2009年11月 4日 (水)

特許の審査開始時期の柔軟化

今朝の日経のトップ記事は「特許の審査開始 柔軟に 出願後最大8年に延長 製品化にらみ修正しやすく」です。

 知的財産管理技能検定3級を勉強中の信託大好きおばちゃんとしては、目にとまる記事です。

 特許権というのは、なんかあたらしい物なり方法を発明した場合に、発明者が一定の期間、経済的ご利益をもらえる権利のことです。

 この特許権というのは、特許庁に出願すると、すぐ、権利ができるというものではないのです。出願して、3年以内に審査をしてくださいとお願い(審査請求)すると、記事によるとそれから約29ヶ月で審査をしてもらい、よければ、特許として認めてもらうというもののようです。

 この審査請求をしてから審査開始までの期間を平均29ヶ月から、最大5年にしようかということだと思います。他方、もっと早く審査開始をして欲しいというニーズもあるので2013年までに審査開始までの期間を11ヶ月に縮める目標も掲げているようです。つまり、審査請求をしてから審査開始まで、多様なニーズに応じて、柔軟にできるようにして欲しいということなのでしょうね。

 でも、なぜ遅らせたいのか? これは、記事の受け売りですが、審査が開始されると出願内容を修正できる期間が限られているようです。何年も前に特許出願して、製品化に向けて努力し、製品化できるメドがついたけど、製品の内容は、特許の内容と若干異なっているということもあるようです。

 製品の内容が特許の内容と異なっている場合は、誰かさんが海賊版を販売しても、特許侵害を理由に、その誰かさんに、売るなと警告したり、差し止め請求をしたり、損害賠償をすることが難しいようです。そうすると、特許権者としてのご利益がない。だから、審査の開始を遅らせて、このような損害が生じるのを防ごうと考えていらっしゃるのですね。

 ちなみに特許のご利益の存続期間は、出願から20年。 つまり、審査が遅れるとご利益を受け取る期間も短くなるのですが、それでも、確実に利益が確保できる方いいという考えがあるのでしょうね。

いずれにしても、これから、どうなるか決まるようなお話です。

| | コメント (0)

2009年11月 1日 (日)

パロディは著作権侵害か?

 信託大好きおばちゃんは、知的財産権(特許権とか著作権)をちょっと理解しようと考えて、東京理科大学で知財管理技能検定3級の講座を受けてます。講師の古志達也先生は、信託大好きおばちゃんと同じ関西の文系大学出身で、弁理士試験に短期間で合格された方です。試験にパスするためには出題者ならどう考えるかという観点で勉強せよ?というようなことをおっしゃったような記憶がします。なるほど♪

 この授業は土曜日の午前中にあるのですが、1031日は、受講後、早稲田大学でJASRAC連続公開寄付講座「著作権法特殊講義」著作権侵害をめぐる喫緊の検討課題

中村 稔さんの(弁護士,芸術院会員,詩人)「著作権保護の真髄を語る-著作者かつ法律家の立場から」を受講しました。

 いろんな優秀な方のお話を気軽に安価、または、無料でお聞きすることができるというのが、信託大好きおばちゃんにとっての東京の最大の魅力ですね♪

 中村さんのお話で面白かったのが、パロディは著作権侵害かという問題です。

その例として宮沢賢治氏の雨ニモマケズのご自分で作られたパロディを紹介されました。

ちょっとだけ引用させていただくと

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 冬ニモ寒サニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 欲フカク ムヤミニ笑ワズ イツモ横柄ニイバッテイル」

 これが著作権侵害にあたるかという論点があるようです。

 

 これは複製か? コピーじゃないですよね。オリジナルとパロディは実質的に同じじゃない。

 これは翻案か?  翻案とは二次的著作物の創作のようであり、たとえば、翻訳したり小説の映画化のようなもののようですが、翻案ともちょっと違うというのが中村さんのお考えです。

 中村さんとしては、パロディは、著作権侵害にあたらないというお考えがあって、その理論構築は、著作権の目的である文化の発展の寄与という観点から、または、フェアユース(著作権の公正な利用 作者の許諾なくできる)の観点からとも考えられるが、実際は難しいところがあるというようなことをおっしゃったような気がします。

 フェアユースに関しては、もうちょっと、勉強してからブログに書いてみようかな♪

| | コメント (0)

2009年10月23日 (金)

PPH 特許審査ハイウェイ

 今朝の日経の経済2面に「特許、国際出願しやすく 中国・カナダなどと特許庁が連携強化」という記事があります。

 特許っていうのは、何か発明をした場合に、発明者に内容の公開と引き換えに一定の期間、利益を与えましょう、よこしまな連中がやってきたら撃退していいですよという法律で人工的に作り上げた権利だと思います。

 特許という権利をゲットするためには、特許庁に出願しないといけないのですが、その効力が及ぶ範囲はあくまでも日本国内。経済がグローバル化している現代において、外国での海賊版を排除するためには、日本での特許権ではだめで、外国でも特許として認めてもらわなければなりません。

 そのための手法として、 ひとつはパリ条約に基づいて直接、外国にその国の言語で出願をする方法があるのですが、これは、時間的余裕もなく大変らしい。

そこで、PCT(特許協力条約)というものができ、これは日本の特許庁に国際出願という形で出願した場合は、12ヶ月以内にその特許が認められそうか否か調査され、国際公開され、予備審査を経て、30ヶ月以内に外国に出願するというもののようです。PCTであっても外国での出願をパスすることはできません。

こちらの方が、時間的余裕があるからじっくり翻訳もできるし、事前審査をしてもらえるから、登録の予見可能性もそれなりにあるようです。

で、今回の記事のPPHの位置づけは、外国での出願の際に、一から審査するのではなく、日本での審査データを参照できるようにして、効率をよくするというもののようです。

蛇足

どうも、特許の世界というのは、想像以上にグローバル化が進んでいるようです。税金の世界も国際税務というのがありますが、税理士の世界では決して保守本流ではない。他方、弁理士の世界では、英語を使った仕事というか、国際間の仕事は、保守本流とはいわないまでも、特定の弁理士の特別の仕事ではないようです。

| | コメント (0)

2009年6月19日 (金)

JDC信託へのお仕置き

 このブログは信託大好きおばちゃんの個人的なブログであり、世間的にはあまり知られないけど非常に面白い信託という仕組みについて勉強して、ついでに広めようと思って書き始め今年の10月でまる4年となります。その間、おばちゃんの人生に山はなく、谷、谷、谷。そのわりには、貧すれば鈍すとなってない♪ 不思議だと不思議だいわれますが、別におかしなことをしているわけじゃない。事前にしっかり備えて 常に等身大で生きようとしているからなんですよ(笑) たいしたことなんてできないかもしれない。大物なんて言われたくない。しぶとく生き残っていきたいだけなんですよ。

 信託のいい点を書こうと努力してきましたが、 こういうネガティブな情報も書かないといけませんね。

日経の経済1面「JDC信託に厳格処分 金融庁顧客資産返還を命令」

 ようするに、お客さんから預かっていたお金を会社の業務に流用しちゃいましたということです。

 これを受託者がやっちゃうと信託は終わってしまうということをやっちゃったんですね。

 なぜ、こうなったかというとようするにお金がなかったからであり、なぜお金がなかったかというと、思うように事業が拡大しなかったからであり、なぜ思うように事業が拡大しなかったかというと、コンテンツビジネスは日本で数少ないオリジナリティにあふれた成長分野なのだけど、信託に関して理解してもらえなかったからなのかなあと、でも、こんなことをしてしまうと、誰もお金を預けなくなるから、益々うまくいかなくなるのですよね。

 JDCの経営に問題があったからであり、信託自体はおかしなものでないし、これで知財信託がぽしゃるのは悔しい。

いっそアニメの殿堂でコンテンツの信託ビジネスをやりますか。そして、うまくいきそうになったら民営化する。社長の首をめぐって大臣がわーわー言い出すようになったらたいしたものです。

| | コメント (0)

2009年1月27日 (火)

フェアユース 著作権法が改訂されるかもしれない

本日の日経の社会面に「著作権者の了承不要 「二次利用」拡大を検討」という記事があります。

 現在の著作権法では、著作権者の了承なく二次利用できる範囲が限定列挙されています。

たとえば、私的使用のための複製、教科用図書等への掲載、学校その他の教育機関における複製等、、、

 でも、記事によると「インターネットの検索エンジンなどは検索作業の前提としてデータベースへの著作物の複製が必要だが、無断利用が認められる例に含まられていない」そうです。これじゃ困るなということでしょうね。

 米国では、フェアユースという規定があって、日本のように限定列挙ではなく、公正利用の場合は、許可がいらない。ただ、公正利用が何かでもめた場合は、裁判で決着をつけましょうということになっているようです。

 で、日本も米国のような規定を作ろうということだと思うのですが、公正利用ならOKというのは、総論賛成だと思うのですが、各論では、それぞれの立場で言いたいことがおありでしょうから、すんなりまとまらないかもしれません。

 ブログ等でいろんなことを書いている信託大好きおばちゃんとしても、著作権の理解は重要と考えておりますので、この辺の改訂のニュースがあれば、きちんとキャッチアップしておこうと思っております♪

| | コメント (2)

2009年1月15日 (木)

 知的資産評価マニュアル

 今朝の日経の経済1面に、小さな囲み記事で「「知的資産」評価の手引き 特許や営業ノウハウなど」があります。

 

 中小企業融資を拡大するために経済産業省が 知的資産を総合的に評価するマニュアルを3月末をめどに作成されるようです。

 これ、中身をみないとわからないのですが、知的資産の評価のスタンダードとして耐えうるものであるならば非常に大きなインパクトを与えますね。

 日本は知財立国をめざす それしかないといわれていく久しいですが、そのわりには知財の取引がブレークしたという話をとんとききません。この理由は、法整備うんぬんもさることながら、その知財なんぼやねん?という問いに対して、なんぼだす。と答えてもそれが妥当なのかどうなのかわけわからないからだと思うのです。これじゃ、二の足踏みますよね。

 この評価方法で算定した価格で取引をすれば、会計上も税務上もOKよなんてお墨付きをもらえると、ようやっと知財立国へむかって大きく動き出すかもしれません!

| | コメント (0)

2008年7月 9日 (水)

久々の知財信託

今朝の日経の新興・中小企業蘭を読むと「「知財信託」を通じ大手の技術吸 大阪の中小、国内初事業化」という記事があります。

 ほんとうに久々だなあ。 

 この知財信託は、トキメックという一部上場会社が所有している休眠特許を、自分を受益者として信託し、信託銀行が、特許を使ってくれる会社を探して、うまくいったら、特許使用料をもらって、トキメック社に分配しましょうというものだと思います。

トキメック社自体は、受益権を売却してということは考えず、おそらく自社で持ち続けるのではないかなと。

ちなみにトキメック社の有価証券報告書を読むと、平成203月末で、連結ベースの貸借対照表の無形固定資産その他に計上されているものは7M円ですから、この中にこの特許権もあるのでしょうね。売上は連結ベースで、51,321M円 研究開発費は 2,503M円

(売上の5%くらいが研究開発投資にまわっている)

 今回の記事の肝は、東京の大企業の休眠特許を利用するのが、大阪の中小企業(マックマシンツール)ということで、このような事例は本邦初だそうです。

 中小から中小 中小から大というのはあったようですが、大から中小というのはなかったそうです。なぜなら、記事によると「大手の技術を単純に取り入れても、中小が応用技術を持たなければいけない。同行は今回、トキメックの開発担当者らによる技術指導を徹底するなど、マックスマシンツールが製品開発しやすい環境を整えた。」そうです。

 ようするに信託銀行が、総合商社のような役割を果たしたから、大から中小へのビジネスが可能となったということなのでしょうか。

| | コメント (0)

2007年10月29日 (月)

特許企業名非公開に

今朝の日経をみていたら 経済金融欄に 「特許使用権、M&Aでも契約保護 登録企業名非公開」にという記事がありました。

ふっと思い出したのですが、日経ビジネスの20071022日号に「金になる知財」という特集があって その中の「インフラ整備に重い課題」という記事(上記雑誌の41頁)を引用させていただくと、

**************************************

企業が特許を売却する際、最も気にするのはすでにそのライセンスを供与している相手のことだ。新たに特許の保有者となった企業が契約を引き継がなければ、供与先に多大な損害を与えることになりかねない。

あらかじめライセンス契約を特許庁に登録しておけば、供与先は特許が譲渡されても影響を受けない。だが、実際には「技術や製品の権利関係は企業秘密。わざわざ登録する企業は少ない」(弁理士)。こうした「実態と乖離した制度が特許流通を阻害している」(家電メーカー)との不満は大きい。米国では特許保有者が変わっても、ライセンス契約は自動的に維持される。

この問題については、特許庁でも改善に向けた検討が始まっている。

     *************************************

この記事に対する回答のような記事が今朝の日経ですね。

***************************************

ライセンスを登録した場合に公開を義務付けている企業名や、契約金の額などを原則非公開とする

***************************************

このことにより、たとえ、特許の保有者が変わっても、ライセンス契約は登録されているので、ライセンスの使用者は新しい特許権保有者に対して、権利を主張できることになるのでしょうね。

現行の制度においてライセンス登録は全ライセンス契約の1%にとどまっていたそうです。

なお、2008年通常国会にも特許法など関連法令の改正案提出をめざすそうです。

 

知財立国を首相が何年か前に謳った国ですので、なんとか、有限実行に向けて動いていただきたいものです♪

| | コメント (0)

2007年10月23日 (火)

