2009年10月28日 (水)

受益者連続改造計画 メビウス

 やー 昨日の日経の夕刊のタイトル「住友信託・中央三井が統合 11年春めど、信託トップに」をみて へーっと思った一人です。コメントといっても。。。。。。

昨日のブログのタイトル「ビールが値上がりしたら発泡酒を飲むか」を住友信託と中央三井の統合にあてはめるとどのようになるのかと10分ぐらい考えましたが、まったく答えが浮かびませんでした。そんな信託大好きおばちゃんはあほか否か。

というわけで、久しぶりの受益者連続改造計画という、非常にニッチなネタを書きます。

 信託のいいところは、資産を信託すると受益権という形に化け、この受益権はいろんな形で切り分けることができます。切り分け方のうち、信託独特といわれるのが、収益受益権と元本受益権に切り分ける方法です。

収益受益権と元本受益権に分けた信託に対する相続税・贈与税の課税のされ方は2タイプあって、ひとつは、信託発生時に、収益受益権も元本受益権ももらったとして課税するタイプ、もうひとつは、受益者が次々かわるようなタイプすなわち受益者連続型信託といわれるようなものなのですが、これは、個人が収益受益者の場合は収益受益者がみんなもっている、つまり、元本受益者は信託期間においては0として課税するタイプです。ちなみに、法人が収益受益者で個人が元本受益者の場合は、個人は0とならない。なぜか、それはなぞです。

さて、信託する財産に制限はありません。なんだってできます。取引所の相場のない株式だって信託できます。ただ、収益受益権と元本受益権に分けた場合はいろいろとおかしな問題が生ずるようですね。それはなぜか? 大きな原因は2つあると思います。

ひとつは、資産の価値というのは、一物一価であるはずなのに、取引所の相場のない株式に関しては、取得者がオーナー一族の一定のメンバーか否かで全然違うこと。もうひとつは株式独特のパワーである議決権というものの価値が0であるということです。一般的な株の場合は、議決権や配当請求権や残余財産請求権がワンパックだから議決権がどうだろうとあんまし重要でないかもしれませんが、信託の場合は議決権を誰が持つか自由に決めれるからね。

この辺の問題を理解した上で、収益受益権と元本受益権に分割された信託の問題をどう解決すればいいのかを、思いつきベースで考えました。

Ⅰ 信託受益権の財産評価方法を変える。

収益受益権と元本受益権に分けた場合の財産評価の方法は簡単に書くと次にようになっています。

収益受益権  将来、信託から生ずるであろう利益を予想して現在価値に割り戻した金額

元本受益権  課税時期での資産の価額 ― 収益受益権の額

この課税時期での資産の価額ですが、取引所の相場のない株式を信託し、収益受益権と元本受益権に分割された場合は、原則的評価方法(純資産とか類似業種比準)で統一する。その方が、合理的なんですよね。算式から考えても。

Ⅱ 受益者連続型信託以外の信託の場合、元本受益者に関しては、一定の要件のもと財産をもらう時期まで相続税・贈与税を納税猶予する。

元本受益権の評価は、昔は、財産をもらう時期の価額を現在価値で割り戻すという方法だったけど、この場合には大きな節税ができるということで、いまのような形になりました。

でも、元本受益者にとって、財産をもらうのは将来なのに課税だけ先というのは、担税力から考えても合理的じゃない。そこで、一定の要件のもとに、納税猶予制度を作っていれる。この一定の要件をどうするかは、深く考えていません。

Ⅲ 受益者連続型信託の場合、 収益受益者に関して、一定の要件のもとに一定の部分に対応する相続税・贈与税を納税猶予する。

 いまの税制というのは、受益者連続になってしまうと、信託期間中は収益受益者が財産全部をもっているものとして課税されるシステムになっています。たとえ、もらう財産がちょっぴりでもね。これは不合理。また、株式を信託し、議決権は元本受益者が握っているのに、収益受益者が財産をもっているとして課税するのも不合理。

今回考えたのは、とりあえず収益受益者が全部持っているものとする。たとえ、その者が会社にとってプチ株主であっても原則的評価方法で評価する。ただし、一定の要件を満たす場合は、一定の部分を納税猶予する。

ただ、この方法だと、議決権を元本所有者が持っているような場合、元本所有者の変更時に課税されないのですね。実質的には、信託された株は元本所有者が持っているようなものなのにね。だったら、収益受益者の納税猶予部分を元本所有者が議決権をもっている様な場合は徴収するということも考えられないか。

P.S そろそろ、寒い季節が近づいてきましたぁ。こんな季節には、ウィンドブレーカーがいいのですけどねぇ ○○さん♪

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2009年10月14日 (水)

事業承継における信託の利用

 「東京税理士界」という税理士のうち東京税理士会に所属している方たちに毎月送られる機関誌の10月1日号VolN0633で 大崎史雄税理士が「事業承継における信託の活用」をお書きになられていらっしゃいます。

 これは、今年の4月の日本税務会計学会月次研究会の発表を文書化されたものであり、この発表は私も拝聴させていただきました。

 ここで書かれているのは、事業承継において信託がどのように利用できるかということと活用へ向けての課題のようなものですが、ベースとなるのは、昨年公表された、中小企業庁の信託を活用した中小企業の事業承継円滑化に関する研究会の報告書です。

 今年の税制改正で自社株の贈与税・相続税の納税猶予が可能となりましたが、これに信託した自社株も含められるかどうかは、改正には盛り込まれませんでした。

 それは、信託とツールが非常に柔軟であることから、きちっとした枠組みをつくらないとおかしなことがおこるかもしれないと思っていたからでしょうね。

 大崎さんは自社株納税猶予の要件として、

 信託を活用した場合、納税猶予制度の要件をどのように判定するのかについては、株主名簿に加えて受託者側に証明義務を課すことになると考える。

 信託の計算書の納税猶予バージョンを作るということかな。

 議決権行使の問題

 信託の場合、議決権行使を誰がするか、自由に決めることができます。非上場会社を信託財産とする受益権を複数の受益者が有し、議決権が差別的に配分されても、会社法上109条2項により問題がないとされています。でも、この条文をもとに、なぜ、受益者ではない委託者が議決権を保持し続けるのがOKなのかということは、つながらないのではないかなと思います。持株解消信託のようなものがでてきているので、会社法上もOKと考えられているのでしょうけど、その根拠がいまいちわかりません。

信託受益権の評価

 これは、私自身の考えを述べさせていただきますが、将来受けるべき利益の額の合理性ってどうやってはじきだせばいいのかなという問題点があります。配当還元のように過去の実績で評価するというように収益受益権の評価は、財産評価通達において定められていませんよね。

それから、この利益の額は税前の数値か、税引き後の数値かという問題点もあります。というのも収益受益権と元本受益権に受益権が分割され場合、信託期間の所得の帰属が収益受益者なのか元本受益者なのかわからないから。収益受益者なら税前でしょうね。元本受益者なら、収益受益者が受けるのは課税済み所得だから税引き後で評価しないとおかしいのではないかと。

租税回避を払拭するための要件整備

これは、大崎さんのご意見を引用

法定相続人間の付与等一定数の受益権発行に留め、目的を超えた受益権の細分化、あるいは受益者が特定できない信託とならないよう設計する

なるほどね。

種類株式の脱法的な手段とならないように手続きの透明性等を図るといった手続きが必要

この手続きとは、具体的には何をイメージしていらっしゃるのだろう?

というようなことを思いながら読ませていただきました♪

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2009年8月25日 (火)

非上場会社の株式の本質は、受益者連続型信託の問題

株式会社は誰のものと考えると、それは、株主のものです。社長はえらいといっても、株式会社で営むお金儲けの責任者のようなものですが、社長が誰かを選ぶのは、取締役会があるならば、取締役会であり、取締役会のメンバーを誰が選ぶのかというと、株主です。

株主は、どういう人たちかというと、会社にお金を出資している人たちです。この人たちは 事業がうまくいって、投資したお金が太ってくれることを望んでます。お金を貸したら、お約束で、相手が赤字だろうが利息はもらえます。でも株式を投資した人の場合は、赤字の場合はもらえません。 会社が解散した場合、残った財産を、お金を貸した人と、お金を出資した人で、わけわけしますが、優先順位は、まずお金を貸した人であり、出資した人は後回しです。 こんな感じで、株主は、お金を出資してもあんまり経済的メリットはないことが多い。でも、お金を貸した人と決定的に違うことがあるのです。それは、お金を出資した人は、通常は、会社の経営にいちゃもんをつける権利です。このいちゃもんの種類はいろいろありますが、一番大きなパワーは、取締役を選んだり、首にしたりする権利でしょうね。人間の集団の世界で一番のパワーは人事権ですから。

さて、非上場会社です。出資した人にとって、投資したお金をどのようにして回収するのかが重要です。上場会社なら、市場で売却することによりいつでも回収できます。しかし、非上場会社というのは、市場で売買できないことから、投下資本の回収が難しい。だから、お金儲けの手段として非上場会社に投資するのはちょっとねです。じゃなんで非上場会社の株式を持ってるの? それは、その会社を経営するために必要だからであり、経営はしたくないけど義理か義務で持たされているというのもありますね。

このような非上場会社の株式の評価はどう考えるのでしょうか。市場では取引されませんが、欲しい人もいれば、売りたい人もいる。専門書を読めば、いろんな手法が紹介されています。それでは、税法上、というより相続税の世界ではどう考えるか。これは、もっている人が、その会社にとって、オーナー一族のメンバーか否かで異なります。オーナー一族のメンバーの場合、通常は、その会社の株式は、純資産価値や、その会社と同種の上場会社の利益、配当、純資産をベースにした価値などで計算します。オーナー一族以外のメンバーは、配当利回りをベースにした価値で計算します。

なぜ、一物二価なの? というと、オーナー一族が株を持っているのは、株主権を行使して会社を支配できるため、つまり、経営支配の対価であり、これは会社の資産をもっているようなものと考えるから、オーナー一族以外は、経営をコントロールなんてできず、株を持っているメリットは配当をくれるからだと思います。

株式の価値というのは、上記にも書いているのですが、3つあり、配当をもらえる権利、残余財産をもらえる権利、経営を支配できる権利です。 非上場会社のオーナーが株式を持つのは、配当をもらうためでもなく、継続前提なら売却も考えられず、残余財産をもらうためでもなく、経営支配できる権利があるからです。経営支配できる権利というのは株主総会の議決権です。つまり、非上場会社のオーナー一族の評価額(純資産など)は、議決権の対価と考えられるのです。

