2008年10月10日 (金)

REIT初の破綻だそうです

 今朝の日経のトップ面に「REIT初の破綻 ニューシティ負債1123億円 民事再生手続き開始」だそうです。

 いつか、くるだろうと思っていたことがやってきましたね。

この投資法人は、賃貸住宅(主として東京の都心のえーところ界隈 投資比率62.5%)ですね。

直近といっても20年2月期の決算数値だけを見ると、絶対に1年以内につぶれるとは思えない内容。資金繰りショートが起因なんでしょうね。

REITは、もうけの90%超を配当にまわさないと、配当が損金とならないからいっぱい税金をはらわないといけないという問題があります。ということは、内部に利益がお金という形で溜りにくいです。

お金が必要なのに株価が下落しっぱなしだから株主からお金を集めるのも難しいし、金融機関もお金を貸してくれないし、外人投資家はそれどころじゃないから、必然的に不動産を売却してお金を集めないといけないけど、このご時世、買ってくれる人が見つかりにくいからねえ。

ところで、今朝の新聞の折り込み広告にも、いっぱい新築マンションの広告がはいってました。結構なお値段だけど、買う人がいるのかなあ。もう外資系の金融機関の人も当てにならないしね。ということは、この広告をだした不動産の関連会社も相当厳しい状況になる可能性が高い。そうすると、マンションの値段も下がらざるを得ない。

億ションを投資用に買う人は、ここしばらくはあらわれないと思いますが、ほどほどのところまで値段の下がったマンション(中古も含めて)なら自分んち用に買いたいと思っている人たちはそれなりにいらっしゃると思います。そういう人たちは、最近のマンションのちらし広告で、同じマンションの値段が、時を経るごとに下がってくるのを固唾を呑んで、頭の中でぱちぱちと資金繰りの計算をしながらにらんでいるような気がします。

よほど、これはという物件が出ない限り、来年3月くらいまで、辛抱強く待つ(その後も価格は下がると思いますが)のが得策なんでしょうね。

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2008年2月 7日 (木)

シンガポール政府ファンドのJREIT買い

今朝の日経の金融面を覗いてみると、「シンガポール政府投資公社(GIC)日本のREITに食指」という記事があります。

REITの投資口がサブプライム問題などの影響で、外人投資家が売り急いだこと等により値段が急落したことにより、割安感がでてきて、お金持ちの政府系ファンドが買いに入ってきているようです。

GICが大量報告書を出したのは、日本プライムリアルティ投資法人

平成196月末の1口当たり純資産257,757円 昨日(26日の)株価は、338,000円 平成196月末の配当は、6,996 円 予想利回り 391%というもののようです。

他のREITと比較して、そんなにお得感はないようなんですけど、なんか魅力があったのでしょうね♪

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2007年12月27日 (木)

やっぱり法人課税になっちゃったREIT

今朝の日経新聞に「REIT 国債との利回り格差拡大 外国人、売りに転じる」という記事があります。REIT4割は一口あたりの時価純資産を投資口価格が下回っているらしいので、本来だったら、得だからということで買いが入りそうだけど、REITの投資口のお得意さんである外国人投資家がサブプライムの問題の影響でお金が無いから買えないのが大きな要因みたいね。また、あんまりサブプライムの影響を受けていない機関投資家筋も様子眺め状態なのも要因の一つ。

昨日の日経新聞に載っていたのですが、以前からこのブログで何度も書いていたREITF C レジデンシャル投資法人)への法人課税が確定したようです。

このREITへの法人課税の根拠となるのは、このREITの投資家3人以下がREITの過半数の投資口を持っている場合なんですが、この辺をどのように調べて結論をだしたのか決算説明会資料から読み取れます。そこで、ご紹介♪

まず、大量保有報告書(発行済み投資口数の5%超の投資口を保有することとなった投資家が提出しないといけないもの)の提出状況をみると

 提出者                   所有割合

プロスペクト アセット マネジメント インク  42.01

ジェイピーイーキャピタル・、マネジメント・    8.08%

リミテッド

日興アセットマネジメント株式会社           6.05%

       合                      56.14%

次に第4期末の投資主名簿

シージーエムエル アイピービー カスタマー   24.65%

コラテラル アカウント

モルガン・スタンレーアンドカンパニーインク    8.29%

ステート ストリート バンク アンド トラスト  8.08%

カンパニー

日興シティ信託銀行株式会社(投資口)       5.76%

ノーザン トラスト カンパニー エーブイエフシー 4.99%

リ ノーザン トラスト ガンジー ノン トリーティー

クライアンツ

株式会社 ファンドクリエーション          3.54%

ステート ストリート バンク アンド トラスト  3.48%

カンパニー

ドイチェ バンク アーゲー ロンドン ピービー  3.02%

ノン トリティー クライアンツ

アイデン株式会社                 1.96%

日本トラスティサービス信託銀行株式会社(信託口) 1.63%

合計                        65.44%

このように大量保有報告書と投資主名簿が異なるわけです。

そこで、税務当局に確認されたそうですが 資料によると次のような回答をされたようです。

       大量保有報告書ベースで判定すべきか。 投資主名簿ベースで判定すべきか。

       真の投資主により判定すべきである。

       当局が個々の投資主名を見ても判断は出せない。

       投資主名簿上の投資主における実質投資家が判明した場合、これを持って同族会社要件の判定を行うのか。

       真の投資主により判定すべきである。

       当局が個々の投資主名を見ても判断は出せない。

なんといいましょうか。さすがお上らしい回答です。

さて、結論をどのようにして導き出したか?

 大量保有者とされるプロスペックト アセット マネジメント インク、 ジェイピーイーキャピタル・マネジメント・リミテッド、日興アセットマネジメント株式会社および日興シティグループ証券会社に直接照会したようですね。

照会内容は① 第4期末のあなたの保有投資口数はいくつですか②投資名簿には、あなたの名前は載っていないのだけど、投資名簿のどの名前であなたは投資口を手に入れたの?③投資主名簿上の投資主とあなたの関係はどういうものなの?

ということだと思います。

そして、この3者に関して 「照会の結果、当該期末の保有投資口数及び当該投資口の投資主名簿上の投資主名が判明。当該期末における投資主名簿上の投資主及び契約又は法律の規定に基づき、当該者が本投資法人の投資主として議決権その他の権利を行使できる権限又は権利の行使を指図することができる権限を有している事実を確認。」

つまり、この3者が真の保有者であり、3者の保有投資口数の合計が過半数を超えているから同族会社要件にあてはまり、REITの所得に法人税課税されることになりましたということだと思います。

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2007年12月19日 (水)

REITと平成20年度税制改正

 このブログだけじゃなく、ほかのメディア等でもさんざん吼えていたREITの法人課税に関して、若干改正があるようです。

自民党税制改正大綱

投資法人に係る課税の特例について、同族会社に該当しないこととの支払配当等の損金算入の要件を、3株主グループによる判定から1株主グループによる判定とする。

現行の税制では、REIT(投資法人)が同族会社に該当したら、REITの所得に対して法人税課税をし、投資家サイドでは、受取配当の益金不算入とか配当控除が使えないという、踏んだりけったりの状況です。この同族会社の定義というのは、細かいことをいうときりがないのですが簡単に言うと、3人の株主がその会社の株式を過半数持っていたら同族会社ですよとなっています。

こんな要件を課したら、絶対に大株主があらわれないでしょうと思っていたら、そんなことを考えない大株主が現れてきて、実際、法人税課税がされるREITがあらわれそうです。

同族会社なんてナンセンスなんですけど、結局改正は上記のようになるようです。すなわち1人の株主が過半数もったら同族会社よってことになるようです♪

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2007年12月11日 (火)

REITの海外不動産組入れ

やっぱり、今日は、REITに海外不動産を組入れることが解禁になるという話でしょうね。

現行のREITというのは、海外不動産を組入れることができないのですが、元気のないREITのカンフル剤の一つとして、どうやら、来年4月をめどに海外不動産の組入れも可能となるようです。

魅力的な国内不動産が枯渇しつつあるので、ここで新しい血を入れることは、マーケットの活性化のためにも非常に魅力的ですね。適正な不動産の価格を担保するしくみがきっちりワークすれば、それなりにうまくいくと思うのです。不動産鑑定士の方の責任は重くなって、大変でしょうけど。

このREITが海外不動産を投資することになった場合の課税上の取扱いが実は非常に面白いのです。REITというのは、ご存知のように、一定の要件を満たした場合は、配当が税務上の費用(損金)となります。損金となった分だけ税金は減ります。

そして、このREITに関してですが、実は、REITが直接、外国で払った法人税は外国税額控除ができるのです。この外国税額控除のしくみというのは、複雑ですが、簡単にいうと、REITが、直接、支払った外国法人税額は、控除限度額内で、控除をすることができます。そして、外国税額控除の面白いところは、控除限度額内であれば、日本で支払った法人税よりも外国の法人税の方が多い場合は、超過部分は、日本で還付されるのです。

REITにあてはめると、もし100の所得が発生して、全部配当した場合は、法人税は0となります。ところが、このREITは外国で法人税を20支払い、外国税額控除の法人税の控除限度額が30の場合は、20部分は、還付の対象となります。控除限度額は、配当を損金に算入する前の所得、つまり、このケースの場合は100をベースに計算することになるからこのような現象が生じます。

 同様の事例で、外国税額控除の控除限度額が5の場合は、その事業年度に還付できるのは、外国法人税20のうち5であり、超過部分15は、翌期以後、3年間繰り越され、3年以内に控除余裕額がある場合は、控除できることになります。

 REIT自体はビークルであり、いずれこの還付部分も投資家に分配され、投資家段階で課税されることと思いますので、ぜひ、このシステムは維持ししていただきたいものです♪

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2007年12月10日 (月)

不動産投資インデックスと不動産デリバティブ

 アルファーブロガーアワードには見事になれませんでしたあ。

でも、先日、その発表日に本物の葉玉さんや貞子さんKimutaxさん、Fredyさんにお会いできてこと+抽選でRollyGetしてしまったことから考えると、名よりも実をしっかり取ってしまったような気がします。今後、このように人生も進行していくという暗示であるならば、それはそれとして良きことかな♪

さて、今日のネタを探そうとしていたら不動産証券化協会HPで、J-REIT 市場の変遷と展望に関する報告書-J-REIT 誕生からの5 年間のデータを活用した分析・検討-」を見つけ、不動産投資インデックスのところだけ読んでみました。

不動産投資インデックスとは、実物不動産の投資収益を示す指標であり、たとえば、今後、ある不動産に投資するかどうかという意思決定や、すでに購入した不動産が、予想通り、予想以上に儲かっていたのか、そうじゃなかったのかを判断する材料として使えるものです。

 指標としてインカム収益率、キャピタル収益率、総合収益率があります。

 不動産証券化協会が公表しているJ-REIT PROPERTY  INDEXによると、

インカム収益率(Office)は、 2002年1月が 6.2%、 20066月が5.3

キャピタル収益率(Office)は、20021月が△1.2%    20066月が11.3

総合収益率(Office)は    20021月が 5.0%    20066月が16.6%

となります。かなり5年間で土地の価格が上昇したんだなあと思います。

 インデックスは証券でもあるのですが、証券の場合、市場でいっぱい取引されているから、その取引価格を引っ張ってこれるのですが、実物不動産はそんなに取引がないので、取引価格に代えて不動産鑑定評価額を使っているようです。

 まだまだ日本の不動産投資インデックスは発展途上だそうですが、論文で期待されている役割をいくつか示していらっしゃいます。

その中で、これは不動産投資インデックスとして必要性があるなと思ったのが、不動産の将来の値下がりをヘッジするために不動産デリバティブを組成するニーズがあるので、その組成のために、この不動産投資インデックスを使えないかということです。

上記論文、84ページを引用させていただくと次のとおりです。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

不動産投資インデックスの将来の想定される実現値及びその他想定さえる諸条件のそれぞれに応じて予めペイオフを定めていく金融商品、即ち、不動産デリバティブの組成が考えられる。不動産デリバティブの取引を通じて、例えば、不動産の価格変動リスクをヘッジすることが可能となる。不動産のリスクが顕在化している現状を踏まえれば、不動産の価格変動リスクをヘッジするニーズは高まっているといえ、不動産デリバティブによって、不動産のリスクが望ましい形で分配されることが期待される。

そういえば、不動産デリバティブって見たことがないですしね。ただ、よくわからないから書くのですが、金利や為替と異なり、あまりにも不動産って個別性が強いから、ほんとうにヘッジできるようなデリバティブ商品の組成って可能なのでしょうか♪

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2007年12月 6日 (木)

TMKとSPT

今日は、スーパーマイナーなお話

TMK(特定目的会社)とSPT(特定目的信託)はどう違うの?

