうやら日経がお休みらしい。

 ということで、明け方にちらっと読んだ論文を簡単に紹介

 

 弥永真生筑波大学ビジネス科学研究科教授が「イスラム法における信託類似の制度としてのワクフ-金銭を目的とすることの許容性」を 信託 234号(2008年季刊第Ⅱ号)に発表されています。

 イスラム金融が最近騒がれていますが、イスラムにはワクフという公益信託に類似した事業承継に使えそうな制度があるということです。

 「ワクフの設定者が設定財産の処分を永久に禁止し、その管理を管理人に委ね、そこからあがる収益を慈善目的に充てるべきことを定める法律行為」だそうですが、

 全部をいきなり慈善目的にする必要はなく、そのうちの一部の受益者を親族にすることもできるし、当初の受益者を親族とし、親族がいなくなったら慈善目的に充てるようにすることもできるようです。このことにより相続財産の散逸を防ぎ、国家が財産に介入することも防ぐことができるというメリットがあるようです。

 このワクフの特徴として、撤回ができない。永続的に続く。譲渡不能があるようです。

信託よりも硬直的な制度かな。

 ワクフの財産として、当初、金銭はほとんどなかったようですが、金銭も財産として組み入れることが可能というような法律が定められているイスラム国家もあるようです。

 ものすごく脚注が多い文献ですが、ご興味のある方は一読を♪

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2008年5月13日 (火)

自社株の信託ってできるのかなあ

今朝はあんまりニュースがないので、久々に信託周りで思いついたこと

 財産として価値のあるものだったら、信託財産とすることは可能だと思います。また、信託財産を引き受ける受託者も、営利を目的としない限り、個人でもOKだと思います。

 それでは、X株式会社の大株主であるAさんが所有している株式をX株式会社を受託者として信託することはできますか。この場合の受益者はAさんであり、Aさんが議決権をどうするか指示する権利もあるとします。

 自社株を信託できるか? 信託財産に関して、特に信託法では制限できないから信託は可能だと思うのです。

 自己株式の取得に当たらないのか? 自己株式の取得というのは、X社が自分の会社の行為として、自己株式を取得しようとすることだと思います。そのためには、株主総会の特別決議なり普通決議なりが必要です。

一方、信託財産としての自己株式の取得というのは、形式的にはX社の株式がX社の名義となりますが、これは、X社の物であって、X社の物ではない。あくまでも信託財産という不思議な存在としてX社が受益者Aのために預かっているようなもの。だから自己株式の取得にはあてはまらないと思います。

 会計上も、自己株式を取得したものとして、X社の通常の貸借対照表に純資産の部の控除項目として記載されるのではなく、信託財産の貸借対照表のようなもの(財産目録のようなものかもしれない)に記載されるだけだと思うのです。信託って預かりみたいなものだから、代金をAさんに払うこともないですしね。そして、AさんがX株式を有しているという処理になる。

 税務上も、これは受益者がAだから、Aの財産としてX株式を有していると処理されます。

 つまり、会計上も税務上もX社が自己株式だ!という処理はでてこないと思うのです。

 じゃ、自己株式を信託することは何でもOKなのでしょうか。本件では議決権は受益者Aが有するとされていますが、議決権を誰が決めるかは信託で自由に決めれるはずです。そうすると受託者X社にX社の議決権をもたせることもできる。これはおかしいような気もするのです。

他にもなんか問題点がでてくるかなあ。

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2008年5月 7日 (水)

なぜ、海外国債ファンドは、株式投資信託なの

連休明けの水曜日♪ コンビニに日経新聞を買いに出かけたら売ってませんでした。しょーがないから、最寄の地下鉄の駅の売店まで出かけて日経ヴェリタスを買った信託大好きおばちゃんです。

昨日作った豆ご飯(我ながら美味しい)を食いながらページをめくっていたら、「R&Iファンド大賞2008」というのが載ってました。

そこで投資信託の外国債券部門を見たら「海外国債ファンド」とあります。

この海外国債ファンドは、「主として海外国債マザーファンド受益証券を通じて、日本を除くG7構成国が発行する国債と政府機関債(国債と同等の格付けを持つもの)を中心に分散投資を行ないます。」

国債や政府債に投資をするのだったら公社債投資信託だと思うのですが、目論見書を読むと株式投資信託なのですよね。

なぜかというと、公社債投資信託というのは、約款で株式には全然投資しませんよと決めているようなものだからです。

たとえば、以前ここで紹介した公社債投資信託であるノムラ外貨MMFの目論見書には「ファンドは、いかなる種類の株式または出資に対する投資も行いません」と書かれています。

一方、海外国債ファンドの約款の投資制限を読むと「株式への実質投資割合は純資産総額の10%以下とします。」となっています。

つまり、株式への投資の可能性があると書面上は決められている。結果的に100%債券に出資しても、約款で株式投資への可能性が決められているならば、それは株式投資信託ですよ、となるからなのでしょうね。

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2008年4月30日 (水)

浪花おふくろファンド

 昨日、お蕎麦を2.5人前食ってしまいました。そんなに大食漢ではないのですが、お蕎麦って、すんなりと胃袋に入っていくのですね。

 こんな話はおいといて、昨日の日経の「一目均衡」で末村篤氏が「もう一つのファンド資本主義」を論じていらっしゃいます。

 その中で浪花おふくろ投信の紹介がなされていました。信託大好きおばちゃんとしては、ぴぴっと反応してしまいました。

 浪花おふくろ投信株式会社は、社会保険労務士の石津史子氏が作られた投信会社だそうです。

普通の人たちから小さいお金を集めてきて、長期投資をしましょうというのが事業方針であり、この投資方針に基づく『浪花おふくろファンド』(愛称:「おふくろファンド」)を販売していらっしゃいます。

目論見書を拝見しましたところ

基本的性格

追加型株式投資信託/ファンド・オブ・ファンズ(投資信託に投資するようなもの)

ファンドの目的

一般家庭の“時間をかけた財産作り”をお手伝いさせていただくために、信託財産の長期的な成長を図ることを目的としています。(バイアンドホールドというやつかな)

主な投資対象

主として国内外の株式等を投資対象とする証券投資信託の受益証券を投資対象とします。

投資制限

①投資信託受益証券への投資割合には制限を設けません。

②同一銘柄の投資信託受益証券への投資は、原則として信託財産の純資産総額50%未満とします。

③株式への直接投資は行いません。

④信用取引の指図は行いません。

⑤デリバティブの直接利用は行いません。

⑥外貨建て資産への投資には制限を設けません。

⑦資金の借り入れを行うことはできますが、当該借入金をもって有価証券等の運用は行いません。

(いま話題の証券化商品のようにデリバティブを使ったようなものはやらない)

やっぱり、このネーミングがいいですね。 日経新聞にも紹介されましたし、おそらく、他のマスコミでも紹介されると思います。

このようなインパクトのある投信もあまりないようなので、当初は、予想以上に資産が増えるかもしれません。

でも、継続できるか。

事業の方針で

「運用能力の向上に全身全霊を傾け、決してブレない「長期運用の哲学」を貫いて信頼と実績を積み上げていきます継続できるか、ここにかかっていると思います。」

と、お書きになっていらっしゃいますが、これを貫けるかどうか。これが一番大変ではないかと。マーケットは、いつも、予想を裏切りますし、投資家は、自分のお金ですから、状況によってはすぐ心変わりをしてしまう。それでも、長期運用を貫けるか、それを支持する分厚い顧客層を築けるかは、石津社長の才覚というより不屈の忍耐力にかかっていると思うのです。

4月28日の基準価格は、 10,169円

「徹底的なコスト削減の労は惜しみませんが、この結果生まれてくる余剰収益があれば、投資家の皆さま並びに地元大阪が再び品格のある活気を取り戻すために社会に還元していきます。」

 終生、大阪に戻ることはないかもしれない信託大好きおばちゃんですが、是非、浪花おふくろさんにがんばっていただきたいと強く思うのです。

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2008年4月16日 (水)