知財信託で初の配当金

今朝の日経に「『知財信託』で初の配当金」という記事があります。

知財信託というのは、目に見えないけれども価値のある資産のこと、たとえば著作権とか、特許権とか、

知的財産が信託できるようになったのは、平成16年ごろの信託業法の改正からだと思います。

知財信託は、次の信託の目玉になるといわれながら、数年たちましたが、プチ化けもしてないようですね。いろんな事情があると思いますが、

今朝の日経では、中小企業の特許を信託したものが、初めて配当を払えるようになったというものです。組成したのが2005年ですから 2年の月日が経っています。

この中小企業の特許の信託というのは、すでに、ロイヤリティの支払い先が決まっているようなものでなく、信託銀行が、信託を組成しながら、支払い先も見つけてくるというもののようです。だから、見つからないとダメだし、見つかってもすぐに収益が生めるというものでもない。通常、特許を使っていっぱいモノを作らないといっぱいロイヤリティを払ってくれない。製品価格の何パーセントというように支払額が決められているようだから。

よかったよかったということなのですが、投資家からしたら2年間配当がこない金融商品というのは投資としてはどうかなあっていうところもあります。配当がなくても、上場株式のように、自由に売買できて投資を回収できたらいいのですが、そんなマーケットもない。適正価格がどのように決まっていくのかという考え方は存在しても、不動産の鑑定評価基準のようにスタンダード化はされていないから、売買に二の足を踏むことも多い。

まあ、この信託はおそらく自益信託(委託者=受益者)だから、2年間配当がなくても、それはそれでいいのかもしれませんが。 自分で持っているだけだったら、おそらく特許がお金を生むことはないですから、

批判ばっかりしてもどうしようもないですが、いまいち、知財信託発展のための推進力に欠ける今日この頃です。

| | コメント (0)

2007年8月30日 (木)

ブランド価値評価モデル

今朝の東京は、昨日同様曇りで、肌涼しい。

またもや、「信託とファイナンス」特別講座の復習の続き。 

早稲田大学教授 広瀬義州氏の「証券化・流動化の展望と課題Ⅱ -知的財産の証券化と価値評価」から、

欧米では、ブランド価値が商品としてすでに売買の対象とされているようです。たとえば、グッチ。あの有名なバッグの店です。創業はイタリアのグッチ家だけど、今は別の人が経営しています。つまり、グッチ家から今の経営者がブランドを買い取って事業をしているということでしょう。

ブランドというのは、企業が長年において事業を行った結果培われた信用みたいなもので、同じような商品でも高い値段で売れる。だって、グッチのバッグと、そこらのバッグって 機能的には変わらないけど値段がぜんぜん違う。でも買う人は買いますよね。デザインがいいとか、質がいいとかというのは当然理由にあると思いますが、やっぱり「グッチ」だから買うというところもあるでしょう。この「グッチ」だから高くても買うというのは「グッチ」にお金を生み出すブランド価値があるからです。不動産にお金を生み出す価値があるから証券化ができるならブランド価値だってできるはずです。

このブランド価値を証券化するためには、不動産や他の資産と同様に企業全体のキャッシュフローからブランドのキャッシュフローを切り出せるかどうかが大事であり、そのためにブランド価値の客観的で適正な評価が大事なのです。

このブランド価値をどう評価するのか。ということで、広瀬教授はブランド価値評価モデルとして算式をお示しになっています。

信託大好きおばちゃんは、勉強大嫌いな高校を卒業しているから数学の難しい式はわからないので一番簡単な式だけ書くと

BV(ブランド価値)PD(プレステージ・ドライバー)/ 割引率 ×LD(ロイヤリティ・ドライバー) × ED(エクスパンション・ドライバー)

プレステージ・ドライバーとは、 価格が高くても値下げをしなくても顧客が製品等を購入することに着目した指標。 グッチは同じバックでも他よりもどれだけ高い値段で売れるかということ。

ロイヤリティ・ドライバーとは、リピーター等が安定的に存在していることにより、長期間にわたって一定の販売量が確保できることに着目した指標。 グッチは固定客がついていて、新しいバッグが売り出されたら、それをどれだけ買ってくれるかということ。バッグなんて、耐久性があるから毎年買う必要はないんだけどね。

エクスパンション・ドライバーとは、ステータスの高いブランドは認知度が高く、本来の業種または市場にとどまらずに、類似業種、異業種、海外等他の地域へ進出できることに着目した指標。グッチは、日本だけでなくおそらく他のアジアの国々にも進出しているでしょうね。それらの国々の所得水準からしたら目の玉が飛び出るような値段のバッグですが、どこの国にもお金持ちはいて、そんなバッグを買うことにステータスを感じる人はいるから。ようするに、グッチの製品は、今ある市場以外でどれだけ売れるか。今の製品と違う種類の製品でもグッチという名前をつけることによってどれだけ売れるかということ。

こんな指標を使って、算式はいまいちわからないけれどもブランド価値の評価は可能なようです。

| | コメント (0)

2006年10月27日 (金)

「アジア・オンラインゲーム信託~イーゲームスファンド第1号~

ほんとうに久々のジャパン・デジタル・コンテンツ信託ネタ。

ジャパン・デジタル・コンテンツが合同運用指定金銭信託という形態でお金をあつめファンドを作って、イーゲームス社(マレーシアにある会社でもCEOは日本人らしい)買付ならびに製作のオンラインゲームの使用権・著作権およびイーゲームス社の株式に投資をするようです。

オンラインゲームって何?

---------------------------------------------------------------------------------------

インターネットを介して複数の人が同時に参加して行われるコンピュータゲーム。

 ゲームソフト自体はWindowsなどのOS上で動作するようになっており、インターネット経由で他のコンピュータに接続してデータを交換することにより、ゲームが進行する。

 麻雀やトランプなどの古くからあるゲームをネット対応にしたものや、「Ultima Online」などの大規模なロールプレイングゲーム(MMORPG)、「DOOM」などのシューティングゲームがある。

インターネットを介して複数の人が同時に参加して行われるコンピュータゲーム。

 ゲームソフト自体はWindowsなどのOS上で動作するようになっており、インターネット経由で他のコンピュータに接続してデータを交換することにより、ゲームが進行する。

このイーゲームス社のオンラインゲームは、多人数同時接続型オンラインロールプレーゲームで、アジア諸国に配信していて600万人以上の登録会員がいるものです。英語でゲームが行なわれているのが人気の秘訣だそうですが、中国やタイのように英語があまりポピュラーでない国は、現地語で行なわれているようです。

ビジネスモデルは、まず無料プレーを原則とします。でも人間というのは、あるゲームを制覇すると、もっと高度なゲームに挑みたくなるもの。高度なゲームをやろうとする場合は、その時点で課金が始まるようです。バーチャルアイテム(たとえば武器とかコスチュームとか)を買っていくことによってね。

このイーゲームス社は20063月現在 資本金10億円 従業員85名 売上39,000万円ということで、この会社に対する投資内容はゲーム使用権20億円(約40作品分)・ゲームの著作権5億円(約5作品分)・イーゲームス社株式5億円。

おそらく財政的には厳しい状況の会社なんでしょうが、回収可能性は高いのでしょうか。またどのような投資家がこの信託に投資するのでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2006年9月21日 (木)

知財信託は、ブレークするかもしれない。

1.日経デスクトップニュース&クリッピング

最近、日経デスクトップニュース&クリッピングに入りまして、結構重宝しています。これは、自分で決めたいくつかのキーワードの入った日経4紙の記事を配信してくれるものです。信託大好きおばちゃんの場合は、信託、税、会計、会社法の4つを入れてます。そうするとこれらのキーワードの入った最新の記事を新聞よりも早く配信してくれます。

信託大好きおばちゃんは、最近東京に引っ越してきたのですが、この際とばかりに新聞をとるのをやめました。高名な磯崎さんのマネではないのですが、

で、今日のねたはクリッピングで拾ったねたから

2.知財信託はなぜブレークしない

知財信託はなぜブレークしないのか。これは信託大好きおばちゃんのブログで何度もねたにしました。

知財信託それもグループ企業内の信託のような場合、通常の信託免許はいらないのでわりと簡単に組成できるのですが、なぜか二の足を踏む企業が多いです。その理由として信託することにより、第三者の特許権侵害に対して請求できる損害賠償の範囲が狭まることです。

以前のブログの記事を引用すると

相手方に対して、特許権の侵害により生じた損失の賠償を請求することはできる範囲は次のとおりです。

     譲渡された侵害物権の数量に特許権者の単位数量あたり利益額を乗じた額(特許法102①)。

     侵害者が侵害行為によって得た利益(特許法102②)

     特許発明の実施に対して受けるべき金額に相当する額(特許法102③)。

事業会社が自分の有している特許に対して侵害された場合は①~③を算定方法として利用できますが、受託者の場合は、自分で発明したのでないから③の実施許諾料相当額に限定されます。

3.損害賠償の範囲が広がる。

 このような問題があったのですが、日経クリッピング(2006/09/21 媒体:日経産業新聞,22面)によると「平成18年5月の経済産業省の産業構造審議会が特許権を信託した元権利者と信託を受けた現権利者の扱いについて指針を公表した。両者が得られる独占的利益が一体とみなせれば「一〇二条に基づく損害賠償請求が認められても良い」とした。」 

これが認められるようになると受託者の損害賠償請求できる範囲が、実際に特許権を持っている人や会社と同じになるようなものです。そうすると二の足を踏んでいた企業も知財信託を検討、実施する可能性は高くなりつつあると思います。

さて、どうなるか。あとは知財評価の問題があるのですが♪

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2006年9月18日 (月)

荒井寿光さんの「知財革命」

1.荒井寿光さんの「知財革命」

 荒井寿光さんは、内閣官房知財戦略推進事務局長という非常に長い肩書きのおそらくエライ方でしょう。彼が「知財革命」という新書版の本を書かれました。さーっと読んだだけですので、彼の主張の本質までとらまえることはできていませんが、非常にわかりやすく、学者せず、官僚せず、実務にねざしながら、しっかりと世の中の方向性を描いているのではないかと思います。

2.日本の特許出願件数は世界一!

この著書の中で「日本の国際競争力は低迷しているが、その大きな理由は、国際的に戦える基本特許を持っていないからだといえる」とお書きです。

意外なことかもしれませんが日本の特許出願件数は世界一で年間40万件にも上るそうです。ただこれらは基本特許がほとんどなくて、出願した特許のうち多くが休眠特許状態になっているようです。つまり特許を利用して、実用化しようという特許本来の目的のために利用しようとしていないのです。

じゃなぜ出願数だけ多い理由が3つあって

     外国の基本特許をベースに、創意工夫をしたような応用特許が多くあるから。 このような改良分野に関しては、日本人は非常に才能があるからね。

     ノルマ特許! 研究者たちの労務管理上、何か明確な目標を作っとくのが有効なのでしょう。

     出しとけ特許! ライバルに先を越されないように、将来その技術が使えるかどうかなんて考えずとりあえず特許をとっとけということ

 著者は、「皆が智恵を出し合って、よりよいものを求めて切磋琢磨して周辺特許を出しているわけで、これは決して悪いことではない。しかし、基本特許を押さえていない企業や国は競争力という点で非常に弱いというしかない。」

3.じゃ大学で基礎特許を取れば

企業が基礎特許に結びつくような技術の開発を行うのは経済的問題もあるから難しいのかもしれません。それでは大学や公的研究所で基礎特許を取るようにすればいいじゃないかと考えるかもしれません。

ただ現実ではその動きはゆるやかです。なぜなら学者にとって評価されるのは特許をとることではなく、論文を作って学会で公表し、「すばらしい!」と評価されることだからです。

ここらへんを工夫して特許をとってもらい、プロに事業はやってもらう。先生には創造者の恩典として使用料を受取るというシステムを作り、学会で評価されるだけが人生じゃないんだぞ。こっちの水はもっと甘いぞ!というふうにもっていかなきゃね。

もちろんTLOの動きはありますが、まだまだこれからというところでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2006年8月30日 (水)

ビジネスモデル特許

1.ビジネスモデル特許

ビジネスモデル特許という言葉をときどき耳にします。これって何かというとビジネスの方法や仕組みに新しい特徴があり、その特徴をIT(情報技術)等の技術を利用して解決した発明に対する特許

(上原勉、川井隆、中山寛二 はじめての知的所有権 改訂第三版 法学書院 P72)だそうです。

つまりビジネスモデル特許というのは、新しいビジネス上のしくみとそれを可能にするIT技術の2つから成り立っているようなもの。

ビジネスモデルを考え出して、それで大儲けをしたからといって、それだけを切り出して特許として申請することはできません。IT関連 たとえばデータ処理に関する卓越した技術を作り出してもそれだけでビジネスモデル特許とはいいません。両方必要なのです。

2.どういうものがビジネス特許というか

 上記で引用した「はじめての知的所有権」においていくつかのビジネスモデル特許が紹介されていますが、そのうちの1つをこちらでも紹介します。

逆オークション特許!

