2010年7月29日 (木)

京町家の再生と信託

昨日の京都新聞(NET記事)に「「町家減少を食い止めたい」管理信託で再生、関係者ら調印」といいう記事がありした。

以前から、たまにこのブログでも書いているのですが、古い町家を保存したいというニーズはいろんな人たちにあります。でも、お金がかかるし、所有者はなるべく出さずに保存できる状態にしたいという希望をかなえるために信託を利用してみようということで、うなぎの寝床のような細長い家が多い京町家の信託案件の第一号がスタートしたようです。

なぜ、信託を利用するかというと、所有者側は、改築資金を、基本的には、自分で調達せず、受託者で調達できます。この町家は、改築資金の回収のために一定期間、賃貸されますが、賃貸人の募集も受託者がやってくれます。家賃は前払いで受取り、空室リスクを負うこともないようです。そして、信託期間が終了すれば、町家がもどってくるというものです。

改修資金の出し手にとって不安材料は、お金が回収できないということ。お金はどこから生み出されるかというと賃料収入であり、この収入を確保するためには、信託期間、賃貸業をやってもらわないとまずい。途中でやめたとならないように、信託の場合は、信託受益権に質権を設定することができます。

所有者は、信託期間中、現金収入がありませんが、所得はどうなるのというも税務上の問題があります。信託ですから、所得は受託者で発生しますが、税務上は受益者(委託者)で発生したものとして扱われます。

代表的な各論として、

前払家賃を受取った時点で全額収入にならないのか? 

これは、契約書を工夫することにより期間の経過とともに収入が計上されるように取り扱われることが可能と考えられます。

減価償却はどうすればいいのか? 

中古資産を改修するので中古資産の耐用年数が適用されると思います。ただ改修費が多額で再調達価格の2分の1を超えると法定耐用年数{新品と同じ耐用年数}になるので、1年間の減価償却費が減少し、お金がないのに所得が発生するというリスクが生じます。何年が妥当かというのは個別事情で異なりますが、少なくとも、信託期間は利用できるということですから、信託期間以上の耐用年数を設定する方がいい場合が多いようにも思います。

記事によると、第1号案件は改修資金が700万円 信託期間は10年。 10年で700万円の資金を回収し、10年後に改築された町家が所有者に帰ってくる。 10年は過ぎれば早いですが、長いといえば長い。10年のうちに所有者に相続が発生することもあれば、周囲の環境が激変することだってあるかもしれない。壮大なプロジェクトのスタートですね。

http://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20100727000203

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2010年6月 7日 (月)

古民家再生事業

以前、このブログでも書いた信託を利用した古民家の再生事業に関して、いくつかの専門誌等で最近紹介されているようです。

 レトロな古民家を維持し、次世代に承継するということがいいことだと思う人は多いと思うのですが、所有者の立場で考えてみるとコストがかかって大変だという問題もあります。

 でも、もし、コストの負担が軽減されるなら、古民家を維持し、次世代に引き継がせたいと思われる方もいらっしゃると思いますし、古民家に住み続けるということは、エコという観点からも望ましいものだから、このような動きを促進させたいという政策サイドの希望もあると思います。

 古民家をオーナーのコスト負担なく改修、維持させるための方法のひとつとして信託を利用したものがあり、実例がでてきているようです。

 スキームとして、オーナーが古家を信託します。受託者がマスターレッシーと賃貸役契約を結び前払家賃を受け取ります。このお金で、古家を改装します。マスターレッシーは、店子を探してきてサブリース契約を結び、店子が古家に住み、家賃を払います。受け取った家賃でマスターレッシーは先に払った家賃の回収にあてます。受託者は、前払家賃を工事費や租税公課、信託報酬の支払いに充てます。信託期間が終了すると、古家はオーナーの元に戻りますというもの。

