2007年10月29日 (月)

特許企業名非公開に

今朝の日経をみていたら 経済金融欄に 「特許使用権、M&Aでも契約保護 登録企業名非公開」にという記事がありました。

ふっと思い出したのですが、日経ビジネスの20071022日号に「金になる知財」という特集があって その中の「インフラ整備に重い課題」という記事(上記雑誌の41頁)を引用させていただくと、

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企業が特許を売却する際、最も気にするのはすでにそのライセンスを供与している相手のことだ。新たに特許の保有者となった企業が契約を引き継がなければ、供与先に多大な損害を与えることになりかねない。

あらかじめライセンス契約を特許庁に登録しておけば、供与先は特許が譲渡されても影響を受けない。だが、実際には「技術や製品の権利関係は企業秘密。わざわざ登録する企業は少ない」(弁理士)。こうした「実態と乖離した制度が特許流通を阻害している」(家電メーカー)との不満は大きい。米国では特許保有者が変わっても、ライセンス契約は自動的に維持される。

この問題については、特許庁でも改善に向けた検討が始まっている。

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この記事に対する回答のような記事が今朝の日経ですね。

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ライセンスを登録した場合に公開を義務付けている企業名や、契約金の額などを原則非公開とする

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このことにより、たとえ、特許の保有者が変わっても、ライセンス契約は登録されているので、ライセンスの使用者は新しい特許権保有者に対して、権利を主張できることになるのでしょうね。

現行の制度においてライセンス登録は全ライセンス契約の1%にとどまっていたそうです。

なお、2008年通常国会にも特許法など関連法令の改正案提出をめざすそうです。

 

知財立国を首相が何年か前に謳った国ですので、なんとか、有限実行に向けて動いていただきたいものです♪

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2007年10月23日 (火)

知財信託で初の配当金

今朝の日経に「『知財信託』で初の配当金」という記事があります。

知財信託というのは、目に見えないけれども価値のある資産のこと、たとえば著作権とか、特許権とか、

知的財産が信託できるようになったのは、平成16年ごろの信託業法の改正からだと思います。

知財信託は、次の信託の目玉になるといわれながら、数年たちましたが、プチ化けもしてないようですね。いろんな事情があると思いますが、

今朝の日経では、中小企業の特許を信託したものが、初めて配当を払えるようになったというものです。組成したのが2005年ですから 2年の月日が経っています。

この中小企業の特許の信託というのは、すでに、ロイヤリティの支払い先が決まっているようなものでなく、信託銀行が、信託を組成しながら、支払い先も見つけてくるというもののようです。だから、見つからないとダメだし、見つかってもすぐに収益が生めるというものでもない。通常、特許を使っていっぱいモノを作らないといっぱいロイヤリティを払ってくれない。製品価格の何パーセントというように支払額が決められているようだから。

よかったよかったということなのですが、投資家からしたら2年間配当がこない金融商品というのは投資としてはどうかなあっていうところもあります。配当がなくても、上場株式のように、自由に売買できて投資を回収できたらいいのですが、そんなマーケットもない。適正価格がどのように決まっていくのかという考え方は存在しても、不動産の鑑定評価基準のようにスタンダード化はされていないから、売買に二の足を踏むことも多い。

まあ、この信託はおそらく自益信託(委託者=受益者)だから、2年間配当がなくても、それはそれでいいのかもしれませんが。 自分で持っているだけだったら、おそらく特許がお金を生むことはないですから、

批判ばっかりしてもどうしようもないですが、いまいち、知財信託発展のための推進力に欠ける今日この頃です。

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2007年8月30日 (木)

ブランド価値評価モデル

今朝の東京は、昨日同様曇りで、肌涼しい。

またもや、「信託とファイナンス」特別講座の復習の続き。 

早稲田大学教授 広瀬義州氏の「証券化・流動化の展望と課題Ⅱ -知的財産の証券化と価値評価」から、

欧米では、ブランド価値が商品としてすでに売買の対象とされているようです。たとえば、グッチ。あの有名なバッグの店です。創業はイタリアのグッチ家だけど、今は別の人が経営しています。つまり、グッチ家から今の経営者がブランドを買い取って事業をしているということでしょう。