Jパワーと株式管理信託

 このブログの2月20日の記事で、大島さくら子先生の「シーン別本当に使える実践ビジネス英会話」をご紹介しました。この本は、59のダイアローグにわかれていて、各シーン別のいきいきとした英会話+文法等が書かれています。信託大好きおばちゃんは、2月17日から、毎日、1ダイアローグずつ、ほんとうに、こつこつ勉強していきましたところ、昨日、4月15日で完走しました。どのくらい効果があがったのかなと思って、TOEICのリスニングセクションの問題をさらっと解いたのですが、ディクテーション(英文を聞きながら、すぐ、書き取る)を毎日した効果があるかなというような正答率でした。

 というわけで、今日からは、大島さくら子先生の「中級からの英文法」の勉強をスタートさせます。

 さて、Jパワー株買い増し、 イギリスの投資ファンド ザ・チルドレン・インベストメント・ファンド(お子様投資ファンド TCI)による買い増しについて、政府が今日にも中止勧告するようですね。

 これがどうなのかに関して、あまり深い見識のない信託大好きおばちゃんは

コメントを差し控えますが、たまたまJパワーの有価証券報告書をみて驚きました。

電気事業会計規則というのがあるのですね。これによると、貸借対照表では、固定資産がまずあって、その次に流動資産があります。

固定資産の内容は、電気事業固定資産と、その他の固定資産にわかれていますね。

損益計算書も、普通と違って、左側に費用の部があって右側に収益の部がある。

税効果の注記をみると、渇水準備引当金繰入超過額なんてものがある。

たまたま、電力会社と取引のあった方のお話を昨日伺ったのですが、電力会社の事業計画というようなものは、数年単位ではなく、数十年単位であるそうです。事業計画では、40年後に発電所を作るというものがあたりまえのように記載されているようです。

それから、プライムレートというのは、各金融機関が電力会社にお金を貸すときの利率が始まりだったそうです。今は、どうも違うようですが。

ちょっとだけ信託のお話を、昨日の日経の記事によると、TCIは、Jパワーの株式の買い増しに信託活用を考えていたようです。

これは、TCIが購入したJパワー株を信託する。信託するとJパワーの株式の名義人は、形式的には信託銀行に移る。この場合の議決権をどうするかというのは、委託者が信託契約で自由に決めれる。すべての議決権を委託者がもつとするのもいいし、別もOK

で、TCIの提案は、「原子力発電所と送電線設備に関する株主総会での議決権は行使しない」という契約を結ぶというものだったようです。

 生の株式の場合、さまざまな権利内容の株式を発行することはできるけど、権利の内容である、配当権、残余財産分配権、議決権を切り刻んで、それぞれを別のものとして発行することはできない。

でも、信託を利用する、この権利内容をうまく分割することが可能となることを示す一例ですね。

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2008年4月 2日 (水)

JDR 第一号はタタ自動車

 今朝の日経の一面に「印タタ自動車、東証上場 日本預託証券第一号 今夏にも 円建て投資可能に」が載っています。

このブログでも何度かJDRの記事を書いていましたが、いよいよ登場するようですね。

JDRとは日本版預託証券です。株式発行国の事情により、直接、外国でその株を取引できないような場合、その株の預り証を取引しましょうというようなもの。この預り証が有価証券の形となって取引しやすくなっています。

日本では、信託法の改正で可能になった受益証券発行信託をつかって預託証券を作ると思います。

で、このJDR 第一号にインドのタタ自動車がなるようです。タタ自動車は、ジャガーやランドローバーを買収したり、30万円の自動車を製造したりと、急激に成長している会社です。

いまでも、インド株を運用資産とする投資信託は日本でも買えますが、このJDRにより単独のインド株を買うようなことができます。

この預託証券で問題になっているのが日本語の問題や開示上の問題です。上場するなら開示資料は日本語で作らないといけないし、日本のほかの会社と同様な会計ルールで財務諸表を作らないといけない。外国の人からしたら日本語で開示資料を作るのは大変なことですし、株式発行会社で認められている会計基準を日本でも認められている会計基準に組み替えるのも大変です。コストが継続的にかかるから、それを上回るメリットがないといけない。

ここの調整をどうするのかなと思って記事を読むと、「上場時は日本語による情報開示が必要だが、今夏にも内閣府令が改正されれば、四半期や中間決算は英語による開示もできるようになる。」ということは、有価証券報告書は日本語で書かないといけない。

有価証券報告書の開示内容になるのかわからないですが、以前、このブログでPOWLPublic Offering Without Listing)(国内非上場公募)している韓国のロッテ・ショッピング・カンパニー・リミテッドの有価証券報告書の話題を書いたのですが、あの内容が参考になるのではないかなあ。

タタ自動車はADR(米国預託証券)を上場しているから、確認していませんが、会計は、米国基準で作っていて*、それを日本でも使うのかもしれません。

プロ市場を作って、そこで、英語の開示オンリーでもOKのようなものは可能かもしれませんが、それでは、資金調達額も限定されますし、普通の人でも買えるような場合、普通の人でもその株の内容が理解できるようにしないとまずい。

落としどころがどこになるかで、日本の金融市場のグローバル化がどうなるかが決まってしまうのでしょうねえ。

* TATAのHPで調べました。そうすると、SECに提出している監査報告書を読むと次のような記述があります。

アメリカ基準で財務諸表作ってますね。

In our opinion, such consolidated financial statements present fairly, in all material respects, the financial position of the
Company as of March 31, 2007 and 2006, and the results of their operations and their cash flows for each of the three years in the
period ended March 31, 2007, in conformity with accounting principles generally accepted in the United States of America.

http://ir.tatamotors.com/index.php?CardID=5

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2008年3月28日 (金)

語学教室の授業料保全信託

今朝の日経の金融面に「語学教室の授業料保全」という囲み記事があります。

りそな銀行が4月から語学学校を経営しているインターグループ向けに行うビジネスで、授業料を信託して、たとえ、会社が破綻しても、授業料のうち未受講部分は返してもらえるというものだと思います。

ようするに、生徒から授業料をインターグループが預かると、それをりそな銀行に信託する。生徒が授業を受けた部分だけりそな銀行がインターグループに授業料を支払う。もし未受講の授業料がある状態でインターグループが破綻した場合は、生徒はりそな銀行にある残金から払い戻しを受ける。

たぶん、信託契約では、収益受益者がインターグループで、元本受益者が生徒、ただし、生徒は、会社が破綻するまで受益者としての権利を持っていないとしているような気がします。そうしないと、税務上ややこしいことがおこるから。この辺の課税関係うんぬんは、以前このブログで紹介した社内預金引当信託の国税庁のHPが参考になると思います。

インターグループの仕訳は、

生徒から100お金をもらったときは、 

現金 100     預かり金 100

信託した時点で、         

信託預金 100    現金  100

生徒が授業30を受けた時点で     

預金    30   信託預金  30

預かり金  30    売上   30

この時点で会社が破綻した場合は、 

預かり金  70   信託預金  70

となるのでしょうね。

これはすでにある老人ホームの入居金保全信託の語学学校版です。先にお客さんが前金をまとめて支払うようなビジネスは、それなりにいっぱいあるから、信託銀行さんなどでの事務管理の合理化ができるなら確実に広がるビジネスと思います。

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2008年3月27日 (木)

日立製作所の事業撤退と退職給付信託

今朝の日経新聞の企業総合面に「エルピーダ株 日立、全株売却へ DRAMから完全撤退」という記事があります。

NECと折半で作ったエルピーダとの資本関係を解消し、DRAM事業から完全撤退し、サーバーなどに使用する高性能製品の開発・生産に特化するそうです。

撤退というと株式をどこかに売却すると通常は考えるのですが、日立の場合は、退職給付信託というツールを使うようです。将来の従業員の退職金の原資に充てるためにエルビータ株を信託する。

会計上はこの時点で次のような仕訳に連結上はなるようですね。

 退職給付引当金 42,240M円  投資有価証券   21,200M

               有価証券売却益   21,040M

  単体の設定益が10,240M円ということは、連結子会社でも持っているものを売却するということなのかなあ。

             