さて、信託の方にうつりますが、株式を信託した場合、株式の名義は受託者となりますが、議決権指図権は信託契約で誰にするかを決めることができます。受益者連続型信託といって、次々の何らかの要因で受益者が移転するような信託で、受益権が元本受益権と収益受益権に分割されている場合は、信託期間中は収益受益権者が株式を全部持っているとして評価し、元本受益者の評価は0とするとされています。たとえ、元本受益者が議決権指図権を持っていてもです。これって、非上場会社の株式のように目にみえる経済的価値よりも目に見えない経営支配価値がすべてのようなものにフォーカスあてると異常ですよね。

本質的に資産の持つ価値を有している人が財産をもっているものとして課税するのが合理的だと思うので、少なくとも相続税法上純資産価値等で評価される人が議決権も有しているならば、その人が財産を持っているとした方がいいのではないかなぁ。

では、議決権の内容をわけわけして、複数の者が別々の議決権を持っている場合はどう考えるのか。その場合は、議決権をもっている人が均等に株式をもっているという考えもありますが、議決権の中の議決権が取締役の選解任権であるならば、その権利をもっている人が株式をもっているというように整理するというほうが本質をついているのではないかなあ。

また、議決権指図権を受益者以外の者が持っているというケースも必ずあると思うのです。このような異常な行為をするのは、節税目的が多いので、この場合は、議決権指図権を持っている人が受益権をもっていなくても株式は持っているものとして課税する。

ただ、このようにがちがちに設計していくと、誰も信託を使わなくなり、望ましいものではない。また、がちがちにしても、信託はやわらかい仕組みだから、すぐ穴を見つけられてしまう。

そこで、払いすぎた税金を還付する制度を取り入れ、もらう人にもらえる分だけ税金を払ってもらうあたりまえの形にもっていくというのがあるべき姿なのではないかと。そうすることにより、使い勝手が向上し、おかしなことを考える人が減るのではないかと思うのですけど。

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2009年6月 2日 (火)

信託法改正と相続税・贈与税の諸問題

 以前から税大のHPに公表されていますが、税務大学校の研究部教授川口幸彦さんが「信託法改正と相続税・贈与税の諸問題」について論文をお書きになっていらっしゃいます。

 結構な枚数(200ページ近い)です。税大といえば、お上系だから、VIVAお上というような論文ばかりかなと思われがちですが、そうでも  ない 場合もあります。

 この論文もつらつら読むと、信託の相続税や贈与税に関して、それなりに批判をされ、どうすればいいのかということを書いていらっしゃいますね。

 信託に関する相続税や贈与税は何も平成19年にどかんとできたのですはなく、何十年もの変遷があり、課税時期に関しても、信託設定時 → 受益者が利益を受けた時 → 信託設定時となっており、現時点での課税の問題点として、信託を設定した時点で、たとえ利益をうけなくても課税される つまり銭はないけど金だけ先に払えというような問題点があるわけです。これはおかしいということで、川口さんは納税猶予のような制度をいれたらどうかというようなことを書いていらっしゃいます。お上は納税猶予が大好きだからかなあ。

 私としては、評価の方についてもっと書いて欲しかった。

 株式を信託した場合の議決権の評価に関する考え方とか、

特に信託受益権が元本受益権と収益受益権にセパレートされたときの評価に関するアイディアをね。

元本受益権と収益受益権に信託受益権がセパレートされた場合の評価の歴史を書かれ、節税がはやったということを書かれ、アメリカでの評価は使えないということを書かれたのだけど   

じゃ どうすればいうことは書かれていなかった。とっても、とっても知りたかったのですけどねえ。

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2009年5月15日 (金)

事業承継支援センター ~支援事例集~

 このブログでは、事業承継関係の話題がほとんどないのですが今日はちょっとだけ

中小企業基盤整備機構が、事業承継の推進のためにいろんな支援事業をやっていらっしゃいますが、その中で専門家のネットワークを作ってサポートしましょうというものがあります。信託大好きおばちゃんも、ほんとにひょんなことから、このネットワークの中のちっちゃなちっちゃな星しています。

 昨日、その関係者を集めたセミナーがありました。お約束の相続税・贈与税の納税猶予のお話がメインでしたが、最後に信託のお話が入っており、私が言うのも驚きですがびっくりしました。また、何か大きな動きがあるのかもしれませんねえ(笑)。

このブログを何年も継続させたおかげで、ほっといても、信託関係の情報は誰よりも入ってきて、信託大好きおばちゃんのちっちゃな頭の中に蓄積されていく仕組みができているのです。ほんと、あらゆる方向から入ってきますね。

個別具体的なことは書けないから文章にするとつまらなくなるかもしれませんが、これからも、ときどきブログでぼやいたり、どこかの専門誌で吼えたりしますので、関係者の方は暇だったら読んでくださいね。

さて、セミナーの続きを。このセミナーにおいて、事業承継支援センター~支援事例集~をいただきました。できたてのほやほやで、今日か来週くらいに全国の支援センターに配られるぐらいのものです。

 これはタイトルにもあるように支援センターが行った事例を集めて雑誌化したものです。こういう実務の蓄積っていいですねえ。拝見していて驚きのスキームというのはありません。見開き2ページで、事例概要、支援にいたった経緯、支援のポイント、支援の成果・今後の見通し、参考となる支援のポイント等 同じフォーマットでかかれています。子供に、従業員に、第三者に事業承継する。なぜ、どんな状況(家族構成も含めて)、どんな支援したの、結果は?

 この冊子はおそらく支援センター等に問い合わせると入手可能だと思います。ただ、あんまり部数がないようですので何十冊もというのはだめみたい。HPからダウンロードされることも考えていらっしゃるようですが、これは先のお話のようですが♪

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2009年4月28日 (火)

特別障害者扶養信託

 住宅新報という専門新聞?の428日に「きりう不動産信託 6000万円非課税 特別障害者贈与信託 取扱い開始」という記事があります。

 きりう不動産信託さんという浪花の不動産管理信託に特化した信託会社さんが新たな信託商品を作りましたというお話です。

 ここでいう特別障害者贈与信託というのは、税法的には「特別障害者扶養信託」といわれ、信託の世界的には「特定贈与信託」ともいわれるものであり、すでに存在しているものです。

どういうものかというと、心身の具合がとってもよくないと認定された方(特別障害者)を受益者とし、通常は、ご親族の方が信託を設定した場合は、設定した財産のうち6,000万円までの部分については、贈与税を非課税としましょうという制度があって、それに基づく商品です。

いままでは、信託銀行さんが引き受けていらっしゃったのですが、数字的にはあまり伸びていない。

信託協会のデータに基づきますと平成9年は財産ベースで366億円 受益者1,447人 平成20年は財産ベースで263億円 受益者1083人ということでジリ貧傾向です。

推測ですが、上記財産は、ほとんど現金や有価証券ではないかな。ルールとしては

(相続税法施行令4の10)

五 継続的に相当の対価を得て他人に使用させる不動産

六 特別障害者扶養信託契約に基づく信託の受益者である特別障害者の居住の用に供する不動産(当該契約に基づいて前各号に掲げる財産のいずれかとともに信託されるものに限る。)

とあるので、不動産も現金とセットのような場合は信託が可能だったと思うけど、いままで不動産を組み込んだ信託はやっていなかったのではないかなあ。きりうさんは、それを商品化されようということだと思います。

注意して欲しいのは、非課税となるのはあくまでも贈与税部分で、その後は財産を受益者である特別障害者の方が税法的には持っているものと考えるから、財産から生ずる所得については税金を計算して払わないといけない。

不動産というのは現金と違うので6,000万円きっかりということはありえない。それを超えた場合は、贈与税の課税関係が生ずるが其の部分に関しては相続時精算課税が使えるか否か。

また、不動産を信託する場合、不動産の一部を信託すること、つまり、委託者と受託者がひとつの不動産を共有するようなことは難しいみたいね。共有は管理が難しいので受託者が引き受けることができないようなことをお聞きしたような記憶があります。

ちなみに不動産を直接、特別障害者の方に贈与しても非課税とはなりません。この規定は、あくまでも特別障害者の方の長い人生で必要な生活費の面倒をきちっと責任をもってみてあげるために信託を利用するのが有効で透明性があるからということで作られたものですから。

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2008年11月28日 (金)

お家騒動  一澤帆布の場合

 相続争いというのは、人が財産を残してこの世を去り、その財産をもらうことのできる人が複数存在する限り、永遠に続くものです。

 根っからの悪人というのは、この世にあまりいないと思うのですが、額に汗するよりも大きな財産をもらえるかもしれないという絵に描いた餅が目の前にぶらさがると、人は狂いだします。

 一澤帆布という会社があります。上質のかばんを作り続けていらっしゃる京都の会社さんです。

会社をコントロールしたい場合、社長になるだけではだめで、その会社の株式をいっぱい持たないとうまくできません。会社は株主のものですからね。チーママの地位はつらい。結果をださないと、また、オーナーのご機嫌を取り結ばないと明日はないからね。

さて、一澤帆布さんの先代が数年前にお亡くなりになられたそうですが、そのあとの事業は三男さんが引き継がれたようです。先代が、三男を後継者と定めたならば、当然、会社の株も三男に引き継がせたいと通常は思うはずです。

遺言書がでてきました。しかし、その遺言書というのは2通あったのです。

一通は、三男夫妻に渡すというもの。 もう一つは、長男(全然事業にタッチしていない)と四男に渡すというもの。

しかも、長男への遺言の方が、日付が新しい。そうなると、2つの遺言が適法ならば、新しい遺言が有効とされるわけです。

で、この問題は裁判沙汰となったなり、世間に知られるようになったのです。

以前に三男さんが訴えられたようですが、これは最高裁までいき、三男さんの負けが確定。今回は三男の奥さんが訴えられたようです。

記事によると、大阪高裁では、長男に対する遺言は無効であり、三男を解任した株主総会決議も取り消されたようです。先代は、一澤の文字に執着していたのに遺言書で使われた認印が一沢であるのは不自然だし、内容も不自然だからということのようですが、まだ、判例はネットで公開されていないので詳細はわかりませんが。

この争いが大阪高裁で終わるとは思えません。きっと最高裁までいくでしょうね。

相続争いを避けるためのツールとして遺言は有効ですが、こういう想定外のケースがおこってしまうと、遺言では対応できません。

この問題は、先代がほんとうはどうしたかったのかをきっちりと汲み取り、親族に伝えることができる第三者の存在がいなかったから大騒動に発展したのかもしれませんね♪

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2008年9月 3日 (水)