ブランドというのは、企業が長年において事業を行った結果培われた信用みたいなもので、同じような商品でも高い値段で売れる。だって、グッチのバッグと、そこらのバッグって 機能的には変わらないけど値段がぜんぜん違う。でも買う人は買いますよね。デザインがいいとか、質がいいとかというのは当然理由にあると思いますが、やっぱり「グッチ」だから買うというところもあるでしょう。この「グッチ」だから高くても買うというのは「グッチ」にお金を生み出すブランド価値があるからです。不動産にお金を生み出す価値があるから証券化ができるならブランド価値だってできるはずです。

このブランド価値を証券化するためには、不動産や他の資産と同様に企業全体のキャッシュフローからブランドのキャッシュフローを切り出せるかどうかが大事であり、そのためにブランド価値の客観的で適正な評価が大事なのです。

このブランド価値をどう評価するのか。ということで、広瀬教授はブランド価値評価モデルとして算式をお示しになっています。

信託大好きおばちゃんは、勉強大嫌いな高校を卒業しているから数学の難しい式はわからないので一番簡単な式だけ書くと

BV(ブランド価値)PD(プレステージ・ドライバー)/ 割引率 ×LD(ロイヤリティ・ドライバー) × ED(エクスパンション・ドライバー)

プレステージ・ドライバーとは、 価格が高くても値下げをしなくても顧客が製品等を購入することに着目した指標。 グッチは同じバックでも他よりもどれだけ高い値段で売れるかということ。

ロイヤリティ・ドライバーとは、リピーター等が安定的に存在していることにより、長期間にわたって一定の販売量が確保できることに着目した指標。 グッチは固定客がついていて、新しいバッグが売り出されたら、それをどれだけ買ってくれるかということ。バッグなんて、耐久性があるから毎年買う必要はないんだけどね。

エクスパンション・ドライバーとは、ステータスの高いブランドは認知度が高く、本来の業種または市場にとどまらずに、類似業種、異業種、海外等他の地域へ進出できることに着目した指標。グッチは、日本だけでなくおそらく他のアジアの国々にも進出しているでしょうね。それらの国々の所得水準からしたら目の玉が飛び出るような値段のバッグですが、どこの国にもお金持ちはいて、そんなバッグを買うことにステータスを感じる人はいるから。ようするに、グッチの製品は、今ある市場以外でどれだけ売れるか。今の製品と違う種類の製品でもグッチという名前をつけることによってどれだけ売れるかということ。

こんな指標を使って、算式はいまいちわからないけれどもブランド価値の評価は可能なようです。

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2006年10月27日 (金)

「アジア・オンラインゲーム信託~イーゲームスファンド第1号~

ほんとうに久々のジャパン・デジタル・コンテンツ信託ネタ。

ジャパン・デジタル・コンテンツが合同運用指定金銭信託という形態でお金をあつめファンドを作って、イーゲームス社(マレーシアにある会社でもCEOは日本人らしい)買付ならびに製作のオンラインゲームの使用権・著作権およびイーゲームス社の株式に投資をするようです。

オンラインゲームって何?

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インターネットを介して複数の人が同時に参加して行われるコンピュータゲーム。

 ゲームソフト自体はWindowsなどのOS上で動作するようになっており、インターネット経由で他のコンピュータに接続してデータを交換することにより、ゲームが進行する。

 麻雀やトランプなどの古くからあるゲームをネット対応にしたものや、「Ultima Online」などの大規模なロールプレイングゲーム(MMORPG)、「DOOM」などのシューティングゲームがある。

インターネットを介して複数の人が同時に参加して行われるコンピュータゲーム。

 ゲームソフト自体はWindowsなどのOS上で動作するようになっており、インターネット経由で他のコンピュータに接続してデータを交換することにより、ゲームが進行する。

このイーゲームス社のオンラインゲームは、多人数同時接続型オンラインロールプレーゲームで、アジア諸国に配信していて600万人以上の登録会員がいるものです。英語でゲームが行なわれているのが人気の秘訣だそうですが、中国やタイのように英語があまりポピュラーでない国は、現地語で行なわれているようです。

ビジネスモデルは、まず無料プレーを原則とします。でも人間というのは、あるゲームを制覇すると、もっと高度なゲームに挑みたくなるもの。高度なゲームをやろうとする場合は、その時点で課金が始まるようです。バーチャルアイテム(たとえば武器とかコスチュームとか)を買っていくことによってね。

このイーゲームス社は20063月現在 資本金10億円 従業員85名 売上39,000万円ということで、この会社に対する投資内容はゲーム使用権20億円(約40作品分)・ゲームの著作権5億円(約5作品分)・イーゲームス社株式5億円。

