2006年10月16日 (月)

不動産投資信託の大型化

平成181014日の日本経済新聞による資産規模お大きなREITの上場が増えているようです。

REITというのは不動産投資信託といわれるのですが、実際に上場しているREITは信託という器を使ったものではなく、投資法人というビークルを利用しています。

税務的な特徴としては、要件を満たした場合は、当期純利益から株主に支払った配当を税務上の費用として処理することができることになります。

その結果、投資家に支払われる配当は大きくなるので利回りが高くなるとされています。もちろん投資家側ではこの収益に対して税金がかかりますが、個人投資家の場合だったら、源泉税(いまだったら10%これが次の改正で20%になるかどうかは不透明ですが)だけです。

さて、このREITですが、当初は、500億から1,000億規模のものが主流でした。ただ小ぶりなREITの場合は、組み込まれた資産のもつリスクをもろにうけるので、収益が安定しないという問題がありました。だから機関投資家がREITの購入を手控えるようになりました。

そこで規模の大きなREITを販売することにより、大儲けはできないけれども分散投資を行なうことによりリスクを減らして安定した利回りが得られるような商品を販売するようになったのだと思います。

9月に日本コマーシャル投資法人というREITが上場されました。これは、東京、大阪、名古屋のいわゆる大都市圏のオフィスビルや商業ビルを組み込んでいるものです。

いちおう今わかる情報だけいれると

株価は、平成181013日終値 467,000

発行済み株式総数 245,200

時価発行総額 114,508.40百万円

時価発行総額で1,000億円を超えていますね♪

ちなみに自己資本比率は60.4%です。

組み込まれた資産191,703百万円のうち不動産そのものとして受け入れたのは25,220百万円にすぎず、残りは信託受益権として受け入れています。信託受益権の比率は、87%となっています。

なお平成192月期の分配金の予想は、9,079円となっています。

もし今1467000円でこのREITを買った人は 9,079円の配当を受けられるとすると、その人にとっての利回りは、だいたい1.9%となるようですね。

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2006年8月 4日 (金)

江川由紀雄さんの「実践証券化入門」~証券化は、リスクの加工ができるから優れもの~

1.証券化って何?

 証券化とか、資産の流動化という言葉が、ビジネス界において定着してから、10年くらいはたっています。ただ証券化とは何かという問いかけに対して、本質をとらまえた答えをだせる人はいません。江川さんは、証券化の揺籃期から業務に携われ、今では日経人気アナリスト調査、証券化アナリスト部門でトップを取り続けていらっしゃいます。彼が書いた「実践証券化入門」は、簡潔に本質をとらまえた優れものだと思い、時々じっくりと読んでいます。

 ここで証券化とは、キャッシュフローを生み出す資産を用いて、倒産隔離やリスクを加工したうえで、社債などの有価証券に代表されるような流動性のある投資商品に仕上げる過程のことと表現されています。

 ようするに資産単独でみると、換金性に乏しく、投下資本が回収できないリスクもある程度あるものを、誰でも手軽に買えて、投資したお金がほぼ確実にもどってくるような商品に変える過程なのかなあ。

2.リスクの加工って?

 江川さんは、証券化が優れている点として、リスクの加工が施されることといってます。リスクの加工というのは、リスクのある資産でも証券化する過程で工夫をすることにより、限りなくリスクがないような資産にかえる技と思います。この技は分散効果と優先劣後構造の2つで成り立っています。

3.分散効果

 たとえば2%の確率で貸倒になるような1億円の債権を9,000万円で買いますか? 9,800万円の回収が期待値としてある債権を9,000万円で買うのだから非常に魅力的ですが、このような商品を買うのは、ハイリスクハイリターンを好む人に限られるそうです。2%の確率で0になる可能性があるからです。

 それでは2%の確率で貸し倒れになるような債権を1,000個集めてきて1億円の金融商品を作った場合はどうなるのでしょうか。全部の債権が貸倒になる確率は2%の1,000乗だから、99%以上の確率で、この債権の回収率は97%から99%になります。そのような金融商品を9,500万円で買いませんかというと買う人が殺到すると思うかもしれません。しかしこれでもだめみたいです。