  キッコーマンで30億円くらい利益がでるなあって書いたけど、こっちは 200億円くらいですねえ。さすが日立 しかも、この利益に対して、設定時に税金がかからない。

 退職給付信託の面白いところは、株式も名義人は信託銀行になるけど、株式の議決権の指示を誰がするかは決めることができて、この場合は、委託者である日立製作所

退職給付信託って使えますね。 会計上の利益がでる。 税金は繰延べられる。 株式は手元にないけど、議決権は残るから、完全撤退といっても口だけはしっかりだせる。

こんな使い方があったんだということを教えてくれます。

で、日立製作所の3月14日のプレスリリースを読むと かなり強烈なことが書いてあります。

http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2008/03/f_0314a.pdf

これから、減損損失が追加で350億円、薄型テレビ事業等の事業構造改革関連費用560億円等を計上する予定で、その埋め合わせに有価証券の売却損益が1,000億円ほど生じるようです。退職給付信託設定もその一環なんでしょう。 

日立は、たしか連結納税を行っていると思うのですが、連結納税できない地方税で回収不能な部分の税効果の取り崩しもあるようですし。

なりふりかまわずですね。

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2008年3月24日 (月)

キッコーマンの退職給付信託設定

今日は324日♪ 来週の月曜日は331日♪ 以前、このブログで租税特別措置法が期末に飛んでしまったらというようなことを軽く書いていたのですが、現実味を帯びてきましたねえ。とりあえず4月になったら土地を売買するな!ということでしょうか。

 さて、キッコーマンが「退職給付信託設定に関するお知らせ」を319日にプレスリリースしました。

「当社は、平成20 3 19 日開催の取締役会において、当社が保有する株式の一部を拠出し、退職給付信託を設定することを決議しましたので、下記のとおりお知らせいたします。

1. 信託設定日 平成20 3 25 日(予定)

2. 信託設定額 4,200 百万円(予定)

3. 信託設定益 3,000 百万円(予定)

4. 業績への影響

上記の退職給付信託設定に伴い発生する退職給付信託設定益3,000 百万円を特別利益に計上する予定でありますが、固定資産除却損等の特別損失の計上が見込まれるため、通期の連結業績予想についての変更はありません。」

株式市場が低迷している今日この頃、にもかかわらず信託設定益が30億円も計上できるなんて景気のいい話だねと思って、第3四半期の短信を読んだところ、連結貸借対照表にその他有価証券評価差額金(会社が所有している上場株等の税引き後の含み益)が110億2,000万円も計上されているようですので、そんなに気張った取引ではありません。

退職給付信託って

退職給付信託って、退職給付会計が導入されたときに、莫大な会計基準変更時差異(新基準と旧基準の退職給付引当金の差額みたいなもの)を埋めることなどを目的として開発された信託商品です。従業員の退職一時金や年金にあてるために設定された他益信託で、原則的に会社は、信託財産を戻すことができないこと等から、設定時に、次のような仕訳をすることが認められています。

退職給付引当金 ×××  有価証券 ×××

           信託設定益  ×××

なぜキッコーマンが信託を設定したかというと固定資産除却損と信託設定益をぶつけて業績をよく見せたいという思いがあるのかもしれません。

ちなみに、税制上の取り扱いですが、このブログでも昨年の6月から7月ころうんうんとうなったのですが、委託者である企業は税法でいうみなし受益者に該当することから、信託財産の拠出のときに生じた譲渡益は、税務上は認識せず、信託財産から生ずる所得はその企業で認識することになるものと考えられます。

みなし受益者になる要件として、信託を変更する権利と停止条件付きでもいいから財産の給付を受ける権利があることが必要です。おそらく信託を変更する権利は委託者にあると思います。また、企業は、原則として、信託財産を返還することができませんが、たとえば、年金資産>退職給付債務となった場合の超過額等は返還することが可能となるので、財産の給付を受ける権利もあると考えられる。だから退職給付信託の委託者はみなし受益者となるのではないかと。

いちおう、「お上の言の葉」をまとめた平成19年度税制改正の解説P294に「一定の条件に該当する場合に委託者に元本又は残余財産が給付されることとなる信託(退職給付信託など)が現在存在しますが、このように停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者も、ここでいう「信託財産の給付を受けることとされている者」に該当することとなります。」と書いてありますしね♪

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2008年3月 3日 (月)

社内預金引当信託の社内預金者の課税関係について

社内預金引当信託における社内預金者の課税関係に関して、社団法人信託協会が国税庁に照会を行い、その回答が国税庁のHPに載っています。

社内預金というのは、会社が従業員の給料から天引している預金ですが、通常、利子の一部を補給しているので、一般的な預金よりも利回りが高くなります。

使用者側からみると、この預金を自分の会社で預かって管理をすることもできるのですが、この場合の利子には、下限があるようです(下限利率は年0.5%(5厘)(平成19101日現在))。

でも、使用者である会社が自らの名義で預金を預かっているような場合で、その会社が倒産してしまったときは、せっかくの社内預金もパーになってしまうリスクがあります。これは、まずいでしょということで、この社内預金を保護するために、社内預金相当額について行う信託があります。この信託のことを社内預金引当信託というようです。

この社内預金引当信託(国税のHPで照会されているもの)では、会社が、社内預金の元金額の全部または一部に相当する有価証券を信託します。有価証券だから株式もあるわけで、この場合の議決権の行使は委託者が指図するようです。

また、受益者には2タイプあります。ひとつは、収益受益者です。配当や利息などをもらう権利があり、委託者である会社がなります。もうひとつは、元本受益者です。有価証券の売却代金や償還金、増資割当新株式などをもらう権利があり、社内預金をした従業員が元本受益者となります。ただし、元本受益者は、会社が倒産するような事情が生じるまでは受益権を有さないことになります。

ここで問題になるのが、新信託法をベースにした信託税制での課税関係はどうなるか?とくに、元本受益者について、設定時や会社が倒産等して信託財産を受け取った場合の課税関係がどうなるかです。

信託税制の改正で、信託については、タイプごとに課税関係がかわりますが、この社内預金信託というのは、受益者等課税信託に該当し、信託財産から生ずる所得については、発生時に受益者等に課税されます。

まず、問題となるのが、信託を設定した時点で、元本受益者は、税制上の受益者等に該当するかということです。もし、該当するならば、設定時点で、元本部分について、委託者から利益を受けたとして課税関係が生ずることが考えられます。

しかし、結論として、設定時点で、元本受益者は、税法でいう受益者等には該当しません。

税法でいう受益者等には、受益者とみなし受益者の2タイプあります。

受益者とは、信託設定時点の受益者としての権利を現に有する者ですが、この元本受益者は、会社が倒産等するまで受益権を有しないから、信託設定時には受益権を有しないことになるので受益者にはなりません。

次に、みなし受益者に該当するかどうかですが、みなし受益者に該当するためには、その者に信託を変更する権利+財産の給付を受ける権利がある必要があります。元本受益者は、条件付で財産の給付を受ける権利がありますが、信託の変更をする権利はありません。信託設定時に受益権もないし、特別の規定もないからです。

したがって、元本受益者は、信託設定時に受益者にもみなし受益者にもならないことから受益者等に該当しないので課税関係は生じないということになります。

つまり、会社が倒産するまでは、収益受益者である会社だけが受益者となり、信託財産を会社が所有し、収益も費用も会社に帰属するものとして税金の計算をすることになります。

さて、会社が倒産して、信託財産の給付を従業員が受けた場合、従業員に税金はかかるのでしょうか。これも、結論から言うと税金はかかりません。

従業員は、会社に対して、社内預金を預けたのだからその分のお金を返してくださいという権利を持っています。会社が倒産すると、会社自体から社内預金を返してもらうことは、通常は、できませんよね。社内預金引当信託は、会社の倒産から隔離されているので、会社の倒産にかかわらず、信託財産はキープされています。ですから、従業員は信託財産から預金相当額の支払いうけることになります。つまりこの信託財産からの支払いは、新たな利益の発生ではなく、従業員が持っている社内預金請求権の弁済として支払われるものです。従業員の立場で、仕訳で表現すると、現金×××/社内預金請求権×××となります。ですから、従業員に課税関係は生じません。

この、国税庁のHPには、社内預金引当信託契約書の雛形も掲載されており、これは新信託法ベースのものであり、税法の問題もクリアされているので非常に使える資料ですね♪

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2008年2月11日 (月)

世界の投資信託の残高

なんとなく、投資信託協会のHPを覗いてみたら、投資信託の世界統計 2007 年第3 四半期(7 月~9 月)なる資料がでてきました。

20079月現在となるのですが、投信残高(この場合の投資信託とは、オープン・エンドの公募証券投資信託)上位10 カ国(2007 9 月末)は、次のようなっているようです。