おそらく財政的には厳しい状況の会社なんでしょうが、回収可能性は高いのでしょうか。またどのような投資家がこの信託に投資するのでしょうか。

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2006年9月21日 (木)

知財信託は、ブレークするかもしれない。

1.日経デスクトップニュース&クリッピング

最近、日経デスクトップニュース&クリッピングに入りまして、結構重宝しています。これは、自分で決めたいくつかのキーワードの入った日経4紙の記事を配信してくれるものです。信託大好きおばちゃんの場合は、信託、税、会計、会社法の4つを入れてます。そうするとこれらのキーワードの入った最新の記事を新聞よりも早く配信してくれます。

信託大好きおばちゃんは、最近東京に引っ越してきたのですが、この際とばかりに新聞をとるのをやめました。高名な磯崎さんのマネではないのですが、

で、今日のねたはクリッピングで拾ったねたから

2.知財信託はなぜブレークしない

知財信託はなぜブレークしないのか。これは信託大好きおばちゃんのブログで何度もねたにしました。

知財信託それもグループ企業内の信託のような場合、通常の信託免許はいらないのでわりと簡単に組成できるのですが、なぜか二の足を踏む企業が多いです。その理由として信託することにより、第三者の特許権侵害に対して請求できる損害賠償の範囲が狭まることです。

以前のブログの記事を引用すると

相手方に対して、特許権の侵害により生じた損失の賠償を請求することはできる範囲は次のとおりです。

     譲渡された侵害物権の数量に特許権者の単位数量あたり利益額を乗じた額(特許法102①)。

     侵害者が侵害行為によって得た利益(特許法102②)

     特許発明の実施に対して受けるべき金額に相当する額(特許法102③)。

事業会社が自分の有している特許に対して侵害された場合は①~③を算定方法として利用できますが、受託者の場合は、自分で発明したのでないから③の実施許諾料相当額に限定されます。

3.損害賠償の範囲が広がる。

 このような問題があったのですが、日経クリッピング(2006/09/21 媒体:日経産業新聞,22面)によると「平成18年5月の経済産業省の産業構造審議会が特許権を信託した元権利者と信託を受けた現権利者の扱いについて指針を公表した。両者が得られる独占的利益が一体とみなせれば「一〇二条に基づく損害賠償請求が認められても良い」とした。」 

これが認められるようになると受託者の損害賠償請求できる範囲が、実際に特許権を持っている人や会社と同じになるようなものです。そうすると二の足を踏んでいた企業も知財信託を検討、実施する可能性は高くなりつつあると思います。

さて、どうなるか。あとは知財評価の問題があるのですが♪

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2006年9月18日 (月)

荒井寿光さんの「知財革命」

1.荒井寿光さんの「知財革命」

 荒井寿光さんは、内閣官房知財戦略推進事務局長という非常に長い肩書きのおそらくエライ方でしょう。彼が「知財革命」という新書版の本を書かれました。さーっと読んだだけですので、彼の主張の本質までとらまえることはできていませんが、非常にわかりやすく、学者せず、官僚せず、実務にねざしながら、しっかりと世の中の方向性を描いているのではないかと思います。

2.日本の特許出願件数は世界一!

この著書の中で「日本の国際競争力は低迷しているが、その大きな理由は、国際的に戦える基本特許を持っていないからだといえる」とお書きです。

意外なことかもしれませんが日本の特許出願件数は世界一で年間40万件にも上るそうです。ただこれらは基本特許がほとんどなくて、出願した特許のうち多くが休眠特許状態になっているようです。つまり特許を利用して、実用化しようという特許本来の目的のために利用しようとしていないのです。

じゃなぜ出願数だけ多い理由が3つあって

     外国の基本特許をベースに、創意工夫をしたような応用特許が多くあるから。 このような改良分野に関しては、日本人は非常に才能があるからね。

     ノルマ特許! 研究者たちの労務管理上、何か明確な目標を作っとくのが有効なのでしょう。

     出しとけ特許! ライバルに先を越されないように、将来その技術が使えるかどうかなんて考えずとりあえず特許をとっとけということ

 著者は、「皆が智恵を出し合って、よりよいものを求めて切磋琢磨して周辺特許を出しているわけで、これは決して悪いことではない。しかし、基本特許を押さえていない企業や国は競争力という点で非常に弱いというしかない。」