オークションというのは、1人の売り手が商品をだしてきて、複数の買い手がいくらで買うかをせりにかけていき、一番高い値段をつけた人が買うことができるというやつですよね。

逆オークションというのは、1人の買い手に対して、複数の売り手が商品をだしてきて、いくらで売るかをせりにかけて、一番低い値段をつけた人が売ることができるというようなものです。

このしくみだけだったらたんなるビジネスモデルなのですが、これにIT技術をかますのです。

つまり買い手がある商品を1万円で買いたいという意思をサーバーに送信すると、その商品を売っている業者にも情報がいき、いくらで売れるかということをサーバーへ送信してもらいます。 A社が11,000円 B社が1500円 C社が1万円という回答のような場合、買い手には一番安い値段を提示した1万円で売れますという回答を連絡するというようなものです。

このポイントは、誰がいくらでなら売れるかという情報(一歩間違えると値崩れや、信用不安を起こすかもしれない)を購入者や競合他社に知られずに商品を売れるというところです。ホテルや航空券の予約においてよく使われているものですが、これが米国特許第5794207号「逆オークション特許」だそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月14日 (月)

コクヨのグループ内知的財産管理信託

1.プレスリリースによると

平成18年8月8日のプレスリリースによると「コクヨ株式会社は、8月8日から、グループ企業が有する知的財産の管理及び活用する信託業を開始します。」

この信託は、グループ企業が有する約4,000件の知的財産を集中管理することによって効率的に知的財産を活用し、競争力を高めましょうということを目的としていると思います。

この信託のスキームはプレスリリースによると次のとおりです。

(1)      対象グループ企業が有する知的財産をコクヨ株式会社に信託譲渡

(2)      コクヨ株式会社がグループ企業の指図をもって知的財産の管理、維持、対外的交渉等を行う。

(3)      交渉の結果、第三者からライセンス料を得た場合は受益者であるグループ企業に還元する

2.グループ内信託のメリットは、

 ここで注目したいのは、このコクヨの信託は、グループ内信託であることです。信託を業としてできるのは、大きく分けて4つのグループのメンバーです。信託兼営金融機関(信託銀行)、信託会社(これは信託会社と管理型信託会社に分かれる)、TLO(大学がその有する知的財産を民間に移転して収益を得るための受け皿)、そしてグループ内信託です。

 グループ内信託が、他の信託と異なるのは、金融庁に届け出ることにより信託業を営むことができる点。つまり他の方法で信託業を営むより簡単に設立することができます。

また他の信託業の場合は、兼業に関して規制が厳しいですが、グループ内信託は規制がないです。だから文房具のコクヨさんが直接信託業を営めるわけです。

それから受託者責任も信託法に基づくものに限定されるので、他の信託業務を営む団体よりは、細かいことをお上にがたがた言われることはないのではないかと

ただメリットがある限りは、そのメリットの悪用を避けるための縛りというのがあって、委託者、受託者、受益者は同一グループに属することを要求されています。ですから信託受益権をグループ外の会社等に売却することはできません。

3.問題点は?

グループ内管理の信託の場合は、信託をした時点で売却益を計上する必要はありません。また第三者に信託受益権を売却することもないので、難解な知的財産の評価で悩むことも、課税リスクを懸念する必要もありません。管理業務は受託者が行い、入ってきたロイヤリティから管理手数料を除いた残りが受益者であるグループ会社に分配されます。ロイヤリティの支払先が、第三者の場合は、支払い金額について特に課税上のリスクはないですが、グループ企業間の場合は、今後金額の妥当性で課税上のリスクが生じる可能性はあります。

 また受託者は、知的財産の侵害があった場合、当事者として訴えることはできますが、訴えるときに求める損害賠償の範囲が、直接知的財産を所有している場合よりも狭まる問題点があります。このことは何度もブログで書きましたが、知財信託が広がるためのキーポイントだと思います♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年8月 3日 (木)

特許権の相続税評価額は高すぎる!

1.特許権の相続税評価額の算式は?

 相続税評価額とは、ある人が亡くなって、その人の残した財産に対して、相続税がいくらかかるか計算をするときや、ある人が別の人に財産を贈与したときにいくら贈与税がかかるかを計算するときの基になる財産の評価額のことです。

これは、財産評価通達で、ルールが決められています。

140  特許権の価額は、145≪権利者が自ら特許発明を実施している場合の特許権及び実施権の評価≫の定めにより評価するものを除き、その権利に基づき将来受ける補償金の額の基準年利率による複利現価の額の合計額によって評価する。(平11課評2-12外改正) 

(特許権の評価の算式)

141  前項の「複利現価の額の合計額」は、次の算式によって計算した金額とする。(平11課評2-12外改正)

1 第1年目の補償金年額×1年後の基準年利率による複利現価率=A

第2年目の補償金年額×2年後の基準年利率による複利現価率=B 

第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利現価率=N 

2  A+B+…………+N=特許権の価額

 上の算式中の「第1年目」及び「1年後」とは、それぞれ、課税時期の翌日から1年を経過する日まで及びその1年を経過した日の翌日をいう。 

------------------------------------------------------------ここでいう基準年利率ですが、平成18年6月では、短期(1~2年)0.75% 中期(3~6年)1.5% 長期(7年以上)2%となります。

これたとえば年間1,000万円のロイヤリティを5年間受取れるような特許権だと評価額は、1,000万円×4.783=4,783万円となります。

2.実際の取引による割引率は?

 最近、DCF(ディスカウントキャッシュフロー法)による評価というのが定着しつつあります。これは将来入ってくることが予想される現金収入を現在価値に割引いて評価する方法です。

 この算式の重要な要素は、将来入っている収入と割引率の合理性です。収入の予想が大きいほど、割引率が小さいほど評価額が高くなります。

 さて知的財産の評価で実際に使われる割引率はいくらくらいなのでしょうか。鈴木公明「知財評価の基本と仕組みがよ~くわかる本」秀和システム2004年 P107では、日本政策投資銀行の知的財産権担保融資の場合、期間は3~5年間 割引率は一般に10%~20%に設定されるということです。

もし上記と同じ年間1,000万円のロイヤリティを5年間受取れる場合

割引率が10%なら 1,000万円×3.791=3,791万円

割引率が20%なら 1,000万円×2.991=2,991万円

というように相続税評価額より低い価額になります。

担保価値だから時価よりも低い評価になるのは当然ですが、相続税評価額というのも時価よりも低い価値で評価するはずです。偶然に生じた不幸に起因して、納税義務が生じるようなものだから、なのに高い。

これは割引率に相当する基準年利率が国債の利率等をベースにして決められているからです。でも国債の利率っていうのは、リスクが全くない状態なのです。

特許権って、訴えられて負けたら、価値が0になる可能性もあるし、支払ってくれる会社がつぶれるリスクもあります。それなのにリスクフリーレートで評価しないといけないってルールおかしいと思うのですが♪

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2006年7月31日 (月)

丸島儀一さんの「キヤノン特許部隊」~クロスライセンス契約と 交渉の極意~

 丸島儀一さんは、キヤノンで特許一筋にお仕事をなさり、専務取締役まで極められた方です。ゼロックスなど海外の巨大企業と丁々発止でやりあい、有利に交渉を進めて、現在のキヤノンの隆盛の基盤を作られた方だと思います。その方が、キヤノンでの特許戦略、ひいては交渉の極意のようなものを書いたのが「キヤノン特許部隊」です。

1.クロスライセンス契約とは

 クロスライセンス契約とは、企業が持っている特許を包括的にまとめて、お互いに供与しあいましょうというものです。

 お互いに供与するライセンスの価値が同じであるならば、ライセンス料の受け払いは0となり、どちらか一方が有利な場合は、差額の受け払いが生ずることになります。

 キヤノンの個別財務諸表を読むと 平成17年12月期の特許権収入が、209億2,400万円あります。これは、クロスライセンス契約を他の企業と結び、キヤノンの方が優位なので、差額として受取ったライセンス料だそうです。

 キヤノンは、特許部門が強い会社といわれていますが、特許部門はこの特許権収入を最大化させようという戦略は持っていません。特許収入を受取るということは、相手方に自分の強みを与えてしまうことになり、自分の事業の強い部分が、なくなってしまうことにもなるからです。特許というのは、誰にもライセンスを与えず、自分たちで独占して利用するのが、一番利益になるようなものなので、

2.クロスライセンスで有利に交渉する極意とは

 自分たちだけで特許を独占するのが、一番の利益になるのですが、今の製品は、一つの特許でできるものはありません。数多くの特許を利用することになるので、当然他者の特許も利用せざるを得なくなるのです。

 そうするとそのような特許を持っている企業に、ライセンスを与えてくださいということになるのですが、もし直接ライセンスをくださいといってしまうと相手に足元を見られてふっかけられてしまいます。そうするとライセンスフィーが上がるので、製品原価が上がり、企業の利益を圧迫するのでよろしくない。

 ですから交渉の極意は、ものすごく欲しいライセンスがあっても決して欲しいといわないということです。相手の持っている特許をすーっともらってくる。あとでわかっても、どうすることもできません。

 それと自分のところの持っている本当に重要な特許、それがあるから製品が売れるんだというようなものは絶対に出さないということです。

 またこの著書では外国の弁護士とのつきあいについても記述しています。優秀な弁護士というのは、相手が何を考えているのかがぱっとわかるような感性を持っているそうです。交渉ごとは、いかに自分に有利な着地点へ到達させるかということですが、そのためには自分の主張だけをしていてもどうにもなりません。そのために必要な能力の一つとして相手のねらいを見抜く能力が必要ということなのでしょう。

 あたりまえのことなのかもしれませんが、ビジネスで勝つためにどうすればいいのかという本質を語っている一冊ではないかと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月27日 (木)

稲の独占育成権を担保にお金が借りれるんだって

1.

新聞によると

 最近日経新聞を読むと、知的財産を担保とした融資の話題が、ぽつ、ぽつと載っています。

 平成18年7月24日の日本経済新聞では「担保は稲の独占育成権」平成18年7月27日の同新聞では「銀行融資は今 リスク管理は手探り」というのがあります。

2.

稲の独占育成権

 これは、稲を独占的に使用できる権利を担保にお金を借りたものです。親愛コーポレーションという整体施術を手がけている会社が「夢いっぱい」と言う品種の育成権を取得して、この品種のお米(玄米らしい)を農家に生産委託し、収穫したお米を販売して儲けて、資金を返済するというものだそうです。なんでもこの玄米1万俵分の価値は2億―3億円だそうです。

3.

人物データベース

 平成18年7月27日の方の記事の中で人物データベースを担保とした融資があるようです。これに関して内容は書かれていません。信託大好きおばちゃんのたくましい想像力を駆使して考えてみます。

消費者を大量にかかえる企業、たとえばクレジット販売会社や通販会社の中には、膨大な顧客情報が蓄積されています。この顧客情報には、その人の属性、購入履歴が残されています。

製品を買ってくれるお客さんを探すためには莫大なコストがかかります。このクレジット会社等の顧客情報を有償でも手に入れて、自分の商品を買ってくれそうな人にだけ、宣伝できるようにすれば効率よく商品が売れるはずです。だからこれに付加価値、担保価値があると考えたのかなと思うのです。

4.

めききがいない。

 徐々に知的財産担保融資は広がっているようですが、それでもまだ夜明け前状態です。

 で広まるためのネックは、知的財産のめききが少ないということです。銀行は何十年も不動産担保融資を行ってきたから、この部分に関しては膨大なノウハウがありますが、知的財産に関してはあまりないのでしょう。不動産というのは、利用する人により価値が異なるといっても、おおよそ一つの土地に対する価値のぶれというのは、何十倍にもなることはあまりない。でも知的財産というのは、利用する人により価値がそれこそ何百倍も異なることがあります。知的財産の本質的な価値とそれを利用して利益を得る人が誰なのかというのを見極めるためには、相当その技術等に関する専門的な知識が必要だと思います。

銀行は商社と情報交換したり、専門家と提携してリスク分析をしているそうですが、相当の時間とコストがかかって発展していくのでしょうね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月19日 (水)

JASRACと著作権信託

1.JASRACとは

 JASRACとは、社団法人日本音楽著作権協会「Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers」のことです。JASRACは、著作権の管理を行っているのですが、ここで信託のスキームを使っています。

2.信託のスキーム

 この著作権は、音楽を対象としたものです。作詞家や作曲家が作った曲の著作権は、通常は、彼らが所属する音楽出版社に譲渡されます。通常は、譲渡時点で譲渡代金は支払われません。

 次に音楽出版社は、この曲をJASRACに信託します。JASRACにおいて著作権を管理し、使用料が発生した場合は、ここから必要経費を差し引いて、委託者=受益者である音楽出版社に分配します。そして音楽出版社はこの分配金から必要経費を差し引いて、作詞家、作曲家に利益を分配します。

 この作詞家、作曲家への利益の分配金がいわゆる著作権の譲渡代金となります。ですから譲渡代金は使用料の大小により変動します。

 信託をすることにより、煩雑な使用料の徴収事務や、無断使用等をされた場合の訴訟をやってもらえることがメリットなのだと思います。

3.信託される著作権は

 著作権というのは財産権としての著作権と著作権人格権の2つあります。

 著作権人格権というのは、著作権の改変を認めない権利や、公表するかどうかを決める権利、名前をいれるかどうか、名前は本名かペンネームかを決めることができる権利です。これらは作品を作った本人のみができる権利であるので、信託することはできません。

 ですから信託できる著作権は財産権としての著作権に限られます。

この著作権というのは、CDの製作や楽譜の出版などの複製権、コンサートやカラオケでの演奏権、放送やインターネットで曲を流してもいい公衆送信権、映画やビデオで曲を流してもいい上映権、CDのレンタルをしてもいい貸与権、ビデオレンタルに使用してもいい頒布権などにわかれ、信託するのはこれらの権利のうち全部でも一部でも可能です。

信託期間は3年間ですが、原則自動更新であり、利益の分配は、年間4回あるようです。

信託できる音楽は、原則として、日本で第三者によって公表されたもの、つまりコンサートなら有料で500人以上集めているとか、CDなら大手のメーカーで製作販売されているか、インディーズなら累積1,000枚以上か等規制はありますが、プロの作曲家や作詞家でなくても条件さえ満たせば可能です。

JASRACのHPを見てはじめて知ったのですが、個人が自分で音楽を楽しむためにCD-RやMDに録音する行為も使用料の対象になるようです。ただこれらの使用料は、購入したときの代金の一部に含まれているようですね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月13日 (木)

休眠特許は宝の山

1.

新聞によると

平成18年7月12日の日本経済新聞 近畿経済欄によると、大企業の休眠特許を買い取ってビジネスとしている人がいます。

森久エンジニアリングの森一生氏は、大企業は小さすぎて参入しない市場で、中小企業の身軽さを生かして成功した体験があります。彼は三菱電機の基本特許を基に実用化した「バイオカイト」というそよ風でも飛ぶ凧を累計で2万個販売したようです。

ですから今も三菱電機の先端技術総合研究所を頻繁に訪れビジネスチャンスを探していらっしゃいます。

2.

