2009年10月 9日 (金)

まちづくりと信託 課税上の問題

昨日の台風による交通マヒは凄かったですね。午後3時くらいでもまだ不通の区間があり、透き通った青空の下、いい運動をさせていただきました。

 だいぶ前のことになるのですが、平成21年6月に経済産業省商務流通グループ中心市街地活性化室が「不動産の所有と利用の分離とまちづくり会社の活動による中心商店街区域の再生について 中心商店街再生研究会 中間とりまとめ報告書」を公表していらっしゃいます。

http://www.meti.go.jp/press/20080624002/20080624002.html

       ○銀座といわれるような町の繁華街から、店が撤退して○○錆座になってしまっているところが日本の中には、それなりにあります。

地方分権がどうだこうだといっても、人が集まってこないとどないしようもない。

商店街の活性化のためには、各店舗のリニューアルだけではどうしようもなく、商店街やその周りも含めてリニューアルをする必要があります。

そのためには、いろんな人の協力が必要だし、お金もいる。

報告書では、どのようなツールを使ってやればいいのかということを、結構、具体的に検討されています。

その手法の一つとして信託があります。各お店が持っている不動産を信託して、まとめて再開発して、収益は、各受益者に分配しようとするものです。

この中で課税上の問題が書かれているのでちょっとご紹介しておきます。

報告書は154ページ ちょっと、文章は変えていますが

たとえば A,B,Cの不動産を一の受託者に信託することで一元的に運用するとした場合、Aにテナントがつかず、B,Cにのみ受取賃料があった場合に、この賃料をAを含めて、たとえば、面積比で分配するとB,Cの元所有者であった委託者らからAに係る信託受益者に対して経済的利益が供与されたとみなされ、別途の課税関係が生じると考えられるのです。

これじゃ、合同運用がうまくいかない。別に租税回避目的でやってるわけじゃないのにね。

そこで、街づくりなどのために合同運用信託をして合理的な基準で分配されている場合は、たとえ上記のような状況になっても課税関係が生じないようになればいいのにね。

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2009年8月 5日 (水)

不動産信託の変遷と課題

 昨日は、久々に税理士会の研修会で千葉県の船橋市まででかけました。題して「信託大好きおばちゃんの信託の税制 アドバンス編 何が問題でどうすればいいの?」なーんて、税理士の実務とは全然関係ないのですが、ひょっとして近い将来に影響があるかもしれないところを90分もお話しちゃいました。どうも、聞いていただいてありがとうございます。でも、面白いところもあったでしょ(笑)。

 帰りに船橋から横須賀線に乗りました。横須賀線って 東京から品川のちょい前まで地下を走るんですね。しかも、東京―品川間で止まる駅は新橋だけ。3年も東京にいるのに知りませんでした。

 さて、タイトル「不動産信託の変遷と課題」は、実は、信託大好きおばちゃんがリアルの名前で書いている原稿です。いままで、税務系の専門誌には原稿を書かせていただく機会がそれなりにあったのですが、今回は、なぜか、司法書士さんの雑誌「月報 司法書士 20097月号 No449」に載せていただきました。

 エッセンスをちょっとだけ書かせていただくと、不動産信託のブームの走りは、土地信託で、これはお上が民間の力を借りて土地を再開発したいという要望があったからのようです。 そして、その次のブームが証券化です。

 これらの信託が広がった背景としては、生の不動産を取引することよりも信託を使う方がメリットがあったからであり、そのメリットのひとつとして税のコストが安かったからというのがあります。

 今後、不動産の信託の発展の方向性として、高齢者の財産管理があります。核家族、少子化、非婚化の影響で、ひとりで生きなきゃいけない高齢者がどんどん増えていきます。彼らの生活の糧は年金だけではこころもとない。もし、不動産があるならば、貸して、その賃料収入で生活費や医療費、介護費を賄うこともできるけど、自分で管理できるとは限らない。そこで不動産信託を利用し、できたら成年後見人とセットして最後の面倒をみてもらうシステムを作ればいいのでないかと。

 でも、現状では、いろんな問題があってうまく機能できない。とくに、従来の不動産信託の発展に起用したはずの税制がさまざまな形で障害となっている。これをなんとかしてもらえませんか というようなことです。

 ご興味のある方は、

 http://www.shiho-shoshi.or.jp/association/publish/monthly_report/

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2009年7月29日 (水)

不動産信託活用による古民家再生事業

 大阪不動産コンサルティング事業協同組合さんが、「大阪不動産コンサルティング事業協同組合の「不動産信託活用による古民家再生事業」国土交通省・実施過程検証等事業の支援対象事業に決定」というプレスリリースを出されました。

http://www.re-consul-coop.com/img/press090728.pdf

 不動産信託というと、金融危機がおこる前までは証券化のためというのがメインストリームでした。

 そのずっと前は、土地信託といって、地主さんが土地を信託し、信託銀行が借金してビルを建てて賃貸経営をするというのがメインストリームでした。

 今回のは、先祖帰りに近いのですが、いわゆる、町おこしの一環として、古い民家の再生に信託のチカラを借りましょうというものではないかと思います。

 スキームは、

古家のオーナーが不動産を信託し、信託受益権を手に入れる。受託者がその古家の借り手の元締めとマスターリース契約を結び、先に前払い家賃を受け取る。

 その前払い家賃を金銭信託する。(オーナーが破産してお金が飛んでしまうことを避けるためか)。

 受託者は、建築会社に頼んで古家の改修工事をしてもらい、代金は、金銭信託された前払い家賃から充当される。

 金銭信託からは、工事代金だけでなく、信託報酬、保険料、固定資産税にも充当される。

 だから、信託期間中にオーナーの手元にお金はほとんど入ってきません。信託期間中の中の賃料収入から経費を差し引いた金額は、オーナーの所得となりますが、減価償却費もあることから、ほとんど所得が生じないので、税金を払うこともあまりないように思われます。

 信託期間終了したときに、オーナーの手には、改修された古家がもどってきます。

 信託をすることによるオーナーのメリットは、自分自身では、古家の改修をするための必要な資金が調達できないので、朽ち果てるのを待つだけの古家が、信託をすることにより再生でき、信託期間終了後には手元に残ること。

 賃貸事業にかかわるプレーヤーのメリットは、信託をすることにより、たとえオーナーに相続が発生したり、倒産したりしても事業が頓挫することがないこと、オーナーの受益権に、マスターレッシーが質権を設定することにより、何かあっても投下資本の回収が可能なことのようです。