(単位10億ドル)

1位 アメリカ     11,922

2位 ルクセンブルグ 2,609

3位 フランス 1,994

4位 オーストラリア 1,224

5位 英国 951

6位 アイルランド 920

7位 香港 721

8位 カナダ 706

9位 日本 700

10位 ブラジル 575

日本で、投資信託がブーム、ブームといわれていますが、グローバルレベルで見ると、全然たいしたことがないんですね♪

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2008年1月30日 (水)

ハンドブック信託

このごろ、ちょこちょこと本やDSを贈っていただけるようになった信託大好きおばちゃんです。

さて財団法人トラスト60さんから「ハンドブック信託」を送っていただきました。

この本は、信託に関して、かんたんに網羅的にまとめた本だと思います。

三菱信託銀行信託研究会(編著)「信託の法務と実務」社団法人金融財政事情研究会のコンパクト版のような印象を受けました。

目次をご紹介すると 1.信託とは 2信託の仕組み 3信託商品 4信託の税制と会計5.諸外国の信託 6資料です。

信託商品の中に、知的財産の信託やセキュリティトラスト、企業買収防衛策と信託、排出権の信託というように最新のネタが入っています。公益信託に関しても、類書より多くのページを割いていらっしゃいますが、公益信託の概要や平成20年の税制改正などは、まだわからないところがあるのであまり盛り込まれていません。これは出版時期を考えるとやむをえないことであり、改訂の際には是非、充実していただけたらと思います。

また、諸外国の信託ということで、通常は、イギリスの信託とアメリカの信託あたりの紹介で終わるのですが、オフショア信託についても紹介されているところが面白いです。

この本がいいなと思ったのは、図が多く使用されていること、また、各章の終わりに参考になる図書等が紹介されていることです。

信託に関して、信託法や信託の会計・税務という限られたフィールドを掘り下げたようなものではなく、もっと全体的に、何やってんだろうという情報をピックアップできるような本ではないかなと、ここでつかんで、もっと深く調べていくためのポータルサイトのような一冊かもしれませんね♪

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2008年1月29日 (火)

共同運用型信託と合同運用型信託

複数の人が財産を拠出して信託を組成するニーズってあると思うのです。

たとえば、土地の再開発で地権者がいっぱいいる様な場合、信託をつかって受託者がまとめて土地を取得して、再開発をした方が何かと便利だと思うのです。

ただ、その土地の信託の仕方って2つあるのではないかと思うのです。

 

共同運用型信託というのは、信託大好きおばちゃんのネーミングなのですが、2以上の委託者が一本の信託契約で土地を信託するようなもの。そして、信託の受益権をそれぞれ、持分割合に応じて取得する。このような場合、税法的には、原則的には、自分の土地のうち、他の受益者の持分とされる部分については譲渡があったものとして課税されると思うのです。信託法上は、受託者の持分だけど、税法的には、受益者がそれぞれ持分割合に応じて資産を持つと考えられるから。

たとえば、2人の人がいて、Aは時価1億円(簿価6,000万円)Bは時価1億円(簿値2億円)の土地を信託して、受益権を50% ずつ所有した。

税務上の仕訳は、

A    資産 5,000万円  土地 3,000万円

             譲渡益 2,000万円

B    資産 5,000万円  土地 1億円

    譲渡損 5,000万円

譲渡益も譲渡損も発生するので、税務的にはいいのか悪いのかわからないのですが、結構、信託後の税務上の処理が大変になるのも事実です。簿価引継ぎの部分と時価受け入れの部分がでてくるからね。

で、組合の場合は、上記のような方法しか、原則的にはないのですが、信託の場合は、委託者がそれぞれ、単独で信託を設定する。そして、受託者がまとめて運用する。そして、合理的な基準で利益を分配するということができると思うのです。これを信託大好きおばちゃんは、合同運用型信託とネーミングする。信託法上、ある信託と別の信託の資産を分別管理するのが原則だけど、登記などのいらない資産は、こういう基準でわけわけするというふうに決めといたらそれでいいと思うのです。そうすると、

税務上の仕訳は?

A  仕訳なし

B  仕訳なし

こっちの方が、管理が楽だし、いいのではないかなあって。どうだろう♪

    

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2007年12月26日 (水)

信託受益権を使った排出権取引の会計処理と税務処理

今朝の日経の金融面に「排出権の売買 信託銀が強化」という記事が載っています。排出権取引が動き出してきたのでこれをビジネスとして儲けましょうということです。

この排出権というのをダイレクトに購入するのは難しいらしいので、信託銀行が購入して、排出権を信託し、その受益権を日本の企業に売ろうということだと思います。

さて、この排出権の含まれた受益権を企業が購入した場合の会計処理はどうなるのか。

すでに企業会計基準委員会では 実務対応報告第15号「排出量取引の会計処理に関する当面の取り扱い」を公表しています。

この報告では、大きく分けて専ら第三者に販売目的で排出クレジットを取得する場合と将来の自社使用を見込んで排出クレジットを取得する場合の会計処理が定められています。

信託の場合はどうなるのかな? たぶん、受益権を購入した人が何の目的で購入したのかで決まるような気もします。そうなるとどうなるのか。あくまでも信託大好きおばちゃんの想像ですが、

受益権の購入者が専ら第三者に販売目的で排出クレジットを取得する場合

会計上 棚卸資産として計上、 期末に低価法で処理する。

税務上 たぶん同様なんでしょうね。そうすると、低価法を税務上も選択している場合は、低価法評価損は損金となる。

将来の自社使用を見込んで排出クレジットを取得する場合

会計上 無形固定資産または投資その他の資産として処理 減価償却の対象にならないけど、減損の対象になる。費用となるのは、自社使用(償却目的による政府保有口座への排出クレジットの移転)時

税務上、 減損はまず費用とならないような気がします。自社使用時に使用分は損金となるか?これは、たぶんOKになるのでしょうね。

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2007年12月25日 (火)

不動産を組み込んだ金融商品 どれが使えるか? 税務の視点から

 今日はクリスマス♪ 朝から「モンブラン」(栗の入ったケーキ)を食ってました。イチゴケーキじゃないところが渋い。

さて、不動産を組み込んだ金融商品の品評を税務の視点から軽く書きます。

REIT これは投資法人をベースに組成していて、投資法人自体を上場させることにより流通性が非常にパワーアップされている。

税務上のメリットとして、一定の要件を満たす場合は配当が損金となる。代表的なこの要件は、

配当可能所得(税務上の利益)の90%超を配当にまわすこと。

国内で1億円以上公募するか、期末に50人以上の株主が持ってるか

同族会社であること。この同族会社というのは、現行法では株主の3人以下が過半数の株を持っていることなどが要件だが、今年になって、ほんとうに3人の株主が過半数持っているREITが現れ、法人課税されそう。そこで、平成20年度の税制改正で1人の株主が過半数もっていたら法人課税だぞとするみたい。

TMK これは流動化法をベースにしてつくった資産を入れて、お金を稼がせるための器のような会社

税務上のメリットとして、一定の要件を満たす場合は配当が損金となる。代表的なこの要件は、

配当可能所得(税務上の利益)の90%超を配当にまわすこと。

国内公募で 1億円以上の社債を公募するか、適格機関投資家だけが引き受けるか 社債発行の場合は同族会社要件はない。

国内公募で50人以上の者がTMKの優先出資を引き受けるか、適格機関投資家だけが引き受けるか。こっちの場合は同族会社要件があるけど、この同族会社要件というのがちょっと変わっていて、3人以下の株主が過半数の株を持っているか、議決権を持っている優先出資社員(通常優先出資社員は議決権を持っていない)が一定の議決権を過半数持っているか。

公募投資信託

以前なやんでいたけど、不動産信託受益権は金融商品取引法上みなし有価証券だけど、この不動産信託受益権を組み込んだ証券投資信託は組成できない(投信法2④)。でも、投資信託として組成することができる。

この不動産信託受益権を組み込んだ投資信託を国内で公募発行する。

税務上のメリットとしては、投資信託で生じた所得には、投資信託段階で課税されず、投資家が受け取った時点で投資家に課税される。しかも、稼ぎをほとんど分配しないといけないというような厳しいルールもない。