 なぜ、直接オーナーが古家を改装して賃貸しないかというと、オーナー自身がお金を調達するのが難しい場合が多いからではないでしょうか。また、なぜ、信託を使うかというと、マスターレッシーの支払った前払家賃がきちんと改装費等の支払いに当てられ、かつ、事業を継続してもらわないと、投下資本が回収できなくて困るからということだと思います。ですから、マスターレッシーが信託受益権に質権を設定しています。

 また、マスターレッシーがどのようなスキームでお金を集めてくるのか気になっていたのですが、どうやら、LLP(有限責任事業組合)を組成してお金を集めているようです。

 LLPはパススルー課税ですから、たとえば、組合員が100万円出資して、それを、前払家賃(10年分)に充てたら、その組合員の仕訳(総額法の場合)は、

 前払家賃 100万円  現金  100万円

家賃15万円を受け取ったら

 現金  15万円   受取家賃15万円

1年間の支払家賃の発生分として

 支払家賃 10万円  前払家賃 10万円

というようになると思うのです。

LLPを投資のツールとして利用したのは、このようなパススルー課税が適用になるのと一定の要件では金融商品取引法上のみなし有価証券にLLPの出資が該当しないからのようです。

実例がでてきたといってもまだパイロット段階のようなもの。でも、やってみなければ、事業も時代も動いていきませんからねえ。

参考資料

月刊プロパティマネジメント(20104月号)「大阪不動産コンサルティング事業協同組合が不動産信託を活用した古民家再生事業を実施」

住宅新報2010511日号「「古民家」を再生 新スキームに不動産信託モデル化に成功」

ニッキン64日「不動産コンサルと信託会社 不動産信託を活用 「古民家」を再生へ」

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2010年1月 7日 (木)

京町家の再生と信託

昨年の1231日ですが、京都新聞に「管理信託で京町家再生」という記事がありました。記事を引用すると「京都の町家を管理信託野手法で再生する全国初の試みが、来年(今年)夏に始まる。」

 古都京都には、間口が狭くて奥行きのある町家が多く存在しています。これらの町家は老朽化しているものが多いので、現状では継続して住むのは難しい。改修すれば住むことはできるけど、お金もかかります。お金をかけてまで、と思うオーナーもいらっしゃる。

他方、そんな町屋に住んでみたいというニーズもあります。

 そこで、信託を利用して、オーナーの負担なく町家を改築しましょうという試みを京都府不動産コンサルティング協会さんが実施されるようです。

 おおざっぱなスキームは、町家のオーナーが町家を信託する。不動産コンサルティング協会さんは受託者さんと賃貸借契約を結んで、家賃を前払いする。不動産コンサルティング協会さんは前払家賃の資金をなんらかの方法で調達する。

受託者さんは前払家賃から町家の改築費等を支払う。不動産コンサルティング協会さんは、店子を探してきて転貸借契約を結び家賃を受け取る。受取家賃を調達した資金の返済に充てる。信託期間が終了すると、町家はオーナー等に返還されるというものです。

 なぜ、信託というスキームを使うの? 不動産コンサルティング協会さんからすると、資金調達して家賃を前払いしたのに、途中で事業が中止するなどトラブルが生ずると非常に困るので、信託を利用することによりリスクを避けたいからだと思います。

 町家のオーナーからすると家賃収入が発生しても、原則的には現金が入ってこないので納税負担がきついんじゃないの?

 家賃収入が発生しますが、減価償却費や信託報酬、固定資産税等の支払も生ずるので、結果的には収支トントンで所得はまず発生しないのではないかなあ。

 資金調達の方法はどうするの? 記事を読むと基金を利用しての資金調達とも読めます。ただ、資金調達は多様な方法が可能だと思いますし、これからのお話ですから最終的にどうなるかなあ。

 記事によると「京都市もこの試みに注目、1月にも協会役員や専門家を交えた調査会を発足させる。」そうです。この試みがうまくいくと、京都だけでなく、他の都市でも利用が可能となるので、是非、成功して欲しいですね♪

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2009年10月 9日 (金)