 また、世の中的なメリットとしては、町おこしのツールとして使える。いままで、古い家は、スクラップアンドビルドしかなかったんだけど、リフォームをして長持ち再生させるということは、世の中の方向性にも合致していますからね。

 これは、じわーっと広がるかもしれません♪

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2009年6月22日 (月)

国交省モデル事業の不動産信託

 平成21619日の大阪不動産コンサルティング事業協同組合のプレスリリースによりますと、

「「大阪不動産コンサルティング事業協同組合」(理事長 菅野勲)の実施した「高齢者の生活資金等の確保を目的とした不動産信託コンサルティング事例」が、国土交通省モデル事業・実施過程報告として6月19日に公開されました。」

 関係する国交省のページに飛ぶと

大阪市の物件(不動産信託)

01.不動産管理処分信託契約書

02.不動産コンサルティング業務委託契約書

03.信託受益権質権設定承諾依頼書兼承諾書

04.金銭貸借契約書

実際に使われた契約書等がダウンロードできるしくみとなっています。こういう生の契約書くらい実務で役立つものはないですよね。

でもこの契約書とか読んでも、なんのこっちゃよーわからない。そこで、再びプレスリリースに戻ると

「この事例は、居住する施設での生活費等の確保が困難となった高齢者(成年後見制度の被後見人)が、唯一所有する不動産(元の自宅)に「差押・競売開始決定」がされるという状況で依頼された不動産コンサルティングで、その不動産をより高く売却してより多くの生活資金等を確保しようとすることを目的に、当組合独自のノウハウを結集して「不動産信託」の活用を提案し、組合員による共同事業として実施したものです。」

 不動産に信託を設定し、その信託受益権に質権を設定してお金を貸し、既にある借金を返して、不動産を売却し、売却代金で貸金の返済に充てるようなものではないのかな。

 信託受益権に質権を設定することにより、貸主側が安心してお金を貸せるというメリットがあったようです。不動産の場合は、既存の金融業者の抵当権や差押の登記を抹消してもオールクリアになるとは限らない。たとえば、抵当権の登記留保をしてるかもしれないから。

ということですが、詳細についてお尋ねになりたい方は、プレスリリースにもありますが、下記にお問い合わせいただければ、

(お問い合わせ)

大阪不動産コンサルティング事業協同組合 米田(コメダ)さま

mailto: advice@re-consul-coop.com

URL: http://www.re-consul-coop.com/

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2008年9月 4日 (木)

新不動産信託の活用術

先日、大阪のおっちゃんは影が薄い!もっと気張んなはれ!!と吼えたところ、ほんまもんの大阪のおっちゃんから反論の烽火を上げられ、本を贈っていただきました。

 米田淳さんの「新不動産信託の活用術」です。

http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss_b?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%90V%95s%93%AE%8EY%90M%91%F5%82%CC%8A%88%97p%8Fp&x=19&y=12

 米田さんは、現在きりう不動産信託株式会社の顧問をおやりになっていらっしゃいます。

 たしか、この会社は、日本で最初ぐらいに不動産管理信託会社として登録された会社だったような記憶があります。管理信託会社は平成2041日現在、7社あり、そのうち近畿にあるのが4社で、近畿の会社はすべて不動産関連のビジネスをやってます。どうして、近畿は、不動産の管理信託会社が多いのでしょうかねえ。この辺の理由はいまいちわかりません。

 以前、といっても2年以上前に前著「不動産の信託」を引用、ご紹介させていただきましたが、前著もすばらしかったですが、この著書は、この2年間の実務経験が発酵され、より、読み応えがあるものだなと思います。

 基本的には不動産の管理信託に特化されていて、管理信託に関連した話題を、あふれるように展開されていらっしゃいますが、ぱらぱらとめくるだけで、実務に裏打ちされた知恵のきらめきを感じますねえ。

タイトルではないですが、不動産信託は証券化だけじゃないんですね。不動産の管理信託は、不動産の管理を業者に委託する以上のメリットというか広がりがあることがわかります。ただ、それがあまりにも知られていないので、世の中に広がらないのでしょうね。

 たとえば、個人資産の不動産信託という章においては、おそらく将来的には発展することが予想される高齢者向け不動産信託に関して、多角的に検討されており、問題点等の指摘(厳しいなと思うものもありますが)もなされています。ここまで検討された本は、まだ他には出ていないような気もします。

 前回の著書も早々に売り切れてしまい、信託大好きおばちゃんにもどこで手にいれたらいいのかという問い合わせがきて困ったことがあります。おそらく、今回の本は、前回の本以上に売れることが予想されますので、お早めにお買い求めになられた方が絶対にいいと思いますね。この本は♪

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2007年9月 5日 (水)

年金基金と不動産信託受益権

今朝、ネタ探しのために「信託」231号 (社団)信託協会をめくっていると、信託資料として平成19510日社会資本整備審議会が「今後の不動産投資市場のあり方に関する第二次答申」が掲載されていました。ここで不動産投資一任のサービスのあり方という項目がありまして、さらっと読んだときに先日出席した早稲田大学の「信託とファイナンス特別講座」の第4回の石橋博氏の講義「不動産投資と信託」を思い出しました。

この講義のレジュメの中で、年金基金の不動産投資の状況というのがあります。企業年金連合会資産運用実態調査 200612.26社会資本整備審議会 不動産部会「不動産投資一任サービスのあり方について」第2次中間整理よりということで、年金基金の資産構成割合は、2005年だったら、 国内債券、国内株式、外国債券、外国株式が81.7%を占め、不動産はたった0.8%です。

で、第二次答申の方を読むと、「不動産投資市場の健全な発展のためには、投資期間の長い安定的な資金が市場に円滑に供給されることが課題である。このため、長期安定資金の代表的な存在である年金基金による不動産投資を促進することが重要となってきている。」

つまり、年金基金に不動産を継続的に買ってもらいましょう。

年金基金は、将来の年金の財源を守り増やすというのが非常に大事な使命ですが、不動産投資のプロではないです。年金資産を外部運用させるのは一任業者に限定されているようです。一任業者っていうのは、顧客から預かった資産の全部または一部を自分の判断で運用することができる業者のことだと思います。

で、証券投資顧問業者というのが証券取引法の時代からあったのですが、この証券投資顧問業者はJリートの投資証券やYKTK(GK)スキームの投資組合出資持分やTMKの優先出資証券の運用はできますが、実物不動産や不動産信託受益権の運用はできません。有価証券じゃないから。