3.じゃ大学で基礎特許を取れば

企業が基礎特許に結びつくような技術の開発を行うのは経済的問題もあるから難しいのかもしれません。それでは大学や公的研究所で基礎特許を取るようにすればいいじゃないかと考えるかもしれません。

ただ現実ではその動きはゆるやかです。なぜなら学者にとって評価されるのは特許をとることではなく、論文を作って学会で公表し、「すばらしい!」と評価されることだからです。

ここらへんを工夫して特許をとってもらい、プロに事業はやってもらう。先生には創造者の恩典として使用料を受取るというシステムを作り、学会で評価されるだけが人生じゃないんだぞ。こっちの水はもっと甘いぞ!というふうにもっていかなきゃね。

もちろんTLOの動きはありますが、まだまだこれからというところでしょうか。

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2006年8月30日 (水)

ビジネスモデル特許

1.ビジネスモデル特許

ビジネスモデル特許という言葉をときどき耳にします。これって何かというとビジネスの方法や仕組みに新しい特徴があり、その特徴をIT(情報技術)等の技術を利用して解決した発明に対する特許

(上原勉、川井隆、中山寛二 はじめての知的所有権 改訂第三版 法学書院 P72)だそうです。

つまりビジネスモデル特許というのは、新しいビジネス上のしくみとそれを可能にするIT技術の2つから成り立っているようなもの。

ビジネスモデルを考え出して、それで大儲けをしたからといって、それだけを切り出して特許として申請することはできません。IT関連 たとえばデータ処理に関する卓越した技術を作り出してもそれだけでビジネスモデル特許とはいいません。両方必要なのです。

2.どういうものがビジネス特許というか

 上記で引用した「はじめての知的所有権」においていくつかのビジネスモデル特許が紹介されていますが、そのうちの1つをこちらでも紹介します。

逆オークション特許!

オークションというのは、1人の売り手が商品をだしてきて、複数の買い手がいくらで買うかをせりにかけていき、一番高い値段をつけた人が買うことができるというやつですよね。

逆オークションというのは、1人の買い手に対して、複数の売り手が商品をだしてきて、いくらで売るかをせりにかけて、一番低い値段をつけた人が売ることができるというようなものです。

このしくみだけだったらたんなるビジネスモデルなのですが、これにIT技術をかますのです。

つまり買い手がある商品を1万円で買いたいという意思をサーバーに送信すると、その商品を売っている業者にも情報がいき、いくらで売れるかということをサーバーへ送信してもらいます。 A社が11,000円 B社が1500円 C社が1万円という回答のような場合、買い手には一番安い値段を提示した1万円で売れますという回答を連絡するというようなものです。

このポイントは、誰がいくらでなら売れるかという情報(一歩間違えると値崩れや、信用不安を起こすかもしれない)を購入者や競合他社に知られずに商品を売れるというところです。ホテルや航空券の予約においてよく使われているものですが、これが米国特許第5794207号「逆オークション特許」だそうです。

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2006年8月14日 (月)

コクヨのグループ内知的財産管理信託

1.プレスリリースによると

平成18年8月8日のプレスリリースによると「コクヨ株式会社は、8月8日から、グループ企業が有する知的財産の管理及び活用する信託業を開始します。」

この信託は、グループ企業が有する約4,000件の知的財産を集中管理することによって効率的に知的財産を活用し、競争力を高めましょうということを目的としていると思います。

この信託のスキームはプレスリリースによると次のとおりです。

(1)      対象グループ企業が有する知的財産をコクヨ株式会社に信託譲渡

(2)      コクヨ株式会社がグループ企業の指図をもって知的財産の管理、維持、対外的交渉等を行う。

(3)      交渉の結果、第三者からライセンス料を得た場合は受益者であるグループ企業に還元する

2.グループ内信託のメリットは、

 ここで注目したいのは、このコクヨの信託は、グループ内信託であることです。信託を業としてできるのは、大きく分けて4つのグループのメンバーです。信託兼営金融機関(信託銀行)、信託会社(これは信託会社と管理型信託会社に分かれる)、TLO(大学がその有する知的財産を民間に移転して収益を得るための受け皿)、そしてグループ内信託です。

 グループ内信託が、他の信託と異なるのは、金融庁に届け出ることにより信託業を営むことができる点。つまり他の方法で信託業を営むより簡単に設立することができます。

また他の信託業の場合は、兼業に関して規制が厳しいですが、グループ内信託は規制がないです。だから文房具のコクヨさんが直接信託業を営めるわけです。

それから受託者責任も信託法に基づくものに限定されるので、他の信託業務を営む団体よりは、細かいことをお上にがたがた言われることはないのではないかと

ただメリットがある限りは、そのメリットの悪用を避けるための縛りというのがあって、委託者、受託者、受益者は同一グループに属することを要求されています。ですから信託受益権をグループ外の会社等に売却することはできません。

3.問題点は?