TMKSPTも資産の流動化に関する法律に基づいて作られた資産を稼がせてるために存在する事業体です。

TMKは特定目的会社といわれるように法人の一種であり、SPTは信託です。

資産の流動化に関する法律は、バブルのあとの暗黒の10年における不良債権処理や、企業の贅肉のような資産を譲渡してお金を受け取り借入金を返済すること等のニーズが強かったために作られた法律です。

この法律によりTMKSPTが作られ、企業の持っていた資産がこれらの事業体に譲渡される。そして購入資金は投資家から集めてくる。そして、資産を働かせ、稼がせ、利益がでたら投資家に分配するしくみです。

投資家からの資金の調達方法はTMKの場合は優先出資証券(配当は特定出資に優先して払われるが議決権はない)を発行したり、社債を発行したりして調達します。

SPTの場合は、受益権を発行したりして資金を調達します。

SPTTMKの特徴は、一定の要件を満たす場合は出資者や受益者に支払われた配当が損金となることです。

TMKはそれなりに実績がありますが、実はSPTは1件くらいしか事例がないようです。

これは、他の信託が受託者段階で課税しないことや受託者責任が過重されていること等、ようするに使い勝手が悪いからだと思われます。

なお、両者の収益分配金に対する消費税法上の取り扱いですが、TMKからの配当は不課税とされ、SPTからの配当は非課税とされるというような点が異なります。

消費税法基本通達

5-2-8              剰余金の配当等

剰余金の配当若しくは利益の配当又は剰余金の分配(出資に係るものに限る。以下528において同じ。)は、株主又は出資者たる地位に基づき、出資に対する配当又は分配として受けるものであるから、資産の譲渡等の対価に該当しないことに留意する。

6-3-1       金融取引及び保険料を対価とする役務の提供等

法別表第一第3号《利子を対価とする貸付金等》の規定においては、おおねむ次のものを対価とする資産の貸付け又は役務の提供が非課税となるのであるから留意する。

(5) 法法第2条第29号《定義》に規定する集団投資信託、同条第29号の2に規定する法人課税信託又は同法第12条第4項第1号《信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属》に規定する退職年金信託若しくは同項第2号に規定する特定公益信託等の収益の分配金

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2007年12月 5日 (水)

公益法人制度改革と税制改正

今朝の日経は、信託大好きおばちゃんネタにからんだグローバルな話題が載ってます。たとえば、金融面には『「中印会計基準も容認を」プロ向け証券市場経産省が提言』これは、11月に書いたエントリー「  インド株をJDRとして、日本で買えるか?」で書いたネタにからんでるし、先週、「イスラム金融の仕組み」を書いたら、経済教室面のゼミナールは「イスラム金融の基礎」を連載しているし、

で、今朝は一面トップに「社団・財団法人改革、税制で促進 営利事業の課税強化 政府与党「公益」は非課税拡大」となってます。

現行税制では、会社以外の組織体である人格のない社団やNPO法人、財団法人、社団法人は、33事業として定めた収益事業を営んでいる場合は、その事業から生ずる所得については税金をかけましょうというシステムになってます。その組織体が何のためにお金を使うのかが問題ではなく、そのお金がどこから生じているかという観点から税金をかけるシステムで、税金を取る側からすればわかりやすいものです。戦後このシステムはずーっと続いてきたのですが、今般、公益法人改革が行われることになりその見直しを行うことになるようです。

記事を読みながらどうなるかを書くと、公益法人改革により、これまでの社団・財団法人は公益社団・財団法人と一般社団・財団法人に分かれます。

課税方法は、この2つのタイプで分けるのではなく、一般社団・財団法人を非営利か営利かにわけます。営利法人というのは、その法人の出資者がその法人から生じた利益や残余財産の分配を受けるようなものだと思います。株式会社をイメージすればいいと思います。非営利法人というのは、出資者が配当や残余財産の分配を受けない法人です。記事によると、非営利法人かどうかを、たとえば、残余財産が国に帰属すると定款に定めているかどうかで判断するようです。

非営利法人と判定された一般社団・財団法人は、従来と同じように、33事業から生ずる所得に法人税がかかるけど、この税率が22%から30%に増えるようですね。そして非営利とされない一般社団・財団法人は、普通の会社と同じ法人税のシステムで税金がかかる。

第三者機関のお墨付きをもらって公益社団・財団法人されたものは、33事業を営んでいても一部非課税で税率は調整中だそうです。

今ある社団・財団っていろんなものがあると思います。学校法人や社会福祉法人系はたぶん、公益法人グループに入るのでしょうね。それでは、宗教法人はどうなるのでしょう?大規模宗教法人からプチお寺まである。

また、この改革は、あくまでも社団法人・財団法人であるから、人格のない社団やらNPO法人がどうなるかはわからないですね。

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2007年11月 9日 (金)

ふんだりけったり法人課税REITの投資家

前回、どうもFCレジデンシャル投資法人に、ほんとうに本邦初の法人課税されそうだというお話を書きました。

 今日は、このREITからの分配金は、たとえ、法人課税されようとも、投資家サイドで受取配当益金不算入や配当控除が使えないんじゃないかという疑問を書きます。

REITの特徴は、何度も書いていますが、一定の要件を満たせば、REITにおいて配当が税務上の費用(損金)となることです。通常、配当は、利益の処分だから損金にはなりません。

REITで100の利益が出た場合、要件を満たせば、配当が損金となるので、100配当に回せる。もし、配当が損金にならないのだったら100の利益に法人税等が40かかるから、配当に60しかまわせません。

でも、一般の事業会社の場合は、100の利益に法人税等が40かかって、配当に60まわすシステムなんですね。だから、法人税がかかっても、この部分は、一般の事業会社とは変わらない。

ところがです。一般の事業会社(日本の事業会社ね)からの配当を法人がもらった場合は、その配当のうちアバウトにいえば50%とか100%部分は、税務上の収入(益金)にはならないのです。つまり、60配当をもらったら、会計上は60収入にあがるけど、税務上は一部又は、全部が収入にあがらない。そうなると、収入に上がらない部分だけ所得が減るから、投資家である法人の支払う法人税等も減るわけです。

また、一般の事業会社から配当を個人がもらった場合、配当控除といって税金のディスカウントがあるんです。

なぜこのような仕組みにするかというと、たとえば100の利益のでた会社の法人の株主が税金を引いた残り60を配当として受取り、その配当に税金をかけると、ここでかかる税金が60×40%=24となるから、手取りは36となる。でも、配当の元になる所得というのは100だけ。そうすると100の利益が配当という形で株主に流れるたびに税金をかけると同じ利益に2重にも3重にも税金をかけることになる。これは、おかしいということで、株主が法人の場合は、もらった配当を益金にしないシステム、株主が個人の場合は、税金のディスカウントのシステムが作られています。

REITに関しては、配当を損金にするということで、支払い時に税金がかからないことから株主には受取配当の益金不算入や配当控除の適用がないとされています。

ところが、法人課税されるようなREITができてしまいそうだ。そうすると、REITでの支払い段階では、事業会社と同じように税金がかかった後の残りを配当することになるから、投資家側では、事業会社と同じように二重課税を排除するようなシステムを作らないとおかしいですね。

でも、条文を読むと、そうじゃないような気がするのです。

たとえば、法人投資家のための条文

租税特別措置法67条の15(投資法人に係る課税の特例)

 5 法人が投資法人から支払を受ける配当等の額は、法人税法第23条第1項及び第93条第2項第2号に規定する配当等の額に該当しないものとみなす

これは、法人がREITから支払いを受ける配当は一律、受取配当の益金不算入の適用はありませんよということを書いていると思うのです。

また、個人投資家のための条文

第9条(配当控除の特例)

 個人の各年分の総所得金額のうちに次に掲げる配当等(所得税法第24条第1項に規定する配当等をいう。以下この条において同じ。)に係る配当所得がある場合には、当該配当所得については、同法第92条第1項の規定は、適用しない。七 投資信託及び投資法人に関する法律第2条第12項に規定する投資法人から支払を受けるべき配当等

 こっちも個人がREITから支払いを受ける配当は、一律、配当控除の対象にならないと書いているような気がするのです。

 でも、もしかしたら、例外規定があるのかもしれません。いや、きっと特別の規定があるに違いない。だってあんまりにも不合理だから。見つかったらこのブログでお知らせしますからね♪

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2007年11月 8日 (木)

本邦初、世界的にも稀な法人課税されそうなREIT

 今朝は、あんまり日経ネタがないし、頭の中にストックもないので、先月このブログでも話題になったREITの法人課税の話について、

 REIT(不動産投資信託)厳密にいうと投資法人は、お金を稼ぐためだけに作られた箱みたいなものです。この箱(ビークル)に投資家からのお金をがばっといれて、そのお金で不動産や不動産の受益権を買ってこの箱にいれて、お金を儲けさせます。そしてお金が儲かったら、それを投資家に分配します。

会社もお金儲けの箱だけど、この箱には人、物、金がはいっていて、わーっとお金儲けをするようなもの。でも投資法人という箱の中身は、ほぼ物だけ。お金は入ってきてもすぐ物に変わったり、出て行ったりするし、人は外から指図して箱の中に入ってきません。

投資家は、1円でも多くのお金が儲かればいいと思っていますが、儲けは収入から費用を引いて計算されるものです。最大の費用というのは税金で、日本では法人に対する実効税率は40% くらいです。100円儲けても40円税金をとられるから、60円しか残らない。つまり60円しか配当できないということです。

でも、もし、この投資法人という箱で税金がかからなかったら投資家は100円配当をもらうことができます。お金をいっぱい分配してくれる箱の方が魅力的だし、そっちに投資家のお金が集まります。投資法人に関しては、一定の要件を満たす場合は、投資家に支払う配当を税務上の費用(損金)としてみてあげましょうとなっています。このようにすることにより、投資法人段階では法人税がかかりません。

ところで、この配当が損金となる要件のひとつとして、投資法人が同族会社じゃないというものがあります。これは、期末に3人以下の株主が投資法人の株の過半数を持っていたらダメということです。ダメになったら、配当が4割カットになるわけです。

先月話題になっていたREIT FCレジデンシャル 投資法人のプレスリリース111日)を引用させていただきますと、

税法上の導管性要件を満たさない場合、利益の配当の損金算入ができなくなり、本投資法人の税負担が発生する結果、税負担相当額の投資主への分配金が減少します。このため、本投資法人としては、現時点において第4 期(平成19 10 月期)の利益予想および一口当たり分配金予想を下記のとおり修正します。

一口あたり分配金が、予想10,005円→5,857円となるわけです。

大量保有報告書によると上位3社で56.14%のようです。でも、これは期末の数字ではない。現在、確認中ということで、まだ最終的にどうなるかはわからないようですが、ほぼ4割カットは確定というようなことですね。

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2007年10月30日 (火)

投資信託の広告

今朝の日経は、投資信託の広告がやたら目に付きます。昔は、貸付信託が信託を使った金融商品の目玉だったけど、今は、圧倒的に投資信託。

この投資信託の個別の広告をみているのですけど、金融商品取引法の影響ですけれどもリスク説明があって、それが大きな字(確か内閣府令で、ポイント決められている)で書かれています。

ぱっと目に付いたエース証券のベトナム成長ファンド(ケイマン籍オープンエンド型外国投資信託)のリスクとしては、

受益証券の流動性に関するリスク

当該ファンドに組み込まれている連動社債への投資に関するリスク

連動社債発行会社の信用性に関するリスク

外国為替レートの変動リスク

早期買戻し(途中換金)のリスク

政治的リスクおよび税制上のリスク

があります。

これだけ書いても、中身のリスクがわかる人って投資家のうち一部だと思います。そこらのおっちゃんおばちゃんが流動性に関するリスクといわれて、ぱっとイメージできるわけない。

たぶん、J-REITのリスク説明の中にも同じように税制上のリスクと書いているのでしょうね。でも、これじゃ税制の何がリスクなのかわからない。これじゃ説明していることにほとんどなってない。

大株主が現れたら配当が4割落ちます!どうなるかは期末にならないとわかりません!というリスクであることをきちんと話して、どこかに書かないとね♪

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2007年10月24日 (水)

LLCが法人とみなされるんだったら

今朝は久々に日経ネタ以外。 今朝は寒かったですぅ。もう、夏のスウェットパンツはきついかもしれませんね。

LLCって組織体がアメリカにあります。日本の合同会社は、このLLCのコピー版のようにいわれています。出資者が経営する組織体だけど、機関設計は自由にできて、合名会社や合資会社のように社員の全部または一部が会社の債務に関して無限連帯責任を負うようなことはない。つまり、全員有限責任(出資額限度)そして、会社で生じた損益は社員に帰属すると決められているようなもの。

ただ、アメリカと日本の大きな違いは、アメリカではLLCから生じた所得は納税義務者の選択によりLLC段階で課税することもできるし、構成員(出資者)段階で課税することもできる。構成員課税はパス・スルー課税ともよばれますが、

日本の合同会社の課税はどうかというと、ご存知のように合同会社段階で課税 法人課税とされています。

じゃ、日本の居住者や日本の会社がLLCに出資して、アメリカのお上にLLCの所得に対する税金は出資者が払いますよと届けたらどうなるか。アメリカの税法では、LLCで生じた所得に対する税金は出資者が納める義務がある。もし損失が生じたら、損失もパススルーされることになる。だからもしその者が、LLC以外にもアメリカで事業をやっていて、そっちの事業に関してもアメリカで税金を納めないといけないのだったら、アメリカの税金の計算をする際には、LLCの損失と他の事業の所得は通算できると思います。