ところが、金融商品取引法が施行されると、証券投資顧問業者は金融商品取引業者となり、信託受益権はみなし有価証券となるので、投資運用業の運用対象資産となります。

またまた、石橋氏のレジュメに記載された数値(資料;国土交通省CRE研究会報告書)からひっぱってきますが、日本の不動産の価値はトータルで約2,300兆円。 このうち法人所有不動産が約490兆円で収益不動産が約68兆円 そのうち証券化された不動産が約25兆円だそうです。

大金持ちの年金基金が信託受益権を利用して不動産投資をすることが予想されるので、収益不動産の証券化が今まで以上に活発化されるのでしょうね♪

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2007年8月21日 (火)

J-REITのリスク要因に関する実証的研究

 昨日、早稲田大学の「信託とファイナンスの特別講座」に出かけました。前半が「債権流動化と信託」、後半が「不動産投資と信託」でした。

この不動産投資と信託の講義の中で 株式会社住信基礎研究所が財産法人トラスト60の委託研究を受けて平成20073月に公表した J-REITのリスク要因に関する実証的研究」報告書 に関して、今朝、はらはらと読んでみましたので、ご紹介します。

ようするにJ-REITのリスクを分析すると、市場ファクター(株式、債券、不動産)の影響度合いは3割程度であり、J-REIT独自リスク(スペシフィックリスク)は7割を占める。

市場ファクターのうち、不動産の影響度合いであるが、調査対象期間である200110月から200410日までは不動産とJRISKは負の相関関係だった。この時期は、不動産価格が下落し、空室率が上昇し、家賃が減少している。しかし、不動産価格の下落が不動産の投資に対する高配当が期待できた等の理由によりJ-REITの株価は上昇した。

20011月から20072月までの期間は、不動産とJ-RIETは正の相関関係であると考えられる。この時期、不動産価格が反転し、空室率が下落し、家賃が上昇している。不動産価格が上昇したことによりJREITの資産価値が増え、また家賃の上昇から高配当が期待できるので、こちらの場合もJ-REITの株価が上昇した。

J-REITのリターンについて不動産の動向は重要な影響を与えるから、実物不動産市場の分析と予測はますます重要である。

J-REIT独自リスク(スペシフィックリスク)は、資産規模、東京都心5区投資比率、機関投資家比率と負の相関、予想配当利回りと正の相関がみられた。

すなわち、資産規模が大きくなるほど、分散投資が進められ、個別不動産ごとのリスク(たとえばテナント退去)の全体にあたえる影響が小さくなるのでリスクは低なり、リターンは安定する。

一極集中によって東京都心五区の不動産需要が旺盛であるし、データーも完備されているので投資のミスマッチが起こりにくいので、他の地方都市と比較するとリスクが低くなり、収益が安定する。

機関投資家は、長期保有を目的としている傾向が強く、情報収集分析能力も優れているので、機関投資家が投資しているものは、リスクが低く、安定した収益が見込まれるものが多い。

予想配当利回りであるが、リスクの多い商品へ投資するためには、安定した商品よりも高い利回りが要求されるということ。だからリスクが高まれば、配当利回りも上昇する。

 ということかなあ。

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2007年3月23日 (金)

信託2行、兵庫県を提訴

平成19323日の日本経済新聞の朝刊によると

「三菱UFJ信託銀行と住友信託銀行が兵庫県を相手取り、総額七十八億七千九百万円の支払いを請求する訴訟を起こしたことが二十二日、分かった。二行は兵庫県から土地の信託を受け、スポーツ施設の運営などを受託していた。銀行側は運転資金を外部から手当てしていたが、収益の悪化で生じた損失は県が補償すべき契約だったとして、提訴に踏み切った。」

 これって、信託財産が債務超過になったような場合に、受託者が信託財産を超える部分の借入金を受託者個人の財産でもって支払ったケースにあてはまるんですよね。その部分については、受益者が放棄しない限り、受託者は受益者に請求できる(現信託法36②、③)。たぶん受益者に放棄させないように信託契約書で決めてるのでしょう。だから上記の土地信託で銀行側が負担していた借入金部分に対して兵庫県は、支払わないといけない。でも兵庫県もお金がなかったから(たぶん)ちゃらにしてねと言ってきたのかな。で、契約違反だから訴えるぞとなったのでしょう。

 新信託法では、受益者は、信託財産から費用の支払いをするけど、信託財産を超過する部分について、原則としては、受益者は支払う義務はないけど、契約で支払うと決めた場合はそれに従うというようになったと思う(新信託法48⑤)。たぶん新信託法が施行されても受託者が損するような契約を作るとは思えないから、土地信託で債務超過になった場合は受益者が負担するというような文言をいれるんじゃないのかな♪

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2006年9月 9日 (土)

滞納した固定資産税は、どこからとれるのか?

土曜日だけど通常ネタ

 

最初のQ ある不動産について、信託を原因とする所有権移転登記がなされた後、当該不動産に対して、委託者(元所有者)が先に滞納していた固定資産税(平成18年1月1日現在所有している不動産に対するもの)に係る滞納処分を執行する(課税庁が当該不動産を差し押さえる)ことは可能なのでしょうか。

A.滞納処分を理由として課税が不動産を差し押さえるのは難しいと考えます。

理由の要旨は

固定資産税の納税義務者は1月1日に不動産を所有している人、だからもしその所有者が固定資産税を払っていない場合は、その所有者の不動産や他の財産を差し押さえることはできるし、もし不動産を売却しているなら売却代金を差し押さえることはできる。

でも不動産が売却されて他人の物になった場合、その他人の持ち物にまで差し押さえをすることは原則的には難しい。だって買主は固定資産税が払われていないことなど知らないし、知る義務もないのに、ある日突然差し押さえなんてリスクがあるなら怖くて不動産なんて誰も買えないから。

これは何も売却しているケースには限らない。たとえば信託した場合も、実質的な所有者は自益信託の場合は変わらないけど、形式的には所有者が変わるから。

ただしこの信託が債権逃れであるということが証明されたような場合は、差し押さえは可能でしょう。

で、みうらさんのコメント

信託受益権を差し押さえるしかないでしょうね。

信託大好きおばちゃんのレス

そうですね。信託受益権に含まれている不動産には差し押さえの効力はないけれども、信託受益権をその不動産の所有者が所有し続けている場合には、信託受益権も固定資産税の債務者の財産の一つだから差し押さえは可能でしょうね。