まちづくりと信託 課税上の問題

昨日の台風による交通マヒは凄かったですね。午後3時くらいでもまだ不通の区間があり、透き通った青空の下、いい運動をさせていただきました。

 だいぶ前のことになるのですが、平成21年6月に経済産業省商務流通グループ中心市街地活性化室が「不動産の所有と利用の分離とまちづくり会社の活動による中心商店街区域の再生について 中心商店街再生研究会 中間とりまとめ報告書」を公表していらっしゃいます。

http://www.meti.go.jp/press/20080624002/20080624002.html

       ○銀座といわれるような町の繁華街から、店が撤退して○○錆座になってしまっているところが日本の中には、それなりにあります。

地方分権がどうだこうだといっても、人が集まってこないとどないしようもない。

商店街の活性化のためには、各店舗のリニューアルだけではどうしようもなく、商店街やその周りも含めてリニューアルをする必要があります。

そのためには、いろんな人の協力が必要だし、お金もいる。

報告書では、どのようなツールを使ってやればいいのかということを、結構、具体的に検討されています。

その手法の一つとして信託があります。各お店が持っている不動産を信託して、まとめて再開発して、収益は、各受益者に分配しようとするものです。

この中で課税上の問題が書かれているのでちょっとご紹介しておきます。

報告書は154ページ ちょっと、文章は変えていますが

たとえば A,B,Cの不動産を一の受託者に信託することで一元的に運用するとした場合、Aにテナントがつかず、B,Cにのみ受取賃料があった場合に、この賃料をAを含めて、たとえば、面積比で分配するとB,Cの元所有者であった委託者らからAに係る信託受益者に対して経済的利益が供与されたとみなされ、別途の課税関係が生じると考えられるのです。

これじゃ、合同運用がうまくいかない。別に租税回避目的でやってるわけじゃないのにね。

そこで、街づくりなどのために合同運用信託をして合理的な基準で分配されている場合は、たとえ上記のような状況になっても課税関係が生じないようになればいいのにね。

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2009年8月 5日 (水)

不動産信託の変遷と課題

 昨日は、久々に税理士会の研修会で千葉県の船橋市まででかけました。題して「信託大好きおばちゃんの信託の税制 アドバンス編 何が問題でどうすればいいの?」なーんて、税理士の実務とは全然関係ないのですが、ひょっとして近い将来に影響があるかもしれないところを90分もお話しちゃいました。どうも、聞いていただいてありがとうございます。でも、面白いところもあったでしょ(笑)。

 帰りに船橋から横須賀線に乗りました。横須賀線って 東京から品川のちょい前まで地下を走るんですね。しかも、東京―品川間で止まる駅は新橋だけ。3年も東京にいるのに知りませんでした。

 さて、タイトル「不動産信託の変遷と課題」は、実は、信託大好きおばちゃんがリアルの名前で書いている原稿です。いままで、税務系の専門誌には原稿を書かせていただく機会がそれなりにあったのですが、今回は、なぜか、司法書士さんの雑誌「月報 司法書士 20097月号 No449」に載せていただきました。

 エッセンスをちょっとだけ書かせていただくと、不動産信託のブームの走りは、土地信託で、これはお上が民間の力を借りて土地を再開発したいという要望があったからのようです。 そして、その次のブームが証券化です。

 これらの信託が広がった背景としては、生の不動産を取引することよりも信託を使う方がメリットがあったからであり、そのメリットのひとつとして税のコストが安かったからというのがあります。

 今後、不動産の信託の発展の方向性として、高齢者の財産管理があります。核家族、少子化、非婚化の影響で、ひとりで生きなきゃいけない高齢者がどんどん増えていきます。彼らの生活の糧は年金だけではこころもとない。もし、不動産があるならば、貸して、その賃料収入で生活費や医療費、介護費を賄うこともできるけど、自分で管理できるとは限らない。そこで不動産信託を利用し、できたら成年後見人とセットして最後の面倒をみてもらうシステムを作ればいいのでないかと。

 でも、現状では、いろんな問題があってうまく機能できない。とくに、従来の不動産信託の発展に起用したはずの税制がさまざまな形で障害となっている。これをなんとかしてもらえませんか というようなことです。