適格機関投資家向け私募投資信託

これは、国内で募集して適格機関投資家だけに受益権を引き受けてもらうようなもの。分配可能所得の90% 超を配当したら、こちらも配当が損金としてもらえる。

上記以外の私募投資信託

これは、投資信託から生ずる所得について法人税課税されるから、分配利益は4割カット。

特定受益証券発行信託

これは、信託法の改正で登場した、普通の信託で、受益権が有価証券化されているもの。税務上のメリットは、一定の要件を満たす場合は、信託段階で課税せず、投資家が配当を受け取った時点で課税する。

この要件というのはいくつかあるのだけど、投資家に分配されていない利益が元本総額の2.5%以下であること。この2.5%の計算のベースになるのは、税務上の数値ではなく会計上の数値であることが大きい

受託者が信託銀行等か資本金5,000万円以上の法人であること

この法人が有価証券報告書を提出しているか、会社計算書類を作って、見せろといわれればいつでも出せるようなものかなどなど

受益者等課税信託

これは、いわゆる本家信託のようなもの。信託から生ずる所得はダイレクトに発生時点で受益者のものとなる。ただ、多数の受益者を前提にした計算システムが確立されていないので金融商品として直接使うのは問題が大きすぎる。

配当が損金となるビークルの問題点

この配当が損金となるためには、配当可能所得の9割超を配当しないといけない。でも、これって税務上の数値です。たとえば不動産の減損を会計上計上しても、税務上は損とならない。そうすると、配当は会計上、法律上はあんまり出せないけど、税務上は利益があるのに配当を出していないとなるから配当損金の要件を満たせなくなる。

また、当初、申告をして配当も支払ったあとで、税務調査があり、費用を否認されてしまうこともある。そして、所得を修正したら9割超を配当に回していなかったこととなり要件を満たさないから配当部分法人課税となることもある。でも、この時点で税金に相当するお金はREITに残っていない。なぜなら、投資家に払ったあとだから。こんな怖いリスクもある。

だったらどの手法が使えるか?

やっぱり、一は公募投資信託、二は特定受益証券発行信託、次にREITTMKや適格機関投資家向けの私募信託なんでしょうね。

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2007年11月19日 (月)

インド株をJDRとして、日本で買えるか? No1

商事法務No1815に 弁護士琴浦諒氏の「インドにおける預託証券に係る規制 -JDRの創設を踏まえて」があります。

信託法が改正になり、日本でも日本法ベースの円建ての預託証券を発行し、東証で流通させることが可能となりました。預託証券というのは、株式そのものでなく、株式を預託機関に預け、その預り証的な形の有価証券のことだと思います。会社が外国から資金調達したいけど、会社の作られた国の法律により、外国で直接株を発行できないような場合に使える制度です。

日本でも、従来から、ADR(アメリカの預託証券)が東証に上場されていたことはあったようですが、日本版はまだだったようです。

さて、インドですが、この論文によると、外人投資家は、インド証券取引委員会の登録を受けた機関投資家じゃないと、インドの国内証券取引所でインド株を買うことはできないようです。また、外国の証券取引所でも直接上場できないようです。

それゆえに、インドの会社が外国から資金調達をする場合には、預託証券を利用しているようです。以前は、インドで上場していない会社でも外国で預託証券を利用して資金調達できたようですが、今はだめみたいですね。

ADRも最近規制が厳しくてコストがかかり、資金調達のうまみが減ってきた。そこで、今般作られたJDRを使えないかということです。

JDRとして上場する場合の問題点はいろいろあると思うのですが、特に、開示上の問題が大きいです。インドの会計基準に準拠した財務諸表をそのまま利用することはできないので、それを日本基準に変えて監査を受けるか、USGAPPに基づいて財務諸表を作り監査を受けるか、また、日本語による開示が必要だけど、翻訳費用は会社もちでこれもきつい。

ようするにコストがいっぱいかかる。

 この点の解決策に関して、論文では次のようにお書きになられています。

 「なお、現在金融審議会により制度整備が検討されているプロ投資家向け市場においては、外国の会計基準や英語のみによる開示が認められる可能性があり、その場合、インド企業のJDRについても上記問題は相当程度解決されると考えられる。」そうです。

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2007年11月13日 (火)

SPCとSPTと法人課税信託の関係

質問: 、SPCとかSPTと法人課税信託の関係がよくわからないので教えてください。

信託大好きおばちゃん:

はいはい、SPCっていうのは、特別目的会社Special Purpose Companyのことですよね。

SPTというのは、たぶん、特定目的信託(Special Purpose Trust)のことですよね。

これを前提に簡単に説明します。

SPCというのは、別に特別の法律で作られた会社じゃないのですが、資産の証券化のための箱のような事業体のこと。投資家からお金を集めてきて、土地や債権をそのお金で買ってきて、これらの資産にお金を稼がせて、儲けを投資家に分配する。そんなことをするための箱。お金を集めるために、箱が社債のようなものを発行したり、匿名組合を利用したりしている。

この箱自体は、会社法の施行前は有限会社を利用することが多かったけど、今は合同会社が多いのではないかな。なぜって、有限会社や合同会社は、株式会社じゃないのでぶっつぶれても会社更生法の適用がないことから、ぶっつぶれたときに投資家が大損するリスクが減るからだと思うのです。

税金的に言うと、有限会社や合同会社は普通の株式会社と同様に、会社で生じた所得に対しては、会社が法人税を納めないといけない。でも、匿名組合契約を出資者と結んでいたら、この契約により出資者に分配される利益や損失はその会社の所得から差し引かれて税金を計算する。

SPT これは資産流動化に関する法律をベースにつくられた信託。同じく資産流動化に関する法律に基づいて作られる会社があって、こっちは特定目的会社(TMK)って言われている。TMKは結構メジャーだけど、SPTはちょーマイナー。いろいろ使い勝手が悪いみたいでSPTの事例は1件あるかどうからしい。

SPTは、委託者が資産を受託者に信託して、信託受益権を受け取り、これを小分けにして投資家に売却することにより資金調達できるようなもの。

ほかの信託と大きく異なるのは、課税上のしくみ。メジャーな信託というのは、信託段階で課税されず、受益者に課税されるよね。でも、SPTは、法人課税信託のメンバーのひとつ。

法人課税信託というのは、信託財産から生ずる所得について、信託段階で法人税課税される。ただし税金を払うのは受託者。受託者が自分の所得と別個に申告書を作って税金を納める。

信託を設定した時点で、資産は委託者から受託者にうつるけど、この時点で譲渡があったものとして、譲渡損益が委託者の方には生じる。別の会社に譲渡したようなものだから。受け入れた信託側では課税は生じない。出資を受けたようなものだから。

SPTで生じた所得に対する税金の課税のされ方は、ほとんど普通の会社と同じ。ただ、ひとつだけ大きな特徴があって、一定の要件を満たした場合は、配当が損金になる。この配当が損金になるのって、J-REITの元になる投資法人やTMKと同じ。要件として所得の90%超を配当として受益者に分配するとかごちゃごちゃある。

法人課税信託は5つのメンバーがいてるけど、配当が損金になるのは、あとひとつ、特殊な投資信託で一定の条件をクリアしてるやつ。こっちも非常にマイナー。あと3つの法人課税信託からの配当というのは、普通の会社と同じしくみ。課税済み所得からの分配ね。

というようなことだと思うのです♪

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2007年11月 7日 (水)

信託型従業員持株制度の課税関係

今日は、非常にマニアックなお話です。

 旬刊経理情報 2007.11.1(No1164)において、筑波大学大学院 弥永真生教授が「信託型従業員持株制度と連結の範囲」という原稿をお書きになられました。

 これは、従業員持株制度の信託型であり、広島ガスが今年の8月に導入されたもののようです。

この信託型従業員持ち株制度とは、

 会社の株式を信託して、受益者(この場合は、残余財産受益者になると思います。)を一定の要件を満たす従業員とします。

 信託側では、信託した株式を、借入により賄った資金により調達します。そして、信託期間、その株式を定期的に時価で持株会に売却します。信託期間終了時に、残余財産(現金)が残れば、その時点で、一定の要件に該当する従業員がこれらの分配を受けることになります。