でももし、その信託受益権を第三者に売却したような場合は、そしてその売却が真正売買(TRUE SALE)といわれるようなものであるならば、信託受益権に対して差し押さえはできないでしょう。もちろん信託受益権売却代金を差し押さえることはできると思いますが、

固定資産税だからイメージしにくいですが、この第三者をSPCと置き換えたら、なぜ流動化スキームでSPCをかますか理解できると思います。すなわちオリジネーターの倒産リスクから信託受益権を隔離させるためです。

なおアメリカでは浪費者信託というのがあって、信託受益権を所有している受益者が破産しても、債権者が受益者の持つ信託受益権に差し押さえができないというようなものすごいパワーをもつ信託があるようですが、日本では、さすがに制度として設けていませんね。

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2006年9月 6日 (水)

委託者が固定資産税を滞納している不動産を信託した場合

Q ある不動産について、信託を原因とする所有権移転登記がなされた後、当該不動産に対して、委託者(元所有者)が先に滞納していた固定資産税(平成18年1月1日現在所有している不動産に対するもの)に係る滞納処分を執行する(課税庁が当該不動産を差し押さえる)ことは可能なのでしょうか。

A.滞納処分を理由として課税が不動産を差し押さえるのは難しいと考えます。

解説: 固定資産税というのは、1月1日に不動産を所有している人が納付しなければならない税金です。もしこの不動産を5月1日に売却した場合でも、その年の固定資産税を全部支払わなければならないのは、買主ではなく、1月1日に所有していた売主の方になります。

固定資産を売買した場合、よく固定資産税を期間按分して、買主所有している期間に対応する固定資産税部分も譲渡代金に上乗せして支払うこともありますが、これはあくまでも取引の当事者間の決め事であり、このことにより固定資産税の納税義務の継承とはなりません。

もし所有権者が変わらない状態で固定資産税が滞納状態になっている場合、課税庁はその固定資産税の支払いにあてるために不動産を差し押さえることはできます。もしその不動産を売却して、売却代金に化けた場合、その売却代金を差し押さえることもできます。

でも売主の手元から離れて、買主(滞納を知らない)の手元にある不動産それ自体に差し押さえをできるかというとそれは難しいです。だって買主にとって別に払う必要のない債務が実はあったから差し押さえますよなんて突然いわれたらびっくりしますよね。それなら先にそのような状態であることを教えて欲しい。そうじゃないなら怖くて不動産なんて買えないです。

上記の事例は不動産を売却した場合ですが、信託をした場合はどうなるのでしょうか。信託をした場合も同様だと思います。経済的な実態は、自益信託(委託者=受益者)なら信託の前後で変わりませんが、法形式上は、所有者が委託者から受託者にかわるので、不動産を売却した場合と同様に、受託者に対して委託者の固定資産税の滞納部分を払えとはいえないのではないでしょうか。

いちおう能見善久「現代信託法」有斐閣 P37によると、信託法の条文からは明確ではないが、信託設定当時の債権者は、信託財産にはかかっていけないのが原則である。委託者の債権者からすれば、信託設定によって債務者(委託者)の責任財産が減少する。しかし、これは信託に限ったことではなく、債務者の財産が他人に譲渡されれば当然に生じることである。したがってそれが委託者の債権者を害する目的でなされた場合は別として(信託法12条の詐害信託)、信託の設定によって委託者から特定の財産が流出すること自体には問題がない。

詐害信託の場合や、固定資産税の差し押さえの仮登記をすでにした場合でもない限り、受託者の手元にある不動産を差し押さえるのは難しいのでしょうね。

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2006年8月16日 (水)

REITの利回りを高めるためには

1.REITアナリストのお仕事は

 昨日(平成18年8月15日)の夕刊に「拝啓個人マネー様『貯蓄から投資』の担い手たちか不動産を商品に㊦REIT分析者」という記事が載っています。

 ここではUBS証券の沖野登史彦シニアアナリストの仕事振りが書かれています。彼はREITのアナリストの第一人者でありREITに組み込まれた不動産について評価ができる人だそうです。

 REITをなぜ投資家が購入するかというと、利回りがよく、市場で売却して換金できるところです。その利益の源泉は不動産の賃料収入であり、将来の売却収入であるので、より多くの賃料収入を継続して受取れるようなものか、将来高額な値段で売れるかが重要なポイントになります。そのため物件の形状、テナントの稼動状況、隣地に様子などを確認するため、毎週全国を飛び回っているそうです。

 たとえば彼は物件を見にいくときは、自家用車で行くそうです。運転が上手くないドライバーでも入りやすいかチェックするためだそうです。「駐車場に入るのに2回右折が必要なところはマイナス」など、つかいやすいかどうかも物件の収益性を評価するポイントだからだそうです。

2.借入金のレバレッジド効果

REITでは、不動産を購入する場合、購入資金の全額を出資によらず一部分を借入金で行うことがしばしばあります。これは借入金を一部いれることにより、投資利回がよくなる効果があるからです。

例を使って説明します。

100億円の不動産を取得します。これを全額出資で賄うとすると

発行済出資総数は(100億円÷5万円=200,000口となります。

この不動産の純賃貸料が8億円で減価償却費が3億円とすると当期純利益が5億円(8億円―3億円)となり、全額配当にまわします。

そうすると利回りは 5億円/200,000=2,500 2,500÷50,0000=5%となります。

次に100億円の不動産を取得します。このうち半分の50億円を借入で賄うとすると、発行済み出資総数は(100億円―50億円)/5万円=100,000口となります。

この不動産の純賃貸料が8億円で減価償却費が3億円で、借入利息が1億円とすると当期純利益は4億円(8億円―3億円―1億円)となり、全額配当にまわします。

そうすると利回りは 4億円/100,000=4,000 4,000÷50,000=8%となります。

このように借入金を入れたほうが利回りの高い魅力的な投資商品となります。しかし借入金の比率が高いと、将来の金利上昇により利回りが下がるリスクがあるので、REITの計画上の借入比率は50%前後ですが、実務上は、総資産に対して40%前後の比率を一つのめどとしているようです(注)。

注 佐藤一雄 不動産証券化の実践完全版 ダイヤモンド社2006年 P270 

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2006年7月25日 (火)

REITとSPCはどう違うの? お返事

ど素人さんからいただいたコメントについて、自分なりにかんたんにまとめてみます。

1.REITとSPCの概念的な違い

REIT(Real Estate Investment Trust)とSPC(special purpose company)は、いずれも投資家からお金を集めてきて、それで不動産を購入し、不動産から生ずる収入(家賃、地代、売却代金)をベースに投資家に利益を分配するために必要な器(ビークル)です。