では、このLLCの損失というのは、日本の税法において、日本の居住者や日本の会社のほかの所得と通算できるかということです。もし、このLLCがパススルー課税の対象のようなものであり、出資者が日本の会社であっても所得と通算は可能です。もちろん、日本の税法で規定された損失制限はあると思いますが。もし、出資者が日本の居住者で、このLLCの所得が不動産所得の場合は他の所得との通算は難しいでしょうね。

ところが、以前から日本のお上はLLCは、原則的には、法人ではないかというようなことをアナウンスしていた。

でも、LLCを使ったある日本の居住者が、勝負!という感じで、LLCの所得を不動産所得等として申告した。それをみたお上は、ダメだといってんだろということで否認した。それじゃ裁判で決着をつけましょうということになった。 争点として、LLCの所得は不動産所得か否か、LLCからの分配は配当か否かというのがあった。そして、その判決がでてきているのですが、どうもお上の方に軍配が上がっているようです。つまりLLCは法人であるということを認めた。そしてLLCからの分配は、法人からの配当であるという判断した。だから、LLCで発生した所得は不動産所得とはならない。LLCという別の法人の所得だから

LLCは法人であるとお上が主張し、裁判所も今のところ認めている。で、話はこれで終わリません。

もし、LLCからの分配が配当であるとしたならば、LLCの配当の源泉である所得について日本の会社名義で払ったアメリカの法人税に関して、日本で間接外国税額控除を受けれないとおかしいですよね。日本の会社がアメリカに子会社(株式会社のようなもの)を作って、配当を受けた場合は、その配当に対応する法人税は間接税額控除の対象になってますから。 LLCが法人という限りは、そうならないとおかしいのではないですか。ところが、このLLCの支払った法人税に関する取り扱いがファジーでして、直接税額控除だ、いや間接税額控除だ、いや外国税額控除は使えないなど議論は山ほどあっても結論がない。だからみんな困っているんだけどね。

先日、どこの新聞か忘れましたが、間接税額控除はやめて外国の会社から受け取った配当に関しても受取配当の益金不算入にしましょうというお話もあるようです。

新たな枠組み作りも大事ですが、すでに問題となっている件に関して解決して欲しいです♪

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2007年10月19日 (金)

お返事 またまた、投資法人(REIT)の話

おおすぎ先生:

17日の日経に載っていた「外国の投資家が日本のREITを買い集めているため、同族会社と認定されることになれば、税制上の恩典が認められなくなるため、同じREITに投資している日本人投資家が不測の損害を蒙るという問題が生じている」との記事について、「恩典が認められなくなる」ことの損害は当該外国人投資家には生じないというのが前提なのでしょうか? 事業会社を対象にした敵対的買収と似た話になっているので面白いのですが、もし上記だとすれば制度に何か問題があるということですし、もし外国人にも損害が生じうるのにそれを知りつつ買い集めているとすると、チキンレースなわけで、それはそれで凄いなと思った次第です。

信託大好きおばちゃん

以前、「REITLCP」の分配金(配当)は予定通り払えます♪」(1//07)で話題にしていたのですが、またまた、別のREITでも発生しました。

REITの器である投資法人の株主(投資家)が、3人以下で過半数占めるようになったら、その会社は同族会社に該当し、そうなったら、REITの特典である配当の損金算入(税務上の費用)ができなくなりますよという規定があります。ようするに100の利益がでたREITに今までだったら投資家に100配当できたのですが、配当が損金にならないのだったら法人税等40を差し引いた60しか配当ができないということです。つまり配当の4割カット。

これは要件を満たしたら、REITの所得に適用があるものなので、投資家が大株主だろうが小株主だろうが関係ありません。一律に4割カットです。

外人にとっては、配当の4割カットよりも、REITの株を過半数もって、REITの株主総会のようなところで発言権を持ち、REITの運用会社の親会社の頸を替える方が大事なようですね。

REITの株主というのは、通常は、REITの経営なんかに興味がなく、いっぱい配当さえくれればいい人たちであり、それを前提に制度設計をしていたはずなのですが、ここにきてそーではない大株主があらわれてしまった。そういう大株主のご意向で小株主の配当利回りが4割カットされるというのはたまったものではない。

投資法人、それも上場している投資法人を考えると、なにも同族会社要件をいれる必要はないと思うのです。同族会社だったらREITを使って節税に使われる可能性が高いからこんな規定を入れたと思いますが、同族会社になってもいいという外人株主の登場なんて制度設計の段階では考えてもいなかったでしょうね。

平成20年の税制改正で投資法人から同族会社要件をはずし、現行のREITも新年度から適用するというのがいいかもしれません。

もしだめだったら、前にも書いたのですが、同族会社要件のない特定受益証券発行信託にシフトしていくのではないでしょうか。ただ、受益証券を上場させるためには、いっぱい規則をつくりシステムを構築しないといけないから(たぶん、ペーパレス化されると思いますが)いきなり来年4月からできるかどうかはわかりませんが♪

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2007年10月18日 (木)

お返事 「またまたTK解散時の現物払い戻し 」

TKに関しては、きっと、プロの方がなんらかのコメントをしていただけると期待していました。

いちおう、私がいっていたのは、TKへの出資が100ありまして、営業者が土地を買いました。そうしたら土地の含み益があって時価が300でした。この時点でTKをやめて、投資家に300現金を払いました。営業者には時価が300の土地が残りました。このときの営業者の仕訳(税務上ね)はどうなるのでしょうかというようなことなのです。

信託大好きおばちゃん説(説というほどオオゲサなものではないのですが)

TK預かり金 100   現金 300

TK消却損  200

IBintelligent boy)現PBprofessional boy)さん:

会計上の仕訳は

預かり金 100 現金  300

土地   200

とする以外にありえないでしょうね。

税務上認められるかどうかはまったく別問題ですが。

(会計上の経理と税務上の認識が一致する必要は無いですから)

ただ、組合運営時は、土地は実質は出資者のものであったわけで、清算によって譲渡が行われた、という解釈は不可能ではないと思います。

信託大好きおばちゃん:

別に私は お上のサポーターではありませんし、そんなこと信託大好きおばちゃんが主張したらきっとお上は「お前にだけは言われたくないわ!」と吼えるでしょう。絶対に!(笑)

TKの実態というか使われ方を考えると、民法上の組合とほとんどかわらなく、なぜTKを使っているかというと、ほかのビークルと比較して、いろんな面で都合がいいからだと思うのです。

そのような実態を考えると、PBさんのような仕訳も理解できます。しかし、現行の税制ではお上はそのように考えていないようです。一応、お上のご意思を反映しているであろう法人税基本通達のコンメンタール の最新版「1413(匿名組合契約に係る損益)」から引用させていただきますと、

「法人が匿名組合員である場合におけるその匿名組合営業について生じた損益の帰属については、法人税基本通達14-1-1の任意組合等の場合と異なり、匿名組合員に直接帰属するものではなく、匿名組合契約によって営業者から分配を受け又は負担をすべき部分の金額をその計算期間(匿名組合営業の場合は、営業者が商人であることから毎年1回一定の時期に決算を行う)の末日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。

この場合の損益の認識としては、営業者の有する資産、負債又は営業者の取引を匿名組合員の自己の資産、負債又は自己の取引として認識することはあり得ないので、法人税基本通達14-1-2の(3)に定めるいわゆる純額方式しかないものと考えられる。」

つまり、現在の税法の世界では、営業者の有する土地は営業者のものであり、組合員のものではないと考えているのです。だから、清算により土地が実質的に組合員から営業者に譲渡されたとはとることはできないのではないかと思うのです。

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2007年10月12日 (金)

不動産信託受益権 投資法人と証券投資信託

今朝の日経新聞を読んでいたら「上場投信の品ぞろえ拡充」という記事がありました。ここで、大和投資信託は近くシンガポール取引所で、イスラム法に準拠した日本株指数連動のETF(株価指数に連動する上場している投資信託)を上場すると記されています。この指数の元になる日本株式は、イスラム教の教義で禁止されている豚肉やアルコール関連企業を除いた日本の代表的な企業の株式100銘柄で構成されているようです。オイルマネーが欲しいということが根底にあるようですね。

 じゃ、インドからお金をETFで調達したい場合は、牛肉関連企業を除いた株式で組成することになるのでしょうね。

 話変わって、ぼーっとREITのことを考えたのですが、REITの受け皿になる投資法人って、現物の不動産というよりも不動産の信託受益権を持っているケースが多いですよね。信託受益権って証取法の時代には債権でした。

 で、ここで証券投資信託について考えました。証券投資信託として組成したら、信託で生じた利益というのは、投資家に分配されるまで課税が繰り延べられます。投資法人は、いろんな要件をクリアしてやっと投資家に支払った配当が受託者側で損金となるというしくみですが、こんないろんな要件が証券投資信託の場合はないはずです。

 証券投資信託って何かというと、信託財産を主として有価証券に対する投資として運用することを目的とする信託契約です。

 証取法の時代は信託受益権は有価証券じゃないから不動産信託受益権を主として運用する信託は証券投資信託になれませんでした。

 金商法の時代となり、信託受益権はみなし有価証券となりました。証券投資信託の運用の対象となる有価証券にみなし有価証券は入るのでしょうか?入るんだったら不動産信託受益権を証券投資信託にいれた商品も可能になりますよね。

 ちょっと時間切れで調べられませんでした。たぶん、だめなんでしょうけど♪

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2007年10月11日 (木)

またまたTK解散時の現物払い戻し 

先週、TKの解散時の現物払い戻しというマニアックな記事を書きました。今日はマニアックなTKのお話の続き

出資者とTKの契約を結び100円出資し、営業者はその資金で信託受益権を買いました。この信託受益権の中身は土地です。営業者の帳簿上に信託受益権(土地)100が計上されています。       

営業者のBS上は  

 資産         負債 

信託土地     100 TK預かり金100

出資者のBS上は

 資産

TK出資   100

この信託契約を解除し、営業者は、土地の実物を受け取りました。この時点での土地の時価は300.信託解除時点で、土地の含み益課税は行われません。自分が別に預けていたものが自分の手元に返ってくるだけだから。

営業者信託終了時の仕訳   

土地    100  信託土地   100

なお、信託財産から生じた利益は、現金で全額出資者に支払われていました。だから出資者のTK出資の帳簿価額は100のままでした。

 営業者のBS上は     

資産       負債

土地    100 TK預かり金100

 出資者のBS上は  

資産

TK出資   100

さて、TKを解散しましたが、含み益のある土地は営業者に残し、出資者には、現金300を支払いました。

この場合の営業者の仕訳はどうなるのでしょう?

預かり金   100    現金 300

TK清算損200

出資者の仕訳は

現金 300     TK出資 100

          TK清算益200

営業者においてTK清算損 200を計上し、税務上 損金とできるのでしょうか。

もしここで清算損を計上し、その後営業者がこの土地を外部に300で譲渡した場合

土地譲渡時点の仕訳は

現金 300      土地   100

          譲渡益   200 となります。

ただ、TK解散時の清算損の計上に関して問題があるというご意見もあるようです。

この場合の営業者の仕訳は、

預かり金  100   現金  300

土地?   200

これは、解散時に営業者が土地を時価300で売却して、300円で買い戻したというように考えているのだと思います。

でも、土地自体はずっと営業者が自分の財産として持ち続けているようなものですし、税法の世界では、特殊事情がない限り資産の評価益は認められません。そうすると借方土地 200というのはどうかな?

こんな場合、どう処理すればOKなのでしょうか♪

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2007年10月 9日 (火)

なぜ、REITは投資法人で組成しているの?

おおやさん:たしか4月だったか、日経に載っていた記事の続報ですよね。(REIT LCP投資法人のお話です。)てっきり信託だと思っていました。法人(投資法人)なんですね。

でも、法人税がかからない。

これって、匿名組合や任意組合とのバランスと取っているんでしょうが、あえて法人形式をとるメリットってあるのでしょうか?