中小企業庁の信託を活用した事業承継の中間整理

中小企業庁が 91日に信託を活用した中小企業の事業承継の円滑化に向けて(長いなあ)の中間整理を公表しました。

 サマリーのようなペラ1枚と、中間報告が16ページ、結構わかりやすくていいなと思いました。

 何度かにわたってこの内容を書いてみます。いつ書くかはわかりません。アップする日の朝に、何を書くかを決めて、いきなり書いてを3年ほど続けていますので、

 事業信託もあるのかなと思っていたのですが、そうではなく、非上場株式を信託財産とした事業承継のための信託スキームの検討です。

 これが種類株式なんかより使えるよというようなことですねテーマは。なぜ使えるかというと、株式をオーナーが信託するでしょ。そうすると名義は受託者(信託銀行でもいいし、民事信託なら家族の誰かでもいいのだ)になり、受益者はオーナーにすることもできれば、後継者にすることもできます。受益者を後継者一人だけでなく、子供たち全員とすることもできます。

 事業承継で信託のチカラが発揮できるのは、株の名義は受託者だけど、議決権を誰が持つか自由に決めれるからです。

 だから、たとえば、会社の株の受益権は3人の子供に均等に渡すけど、議決権だけは、後継者にわたすよというような信託も可能であれば、会社の株の受益権はオーナーの目の黒いうちに後継者に渡しとくけど、議決権はオーナーに残しといて、オーナーが死んだら信託を終了させて、後継者に議決権もしっかり行使できる生の株がわたるということもできるわけです。

 そんなチカラのある信託の利用方法を周辺の法律の問題点などに目配りしながら論じていらっしゃいますが、事業承継の実務をやったことのある人なら、信託の知識がそんなになくても、わりとすうっと入っていけるのではないかなぁ♪

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2008年2月29日 (金)

民事信託の事例

200712月の「KINZAIファイナンシャル・プラン」において、世田谷信用金庫の澁井和夫氏が民事信託の事例を紹介していらっしゃいます。

この事例は、介護施設に入居されるお母様(A氏)が有する不動産等を長男さん(B氏)を受託者として、信託を設定するものです。信託の目的は、A氏の生活や介護のために必要な資金の運用・処分です。

受益者はA氏であり、A氏の死亡により信託が終了し、相続人が財産を相続されます。B氏を受託者として信託をするので、当然、不動産の名義はB氏に移ります。

A氏は介護施設に入所されるのですが、その入所一時金は、信託財産を担保にお金を捻出し、弁済は、信託財産を処分して行われるようなものであり、いわゆるひとつのリバース・モゲージのようなものです。

この信託契約は平成191011日に締結され、信託財産の評価額が約5億円で、信託財産を管理するための口座が世田谷信用金庫に新設されています。

世田谷信用金庫が受託者B氏とアドバイザリー契約を結び、受託者のお仕事のお手伝いをするようです。

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2008年2月 3日 (日)

生損保に「遺言信託」解禁というけれど

今日の東京は   

ちょっと触ってみたけど、雪質悪いねえ。みぞれっぽいよ。パウダースノーは東京では無理なのかなぁ

というわけで、NikkeiNetを除いてみたら次のような記事が載っていました。

「金融庁、生損保に信託解禁・「遺言」など2月下旬にも

 金融庁は2月下旬にも、信託銀行が提供する「遺言信託」などの商品について、生命保険、損害保険会社による販売を解禁する。営業員による勧誘や店頭での販売を認める。高齢化社会を背景に相続対策を望む保険契約者が増えており、販路拡大で利便性を向上させる。利益相反といった問題が発生しなければ、銀行と同様に「信託兼営」を認めるかどうかも今後の検討課題にする。」

遺言信託などを生損保でも販売できるようになるようです。でも、ここで注意したいのはこの遺言信託というのは、いわゆる信託法でいう遺言信託とはちょっと違うと思います。

信託法でいう遺言信託というのは、遺言により、被相続人の財産が信託されて、信託銀行等に移り、その受益権を、遺言で指定したものが受け取る他益信託です。

でも、この遺言信託というのは、遺言を預かったり、遺産の整理をしてもらえるような仕事であって、いわゆる遺言信託ではないと思います。

ほんとうの遺言信託を、信託銀行がリーズナブルな料金で引き受けていただけるなら、販売業者がいくらでも増えるのはありがたいのですけどねぇ♪

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2008年1月31日 (木)

後継ぎ遺贈受益者連続信託の課税 応用編

事例 甲は遺言で甲は遺言で後継ぎ遺贈受益者連続型信託を設定した。第一収益受益権者を長男のA 長男のAが死亡したらAの子供のB Bか死亡したら、Bの将来生まれてくる子供とする。また、第一残余財産受益者を次男のD Dが死亡したらDの子供のE Eが死亡したらEの将来生まれてくる子供とする。

結果的にBに子供が生まれず、Bが死亡した時点で信託が終了し、残余財産をそのときの残余財産受益者であるEが受け取った。

この場合の課税関係は、 Aが受益権すべてを遺贈により受けたものとし、Aが死亡したらBが受益権すべてを遺贈により取得したものとみなされる。そして、Bの死亡により信託が終了し、残余財産をEが受け取った場合には、Eが残余財産を遺贈により取得したものとみなされる(相法9の3)。

事例 甲が遺言信託を設定した。収益受益権者は長男のAであり、残余財産受益権者は次男のDとする。信託期間は30年。もし、この期間内に受益者が死亡した場合は、相続人が受益者としての地位を承継する。

そして、30年内にAが死亡し、30年経過した時点の収益受益者は Aの子供Bであり、信託終了により Dの子供のEが残余財産を受け取った。

この場合、当初、Aは収益受益権 Dは残余財産受益権を取得したものとして甲の相続時に申告することになると思われるが、それでいいのだろうか。

連続型信託以外の信託とは次の要件をすべて満たす信託と考えられる。

ア.    受益者等の有する権利・義務が信託行為により確定し、かつ受益者の死亡による相続人の取得以外は受益者等は一代限りとし新たな受益者の定めはない。

イ.    受益者等にかかわる信託の変更ができない

ウ.    終了事由は全員の合意または収益受益者の死亡等による信託目的の達成として信託行為に定めた事由に限られる

エ.    終了により信託財産を取得する者は元本受益者またはその相続人、残余財産受益者、および帰属権利者に限られる

星田寛「福祉型信託、目的信託の代替方法との税制の比較検討」信託232号 2007.11

55頁

 

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2008年1月16日 (水)

相続により信託が終了した場合の不動産取得税

 今日は、不動産取得税のお話。

 不動産を購入したような場合は、購入した人は不動産取得税を払わないといけません。

 なぜ、生の不動産でなく、信託受益権にして売買をする取引が増えたかというと、大きな理由のひとつとして、受益権は債権であり生の不動産でないから取得した時点で不動産取得税がかからないことがあります。信託報酬は信託期間を通じてかかるのですけどね。

 さて、どんな場合でも不動産取得税がかかるかというとそうではありません。地方税法の条文を読むと

第七十三条の七  道府県は、次に掲げる不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。

 相続(包括遺贈及び被相続人から相続人に対してなされた遺贈を含む。)による不動産の取得

 信託の効力が生じた時から引き続き委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から当該受益者(当該信託の効力が生じた時から引き続き委託者である者に限る。)に信託財産を移す場合における不動産の取得

一は、 相続により相続人が生の不動産を取得した場合は、不動産取得税はかけませんよ。

四は、 委託者兼受益者であるような信託が終了して、委託者に財産が戻ってきた場合は、自分がよそに預けたものが自分にもどってくるから不動産取得税はかからないよ。

そこで疑問、 もし、お父さんが土地を信託して、受益者もお父さんでした。でも、お父さんが死亡して、信託が終了し、土地はお父さんに戻すことができないから相続人である息子がお受け取りました。 息子は当然お父さんと同一人物じゃない。

四をまじめに読むと 委託者兼受益者=お父さん 元本受益者=息子で、要件を満たさないから息子に不動産取得税がかかってしまう。

でも、信託なんてめんどうなことをせず、生の不動産を相続により息子が取得した場合は不動産取得税がかからない。

これは、どう考えても信託をする方が損ですよね。

で、どうなのかということですが、東京都の方では、このように委託者であるお父さんが、生前ずっと受益者であり、お父さんの死亡により信託が終了し、息子(相続人)が不動産を受け取った場合は、息子に対して不動産取得税を課さないようです。

ただ、この取り扱いは地方によってどうなっているのかは確認が必要のようですね♪

 

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2007年10月15日 (月)

株式を信託したら

今朝は、たしか、新聞が休みのはずだからコンビニに出かけてません。どうしようかなと思って、ふっと株式の管理信託のことを考えました。

株式の管理信託というのは、株式を信託して、配当の収受などの管理をしてもらう信託のこと。株式自体は受託者に所有権は移るから、名義も受託者になる。ということは、受託者が議決権を持つことになる。でも、受託者というのは、透明人間みたいなもんで、自分の意思というのはなく、信託の契約で決められた仕事をするもの。だから、議決権は、信託の契約により誰かの意思に従って行使するということができるはずです。

委託者が信託し、自分が受益者になるんだったら、通常、実質的な議決権は委託者にあると思います。

たとえば、信託受益権を収益受益権と残余財産受益権に分割して、収益受益権だけ委託者の子供(後継者)に渡す。そして、実質的な議決権者を委託者兼残余財産受益権者とすることもできるし、収益受益権者である子供とすることもできる。議決権のうち、役員選任、解任権などは、委託者に残し、あとは、受益者にするということもできるんじゃないのかな。

たとえば、信託受益権を全部他人に譲渡して代金を受け取るけど、議決権だけは委託者の意思に基づくとすることもできる。委託者がお金は欲しいけど、議決権もしばらくの間残しておきたい場合に使えますね。信託期間が終了した時点で、株は受益者に移り、この時点で受益者に議決権も移りますが。

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2007年9月25日 (火)

後継ぎ遺贈受益者連続型信託の税制要望

「クレディアの破綻と証券化商品の元本割れ  」に関して、プロの方がコメントをいろいろお書きです。ご興味のある方はコメントの方ご一読ください!