多くの投資家は額面金額の100%回収できるような金融商品を求めるようです。そのようなわがままな投資家のニーズに答えるために設計したのが優先劣後構造です。

4.優先劣後構造とは

 優先劣後構造とは、金融商品の基になる資産について生じた損失を誰が負担するのかという順番を決めることです。

 たとえば。債権を1,000集めて組成した1億円の金融商品優先部分と劣後部分にわけます。優先部分の額面を9,500万円と、劣後部分は500万円とし、回収の期待値は9,800万円とします。利子は無視します。

そして金融商品の裏づけである資産の生み出したキャッシュはまず優先部分の返済にあてるという設計をします。そうするとこの案件では優先部分は、ほぼ100%の確率で投下資本が回収できます。ただしそれ以上の回収があっても優先部分の債権者は分配金を享受できません。

また劣後部分については、800万円のリターンが期待できる商品を500万円だして出資するようなものです。でも資金の回収の順番は劣後するので、もしかしたら500万円も回収できないかもしれません。でも運がよかったら800万円、いや1,000万円の回収も夢ではありません。

 このようにリスクをとる順番を決めることにより、投下資本が100%回収して欲しい投資家にはローリスクローリターンの金融商品を、一攫千金系の投資家にはハイリスクハイリターンの金融商品を提供できるようになります。だから証券化は発展したのでしょうね。

 

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2006年1月26日 (木)

信託受益権の譲渡

 不動産管理処分信託の契約書を最近よくみかけます。

 これは不動産を持っている会社がその不動産を信託して、信託受益権を譲渡する方が、不動産を直接譲渡するよりも流通にかかる税金が安く、買戻しも簡単だからだと思います。受益権者は、不動産の賃貸収入を受取り、最終的にはその不動産の売却代金ももらえるというものです。

 この不動産管理処分信託。当初は委託者=受益者の信託だから自益信託として設定されますが、売買することにより委託者≠受益者となってしまいます。いわゆる他益信託みたいな状態になるのかな。委託者の地位も信託受益権の譲渡に伴い受益者に移転できるのか。

 委託者の権限には、たとえば受益者を解任できたり、受託者が破産した場合財産を返せと要求できたり、受託者のミスで信託財産が毀損した場合もとに戻せと言えます。これらは一身専属権みたいなものだから、原則的には他の人に譲渡できるようなものではないと考えられています。

 でも不動産管理処分信託で委託者に権利を残すということは、不動産を売買した後において、売主に権利を残すのと同様の状態であるからおかしいですよね。

  不動産管理処分信託においては、一般的に信託報酬が信託財産から支払われます。これは、委託者の権利義務が信託受益権にくっついているようなもの。

 だから不動産管理処分信託は、不動産を譲渡したのと経済的にも、法律的にも同じようなものであると考えます。そしてこれをベースに土地信託がらみの税法も設計されているなと思います。

参考 三菱信託銀行信託研究会 信託の法務と実務 第4版 P533 金融財政事情研究会

四宮和夫 信託法(新版)P344、325 有斐閣

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2005年11月28日 (月)

自社で流動化信託ビジネスをする方法 

 信託業が改正になり、銀行以外の業種でも信託業に参入が可能になりました。

 たとえば大企業が自分の所有している資産を信託して、信託受益権を販売し、早めに投下資本を回収しようという資産流動化ニーズがある場合、自分自身が信託会社になるのは、信託業法で認められにくいので(事業会社が信託宣言使えるか?参照)子会社で参入することが多いと思います。そしてその子会社が、信託会社のうち管理型信託の登録をし、それに付け加えて信託受益権販売業の登録をすれば、自分たちのグループ内で資産を流動化し、投資家に直接販売できます。