信託大好きおばちゃん: 一応、税務の視点に限定して書きます。法人税がかからない 非課税だというのではなく、投資法人の場合は、所得に法人税がかかるけど、一定の要件を満たしている場合は、配当が損金となるから、結果的に、配当部分に関しては投資法人側で税金がかからないことになるということです。

信託法の改正により可能となる特定受益証券発行信託に関しては、分配時課税とされていますが、こっちは、配当がどうだこうだでなく、特定受益証券発行信託である限り、信託から生ずる所得について、発生時点では、受託者にも受益者にも委託者にも課税されませんね。

REITは、投資家が不特定多数存在し、しかも、しょっちゅう投資家が入れ替わる可能性があります。こういう場合、投資家がREITに何を望むかというと、事業をコントロールしたいというより、利回りの追求だと思うのです。また、保有している間にもらえる所得や、出資持分を譲渡した場合の所得について、所得の計算方法が明確で、計算が楽な方がいいと思うのです。投資法人の投資家の課税関係は、配当控除や受取配当の益金不算入ができないほかは、ほとんど株式と同じですよね。

一方、匿名組合や民法上の組合は、出資者に利益や損失が配分されますが、これらの計算方法というのは通達でおおざっぱに決めているだけでわからない部分が多いです。また、民法上の組合やLLP(有限責任事業組合)について、多数の出資者が存在し、加入、脱退をする場合、所得計算は非常に複雑になるので、正確で迅速な所得計算が困難です。ようするに、これらのビークルは、多数の投資家相手のビークルとして使えない。

だから、REITは投資法人を使うことになり、大きく成長したのでしょう。

なお、投資法人にはLCPで問題となった同族会社要件があるのですが、特定受益証券発行信託に関しては、同族会社要件はありません。したがって、将来、REITのような商品は投資法人から特定受益証券発行信託にシフトされる可能性はありますね。こっちの場合も投資家の課税関係は、配当控除や受取配当の益金不算入ができないほかは、ほとんど株式と同じだから楽なんです♪

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2007年10月 5日 (金)

REIT「LCP」の分配金(配当)は予定通り払えます♪

 今朝の日経の投資財務2面に小さな記事ですが「REITLCP 『分配金は計画通り』上位3社保有比率、実質50%未満」というのがあります。

 REITというのは不動産投資信託といわれていますが、厳密にいうと投資信託ではなく投資法人なんですね。投資法人の税務上の特徴というのは、一定の要件を満たしている場合、配当が損金となるわけです。通常、配当は利益の分配だから、法人税を差し引いた残りから支払われるわけで、100利益がでても40税金でもっていかれて、60しか配当にまわせない。でも配当が損金になるなら、100の利益のうち100を配当にあてることができる。それだけ投資家にとっては利回りが高まるからおいしいのです。

この配当が損金になる要件のひとつとして同族会社でないことがあります。

同族会社というのは、3人以下の株主が発行済み株式総数の過半数を持っている会社や、3人以下の株主が一定の議決権の過半数を持っている会社などです。

投資法人の友達の特定目的会社(TMK)のように出資者が特定出資者(議決権ある)優先出資者(議決権はないけど配当は優先的にもらえる)にわかれるようなことは投資法人にはないようだから、投資法人は、いわゆる、一種類の株式だけ発行している株式会社と同じようなものとして判定すればいいのかもしれません。

 プレスリリースによりますと、大口投資家の平成19831日現在の保有率は51.1%です。これだったらいきなり同族会社!で、配当が減る!となりそうですが、この保有の状況を調べていくと、このうちの2社は複数の投資家のために株式を管理する金融機関であり、その中身を調べていった結果、

「平成19 8 31 日現在の持株基準(名義株は含みません。)による上位3 社の保有投資口の合計は44,311 口(保有比率48.27%)、また、議決権基準(議決権行使に係る同意によるみなし株主を含みます。)による上位3 社の保有投資口の合計は最大でも45,186 口(保有比率49.22%)であると考えており、税法上の同族会社に係る判定基準である持株基準及び議決権基準のいずれの基準においても50%を超えていないと判断するに至りました。」

 ということで、同族会社に該当せず、たぶん他の要件も満たしているから配当は損金となり、予定通りの利回りで投資家に分配されるようですね。めでたし めでたし。

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2007年10月 4日 (木)

TKの解散時の現物払い戻し

匿名組合(TK)とは、出資者と営業者の間で結ばれた出資契約のようなもの。出資者はお金をだし、営業者はお金をもらって事業をする。事業上のリスクを受けるのは事業者で出資者は表にでてこないというようなもの。その事業から生じた利益や損失は、出資者に配賦する。税務上、利益を配賦した場合その利益部分は営業者の損金、出資者の益金となる。

さて、出資者とTKの契約を結び100円出資し、営業者はその資金で信託受益権を買いました。この信託受益権の中身は土地です。営業者の帳簿上に信託受益権(土地)100が計上されています。       

営業者のBS上は   資産         負債 

                  信託土地     100 匿名組合預かり金100

出資者のBS上は  匿名組合出資   100

この信託契約を解除し、営業者は、土地の実物を受け取りました。この時点での土地の時価は300.信託解除時点で、土地の含み益課税は行われません。自分が別に預けていたものが自分の手元に返ってくるだけだから。

信託終了時の仕訳   土地    100  信託土地   100

なお、信託財産から生じた利益は、現金で全額出資者に支払われていました。だから出資者の匿名組合出資の帳簿価額は100のままでした。

 営業者のBS上は     資産       負債

                  土地       100 匿名組合預かり金100

 出資者のBS上は  匿名組合出資   100

では、次に出資者と営業者の間で結んだ匿名組合契約を解除し、出資者に土地を分配しました。さてこの時点での仕訳ですが、出資者への土地の分配時点で含み益を実現するかです。信託というのは、受益者と受託者は別だけど、税務上受託者の持ってる信託財産は受益者のものだから、受益者が受託者に信託したり、受託者から受益者に財産が戻った時点で、受益者が単独の場合は譲渡損益課税はしませんよとなってます。でも、匿名組合は営業者のものは出資者のものというような考えがベースにあるのではなく、単に営業者の利益や損失を配賦しましょうというものです。だから営業者から出資者への資産の移転がある場合は、その時点で資産の譲渡があったものとして譲渡損益を認識すべきと考えます。

営業者の仕訳は、  分配金(損金) 200    土地 100

                      譲渡益  200

         匿名組合預かり金 100

出資者の仕訳は   土地      300   分配金(益金)200

                     匿名組合出資   100

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2007年6月26日 (火)

任意組合の組合員と合名会社の社員の損失負担の差異

任意組合の出資者は、組合で生じた債務に無限責任を負うけど、生じた債務の負担割合に応じる。たとえば、組合員が2人(甲、乙)いて、債務が100生じても、負担割合が甲30%だったら30だけ負担。でも債権者が負担割合を知らなかった場合は 債権者は甲に対して50請求できる。

合名会社の社員は、合名会社で生じた債務に無限責任を負うけど、こっちは、連帯責任。社員が甲、乙の2人で負担割合が30:70でも、債権者は債務が100の場合は甲に対して100請求できる。

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2007年6月14日 (木)

民法上の組合と信託

組合(民法上の組合)というのは、複数の者が出資して、一緒に事業を行い、利益を受けリスクも負う契約 出資する者と事業を行う者と利益を受けリスクを負担する者はほぼ一致する。

これと信託を比較すると

 複数の者が出資して    信託は単数の者が出資することが可能

 一緒に事業を行って    事業を行うのは、受託者

出資する者と事業を行う者と利益を受けリスクを負担する者はほぼ一致 信託の場合は一致する場合もあれば、一致しない場合もある。 委託者と受託者が一致するのは自己信託、委託者と受益者が一致するのは自益信託 受託者と受益者が一致することも認められるが、受託者が受益権の全部を1年以上所有している場合は、信託は終了する。信託とは、あくまでも受益者のために受託者が資産を管理処分するものだから。

リスクの負担は、民法上の組合の場合は、組合員が組合債務に関して無限に責任を負う。

信託の場合は、受託者の負担と受益者の負担にわかれる。 受託者の負担は、原則的には無限責任であるが、限定責任信託の場合は、信託財産限度で負担する。受益者の負担は、原則は、有限責任であるが、信託契約等で定めがある場合は、無限責任となる場合もある。

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2007年5月25日 (金)

なぜ外人はTMKじゃなくてTKを使うのか?

今日は、たまたま、租税研究4月号 さくら萌和監査法人杉本茂氏の「法廷4ビークル・改正前後信託と国際取引(その1)」を読んだので、そこから

 資産の証券化のビークルはいろいろあるけど、外人はTMK(特定目的会社)ではなく、TK(匿名組合)の方をより使っている。なぜか?

 TMKの特徴は要件を満たした場合は、配当が損金となるというものです。配当が損金になることから、法人税がビークル段階で節税できて、投資家にその分お金が入ってくるメリットがあります。

 TMKの配当が損金になるための要件には、優先出資を発行する、社債を公募する、社債を機関投資家に販売するというような方法に応じて異なる部分があります。

 出資や社債を公募する場合で配当が損金となる要件の一つとして、国内で50%超募集が行われることというものがあります。

 国内で募集していたら、たとえ投資家がみんな外人でもいいのではないか、ということで、当初は、国内で募集したけど投資家は外人ばっかりというのもあったらしいです。でも、投資家が外人だらけのようなビークルに関しては、税務調査が半年ぐらい行われたという噂がまことしやかに流れて、その後だれも国内で募集するけど投資家は外人だらけというもビークルを組成しようとする勇気のある人がいなくなりました。

 ということで、外人投資家案件はTMKよりもTKが非常に多くなりました♪

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2006年12月23日 (土)

匿名組合の利益の分配に対する源泉税の改正

匿名組合というものがあります。TK-GK(旧YK)方式でおなじみのビークルです。

登場人物は、お金を出資する人Xと、事業を行う人Yです。Xは、Yにお金を出資します。Yはそのお金を元に事業を行います。事業を行うから儲かる場合もあれば、損する場合もあります。儲かれば利益を出資者分配するのですが、これだけだったら単に会社を作って株式という形で出資してもらうのとかわりません。匿名組合の特徴としては、Yの事業収益をXに配賦しますよというしくみになっています。利益も分配すれば損失も分配しますよということです。

損失を分配する場合は、お金が出資者に流れないのですが、利益を分配する場合は、お金が出資者に流れます。これって配当と同じようなものですよね。配当を株主に支払う場合は、所得税や住民税を源泉徴収します。

匿名組合はどうなっているかというと、匿名組合出資者が外国人や外国法人の場合は、20%の源泉税が必要になっています。租税条約により源泉税が必要ない場合もありますが。

匿名組合員が居住者や内国法人の場合は現状ではどうなっているかというと、組合員が10人未満の場合は源泉税がいらないのです。だから匿名組合の組合員は通常10人未満に設定していると思います。

平成19年の改正で組合員が居住者や内国法人である場合、たとえ組合員が1人でも利益の分配に対して源泉税をかけるということになるようです。ただし平成2011日以後に支払われる利益の分配からですが、

なお信託会社が、厚生年金基金契約に基づいて将来の年金に預かっている財産を匿名組合契約出資した場合の利益の分配に関しては、源泉徴収は免除されます。そりゃそうですよね。信託会社が厚生年金基金契約に基づいて運用している利益というのは非課税になっているから、源泉徴収された税金を精算することはできないので利回が20%悪くなってしまいます。これでは将来の年金の受取額にも影響があるからね♪

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2006年12月13日 (水)

組合の損失規制のルール

平成19年の自民党の税調の答申が14日で、どうなるかはいろいろ情報があるようですが、これは14日になれば公になり確定になるので、それ以降ということで、

平成17年の税制改正で組合課税について損失規制が入りました。レバレッジドリースを組合をからめた節税商品の損失について否認かどうかで納税者とお上が争い、お上が負けちゃったことが要因で、がばっとできた規定ですが、

組合課税はパススルーといって、組合で生じた所得についてその組合段階で課税せず、構成員段階で課税しましょうというものです。ただこの構成員課税のルールについては、実は明確に法制化されていません。節税防止策だけができてしまったという奇妙な状況になっています。

で、この節税防止策というのが、構成員が法人である場合と個人である場合で処理が異なります。

法人の場合、その損失というのは、繰り延べられ、利益が出た場合には相殺できたり、組合の出資持分を譲渡したような場合も、繰り延べた損失を実現できます。

でも個人の場合は非常にきついですよね。有限責任事業組合の損失の場合は、原則的に組合出資をベースにした金額までは損失として認められます。でもたとえば民法上の組合が不動産の賃貸業を営んでいる場合で、その組合を仕切っているような組合員以外の組合員に配賦された損失については完全な切捨て状態、匿名組合の分配利益や損失は、雑損失だからほかの所得と通算できないというようになっています。まるで個人が組合員になるのは、租税回避ためと決め付けちゃってるところがあります。

このように法人と個人で処理が異なるのは、あんまりよくないと思うのですがどうしようもないのでしょうかね♪

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2006年11月23日 (木)

町おこしができなくなる!