信託協会のHPに平成20年度税制改正に関する要望というのが掲載されていました。この中に後継ぎ遺贈受益者連続型信託の税制要望というのが掲載されています。

後継ぎ遺贈受益者連続型信託というのは、受益者が死亡したら次の受益者が誰ということが定められているような信託です。でも、どこまでも受益者連続型信託を認めていたら大変なことになるので、信託設定から30年を経過したときの受益者の次の受益者がいてたら、その次の受益者までとなってます。

で、この課税関係がシビア。 それぞれの受益者は、生存期間に限定された信託から生ずる利益(収益受益権)しかもらえなくても、信託受益権という資産(つまり収益受益権と元本受益権)そのものをもらったとして課税されるから。

これはおかしいということで税制要望を出します。

後継ぎ遺贈で、配偶者の扶養のために第一受益者を配偶者、第2受益者を子供とすると、当人の死亡時、配偶者の死亡時の2度にわたって課税されます。

一方、負担付遺贈ということで 息子が当人から財産を承継するが、そのかわり、一定期間、母親の生活費の面倒をみるという場合は、一回の相続税ですみます。

同じような行為に対して、課税が異なるというのはまずいですよね。

それから、設定時に受益権の内容が確定している信託については、それぞれ受益権を評価して設定時に1回限りの課税が可能ではないか。

ということで、「家族の扶養のための給付や資産承継を目的とする信託であって、信託設定時に受益権の内容が確定している受益者連続信託については、受益者連続型信託の課税の特例の適用対象から除外されたい。」だそうです。

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2007年9月14日 (金)

後継ぎ遺贈型受益者連続信託と遺留分

後継ぎ遺贈型受益者連続信託って、新信託法で可能になるものですが、要するに受益者の死により受益者が変わる信託で、次の受益者を誰にするかというのは、通常は委託者が決めるもの。この信託をえんえんと続けると、財産の流通が阻害されるということで、30年経過したときの受益者の次の受益者までとなってます。

この後継ぎ遺贈型受益者連続信託の問題点の一つとして遺留分があります。遺留分っていうのは、兄弟姉妹以外の法定相続人は、被相続人の財産のうち一定部分に関しては私によこせといえる権利のようなもの。たとえばある金持ちのおっちゃんは嫁と不肖の息子が2人いたけど、別に愛人のおねえちゃんがいて、生前はおねえちゃんと一緒に住み、「全財産をおねえちゃんに!」という遺言を残してあの世に行ってしまった。こんな場合、残された嫁と不肖の息子たちは、遺留分を主張して、全財産を遺贈されたおねえちゃんから一部分財産を取り戻すことができるというものです。

後継ぎ遺贈型受益者連続信託の場合も当然遺留分の問題がでてきます。たとえば、全財産を信託して、信託受益権を子供3人のうち1人にあげると決めると、他の子供2人は何も財産をもらえないから、それならと受益者の子供に遺留分を主張して分け前を一部もらうことができます。

 じゃ、いくらもらえるの? 道垣内弘人先生の「信託法入門」では、この評価が大変。なぜなら存続期間の不確定な権利だから。こんな権利の評価は家庭裁判所が選定した鑑定人の評価にしたがうことになる。というものです。

ただ、相続税の課税価格を計算するときには、信託期間がどーだこーだということをスキップして、信託受益権の元になる信託財産の相続時の価格で計算することになるから、遺留分もそれをベースに計算することになれば簡単だけど、この相続税における受益権評価は、後継ぎ遺贈型受益者連続信託の価値を無視しているところもあるので、厳密に考えると使えないものかもしれませんね♪

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2007年7月14日 (土)

後継遺贈型受益者連続型信託 お返事 -その2

どういう事例だったかというと、 木谷さんは 後継遺贈型受益者連続型信託 ②にコメントをいただいていますが、 少しはしょって ③と比較して書きます。

② Aが遺言信託設定 Aが死んだらB(妻)、Bが死んだらC(子)、Cが死んだらD(孫)。 で、最後の受益者 収益受益権 その相続人が残余財産受益権を受け取る。途中の受益権者は収益受益権のみ受け取る。 最後の受益権者がDであった。

③ Aが遺言信託設定 Aが死んだらB(妻)、Bが死んだらC(子)、Cが死んだらD(孫)。 で、こっちは最初の信託設定時点で、残余財産受益者はCと決め、収益受益権だけを受益者連続の対象として、BCDとした。 で、受益者連続の対象の方つまり、収益受益権の最後の受益者はDだった。

信託大好きおばちゃんの意見:

②の場合 BC Dは収益受益権だけしか受け取らないが、信託財産全部を受け取ったものとして課税される。

③の場合、 信託設定時点で Cは残余財産受益権(元本受益権)を受けとり、Bは収益受益権を受け取ったものとして課税される。 なぜなら残余財産受益権は受益者連続の対象となっていないから。残余財産受益権をCが確実に受け取るということが決まっているということは、信託設定時点で受益者が2人いるということになる。そうなると、受益権の評価はそれぞれの権利の内容に応じて評価されることになる(相令112③ニ)。したがって、B,C,Dは、それぞれ収益受益権のみを受け取ったものとして課税される。Cが死亡した時点で、Cの相続人等がこの残余財産の受益権を受け取ったものとして相続税が課税される。

木谷さんのご意見:相続税法9条の3(受益者連続型信託の特例)

「当該受益者連続型信託の利益を受ける機関の制限その他の当該受益者連続型信託に関する権利の価値に作用する要因としての制限が付されているものについては、当該制約は、付されてないものとみなす。」により、収益受益権のみであっても元本受益権も有しているとみなして課税すると読めるのですが?

信託大好きおばちゃんの意見:

木谷さんのコメントは ②の方についています。 本件で、B,Cは、収益受益権しか受け取っていませんが、 信託財産全部受け取ったものとして課税されるとしているので、元本受益権も有しているとみなして課税されているということです。ですから木谷さんのおっしゃるような課税関係になるとおばちゃんは書いているつもりです。

ただし、③の方については、受益者連続の対象は収益受益権に固定されているので、収益受益権を受け取る人は、それだけで評価されることになるのではないかと思いました。

ただ、その後の通達がでて、

受益者連続型信託で、かつ、受益権が複層化された信託(以下9の3─3までにおいて「受益権が複層化された受益者連続型信託」という。)に関する収益受益権の全部を適正な対価を負担せず取得した場合  信託財産の全部の価額

受益者連続型信託というのは、受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託

ということは、元本と収益受益権のうち一部でも次の受益者を決めているものがあればなる。 そういうもので 複層化つまり元本と収益受益権にわけているものは 一律 収益受益権の評価が 信託財産の全部の価額となります。

ということは ③の場合も②と結論が同じになるということになります。

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後継遺贈型受益者連続型信託 お返事 -その1

どんな事例だったかというと Aが遺言信託設定 Aが死んだらB(妻)、Bが死んだらC(子)Cが死んだらD(孫)。 30年経過したときの受益者がCの場合とBの場合 誰まで受益者となれるかということ

信託大好きおばちゃんの意見  30年経過時点の受益者C この時点でDが生きているならDまで、 30年経過時点の受益者がB この時点でCが生きているならCまで

木谷さんのご意見:

ケース1の場合  Dが生まれているか否かにかかわらず、30年経過時点の受益者であるCの死亡まで又は受益権が消滅するまでで信託の効力は存する。

ケース2の場合  1と同じくCが生まれていようと否と30年経過時点の受益者Bの死亡まであるいは受益権が消滅するまで。

信託法入門(日経文庫)175頁には、そのようにかいてありますが。

信託大好きおばちゃんの意見の根拠: これは条文「受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から30年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。」をどう解釈するか、 30年を経過した時以後に現に存する受益者とはWhoということですね。

私は、信託法入門は存じません。私の考えの根拠となるのは、信託法の立案担当者だった村松さんの文章がベースになっております。以下引用というかご紹介させていただきます。

「後継遺贈型の信託とは、例えば、委託者Aが自己の生存中は自らが受益者となり、Aの死亡によりB(例えばAの妻)が次の受益者となり、さらに、Bの死亡によりC(例えばAの子)がその次の受益者となるというように、受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託をいう。――――――――――

このような信託は、当該信託がされたときから30年を経過した時以後において、現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得し、かつ、その受益者が死亡し又は当該受益権が消滅するまでの間に限って、その効力を有することとされた。

具体的には、例えば前記の事例において、さらに、D(例えばAの孫)が受益者となっている場合において、CBの死亡により受益権を取得したのが信託された後30年を経過する前であればDCの死亡により受益権を取得するが、Cが受益権を取得したのが信託がされた後30年を経過した後であればDCの死亡によっても受益権を取得しないということになる。逆に、この制限の範囲内であれば、受益者の死亡を契機とする樹液権の承継の回数に信託法上の制限はない。」

 法務省民事局付 村松秀樹 『新信託法の解説』信託 230号 2007-Ⅱ、87,88頁


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2007年7月13日 (金)

後継遺贈型受益者連続型信託 ③

じゃ、次のケース 昨日のケースと似ているようでちょっと違います。 これであってるかな♪

ケース2. Aの死亡後、配偶者Bが収益受益者となり、Bの死亡後子供Cが収益受益者となり、Cの死亡後孫Dが収益受益者となる。ただし残余財産受益者は、Cで確定という遺言信託を設定。この場合、受益者連続の対象になるのは、収益受益権のみで、元本受益権は対象とならないと考えられます。

30年経過時点の収益受益権者がCである場合(Dはすでに生まれている)

Aの死亡時点 Bは収益受益権者、Cは残余財産受益者(元本受益権者)として評価する。

Bの死亡時点 Cは収益受益権者として評価する。

Cの死亡時点 Dは収益受益権者として評価する。 残余財産受益権(元本受益権)に関しては、Cの相続人等が取得したものとして評価する。

  

30年経過時点の収益受益権者がBである場合

Aの死亡時点 Bは収益受益権者、Cは元本受益権者として評価する。

Bの死亡時点 Cは収益受益権者として評価する。

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2007年7月12日 (木)

後継遺贈受益者連続型信託 ②

受益者連続型信託の課税関係

ケース1.Aの死亡後、配偶者Bが受益者となり、Bの死亡後子供Cが受益者となり、Cの死亡後孫Dが受益者となる遺言信託を設定    

信託期間中の受益者は収益受益権のみであり、信託期間終了時点の収益受益権者の相続人が残余財産受益者となる。そのときの状況により残余財産受益者が異なる。

30年経過時点の受益権者がCである場合(30年経過時点でDが生まれている)

   B,CDは収益受益権のみを受け取る。       

   でも、BCDいずれも取得時の信託財産そのもの価額で受け取ったもの  

   とみなして課税されると考えられます。

30年経過時点の受益権者がBである場合(30年経過時点でCが生まれている)

   B,Cは収益受益権を受取る。

   でも、BCいずれも取得時の信託財産そのもの価額で受け取ったものとみなして課税されると考えられます。

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2007年7月11日 (水)

後継遺贈型受益者連続型信託 ①

受益者の死亡により他の者が新たに受益権を取得する旨の定めのある信託

信託が設定された時から30年を経過したとき以後において、現に存する受益者が受益権を取得し、その受益者が死亡し、または受益権が消滅するまでの間有効

例 Aの死亡後、配偶者Bが受益者となり、Bの死亡後子供Cが受益者となり、Cの死亡後孫Dが受益者となる遺言信託を設定    

誰までが受益者となれるか?