休眠特許とは

休眠特許とは、未使用の特許のことです。

特許は、特許庁に出願し、審査されて、登録ということになります。特許として出願、登録されたものが必ず利用されているとは限りません。

未使用特許数は特許庁の調査によると2004年で約48%あります。

つまり特許として認められたもののうち半分は休眠状態にあります。それでは、これらは本当に利用価値がないものなのでしょうか。

3.

特許権は人により価値が違う。

特許権というのは、新しい技術の発明などをした人に対して、一定期間、独占的に利用する権利を与えるものです。他の人が利用する場合は、利用料をとることができますし、他の人が無断で利用した場合は、損害賠償請求ができるものです。

この特許を利用して製品を作り、販売して大きな利益を得るようなものだったら当然価値は高くなります。

でも登録された特許が本当に大きな利益が得られるかどうかは、開発した人は事業家でないのでわからない場合があります。利用価値がないと思うから、これらの特許は休眠してしまうのでしょう。

この利用価値がわかるのは、それらの技術の実用化、事業化ができる人であり、その人が必ず特許を作った人と同じ会社にいるとは限りません。

森一生さんは、その価値を見出そうと頻繁に研究所を訪問し、研究者の話から宝を発見できましたが、このようなことは誰でもできるものではありません。

4. 未使用の特許っていくらぐらいで買えるの

さてこの未使用の特許というのはだいたい1件いくらぐらいで買えるものなのでしょうか。未使用の特許というのは、特許の持ち主にとっては、利益を生めないようなものです。ですから特許をとるのにかかった費用が回収できればいいと考えるかもしれません。

山本大輔、森智世「入門 知的財産価値評価」東洋経済P93~94によると、1特許あたりの平均取引価格は1,000万円であり、取引されている特許数は約1.7万件だから、市場規模は1,700億円とされています。もっと活性化すると1兆円市場も夢ではありません。

未使用の特許情報をディスクローズして、取引できるような環境を作るのは知財立国をめざす日本にとっては不可欠なものでしょうね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年7月 5日 (水)

日本政策投資銀行の知的財産融資

1.         日本政策投資銀行

日本政策投資銀行(DBJ)という政府系の金融機関があります。

この銀行は、日本開発銀行を母体として設立されたような銀行であることから産業界への長期資金の供給を目的としています。

DBJが知的財産をからめた融資をいくつか行っています。それは、知的財産権担保融資、知的財産有効活用支援事業融資です。

2.         知的財産権担保融資

知的財産権担保融資とは、知的財産権を担保として、企業に融資するものです。

ベンチャー企業は、信用力や物的担保力(不動産)がないため、一般の金融機関から資金を調達して、事業を拡大することが難しいとされています。

そこでDBJは、ベンチャー企業の有する知的財産権を担保として資金を貸し付けることを行っています。

この場合の担保となる知的財産権とは、成立済特許権、出願中の特許(原則として出願公開前は、担保の対象になりません)プログラム著作権(コンピュータープログラム)、コンテンツにかかる著作権 その他の知的財産権となっています。

ようするに権利として認められているものを担保として融資を行います。ですから未完成の著作物のようなものを担保とする融資は行えません。これは知財信託の信託財産に未完成の著作物がなれないのと同じです。

資金が最も必要なのは、特許権や著作権が完成するまでの過程においてですが、DBJは、権利を取得する前の段階の企業に対する融資としては、新株予約権付融資を提供しています。これは、新株予約権を無償でDBJに割当ることを条件に融資を行うものです。この新株予約権を第三者に売却することによりDBJは投下資本の一部を回収します。

なお担保となる知的財産権の評価については、当該知的財産権等をベースとした「事業」の予想キャッシュフローの現在価値に基づいています。すでに250件以上の実績があるということなので、DBJにはこの評価方法に関してノウハウが蓄積されていると思います。信託大好きおばちゃんとしては、現在価値に割り戻す場合の割引率がいくらくらいなのかが非常に興味があります。ベンチャー企業でリスクがあるので、かなり高い数値になると思いますが、

3.         知的財産有効活用支援事業融資

知的財産有効活用支援事業融資とは、知的財産を流動化する場合に行う融資のことです。知的財産権担保融資は、知的財産権を作り出した会社に行いますが、こちらは、知的財産権を譲り受けたSPCに対して行います。

 すなわち知的財産を取得した企業がSPCに知的財産権を売却します。SPCはこの知的財産権の購入代金をDBJの融資と投資家からの出資で賄います。DBJや投資家に対する収益の分配は、知的財産権の使用料から賄います。

DBJは政府系の金融機関であるからこそできるものかもしれませんが、このような資金調達が広まることを期待しています。広まるためには、知的財産の評価の確立が必要であり、この辺のノウハウを是非、開示していただきたいのですが、

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月26日 (月)

酷似した解説書は著作権侵害にあたらない

1.平成183月15日の判決

 平成18315日 知的財産高等裁判所第4部は、法律の解説書の著作権侵害差止めについて、著作権侵害に基づく損害賠償請求は認められないが、一般の不法行為に基づく損害賠償請求権は認められるという判決を下しました(平成17年(ネ)100951010710108

2.解説書の内容をコピーしても著作権侵害には当たらない

この判決は法律の解説書ですが、信託大好きおばちゃんも縁があって法律や税務の解説書の一部を書いたことはあります。

解説書というのは、あの一読して、3回は頭が痛くなるような法律を自分の頭でくるっとかきまぜて、理解して、ほかの人にもわかってもらえるようにしたものです。いまや解説書は、決まってルールを実務に落とし込むためには必要不可欠なツールです。

このほかの人にもわかってもらえるような表現をするというのは、著者の創造性に依拠するものだから、私は著作権で保護するべきものではないかと考えています。

でも判決の要旨によると『格別な創意工夫を凝らしてするものでない限り、平易か、単純化等の工夫を図るほど、その成果物として得られる表現は平凡なものとなってしまい、著作権法によって保護される個性的な表現から遠ざかってしまう』、だから、酷似したような文献が出版されても著作権法による侵害は認められないとされています。

これはとってもむかつきますね。だって物事を複雑にわかりにくく表現することより、わかりやすく平凡に表現することの方が、はるかに難しく、創造性を要求されるからです。

3.解説書のコピーは一般の不法行為にはあてはまる

このように内容が酷似したような解説書が出版されても著作権に基づく損害賠償はできませんが、一般の不法行為による損害賠償請求はできるとされました。

酷似した書籍の出版は、元の書籍の出版から短期間の間になされています。このように短期間の間に出版ができたのは、元の書籍の文章や構成に依拠したようなものだからです。この依拠というのは、通常、他人が同じ主題で原稿を作るなら、当然別の表現になるだろうと思われるような部分までも酷似していることです。

短期間に同じような読者層をターゲットにするような書籍で明らかにコピーしたようなものを出版した結果、元の書籍の売上が競争により減少します。これは酷似した書籍の執筆者や出版社が、元の書籍の執筆者や出版社を妨害したことによる利益の減少であり、その分酷似した書籍の執筆者等は不当に利益を受けているから、この利益に相当する部分は、元の書籍の執筆者等に損害賠償を支払いなさいと命じています。

この判決は現在、上告提起中ということですが、私自身はやはり著作権が認められないということが納得できません。たまたま短期間の出版だから一般の不法行為成立というならば、もし数年後に酷似した解説書を出版しても、著作権の侵害にもならないし一般の不法行為にもあたらないということになりかねないからです。解説書って、季節商品みたいなものではないと思うのですが♪

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2006年6月 2日 (金)

コンテンツ開発段階で信託できるか

1. コンテンツ開発段階で信託できるか

アニメ番組や映画を製作する過程では、資金需要が発生します。しかもこの段階では、資金が果たして回収できるか、つまり完成したコンテンツがヒットするかどうかは、非常に不透明です。

投資家としても興味はあるけれども、リスクが読めないので、財布の紐を緩めにくいのです。ですから製作委員会方式といわれるようにコンテンツビジネスにかかわる企業が集まって出資するというのがよく行われました。

この製作段階で信託を利用したスキームが作れるかということですが、この段階ではあくまでも仕掛品であり、著作権としての権利が生まれていません。当事者間では、将来完成する信託財産を信託することは有効と解されますが、第三者に対して、こんなお金を生む権利が信託されていますよとは言えません。なぜなら著作権の信託を第三者に主張するのには登録が必要であり、著作権が成立していない段階では、著作権の信託譲渡登録を文化庁が受理しないと思われるからです。

2.実際の事例ではどのようなものがあるか

信託が絡んだ事例として、ジャパンデジタルコンテンツ信託株式会社(JDC)が組成した開発型ファイナンススキーム「シネマ信託 TM~蟲師」があります。

このスキームでは、映画の著作権信託は完成していないとできないので、最初の段階では金融機関の借入を利用しています。

これは、映画の制作に関しては、製作委員会方式を採用しています。この委員の1人である映画制作会社の小椋事務所が制作資金を東京三菱UFJ銀行から調達します。完成した著作権の一部に信託権を設定し、小椋事務所は信託受益権を受取ります。そしてこの受益権の一部を投資家に販売し、販売代金を借入金の返済に充てるというものです。

2.本当に製作段階で信託を用いたスキームは使えないのか。

それでは、本当に製作段階で信託を用いたスキームは使えないのでしょうか。松田政行「コンテンツ.ファイナンス」日刊工業新聞社において、面白いアイディアが提案されています。

それは、映画の制作、完成の2段階にわけて信託を設定する方法です。まず映画の製作段階で、映画の著作権は存在していませんが、映画製作の元になる原作の小説や漫画や脚本など、映画とは別に著作権として存在するので、これらに対して信託を設定し、信託受益権を受取り、その信託受益権を販売します。

この信託受益権だけでは製作資金は賄えないので、ノンリコースローン等も入れて資金調達をし、完成時点で映画の著作権を信託して、投資家に販売し、製作者等は投下資本を回収します。

一次信託受益権を購入した人は、二次段階よりもリスクが高いので、次の信託受益権を優先的に購入できる権利をあげるというような特典を与えたりします。

さてこのような手法を使った信託が行われるようになるでしょうか。

参考文献: 松田政行 コンテンツファイナンス 日刊工業社

JDCプレスリリース「JDC信託、東京三菱銀行と開発型ファイナンススキームを組成」平成171028

| | コメント (0)

2006年5月30日 (火)

知財信託はなぜブレークしない リニューアル♪

1.知財信託はどんな場合に使えるのか?

信託業法が改正されて、特許権や著作権など知的財産権といわれるものも信託財産になれます。これらの知的財産権を信託するのは、いろんな会社が持っている知的財産権を一括管理することにより、管理の効率化を図るというニーズと知的財産権を担保として資金を調達しましょうというニーズが主たるものです。

誰が信託を使って管理の効率化を図るためのニーズを持っているかというと、大企業のグループ会社、大学、研究機関やベンチャー中小企業などです。

管理の効率化を図るためには、管理子会社を持つ方法も考えられますが、権利の譲渡時に、税法用語でいう適格組織再編(現物出資)にあてはまらない場合は、譲渡益に課税されるデメリットがあります。しかし信託を設定した場合は、このような課税関係は生じません。

2.グループ企業内信託の引受けは、簡単にできる

信託業法の改正により、銀行以外も信託会社を作ることが認められました。通常の信託会社や管理型信託会社は、最低資本金の規制の他信託業法による受託者責任等の規制があります。またTLO(大学の技術を民間に移転するために信託を使うもの)に関しては、最低資本金の規制はありませんが、信託業法による受託者責任等の規制は、信託会社同様にあります(信託業法52)。

これに対してグループ企業内信託(委託者も受託者も受益者も全員グループ会社のような信託)の引受けは、最低資本金の規制もなければ、信託業法により規制もありません。信託法の受託者責任のみあります(信託業法51)。

3.なぜグループ企業内信託はブレークしないのか

このようなメリットがあるにもかかわらずグループ企業内信託がブレークしたという情報は今のところありません。

大きな原因の一つとして、信託をすることにより損害賠償請求できる範囲が狭まるという問題点があります。

特許権を第三者が侵害し、やめろ!という差止請求を信託の受託者は行うことができます。なぜなら信託をすることにより特許権を有することになるからです。

相手方に対して、特許権の侵害により生じた損失の賠償を請求することはできる範囲は次のとおりです。

     譲渡された侵害物権の数量に特許権者の単位数量あたり利益額を乗じた額(特許法102①)。

     侵害者が侵害行為によって得た利益(特許法102②)

     特許発明の実施に対して受けるべき金額に相当する額(特許法102③)。

事業会社が自分の有している特許に対して侵害された場合は①~③を算定方法として利用できますが、受託者の場合は、自分で発明したのでないから③の実施許諾料相当額に限定されます。

立法による手当等がなされるまでは二の足を踏む企業が多いのかもしれません。

参考文献 小林卓泰 『知的財産ファイナンス』清文社

| | コメント (0)

2006年5月17日 (水)

時代の先端をいく相続財産の評価方法 特許権

1.特許権を取得した場合の会計処理

会社が研究開発に莫大な費用を投入して、特許を取り、特許権として帳簿に乗っける金額は、通常、特許をとるために要した金額(たとえば弁理士費用)になりますね。過去の莫大な研究開発費用は、特許権という資産に含まれず、支出した時に費用として処理されます。

そして資産として貸借対照表に計上された特許権は、8年で償却されます。

この評価方法というのは、いわゆるコストアプローチの変形版といったところでしょうか。

2.ブランド価値評価研究会報告書 お薦めの評価方法は?