本質的なものは同じですが、使われ方は微妙に違います。

ど素人さんがイメージするように、会社がSPCを作って、資産をSPCに譲渡して、それからREITが買うというスキームはあまりききません。 会社がSPCに資産を移すか、 会社がREITに資産を移すかいずれかだと思います。資産を転々と移すと当然、流通コストがかかりますから。

概念的な違いといえば、REITは先にお金ありき、SPCは先に資産あり言われます。REITは、投資家からお金を集めてきてそのお金で儲かるような資産を集めてくるようなもの。 SPCは、資産を売却して資金調達をしたいがその資産を今後も利用したいというようなニーズがまずあって、資金の出し手を捜しましょうというようなものです。ただ実際には、REITでも先に資産ありということが多くあります。

2.REITとSPC 誰が投資することを前提にしているか?

REITというのは、大きなお金を広くあつめて投資するためのビークルですから、素人が投資家であるということが前提に作られています。このビークルの投資口(株式のようなもの)を証券取引所に上場させることができます。上場しているから、投資口を投資家は、いつでも売買できます。素人の投資家でも参加して困らないように証券取引法(金融取引法)による規制が厳格になされています。

SPCというのは、少人数のプロ投資家やセミプロ投資家からお金をあつめてくるということが前提に作られています。

会社法施行前は、有限会社をビークルとしてしばしば使われていました。会社法施行後は合同会社を利用するものが多くなると予想されています。投資家はSPCの出資金に直接投資するというよりも、SPCと匿名組合契約を結んで投資するという手法を使うことが多いです。匿名組合契約というのは、お金をだすけど口はださないというパトロン契約のようなものです。プロ投資家やセミプロ投資家向けの投資が多いため、REITに比べると規制は穏やかではないかと思います。

3.REITとSPC 税務上の違い

 REITというのは、特別な法律によって作られたビークルです。特徴としては、条件を満たしたら、支払った配当がビークル側で税務上の費用(損金)になることです。ビークル側で法人税の負担が減少されるから、その分多くのお金を投資家に分配することはできます。また配当について、源泉所得税が差し引かれますが、上場しているREITで平成20年3月末までの配当は、源泉税率が個人投資家の場合10%、法人投資家の場合は7%となります。

 SPCに対して、投資家は匿名組合を通じて出資するのが一般的ですが、この匿名組合分配金は、SPC側では損金となります。なお日本の会社や日本の居住者10人以上と匿名組合契約を結んでいるような場合は、分配金に対して20%の源泉税を差し引かなければならないので、日本の投資家向けの場合は投資家数を10人未満にすることが多いです。また外人投資家の場合は、人数にかかわらず20%の源泉税が必要ですが、その外人の国と日本の間で結んでいる租税条約によっては、源泉税が免税となるような場合もあります。

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2006年7月 6日 (木)

イレギュラーな土地信託の場合の課税関係は?

1.         土地信託

土地信託というのがあります。土地を信託財産としているようなものですが、税法でいう土地信託というのはいくつかの条件を満たしているような土地信託です。現在取引されている土地信託は、税法上の条件を満たしているものばかりと思います。

土地信託に該当する場合は、その信託受益権を持っている人があたかも土地を持っている人とみなして課税するというルールです。

それでは土地信託の条件を満たしていないような土地の信託を行った場合の課税関係はどうなるのでしょうか。

2. 収益受益権と元本受益権

土地信託の条件の中で、元本受益権と収益受益権が分割されていないというのがあります。

元本受益権というのは、信託期間が満了したときに、元本を受け取る権利があることです。信託期間中の地代収入は1円ももらえません。収益受益権は、信託期間中の地代収入はすべてもらえる権利があります。

今回はこの元本受益権と収益受益権が分割されている信託を設定した場合の課税関係を考えます。

3.信託した土地を売却した場合の収入はどのように配賦されるのか

信託期間中に土地を売却した場合の売却収入はどうなるのでしょうか。

信託法の考え方によると、信託期間中の収入はたとえ土地売却による収入であっても収益受益権者が受け取ることになります。

でも税法的には、収入は元本受益権者と収益受益権者が受け取ると考えます。

たとえば土地の所有者Aが土地を信託し、元本受益者をBに、設定した場合、Bは設定時に取得した元本受益権について贈与税を納めないといけません

そうすると税法的には、Bは、信託設定時に土地信託の元本受益権すなわち土地を取得したと考えるから、その土地を売却した場合の売却収入のうち元本受益部分は、Bが土地を譲渡した部分と考えて譲渡所得を計算するのが合理的です。

もしAが収益受益権を持っているならば、売却収入のうち元本受益部分を差し引いた残りが収益受益部分として課税することになるのではないでしょうか。

信託法の考え方と税法の考え方が異なるので奇異ですが、このような元本受益権と収益受益権が分割したような信託をするのは、家族や同族間しか行われないと思います。

4.元本受益権の所得の計算

 土地の信託の元本受益権の譲渡は、土地の譲渡と同じと考えられます。土地を譲渡した場合は、譲渡収入から取得費と譲渡費用を差し引いて所得を計算します。元本受益権者が個人の場合は、分離課税され、所有期間によって税率が異なります。 BはAから元本受益権を贈与により取得しているから、Aの土地の取得費と取得時期を引き継ぎます。

ですからたとえばAが10年前に1億円で購入した土地を信託して、その土地を2億円譲渡した場合でBの元本受益権に対応する部分が1億5,000万円であるならば、 譲渡所得は5,000万円(1億5千万円-1億円)となります。税金は   5,000万円X20%=1,000万円

(15%は所得税 5%は住民税)

5.収益受益権の所得の計算

それでは収益受益権を譲渡した場合の所得はどうなるのでしょうか。収益受益権というのは、土地や建物のような資産ではなく、金銭債権と考えます。金銭債権の譲渡による所得は、譲渡所得と考えません。なぜなら金銭債権を譲渡したことによる所得はキャピタルゲインではなく、利子相当分だから、譲渡所得として課税するのは合理的ではないと考えるからです。

したがって収益受益権の譲渡所得は雑所得と考えます。それでは、雑所得の計算上の控除する取得費相当額はいくらになるのでしょうか。この収益受益権は、信託を設定することにより自動的に発生したものだから取得費相当額は0と考えます。