 ご興味のある方は、

 http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/publish/monthly_report/

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2009年7月29日 (水)

不動産信託活用による古民家再生事業

 大阪不動産コンサルティング事業協同組合さんが、「大阪不動産コンサルティング事業協同組合の「不動産信託活用による古民家再生事業」国土交通省・実施過程検証等事業の支援対象事業に決定」というプレスリリースを出されました。

http://www.re-consul-coop.com/img/press090728.pdf

 不動産信託というと、金融危機がおこる前までは証券化のためというのがメインストリームでした。

 そのずっと前は、土地信託といって、地主さんが土地を信託し、信託銀行が借金してビルを建てて賃貸経営をするというのがメインストリームでした。

 今回のは、先祖帰りに近いのですが、いわゆる、町おこしの一環として、古い民家の再生に信託のチカラを借りましょうというものではないかと思います。

 スキームは、

古家のオーナーが不動産を信託し、信託受益権を手に入れる。受託者がその古家の借り手の元締めとマスターリース契約を結び、先に前払い家賃を受け取る。

 その前払い家賃を金銭信託する。(オーナーが破産してお金が飛んでしまうことを避けるためか)。

 受託者は、建築会社に頼んで古家の改修工事をしてもらい、代金は、金銭信託された前払い家賃から充当される。

 金銭信託からは、工事代金だけでなく、信託報酬、保険料、固定資産税にも充当される。

 だから、信託期間中にオーナーの手元にお金はほとんど入ってきません。信託期間中の中の賃料収入から経費を差し引いた金額は、オーナーの所得となりますが、減価償却費もあることから、ほとんど所得が生じないので、税金を払うこともあまりないように思われます。

 信託期間終了したときに、オーナーの手には、改修された古家がもどってきます。

 信託をすることによるオーナーのメリットは、自分自身では、古家の改修をするための必要な資金が調達できないので、朽ち果てるのを待つだけの古家が、信託をすることにより再生でき、信託期間終了後には手元に残ること。

 賃貸事業にかかわるプレーヤーのメリットは、信託をすることにより、たとえオーナーに相続が発生したり、倒産したりしても事業が頓挫することがないこと、オーナーの受益権に、マスターレッシーが質権を設定することにより、何かあっても投下資本の回収が可能なことのようです。

 また、世の中的なメリットとしては、町おこしのツールとして使える。いままで、古い家は、スクラップアンドビルドしかなかったんだけど、リフォームをして長持ち再生させるということは、世の中の方向性にも合致していますからね。

 これは、じわーっと広がるかもしれません♪

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2009年6月22日 (月)

国交省モデル事業の不動産信託

 平成21619日の大阪不動産コンサルティング事業協同組合のプレスリリースによりますと、

「「大阪不動産コンサルティング事業協同組合」(理事長 菅野勲)の実施した「高齢者の生活資金等の確保を目的とした不動産信託コンサルティング事例」が、国土交通省モデル事業・実施過程報告として6月19日に公開されました。」

 関係する国交省のページに飛ぶと

大阪市の物件(不動産信託)

01.不動産管理処分信託契約書

02.不動産コンサルティング業務委託契約書

03.信託受益権質権設定承諾依頼書兼承諾書

04.金銭貸借契約書

実際に使われた契約書等がダウンロードできるしくみとなっています。こういう生の契約書くらい実務で役立つものはないですよね。

でもこの契約書とか読んでも、なんのこっちゃよーわからない。そこで、再びプレスリリースに戻ると

「この事例は、居住する施設での生活費等の確保が困難となった高齢者(成年後見制度の被後見人)が、唯一所有する不動産(元の自宅)に「差押・競売開始決定」がされるという状況で依頼された不動産コンサルティングで、その不動産をより高く売却してより多くの生活資金等を確保しようとすることを目的に、当組合独自のノウハウを結集して「不動産信託」の活用を提案し、組合員による共同事業として実施したものです。」