グループ内管理の信託の場合は、信託をした時点で売却益を計上する必要はありません。また第三者に信託受益権を売却することもないので、難解な知的財産の評価で悩むことも、課税リスクを懸念する必要もありません。管理業務は受託者が行い、入ってきたロイヤリティから管理手数料を除いた残りが受益者であるグループ会社に分配されます。ロイヤリティの支払先が、第三者の場合は、支払い金額について特に課税上のリスクはないですが、グループ企業間の場合は、今後金額の妥当性で課税上のリスクが生じる可能性はあります。

 また受託者は、知的財産の侵害があった場合、当事者として訴えることはできますが、訴えるときに求める損害賠償の範囲が、直接知的財産を所有している場合よりも狭まる問題点があります。このことは何度もブログで書きましたが、知財信託が広がるためのキーポイントだと思います♪

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2006年8月 3日 (木)

特許権の相続税評価額は高すぎる!

1.特許権の相続税評価額の算式は?

 相続税評価額とは、ある人が亡くなって、その人の残した財産に対して、相続税がいくらかかるか計算をするときや、ある人が別の人に財産を贈与したときにいくら贈与税がかかるかを計算するときの基になる財産の評価額のことです。

これは、財産評価通達で、ルールが決められています。

140  特許権の価額は、145≪権利者が自ら特許発明を実施している場合の特許権及び実施権の評価≫の定めにより評価するものを除き、その権利に基づき将来受ける補償金の額の基準年利率による複利現価の額の合計額によって評価する。(平11課評2-12外改正) 

(特許権の評価の算式)

141  前項の「複利現価の額の合計額」は、次の算式によって計算した金額とする。(平11課評2-12外改正)

1 第1年目の補償金年額×1年後の基準年利率による複利現価率=A

第2年目の補償金年額×2年後の基準年利率による複利現価率=B 

第n年目の補償金年額×n年後の基準年利率による複利現価率=N 

2  A+B+…………+N=特許権の価額

 上の算式中の「第1年目」及び「1年後」とは、それぞれ、課税時期の翌日から1年を経過する日まで及びその1年を経過した日の翌日をいう。 

------------------------------------------------------------ここでいう基準年利率ですが、平成18年6月では、短期(1~2年)0.75% 中期(3~6年)1.5% 長期(7年以上)2%となります。

これたとえば年間1,000万円のロイヤリティを5年間受取れるような特許権だと評価額は、1,000万円×4.783=4,783万円となります。

2.実際の取引による割引率は?

 最近、DCF(ディスカウントキャッシュフロー法)による評価というのが定着しつつあります。これは将来入ってくることが予想される現金収入を現在価値に割引いて評価する方法です。

 この算式の重要な要素は、将来入っている収入と割引率の合理性です。収入の予想が大きいほど、割引率が小さいほど評価額が高くなります。

 さて知的財産の評価で実際に使われる割引率はいくらくらいなのでしょうか。鈴木公明「知財評価の基本と仕組みがよ~くわかる本」秀和システム2004年 P107では、日本政策投資銀行の知的財産権担保融資の場合、期間は3~5年間 割引率は一般に10%~20%に設定されるということです。

もし上記と同じ年間1,000万円のロイヤリティを5年間受取れる場合

割引率が10%なら 1,000万円×3.791=3,791万円

割引率が20%なら 1,000万円×2.991=2,991万円

というように相続税評価額より低い価額になります。

担保価値だから時価よりも低い評価になるのは当然ですが、相続税評価額というのも時価よりも低い価値で評価するはずです。偶然に生じた不幸に起因して、納税義務が生じるようなものだから、なのに高い。

これは割引率に相当する基準年利率が国債の利率等をベースにして決められているからです。でも国債の利率っていうのは、リスクが全くない状態なのです。

特許権って、訴えられて負けたら、価値が0になる可能性もあるし、支払ってくれる会社がつぶれるリスクもあります。それなのにリスクフリーレートで評価しないといけないってルールおかしいと思うのですが♪

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2006年7月31日 (月)