平成14 6 24日経済産業省 企業法制研究会が、ブランド価値評価研究会報告書を発表しました。

この中でブランドのような無形固定資産の評価方法として3つの方法を提唱しています。すなわちコストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチです。チョー簡単に説明するとコストアプローチは、発生した費用の集積で評価する方法、マーケットアプローチは、同じような資産の売買がある場合は、それと比較して評価する方法、インカムアプローチは、その資産から生み出す収益から評価する方法です。

インカムアプローチの中にDCF法はあります。この3つのアプローチのうちインカムアプローチが無形固定資産の評価としては、妥当という考えが、今の主流かな。

3.相続財産である特許権を評価する場合

さて、たとえばものすごい特許権を有する人が死んだ場合の、彼または彼女が有する特許権の評価はどうなるの?

これは、財産評価通達のルールにのっとります。特許権(権利を使わしてあげるから利用料を払ってねという権利)と実施権(利用料を払うから権利を使って商売させてねという権利)が一致する場合と異なる場合で評価方法は異なり、どちらが多いかというと後者です。

特許権者と実施権者が異なる場合の評価方法はどうなるかというといわゆる将来受取る補償金の年額を現在価値に割戻して特許権の価値を評価しようとしています。

つまりインカムアプローチ、ちまたではやっているDCF法的評価方法が、以前から相続税の世界ではルール付けられていたわけです。

ただ、将来の利益というのは、いくら書いても絵に描いた餅で評価できないというお客さまのために、財産評価通達では、過去の収益のうち経常的な部分をベースに特許権を計算してもOKですよ規定しています。

ちなみに将来利益を受ける期間とは、相続発生した時から特許権が切れるまでの期間であり、特許権の保護期間は出願から20年です。

注 現在価値に割戻す時に採用する割引率は基準年利率による複利現価率です。本日現在(平成18517日)だと、短期(2年以内)01% 中期(3年~6年)0.75%、長期(7年以上)1.5%というように、ちまたのDCFの割引率よりもかなり低いですね。それだけ評価額は高くなってしまいますが、

| | コメント (0)

2006年5月16日 (火)

シネマ信託 なんで金銭信託なの?

 いつも知財信託ネタになると登場するJDC TRUSTです。

 平成18年4月24日に「シネマ信託TM ~シネカノン。ファンド第1号~」信託設定及び運用開始のお知らせをプレス発表しています。

ファンドの概要として

ファンド名  シネマ信託TM ~シネカノン。ファンド第1号~

信託設定日 2006年4月24日

信託元本  46億4,000万円

投資スキーム 合同運用指定金銭信託

ファンド期間 2006年4月24日~2011年3月31日

運用方針  約20作品の映画著作権の信託受益権等を運用資産とする

この商品は、個人投資家向けだそうです。

で、なぜ合同運用金銭信託なのか? いきなり著作権の信託受益権じゃだめなのか?にいきつきます。

 信託受益権が譲渡されても損益がパススルーされるかの規定としては、土地信託通達しかないです。あれは不動産が前提ですね。

 著作権信託も適用できるかどうかは、明文では定かではないですが、過去にJDCが「阿修羅城の瞳」の信託受益権を機関投資家に販売していることから、国税と交渉したら、パススルー可能となったのかもしれません(あくまでも情報を知らないおばちゃんの想像です)。

 しかし問題は個人投資家なんです。土地信託の規定って最低一口1,000万円以上 しかもパススルーされたときの所得が何所得になるのか?たぶん雑所得でしょう。そうすると損失は、他の所得と損益通算されない。しかもパススルーだと、利益がでた場合、発生した段階で課税されるので、へたをするとキャッシュが入ってこないのに税金だけとられるという悲惨な状況になるかもしれません。

 そこで個人投資家向けのベストの方法として、でてきたのが合同運用指定金銭信託ということではないでしょうか。

 これだとパススルーはできないのですが、税法ではこの合同運用金銭信託は、但書信託のメンバーになります。そうすると収益に対して、発生した時点で税金が課せられるのではなく、投資家が収益を受取った時点で税金(所得税15%住民税5%)が課せられることになります。ついでにこの合同運用金銭信託を譲渡した場合の譲渡益は非課税ですね。

 おそらくこのような税金の問題があるから合同運用指定金銭信託なのではないのかなと思います♪

| | コメント (0)

2006年5月 1日 (月)

知財信託の間接税は、不動産信託よりはお徳感がない

 不動産の信託が最近、凄く浸透している最大の理由は、生の不動産を売るより、流通税コストが安いから

 不動産を信託したからって不動産取得税はかからないし、不動産の信託受益権を購入したかっらて この時点で不動産取得税はかからない。

 登録免許税の費用だって、信託した方が、ずっとやすい

 じゃ、知財信託をした場合と、生の知的財産を譲渡した場合はどうちがうのか?

生の知的財産を譲渡した場合と 信託設定時の登録免許税の比かく /件

            信託 *         譲渡

特許権       3,000        15,000

実用新案権    3,000         9,000

意匠権       3,000         9,000

商標権       9,000        30,000

著作権       3,000        18,000

登録免許税法別表第1

*信託原簿に登録するためにかかるもの 

   なんで商標権が高いんだろう?

たしかに信託を設定した方が安いのだけど、知的財産には、不動産取得税というものがないから不動産信託ほどメリットはない

この登録免許税は、単価X金額で総額が決まるから、膨大な知的財産を信託するなら、それだけコストもかかる。

| | コメント (0)

2006年4月17日 (月)

アイドルファンド ♪

JDC信託のHPを見ていたら 「アイドルファンド1号、2号」の運用成績を発表という言葉が目に入りました。

アイドルファンド?

重要事項説明書を読むと

名称: 「新人グラビア☆アイドルファンド 第1号プロジェクト」匿名組合契約

目的及び事業の内容: 本匿名組合契約に基づき、営業者がDVD及び写真集を製作し、これを商業的に利用して収益を獲得すること

匿名組合出資金: 各支援プロジェクトにつき金500万円

出資単位: 1口金5万円(お1人当たりの出資口数は各支援プロジェクトごとに20口が上限です)

 匿名組合契約なんだ 匿名組合の本質というのはパトロン つまり出資者は金はだすけど口はださないということだから、アイドルファンドのようなもののために組成するのはぴったりですね。

 リスク情報のところなんか「本プロジェクトのアイドルに関する風評、スキャンダル、事件に巻き込まれる等の外部的要因、あるいは引退等の個人的理由により、本プロジェクトの継続が不可能、もしくは、著しく困難な状況に陥るリスクがあります」って書いてあって、わー芸能界リスクだ♪

 このアイドルファンド1号の成績発表が今回あったわけでして アイドルごとの回収率をみると

青山愛子 142.3%

島田早希 104.6%

武市智子 100%

EIREI    40%

神谷怜奈 40%

誰の名前も知らないけど、なんか人気によって結果が全然違うんだなと実感しました。

 アイドルファンドって、今の日本の小口投資家のニーズをとらえているような気がします。1つのロットを大きくするよりも、多様なニーズにこたえて少量多品種で販売すると、結構イケルのではないでしょうか♪

| | コメント (0)

2006年4月14日 (金)

新薬特許の信託 日経一面に載ってたこと

 信託大好きおばちゃんのお家は、マンションの9階で新聞は1階の郵便受けに入れられるんです。でいつも取りに行くのは、朝7時から近所のプールで1キロ泳いで、戻ってから。だからいつも最新の情報が遅れるんです。

 で、今日もそのパターンでして、 最近 わたくし、めでたく失業者(笑)になりまして、時間があるので、もう一本書きます。

 ついでにと言ってはなんですか。わたしブログを読んでいただいてもおわかりのように文章を書くのが大好きです。 専門的な文章を書くお仕事で、信託おばちゃんでもいいとお思いの方、ぜひ紹介してくださいね♪ 以上 若干の営業を。。。

 今日の日経の一面に新薬特許 ネットで売買 知財信託活用ってありますね。

ベンチャー企業や大学の持つ特許権を三菱UFJ信託に信託し、その情報を専用サイトで公開、 この特許はいける!と判断した大手製薬会社が、三菱UFJから特許の使用許可を受けて利用、ロイヤリティを支払う。そのロイヤリティから手数料を差引いて、受益者であるベンチャー大学に支払う。

 信託の形はいたってシンプルな 自益信託 委託者=受益者 で、かつ受益者の変更がないやつ。

 この知財信託を利用するメリットは、

◎自分のところの特許のユーザーが見つけられず、宝の持ち腐れになるところを信託を利用し、ネットである程度公開することにより、ユーザー(金主)を見つけられる。

◎特許権の侵害とかが起こったとき、専門家を雇う財力がないベンチャー企業のかわりに、受託者である信託銀行が退治することができる。

ただこれについては以前になんども書いているように、受託者に特許権の名義が移った場合、侵害した第三者に対して請求できる損害賠償の範囲が、自分で持つより狭まるという問題があります。

ベンチャー企業のようにそもそもこういう分野の専門家を持てない場合は、信託を使うメリットの方が多いかもしれませんが、自分のところで法律の専門家をなんぼでも雇える大企業の場合は、損害賠償の範囲が狭まるリスクの方が大きいからこの手法はとらないでしょう。

大企業も将来的には知財信託に参入すると思うけど、その時は、自益信託でしょうけど、信託受益権を販売して投下資本の回収という方法をとるでしょう。

信託受益権の有価証券化がそれを促すでしょう。ただ税制に関しては、この辺ファジー、いまのままでは何もできなくなるので、この辺が改正されて本当に動き出すのでしょうね♪

| | コメント (0)

2006年4月 9日 (日)

日本企業の特許戦略はグローバル

 なんとなく朝 鈴木公明 「知財評価の基本と仕組みがよーくわかる本」 秀和システムをぼーっと読んでいました。

 ここで初めて知ったのですが、知的財産報告書というIR活動の一環の報告書があるそうですね。任意ですが、企業がどのような知財戦略を持ち、それが事業戦略と関連付けられているのかを表したもののようです。

 たまたまぐーぐるったら東芝の知的財産報告書が載っており、東芝では、日本だけでなく、米国や中国にも積極的に特許を出願しているようです。

 そしてその中で 「米国登録特許件数(2004 年)*USPTO 公表データ」というのがあります。これによると

 1. IBM 3,248

 2. 松下電器 1,934

   3. キャノン 1,805

 4. HP    1,775

 5. マイクロン 1,760

 6. 三星    1,604

 7. インテル  1,601

 8. 日立    1,514

 9. 東芝    1,311

 10.ソニー    1,305

 というように 2、3、 8,9,10位は日本企業がとってます。 日本企業は知財戦略が遅れているというイメージがあったのですが、驚きです。

 日本企業の特許出願件数をみていると、日本企業がいっぱい中国に進出して、技術立国が空洞化されているといわれても、技術の肝の部分はしっかりキープしているというか、前からキープはしていたけど、法的にも確たるものにしようという戦略が根付いてきたのでしょうね♪

| | コメント (0)

2006年3月26日 (日)

がんばれ JDC TRUST!

 このブログで何度か登場している ジャパンデジタルコンテンツ信託会社のこと書きます。この会社は、アニメのような知財信託に特化した、本邦初の会社であり、代表取締役の土井さんは、知財関係のセミナーでお話なさったり、原稿を書かれたりしていらっしゃいます。原稿を拝見して、第一人者の凄みをひしひしと感じてます。

 で、ふっとこの会社の業績がどうなってるのかなあと思ってHPの四半期報告書を読んだのですが、結構厳しいものがありますね。

 H18 第3四半期 売上 480   経常利益 △671

 H18  通期予測 売上 2,400   経常利益  470

 いずれも連結ベース 、単位:M円

 第3四半期までは信託業務の収益があがっていないようですが、ラスト3ヶ月で売上20億円ほど計上される予定となっています。

 この内容は四半期報告書によると

 「通期の見通しにつきましては、平成17年11月25日に発表した予想数値は変更はしておりません。 内容につきましては、デジタルコンテンツアレンジメント事業の積上げや既に募集が完了している「シネマ信託~天使」の手数料収入をはじめ、平成17年10月20日付で発表いたしました「シネカノン・ファンド」45億円の案件組成に伴う手数料収入など、上期からずれ込んでいる案件を取込むことにより、売上高2,400百万円、経常利益470百万円、当期純利益470百万円を見込んでおります」 

 うーーーん どうかなあ 

あと これは、業績うんぬんとは関係ないのですが、結構投資事業有限責任組合に投資していて、かつ出資割合が50%超えているものもあるのですが、連結範囲に入れてません。これライブドアの件もあったので連結にいれないとまずいのでは?