ケース1 30年経過前にBが死亡し、30年経過時点でCが受益者の場合

30年経過時点の受益者の次の受益者が死亡するまで、または、受益権が消滅するまで

∴ Dまで可能

ケース2 30年経過時点でBが受益者で、その後、Bが死亡した場合

30年経過時点の受益者の次の受益者が死亡するまで、または、受益権が消滅するまで

∴ Cまで可能


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2007年7月 9日 (月)

遺言信託って

信託銀行では、遺言信託業務の受注を増やしているというようなニュースを以前から聞いていますが、信託法でいう遺言信託と信託銀行がやっている遺言信託業務って、似て非なるもののような気がします。

信託法でいう遺言信託というのは、遺言により被相続人の財産に対して信託を設定するようなものです。たとえば被相続人が有するA資産、B資産、C資産というのがあって、A資産の受益者はX B資産の受益者はY C資産の受益者はZとするような信託です。この信託は、信託財産を処分して代金を払って終わりというケースもあれば、延々と受託者が管理し、利益を受益者に分配するものもあると思います。

いずれにしても遺言信託で受託者が行うのは、あくまでも遺言によりスタートした信託の管理処分を遺言の指示に従って行うもの。

で、いわゆる信託銀行がやっている遺言信託業務とは、財産に関する遺言の執行や、遺言書の保管等が主流のようです。

遺言の保管等は、遺言を預かること+アルファの業務 遺言の執行業務は、社団法人信託協会のHPによると「遺言執行者に就職した場合は、財産目録を作成し相続人に交付します。その上で遺産の管理、処分、債務の弁済などの遺言の執行に必要な一切の行為を行います。そして、終了時には、遺言執行てん末報告書を作成します。」というようなことのようです。

ほんまもんの遺言信託業務ってどのくらい信託銀行はやっているのでしょうか。今後、積極的に増やすつもりなのでしょうか。受益者連続型信託もからめて。

信託法が施行されてないからわからないのですが、引き受け手(遺言信託や受益者連続型信託の受託者)がいないなら、信託の機能も絵に描いた餅になっちゃいますよね。

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2006年12月 1日 (金)

相続税の申告期限までにやること、できること

相続が発生してからの相続税の申告期限までの税務、法務の手続きについて説明します。

相続税の申告書を提出しなければならない人は、遺産の総額(相続税の課税価格の合計額)が基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)を超えていて、配偶者の税額軽減がないとして相続税を計算した場合、納付すべき相続税のある相続人や受遺者です。

相続が発生してから3ヶ月以内

相続が発生してから3ヶ月以内に、相続の放棄や限定承認を行うことができます。

相続の放棄とは、財産や債務を相続しないということです。たとえば1億円の資産と3億円の借入金を相続しなければならないような場合、相続の放棄をすることにより、1億円の財産ももらえませんが、3億円の借金も引き継ぎません。

限定承認とは、上記の例ならば1億円の資産を限度として1億円の借金を相続するようなことをいいます。

相続税の申告期限は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内と規定されています。ですから被相続人が亡くなられた日から10ヶ月以内に相続税の申告書を提出しなければなりません。

相続が発生してから4ヶ月以内

相続が発生してから4ヶ月以内に、被相続人の所得税の申告納付(準確定申告)を行わなければなりません。これはたとえば被相続人が平成1965日に死亡した場合は、平成1911日から65日までの所得を計算して、平成19105日までに申告納付しなければなりません。なお納税した所得税は、相続税の計算をする場合、債務控除として取り扱われます。

相続が発生してから10ヶ月以内

相続が発生してから10ヶ月以内に、相続税の申告書を提出しなければなりません。遺言がある場合は、遺言により財産を分割しますが、遺言がない場合、もしくは遺言があっても相続財産のすべてを網羅していないような場合は、誰が相続財産を受け取るか決めなければなりません。これを遺産分割協議といいます。もし遺産分割協議で誰が財産を取得するのか決まらない場合は未分割財産として相続税の申告を行います。未分割財産の場合は、配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減、物納や農地等の納税猶予の特例を受けることができないので、相続税の負担が大きくなります。

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2006年11月24日 (金)

相続って何?

相続というのは、ある人が亡くなって、その人の財産や負債が自動的にその人の法定相続人に承継されることをいいます。

法定相続人というのは、その人が亡くなったときに、財産をもらえる親族のことで民法で定めています。たとえば亡くなった人(被相続人)Xに奥さんAと子供がBCXのお父さんDとお兄さんEがいた場合のXの法定相続人は奥さんAと子供BCです。

もし子供の一人Bが既に亡くなっていて孫Fがいる場合、FBを代襲して法定相続人になります。

法定相続分というのは法定相続人が相続によって被相続人の財産をもらえる割合のことです。上記の例で A,B,Cがいるならば、 A1/, B,Cは各々1/2×1/2=1/4となり、もしBがいなくて孫Fがいる場合は A1/, B,Fは各々1/2×1/2=1/4となります。またB,CFがいなくてADがいる場合は、A2/3, D1/3となり、BC,DF,がいなくてAEだけがいる場合はA3/4, E1/4となります。

相続により必ず法定相続人に該当する人が法定相続分だけ財産をもらうとは限りませせん。被相続人が遺言を書いていた場合は、その遺言に従って財産は分配されることになります。でも家族がいるのに、全然関係ない第三者に財産の全部を譲るというような遺言を書いてしまったら、被相続人の財産を生活の糧にしようと考えていた家族は困ってしまうので、遺留分という制度を設けています。これは相続財産のうち一定部分については、兄弟姉妹以外の相続人たちのもらえる財産分として留保されるものです。だから全財産を赤の他人に譲るという遺言があった場合で相続人が奥さんと子供の場合は、期間の制限がありますが、被相続人の財産のうち半分返してと主張することができます。

遺言がない場合は、相続人間で財産をどのようにわけるのか相談して決めることになります。これを遺産分割協議といいます。遺産分割協議というのは、かならずまとまるとは限りません。財産が多いほど、関係者が多いほどもめて、なかなか決まりません。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内ですが、この期限までに決まらない場合は、未分割財産として相続税を計算します。この場合は相続人が法定相続分で取得したとして計算することになるのですが、相続税上の特典である配偶者の税額軽減や小規模宅地の評価減、特定事業用資産の評価減、農地の納税猶予の特例を受けることができないし、物納もできません。

もっとも申告期限から3年以内に分割が決定した場合は、分割が決定した時点で再計算して、払いすぎた相続税を還付してもらえます。また3年経過した時点で、訴訟沙汰になっていてとてもじゃないけど分割できないような場合は、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請手続」を申告期限後3年を経過する日の翌日から2か月を経過する日までに行うと、配偶者の税額軽減の特例や小規模宅地の評価減、特定事業用資産の評価減については、分割時点で再計算することができます。

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2006年11月16日 (木)

遺言信託と遺言代用信託

信託法が一昨日、衆議院の法務委員会で可決され、本国会で法案が成立されることが予想されます。

今日は、遺言信託と遺言代用信託の話

遺言信託というのは、遺言により信託を設定するようなこと 遺言により、被相続人の財産のうち信託すると定めたものが、受託者に移り、その財産から生ずる収益やその財産自体は、遺言で指定された人に配分されるようなものです。

遺言代用信託というのは、まず財産を信託して、財産を信託した人(委託者)が信託の受益者になります。そして委託者が死亡したときに、受益者と指定された人が、その後の信託財産の利益を受けることになります。

どのように違うかというと、信託のスタートが遺言の場合は、委託者の死亡時ですが、遺言代用信託の場合は、委託者が生前に財産を信託した時点です。

また委託者が死亡した場合、委託者の地位は、遺言信託では、相続人に承継されませんが、遺言代用信託では承継されることになります。

他にもいろいろ違いはあるようですが。

受益者連続信託の話をこのブログで何度か書きました。これは、受益者の死亡によって、他の人が受益者となるような信託です。何代も受益者を指定していくと、死者が一族を支配し続けるようなことになるので、30年というしばりを設けてます。

この受益者連続を遺言信託と遺言代用信託にあてはめてどのように違うかというと、

たとえば遺言信託で第一次受益者を奥さん、第2次受益者を長男 第3次受益者を長男の子供 第4次受益者を将来生まれる長男の孫とします。

遺言信託は遺言時点で信託がスタートします。30年後に奥さんは死んでいるけど、長男も長男の子供も生きていて、長男の孫はまだこの世に存在していない場合、30年経過時点の受益者は長男ですが、長男が死亡しても信託は終了せず、もし長男の孫が30年後に生まれていないのならば、長男の子供が死亡する時点で信託は終了します。もちろんそれまでに信託財産がなくなってしまったらその時点で終わりですが。

遺言代用信託で第一次受益者は甲 第二次受益者は甲の奥さん 第三次受益者は長男 第4次受益者は将来生まれてくる長男の子供とします。

この信託のスタートは甲が財産を信託した時点から30年です。つまり遺言信託よりも早くスタートします。30年後に生きているのが奥さんと長男で、長男の子供が生まれていない場合は、30年後の受益者である奥さんの死亡で信託は終了せず、長男の死亡のときで信託は終了することになります。

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2006年11月 8日 (水)

受益者連続

hzknさん: 信託法上何世代後まで、もしくは今生きている者の孫まで受益者とできる、といった受益者に関する制限はあるのでしょうか?信託の母国であるイギリスなどでは永久信託などもあるようですが、日本でも信託が普及すれば、曾孫や玄孫を受益者として相続税を逃れようとする動きが出てくるのでしょうか?