ですから上記の事例で 収益受益部分が5,000万円(2億円―1億5,000万円)ならば、この部分については他の所得と合算して超過累進税率で課税されるので、長期譲渡所得よりはるかに高い税金をAは納めることになります。

参考文献 山田煕、中森真紀子 『信託の税務 相続税対策としての戦略的活用本』 ぎょうせい

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2006年5月29日 (月)

TMKとTK+GK(旧YK)どっちがいいか

KHPさんの質問です。『自社保有の不動産、今後購入予定の不動産を本体の会社から切り離したい 株式会社がいいのかTMKがいいのか。』自社保有の不動産、今後購入予定の不動産を本体の会社から切り離したい 株式会社がいいのかTMKがいいのか。

株式会社は流動化のビークルではあんまり使わないですね。従来は有限会社(YK)を作りましたが、会社法改正からは、合同会社(GK)を利用すると思います。GKとは、有限責任だけど株式会社より会社の組織を柔軟に設計できて、会社更生法の対象にならないから、GKにお金を貸した金融機関は、GKが潰れても、しっかり自分の取り分は優先的に返済できるので債権者にやさしい会社です。

1. TMK

特定目的会社は、資産の流動化のための会社ですが、設立されるためには、お上に資産流動計画を提出しないといけません。これ自体はそんなに膨大な作業がいらないのですが、一番大変なのが、税務上の恩典である配当が損金となる要件を満たすことです。

この要件のメインは、

◎社債を公募(50人以上)で1億円以上集めるか、適格機関投資家のみに引き受けてもらう 又は優先出資証券(議決権がないかわりに配当を多くもらえる)を50人以上が引受けるか適格機関投資家のみが引受けるか

◎同族会社にあてはまらないこと

◎配当可能所得の90%超を配当として支払うこと

 TMKがやっかいなのは同族会社(3人の株主が過半数の株を持つ会社)にあてはまらないのが難しいことです。なぜなら劣後部分はオリジネーターが持つのがお約束みたいなものだからです。

 ただTMKに関しては、社債を1億円以上公募で集めるか、適格機関投資家のみに引受けてもらう場合は同族会社でもいいので、実務でTMKは、ほとんど適格機関投資家が社債を引受けているパターンです。

また90%超の配当をしないといけないのも問題です。このベースになるのは税務上の利益ですが、税務上の利益と会計上の利益が異なる場合(会計上の利益の方が低い場合)は、税務上要求される90%超の配当が行えないので、自動的に利益全部が課税されます。

このように厄介な問題があるので、あまりTMKは使われていません。といっても平成183月末現在で関東財務局届出分は547件ありますが、

2.TK+GK(旧YK)スキーム

TMKは、上記のような問題があるので、私募の多くはTK+GK(旧

YK)スキームが利用されています。

どんなスキームかというと

会社(オリジネーター)が持っている不動産を信託して、信託受益権を受取る。

オリジネーターが有限責任中間法人(そのうち一般社団法人になる)に出資し、中間法人がGKに出資する。GKが投資家と匿名組合(TK)契約を結び、金融機関からノンリコースローンローンを借り資金調達をする。

その資金でオリジネーターの持っている信託受益権を購入する。

信託受益権から生ずる利益を原資に利息や、TKの分配金を支払う。

?なぜ信託受益権なのか

信託受益権をGKが取得した時に不動産取得税がかからないし、登録免許税もナマの不動産売買よりもはるかに安いから。信託受益権をGKが購入した場合、GKが不動産特定共同事業法の事業にあてはまらないので、資本金が1億円以上とか宅建免許が必要という規制の対象外になります。

?なぜ有限責任中間法人か

これは会社が倒産した場合に、会社の債権者が、GKに移った資産は会社の資産だから召し上げる!となったら投資家がつっこんだお金がパーになるので、これを避けるために中間法人をかましています。中間法人は、出資者が経営者をコントロールできないしくみになっているから倒産隔離が図れます。

?なぜ匿名組合(TK)か

TKは、パトロン契約みたいなもので、出資者は、金はだすけど口はださないので、経営者としては自分の自由に運営でき、分配金が損金となるからです。TMKも配当が損金となるので、受取の実質手取りは同じになります。

3.TMK TK+GKの共通の留意点

資産の流動化でTKやらGKに資産を移動する目的は、オリジネーターの資産を減らして(オフバランス)、資産効率をよくしましょうという目的のためです。とはいっても証券化した部分のうち劣後部分は通常オリジネーターが引受けます。

この引受け部分が不動産の総額のおおむね5%を超えるような場合で、オリジネーターに会計監査が入っている場合は、売買ではなく金融取引だ!ということになり、オフバランスはできなくなります。

コストやらリスクと効果を考えるとTK+GKの方がいいのですが、投資家が、TKの出資よりも社債を引き受けたいというならTMKなのでしょうか。でもGKだって会社法の改正により社債は発行できるので、今後TMKが他のビークルよりも競争力を得ようとしたいなら、特別のセールスポイントが必要じゃないかなと思います♪

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2006年5月28日 (日)

REITの配当と通常の配当とどっちが利回り高い お返事

HKさんからの質問がありました。要約すると REITからの配当が損金算入されても、投資家側で受取り配当の益金不算入がとれないなら、通常の配当(税引後)からの配当で、受取配当の益金不算入を受けるのと結局、投資利回がかわらないか?ということです。

1.       ベーシックなケース

あとで、もうちょっと詳しく説明しますが、受取配当の益金不算入というのは、法人投資家が、配当を受取った場合は、この収入金額は、法人税の計算上、収入にいれないというものです。なぜならこの配当というのは、支払い側で法人税をいったん控除したあとの利益を分配しているものなので、受取側でかけると2重課税になると考えるからです。

簡単な事例です。 税引前利益1,000REITと普通の会社があります。この利益をめー一杯法人投資かに配当した場合、法人投資家の手取りの収入はいくらですか。実効税率40%  受取配当の益金不算入が100%控除可能な場合

(配当支払法人)

       REIT      普通の会社

税引前利益   1,000       1,000

法人税等      0        400

税引後利益   1,000                  600

配当      1,000       600

(配当受取側) REIT配当受取  通常配当受取

税引前利益   1,000        600

法人税等     400         0

税引後利益    600       600

 HKさんのご指摘のように,もし、受取配当の益金不算入が100%とれるようならば、投資家段階の手取りはかわりません。

2.受取配当の益金不算入の規定 

detailed

受取配当の益金不算入の規定ですが、これも結構改正されています。今では受取配当の益金不算入に関しては3つのグループにわけています。連結納税親子間配当、関係会社配当、その他の配当です。