--------------------------------------------------------------------------

(3)投資事業組合等の連結の範囲に関する取扱い

投資事業組合等に対する出資のうち、当社の出資持分が過半数を超える投資事業組合が14ファンドありますが、投資事業組合等の資産、負債及び収益、費用は出資持分に応じて各出資者に帰属する為、投資事業組合等は子会社として取扱っておりません。

--------------------------------------------------------------------------

でも、私は、JDTは、すごく可能性を秘めている会社であり、土井さんは凄いと思っている者の1人なので、ぜひ、がんばっていただきたいと思います。資金繰りで大変だなあというのは、ひしひしと財務諸表から感じますが、事業にしっかりとした理念があり、羅針盤の方向が時代にあっていると思うので、きっと成功すると思います。

 決算書楽しみにしてます。

 なんか小学生の作文のようになりましたが、いいたいことは がんばれJDC TRUST! がんばれ土井さん!

| | コメント (0)

2006年3月15日 (水)

信託受益権をなぜ個人投資家に販売しづらいのか

 昨日、このブログで、知財信託を設定して販売した先は、機関投資家だった。個人投資家の場合はパススルーの問題があるから、と書きました。これは、土井宏文 ジャパンデジタルコンテンツ信託株式会社 代表取締役社長 『知財信託』 「信託No225」P46、に記載されているものですが、 何をいってるのかなと自分なりに考えました。

 知財信託の税務上の取り扱いについては、何も決められてません。まだ世の中に出て来たばかりだから、当たり前と言えば、当たり前。

 ただ土地信託に関しては、個別通達で決められているものがあります。

 それによると、土地信託のうち自益信託(委託者=受益者)のような信託の信託受益権を有している場合は、信託された土地で発生した、収益や費用を、自分の収益や費用として、税金を計算できる場合(パススルー課税)が、一定の条件としてあります。

 これはどういうものかというと、信託受益権が有価証券のように広く投資家の間を転々と流通することができるように設計されていないようなものです。

 この土地信託がパススルー課税される要件の1つとして次のようながあります。

 ☆分割口数が50口以下、かつ分割後の1口当たりの最低金額が1,000万円以上

 このような大口の信託受益権を持っているのは、土地を実際持っているのと変わらないと考えるのでしょうか。

 で、知財信託の信託受益権を販売する場合、パススルー課税が可能な範囲の投資家を前提と考えたので、一口1,000万円でも買えるような機関投資家に販売したということでしょう。 

 販売した知財信託が映画の著作権なので、必ず当たって儲かるとは限らないですよね。損失が生じた場合、損失がパススルーされないと投資家としては、あまりメリットがありませんから。

  

 

| | コメント (1)

2006年3月14日 (火)

知的財産と信託

 久々に知財信託ネタ (社)信託協会「信託 225 2006-1」に、ジャパンデジタルコンテンツ信託株式会社 代表取締役社長 土井宏文氏の『知的財産と信託』が掲載されています。

 ジャパンデジタルコンテンツ信託株式会社は、現在唯一の知財信託(それも映画のようなコンテンツビジネス)に特化した信託会社ではないでしょうか。

 日本は世界的に見ても優れたコンテンツ(アニメとか)を排出しているのに、コンテンツ業界は前近代的。

 コンテンツビジネスは、発注会社である十数社が牛耳っているが、そのコンテンツを作り出す頭脳がいてるのは、中小の制作会社。でも中小の制作会社は主役になれず、いいアイディアがあると大手に持ち込み、採用されると、大手の下請けとして仕事をもらう立場になっている。

 クリエーターが報われない世界なんですね。。。。

 コンテンツを制作するにはお金がかかります。制作会社は小さいし、信用があんまりないからお金を貸してくれません。

 だから映画を作るような場合、以前ここにも書きましたが製作委員会方式という民法上の組合のような方法で、映画ビジネスにかかわりたい関係者がお金を出資するのが主流です。

 でもこの方式だと映画の著作権等の権利が共有になってしまい、何かするのも全員の承認がいるから大変です。

 それで他にいい方法がないかなということでSPCと匿名組合をかましたような手法が使われることもありました。これらの方法の場合、著作権はSPCが持つような形になり製作委員会を使った場合のデメリットは解消されるのですが、複雑なスキームを作るから時間もかかるし、倒産隔離などを行うために契約書の文言を相当入れなければならないので弁護士への費用もかなりかかるようです。

 その点、信託の場合は、他のスキームと比較すると、信託の所有権は名目上は受託者帰属するので製作委員会のようなデメリットは生じないし、信託は法律で倒産隔離が認められているから、契約の文言を相当入れる必要もなくなるし、スキームもシンプルなのでコストパフォーマンスがいいそうです。

 ただ信託受益権を直接販売した最初のケースでは、機関投資家が対象で個人には販売しなかったようです。これは、パススルー課税の問題があったから、、、この辺は後日書きます。

 

| | コメント (0)

2006年1月20日 (金)

未完成著作物の評価

 信託を利用して、映画の著作権を投資家に販売するためには、映画の著作権というか信託受益権を評価する必要があります。評価は、通常、完成し、上映される前の段階です。

 つまり未完成著作物の段階、あたるか、こけるかわからないような段階で評価しないといけない。これは大変です。絵に描いた餅ですから、この値決めが失敗すると、投資も失敗です。

 どんな評価方法があるかというと大きく分けて2つの方法があり、おそらくこれらをブレンドして評価するのではないかと思います。

 1つは著作権開発費ベース評価 いくら映画を作るのにかかるのかを予測して評価する方法です。ただこの開発段階というのは、ほんとうにどうなるのかわからないので、投資家は、非常に高いリスクを負います。ですからこのリスクを加味して評価することになります。(注1)

 もう1つは著作権流通ベースの評価 この映画を利用していくら儲かるかを予測して、そこから評価する方法です。こちらもリスクを加味して評価することになります。一般の財産よりも映画の著作権はリスクが高くなります。なぜなら著作権侵害訴訟の被告になり、差止めが認められたら著作権の価値は0になるからです。(注2)

 いずれにしても、絵に描いた餅ですので、評価者のさじ加減で大きく結果がふれることになりますね。

 注1 松田政行 図解コンテンツファイナンス P162 日刊工業新聞社

 注2 同著書 P163

| | コメント (0)

2006年1月19日 (木)

コンテンツ開発資金を信託できるか?

 知財信託がこれから大化けしていく可能性があるのですが、信託できるのはあくまでも権利として認められたもの、たとえば著作権です。

 映画を製作するためには、モノによっては莫大な資金と時間がかかります。投資家に対して、完成し、ヒットするまで利益を分配はお預けとわかってもらった上で、お金を出してもらうようお願いしないといけない。これは大変です。

 そうすると製作者側のニーズとして、未完成の著作物(完成前の映画)に対して信託を設定することにより、信託受益権を投資家に販売できないかというものがあります。

 これは難しいようです。信託すべき財産がない。費用をつっこんで集めただけのものですしね。完成しないと。

 信託をする場合は、文化庁に著作権の信託譲渡登録をしないといけないのですが、これはできない。

 では、どうしようもないのか? それに対する回答として最近はまっている松田政行 「コンテンツファイナンス」日刊工業新聞社に、いくつかの方法が紹介されています。

 その1つとして 信託受益権を2段階で設定する方法があります。まず最初の段階で、映画の場合、その脚本や原作(これらには著作権があり、映画の著作権とは別に存在)を信託して、信託受益権を販売します。この代金で製作資金を回収します。

 そして映画が完成した段階で、映画の著作権を信託します。この著作権を販売し、ヒットした場合は、配当を分配します。

 第1段階の信託は、投資家にとって回収期間が長くなるので、第1段階の信託受益権を買った投資家は、第2次段階の信託受益権を優先的に購入できるオプションを受取れるように設計したりするようです。

 なるほど...

| | コメント (0)

2006年1月18日 (水)

信託受益権と有価証券

 信託受益権は原則として債権です。有価証券でも、みなし有価証券でもないです。

 例外として「資産の流動化に関する法律」による特定目的信託を設定して発行される受益証券は、有価証券とされます。

 有価証券とされると、流通性が増すので(信用もアップするのかなあ??)、たくさんのお金をかき集めることができるようになります。お金のだしては、投資の内容について知識がある人ばかりとは限りません。何も知らない人が、悪い金融業者に騙されて大損を被ると、その人だけがババをつかんで終わりとはならず、投資環境が不安定になり、経済にも悪影響がでかねません。そこでか弱い一般の投資家を守るための規制ができました。これが証券取引法です。

 証券取引法によると有価証券の発行者は、ややこしい規制がかけられ、毎年それなりに高額なコストが発生します。ただしどんな場合も証券取引法の規制の対象になるとは限りません。発行価額又は売り出し価額が1億円未満の場合又は49名以下の投資家に発行する場合は、規制の対象外です。

 資産の流動化のためのスキーム、たとえばTK-YKスキームで匿名組合の出資者が有する出資金は、有価証券とみなされるので、証券取引法の対象になりますが、規制がかからないように、投資家の人数を49人以下(注1)に抑えて、いっぱいお金をかき集めるというような方法をとっているようですね。

 今現在は、信託受益権は原則的にはこの規制の対象にはなりませんが、信託法が改正され有価証券化が可能になると当然に規制の対象になります。

 まあそのころには証券取引法はなくなって、投資サービス法ができているのでしょうけど

(注1) 実務上10社程度の組合員構成で数億の出資を集める映像コンテンツ組合型ストラクチャーが通常です。  松田政行 図解コンテンツファイナンス P91 日刊工業新聞社

| | コメント (0)

2006年1月17日 (火)

製作委員会方式の問題点と打開策

 映画ビジネスというのは、何も映画を製作して、上映したら終わりというものではありません。映画を上映し、しばらくしたらDVDを販売することもありますし、TVで放映されることもあります。また映画のキャラクターグッズを販売するような場合もあります。

 このように多様な利害関係者が映画ビジネスにかかわります。この映画の問題点は水物であり、あたるかどうかは蓋を開けてみないと予測できません。失敗した場合は映画制作会社だけが損失を被るというのはよろしくないと思います。

 そこで利害関係者が集まって民法上の組合を作り、儲けたら利益も配分する代わりに、失敗したら痛みをみんなでわかちあいましょうとするのが多いようです。

 この民法上の組合の問題点として、著作権が共有になることです。映画が上映されてから数年間はなんとかなるのですが、何十年もたつと組合員の中には倒産するところもあるかもしれません。そんな時期に著作権を譲渡しようとしても組合員が行方不明で、承諾がとれず宙ぶらりんになる可能性もあります。

 どうするのかなと疑問に思ってたのですが 松田政行 「コンテンツファイナンス」 日刊工業新聞社 P107によると、大体映画の利用、二次利用によって85%の回収が5年程度でできるそうです。残り15%は65年で回収が見込まれる。(著作権の存続期間は著作物の創作時から著作者の死後50年までなんだけどなあ)

 そこで当初の契約で、利益がおおよそ予定される時期(たぶん5年以降)に、配当、損失の負担を確定させて、任意組合を解散させ、著作権は、組合員の誰か1人ないし一社に独占的に集約させます。

  通常は業務執行組合員が著作権取得者になり、他の組合員に対してロイヤリティの支払いは継続して行っていくというようにするようですね♪

| | コメント (0)

2005年12月 1日 (木)

専用実施権と通常実施権

 専用実施権とは、ある特許権を独占的に使うことができる権利です。この権利がある者に与えられると、特許権者といえどもその特許を使うことはできません。また専用実施権者は、特許権が侵害された場合、差止め請求や損害賠償を行うことができます。そしてこの専用実施権は、特許庁の原簿に登録しなければ効力は生じません(特許法98①二)。

 これに対して通常実施権は、ある特許権を使うことができる権利です。ですから複数の人や法人に通常実施権を与えることはできます。ただし特許権が侵害された場合、通常実施権者は、自分では差止請求や損害賠償を行うことはできず、特許権者にお願いしないといけません。また特許庁の原簿に登録しなくても当事者間では効力は生じますが、第三者に対抗するためには、登録が必要です(特許法99①)。

 ところで当事者間の契約では独占的使用権を与えても、特許庁に登録していないようなものがあります。これは独占的通常実施権といいます。たとえばある地域のみ独占的実施権をあたえ、他の地域においては他者の利用を認めているような権利です。

 管理信託会社の監督指針のうち知的財産にかかわる部分は以下です。

5-2-1(2)②財産の性質を変えない範囲内における利用行為

ハ 知的財産に関し他者の利用を制限しない通常実施権を設定する行為

二 知的財産に関し他者の利用を制限する専用実施権を短期間(3年以内)実施する行為

ここで問題になるのが独占的通常実施権はどのように取扱われるからです。

 これについて 小林卓泰 「知的財産信託における法的留意点」 P122別冊NBL No102によると、

 『独占的通常実施権の付与が、「財産の性質を変えない範囲内の利用行為」にあたるか否かを判断する上での要素とはならず、「独占」の程度、すなわち「他者の利用を制限」する程度に着目して、「財産の性質を変えない範囲内の利用行為」に当たるか否かの判断がなされるべきと言えよう。

 かかる観点からは、地域や分野を制限した上で第三者に独占権を付与するような独占的通常実施権の場合(すなわち、当該地域又は分野以外においては、「他者の利用」は制限されていない場合)には、専用実施権の場合のように3年以内のものに限る必要はないように思われる(もっとも、管理型信託会社の登録が3年毎の更新性になっている点との関係には留意が必要である)。』

 となっています。ですから 

通常実施権 期間制限なし

独占的通常実施権 原則的には期間制限なし

専用実施権  3年

と考えるのでしょか♪

| | コメント (0)

2005年11月22日 (火)

三菱UFJ 大学の知財 初の信託

 昨日(平成17年11月20日)、日経新聞の朝刊の第一面に 三菱UFJ 大学の知財初の信託 まず九州大と企業に仲介という記事が載ってました。ごらんになられた方も多かったのではないかと思います。

 簡単にスキームを書くと

 九州大学初のベンチャー企業が持っている技術のノウハウの特許を受ける権利を信託して信託受益権を受取る。

 受託者(三菱UFJ)がこの権利を使ってくれる事業会社を探す。受託者は特許を侵害するような悪いやつがあらわれたら法律事務所と組んで退治する。

 実用化が可能で儲かりそうになったらベンチャー企業は、持っている信託受益権を投資家に売却し投下資本を回収する。

 メリット 

◎ 特許権を信託することによって、専門家のアドバイスが受けられる。

◎ 実用化して儲かりそうになったら、本当に儲かる前に信託受益権の販売を行うので投下資本が早期に回収できる。

疑問点

◎ 新聞とか 三菱UFJのプレスリリースを読んでいると、特許権として特許庁がOKした段階で信託しているのではなく、その前の段階で 「特許を受ける権利」に対して信託をしているような気がするのです。そんなんOKなんでしょうか?

◎特許侵害があった場合法律事務所と協力して損害賠償を起すということですが、直接保有するよりも信託をすることにより損害賠償できる範囲が狭まるというリスクがあるのですが、この辺は検討されたんでしょうか?