いちおう信託法案(まだ案ね)によると

第九十一条 受益者の死亡により、当該受益者の有する受益権が消滅し、他の者が新たな受益権を取得する旨の定め(受益者の死亡により順次他の者が受益権を取得する旨の定めを含む。)のある信託は、当該信託がされた時から三十年を経過した時以後に現に存する受益者が当該定めにより受益権を取得した場合であって当該受益者が死亡するまで又は当該受益権が消滅するまでの間、その効力を有する。

これは信託した財産の最初の受益者は奥さんの陽子、陽子が死んだら次の受益者は長男の一郎 一郎が死んだらその次は長男の子供の太郎というように決めることができる信託のことです。

遺言でもこのようなことを決めることができるのかというと、たしか通説というか多数説はだめだけど、最高裁判所の判決から考えると可能ともとれるというような感じだったような記憶があります(手元に資料がないので曖昧です)。

このようにある人の意思が将来にわたって影響を及ぼすというのは、財産をわたす人にとってはすばらしいことですが、もらう人やその周囲の人にとってはありがた迷惑な話でもあります。だから期間的制限を設けています。

いちおう信託したときから30年 そのときに生きている受益者が死亡するまでか、その受益権が消滅するような場合は消滅するときまで

上記の例でいうと陽子さんが信託設定から30年後も生きていたら、陽子が死ぬまで、30年内に陽子が死んで受益者が一郎だったら一郎が死ぬまで、30年後に陽子、一郎が死んで受益者が太郎だったら太郎が死ぬまで 30年後の受益者が持ってる受益権が受益者の生存中に消滅した場合は、消滅するときで信託は終わるということなのかな

30年という区切りがあるからせいぜい子か孫くらいかもしれません。だからこのような信託が永遠に続くということはないですね。

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2006年8月 9日 (水)

昔、すごい節税対策があった

1.平成11719日 財産評価基本通達改正前

昔、昔 といっても10年も昔のことではないのですが、当時の財産評価基本通達によると、信託受益権の受益者を元本受益者と収益受益者にわけ、別の人にした場合、相続税や贈与税の節税ができました。

なぜなら、この当時の信託受益権の評価をする際の現在価値の割引率(基準年利率)が8%と、実勢利率を大幅に上回っていたことと、受益権が2つに分かれた場合の評価方法が、それぞれの価値を現在価値に割り戻した結果、元本受益権の価額+収益受益権の価額<信託受益権の総額となったからです。

例をあげて説明します。たとえば5億円の土地の元本受益権を子供に、収益受益権を奥さんにするような信託期間30年の信託を設定します。奥さんは毎年1,000万円の賃料収入を収受します。信託設定時に、子供や奥さんに対する贈与税が生じます(相法4①)。

このときの評価額は、

子供 5億円x0.099(8%の複利現価率)49,500,000  --

1,000万円X11.2588%の複利年金現価率)=112,580,000-

①+②=162,080,000円となります。

もし今、奥さんなり子供にこの土地を贈与すると5億円の評価に対して贈与税が計算されるのですが、信託を設定し、元本受益者と収益受益者が異なるならば なんと評価額が337,920,000円も減らすことができたのです。

2.平成12年6月13日 財産評価基本通達改正前

 これは、おかしいということで平成11719日に改正したのですが、このケースでは、計算式は変わらず、ただ基準年利率が8%から4.5%に低下しました。

改訂後の評価額は次のようになります。

子供 5億円x0.267(4.5%の複利現価率)133,500,000 --

1,000万円X16.2894.5%の複利年金現価率)=162,890,000-

①+②=296,390,000円となります。

8%のときよりは評価額は高くなっていますが、それでも土地をそのまま贈与するよりは203,610,000円も評価額が圧縮されます。

3.平成12年6月13日 財産評価基本通達改正以後

このように平成11年の改正は、信託受益権を使った節税策を抜本的には解決できませんでした。

そこで平成12613日の改正で信託受益権の評価の算式を変えてしまいました。すなわち下記のようになったのです。

元本受益権の価額=信託財産の相続税評価額-収益受益権の価額

そして、基準年利率も世の中の金利に接近していき、平成18年8月現在では、30年の信託期間を設定した場合は、2.0%となります。

その結果、評価額は次のようになります。

1,000万円X22.396現価率)=223,960,000

子 500,000,000-223,960,000=276,040,000-------------

①+②=500,000,000

この結果、以前使われていたような劇的な節税対策は封じ込められたのでした。

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2006年5月15日 (月)

りそなの自社株承継信託♪

 昨日(2006/5/14) 日経の3面に載ってましたね。

 りそなの本邦初の自社株承継信託

 これはどういうものかというと 自社株を信託する。自社株の議決権は、オーナーになるようにする。自社株の実質的価値を収益収受権と元本収受権にわける。元本収受権はオーナーが受取り、収益収受権は後継者が受取る。信託設定期間は最長30年。ということは30年間 子供は配当を受取る権利を受ける。

  このブログが始まってすぐくらい(去年の10月ころ)この自社株承継信託を紹介したけど、あれは、信託して、実質的価値部分は、オーナーが受取り、議決権を後継者に渡して、経営者のトレーニングをさせてたというやつ

 みそは信託受益権の配当収受権の評価を利用した相続対策というかまあそんなものでしょう。

 信託受益権の評価で元本受益権者と収益受益権者が違う場合の評価は、簡単にいうと、相続贈与時の自社株の評価額ー収益受益権の評価額=元本受益権の評価額

収益受益権の評価は、受益者が将来受けるべき利益の価額ごとに課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じて計算した金額の合計額

 つまりこの件にあてはめると収益受益権の評価は、信託受益権設定時に、将来受取る配当を予測して複利現価率(現在1.5%)で計算した金額となる。

 将来は予想でわからないから、たぶん税法では、過去の実績をベースにするのでしょう。

 もし額面5万円で1割配当を受取る会社の場合 配当は5,000円 30年信託を設定した場合の配当収受権の価値は、5,000X24.016=120,080となります。

 その後、配当の利回りを高く設定すると、配当期待権よりも高い利益を子供は受取ることになる。

 もしその後相続が発生したような段階で、今度は元本収受権に関する相続税の評価をしないといけないけど、その時点の自社株の評価額からその時点での配当収受権を差引いて評価する。 この時点で配当収受権がどうなるかというのは その時点での複利元価率(たぶん今より上がっているでしょう)と配当利回りと信託期間で決まりますね。

 問題点? 現時点での将来の配当を予想できるか?これは神様の世界 だから過去の実績におそらく依拠するのでしょうね。

将来極端な節税対策をした場合の否認の可能性? たとえば それまではほとんど配当しなかったのに、突然1,000%配当みたいなことをして会社の財産をほとんど子供に渡し、会社は抜け殻にする。子供に対しては配当課税が超過累進税率でかかるけど、どうかな?

 まあ猛烈に配当をしておいて、元本収受権を子供に贈与し、その後配当をやめるということをしでかす可能性のある商品、つまり元本受益権を子供に贈与というのではないんですね。これはさすがにまじめな日本の銀行は手をださない

 5月15日発売だから、そのうちパンフレットが手に入ると思うので、それからもうちょっと研究します。 

財産評価通達

202

 信託の利益を受ける権利の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。(平11課評2-12外・平12課評2-4外改正)

(3)  元本の受益者と収益の受益者とが異なる場合においては、次に掲げる価額によって評価する。
 元本を受益する場合は、この通達に定めるところにより評価した課税時期における信託財産の価額から、ロにより評価した収益受益者に帰属する信託の利益を受ける権利の価額を控除した価額
 収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額ごとに課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を乗じて計算した金額の合計額

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2006年5月 9日 (火)

昔、こんな節税対策があった

今日は、ねたくりのために週刊税務通信のデータ版で遊んでいたところ昔懐かしい相続税の節税対策が載っていました。

土地を信託するんですね。30年の信託期間で、 ただ受益権者をセパレートするんです。

収益受益権者を委託者(たとえばお父さん)元本受益権者を子供

 信託を設定した時点で、子供に対して贈与税が発生するわけです。収益受益部分は自分が自分に贈与するわけないからなし

 じゃ元本受益権はどうなのかというと これ8年くらい前だから平成10年くらいなんでしょうけど

《算式》

5億円×0.0994(=1÷1.08÷1.08÷1.08÷……÷1.08)=4,970万円

今、贈与したら5億円の資産の贈与として贈与税ホ計算になるけど 30年信託を行った場合は、10分の1に下がるわけです。

これは、当時 日本の信託銀行はこわくてやらなかったけど、外資系の信託銀行とかがよく提案していた節税スキームで、

なんでこんなのができるかというと この当時は、バブルがこけて、公定歩合とか下がったのに、税務上の資産評価をするときの基準年利が8%と 高止まりだったことに基因するようですね。

今は、税務の基準金利がかわり10年以上の長期だと1.5%にしかならない

そうするともし上記と同じ算式だとしても 5億円X0.64=3億2,000万円

あまり相続対策にはなりません。

当時の202 信託受益権の評価 です。 今は使えません。

信託の利益を受ける権利の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げるところによる。

  • (3)元本の受益者と収益の受益者とが異なる場合においては、次に掲げる価額によって評価する。

    イ 金銭たる元本を受益する場合は、元本受益者が受けるべき金額について課税時期から受益の時期までの期間に応ずる年8分の利率による複利現価の額

    ロ 金銭以外の財産たる元本を受益する場合は、その財産の課税時期における価額(減価償却を必要とする財産については、課税時期からその財産を受益するまでの間の償却額を控除した価額)について課税時期から受益の時期までの期間に応ずる年8分の利率による複利現価の額

    ハ 収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額について課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる年8分の利率による複利現価の額の合計額。この場合において、例えば、受益者が受ける利益が家屋に無償で一定期間居住することができるものであるときの、その将来受けるべき利益の価額は、次による。

    • (イ)第1年目は、課税時期におけるその家屋の価額の100分の8相当額
    • (ロ)第2年目は、課税時期におけるその家屋の価額から1年分の償却額を控除した価額の100分の8相当額
    • (ハ)第3年目以後は、(ロ)に準じて計算した価額

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2006年5月 4日 (木)

信託税制の不思議 今の相続税では、受益者連続信託は根付かない お返事

みしっくさん おはようございます。信託大好きおばちゃんです。

みしっくさん:

『配偶者の相続税額軽減というのは,ずいぶん大きなメリットがあるのですね.
そうしますと,財産的な利益がなるべく配偶者に行くような形で遺産を残すのがよさそうだと思いました(具体的には,種類株式を活用することになるのかと).』

配偶者の税額軽減は そうですね。 だんなが1兆円財産残しても、配偶者が5,000億円もらう限りにおいて、相続税は1円もかからないのですよね。

これはね、配偶者というのは、被相続人と同世代であり、そんなに遠くない将来にまた相続が起こることが予測されから、ここはちょっと配偶者に対する税金はサービスしといて、そのかわり配偶者が亡くなったときは、しっかりいただきますよということでしょうね。

だから配偶者に財産を渡しすぎるのはよくないんです。 ある意味 第一次相続の時点で子供に相続税をかけてでも財産をわたした方が、配偶者を経由するより相続税が安くなるケースもあります。

また第一次相続の時に、使えばどんどん減るような現金は配偶者にわたしておいて、土地とか、同族会社の株式については、子供に渡すという方法もありますね。

それから、贈与税がめちゃくちゃにかかりますけど、相続対策としていいのは、孫に贈与すること。一代飛ばしになるのですが、 そのおかげで相続税を1回スキップできるというやつです。

これ大正製薬でも、孫がものすごい(うん百億とか?)贈与税を払って、実行しましたね。新聞に載ってました。

種類株式については、まだまだ未研究ですが、おそらくお上もその辺のことはわかっているので、相続税回避スキームを封じ込めるような税制を設計するものと思われます。

みしっくさん:

『遺族の生活保障を目的として受益者連続信託を設定することも想定されているかと思ったのですけれど,こちらについては,遺族に生活費を終身支給するとともに,残余財産を特定の者に引き渡すという内容の信託を設定する方がよいのかなと思いました.