 一定の要件に該当する従業員が分配金を受けるのは、信託が購入した会社の株式の株価よりも売却時の株価が高い場合のことです。たとえば11万円で100株購入して、売却時の平均売価が1.5万円の場合、信託終了時に残ったお金は、(1.5万円×100株)-(1万円×100株)=50万円となります(借入利息他の諸経費や税金は無視しています)。この50万円を信託終了時点での要件を満たした従業員が山分けすることになるということです。

 反対に、売却時の平均株価が1万円を切るような場合、たとえば平均売価が8,000円の場合は、信託終了時(0.8万円×100株)-(1万円×100株)=△20万円 つまり、20万円分、信託財産は債務超過となりますが、このような場合、当初の借入金のうち20万円は信託財産から支払えなくなるので、その株式の発行会社が責任を持って払うことになるようです。

 この信託は税制上、どのような信託になるのでしょうか。どうやら、この信託においては、株式の委託者である会社は、信託の内容を変更する権利を有していないこととされているようです(上記 弥永教授の原稿 経理情報No1164 26頁)。そうなると委託者は、税制上、「みなし受益者」にはなれない。また、残余財産受益者は存在していますが、最後になるまで、誰が受益者であるか特定されない。つまり、信託設定時に、誰が受益者であるか特定できないことになるから、この信託の設定時には、受益者のいない信託に該当するのではないかと考えられます。

 新信託法の施行を前提とした信託税制によると、受益者のいない信託においては、信託設定時に、委託者側だけでなく、信託財産側(受託者側)においても課税関係が生じます。  

 すなわち、委託者である会社が時価で株式を信託財産という法人に譲渡し、信託財産(受託者側)でも時価で株式を取得したものとみなして受贈益課税がなされるものと考えられます。信託期間中の売却益に関しても法人課税がされます。

 ただ、この課税関係は、委託者が無償で信託を設定した場合ですが、これを時価で受託者に売却し、お金を受け取ったと考えたらどうでしょうか。たとえば売却時の株の時価が100万円で、信託側で100万円調達して対価を支払った場合です。この株は自己株式として所有していたものであり、帳簿価額は60万円でした。税務上の仕訳は次のようになると思うのです。

委託者側  現金 100万円  自己株式(資本金等) 60万円

               資本金等 40万円

受託者側   現金 100万円  借入金 100万円

(信託財産) 株式 100万円  現金  100万円

 信託設定時に時価取引をしている場合は、受託者側に受贈益課税はおこりえないと思います。

そして、信託が終了し、その時点で、受益者が確定され、受益者に残余財産が分配されるということですが、税法的には、信託財産が解散し、清算中に受益者に分配されることから信託財産(受託者)側に清算所得課税、受益者側にみなし配当課税(法人課税信託だから、残余財産受益者=株主)という課税関係になるのではないかと思います。従業員の勤務の対価として受けるから給与所得になるという考えもありますが、どうするかは、お上がお決めになるでしょう。

また、信託終了時に債務超過が50万円生じたため、委託者である会社が50万円支払った場合のこの50万円は、従業員に対する給与ではなく、単純損金になるのではないかと思います。

広島ガスの事例は新信託法施行前の案件ですが、新信託法の施行後は上記のようになるのではないかなと思ったわけです。

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2007年10月26日 (金)

国有財産の売却 信託方式活用

今朝の日経の経済面にちっこい記事が載っています。移転庁舎の跡地処分について信託方式を使うようです。総額16千億円超。国が土地や建物を信託し、信託受益権をSPCに売却して、SPCが資金調達するといういつもの方法なのかな。

今、東京はバブルの再来ともいわれていますが、今、信託受益権を売却するというのは国としてはいいかもしれませんね。将来、これより値段が上がるかどうか不透明ですし。

逆に投資家としては、たぶん、再開発することにより付加価値がつくから、たとえ、バブルがはじけてもOKという読みで購入するのでしょうね。

数人の投資家だったらリスクが怖くて二の足を踏みますが、証券化して、証券を細分化して販売すると大勢の投資家が買えるのでリスクも分散される。リスクの総量はかわらないんだけど、それぞれの投資家にとっては許容範囲のリスクだから投資できるのでしょう。でも、いったんサブプライムみたいな問題がおこるとリスクの総量はかわらないから、大勢の投資家が損失を被ることになる。

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2007年10月22日 (月)

信託規制の緩和の総仕上げできるかな♪

今日は月曜日、月曜日の朝って、いつも、あんまり面白いネタがありません。前日が日曜日だから。

で、ぺらぺらと新聞をめくったら16面に信託規制の緩和 総仕上げという記事があります。

この記事は、2つのパートに分かれていて、まず、新たな信託会社の参入、

新たな信託会社として、表に5つほどあがっています。このうち3つが流動化モノ、ジャパン・デジタルコンテンツは知財信託、朝日信託はパーソナルトラストでしょうね。

信託業法改正後の信託への参入は、12社うち運用型5社、管理型7社だそうです。意外と少ないのですが、その理由として記事にも載っているのですが、信託実務経験者の確保で、私は最低2人か3人かと思っていたのですが 事実上4人以上必要のようで、これが最大の難関です。この信託実務といっても、信託銀行っていろんなことをやっていて、たぶん信託の受託者らしい業務 資産の管理業務のようなものをやったことのある人だと思うのです。営業ばっかりやっていた人、為替のディーラーはだめでしょ。たぶん。

続いて弁護士の受託者への参入。

信託業法の附則で3年以内に見直し、高齢者や福祉型の信託などを含め、幅広く検討を行うということで、これらの信託をする担い手の信託業参入をしやすくしようと考えているようです。だって、信託銀行の手数料って高いからね。企業なら払えても個人ならううっとくるものもある。それに、民事信託は非常にウェットな部分があって、個人の求める痒いところに手の届くようなサービスを大企業が提供することは難しいでしょう。担当者の移動もありますし。

弁護士の人がこの福祉型信託の担い手として参入したいと考えて、弁護士が担う場合は金融庁の監督のout of 範疇にして欲しいという要望があるようです。

しかし、これには、信託銀行や金融庁が反発している。自分たちは大変な思いをずっとしてきたのになんで! 俺のしまを勝手に荒らすな! でしょうね。

24日から金融審議会金融分科会の部会で信託業法の見直しについて意見交換が始まるようですが、どうなることやら。

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2007年10月10日 (水)

セキュリティ・トラスト始動

今朝の日経の金融面に「みずほ信託 担保権の管理を代行 改正信託法で新業務開始」という記事があります。

いわゆるセキュリティトラスト業務をやりますよということです。セキュリティトラストっていうのは、担保権を信託するようなもの 信託というのは、委託者の持っている資産を受託者に移転させて、受託者が管理するというのが基本形ですが、新信託法により実際に物を移転させるだけでなく、担保権を設定させることによる信託も可能になってます。

通常の担保では、債務者が担保権設定者となり、債権者が担保権者となり、債権者兼担保権者が担保物権の管理処分をしなければなりません。債権者以外の者が担保権者となることは、原則としては、認められていないようです。

セキュリティトラストになると、債務者兼担保権設定者が委託者、担保権者が受託者、債権者が受益者という関係になります。

藤原彰吾氏の「セキュリティ・トラスト活用に向けての法的課題(上)」金融法務事情No1795、31頁にはセキュリティトラストの特徴として

「①信託契約は委託者(債務者)と受託者(担保権者)との間の契約締結により成立するものであり、受益者(債権者)の関与は必要ないこと ②債権者は担保権(物権)の権利者ではなく、担保権から優先弁済を受けることを主たる内容とする受益権(債権)の権利者であることがあげられる」 そうです。

セキュリティ・トラストビジネスとは、本業で忙しい債権者のかわりに担保の管理処分のアウトソーシングをしますよということかなあ。でも、このビジネスって 記事によると3兆円マーケットだそうです。

みずほ信託では、第一号としてINAXと契約を結ぶそうです。INAXは販売業者への売掛債権の回収保全のために、販売業者の有する上場株式を担保として押さえているそうですが、これをセキュリティトラストで行うそうです。

つまり、INAXの販売業者とみずほ信託がセキュリティトラスト契約を結ぶ。委託者がINAXの販売業者、受託者がみずほ信託、受益者がINAX. 販売業者の持っている上場株に担保権を設定し、この担保権者をみずほ銀行とする。販売業者が代金をINAXにきちんと払っている間は、みずほ信託は上場株の管理だけしておく。販売業者の支払いが滞った場合は、みずほ信託は担保権を実行して、上場株を売却し、換価代金をINAXに支払う。

ということかな?