 不動産に信託を設定し、その信託受益権に質権を設定してお金を貸し、既にある借金を返して、不動産を売却し、売却代金で貸金の返済に充てるようなものではないのかな。

 信託受益権に質権を設定することにより、貸主側が安心してお金を貸せるというメリットがあったようです。不動産の場合は、既存の金融業者の抵当権や差押の登記を抹消してもオールクリアになるとは限らない。たとえば、抵当権の登記留保をしてるかもしれないから。

ということですが、詳細についてお尋ねになりたい方は、プレスリリースにもありますが、下記にお問い合わせいただければ、

(お問い合わせ)

大阪不動産コンサルティング事業協同組合 米田(コメダ)さま

mailto: advice@re-consul-coop.com

URL: http://www.re-consul-coop.com/

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2008年9月 4日 (木)

新不動産信託の活用術

先日、大阪のおっちゃんは影が薄い!もっと気張んなはれ!!と吼えたところ、ほんまもんの大阪のおっちゃんから反論の烽火を上げられ、本を贈っていただきました。

 米田淳さんの「新不動産信託の活用術」です。

http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_b?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%90V%95s%93%AE%8EY%90M%91%F5%82%CC%8A%88%97p%8Fp&x=19&y=12

 米田さんは、現在きりう不動産信託株式会社の顧問をおやりになっていらっしゃいます。

 たしか、この会社は、日本で最初ぐらいに不動産管理信託会社として登録された会社だったような記憶があります。管理信託会社は平成2041日現在、7社あり、そのうち近畿にあるのが4社で、近畿の会社はすべて不動産関連のビジネスをやってます。どうして、近畿は、不動産の管理信託会社が多いのでしょうかねえ。この辺の理由はいまいちわかりません。

 以前、といっても2年以上前に前著「不動産の信託」を引用、ご紹介させていただきましたが、前著もすばらしかったですが、この著書は、この2年間の実務経験が発酵され、より、読み応えがあるものだなと思います。

 基本的には不動産の管理信託に特化されていて、管理信託に関連した話題を、あふれるように展開されていらっしゃいますが、ぱらぱらとめくるだけで、実務に裏打ちされた知恵のきらめきを感じますねえ。

タイトルではないですが、不動産信託は証券化だけじゃないんですね。不動産の管理信託は、不動産の管理を業者に委託する以上のメリットというか広がりがあることがわかります。ただ、それがあまりにも知られていないので、世の中に広がらないのでしょうね。

 たとえば、個人資産の不動産信託という章においては、おそらく将来的には発展することが予想される高齢者向け不動産信託に関して、多角的に検討されており、問題点等の指摘(厳しいなと思うものもありますが)もなされています。ここまで検討された本は、まだ他には出ていないような気もします。

 前回の著書も早々に売り切れてしまい、信託大好きおばちゃんにもどこで手にいれたらいいのかという問い合わせがきて困ったことがあります。おそらく、今回の本は、前回の本以上に売れることが予想されますので、お早めにお買い求めになられた方が絶対にいいと思いますね。この本は♪

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2007年9月 5日 (水)

年金基金と不動産信託受益権

今朝、ネタ探しのために「信託」231号 (社団)信託協会をめくっていると、信託資料として平成19510日社会資本整備審議会が「今後の不動産投資市場のあり方に関する第二次答申」が掲載されていました。ここで不動産投資一任のサービスのあり方という項目がありまして、さらっと読んだときに先日出席した早稲田大学の「信託とファイナンス特別講座」の第4回の石橋博氏の講義「不動産投資と信託」を思い出しました。

この講義のレジュメの中で、年金基金の不動産投資の状況というのがあります。企業年金連合会資産運用実態調査 200612.26社会資本整備審議会 不動産部会「不動産投資一任サービスのあり方について」第2次中間整理よりということで、年金基金の資産構成割合は、2005年だったら、 国内債券、国内株式、外国債券、外国株式が81.7%を占め、不動産はたった0.8%です。

