KHPさんの質問です。『自社保有の不動産、今後購入予定の不動産を本体の会社から切り離したい 株式会社がいいのかTMKがいいのか。』自社保有の不動産、今後購入予定の不動産を本体の会社から切り離したい 株式会社がいいのかTMKがいいのか。
株式会社は流動化のビークルではあんまり使わないですね。従来は有限会社(YK)を作りましたが、会社法改正からは、合同会社(GK)を利用すると思います。GKとは、有限責任だけど株式会社より会社の組織を柔軟に設計できて、会社更生法の対象にならないから、GKにお金を貸した金融機関は、GKが潰れても、しっかり自分の取り分は優先的に返済できるので債権者にやさしい会社です。
1. TMK
特定目的会社は、資産の流動化のための会社ですが、設立されるためには、お上に資産流動計画を提出しないといけません。これ自体はそんなに膨大な作業がいらないのですが、一番大変なのが、税務上の恩典である配当が損金となる要件を満たすことです。
この要件のメインは、
◎社債を公募(50人以上)で1億円以上集めるか、適格機関投資家のみに引き受けてもらう 又は優先出資証券(議決権がないかわりに配当を多くもらえる)を50人以上が引受けるか適格機関投資家のみが引受けるか
◎同族会社にあてはまらないこと
◎配当可能所得の90%超を配当として支払うこと
TMKがやっかいなのは同族会社(3人の株主が過半数の株を持つ会社)にあてはまらないのが難しいことです。なぜなら劣後部分はオリジネーターが持つのがお約束みたいなものだからです。
ただTMKに関しては、社債を1億円以上公募で集めるか、適格機関投資家のみに引受けてもらう場合は同族会社でもいいので、実務でTMKは、ほとんど適格機関投資家が社債を引受けているパターンです。
また90%超の配当をしないといけないのも問題です。このベースになるのは税務上の利益ですが、税務上の利益と会計上の利益が異なる場合(会計上の利益の方が低い場合)は、税務上要求される90%超の配当が行えないので、自動的に利益全部が課税されます。
このように厄介な問題があるので、あまりTMKは使われていません。といっても平成18年3月末現在で関東財務局届出分は547件ありますが、
2.TK+GK(旧YK)スキーム
TMKは、上記のような問題があるので、私募の多くはTK+GK(旧
YK)スキームが利用されています。
どんなスキームかというと
会社(オリジネーター)が持っている不動産を信託して、信託受益権を受取る。
オリジネーターが有限責任中間法人(そのうち一般社団法人になる)に出資し、中間法人がGKに出資する。GKが投資家と匿名組合(TK)契約を結び、金融機関からノンリコースローンローンを借り資金調達をする。
その資金でオリジネーターの持っている信託受益権を購入する。
信託受益権から生ずる利益を原資に利息や、TKの分配金を支払う。
?なぜ信託受益権なのか
信託受益権をGKが取得した時に不動産取得税がかからないし、登録免許税もナマの不動産売買よりもはるかに安いから。信託受益権をGKが購入した場合、GKが不動産特定共同事業法の事業にあてはまらないので、資本金が1億円以上とか宅建免許が必要という規制の対象外になります。
?なぜ有限責任中間法人か
これは会社が倒産した場合に、会社の債権者が、GKに移った資産は会社の資産だから召し上げる!となったら投資家がつっこんだお金がパーになるので、これを避けるために中間法人をかましています。中間法人は、出資者が経営者をコントロールできないしくみになっているから倒産隔離が図れます。
?なぜ匿名組合(TK)か
TKは、パトロン契約みたいなもので、出資者は、金はだすけど口はださないので、経営者としては自分の自由に運営でき、分配金が損金となるからです。TMKも配当が損金となるので、受取の実質手取りは同じになります。
3.TMK TK+GKの共通の留意点
資産の流動化でTKやらGKに資産を移動する目的は、オリジネーターの資産を減らして(オフバランス)、資産効率をよくしましょうという目的のためです。とはいっても証券化した部分のうち劣後部分は通常オリジネーターが引受けます。
この引受け部分が不動産の総額のおおむね5%を超えるような場合で、オリジネーターに会計監査が入っている場合は、売買ではなく金融取引だ!ということになり、オフバランスはできなくなります。
コストやらリスクと効果を考えるとTK+GKの方がいいのですが、投資家が、TKの出資よりも社債を引き受けたいというならTMKなのでしょうか。でもGKだって会社法の改正により社債は発行できるので、今後TMKが他のビークルよりも競争力を得ようとしたいなら、特別のセールスポイントが必要じゃないかなと思います♪
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