 これについては、私のブログ 知財信託はなぜブレークしないに書いてますのでご覧ください。

日本経済新聞のHP http://www.nikkei.co.jp/news/main/20051121AT2Y2000220112005.html

三菱UFJのHP

http://www.tr.mufg.jp/ippan/release/

| | コメント (0)

2005年11月21日 (月)

CAPM DCF法

DCF法とは、企業が将来生み出すお金の合計額を今受取れるならいくら?という観点から企業を評価する方法です。

 このDCF法のキーポイントは、経営者が自由になるお金(フリーキャッシュフロー)と、現在価値に割り引く際の利率 すなわち資本コストです。

 この資本コストを計算する代表的な方法が、負債と自己資本の資本コストを加重平均するWACCです。負債のコストは借入金の平均利率なので、簡単に数値を拾い出すことができます。たいへんなのが自己資本の資本コストです。

 この自己資本の資本コストの計算方法として代表的なものにCAPM(Capital Average Princing Model)があります。これは、どんな状況になっても、投下資本が回収されるような債券の利回りをベースに、その会社に投資しても返ってこないようなリスクを加算して資本コストを計算します。計算式は次のとおりです。

 自己資本コスト=リスクフリーレート+マーケットプレミアムXβ値

 リスクフリーレートとは?

 絶対に安全な運用資産の利回り 長期国債の利率を採用することが多いようです。

マーケットプレミアムとは?

 リスクフリーレートを超える株式市場全体の投資収益率(株式投資に対して一定期間に受取れる配当とか、キャピタル合計額の割合)です。

 だって株式に投資するのは、長期国債に投資するより利回りが高いからだもん♪

β値とは?

 株式全体市場の投資収益率が1%変化した場合、対象会社の投資収益率がどれだけ変化するかを表したもの 

 β値>1% かなり変動リスクが高い(株価が乱高下しやすい こけるリスクもある) 

∴ マーケットリスクプレミアムXβ値が大きくなる→ 自己資本コストが高くなる

 β値<1% 変動リスクが低い(株価が安定している。こけるリスクが低い。)

∴ マーケットリスクプレミアムXβ値が小さくなる→ 自己資本コストが低くなる

とりあえずDCFシリーズは一応終了 さて 明日のネタは何にしようかな♪

| | コメント (0)

2005年11月20日 (日)

WACC DCF法

 DCF法とは、会社が将来稼ぎ出すお金の合計額を、現在受取るならHow much?として、会社の価値を評価する方法です。

 この方法の計算上、キーとなるのは、経営者が自由に使えるお金(フリーキャッシュフロー)と、現在価値に割り引く場合の資本コストです。

 この資本コストがいくらなのかを計算する方法として、代表的なものにWACC(weighted average cost of method)があります。これは資金調達の方法は大きく分けて、他人資本(負債 借入金)と自己資本(資本 出資)であり、それぞれの資本コストを加重平均して求めるものです。算式は次のとおり

 資本コスト=他人資本コストX(1-実効税率)X負債比率+自己資本コストX自己資本比率

負債比率=有利子負債の時価/(有利子負債の時価+株式時価総額)

自己資本比率=株式時価総額/(有利子負債の時価+株式時価総額)

? なぜ他人資本コストは実効税率を引くか? 支払利息は税務上、損金となり収入から差引けるので、その分税金が安くなるので、会社からでていくコストが減るから

 ちなみに自己資本コストの配当は、税務上、損金とならず収入から差引けないので、実効税率をマイナスできない。

?有利子負債の時価ってどうするの

 資産を時価評価することはよくきくけど、負債を時価評価するってよくきかないですよね。これ通常は、簿価できます。 借入金の場合、毎年利息を払いますよね。たとえば利率5%で1億円借りた場合 1年後に返すのは、1億500万円 これを資本コスト5%として割引くとと1億円だから 簿価で計上したのと同じと考えるのかなあ

?株式時価総額ってどうして計算するの?

 これ、株式が上場している場合は簡単だけど、非上場の場合は大変で、やっぱ 時価純資産とか使わざるを得ないのかなあ。ほんとにこれは困る。非上場って 株式所有している人によって、価値が違うからね。 大株主は会社を支配するため 小株主は配当を受取るため。 義理、 義務。。。。

| | コメント (0)

2005年11月19日 (土)

資本コスト DCF法

 DCF法とは、会社が将来稼ぐお金がいくらなのかをはじきだして、その金額が今もらえるといくらになるのかという観点から、その会社の価値を評価する方法です。

 このDCF法のキーになる数値は2つあり、1つは昨日書いたフリーキャッシュフローであり、今日書く資本コストです。

 資本コストとは、事業を行い、お金を生み出すためには、事業を行うために必要なお金を調達してこなければなりません。この資金を調達するためには、コストがかかります。

 このコストは、借入金のような他人資本の調達場合は、利子であり、出資のような自己資本の調達の場合は、配当にあたります。利子は、その会社が儲かっていようがいまいが一定の利率で支払わなければなりません。これに対して配当は、儲かっている場合は払うことができますが、儲かっていない場合は、払うことができません。

 会社が倒産した場合、会社の財産を処分して、他人資本提供者や、自己資本提供者に弁済しますが、優先して弁済を受けれるのは、他人資本提供者の方です。

 自己資本の提供者は、当然、儲からない場合は、配当がもらず、倒産したら紙切れにすぐなることを重々承知しています。おなじ100円を投資しても、お金を貸した方が安定して利息をもらえ、配当はどうなるかわからないのに利子と同じ利回りだったら、誰も株式には投資しません。自己資本の提供者は、他人資本の提供者よりも、より高い利回りを求めます。

 ですから通常 他人資本コストよりも自己資本コストの方が高くなります。

| | コメント (0)

2005年11月18日 (金)

フリーキャッシュフロー DCF法

 DCF法とは、会社が将来いくらお金を稼ぐかということから会社の価値をはじき出す方法です。この方法でキーとなるのが フリーキャッシュフローと資本コストです。

 フリーキャッシュフロー(FCF)とは、経営者が自由になれるお金のことで簡単な算式で書くと、(税引前当期純利益+支払利息)X(1-実効税率)+減価償却費-固定資産投資額-運転資本純増額(運転資本純減額)

☆なぜ支払利息をたすのか?

 お金を稼ぐためには、まず資金が必要 その資金を調達する手段としては、2つあって、お金を借りる方法とお金を出資してもらう方法 これらの調達のコストは、支払利息ど配当 配当は会計上も税務上も費用にならないので、支払利息も配当と同じ条件にするため計算からぬいたのです。

☆なぜ(1-実行税率)なの? 

 稼いだ利益に対する最大のコストはやっぱり税金だからその分を差引かないと、手取りの儲けははじけないのです。

☆なぜ減価償却費をたすの?

 減価償却とは、建物とかパソコンとか目に見える資産は、時間がたったり、使用したりすると価値が減少するので、使用期間にわたって、一定のルールで、その減少部分を費用として配分しましょうというようなもの。普通の費用は、発生するとお金がでていくけど、この減価償却は、費用が発生しても、買った資産の価値が減るだけで、お金がでていかないんです。つまりこの部分は、会社にお金が残ると考えて、FCFを計算する時はプラスにするんです。

☆なぜ固定資産投資額を差引くから?

 固定資産を買うとお金がでていくから。

☆なぜ運転資本純増額を差引くのか?

 運転資本とは、会社の事業に通常必要なお金で、この部分が増えるということは、それだけお金がでていくということだから。

 こんなかんじでFCFは計算しますね♪

| | コメント (0)

2005年11月17日 (木)

DCF 現在価値って何?算式ってどんなの?

 DCFとは、将来獲得するお金を現在の価値で評価する方法です。

 現在価値というのは、どういうことかというと たとえばここに100万円あります。今100万円受取るのと 1年後100万円受取るのだったらどちらを選択しますか? たぶん誰でも今受取りますよね。 だって今100万円受取って預金をしたら低金利といえども利息がつきます。もし利率が2%なら1年後自分お金は102万円です。 1年後に100万円の現金を受取るよりも利息分だけ特です。

 じゃもし1年後に100万円受取るために今、いくらお金があったらいいの? これは1,000,000÷1.02=980,382です。

 つまり1年後の100万円の現在価値は980,382なんです。こんなかんじで将来受取る現金を現在価値におきかえるのは、評価する対象は、将来のお金だけと、取引するのは今だからだと思います。

 DCFの算式はだいたいどうなっているのかというと

 予想期間内各年のフリーキャッシュフロー(FCF)の現在価値の合計額+予想期間経過後のFCFの現在価値=企業の経済価値 

 フリーキャッシュフローっていうのは、一応算式はありますけど、簡単にいうと経営者が好きに使えるお金のこと

 予想期間という言葉が2つありますけど、将来いくらお金が入ってくるかという予想をいつまでたてられるか、その予想ができる期間のことです。どうなるかわからない未来のことだからそんなもんわからんと言っちゃえばそれまでですが。通常 5年とか10年とか 中期経営計画って言葉ありますよね。あーいう計画で予想されている期間なんかDCFの計算のときに使ったりします。

 上記算式に予想期間経過後におけるFCFの現在価値がありますよね。これは、予想された最後の期間に獲得するお金が、その後、永遠に続くと考えた場合の予想期間終了後に獲得するお金の合計額の現在価値のことです。

 このDCFのキーになる数値がFCFと現在価値に割り引く時に使う利率(資本コスト)です。これらは、裁量というか判断の入るところですので、いくら合理性を追求しても、それが本当に正確な事実をあらわしてるのか、本質的なところは誰もわからない部分です。なんてっつたって絵に描いた餅ですから。

 このFCFと資本コストを明日以降ちょこっと書きます。

| | コメント (0)

2005年11月16日 (水)

知財評価 ロイヤリティ料率をベースにしたインカム法

 知財評価を行う場合、評価方法はいくつもあるのですが、その評価方法の分類の仕方で有名なのがスミスとパールの分類であり、これによるとコスト法、マーケット法、インカム法に分類されます。

 このうち知財評価と相性がいいのはインカム法だろうなと思います。このインカム法とは将来、知的財産を利用することにより生み出すであろうお金を予想して、それが今の価値だったらいくらになるの?ということから評価するものです。

 この将来、知的財産を利用することにより生み出すであろうお金を予想して、今の価値に引き戻す方法は、DCF法(ディスカウント キャッシュフロー法)という方法です。

 この方法は、企業評価をする際に最近よく使われる方法です。たとえ現在、投資過多で債務超過状態の会社でも、将来、その投資が成功して、大金が転がり込むことが予想されるならば、その大金をベースに価値を評価するので、非常に高い企業評価となります。

 ただここで評価の対象にしているのは、あくまでも知財評価で企業評価ではありません。ですからDCFで企業価値をはじき出した場合は、ここから知財評価部分を切り出さないといけません。企業価値は、特定の知的財産だけから成り立つものではないですから

 この企業価値から特定の知的財産を切り出す方法もいくつかあります。

 この切り出し方 つまり知的財産の寄与度を求める方法のひとつとして、ロイヤリティ料率により見積もる方法があります。他の会社とライセンス契約を結んだ場合、売上の何パーセントかのロイヤリティを払ってねというような取り決めをすることが多くあると思います。簡単にいうと将来の毎年の利益のうちライセンス料相当分をはじき出し、それを現在価値に割り戻して合計するというような方法ではないかなと思います。

 欧米で多様されているのが、将来各期の利益の25%(33%)をロイヤリティ率と考えて、各期の利益に料率を乗じた金額の現在価値の集積で知財評価をする方法だそうです。 

 25%の理論的根拠は、利益は技術開発、製品開発、製造、販売の4つの部分の均等な努力から獲得されるものだから、技術開発は4分の1の25%、この部分が知財評価のベースになるということです。33%の理論的根拠は、上記のうち技術開発と製品開発をワンセットにすると3つの部分になるので貢献率3分の1で33%ということです。注1

また25%(33%)なのかというとロイヤリティ料率の多くが利益の25%と33%の間に分布するという実証報告もあるそうです。注2

明日以降 インカム法の幹となるDCF法についてちょこちょこっと書きます。

注1、 鈴木公明 知財評価の基本と仕組みがよーくわかる本 P162 秀和システム

注2 鈴木公明 知財評価の基本と仕組みがよーくわかる本 P163 秀和システム

| | コメント (0)

2005年11月15日 (火)

知財評価

 税金のことばかり書いて疲れたので(笑)、ここでがらっとかえて知財評価の話

 知財信託を行う場合、委託者は知的財産に信託を設定し、信託受益権を受取る。そしてこの信託受益権を売却して、知的財産の開発のためにかかったコストを回収し、あわよくば大きな利益をゲットしようと考えているだろうなと思います。

 そこで大事なのはこの知的財産がいくらなのか? 誰もが納得できる価格って How much?    証券取引所みたいなマーケットがあって、誰でも知的財産を同じ時刻に同じ値段で買うことができたら簡単なのですが、そんなものありませんよね。

 で、この知的財産の評価については幾通りかの分類方法があり、その中でもメジャーな「スミスとパールの分類」によると 知的財産の評価は大きく分けて3つあります。

 ◎ コスト法

 ◎ マーケット法

 ◎ インカム法

 ◎コスト法 

 これは、簡単にいうと知的財産を創り上げるまでにかかった費用の合計額をもって評価しましょうというもの このコスト法は、本当に実際にかかった費用で算定する方法(ヒストリカルコスト法)と、今、もう一度知的財産を創るならいくらかかるかで算定する方法(リプレイスメントコスト法)があります。

 ◎マーケット法

 同じような知的財産についていくらで取引されたかに基づいて算定する方法(比準法)や固定負債の時価と資本の時価から有形固定資産や投資その他の資産を差引いて、知的財産を評価する方法(残差法)があります。

 ◎インカム法

 これはその知的財産を使って将来いくらお金が入ってくるか、儲かるかを予想してそこから知的財産を評価する方法があります。

 たぶん今、知的財産の評価でメジャーなのはインカム法と思います。

 マーケットはないからマーケット法といっても事例がまずないですよね。

 かかった値段で評価するといっても、知的財産って、人の発想というかひらめきに基因するところもあるので、ものすごく時間をかけたり、設備投資をしたらいいものができるということもないですからコスト法もしっくりこないですね。

 そうすると消去法でインカム法 でもこれって、将来の予想に基づくから、いくらうーんとうなっても究極的には鉛筆なめなめの絵に描いた餅。でもこの鉛筆なめなめ絵に描いた餅法(口が悪いのですが)が、今のファイナンスでの評価方法の主流なんです。夢に値段をつける! 