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2007年10月 2日 (火)

受益者が50人未満でも登録の必要な自己信託

 あと1年施行が遅れる自己信託(委託者が受託者である信託)は、受益者が50人以上の場合は登録が必要で、50人未満の場合は、原則的には、登録不要。でも、例外もあります。

ビークルを介在させる場合 

受益者はビークル1つだけど、ビークルの下に50人以上の投資家がぶら下がっている場合

自己信託を繰り返す場合

同種内容の信託をいくつもやっていて、それらの受益者の数を合計すると50人以上の場合、

この同種内容の信託とはどういうことなのでしょうか。 不動産の管理信託についてAという不動産で20人 Bという不動産で30人の場合は、合計で50人だからだめということでしょうか。不動産の管理信託20人 有価証券の管理信託30人の場合は同種内容じゃないからいいのでしょうか。 たとえば、不動産の管理信託20人で 事業の信託30人の場合も同種内容じゃないからいいのでしょうか。 この同種内容がどこまでの範囲なのかがわかりません。

多数の受益権が発行される可能性のあるケース

今は受益者が50人に満たないけど、将来的に増える可能性がある場合をさしているようであり、条文によると「あらかじめ定められた方法に従った受益権の分割以外の分割ができない旨が当該信託行為において定められている場合において、当該定めにより対象信託受益者等合計数が50人以上となることができないとき」(信託業法施行令152②四ハ)

これって、分割禁止のような文言を公正証書等にいれておく必要があるということなのでしょうか。

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2007年9月27日 (木)

合弁のためのビークル

昨日の日経に 「マイクロソフト合弁、LLP活用 制約の少ない有限責任組合 まずNTTデータ」がありました。

今まで合弁には株式会社を利用していましたが、これを有限責任事業組合(LLP)に変えましょうということです。

有限責任事業組合というのは、組合だけど、組合員の組合債務に対する責任の限度額が、原則的には、出資限度というものです。設立が容易で、出資者間の権限や利益分配を柔軟に決めることができ、パス・スルー課税を使えるというメリットがあるといわれています。

ただ、税務の面を考えると、損失の規制があったり、出資割合と異なる損益分配を行う場合は、利益の組合間の移転があるものとして課税されるリスクもあるし、組合課税が充実していないのでどのように処理をしていいのかわからない面も多々あります。

この合弁のように第三者間が事業を行い、しかも、期限があるような場合はLLPが使えるビークルとなるのかもしれません。

でも、合弁のためにLLPを使うより信託の方がより柔軟な設計ができるのではないかなあ。

信託も有期のビークルだし、LLPよりももっと柔軟に設計できる。組合の場合は、出資する人が自ら事業を行って損益の配分を受けるというものだけど、信託は出資する人と事業を行う人と損益の分配を受ける人が同じでも別でもかまわない。事業を行う人が100%損益の分配を受けるのは問題だけどね。ガバナンスをどうするかも自由に設計できる。そして、事業を行い資産、負債を形式的に持つのは受託者である。LLPは契約だから法人格がないので、たとえば、資産は組合員の合有という形になって、ややこしい。

たぶん、合弁をするなら合弁当事者のうちの一社が自己信託して、信託受益権の一部を相手方に譲渡するというような形で行うのが、何年後かの定番になるんじゃないかなあ。

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2007年9月23日 (日)

「クレディアの破綻と証券化商品の元本割れ」に関するコメント

こんにちは 今日はどんよりと肌涼しい一日でした。さて先日の「クレディアの破綻と証券化商品の元本割れについて、プロの方からコメントをいただきましたので、掲載します。おばちゃんには奥の深いつっこみができないので、こぴぺのみです。

なお、9月25日 9時32分ごろに追加しています。

Shotanajpさん:

消費者ローン債権を流動化する際には、過払い返還請求から隔離するために、オリジネータに過払返還金の支払を残します(契約上)。ひょっとすると、私が関わったものだけで、隔離していないケースもあるかも知れませんが。。

ですので、オリジネータの財務内容が健全な場合は、証券化商品の投資家にはリスクはおよびません。

ただし、オリジネータが倒れた場合は、投資家にリスクが及んできます。証券化でバックアップするのは、オペレータだけで、支払義務者は移転されないからです。

ですので、この手の商品は、

オリジネータが死ぬまではOK

死んだらOUT

という感じなんでしょう。

Dataminerさん:

shotanajpさん、通常の貸主健全なケースでは、貸主が信託債権について、債務整理しようとすれば、さービシング期間直後に、信託を解除して、委託者に戻して、ローン契約、和解などする。権限がないですから。だからもともと過払い金返還義務は通常のケースではありえない。そうすると過払い金返還義務がオリジネーターに残るケースというのは、信託解除がない場合か。そして過払い金返還部分は、格付上、貸主の企業格付リスクに依存するということになりませんか。信用補完に組み込めて、無視できる範囲ならいいでしょうけれど。

ところで、不明なのは、債務整理で金利引きなおしで消滅した元本債権が生じた場合、その減額部分の補償はどうなるでしょうか。

民事再生で、どうなる債務整理元本消滅、不当利得請求権の扱いについて、考察してみました。

http://consumerloan.blog.shinobi.jp/Entry/74/

<9月25日追加分>

ダ~タマイナーさん:

債権を信託に移転するとき、委託者に、当該譲渡債権にかかり将来生じる不当利得返還請求権を委託者に留めたままで、権利は移転できるか。
そういう契約は、できないことはなかったでしょう。

しかし、以下実態から、そうした契約をしたことはありえません。

委託者兼サービサーは、信託債権にかかり全部の回収金を引渡し、サービシング期間ごとに(隔週か月次)、元利金別の受領額、延滞口座とともに、報告をしています。

したがって、証券化期間数年にわたり、信託財産は、すなわち受託者の多分新生信託銀行は、グレーゾーン金利を受領しているのです。
架空請求と認識しながら、容認していたのです。
だから、不利5%を信託財産からいただけます。
札幌高等裁判所平成19年4月26日判決 架空請求」と認定
070731 大阪高裁 GE 架空請求類似

信託は財産がたっぷりだから、しかも真正売買で(信託目的譲渡ですが)、民事再生の影響をうけないいので、不当利得は信託財産の範囲で、いくらでも安心してとりにいけます。
100人から訴訟をうけたら、過払いを払わないようなふとどきな金融機関は金融商品取引法のもと、不法な回収を行い、返還もしないとで処分されるでしょう。レピュテーション問題で、払うでしょう。クレサラ弁護士にとっては、クレディアが残してくれた、宝の山だ。払わなければ、貸金業法24条2項通知も打たないで、未だにだれに帰属するかも開示しないで、債権届け出もできないような状況を許せるはずがない。共同不法行為で、もろともに訴訟してあげればいい。 無担保消費者金融ロ-ンの1/3近くになる。

ところで、格付機関S&Pは、シングルA格付の信用補完レベルを計算するとき、金利収入にストレスをかけて計算をしますが、21~22%まで、受領できるとして想定しています。AAAであれば、18%まで、AAで20%までとか。
ムーディーズは、投資適格であるならば、18%までしか回収できないとして、超過担保、信用補完を計算します。

shotanajpさん:

>dataminer さん

信託おばちゃんのBlogで記載することではないかもしれませんが、Blog拝見(勉強)させて頂きました。
かなりマニアックなBlogを記載されていますね。
文章を読んでいて、どのような職業の方なのかが想像できます(若干、妄想癖があるのでスイマセン)。

こちらももう少し詳細な部分まで書けば良かったですね。少し反省です。
私が記載したコメントはdataminerさんのBlogで記載されている”戻し”です。

私も以前は消費者ローン債権の証券化に関わったこともありますが、その時に取った格付けも今はどうなっていることやら。。

戻し計算についても、「オリジネーターから入手したデータをそのまま信用していいのか?」、「過払い金計算用ソフトをそのまま使うだけでいいの?」と思ったりしますが、今はそれを商売にしていたりします。
昔販売した投資家には怒られるかもしれませんけどね。。