特定目的会社(TMK)というのがあります。これは資産の流動化を推進するために設けられたビークルであり、特徴としては、一定の要件を満たしている場合は、支払われた配当が税務上の費用(損金)になるものです。

TMKで、投資家からお金を調達する方法として社債を発行する方法と優先出資を受ける方法があります。優先出資とは議決権はないけれども、配当は優先的に支払われるものです。

地域の町おこし、活性化のためにTMKを使う例があるようです。これらはロットとしては数億円規模と小ぶりなので、投資家に対して社債を使うというスキームはコストがかかるからあまり使われず、多数の地域住民に優先出資を引き受けてもらいます。

TMKで配当が損金になるためには、TMKが同族会社でないという要件を満たす必要があります。 平成18年の税制改正までは、このように地域住民に優先出資を引き受けてもらうTMKは同族会社に該当しないので、配当が損金となっていました。なぜなら同族会社とは、会社の株主の3人以下が発行済み株式総数等の50%超所有している会社であり、TMKの場合議決権のある株主がたとえ3人以下でも、優先出資を引き受ける株主が50人以上いることから、発行済み株式総数の過半数を3人が占めるということはなかったのです。

ところが平成18年の税制改正により同族会社の判定基準に議決権基準が入りました。すなわち会社の株主の3人以下が、一定の議決権株式の過半数を有する場合は同族会社となります。このような地域の町おこしのためのTMKは、議決権つき株式を地方公共団体や地元の有力な会社が持っているケースが多いので、同族会社になってしまう可能性が高くなります。この同族会社の基準というのは、平成18年からスタートするTMKだけでなく、既存のTMKにも適用されます。

そうなると配当が損金にならないので利回りが下がり、すでに動いているTMKが立ち行かなくなるケースもあります。

なるほど議決権つき株式を同族関係のない6人以上の株主に持ってもらうという方法もありますが、これって税金逃れだから同族会社行為計算の否認でだめですといわれることがないともいえません。いったいどうすればいいのでしょうか♪

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2006年9月15日 (金)

LLPの会計処理は

がーん 頭が痛~い。 昨晩、シャンパンとワインを馬鹿飲みしてしまった。

ASBJが「有限責任事業組合及び合同会社に対する出資者の

会計処理に関する実務上の取扱い」を平成18年9月8日に公表しました。

Q&Aで5つの設問があります。頭痛状態でさくっと読んだ感想ですが、以前でていた案とあんまり変化はありませんね。

個別財務諸表は

原則は、LLPへの出資額を出資金として計上し、毎期生じた損益のうち持分相当額は出資金勘定を増減させて処理する。これはたとえば100現金出資して、当期の損益のうち持分相当額が20の場合の仕訳は 

出資金 100 現金 100

出資金  20 LLP利益 20

ということか

でも資産、負債の持分相当額をBSに計上させ、損益もネットでなくグロスで計上するのもOK たとえば売上80 費用60で残高が現金の場合は

費用 60  売上80

現金 20

というような仕訳もOKだし、 BSはネットで、PLはグロスでもOK

出資金 20  売上80

費用  60

という仕訳かな

出資割合と 損益配分割合が異なるような場合は持分相当額を調整するということですが、具体案を出して欲しかったですね。

連結の方では、LLPも連結の対象になる。個別財務諸表で持分相当額を出資金として増減する処理をしても、そのLLPが連結対象に含まれる場合は、LLPの資産、負債を全部計上して、他者の持分相当額は少数株主持分として計上するということかな。

あと共同支配企業(ジョイントベンチャーみたいなもの)に当てはまる場合は、持分法で計上ということ

適用は、公表日以後に終了する中間期末等から

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2006年9月 7日 (木)

TMKの質問 ポジティブ・ガンマさんへのお返事

Q TMKでひとつ質問があるのですけれど、TMKの発行する優先出資証券を非居住者が買った場合、源泉税はかかるのでしょうか。もともと当該債券を居住者が買った場合には源泉税は一切かからないと理解しています。

A 購入した段階で源泉税はかからないと思います。これは買い手が居住者、非居住者の区別なく。でも優先出資証券を売却した場合の売却益については、ケースによっては日本にPEのない非居住者であっても日本で申告納税しないといけない場合もあると思います。

解説

TMKというのは特定目的会社という特定目的会社による特定資産の流動化による法律に基づいて作られたビークルです。このビークルが一定の要件を満たす場合は、支払う配当が損金(税務上の費用)になるので、ビークルの儲けが圧縮され、1円でも多くのお金を投資家に分配できるというメリットがあります。

このTMKが使える資金調達のツールとしては社債や優先出資証券(いわゆる優先配当株式 配当を通常の株式よりもよい条件でもらえるけど議決権がないようなやつ)があります。でも実務的には優先出資証券を使った資金調達はあまり使われず、社債の方が多いらしいです。なぜなら配当が損金となる要件に同族会社でないことがあるのですが、この要件を満たすのが難しいからです。でも社債の方は機関投資家に発行するような場合は同族会社要件がいらないのです。

で、優先出資証券を買った場合は源泉税がかからないと思います。たとえば上場している優先出資証券で特定口座を利用できるような場合だったら源泉分離課税の対象になると思いますが、TMKは上場を念頭においていないので、売買の時点で源泉税がかかることはないと思います。ま、特定口座が利用できるのは、居住者と日本にPEのある非居住者限定ですから、日本にPEのない非居住者に関しては、いずれにしても源泉税の対象にならないと思います

ただPEを日本にもっていない非居住者が優先出資証券を売却した場合の売却益に対する課税については、源泉税はおいといて検討する必要があります。

PEのない非居住者が日本の法人の株式を売却しても、原則的には非居住者の居住国のみで課税され、日本では課税されません。理論的には問題もありますが、株式譲渡を日本で補足できるとは限らないからという技術的な問題もあると思うのです。

でも事業譲渡に類似するような株式の譲渡や日本の不動産のかたまりのような会社の株式を譲渡したような場合は、日本でも税金を払ってくださいよねとなっていますね。

たとえばTMKが持っているのがリース債権ばっかしだったら、PEのない非居住者の優先出資証券の売却益は日本で課税されないけど、TMKが不動産や不動産を目的とした信託受益権をいっぱい持っているような場合は、日本でも譲渡益の15%の税金は払ってね。住民税はいらないからとなるのでしょうか。これは申告納税ですから、ほんとうに申告して納税してくれるかは別問題ですが、

それから非居住者の居住国と日本の間の租税条約が別の規定を作っていて、どんな場合でも株式譲渡益に課税しないとなっていたら日本では税金はかからないということになります。

とにかく海外がからむといろいろ考えないといけないから大変です♪ 

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2006年9月 1日 (金)

なぜ日本では寄付文化が発展しないのか

1.     ウォーレンバフェットがビルゲイツの財団に寄付するというけど

だいぶ前の話になりますが、ウォーレンバフェットという世界的な大金持ちの人が自分の財産のほとんどをビルゲイツと奥さんが経営している財団に寄付するということが話題になりました。

日本では、このような大金持ちやそうでもない人が寄付するという文化がアメリカほど育っていないといわれています。でも赤い羽根の共同募金なんかに参加する人は結構いますし、10年以上前におこった阪神淡路大震災では全国から1,800億円もの寄付金が集まってきたから寄付文化が育っていないというのは正しくないと思います。

ただアメリカと比較すると一人当たりの寄付金の額が少ないのです。政府の調査によると日本での一人当たりの寄付金は約19,000円であり、アメリカは約18万円、つまり10倍くらいの開きがあるわけです。

なぜこのような違いがあるのでしょうか?寄付に対して財布の紐がゆるまない原因のひとつとして税制の問題があります。

2.公益法人の恩典は、

公益法人などで税制上の恩典を受ける大きなポイントは2つあります。1つは、法人自体の所得のうち収益事業以外は非課税になるという点、もう一つは、法人に寄付した人に対して寄付金が控除できるという恩典です。今日はNPO法人(非営利法人)に個人が寄付した人場合に特化して、日米でどのように異なるのか書きます。

3.NPO法人が、認定NPO法人になるのは難しい

NPO法人というのは、普通の会社と違って営利を目的としないためにつくられた組織体ですが、寄付金で税制上の特典を受けようとするためには、認定NPO法人にならないといけません。そしてこの認定のハードルが大変厳しくて、20057月現在NPO法人が2,3万法人あるのに認定NPO法人は34件しかありません。

これに対してアメリカでは、特典つきのNPO法人が全米で約100万団体あり、毎年約4万団体ずつ増えていて、認定が受けられる率は95%です。

 

4.寄付金控除の枠が小さい

 日本で個人が寄付をして、それが寄付金控除の対象になるような場合は、個人の所得から支払った寄付金の一部を差し引いて所得をはじき出し、それに税率を乗じて所得税を計算します。

 ただ全額差し引くことができなくて、足切が改正で5,000円になって(つまり5,000円を超える金額の寄付がないと控除できない)でも所得の30%までしか控除の対象にならないのです。

米国では、寄付先がパブリックチャリティかプライベートファウンデーション(たぶんビルゲイツ財団はこっち)にわかれていて、パブリックの方の限度は所得の50%、プライベートの方は所得の30%であり、控除し切れなかった分は5年間繰り越せるのです。

これはどういうことかというとたとえば今年の所得が10万ドルで7万ドルをパブリックの方に寄付した場合、今年控除できるのは5万ドルで来年以降に2万ドル繰り越せます。翌年の所得がまた10万ドルの場合は限度が5万ドルなので、繰り越された2万ドルは翌年の所得から差し引けます。

このようなメリットがあるから寄付文化が推進されるのかもしれませんね♪

参考 松原明 轟木洋子 シーズ=市民活動を支える制度を作る会 「よくわかる日米NPO税制 ~14のQ&Aと基礎知識」

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2006年8月23日 (水)

特定組合員に一回なると抜けられない

1.平成17年の改正で

平成17年の改正で、組合で生じた損失について、組合員の所得と通算できる部分について規制が入りました。

以前、組合を利用した節税商品が流行っていたのですが、これを封じ込めるためです。

どういうものかというと、任意組合を作って、航空機を購入します。組合員のうち一人がしきるけど、あとはお金をだすだけ、で、出資金だけでなく借入金でも購入資金を賄う。そして航空機の減価償却費と借入金の利息と賃貸収入を組合員にパススルーさせる。通常は赤字で、組合員の他の所得と通算させる。そうすると赤字分だけ税金が減る。そんでもってリース期間の最後に航空機を売却するけど、個人の場合は、航空機を5年以上所有していた場合は、所得の2分の1部分が課税ベースに乗っかってくるのでtax benefitがあるというやつでした。

で、改正により特定組合員と非特定組合員にわけ、特定組合員が個人の場合は、任意組合を使って航空機のリースをするような結果生じた損失は他の所得と通算もできないとしました。また特定組合員が法人の場合は、出資した金額に組合所得を増減させた部分を限度として損失の計上を認め、超える部分は、利益が出た時点や、出資持分を譲渡した時点まで損失を繰延ることにしました。

2.特定組合員かどうか

 特定組合員というのは、簡単にいうと金は出すけど、汗はかかない組合員のことです。任意組合は、組合員全員が組合員の事業に参加して、組合で生じるリスクに関しては無限連帯責任を負うことになります。が組合事業の参加といっても、汗をかかなくても帳簿を見る権利や、汗をかく組合員を頸にする権利がある場合は、事業に参加してることに民法上はなるそうです。でもそれを利用して、節税策が考案されたので、特定組合員という概念をもうけて、こういう組合員は損失を規制するとしたのだと思います。

3.特定組合員でないのはどんな場合か

 それではどんな組合員が特定組合員からはずれるのでしょうか。これはすべての重要業務の執行の決定に関与し、かつ、その重要業務のうちすべての重要執行部分を自ら執行していることであり、これが組合員になってから継続して行われていることが必要になるのです。

つまりずーっと仕切り続けないといけない。当初は、特定組合員であったけど、途中で出世して?特定組合員からはずれてもダメ! 当初、非特定組合員で、途中で特定組合員からはずれ、また復活というのもだめらしい。

国際税務の2006.8月号を読むと、途中で重要業務等に一回だけ不参加で特定組合員になったような場合もだめというようなことが書いています。これ怖いなあ。。。

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2006年8月 7日 (月)

TMKが減損会計適用したら、

1.TMKのメリットは?