これらのグループごとに、実は、受取配当の益金不算入になれる範囲が異なります。

連結納税親子間配当の場合は、100%可能です。たとえ親会社が借金して株式を購入したような場合でも、株式購入にかかる利子(負債利子)を引いて計算することはありません。

関係会社配当とは、持株割合が25%以上の会社から受取る配当で、この場合は受取配当の額から負債利子を控除した金額の100%が受取り配当益金不算入の対象になります。

一般の配当は、上記2つ以外の配当で、これは受取配当の額から負債利子を控除した金額の50%が受取り配当の益金不算入になります。

そうすると上記の事例で、一般会社からの配当とすると投資家の手取り収入は次のようになります(負債利子控除は無視)。

(配当受取側) REIT配当受取  通常配当受取

税引前利益   1,000        600

法人税等     400        120#

税引後利益    600       480

# (600X50%)X40%=120

 また受取配当の益金不算入は、通常の法人税を計算するときに控除されますが、同族会社の留保金課税といって、株主が社長のような会社は個人の所得税を減らすために会社に利益をためこむことがないように、特別の税金をかける制度があります。この制度の計算をするときは、受取配当の益金不算入は持ち戻を行うので、通常の法人税はかからないけれども、同族会社の留保金課税はかかるという場合もあります。

ですから、受取配当の益金不算入を利用して投資家段階での税金を減らすよりも、支払側で配当が損金になる方が、メリットがあるのです。

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2006年5月26日 (金)

REIT の税務と投資家の税務に与える影響

1.    森トラスト総合リート投資法人の場合

 リートというのは、簡単にいうと上場している不動産投資信託のようなものです。

平成17101日~平成18331日までの森トラスト総合リート法人の決算短針が平成18519日に公表されました。

以下の数値は、決算短信の平成18331日期の数値です。

損益計算書をみると        (単位千円)

税引前当期利益          3,083,381

法人税、住民税及び事業税 989

法人税等調整額          1         991

当期純利益            3,082,389

となっています。他の会社と比較すると法人税等の金額が非常に少なくなっています。次に金銭の分配に関する計算書を読むと                 

Ⅰ 当期未処分利益   3,082,454,913 (単位円)

Ⅱ 分配金の額     3,082,400,000

Ⅲ 次期繰越利益        54,913

となっており分配金/当期未処分利益は99.9%となっています。

そして法定実効税率と実際負担率の差額は次のように分析されていま 

    法定実効税率      39.39%

     支払分配金の損金算入額 △39.38

   住民税均等割       0.02%

税効果会計適用後の法人税負担率 0.03

2.配当が損金となるためには、

このように実際の法人税負担率が極端に低くなるのは、配当が損金となるためです。これは利回りの高い金融商品を組成し、投資家から広くお金を集め運用することが日本経済のためにも望ましいとい政策的配慮があるからです。ただし投資法人においてこの配当が損金となるための要件は厳しく、REITが優先出資証券を発行した場合の主な要件は以下のとおりです。

      事業年度の終了時において発行済の投資口数が50人以上の者に所有されること

      発行した投資口の発行総額に占める国内募集の割合が50%超であること

      営業年度が1年を超えないこと(6ヶ月のREITが多い)

      資産運用を投資委託業者に委託していること

      配当等の額が配当可能所得の90%超であること

      事業年度の終了時において同族会社に該当しないこと

      適格機関投資家以外から借入を行わないこと

      他の法人の株式の50%以上を原則として所有しないこと

(措置法6715

2.    投資家側の税務の影響

投資法人側で配当が損金になった結果、投資家側での課税上の取扱いも一般の株式の配当を受ける場合では異なります。一般の配当は、法人税を支払ったあとの利益の分配となり二重課税を排除するために法人投資家については受取配当の益金不算入、個人投資家には配当控除という規定が設けられていましたが、J-REITの場合は、二重課税の排除がないためこれらの規定の適用を投資家側で受けられません。

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2006年5月24日 (水)

土地信託受益権を譲渡、購入した場合のポイント

1. 土地信託受益権の売買契約書

最近、土地や建物を信託受益権として売買することが多いと思いますが、通常は、土地、建物をナマで譲渡した場合と税務上も会計上も同じ取り扱いになります。でも念のために信託契約書や売買契約書をチェックするポイントとしては、

◎ 土地、建物を信託財産として、その管理、運用、処分をするような信託か 

       自益信託(委託者=受益者)の信託か? 

◎ 受益権が元本部分と収益部分にわかれていないか。

◎ 信託受益権が分割されていないか? 相続等以外の理由で分割されている場合は、一口1,000万円以上で50口以内か。

◎ 信託銀行等が信託を設定しているか。

あとは、譲渡対価をみて、土地と建物ごとに対価の区分がある場合は、そこをチェックして、消費税の計算をするということでしょう。

2.信託受益権を使って、事業用の買換えの特例を受けることができるか

上記のような事例の場合は、そんなに悩まないのかもしれませんが、たとえば信託受益権を持っている会社が、その信託受益権を売却して、他の信託受益権を取得し、この取引に関して、たとえば特定の事業用資産の買換えの特例を受けたいと考えた場合、この規定の適用を受けることができるのでしょうか。

特定の事業用資産の買換えの特例というのは、お上の政策税制の一つなのですが、たとえば10年以上所有していた工場用地と建物を譲渡して、別のところに工場と建物を購入した場合は、旧土地、建物の譲渡益のうち20%部分だけ課税対象となり、残りは繰延べられるというものです。

ナマの土地、建物の場合だったら、譲渡資産、買換資産が条件に該当していたら、特例の適用を受けることができます。

それでは譲渡資産がナマの資産でなく、信託受益権であり、かつ取得した資産が信託受益権であった場合はどうなるのでしょうか。

この場合は、チェックポイントが2段階になります。

第1段階は、信託の設定が、譲渡資産だけでなく買換え資産についても、上記の要件(詳しくは土地信託通達)を満たしているかの確認を信託契約書で行います。この条件が満たされた段階で、信託受益権という箱は消え、中身であるナマの不動産が現れます。

2段階は、譲渡する不動産並びに取得する不動産が、特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けることができるのかを売買契約書等で確認します。それぞれが要件を満たしている場合は、特定の事業用資産の買換の特例は当然適用を受けることができると考えます。

なおこの事例で信託受益権を譲渡した場合のことだけを書きましたが、信託受益権は譲渡せず、信託財産である土地、建物を譲渡した場合も、要件を満たせば、特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けることができます。

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2006年5月 2日 (火)

不動産取得税は誰がいつ払う?