 どういうスキームかというと 

①資産を有している会社が子会社をつくり、管理型信託と信託受益権販売業の登録をする。

②資産を信託子会社に譲渡し、信託を設定し、信託受益権を受取る

③信託受益権を信託子会社に譲渡して、販売代金を受取る。

④信託子会社は、信託受益権を投資家に販売して販売代金を受取る。

⑤投資家は、信託受益権を購入して代金を支払う。

⑥信託された資産が利益を生み出す。

⑦信託子会社は、利益から手数料等を差し引き、投資家にその利益を分配する。

⑧もしその信託受益権が有価証券であり、もしその有価証券が上場しているなら(これはあくまでも仮定)、投資家は、信託受益権をマーケットで売買して、投下資本を回収する。

こんなかんじになります。

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2005年11月25日 (金)

ケイマンのチャリタブルトラスト

 今はもうTK+YKスキームにおされて、あまり使われていないと思いますが、資産の流動化スキームでよく使われたのがケイマン島のSPCを使う方法。

 ケイマンのSPCに資産を直接譲渡するケースと、ケイマンのSPCが東京支店を設けて資産を譲渡する方法、ケイマンのSPCが子会社を作る方法があります。

 いずれの方法であれ、ケイマンのSPCの株主がチャリタブルトラストになります。

 チャリタブルトラスト(慈善信託)であることが、流動化スキームでは重要です。

 どうして作るかというと、昔の記憶をたどってるので間違ってるかもしれませんが、ケイマンのSPCを弁護士が最低資本金で作ります。そして弁護士がその株式を信託会社に譲渡します。信託会社がその株式について信託宣言をします。この段階で 信託会社が委託者=受託者=受益者になります。そして、受益者を信託会社から慈善団体に変える。そうすると実質的には慈善団体がSPCを所有することになります。もしかしたら信託宣言の段階で受益者を慈善団体にしていたかもしれません。

 チャリタブルトラストを作るメリットは?

 やっぱり倒産隔離でしょう。 SPCを使って資産を移動するのは、資産を証券化して、投資化からお金を集めたいからです。投資家は、資産がお金をいっぱい生んでくれるから投資してくれるのであって、昔その資産を所有していた会社がどうかなんて関係ありません。

 お金をいっぱい生んで欲しい。でも証券が紙切れになっら困る。ここで問題なのは、資産を譲渡した会社(オリジネーター)が倒産した場合、破産管財人の手が、SPCに移った資産にかかるリスクがあるかどうかです。破産管財人が、SPCの資産は実は倒産した会社の物だけど差押さえを逃れるためにわざと移したと主張して破産財団にほりこまれた場合、その資産を担保にした証券は価値がなくなるので、投資家は投下資本を回収できなくなってしまいます。

 破産管財人の追求を受けないようにするための方法の1つとして、SPCの株主を資産を保有していた会社と全く関係のない会社や人にしてしまうのです。でも関係ない者だったら誰でもいいかというとそうでもありません。会社は株主のものです。株主の意向で会社の経営なんてなんとでもなります。もし悪い奴が株主になって資産を食い物にしたら、投資家が困ってしまいます。

 だから株主は、そんな食い物にしないような人や団体で、会社の運営にも口をださないのがいいのです。その点 慈善団体はいいのです。誰が受益者が明確でないし、資産の所有者とも関係ないので、

 

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2005年10月28日 (金)

リート(REIT)の上場

 10月27日の日本経済新聞の近畿経済欄を読んでいたら、「阪急リートが上場」という記事が載っていました。関西圏の不動産に主として投資する上場リートの第一号だそうです。

 リート(Real Estate Investment Trust) 不動産投資信託 たくさんの人からお金を集めて、専門家が不動産に投資し、その不動産が生み出す家賃、地代収入から経費を差し引いた金額を投資家に分配するような商品のことです。

 不動産そのものに投資するのは、それなりの資金が必要ですし、売却も難しい場合があります。またその不動産を取り巻く環境の激変により、収入が激減したり、トラブルが生ずるリスクが高いです。

 これに対してリートのような不動産投資信託の場合は、投資単位が小口であるので買いやすく、上場しているような場合は換金しやすいです。また1つの不動産に投資するのではなく、通常は複数の不動産に投資するので、リスク分散が図られます。