私が以前M&Aで消費者金融の買収を検討していた頃から、状況はすっかり変わりましたが、その頃は、証券化商品の民事再生法の申請時の重要財産認定について疑義を感じていました。

>民事再生で、どうなる債務整理元本消滅、不当利得請求権の扱いについて、考察してみました。

こちらは、証券化の永遠の課題だと思います。
日本には欧州のようにフローティング・チャージという概念もありませんし、債権・動産を押さえる法律は限られています。さらに、第三者対抗要件も具備することが、社会通念上躊躇われる場合が多いと思われます。

消費者ローン債権だけではなく、他のケースでも同様でしょう。

債権譲渡特例法、集合動産登記など、アヤフヤな法律・担保設定手法が多いのですが、理屈的には保全されていると思っていても、保全するための手続きが煩雑なケースや、対抗要件具備のための通知をどれだけスピーディーに行えるかといった、「力技」で勝負しなければならない部分もあります。

個人的には、「WBSが将来的に何件やられるか?」ということも、興味はあります。

長々と書いてしまいましたが、dataminerさんのように特定分野に興味を持たれ(業務上?)、そして日々、仮説・検証・考察を繰り返されている方といつか案件等でご一緒できると良いですね。

それでは、おやすみなさい。

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2007年9月10日 (月)

道垣内弘人教授の「信託法入門」

たまたま、信託法の基礎がわかる本を教えてほしいというリクエストがあって、以前、教えていただいた道垣内弘人教授の「信託法入門」を買って、読み始めました。ページ数は240頁くらいなので、通常の読書スピードだと1日で読み終えるところですが、まだ3分の1くらいしか読み進んでいません。

なぜ、読み進んでいないのか。それは難しいのではなく、本の帯の言葉じゃないですが、本質がつかめる最良のテキストだから。

拝読していて、ものすごく優秀な人が書いているなということがわかります。信託法が頭の中に完全に溶け込んで、私の信託法という形になっていないと書けないような表現がちりばめられているから。

私自身がなるほどなあと思ったところだけご紹介しますと、

第14条(信託財産に属する財産の対抗要件)は、次のようになっています。

 登記又は登録をしなければ権利の得喪及び変更を第三者に対抗することができない財産については、信託の登記又は登録をしなければ、当該財産が信託財産に属することを第三者に対抗することができない。

 この条文を別の角度で読むと、現金などは公示を必要としない。現物の有価証券も同様です。改正前の信託法では証券に信託財産なることを表示することが必要とされていたようですが、大量の有価証券を保有し、しょっちゅう売買しているような場合は大変であり、信託業法ではすでに骨抜きにされているようです。

 なぜ、公示を必要としないのか。 公示がこのように技術的に難しいという理由だけでなく、筆者いわく 「受託者に対する債権者は、受託者自身が実際に自分の利益のために有している財産については当てにできない、当てにしていたとしても、そのような期待を保護する必要はない、という判断が背後にあるというべきでしょう。だからこそ、公示が技術的に困難であるときには公示をしなくても、その財産が信託財産であることを他の債権者に対抗していけるようになっているのです。」

 「なぜ」に対する回答がきちんと書かれている本は優れているというのが私の専門書を評価するときの指標なのですが、ほんとにそうだなと思わせる一冊です。

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2007年9月 6日 (木)

排出権の信託

今朝もネタ探しに「信託」231号をぼーっと眺めていたら、巻頭言が目に入りました。これは、みずほ信託の池田輝彦氏のお書きになられた原稿ですが、ここで排出権の信託というのがあります。

排出権って何?

昨今の世界中で生じる異常気象の原因は、地球温暖化にあるといわれて久しいです。この地球温暖化を防止するためにどうすればいいかという会議が1997年に京都で開かれたのですが、そこで二酸化炭素等6種類の温室効果ガスの削減を義務付けましょうということが決められています。

日本は、1990年当時と比較して2012年において6%削減。日本が日本独自で努力して目的を達成するのが望ましいのですが、なかなくまくかいかない。そこで、馬の前にニンジンをぶらさげる戦術を考えたようです。

これが、京都メカニズムといわれるものですが、具体的には4つあるようですが、そのうちの2つ「排出量取引」「クリーン開発メカニズム」を紹介すると、

「排出量取引」これは、先進国同士で 削減目標を達成した国や企業が削減目標を超えて削減した部分を削減目標を達成していない国や企業に売却しましょうというもの。この結果、削減目標を達成してない国や企業は削減目標を達成したことになるというもののようです。

「クリーン開発メカニズム」これは、先進国と発展途上国が共同して、発展途上国の温暖化削減に貢献した場合、通常、先進国側では、人、物、金を出すことになると思いますが、削減の結果の一部分に関しては、先進国側の手柄ということで、先進国側でカウントしますよというものだと思います。

温暖化ガスの削減に効果のあった部分について国連がクレジットを発行するようですが、ようするに、お金で取引できるということです。お金で取引できるというのは、この部分に価値があるということで、このような価値を排出権というのかもしれません。

で、この排出権が欲しいというニーズが今後増えると予想して、この排出権を信託し、小口化して販売しましょうというビジネスが既にあるようです。

私は、今日始めて知ったのですが、小口化した排出権がほしいという需要はどれくらいあるのかなあって ブロガーのみなさん又はみなさんの属する会社は買いますか♪

 

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2007年9月 4日 (火)

信託社債

昨日、最新の「信託」231号 (社)信託協会が送られてきて、田中和明氏の「資産流動化信託の視点から見た新信託法」を、つまみ食い、ではなく、つまみ読みしていました。

で、この中に信託社債という項目がありました。以前、教えていただいて頭の片隅に残っているのですが、信託社債っていうのは、社債の信託版のようなもの。新信託法には信託社債という項目がないのでその存在がよくわからなかったのですが、この論文でさらっと書かれています。

 改正会社法施行規則2317項で、「信託社債」は、信託の受託者が発行する社債であって信託財産のために発行するものと定められている。

会社法施行規則で定められているから、受託者は会社に限るのでしょう。

で、責任財産は、信託財産のみに限ることもでき、その場合は、募集社債の総額と募集の決定を除き、取締役会に委任できる(改正会社法施行規則99②)そうです。

信託を組成し、優先劣後受益権を発行するという方法が既にありますが、投資家に信託社債を発行し、オリジネーター等が受益権を保有し続けるという方法も流行るかもしれません。

税務のことを考えても、信託社債の利息を損金として処理し、受益権者を最小にし、頻繁に受益権者が変わらない方がずっと計算がラクだし。

ただ、社債利息のようなものだから、源泉税が20%とられることが投資家にとっては痛いのでしょうか

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2007年9月 3日 (月)

10億円払って、仕事をGet

先週の土曜日(平成1991日)日経新聞の朝刊の一面で、ゆうちょ銀行の債券管理業務を日本トラスティ・サービス信託銀行(住友信託、三井トラストホールディングス、りそな銀行が33.3%ずつ出資)がマイナス10億円で落札したという記事がありました。

0円落札というのは、聞いたことがありますけど、マイナス落札というのは初めてです。なんでこんなことができるのか? 記事によると、郵貯の民営化により債券管理業務を民間に委託することになるそうですが、この規模がでかくて約130億円。国債の支払いや利息の支払い事務を行った場合、日銀から手数料がもらえて、このくらいの規模になると2年間で12~13億円になるようです。だから、委託者から手数料はいらないということでしょう。記事で2年でと書いているから、たぶん契約も2年なのかもしれません。そうなると 手数料収入が12億円で、郵貯への支払いが10億円だから他に経費の支払いがあまりないならば、2年間で2億円は利益が生じることになります。

で、ちょっと気になったので、今回の入札に加わった3社(日本トラスティ・サービス信託銀行、日本マスタートラスト信託銀行、資産管理サービス信託銀行)の財務データと、今回の入札が与えるインパクトはどのくらいか?   (公表資料から)

(単位M円)

H19.3期の数値

日本トラスティ

日本マスタートラスト

資産管理サービス

信託報酬

23,131

24,322

10,026