丸島儀一さんの「キヤノン特許部隊」~クロスライセンス契約と 交渉の極意~

 丸島儀一さんは、キヤノンで特許一筋にお仕事をなさり、専務取締役まで極められた方です。ゼロックスなど海外の巨大企業と丁々発止でやりあい、有利に交渉を進めて、現在のキヤノンの隆盛の基盤を作られた方だと思います。その方が、キヤノンでの特許戦略、ひいては交渉の極意のようなものを書いたのが「キヤノン特許部隊」です。

1.クロスライセンス契約とは

 クロスライセンス契約とは、企業が持っている特許を包括的にまとめて、お互いに供与しあいましょうというものです。

 お互いに供与するライセンスの価値が同じであるならば、ライセンス料の受け払いは0となり、どちらか一方が有利な場合は、差額の受け払いが生ずることになります。

 キヤノンの個別財務諸表を読むと 平成17年12月期の特許権収入が、209億2,400万円あります。これは、クロスライセンス契約を他の企業と結び、キヤノンの方が優位なので、差額として受取ったライセンス料だそうです。

 キヤノンは、特許部門が強い会社といわれていますが、特許部門はこの特許権収入を最大化させようという戦略は持っていません。特許収入を受取るということは、相手方に自分の強みを与えてしまうことになり、自分の事業の強い部分が、なくなってしまうことにもなるからです。特許というのは、誰にもライセンスを与えず、自分たちで独占して利用するのが、一番利益になるようなものなので、

2.クロスライセンスで有利に交渉する極意とは

 自分たちだけで特許を独占するのが、一番の利益になるのですが、今の製品は、一つの特許でできるものはありません。数多くの特許を利用することになるので、当然他者の特許も利用せざるを得なくなるのです。

 そうするとそのような特許を持っている企業に、ライセンスを与えてくださいということになるのですが、もし直接ライセンスをくださいといってしまうと相手に足元を見られてふっかけられてしまいます。そうするとライセンスフィーが上がるので、製品原価が上がり、企業の利益を圧迫するのでよろしくない。

 ですから交渉の極意は、ものすごく欲しいライセンスがあっても決して欲しいといわないということです。相手の持っている特許をすーっともらってくる。あとでわかっても、どうすることもできません。

 それと自分のところの持っている本当に重要な特許、それがあるから製品が売れるんだというようなものは絶対に出さないということです。

 またこの著書では外国の弁護士とのつきあいについても記述しています。優秀な弁護士というのは、相手が何を考えているのかがぱっとわかるような感性を持っているそうです。交渉ごとは、いかに自分に有利な着地点へ到達させるかということですが、そのためには自分の主張だけをしていてもどうにもなりません。そのために必要な能力の一つとして相手のねらいを見抜く能力が必要ということなのでしょう。

 あたりまえのことなのかもしれませんが、ビジネスで勝つためにどうすればいいのかという本質を語っている一冊ではないかと思います。

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2006年7月27日 (木)

稲の独占育成権を担保にお金が借りれるんだって

1.

新聞によると

 最近日経新聞を読むと、知的財産を担保とした融資の話題が、ぽつ、ぽつと載っています。

 平成18年7月24日の日本経済新聞では「担保は稲の独占育成権」平成18年7月27日の同新聞では「銀行融資は今 リスク管理は手探り」というのがあります。

2.

稲の独占育成権

 これは、稲を独占的に使用できる権利を担保にお金を借りたものです。親愛コーポレーションという整体施術を手がけている会社が「夢いっぱい」と言う品種の育成権を取得して、この品種のお米(玄米らしい)を農家に生産委託し、収穫したお米を販売して儲けて、資金を返済するというものだそうです。なんでもこの玄米1万俵分の価値は2億―3億円だそうです。

3.

人物データベース

 平成18年7月27日の方の記事の中で人物データベースを担保とした融資があるようです。これに関して内容は書かれていません。信託大好きおばちゃんのたくましい想像力を駆使して考えてみます。

消費者を大量にかかえる企業、たとえばクレジット販売会社や通販会社の中には、膨大な顧客情報が蓄積されています。この顧客情報には、その人の属性、購入履歴が残されています。

製品を買ってくれるお客さんを探すためには莫大なコストがかかります。このクレジット会社等の顧客情報を有償でも手に入れて、自分の商品を買ってくれそうな人にだけ、宣伝できるようにすれば効率よく商品が売れるはずです。だからこれに付加価値、担保価値があると考えたのかなと思うのです。