 阪急リートですが、これはHEPファイブという、大阪の梅田にある商業施設他主として関西エリアの商業施設に投資するREITです。

 財務内容に関する東証の基準の阪急リートを比べると

               東証            阪急リート

1口あたり純資産  上場時まで5万円以上    51.8万円

純資産総額      上場時まで10億円以上  359億76百万円

資産総額       上場時まで50億円以上  579億93百万円

 10月26日の阪急リートの終値は64.2万円です。

 このリートの家賃収入のうち売上にリンクして家賃が変わるものが51%あります。つまり、関西の景気が上がると収入もあがり、投資家への分配も多くなります。

 大阪の梅田地区は、これから数年、大規模再開発が行われ、集客力は高まると思いますが、そのお客さんが流れてくるか。場所がいいのはプラスですが、競争が激しくなるので、既存の商業ビルは、新しくできるビルを超える魅力のある店づくりをしないと厳しいのではないかなあとも思います。

 http://www.hankyu-reit.jp/index.php

 http://www.tse.or.jp/cash/reit/

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2005年10月22日 (土)

レモンマーケット

 レモンというとまず思い浮かぶのは、 レモン哀歌 高村光太郎「智恵子抄」

 「私の手から取った一つのレモンをあなたの綺麗な歯ががりりとかんだ」

  このフレーズとともに黄色くて爽やかな、しょっぱい感がさーっとイメージされます。

  先日、ネタ探しと基本の勉強のために渡辺晋「これ以上やさしく書けない不動産の証券化」PHP、 を買ったのですが、なぜ証券化関連の本の中でこれを選んだのかというと、本の帯にレモンマーケットという言葉があり、さーっと心に染みていったからです。

 なんか素敵そうだなあ♪  とっても知りたいなあ♪

 で、本題!  レモンマーケットとは、買い手が、その商品を外から見て、中身がどうなのかよくわからないような市場のこと。 レモンは黄色くてそこそこ分厚い皮に覆われていて、どのレモンがおいしいのかどうか判別がつかないことから、外からでは欠陥がわからないような中古の自動車のことをレモンカーというようです。

 このレモンマーケットについて深く研究した人がいて、その人 名前はアカロフというのだそうですが、2001年にレモンマーケットの理論でノーベル経済学賞を受賞されたそうです。

 売り手は商品の中身(欠陥とか)をよく知っているが、買い手はわからないような商品の場合、買い手は、内容に不安があるからリスク分安い値段でないと買おうと思いません。安い値段でしか売れないとわかると、売り手は、品質の良い商品とわかっても儲からないので、品質の良い商品を供給しなくなります。そうすると、売り手が供給するのは、欠陥のある商品だけになり、買い手は、欠陥のある商品なら「ただ」でもいらないと思うので、結局、市場は行き場のない欠陥のある商品の山と化してしまうということです。このような理論のことをレモンマーケットの理論というそうです。

 このレモンマーケットの理論のような恐ろしい結末にならないためにはどうすればいいのでしょうか。それは、商品の内容を買い手にわかるようなシステムを作ることです。

 このシステムの1つとしてディスクロージャー(情報開示)があり、商品を市場でたくさんの人に買ってもらう場合には、売り手は商品の内容について、ルールに基づいて情報を提供しなければならなりません。

 このディスクロージャー、それなりに知識のある投資家の人たちにとっては理解を促すよい資料なのでしょうが、そんなに知識のない投資家の人たちにとっては、ただの紙で、結局投資の判断のベースになるのが、金融機関の営業マンのセールストークだったりします。そして後日トラブルが起こったときに、ちゃんと資料を提供してたでしょ!と主張されて、泣き寝入り。 

 ディスクロージャーの内容を充実させるのはいいのですが、それよりも普通の人たちに、投資判断をするまでの資料の分析の仕方をわかりやすく教えるシステムを作った方がいいと思います。

 

 

 

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2005年10月13日 (木)

利益参加型社債

 利益参加型社債というのがあります。これは、利益がでたら利益に応じて利息を払うことができる社債のことで、ケイマンの会社法においては、発行することができます。

 会社がお金を集める方法としては、株式を発行する方法があります。株主に対して、会社は、儲かったら配当を払うことができますが、業績の悪い時は、配当を払わないこともできます。