 TMK(特定目的会社)のメリットは、配当を行った場合に、一定の要件を満たしたら、支払った配当が税務上の費用(損金)となるところです。そうすることによりTMKでの利益に対する税金のキャッシュアウトが減少するから、投資家の手に入る配当の利回りが向上します。

でも配当が損金となるための要件というのは、結構きびしいものがあります。その要件の一つとして、配当の支払額が配当可能所得の金額の100分の90を超えていないというのがあります。この配当可能所得というのは、税務上の利益つまり課税所得なのですが、この要件を満たすのが意外と難しいのです。

2.税務調査で否認されたら

 たとえば税引前利益が 1億円だったので、配当を9,000万円支払いました。しかしその後税務調査が入って費用が否認されて、課税所得が1億2千万円になりました。そうすると配当は1億2千万円の90%である1億8,000万円支払わなければならないのに、9,000万円しか支払っていないので、90%の要件を満たさない。したがって配当は否認されてしまうということになってしまうのです。

3.減損会計を適用したら

それではTMKが所有している不動産に対して減損会計を適用した場合はどうなるのでしょうか。

たとえば次のような例です。

経常利益   10億円

減損損失    9億円

   税引前利益   1億円

 TMKのようなビークルでは、会社内部に留保利益をためることはあまりありません。過年度の留保利益がないなら配当ができるのは1億円が限度となります。

 ところで減損損失というのは、会計上は費用となるのですが、税務上は一時の損金とならず、減価償却超過額のようなものとされています。ですから減損したのが建物なら、減損後、減価償却という方法により徐々に損金として処理されますし、土地なら売却でもしない限り税務上は損金となりません。

 つまりこのケースでいうと税務上の配当可能所得は1億円でなく10億円となります。そうなると9億円配当しないといけないのに1億円しか配当ができない。だからこのような減損損失を計上してしまうと配当が損金にならなくなってしまうのです。

 TMKって会計監査人の監査を受けなければならないから、減損会計に該当するような場合は、減損しないと意見が出せないし、減損したら配当が損金にならないから投資家が暴れるだろうし、大変な問題が内在しているなあと思うのです。

4.投資法人の場合は

 さてJ-REITの母体となる投資法人はどうなのでしょうか。こちらの方は、一定の限度がありますが、配当として利益部分だけでなくそれを超える部分を支払うことができるのです。このことにより減損損失を計上した途端に配当が損金とならないリスクは、かなり下がることになります。

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2006年7月11日 (火)

日本で利益参加型社債は発行できるか ~DebtとEquityの境界線と課税~

1.利益参加型参加型社債は日本で発行できるか

利益参加型社債というのは、会社の利益に応じて支払われる利子が異なる社債のことです。この利子については確定した利子プラス利益が出たときは追加で利子を支払うタイプのものがスタンダードですが、利子の最低保証がなく、利益が出た場合は支払うようなものや、確定利率にたとえば売上高に一定の指数を乗じた利子をプラスするものもあります(注1)。

 この利益参加型社債が日本で発行されるかどうかについては肯定説と否定説があります。争点のひとつとして会社法676条で募集社債の利率を定めなければならないとされているのは、否定説によると利率が確定していることを定めているのだから利益参加型社債を認めないととられますが、肯定説によると通常社債が確定利付であることを予想したからであり、利息とともに剰余金を分配することを妨げるものではないとされています(注2)。

 ただ日本では利益参加型社債が発行されたという事例をほとんど聞きません(注3)。なぜ日本では、発行されないかというと、利益参加型社債が会社法(旧商法)で発行できるかどうか明らかでないこと、そして支払われる利息が利子所得なのか配当所得なのかが明確でないことに起因します。

2.利子所得と配当所得で税務上の取り扱いはどう違うのか

それでは、利子所得と配当所得で課税上の取り扱いがどのように違うのでしょうか。

①支払側

支払側では、利子の場合は、支払われた利子は、税金の計算上費用(損金)となります。しかし配当に関しては、損金となりません。なぜ利子は損金となるかというと、事業で利益を得るためにはお金が必要であり、利息は、お金を調達するために必要な費用、つまり利益を得るために必要な費用だからと考えます。一方配当というのは、事業で利益を得るために必要な費用というよりも、結果的に利益が出た場合に、利益の一部を分配するものであると考えるから費用とならないと考えます。

②受取側

 受取側では、利子か配当かで、また受取者が法人が個人かで差がでます。

  (1)利子の場合

 利子の受取者が法人の場合は、源泉税が20%差し引かれますが、利子収入は他の所得と同じように法人税が課税され、源泉税は精算されます。

受取者が個人の場合は、源泉税が20%差し引かれその段階で課税関係は終了します。

(2)配当の場合

配当の受取者が法人である場合は、受取配当の益金不算入という制度があります。これは受取った配当の全部または一部が税金の計算上収入(益金)とならないものです。もし法人段階で受取配当に課税すると、配当支払い法人で法人税が課せられ、受取法人でも同じ配当に法人税が課されるので合理的ではないからです。

受取人が個人の場合は、配当所得として、原則として他の所得と合算され、超過累進税率により課税されますが、配当控除により税金の一部が減額されます。これも、支払い法人の段階で課税された所得に対して個人段階でも課税されるのは合理的でないという考えに基づいています。

なお個人が受取る上場会社の株式の配当に関しては、所有割合が5%未満ならば平成20年3月末までは、配当所得に10%の源泉税を納めるだけで課税関係は終了できます。

3.会社法の施行とハイブリッドな種類株式の登場

社債と株式の違いのメルクマールとして次のようなものがあります。

経営参加の有無、剰余金の配当であるか、利息の支払いであるか、残余財産分配における優劣、償還性の有無(注4)

つまり経営に参加できるのが株式であり、そうでないのが社債である。剰余金の配当をするのが株式であり利息の支払いをするのが社債である。残余財産の分配で株式より優先されるのが社債であり、償還期限があるのが社債であり、ないのが株式であるということです。

しかし会社法の施行により多様な種類株式の発行が可能となりました。議決権の全くない株式も発行できるし、劣後債も発行できるし、取得条項付株式のように償還が予定される株式も発行できます。

 つまり社債とほとんどかわらないような株式の発行が可能になったのです。

利益参加型社債と同じような種類株式の発行は可能です。そして利子も配当も資本コストという点では変わりません。にもかかわらず税制上は異なる取り扱いがなされるというのは不合理で、当然この不合理な点をついて租税回避スキームも考えられるわけです。

4.利益参加型社債の利子は利子所得か配当所得か。

利益参加型社債の利子は、現状では、原則的には利子所得になると考えます。あくまでも発行しているのは社債であり、社債の利子は利子所得とされているからです(所得税法23条)。利益参加型社債の利子の利率の変動性に問題があるのならば、公定歩合により変動する利子も問題でしょう。

でも次のような事例でも利益参加型社債の利子を利子所得とできるのでしょうか。

たとえば会社で税引前利益の全部を社債の利子とすると利益参加型社債を個人に発行し、税引前利益が1億円だったとします。

利益参加型社債を発行した場合

会社側は 利益が0だから 法人税は0 個人側は、2,000万円の税金(1億円×20%)となり、合計2,000万円の税金です。

もし配当を支払った場合(実効税率 法人40% 個人 50%の場合、配当控除は5%とする)

会社側は 4,000万円 (1億円×40%)

個人側は 2,700万円(6,000×50%- 6,000万円×5%)

こちらは合計6,700万円の税金です。

このように税金に差がでるので、特に経営のコントロールしやすい同族会社では利益参加型社債を発行したいというニーズがあると思います。ただこのような極端な事例の場合は、同族会社行為計算の否認を使って、取引を否定するのではないかと思います。

同族会社行為計算の否認というのは、あくまでも事実認定に基づいて行うものであるから、頻繁に使えるものではありませんし、使うべきものでもありません。課税関係がはっきりせず、もしかしたら否認されるかもしれないというリスクがあるならば社債の発行は控えられます。これは経済的には望ましい状況とは思えません。

アメリカでは、1990年ごろ、debtとequityの課税関係に関する見直す動き(支払利息の損金不算入)があるようです(注5)。

日本においても今後、種類株式の増加や利益参加型社債の発行が行われ、debtとequityの差のない金融商品が広まるのは予想されます。これは資金の出し手のニーズに応えるためであり、資金の出し手が、躊躇するような課税関係であるならば、資金も出せないから、経済も活性化されません。経済の活性化のためには利子や配当の本質を見極めた合理的な課税関係を速やかに構築することが必要ではないかと考えます。

注1 渡辺裕泰 『ファイナンス課税』有斐閣 P172~P173

注2              藤井俊雄 『利益参加社債の適法性』ジュリスト増刊 『商法の争点1』P196 

注3              渡辺裕泰 『ファイナンス課税』有斐閣P174~p175によると、昭和34年 関東電気工事が利益参加型社債を発行を計画したようですが、税務上の取り扱いが明らかでなく、受託銀行による理解が得られないので発行を断念したそうです。また2004年10月に、ある持株会社が利益参加型社債を国内で初めて発行したようですが、私募債なので未確認だそうです。

注4              日本銀行金融研究所『デッドとエクイティに関する法原理についての研究会報告書』(金融研究20巻3号1ページ、2001)

注5              渡辺裕泰 『ファイナンス課税』有斐閣P175

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2006年7月10日 (月)

組合に土地を現物出資したら

1.組合を作るのに現金以外の出資は可能か?

民法上の組合や有限責任事業組合(LLP)を作るために、通常組合員となる者は、現金を出資します。民法上の組合を出資する場合は、労務出資つまり組合の事業のために体と頭を出すからお金は出さないというのもありえます。

それでは、金銭以外の資産を出資した場合はどうなるのでしょうか。

これは、民法上の組合でもLLPでも可能です。含み損益のある土地を現物出資した場合の会計上と税務上の取り扱いを考えます。

2.会計上の処理は3つ考えられる。

 たとえばX社とY社が50%ずつ出資してLLPを作ります。Aは1億円の時価の土地(簿価3,000万円)、Bは1億円の現金を出資します。会計上のAとLLPのとりうる仕訳は3通りあります。

全部譲渡方式

これは、X社が所有している土地を全部LLPに譲渡したものとして計上します。そのことによりLLPの貸借対照表には土地も現金も1億円ずつ計上されます。LLPの出資比率は50%ずつなので、出資比率に応じて資産が計上されることになります。

X社の仕訳

出資金 1億円   土地 3,000万円

       土地売却益 7,000万円

LLPの仕訳

土地  1億円   出資金 2億円

現金  1億円

部分譲渡方式

これは、X社の出資した土地のうち50%は、LLPに出資したものだけれども自分の持分となるので、自分に出資するとは考えられないので譲渡益は計上しません。残りの50%部分については、共同出資したY社の持分となるので、Yに譲渡 つまりLLPに出資したものとして譲渡益を計上します。このことによりLLPの貸借対照表に計上される土地と現金の比率は50%ずつにはならないのでアンバランスな形で計上されることになります。

X社の仕訳

出資金 1,500万円  土地 1,500万円 X社の持分となる

出資金 5,000万円  土地 1,500万円  Y社の持分となる

         土地売却益3,500万円

LLPの仕訳

 土地  6,500万円  出資金 1億6,500万円

 現金  1億円

繰延利益方式

これは、全部譲渡方式と部分譲渡方式の欠点をカバーするような方式です。X社の土地の含み益のうちY社の持分となる部分についてのみ譲渡益を認識すると、資産の計上がアンバランスになります。でもX社の土地を全部譲渡すると計上すると、X社の持分相当額は自分に譲渡したのに譲渡益を認識することになります。

そこで、X社の譲渡益のうち自分に配賦される部分については、将来土地がLLPから売却されるような時まで、繰延るというものです。

X社の仕訳

 出資金 1億円   土地 3,000万円

         土地売却益3,500万円

         繰延利益 3,500万円

 LLPの仕訳

 土地   6,500万円    出資金  2億円

 繰延利益 3,500万円

 現金     1億円

3.税務上は部分譲渡方式

それでは税務上はどのようになるのでしょうか。税務上は、現物出資した土地の含み益のうち、他者に配賦される部分についてのみ譲渡益として認識されることになります。

したがって税務上は、部分譲渡方式の考え方です。会計上繰延利益方式でも譲渡益としての認識は部分譲渡益と同じですが、会計上全部譲渡方式の場合は、譲渡益が会計上と税務上で異なります。

ですから会計上全部譲渡方式の場合は法人税の申告書上で調整をすることになります。

上記の事例ですと 別表4は次のようになります。

土地譲渡益  3,500万円 減算留保

別表5(1)の期末利益積立金額は次のようになります。

土地譲渡益  △3,500万円

この部分は、土地が譲渡されたような時点で調整されます。

4.税務上適格現物出資の適用は可能か

民法上の組合やLLPを作る時点で行う現物出資に関して、適格組織再編の現物出資の要件に当てはまりそうなケースでは、譲渡益を繰り延べることができるのではないかと思われるかもしれません。しかしこれは適用できません。あくまでも適格現物出資は、別の会社に現物出資するものですが、組合は会社のような人格がなく、他の組合員の所有持分となるからです。

5.含み損のある資産の現物出資は可能か

 今までは含み益のある資産について書きましたが、それでは含み損のある資産を現物出資することは可能でしょうか。

たとえばX社とY社が50%ずつ出資するLLPをつくり X社は土地1億円(簿価2億円)Y社は1億円の現金を出資したとします。

X社の税務上の仕訳は次のようになります。

 出資金     1億円  土地 1億円

 出資金  5,000万円 土地 1億円

 譲渡損  5,000万円

これは原則的には問題ありません。でも現物出資してLLPをつくり、すぐLLPを解散し、土地をX社に戻すことができます

X社のLLP解散時の仕訳は

 土地   1億円   出資金 1億円

 土地   5,000万円 出資金 5,000万円

というようになります。つまり譲渡損をだすことによる節税というスキームができてしまいます。

 これは、お上もかなり神経質になっているので注意しないと否認されるリスクが高いと思います。

参考文献 五枚橋實 『組合事業の所得計算について 平成17年度税制改正を踏まえて』租税研究 2006.5

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2006年7月 7日 (金)

REITの源泉税は複雑系

1.REITって何?