Xの財産を、一定時期までAさんにわたし、Aさんが死んだらBさんにわたすというような場合、どのように相続税をかけるかということを今の法律では設計されていないんですよね。

最悪の場合というか、今の相続税法で近いのを組み立てて考えると

最終的にAさんが死ぬのを停止条件とするBさんに対する遺贈だと

そうなるとAさんが死んだ時点で被相続人Xの財産は確定すると考えるわけです。

それまでは未分割財産(相続人が法定相続分で財産をもらったものとする)

でも相続財産が未分割の場合だと、配偶者の税額軽減は使えない、小規模宅地の特例といって、一定の広さ以下の住居や事業用に使っている土地を相続した場合は、かなりディスカウントしてあげましょうというルールが使えないんですよね。

だからものすごいことになる。

で、みっしくさんのおっしゃるように1つの財産の価値を残余財産分配権と収益収受権に切り分けて、Xの死亡時点で遺贈させる。

この場合は、その財産の丸ごとの価格というのを相続時点で計算して、これを収益分配権と残余財産分配権に、きりわけて計算する。財産の価額ー収益分配権の価額=残余財産分配権の価額というように算定される。

そうしたら上記受益者連続の悲劇はおきないですね

みしっくさん。 コメントありがとうございます。 また遊びに来てくださいね♪

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2006年4月25日 (火)

信託税制の不思議 将来キャンセルされても、贈与税は満額払う

 今日のこの記事は200回目 昨年の10月6日にスタートさせて半年強にしては、ハイペース ヒット数もちょっとずつ増えてきて、今日中に25,000は超えそうですね。 非常にマイナーなわりには、徹底的に信託周りや他の事業体等の記事を書いているので、GoogleやYahooの検索エンジンが、お客さまを連れてきてくださるんですね。

 今日は星田寛氏の『解除権等の特約のあるパーソナルトラストにかかる贈与税』JTRI税研 126 Vol.21-No5.から

 ここで次のような事例があります。

 甲(75歳)が乙(甲の息子45歳)に対して、甲の死亡または10年のいずれか短い期間毎年100万円の定期金を給付する旨の信託契約を締結したが、次のような定めがあり、かつ結果になった場合の乙に対する贈与税関係はどうなるか

①甲が4年後に死亡し、信託契約は終了し、以後乙に給付せず、残余財産は、甲の相続人に交付

②甲がいつでも信託契約を解除できる特約を定め、4年後に解約権を行使して契約は終了し、残余信託財産は甲に戻す 乙は4年分のお金は返還しない

 いずれにしても当初信託を設定した時点で、10年間毎年100万円受取るという権利を甲から乙に贈与したと考えて、この10年分の権利を評価して乙は、贈与税を支払います。

 でもこの権利がですね、乙の意思ではなく、甲の死亡という不可抗力とか、甲の意思により4年後になくなるわけです。 1年目から4年目までは財産をもらってるけど、5年目以降には財産がもらえなくなくなってしまう。でも最初に支払う贈与税というのは10年分なんですね。

 じゃ、4年後に 将来に向かって財産をもらう権利がなくなったので、5年目以降の財産に相当する贈与税を返してもらえるかというと、これが無理なんですね。

 上記のような信託って 設計可能だけど、贈与税払いっぱなしリスクがあるから、おそらく誰もやらないでしょうね。このままだと。。。。ニーズはあると星田さんは書いてらっしゃいますけどね。

 星田さんは、アメリカの税制の信託解除権が委託者にある場合は、委託者課税というシステムを導入したらと書いてらっしゃいますね。これだと信託設定時点では贈与税は発生させない。まだ財産に対する権利を委託者が留保しているから

 私も、上記のような場合は、財産をもらう時点ごとに贈与税を払うというシステムの方がいいと思うけど、いわゆる連年贈与みたいなものだしねえ。。。うーーーーん

 やっぱり合理的な設計はむずかしいのかなあ

 

 

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2005年11月 5日 (土)

リバースモゲージ

 リバースモゲージローンというのがあります。不動産を持っている高齢者の方が、その不動産を担保に老後の生活資金を定額受取り、その返済は、相続発生後、不動産を売却して行うというものです。

 日本ような高齢化社会において、老後の生活資金を自分の資産を担保に先に受け取っていくというニーズがかなりあると思うのですが、今のところあまり発展していません。

 取り扱っているのは信託銀行と地方自治体です。信託銀行の方は、不動産の評価額が5,000万円以上のようなので、該当する人が限られてきます。

 地方自治体ですが、1981年に武蔵野市が始め、いくつかの地方自治体が追随しています。武蔵野市は、地方自治体が直接融資しているのですが、他の多くの自治体は、間接融資型であり、最終的には金融機関が融資しています。ちょうどバブルの崩壊により土地の価値が下落したので、金融機関の審査が厳しくなったこともあり、あまりリバースモゲージが行われなかったのだと思います。

 このままではリバースモゲージは、絵に描いた餅になってしまうということで、2003年以降、厚生労働省が低所得者向けの長期生活資金制度を作り、地方自治体に資金を提供するようになりました。 窓口は社会福祉協会となっています。

大阪府の場合は、

http://www.pref.osaka.jp/shakaiengo/chouki.html

 これは、低所得の65歳以上の人が対象で、居住用不動産の価値が1,500万円以上で、貸付額は30万円/月以内、利率は3%と長期プライムレートのいずれか低い方を選択できます。

 ただし居住用不動産といっても、マンションはだめなようです。

 このリバースモゲージが発展しないのは3つのリスクがあるからです。すなわち、予想以上に長生きして、借入金の残高が不動産の価値を超えてしまうリスク、不動産の価値が下落して担保われになるリスク、支払金利が高くなるリスクです。

 これらのリスクをカバーするためには、中古不動産の流通市場を発展させる。不動産の価値より借入金の残高が超えるような事態になった場合に国がその差額を保証する制度を作る。リバースモゲージの件数が増加した場合は、資産をまとめて証券化して、市場から資金を調達する方法が考えられます。

 アメリカでは、政府が本腰をいれてバックアップしたため、リバースモゲージビジネスが大発展したようですが、アメリカからの制度の輸入が好きな日本のことですから、そう遠くない将来に、リバースモゲージビジネスは発展するだろうなと思います。

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2005年10月29日 (土)

相続対策と相続税対策は違う

 相続対策の幹は、自分の所有するどの財産を誰にあげるかということです。

 より円滑に財産をあげるためには、コストパフォーマンスが大事です。第三者に自分の持ち物を売りたいならば、より高い値段で売りたいと思って交渉すると思います。でも、自分の財産を、自分の死後、家族に渡すときは、他人に渡す時と違って、もらう人があまりお金を使わない形で渡したいと思うでしょう。

 もらう人にとって財産を譲り受けたときに係る最大のコストは、相続税であり、贈与税です。

 ですから相続対策を考える場合、まず現状の財産の棚卸をして、今相続が発生した場合、いくら税金がかかるのかというのを計算することが大事になります。

 そして計算の結果、とても高い税金がかかるとわかった場合の税金を減らす対策としては、大きく分けて2つあります。

 1つは今ある財産の評価額を下げる方法。 たとえば利用していない土地がある場合は、この土地の上に、賃貸アパートを建てて、土地の評価を下げるというような方法があります。

 もう1つは財産を事前に減らす方法です。つまり相続前に財産の一部を、譲渡する方法です。家族に譲渡する場合もあれば、第三者に譲渡する場合もあります。譲渡方法としては、売買する方法もあれば、贈与する方法などがあります。

 しかしこれらの方法はあくまでも相続税対策であり、相続税対策は、相続対策を円滑に進めるための補助的な役割です。

 もう一度繰り返しますと、相続対策の幹は誰にどの財産を渡すかということです。

 もし、誰に何を渡すかを決めずに相続が発生した場合、相続人間で揉め事が起こり、争族になってしまうことがあります。

 そこでこの問題を解決する方法として遺言を作成し、誰に何を渡すかを決めておくことがあります。遺言があれば相続対策がすべて解決するとは限りません。遺留分の問題もありますが、争族リスクを下げる可能性は高くあります。

 そしてこの遺言を発展した形の受益者連続つまり財産の第一次継承者だけでなく第2次継承者以降も決めることが信託により可能になるかもしれません。

 

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2005年10月27日 (木)

特定贈与信託と税金の話をちょこっと

 特定贈与信託というものがあります。これは、特別障害者(重度の障害をお持ちの方)を受益者として、ご家族やご家族以外の方(個人に限られる)が、信託銀行と特別障害者扶養契約を結び、6,000万円までの財産(現金でなくてもいいようです。)を信託した場合、この信託設定の時点で、特別障害者の方は、贈与税を払わなくてもいい!というものです。

 この信託は、他益信託とよばれるものです。他益信託とは、委託者≠受益者である信託のことです。ちなみに自益信託は、委託者=受益者の信託です。

 他益信託を設定すると、設定以後その財産から受ける利益は、委託者から受益者にかわるので、設定時点で委託者から受益者に信託財産の贈与があったものとみなして、受益者は、贈与税や相続税を払わないといけなくなります。

 たとえばあるお金持ちの人が、1億円を信託して子供に毎年、生活資金として200万円わたすという信託を設定した場合、子供は毎年、200万円ずつしかもらえず、途中で解約してお金を引き出すことができないにもかかわらず、最初の設定時点で贈与税を子供は支払わなければなりません。

 もちろん1億円満額に対して、税金をかけるのではなく、定期金を受け取る権利として評価しますので1億円よりは低くなります。 この評価額ですが、終身お金をもらえるのか、それなら子供の年齢がいくつか、期間限定でお金をもらえるのか、それなら何年間もらえるのかなどに応じてかわります。でもいくら評価が下がるといっても、設定時点で子供にお金がないと贈与税を払うことはできませんよね。