 まあ上場会社の株式の評価も、純資産より遥かに高い場合がいくらもありますし、その場合の純資産との差額の原因はいろいろあるのですが、つまるところその会社の成長性に対する期待のお値段 夢のお値段なんでしょうね。

 

| | コメント (0)

2005年11月 1日 (火)

シネマ信託 TM~蟲師~

JDC(ジャパンデジタルコンテンツ)信託株式会社が平成17年10月28日に東京三菱銀行と開発型ファイナンス.スキームを組成 

~小椋事務所制作. 大友克洋監督作品「蟲師」にて~というプレスリースをしました。

http://www.jdc.jp/ir/index.html

このスキームを簡単に書くと次のとおりです。

①小椋事務所は制作委員会方式で映画を制作する。

②小椋事務所は、資金を銀行からお金を借りて、制作委員会に出資する。

③映画が完成すると小椋事務所は著作権の一部を取得する。

④小椋事務所は、取得した著作権に対してJDCを受託者とする信託を設定し、信託受益権を受取る。

⑤銀行はこの信託受益権に担保を設定する。

⑥小椋事務所は、信託受益権の一部を投資家に販売する。

⑦小椋事務所は投資家から信託受益権売買代金を受取る。

⑧小椋事務所は、受取った代金で銀行からの借入金を返済する。

 なぜいきなり信託にせずに、借入→制作委員会→信託とするのかというと、信託財産となるのは既に存在している財産であり、未来の財産を信託することはできないからです。

 各登場人物のメリットは次だと思います。

 制作会社である小椋事務所は、早期に投下資本を回収できる。

 銀行は、貸出金の焦げ付きリスクの少ないビジネスを拡大できる。

 投資家は、信託受益権を取得することから、映画の興行益等から利益を受けることができる。

 しかし映画がこけた場合は、投資家は、利益の分配だけでなく、元本の回収もできない場合があります。これは株式に投資するのと同じことです。

 また信託を設定しているのは、著作権の全部ではなく、著作権の一部であり、組合の有する著作権は合有です。将来、映画の二次利用、三次利用などで、組合員の間で話がまとまらないような場合、組合員の一部が倒産した場合なども、投資家は、本来なら受けらるべき利益や元本の回収ができなくなるリスクがあります。

 このようなリスクがあるので、そのリスクを加味した信託受益権の価額を設定しないと、投資家は怖くて知的財産をベースにした信託受益権に手を出せなくなります。

 したがって合理的な信託受益権の価額を算定することが重要になると思います。

| | コメント (0)

2005年10月31日 (月)

制作委員会方式

 映画を作る場合の資金調達の方法として、制作委員会方式というのがあります。

 スケールの大きい映画を作るためには、それなりに巨額のお金がいります。映画を作るのは制作会社ですから、制作会社がお金を調達して映画を作り、完成した映画の著作権を持つというのが本来の姿なのでしょう。

 でも映画は、あたる場合もあればこける場合もあります。あたるか、こけるかは、上映してみないとわかりません。こけてしまったら、映画制作のために費やした資金を回収できなくなり、制作会社は倒産してしまうかもしれません。

 また最近の映画というのは、単に上映したら終わりというようものではなく、上映後、DVDで映画が販売されたり、テレビで放映されたり、映画のストーリが本となって出版されたり、主題歌がCDで販売されたりすることもあります。また映画のキャラクターを使った商品(キャラクターグッズ)が販売されることもあります。海外でも上映されるものもあります。

 このように映画ビジネスは、周辺の様々なビジネスを巻き込むことになり、あたると利益をもたらすことになるので、これらの映画ビジネスにからんで儲けたい人たちにも、映画制作の一部を負担してもらいましょう。そうしたら儲けもも差し上げますよというのが制作委員会方式です。

 この制作委員会方式は、通常、民法上の任意組合という方法で作られます。参加したい人は、契約を結び、お金をだします。映画が完成したら、映画の著作権の一部を取得しますので、リスクとリターンが合うので合理的だと考えられています。

 でもこの制作委員会方式というのは問題もあります。

 任意組合の組合員は、組合で生じた損失については、無限連帯責任を負うことになります。たとえば1億円を映画制作のために出資したのに、映画制作上、事故が起こり、損失の負担額が3億円になったというような場合があります。もし会社に出資したような場合だと、出資者は有限責任だから1億円の範囲で損失を負担することになりますが、組合員の場合は、3億円まで負担しないとけなくなります。

 また映画の著作権は、組合員の合有(勝手に組合員が自分の持分相当の著作権を切り取り転売するようなことはできない)になり、組合員全員がOKといわないと、利用したりすることはできません。上映したら大当たりのような場合、しばらくは、みんなハッピーだから意見の相違はあまりないかもしれません。しかし10年くらいたち、リメイクすることになった場合、歳月が組合員間の関係をおかしくしてしまうこともあるかもしれませんし、組合員の中には倒産してしまってるケースもあります。そうなるとリメイクして、再び大儲けしようと思っても、できなくなるケースもあります。

 このように無限責任を問われる制作委員会方式は、出資したからには、先々までのリスクを理解しておく必要があります。

参考文献 土井宏文 「資金調達目的での知的財産信託の活用法」 別冊NBL No102 商事法務

| | コメント (5)

2005年10月23日 (日)

特許権と著作権

 知的財産法といわれるカテゴリーの法律の代表選手として、特許権と著作権があります。

 特許権とは、簡単にいうと発明した物(理系っぽいなあ)を発明した人が独占的に利用して、そこから湧き出る利益を独り占めにできる権利のこと。 著作権とは、簡単にいうと、文芸、学術、アート、プログラムも含むけど、要するに自分が創造した表現(著作物という。 文系っぽいなあ)を、他の人が買ってにコピペして、お金儲けをしたり、自分の業績だ!と発表したりするのを禁止できる権利のこと。

 いずれも他の人が利用したい場合は、特許権者や著作権者にお伺いを立てなければなりません。 そしてOKになった場合も、権利者が使わせてやる代わりに、お金を頂戴といってきたら、それ相当のお金を権利者に支払わなければならなりません。

 もちろん個人的に利用するならば、いちいちお伺いをたてて、お金を払う必要はないのでしょうが、

 この特許権と著作権、目的が産業発展に寄与と文化発展に寄与というように異なっているため個性も違います。

 たとえば特許権は、登録しないと権利が発生しないし、著作権は別に登録しなくても、著作物を作ったら発生します。

 特許権では、同じような特許が時間差で申請された場合、たとえ後に申請した方が、先に発明しても、先に申請した方が、勝ち!です。

 著作権の場合、コピペではなく、自分の頭を使って創り出した物が他の人が作った物と全く同じようなものであっても、どちらが勝ち!ということにはなりません。

 また権利の保護期間ですが、特許権は、出願(特許を申請したいといって願書や明細書を特許庁に提出すること)から20年です。特許権の目的は、産業発展への寄与をした人に、寄与分の利益を保証して貢献に報いましょうということですが、いつまでも独占権を認めると、産業発展に寄与どころか、妨げになるから、ある程度の期間で独占権をやめましょうということです。

 これに対して著作権は原則的には著作者の死後50年間です。とっても長い期間ですね。文化の発展に寄与が目的ということで、長く独占権を認めても特許権ほど問題はないでしょうということでこの期間になったと思います。

 でもコンピューターのプログラムのようなビジネス関連の著作権も著作権者の死後50年っていうのはちょっとという感じです。コンピューターの進化スピードは速いから、創ったプログラムはすぐ陳腐化するので、長い間、独占権を持っていても、誰もすぐに使わなくなるからあまり旨みはないのかもしれませんが、

 ちなみに、減価償却期間はどうなっているのかなと減価償却耐用年数省令なる税金を計算するときの耐用年数ルールブックを調べたところ、特許権は8年 著作権はありませんでした。 著作権は減価償却しないのかな?とふっと思ったのですが、 特許権の取得価額って、特許出願にかかった費用を集めたものですが、著作権は、登録する必要がないから取得価額は0なんでしょうね。

 じゃ、大作家が亡くなった時の著作権評価は0か? 

 いいえ相続財産を計算するときは、著作権は原則としては、年平均印税収入の額X0.5X評価倍率(印税がもらえる期間に応じた複利年金現価率)で計算します。だから印税が多くて、著作権の存続期間が長く、かつ相続時の基準年利率が低い場合は、高い値段で評価されることになります。

 参考  尾崎哲夫 はじめての知的財産法 法律をあなたの「お友達」の1人に 自由国民社

| | コメント (3)

2005年10月17日 (月)

知的財産権ってなんだ?

 知財信託をカテゴリーにして、1つ記事を書いたのですが、核になる知的財産権について勉強が進んでいません。これから、ここでちょこ、ちょこっと書いて頭の中に格納していこうと思います。

 特許庁のホームページによると、知的財産権(知的所有権ともいいます。)とは、人間の幅広い知的創造活動について、その創作者に権利保護を与えるものです。

http://www.jpo.go.jp/seido/index.htm

お金を反復、継続して生み出す知恵を、その知恵を生み出した人から切り出して、1つの独立した財産として存在させること。

 パソコンなんかは、知的財産権のかたまりで、知的財産権がなければ、ただの金属の箱。

 この知的財産権は、他の人からの侵害に非常に弱いです。パソコンという物体をもし、誰かが勝手に使っていたら、「それは私のものだから返してよ!」と主張して、取り返すことはできます。

 でも知的財産権は、目に見えないものだから誰かが勝手にコピペしてもわからないです。

 もしこのような知的財産権が第三者に侵害されることを守る法律がなかったら、莫大なコストをかけて新技術を開発する人や会社なんてあらわれません。それでは、産業が発展しないし、国も栄えない。これはまずいということで知的財産権を保護する法律を作りました。

法律で保護している主要なメンバーの権利としては、発明を保護する特許権、考案を保護する実用新案権、デザインを保護する意匠権、文芸、学術、美術に音楽からプログラムまでを保護する著作権、 ロゴのような商標を保護する商標権などがあります。

 この法律では、ソフトウェアを創り出した人に独占的利用権をあたえ、そのソフトウェアを利用したい人からお金をもらえるという特典をあたえました。つまり、他の人が勝手に「ただ」でコピペすることを禁止するような力をもっています。

 でもいつまでも創り出した人の独占権を認めると、産業の発展を阻害するかもしれないので、独占的に利用できる期間に制限を設けています。ただし商標権については、商売が続く限り継続して利用できるように保護期間は更新可能です。

  このブログで考えると、文章は著作権で保護されるのでしょうか。もしこのブログが大化けしそうになったら信託大好きおばちゃんを商標登録。信託大好きおばちゃんブランドのグッズをがんがん販売して、ロイヤリティでがっぽり稼ぐ。。。 

 とりあえず、毎日こつこつ書いて、「信託大好きおばちゃん」ブランドを創り上げたいと思います。 

 

| | コメント (0)

2005年10月10日 (月)

知財信託はなぜブレークしない

 知財信託とは、知的財産を信託するものです。これは信託業法の改正により可能になったものです。従来の信託業法では、信託財産が限定列挙されていたため知的財産を信託することはできませんでした。この知的財産とは、たとえば特許権とか著作権とか、目に見えない価値のあるのですが、いくらなのかを客観的に評価するのが難しいものです。

 たとえば中小企業が持っている特許権をそのままもっていても管理することができる人がいないために、宝の持ち腐れになったり、侵害されても泣き寝入りするところ、いくつかの中小企業の特許権をまとめて信託することにより、専門家が管理できるというメリットがあります。

 大企業のグループがばらばらに持っている権利をまとめて管理することにより効率化が図られます。

 特許権を持っていた事業会社が倒産しても、権利は破産管財人の手にわたりません。

 もし知財管理会社を作り、そこに権利を譲渡した場合は、譲渡時に時価と簿価の差額に譲渡益課税がなされコスト増になりますが、信託の場合は、信託設定時点では、課税されません。

 また、信託設定により受け取った信託受益権を売却することにより、投下資本を早期に回収することも可能になります。

 知財立国をめざす日本の牽引車の一つに知財信託はなるはずですが、なかなかブレークしません。これはなぜなのか。要因はいくつかあると思いますが、決定的な要因の一つに、権利侵害者が現れたときに請求できる損害賠償の範囲が狭まることです。

 特許権侵害に基づく、損害賠償額のうち逸失利益の算定方法は

①譲渡された侵害物権の数量に特許権者の単位数量当たり利益額を乗じた額で、特許権者の実施能力を超えない額(ただし、特許権者に販売することができないとする事情があるときはその分を控除する)を損害の額と擬制する。(特許法102①)

②侵害者が侵害行為によって利益(限界利益)を得ている場合には、その利益額を権利者の損害と推定する。(特許法102②)

③特許発明の実施に対して受けるべき金額の額に相当する額(通常は侵害品売上額X実施料率)を自己が受けた損害の額として賠償請求できる。。(特許法102③)

 このうち、特許権を有している事業会社が、訴えの当事者の場合は①から③のいずれかの方法により算定された金額で損害賠償ができますが、信託をした場合は、信託会社自体は、③(信託会社自身が実施許諾権限を有していることが前提)しか請求できないことになります。

 さらに信託設定後の事業会社で、専用実施権や独占的通常実施権が付与されていないケースにおいては、原告適格すら認められなくなります。つまり信託設定により、権利を守るどころか、権利の侵害に手が出せなくなる状況がおこりかねないのです。

 この問題は法律を改正することで早期に解決しないと、大きな目標である知財立国のための知財信託は、掛け声倒れになってしまいます。

参考  弁護士 小林卓泰 知的財産信託における法的留意点 別冊NBL No102 商事法務

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)