で、第二次答申の方を読むと、「不動産投資市場の健全な発展のためには、投資期間の長い安定的な資金が市場に円滑に供給されることが課題である。このため、長期安定資金の代表的な存在である年金基金による不動産投資を促進することが重要となってきている。」

つまり、年金基金に不動産を継続的に買ってもらいましょう。

年金基金は、将来の年金の財源を守り増やすというのが非常に大事な使命ですが、不動産投資のプロではないです。年金資産を外部運用させるのは一任業者に限定されているようです。一任業者っていうのは、顧客から預かった資産の全部または一部を自分の判断で運用することができる業者のことだと思います。

で、証券投資顧問業者というのが証券取引法の時代からあったのですが、この証券投資顧問業者はJリートの投資証券やYKTK(GK)スキームの投資組合出資持分やTMKの優先出資証券の運用はできますが、実物不動産や不動産信託受益権の運用はできません。有価証券じゃないから。

ところが、金融商品取引法が施行されると、証券投資顧問業者は金融商品取引業者となり、信託受益権はみなし有価証券となるので、投資運用業の運用対象資産となります。

またまた、石橋氏のレジュメに記載された数値(資料;国土交通省CRE研究会報告書)からひっぱってきますが、日本の不動産の価値はトータルで約2,300兆円。 このうち法人所有不動産が約490兆円で収益不動産が約68兆円 そのうち証券化された不動産が約25兆円だそうです。

大金持ちの年金基金が信託受益権を利用して不動産投資をすることが予想されるので、収益不動産の証券化が今まで以上に活発化されるのでしょうね♪

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2007年8月21日 (火)

J-REITのリスク要因に関する実証的研究

 昨日、早稲田大学の「信託とファイナンスの特別講座」に出かけました。前半が「債権流動化と信託」、後半が「不動産投資と信託」でした。

この不動産投資と信託の講義の中で 株式会社住信基礎研究所が財産法人トラスト60の委託研究を受けて平成20073月に公表した J-REITのリスク要因に関する実証的研究」報告書 に関して、今朝、はらはらと読んでみましたので、ご紹介します。

ようするにJ-REITのリスクを分析すると、市場ファクター(株式、債券、不動産)の影響度合いは3割程度であり、J-REIT独自リスク(スペシフィックリスク)は7割を占める。

市場ファクターのうち、不動産の影響度合いであるが、調査対象期間である200110月から200410日までは不動産とJRISKは負の相関関係だった。この時期は、不動産価格が下落し、空室率が上昇し、家賃が減少している。しかし、不動産価格の下落が不動産の投資に対する高配当が期待できた等の理由によりJ-REITの株価は上昇した。

20011月から20072月までの期間は、不動産とJ-RIETは正の相関関係であると考えられる。この時期、不動産価格が反転し、空室率が下落し、家賃が上昇している。不動産価格が上昇したことによりJREITの資産価値が増え、また家賃の上昇から高配当が期待できるので、こちらの場合もJ-REITの株価が上昇した。

J-REITのリターンについて不動産の動向は重要な影響を与えるから、実物不動産市場の分析と予測はますます重要である。

J-REIT独自リスク(スペシフィックリスク)は、資産規模、東京都心5区投資比率、機関投資家比率と負の相関、予想配当利回りと正の相関がみられた。

すなわち、資産規模が大きくなるほど、分散投資が進められ、個別不動産ごとのリスク(たとえばテナント退去)の全体にあたえる影響が小さくなるのでリスクは低なり、リターンは安定する。

一極集中によって東京都心五区の不動産需要が旺盛であるし、データーも完備されているので投資のミスマッチが起こりにくいので、他の地方都市と比較するとリスクが低くなり、収益が安定する。

機関投資家は、長期保有を目的としている傾向が強く、情報収集分析能力も優れているので、機関投資家が投資しているものは、リスクが低く、安定した収益が見込まれるものが多い。

予想配当利回りであるが、リスクの多い商品へ投資するためには、安定した商品よりも高い利回りが要求されるということ。だからリスクが高まれば、配当利回りも上昇する。

 ということかなあ。

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