REITというのは、投資法人という投資信託及び投資法人に関する法律により作られた会社に投資家からかき集めたお金を入れて、不動産に投資して、儲けを投資家に還元しましょうというものです。上場してREITの株式を市場で売買できるものもあれば、上場していないものもあります。

REITから配当を受け取った場合は、源泉税を差し引かれます。この源泉税率がケースによって異なります。

2.上場しているREITの場合

REITというのは、通常クローズドエンド法人といわれます。クローズドエンド型投資法人というのは、投資したお金を回収するために、会社が払い戻しをしない法人です。お金を回収するためには売却するしかありません。

このREITのうち上場しているものの源泉税は、投資家が個人か法人かでわかれます。

①個人投資家の場合

個人投資家の場合で出資比率が5%未満の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については10%(所得税7%、住民税3%)になります。平成20年4月1日以降に受取る配当については20%(所得税15%、住民税5%)になります。

このような個人の投資家の場合は、10%源泉税を差し引かれるだけで課税関係を終わらせ、確定申告をしないことができます。他の所得とあわせて実効税率が10%を超えるような人の場合は、確定申告しない方が得です。

なお5%以上所有しているような個人については20%(所得税)となり、確定申告をして精算しなければなりません。

②法人投資家の場合

法人投資家の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については7%(所得税)、平成20年4月1日以降に受取る配当については15%(所得税)となります。

3.上場していないREIT

上場していないREITつまり、非上場のクローズドエンド型投資法人に関しては、投資家が個人でも法人でも、源泉税は20%(所得税)となります。

4.オープンエンドで、公募しているような投資法人

REITは、クローズドエンド型投資法人といわれますが、投資法人でオープンエンド型というものもあります。こちらは投資ししたお金を解約して投資法人から払い戻しを受けることにより回収できます。

この投資法人で50人以上に買ってねと募集して、発行されたような投資口(株式のようなもの)の源泉税も投資家が個人と法人で異なります。

個人投資家の場合

個人投資家の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については、10%(所得税7%、地方税3%)であり、平成20年4月1日以降に受取る配当については20%(所得税15%、地方税5%)となります。

法人投資家の場合

法人投資家の場合は、平成20年3月31日までに受取る配当については7%(所得税)であり、平成20年4月1日以降に受け取る配当については15%(所得税)となります。

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2006年6月28日 (水)

利益参加型社債に投資した場合の投資家の税務

1.利益参加型社債

利益参加型社債とは、社債の利子が、発行する会社の利益に連動するような社債のことです。

日本でも商法の時代から利益参加型社債は、定款で定めることにより発行することが可能という見解もありました。しかし日本で利益参加型社債が発行された事例を私は確認していません。

2.ケイマンで発行された利益参加型社債のスキーム

この利益参加型社債はケイマンで発行することができます。ケイマンで発行された利益参加型社債を組み込んだ代表的なスキームとしては、日本の投資家がケイマンのファンドに出資し、ケイマンのファンドがケイマンで発行された利益参加型社債に出資し、この会社が匿名組合出資するものがあります。    

3.ケイマンのファンドからの収益の分配金は利子か配当か

ケイマンのファンドに個人が出資して収益の分配を受けた場合その所得が利子所得なのか配当所得なのかという問題があります。

もしこのファンドが日本の金融機関を通じて購入した公募公社債投資信託ならば利子所得として収益分配金に20%の税金が源泉分離課税されます。確定申告で精算する必要はありません。

もしこのファンドが日本の金融機関を通じて購入した公募株式投資信託ならば、配当所得として平成20331日までに受け取る収益分配金に10%の税金が源泉徴収されます。確定申告をしなくてもいいし、確定申告することもできます。

収益の分配金に課せられる税金を考えると公募株式投資信託とされる方にメリットはあります。そして多くのケイマンの利益参加型社債を組み込んだファンドの収益の分配金は公募株式投資信託として処理されています。

4.株式投資信託とされるためには

税法上、公社債投資信託とは、証券投資信託のうち、信託財産のうち1%も株式に投資せず、国債、地方債や社債のみに投資するものです。このような公社債投資信託の分配金は利子所得とされます。

利益参加型社債というのは、経済的に考えると議決権のない種類株式に投資して、配当が支払われたものと同じようにも考えられますが、税法でどの所得かを考える場合は、実質主義で判断するといっても法律で決められたルールを逸脱して判断することはありません。社債としての法律上の要件を満たしているものであるならば、この社債のみを組み込んだ投資信託は公社債投資信託となると思います。

おそらく若干株式にも投資することにより公社債投資信託の要件を満たさないように組成しているのではないでしょうか。

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2006年6月 7日 (水)

村上ファンドが 阪神電鉄株式を譲渡したら リニューアル

昨日、村上ファンド関連の投資顧問会社の関与会計事務所に家宅捜査が入りました。このミッションは何が目的?もちろんファンドの顧客であるアラブの石油王の譲渡益調べでしょう。なぜってこれを見つければ日本でがばっと税金をとれるはずだから

昨日と一昨日 村上ファンドネタを書いたのですが、他のブログでわかりにくいというご批判を頂いたので(笑)わかりやすさをもっとーに再チャレンジします。どうかな? とっても不安

2.村上ファンドって

ファンドというのは、たくさんの投資家からお金をあつめてきて儲かるもの(例えば株式)に投資して、その儲けを投資家に分配するものです。投資家が望むのは、1円でも多くの利益を還元して欲しいということです。1円でも多い利益をあげるためには、1円でもファンドの利益に対する税金を減らしたいということです。

そのためには投資家から集めたお金をどのような箱(事業体)にいれるのかがまず大事です。箱によって、箱の中で生じた利益に対する課税関係がかわるからです。

村上ファンドは投資事業組合という箱を使っています。これは、箱の中によって生じた利益に対する課税は、箱の段階で課税せず、箱に出資した人の段階だけで課税します。これをパススルー課税とします。

3 日本人が投資事業組合に出資した場合はどうなるか

日本人がパススルー課税である投資事業組合に出資した場合は たとえば日本の会社の株式を2億円で購入し、3億円で売却した場合は、差額の1億円に対して税金がかかります。もし株式が非上場株式なら2,000万円(1億円X20%)です。もし株式が上場株式なら 1,000万円(1億円X10%)です。これらの税金を投資事業組合に出資した日本人は、日本で払わないといけません。

4 国際税務のシステム

まず外人とか外国法人がからむ場合の税金のシステムをお話します。日本は数十カ国の国と租税条約といって両国間をまたぐ取引で発生した利益に対して、どっちの国がいくらの税金を払うとか、両国で一つの利益に課税されたらどうするか、もめた場合はどうするかということを決める条約を結んでいます。

外人がからむ場合の税金をどうするかは、日本の税法(国内法)でも決めていますが、租税条約とバッティングする場合は、租税条約のルールが優先されます。

また国際税務の基礎知識として、外人が日本で商売をするときに、日本に拠点(PE permanent establishment)を設けて行っているか、設けずに行っているかで、日本で稼いだ利益に対する課税の方法がかわります。もし日本にPEを設けていない場合は、原則的には日本で税金がかかりません。

5 外人が日本の会社の株式を譲渡した場合の税金のルール

国内法で、PEのない外人が日本の株式を譲渡した場合の譲渡益に対しては、原則的には、日本で課税されません。ですから外人が2億円で買った日本の会社の株式を3億円で譲渡しても、譲渡益1億円については日本で課税されません。

でも大量の株式を外人が購入して、そのうちの一部または全部を譲渡した場合は、例外として日本で譲渡益に対して課税されます。

どんなルールかというと譲渡以前の3年間にその会社の株式を25%以上保有していて、そのうちの5%以上を売却した場合です。

もし組合が株式を保有している場合は、組合が25%以上所有していて、そのうち5%の株式を売却したら、たとえ出資者が1%の株式しか所有していなくても、株式の譲渡益に対する税金を日本で納めないといけません。

でもこのルールはすべての外人の株式の譲渡にもあてはまらないのです。その外人の住んでいる国と日本の間の租税条約が別の規定を設けていたらその規定に沿って課税されるからです。

そこで村上ファンドの出資者がビルゲイツ(アメリカ人)の場合とアラブの石油王(租税条約のない国の人)の場合にわけてお話します。

6.ビルゲイツが、村上ファンドの出資者だったら

もしビルゲイツ(アメリカ人)が村上ファンドに2億円出資して、村上ファンドがその2億円で日本の株式を購入し、3億円で売却した場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

ビルゲイツが1億円株式の譲渡益を獲得したと考えますが、ビルゲイツは、日本で1円も納税しません。なぜなら日米租税条約で、たとえ大量に保有している日本株式をアメリカ人が譲渡しても譲渡益に対して日本で課税しないと決めているからです。

7 アラブの石油王が村上ファンドの出資者だったら

もしアラブの石油王(租税条約のない国)が村上ファンドに2億円出資して、村上ファンドがその2億円で日本の株式を購入し、3億円で売却した場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

 アラブの石油王が1億円株式の譲渡益を獲得したと考えますが、原則的には、日本で税金がかかりません。でも、上記のように村上ファンドが25% 以上株式を所有していて、5%の株式を譲渡した場合は、譲渡益1億円に対して、アラブの石油は1,500万円の税金を払わなければいけません。

アラブの石油王が、このような譲渡益に対して日本で税金を払っていたかどうかはわかりません。だからお上が会計事務所にやってきて、村上ファンドの顧客はいったい誰で、いくら儲けたのかを調べにきたのではないかと思うのです。

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2006年6月 6日 (火)

村上ファンドは、シンガポールへ行ったけど

 昨日、鮮やかに罪を認めて、だけどセレモニーとして村上さんは逮捕されちゃいました。投資は手仕舞いの時点の見極めが大事といわれていますが、村上さん、そして村上ファンドがどうなるか気になります。

今日も村上ファンドの税金ねたです。村上ファンドは、資料を読んでいると投資事業有限責任組合のようです。これは1人の無限責任組合員と、他の有限責任組合員から構成されています。有限責任組合員から資金を募り、無限責任社員がコントロールして事業を行うというものです。無限責任社員が自分自ら日本で事業を行うならば、彼が事業を行う場所が日本にあるはずです。このような場所をPE(恒久的施設)といいます。

1.PEとはどういうものか

PEは、国内法によると大きくわけて3つあります。

①支店、工場その他事業を行う場所

②建設作業現場のような場所

③代理人等 (所法164①一~三)

そして代理人はまた3つに分かれます

一常習代理人 非居住者等の多様な代理権をいつも有している者

二在庫保有代理人 非居住者等のための入出庫業務をしている者

三注文取得代理人 非居住者等のためにいつも仕事をとってくる人

常習代理人は、また2つに分かれます。

(1)独立的常習代理人 非居住者等から経済的、法律的に独立している代理人。たとえば問屋(商社)

(2)従属的常習代理人 非居住者等から経済的、法律的に独立していない代理人

PEの範囲は、租税条約といって2国間の税金のルールを決めている条約では、範囲が狭まり独立的常習代理人は除かれるところが多いです。

 PEの有無により非居住者等の所得の範囲が異なります。たとえば組合が日本で稼いだ事業所得は、PEがあれば日本で課税されますが、PEがなければ日本で課税されません(所法161一の二).

2.村上ファンドはどうなっているのか

さて村上ファンド(シンガポールに行く前)は、どうなっているかです。投資組合の組合員は、直接株式投資事業を行っていなかったので、日本にPEがないとして税務上処理していたと推測します。

彼らは上場会社の株式の売買をしていたのですが、これを投資顧問業者に一任し、業者の判断により売買を行い、経済的効果だけ組合員に帰属していたのではないでしょうか。

投資顧問業者は、組合とは独立し、自らの判断で売買を行う、つまり商社のような独立的常習代理人に該当すると思います。

そうするとたとえば村上ファンドの投資家がビルゲイツの場合、国内の組合事業の収益は日本では課税されません。なぜなら組合事業を行っているのは投資顧問業者(独立的常習代理人)であり、日米租税条約でこのような代理人はPEからはずれるからです。

もし投資家がアラブの石油王の場合、国内の組合事業の収益は日本で課税されます。なぜならアラブの石油王の国と日本の間で租税条約がないから国内法で処理されるので、組合事業を行っている投資顧問業者はPEとなるからです。

 それでは村上ファンドとセットで投資顧問業者もシンガポールへいったらどうなるのでしょうか。この場合は代理人も非居住者等になるので日本にPEがなくなります。そうすると株式の譲渡益に対する課税の問題は残りますが、基本的にはアラブの石油王は、安心してファンドに投資できるようになるわけです。

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2006年6月 5日 (月)

村上ファンドが、阪神株を譲渡したら

なにかと話題の多い村上ファンドですが、このファンドの事業に関して税務的に考えてみると面白い発見がいくつかあります。その一つ、もし村上ファンドが、阪神株を譲渡したら、譲渡益に対する課税はどうなるかを考えます。

2.村上ファンドはどんな事業体?

村上ファンドがどのようなスキームで組成されているのか具体的なことはわからないのですが、おそらく投資事業組合のようなものを組成して、外国の投資家から資金をつのり、日本の株式に出資しているものと考えます。組合員が直接イニシアティブをとって株式の購入、売却をしているのでなく、投資顧問業者に一任し、投資顧問業者がどの株をいつ、いくらで何株買い、いつ、いくらで何株売るのかを判断して決済していると思われます。そしてその結果、生じた経済的効果は、組合がパススルー課税であるから組合員に帰属します。

3.組合が株式を売却したら?