 また子供は、毎年受け取る利益に対しては、所得の種類に応じて、税金をおさめなければなりません。これは特定贈与信託でも同じ。

 この信託の税金でおかしいなと思うところは、たとえば5年毎に1,000万円の運用益を受益者にわたすという他益信託契約を結び、毎年、信託財産から上がる利益は、受益者に分配せず、信託財産に組み入れたような場合でも、受益者は、毎年、税金を払わなければならないことです。つまり、受益者は、お金をもらってないのに、税金だけ払うという状態が4年間は続くということです。

 特定贈与信託は、税務上のメリットがあるので利用範囲が非常に狭められています。なんでもOKだったら相続税対策に濫用されるからでしょう。でも公益性を重視するならば、もうちょっと幅を広げたらいいのにと思います。

 ちなみに又聞きの話ですが、信託銀行さんは、あんまり特定贈与信託を営業されていないそうです。なんでも採算性に問題があるようで、、

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2005年10月26日 (水)

後継ぎ遺贈型の受益者連続

  受益者連続の信託というものがあります。これは信託の契約で、ある条件を満たした時点で受益者がAからBへ BからCへ Cから-----となるような信託です。

 たとえば 大金持ちのAさんが財産を信託し、生存中にはAさんが受益者になり信託財産から利益を受け取り、Aさんが死亡した時点で、受益者が妻のBさんになり、Bさんが死亡または再婚した時点で、子供のCさんが受益者になるというような信託です。

 このような形の信託が英米ではよく使われているようです。なぜなら相続対策、事業承継の幹は、自分の財産を、渡したい人に 渡したい時期に 渡してあげるということで、この受益者連続ならそれが可能だからです。

 なるほど遺言という制度が日本にありますが、遺言の場合は、上記例でいうとAさんが亡くなった時にBさんに財産をあげるというところまでしか実現できないと考えられています。Bさんに財産が移転した後、Bさんには、Dさんという子供もいて、Bさんが遺言でAさんからもらった財産はDさんに渡したいと書いたら、DさんにAさんの財産は渡っていきます。そうすればAさんのCさんに財産を渡したいとい希望は、実現できなくなってしまいます。

 後継ぎ遺贈(数世代にわたって財産を誰に渡すかを遺言で決めること)は、民法の有力な説によると否定的とされています。後継ぎ遺贈を認めると、その人が生きている間だけ所有権がありますよとか、将来 誰かが亡くなったらこの財産の所有権者になれますというように、期間制限的な所有権を認めることになり、それは今の民法では認められていません。

 また、何代にもわたり資産の承継者を決めてしまうと、非常に長い間にわたって一族で財産を囲い込むことになり、財産の流通が妨げられるのでよくないということもあります。

 民法ではこのような考えがあるので後継ぎ遺贈が認められないのに、それが信託を使うことにより認められるのは問題ではないかといわれています。

 現行の信託法でも信託終了時点での信託財産の帰属者を決めることができるので、ここから、たとえばまずXさんが受益者になり、信託期間が終了するとYさんが信託財産をもらえるということはできます。

 この受益者連続については、信託法改正で、実現するかもしれません。その場合、赤の他人でも受益者になれるのか、何代先まで受益者連続を認められるのかなどに興味があります。

 なるほど相続税、贈与税の問題がありますが、それらを無視して考えると、この制度は、英米だけでなく日本でも有効な相続、事業承継対策として利用されるだろうなと思います。

 参考文献 四宮和夫 信託法(新版) 有斐閣

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2005年10月20日 (木)

日本で遺言信託は発展するか?

 信託は、日本においては今までのところ投資信託のように多くの投資家からお金を集めて、専門家がそれを集中して投資し、儲けを投資家に配分するような際に、そのお金を集めて出したり入れたりするバスケットのようなもの(ビークルといわれますが)として使われることが多かったです。

 しかし欧米では、個人がその所有する資産を管理することが難しい場合だけでなく、相続対策、事業承継対策としても使われます。専門家に資産管理だけでなく、相続対策も相談でき、自分が望んでいるような形 すなわち誰に何を渡すかということを決め、実行できるからだと思います。

 日本においても最近、遺言信託に力をいれる金融機関が増えてきています。遺言に信託を設定するということだけのサービスから始まり、相続時に遺産を遺言にしたがって、配分していくところまでできます。

 なぜ日本の金融機関が遺言信託に参入したいかというと、遺言の作成にかかわることにより、個人の財産状況、家族状況などとても知りたい情報が正確に手に入るからだと思います。その情報をベースに金融機関が販売している商品を売り込むと、何も情報がないときよりも成約率は高くなるからです。

 では日本は英米のように今後、個人の資産管理信託が発展するでしょうか。私は、??です。なぜかというとたとえばアメリカでは、信託のしくみと相続のしくみが似ていて、信託が相続にスライドしやすいから発展したところもあるのですが、日本では信託と相続はシステムが違うからです。

 信託というのは、委託者が自分の財産を受託者に預け、運用してもらい、その運用利益や、元本を自分があげたいと思う人にわたせるしくみです。

 アメリカの相続は、日本のように相続と同時に被相続人の財産が自動的に相続人に移るというようなシステムではなく、いったん遺産財団という、被相続人のものでも相続人のものでもない、別の存在というものができると考えます。そして弁護士などが、その財産の管理をしたり財産の配分をしたりして財産の配分が全部終わると、遺産財団はなくなります。この遺産財団と信託というのは似たようなシステムだから、信託が多く利用されているように思います。

 日本においてこのままでは遺言信託の発展は難しいと思います。相続と信託は全然違うシステムですし、遺言信託関連の手数料がサービスと比較して高いからです。でも価格競争により合理的な手数料になるならば発展すると思いますし、信託を使うことにより相続税が安くなるというように税法かえたら大化けすると思います。

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2005年10月11日 (火)

公益信託は、公益法人(財団法人)とどう違うのか

 事業が成功し、圧倒的な勝ち組になられた方が、自分の名前を冠した公益法人を作られることがあります。これは自分の財産を世の中に還元し、学術の発展等に貢献したいという純粋な気持ちに基づくものと思いますが、相続税を減らしたいとか、自分の名前を未来永劫に渡って残したいという俗人的な気持ちもあると思います。

 公益法人(財団法人)は、財産を拠出してできる公益を目的とする法人のことをいいます。法人ですから、法人の理事等が法人の機関として財産を運用し、公益のために使います。

 公益信託は、財産を持っている人が受託者と公益信託契約を締結すると、財産が信託され受託者に帰属し、受託者が管理することになります。

 公益信託と財団法人の違いですが、主要なものは2つあると思います。

 1つは、公益信託の場合は、設定手続は受託者が行うということです。公益法人の場合は、委託者が作るから、委託者本人が行わなければなりません。公益法人は、株式会社のように設立登記をすれば簡単にできるものとは異なり、主務官庁への許可申請等が必要なので、時間もコストもかなりかかります。

 もう1つは公益信託の運営コストが公益法人よりは少なくすむことです。公益法人(財団法人)は、長期にわたって運営することが求められています。公益法人の事務所や職員に係る運営コスト等は、基本財産の運用益に依存するところもあるので、この基本財産はある程度以上大きい必要があります。

 一方公益信託の方は、契約で信託期間を決められるので、比較的短期間で財産を取り崩し、公益のために使うことができますし、法人でないので、事務所をおく必要も専任の職員を雇う必要もないので、コストが公益法人と比較するとかかりません。したがって公益法人と比較して、小規模の財産でも公益信託が設定できます。

 なお、公益信託のうち一定の要件を要件を満たしたものは、委託者については相続税の非課税や、所得税の寄付金控除、法人税の寄付金の損金算入などの特典を受けることができます。

参考 社団法人 信託協会 公益信託その制度のあらまし

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2005年10月 9日 (日)

信託協会 相続、贈与税等の特例の要望

 毎年、信託協会は、税制改正の要望を行っています。この要望のうちの一つとして、信託を利用した、株式、株式投信等を子、孫へ贈与、相続した場合における課税の軽減というのがあります。

 どのようなスキームかというと、親、祖父母が、市場で上場株式や株式投資信託を購入し、それらに対して他益信託を設定します。つまり、委託者は親、祖父母ですが、受益者は子供や孫となるような信託を設定します。この信託の管理は受託者である信託銀行等が行います。また信託期間中は売却を禁止します。受益者である子供は、信託期間配当を受け取り、信託期間終了後に元本である株式や株式投資信託を受け取ります。

 このスキームの一番のネックは、他益信託を設定した時点で、委託者から受益者へ贈与があったとみなして贈与税の対象になることです。贈与税は、原則的には上昇カーブのきつい超過累進税率です。もちろん相続精算課税制度もありますが、この制度を用いても相続時に税金の再計算を行わなければなりません。

 信託協会が要望しているのは、信託スキームを用いた場合は、評価方法を見直したり、贈与に係る特別控除制度を創設するというものです。これが証券市場の活性化にも役立つからということです。

 数年前の株式市場が低迷しきった時でしたら、株価を支えるために、個人投資家に株式を長期間所有してもらえるようなシステムを作るのが合理的だったかもしれません。しかし現状は、株価も持ち直してきており、市場も活況を呈しているので、活性化のための相続、贈与税等の特例措置をする必然性はあまりないから、実現可能性は低いのではないかと考えます。

 でももし実現したら、信託ビジネスは大ブレークするでしょうね。

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2005年10月 6日 (木)

株式管理信託は、相続対策になるか

 相続、事業承継のために役に立つ信託は何かなあと思うと、まず浮かぶのが遺言信託

でも、私は、株式管理信託が役に立つのかもしれないなあと思ってます。株式管理信託とは、たとえばオーナーが所有している会社の株式を信託します。受益者は、オーナーのままです。受託者は、信託された株式の議決権について、たとえばオーナーの後継者に全部委任するとか、半分は委任すると決めます。そして一定の時期になったら、受益者をオーナーから後継者に変えます。

 オーナーが所有権を持ちながら、後継者に株主総会の議決権を移管することにより、所有と経営が分離され、後継者のトレーニングができます。

 オーナーから後継者に受益者変更が起こる時点で、課税関係は生じます。変更時点がしオーナーの死亡時点であるならば相続税課税が生じ、死亡前ならば贈与税課税が生じます。

相続税の実効税率の方が贈与税よりも通常低いので、相続時に受益者を変更するのが妥当な場合が多いですが、業績が右肩上がりな会社の場合は、早めに贈与をした方がよい場合もあります。

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