 日本の商法における社債は、会社が発行する借金のようなもので、利率が決められ、利払い日に利率に応じて利息を払わなければなりません。たとえ会社の業績が悪くても、利息の支払いを延期したり、利息の金額を減らしたりすることはできません。

 会社法においてどうなのかなと思って、会社法676条を読んだら、

会社は、その発行する社債を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集社債(当該募集に応じて当該社債の引受けの申込みをした者に対して割り当てる社債をいう。以下この編において同じ。)について次に掲げる事項を定めなければならない。
  ◆3 募集社債の利率

 となっているので、利率を決められるということは、利益変動による社債の発行はできないとうことなのかなと思います。利益参加型社債まで会社法で認めると、資本と負債の境目がなくなってしまうからでしょうか。でも種類株式の範囲の拡大をみていると、資本と負債の境目は限りなくなくなってきているようにも思えるのですが、

 なおなぜ利益参加型社債をテーマに書いたかというと、たまたま利益参加型社債に投資するような契約型外国投資信託をネットサーフィンして見つけたからです。

 これは外国籍の投資信託ですが、円建てなので為替リスクはなく、投資先は日本の不動産であり、J-REITの収益の分配が年2回なのに、この投信は毎月収益の分配があります。また平成20年3月までは、分配時の課税が10%の源泉分離課税。

 ホームページをダウンロードして読んでると、証券のスキームの教科書に載っているようなことのてんこ盛りです。このスキームについては、またいずれ書こうと思ってます。

 

 

 

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2005年10月12日 (水)

資産流動化商品と信託業法の問題

  現在、世の中には、投資商品がたくさん販売されています。この投資商品をあまり投資に関する知識のない人たちが売買して、不当な損害を被らないようにするための法律として証券取引法があります。この証券取引法は、投資商品のうちのガリバーである株式をベースに作られているため、新たに開発された投資商品については、カバーしきれていない状態です。また投資商品の種類によっては、他の法律の規制の対象になっているものもあり、縦割り行政の弊害もでてきています。そこで現在、証券取引法を発展的に解消して、投資サービス法を作ろうとしてます。今回は、資産流動化商品における現状の信託業法の問題点を書きます。

 資産流動化商品のスキームを説明します。まず事業者(オリジネーター)が、資産を今後も利用したいけれども、オフバランス化したような場合、所有する資産をSPCに売却します。SPCはこの資産の購入資金を社債やローン等を発行して投資家から調達します。

 問題点は2つあります。

 1つは、オリジネーターがSPCに資産を売却する行為が頻繁に行われる場合には、信託受益権の売買が業としてなされるものとして信託受益権販売業に該当するおそれが生じることです。

 そうするとオリジネーターが信託受益権販売業者の登録をするか、信託受益権販売業者を取引の間にいれる必要が生じます。つまりコストがかかるということです。コストがかかっても、それにより投資家保護になるならばまだ良いのですが、この場合の投資家は、SPCが発行した債券を購入した投資家ではなく実質的にはオリジネーターの関係者であるSPCです。このSPCに対して、あえて信託販売業者をいれて、情報を開示する必要はないと思います。

 もう1つの問題点は、SPCの債券を購入した投資家に対する、信託受益権に関する情報の開示です。この債券がABS(資産担保証券)で、公募しているような場合は、投資家に目論見書が発行され、どのような資産がベースになっているのかがわかります。また私募の場合も商品内容説明書による開示がなされることが多いので特に問題はありません。

 問題となるのはローンタイプのABL(資産担保融資)の場合です。この場合は、証券取引法の適用がなく、特に開示資料を作成することがないようです。そうすると、ABLの投資家は、信託受益権の内容を知ることができなくなります。

 つまり、現行の信託業法では、投資家保護の対象にすべき人に対して、保護の手が届かず、あえて保護する必要がない人に対して、保護する義務が生じるようになっています。

このようなひずみが、投資サービス法で解決されればいいのですが、

参考文献 神田秀樹(責任編集) 投資サービス法への構想 財経詳報社

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