それでは組合が所有する株式を譲渡した場合、譲渡益に対する課税は、どこの国が行うのでしょうか。

日本の居住者や日本法人が日本株を売却した場合の譲渡益は、日本で課税されます。

日本にPE(恒久的施設 たとえば支店)を有しない非居住者や外国法人が所有している株式を売却した場合はどうなるのでしょうか。原則としては、日本では課税されず、非居住者の居住国や外国法人の本店所在地国等のみで課税されます(所法161一、164①四イ)。

しかし大量の株式を保有し、それを譲渡した場合は、日本の事業を譲渡したようなものだから日本でも課税すると決めています。

簡単にいうと譲渡年以前3年間のいずれかの時点で25%以上の株式を所有し、その株式を5%以上譲渡した場合です(所令291①三、法令187①三)。

組合が株式を所有している場合は、個人の組合員ごとに要件にあてはまるか確認をするのではなく、組合が25%以上所有し、組合が5%以上譲渡した場合は、組合はパススルー課税なので、組合自体ではなく、組合員が全員日本でも申告しなければなりません(所令291④、法令187④)。

村上ファンドが阪神株式を譲渡した場合は、おそらくこの要件に該当し、外人は譲渡益に対し15%の所得税を、外国法人は30%の法人税を納税する義務があると思います(措法3712、法法143)。

3.ビルゲイツやアラブの石油王が投資家の場合

それではビルゲイツが村上ファンドの投資家である場合、ビルゲイツは阪神株の譲渡益に対して15%の所得税を納めなければならないでしょうか。ビルゲイツはアメリカの居住者です。この場合は、国内法より租税条約が優先され、ビルゲイツに関しては株式の譲渡益に対して日本での課税関係は生じません(日米租税条約13条7)。

それではアラブの石油王が投資家の場合はどうでしょうか。おそらくその石油王の国と日本の間に租税条約が結ばれていないので、こちらの方は、日本法が適用され阪神株の譲渡益に対して15%の所得税を納めなければならないと思います。

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2006年6月 3日 (土)

日米で異なるLLCの税制の問題点

1.   LLCは?

 LLC(Limited Liability Company)は、アメリカの州法により設立された出資者が有限責任の会社のような事業体で、税務上納税者の選択で、事業体で生じた利益について、事業体を納税義務者とすることも(団体課税)、出資者を納税義務者(構成員課税)できます。

 日本の合同会社は、LLCをベースに設計されたといわれますが、合同会社は、法人課税です。そして日本の国税当局は、アメリカのLLCも原則的には法人と取扱うと見解をだしています。

 つまりLLCに対する課税上の取扱いが、日本とアメリカで異なることになります。そのために生ずる問題点を以下において書きます。

2.日米租税条約での問題点

租税条約とは、2国間で生じた所得について、どっちの国が誰からいくら税金をとれるか、二重に税金をとられたり、税金でもめた場合はどうするかを決めているような条約です。日本にも税法がありますが、条約とバッティングする場合は、条約を優先します。でも条約の方が国内法より不利な場合は、原則的には国内法を優先します。

日米租税条約が最近改正されましたが、2国間で税務上の取扱いが異なる事業体についてのルールが定められています。

アメリカの会社(条約の適用がある会社)がLLCに出資し、日本の非上場の会社に投資し、配当を受けた場合を考えます。LLCはパススルー課税を選択しています。この配当に関しては、日米租税条約により、通常の源泉税率(20%)より低い税率(0%、5%,10%)を適用できます。

なぜなら日米租税条約で、アメリカで構成員課税を受けたLLCが日本で取得した所得については、所得が発生した日本での取り扱いにか関わらず、所得を受取るアメリカのルールに基づいて税金をかけましょうとなっているからです。

配当を受取ったのはアメリカのLLCで、アメリカではパススルーだから、アメリカの会社が日本の会社の配当を受取っている。だから条約の適用をしましょうということです。

一方日本の会社(条約の適用がある会社)がLLCに出資し、アメリカの会社に投資し、配当を受けた場合を考えます。この配当に関しては、日米租税条約の適用を受けることはできません。したがってアメリカの通常の源泉税率(30%?で税金が徴収されます。

なぜなら日米租税条約で、日本では団体課税とされているLLCがアメリカで取得した所得は、アメリカの会社がアメリカの会社に配当を支払ったことになるから、この配当は、アメリカの国内取引であり、日米租税条約の適用外となるからです。

2.   外国税額控除は、ファジー

①外国税額控除とは、

日米租税条約以外の問題として外国税額控除の問題があります。外国税額控除とは、日本の居住者や日本の会社が外国で稼いだ所得について税金をかけられたような場合は、その税金については、日本で所得税や法人税を計算する場合に差引くことができる規定です。

なぜこのような規定がおかれたかというと、日本の居住者や日本の会社が納める税金というのは、日本国内で発生した所得だけでなく、外国で発生した所得も含めて計算するので、もし外国で発生した所得に対する税金について控除ができないと、その部分については日本と外国で2重に税金が課されることになるからです。

② 日本の会社が直接LLCに出資したら

日本の会社がLLCに出資し、LLCが大儲けをしてアメリカで税金を払わなければならないとします。LLCが構成員課税を選択した場合は、日本の会社が税金を納付することになります。それではこの税金を日本の会社で外国税額控除をとることができるでしょうか。

日本ではLLCは外国法人であるとされます。そうすると外国法人であるLLCの所得は、日本の会社が稼いだ所得ではないので、その部分の税金を控除することはできないと考えられます。

それではLLCが稼いだ利益の分配した場合には、会社の配当と同じと考えて、この配当の元になる所得としてアメリカで払った法人税部分を外国税額控除できるのでしょうか。これはLLCを外国法人と考えるならば可能ではないかと考えます。でも日本の会社に分配されなかった利益に対する税金は外国税額控除の対象にはなりません。この部分はLLCに対する立替金となり、もしLLCの経済状況にかかわらず、返済不要とすれば、それは国外関連者へ本来受けるべき利益をプレゼントしたものとして、損失部分が税金の計算上、費用とならないと考えます。

③アメリカの子会社がLLCに出資したら

このようにLLCに直接投資すると問題が多いので、現状で使われているのは、日本の会社がアメリカに子会社(株式会社)をつくり、アメリカの子会社がLLCに出資するというスキームがです。

ただここでも問題点が生じます。アメリカの子会社が出資したLLCが大儲けをした場合、アメリカで構成員課税を採用したら、アメリカの子会社がLLCの利益に対する税金を払わなければなりません。

そしてアメリカが日本に配当を払いました。配当に関しては、配当支払い時に配当の金額に対して支払われる源泉税だけでなく、配当のもとになった所得に対して払われた法人税についても外国税額控除できます。でもこの法人税の対象は、あくまでも子会社の所得に限られると考えると、LLCが稼いだ所得に対する税金は、子会社の払った税金として外国税額控除ができなくなります。ただし日本では孫会社の払った税金も外国税額控除の対象になると考えるのでLLCの所得に対する税金も最終的には、日本で控除の対象になるかもしれません。

では、LLCがアメリカの会社に投資したような場合で、その会社から配当を受けた場合のその会社の支払った税金について日本で外国税額控除がとれるのでしょうか。

アメリカの税制で考えると、子会社、LLCでひとくくり、その下に会社がぶら下がっているので2段階です。でも日本では、子会社、LLC、LLCの子会社の3段階であり、日本の会社から見るとLLCの子会社は、ひ孫会社にあたります。孫会社の払った税金に対する外国税額控除は認めても、ひ孫会社の払った税金にまでは認めていません。

3 ファジーなままでは事業ができない

なぜ日本では税務上LLCが外国法人と取扱われたかというと、租税回避行為に利用されるのを防止するためということが大きな原因だと思います。しかし普通の事業会社の対外投資にブレーキがかかるのは望ましくないです。安心して対外投資ができるような合理的な外国税額控除の規定を作って欲しいと考えます。

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2006年5月19日 (金)

投資事業組合を連結に取り込んだから業績が下がったというけれど

1. 新聞によると

昨日(平成18518日)日本経済新聞によると、JDCは、連結範囲の見直しなどに伴い業績予想を下方修正したと報道されています。平成183月期業績予想(連結、個別)の修正に関するお知らせ(平成18515日)を読むと「信託移行前の投資スキームである投資事業組合出資案件に係る連結範囲の見直し等に関し監査法人との協議がほぼ終了し、業績修正が必要となったことが判明したため、下方修正を行うものです。」となっています。

2.投資事業有限責任組合とは、

投資事業有限責任組合とは事業者に対する投資事業を行うための組合契約です。

特徴としては、無限責任組合員(組合の債務を無限責任で負う組合員)と有限責任組合員(組合の債務を出資額限度で負う組合員)がいます。多数の投資家から資金を集めて、無限責任の組合員がその資金を投資に回し、コントロールする場合にしばしば使われます。

3.投資事業有限責任組合の個別財務諸表上の会計処理は

従来から投資事業有限責任組合の会計処理は出資金(証券取引法で有価証券とみなされるものは、有価証券)で出資額を計上し、毎期の損益は、出資金額を増減させることにより取り込むのが通常です。この場合、組合純資産(組合総資産―組合総負債)組合純損益(組合総収入―組合総負債)のうちの当社配賦部分のみが個別財務諸表に計上されます。そしてその部分がそのまま連結財務諸表に載ってきます。

他に組合総資産、総負債や総収益、総費用のうち、自社持分を配賦する方法や、組合純資産と組合総収益、費用を配賦する方法があります。

個別財務諸表の監査を受けているならば、組合の損益、資産の内容も検討しているので、適正な組合の純資産、損益(自社配賦分)が計上されています。

4.連結の範囲に含まれると

従来から連結範囲は、会社、組合その他これに準ずる事業体が含まれ、支配力基準や影響力基準で決まります。この範囲に投資事業有限責任組合も入るはずです。

でもJDCの平成17年9月期の連結短信を読むと「投資事業組合等に対する出資のうち、当社の出資持分が過半数を超える投資事業組合が13ファンドありますが、投資は事業組合等の資産、負債及び収益、費用は出資持分に応じて各出資者に帰属するため、投資事業組合等は子会社として取扱っておりません。」となっており、連結には取り込まれていませんでした。

それではもし連結に取り込まれるとどうなるのか?これは、いったん投資事業組合の資産、負債、収益、費用は、総額で連結財務諸表に計上されます。そしてそのうち他の組合員に属する部分の資産、負債は純額で少数株主持分へ、収益、費用は、少数株主損益として振り替えられます。少数株主損益の計上は法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額と当期純損益の間で計上されるから、組合損失が大きい場合、経常損益に与える影響は大きいですが、当期純損益までくるとそんなに影響はないと思います。

じっくりと公表資料を読むと、業績修正の要因はどうも他の問題の方が大きいような気がするのですが♪

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2006年4月23日 (日)

これは使える合同会社 会社更生法をぶっとばせ!

 昨日、HKさんからいただいたコメントをベースに、これからは証券化のビークルとして合同会社が使えるかもしれない。なぜなら合同会社には会社法更生法の適用がないから。

 従来有限会社が使われてきた理由のひとつとして、会社更生法の適用がないということがありました。でも会社法の適用になると、会社更生法の適用があります。

 そうなるとビークルにお金を貸していた金融機関としては、こけた場合、回収不能リスクが高まります。

 で、昨日あれから 前法務省民事局付 現無職の郡谷大輔 編著 「中小会社、有限会社の新会社法」をはらはらとめくったら、きっちり載ってました。

P431~432  合同会社となるかどうかの判断基準

会社更生法の適用を免れたいという会社

「特例有限会社と合同会社の会社法制上の差異は、対内的な法律関係についての規制の厳格さの差異が中心となっており、対外的な法律関係においては、それほど大きな差異があるものではない。

 他方対内的な法律関係の自由度は、旧有限会社の運営状況や旧有限会社を巡る利害関係者の状況を考えれば、事実上の会社運営のあり方を工夫することによって、十分対応可能なものである。

 しかし、合同会社と特例有限会社の他の法制における差異として、最も大きなものとしては、会社更生法の適用の有無だろう。

 会社更生法は、破産法や民事再生法など他の倒産手続と比較すると、債権者等の権利に対して強力な制限を加えながら、会社の更正を計ろうとするものである。

 そして、会社更生法は、旧有限会社には適用されない倒産手続であったが、会社法により、旧有限会社が、会社法上の株式会社となることによって、利用可能なものとなったものである。

 一般論としていえば、特例有限会社に、会社更生法が適用されることとなったことは、倒産手続の選択肢が増加していることになるから、特例有限会社にとって有利な改正であるといえよう。

☆ しかし、担保権者の権利をも制限しつつ手続が遂行されるという会社更生法に基づく更正手続は、旧有限会社を資産の流動化等特定の用途に用い、担保権者の権利が制限される可能性があることが、その仕組みの根幹に影響を与える可能性がある場合もある。

このような場合において、従来の仕組みを維持しようとする時は、合同会社になることが必要であろう。」

 どんぴしゃっ ビークルの場合は、合同会社でしょうね。これからは

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2006年4月22日 (土)

またまた TK+YKスキーム のお返事

 HKさん おはようございます。 信託大好きおばちゃんです。いつも夜中に読んでいただいてありがごうございます。

 さて、お返事というか HKさんのコメントで、1つ賢くなりました。

「会社法施行後は現在のYKにも会社更生法が適用されるため、会社更生法の適用がなく決算公告もないLLCがYKのために使われることとなります。現在す