 不動産信託がはやっている大きな理由として流通税がナマの不動産で譲渡するよりも安いということがあります。

 この流通税というのは、登録免許税、印紙税、それに不動産取得税

 不動産取得税というのは、土地や建物を購入したり、増築した場合に購入した人が払う税金のことです。

 ナマの不動産を購入した人は当然、不動産取得税を支払います。税金の計算方法は

 土地の場合   不動産の価格 X 1/2 X 3%

   建物 住宅の場合  不動産の価格 X3%

           非住宅の場合 H18.4.1~H20.3.31まで取得 不動産の価格X3.5%

                                 H20.4.1以後取得       不動産の価格X4%

   不動産の価格というのは、固定資産評価額がベースになっており、住宅の場合で、条件を満たしている場合は、不動産の価格から一定の金額を控除して計算します。

 さて、信託をした場合ですが、これは3つの側面で不動産の取得がどうかを考えることになります。

 ◎ 不動産を信託した場合  信託するというのは譲渡するというのではないと考え、信託銀行や信託会社が不動産に信託を設定するのは、取得と考えないから、不動産取得税はかかりません。たとえた益信託(委託者≠受託者)のような信託を設定してもです。

 ◎ 信託受益権を譲渡した場合 不動産受益権を譲渡して、実質的に不動産から利益を受ける人が交代しても、登記上は、受益者変更なんてしないんですよね。だからお上も税金取りたくても、調べようがないから、この時点で受益者に不動産取得税はかからないんです。もっともらしい合理的な理由はあると思うのですが、

 ◎信託期間が終了した場合 信託期間が終了して、不動産が受託者から受益者に戻ってきます。もし戻ってきた不動産の所有者と、最初に信託した所有者が同じ場合には、不動産取得税はかかりません。ずっと自分の所有のものであり、たまたま一定の時期、形式的な名義を信託銀行等にかえたと考えるからだと思います。

 でも、不動産の最初の取得者≠終了時に不動産を取得した者の場合、これは他益信託(委託者≠受益者)の場合や、自益信託(委託者=受益者)でも、信託受益権を譲渡して、信託した取得者と異なる人が、不動産を取得した場合は、この時点で不動産取得税を払わなければならないことになります。信託の終了時点で、登記がなされるから、この時点で所有者の変更がわかりますしね。

 

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2006年4月29日 (土)

土地信託通達の誕生

 土地信託通達ってありますよね。 信託した不動産から生じる収入や費用が受益者にパススルーされるようなやつはどういうやつかを規定しているやつ。

 信託商品を設計する場合、たぶんこの通達に合うような形で設計されてると思うのです。 合わなかったら税務がどうなるか。。

 この通達のポイントは

◎土地や建物を信託財産として、管理、運用、処分(儲け方は、賃貸収入や売却収入)

◎自益信託(委託者=受益者)

◎収益受益権と元本受益権に分けない

◎受託者が信託銀行

◎基本的には信託受益権が分割されない

で、当初は信託受益権は、相続とかの場合しか分割できなかったけど、平成10年になって、 

☆分割口数が50口以下

☆分割後の1口当たりの金額が最低1,0000万円

☆収益受益権は転売禁止

という条件つきで、信託受益権を分割して譲渡が可能になったのです

で、佐藤一雄 『不動産証券化の実践 完全版 』P39ダイヤモンド社 によると、

『当初の共有持分権は1は最低1億円とするよう旧大蔵省から高騰による指導を受けたため、1口あたり1億円となっています。法律にも通達にも基づかない口頭指導の理由は、預金から不動産へ資金が流れるのをセーブしたからではないか』

昭和61年っていったら バブルなりかけだったからなあ。。。。。

ジュリアナ東京で 羽の生えた扇子ひらひらはもうちょっとあとだったかなあ。。

でその後 『旧国鉄から引継いだ土地の処分を進めていた国鉄清算事業団は、88年『地価を顕在化させない土地処分方式』として、この民間で生まれた信託型小口化商品を導入しました。 

 具体的には91年には渋谷の物件のほかが小口化により販売されました。。。。 

ここで奇妙なのは、1つは国税庁は前記通達一部を変え、”特別認可”(そ、そんなのありか?)ということで、事業団と信託銀行の間で一本の信託契約で1つの受益権をつくり、その受益権をさらに小口化することを認めたということです。

 なお、この ”特別認可”という不透明な行政は、その後98年4月信託協会に対する回答として国税庁の通達により、分割数50口以内、最低分割単位1,0000万円とやっと明示されました』

護送船団ですねえ。。。。 いいですね。。。。 

密室政治 『お代官様!』『越前屋 お前も悪じゃのお。。ふっふっふっ』

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2006年4月16日 (日)

またまた TK+YKスキーム 

 信託大好きおばちゃん@東京です。先週も今週も、土日は東京です。プライベートな勉強会のためなんですが、 

 失業者の分際で多額のコストをかけてなんでいくのか?と思われそうですが、おばちゃんのようなソフトウェアサービス業の従事者にとって知識の仕入れ並びに知識を自分のものにしてビジネスに落とし込めるようにするためのコストは、絶対に必要な経費なんですね。

 なるほど東京への往復の交通費並びにホテル代は高いのですが、聞きっぱなしのセミナーのコストも、へたをすると この勉強会のためのコストと変わらない場合もあります。

 また勉強会だと双方向で討議できるから効果が高い。しかも勉強会に参加している面々はどう考えても現時点で、先端分野の先頭集団的な人たちなので、この投資はGo!とわたし的には判断してるんですね。

 さて 今日は検索ワードでいつも人気があるTK+YKスキームの話

 TK+YKスキームというのは 不動産証券化のための人気のあるスキームです。

 ●不動産を所有している会社(オリジネーター)が不動産を信託して、信託受益権を獲得します。

 ●オリジネーターは、中間法人を作り、中間法人が有限会社に出資します。

 ●有限会社を営業者として、匿名組合出資契約を出資者と結び、資金を調達します。

 ●また有限会社は、匿名出資以外にもノンリコースローンで資金を調達することも可能です。

 ●その資金で信託受益権を購入します。

 昨日購入した 佐藤一雄 「不動産証券化の実践 完全版 」ダイヤモンド社を読んで新しい知識を吸収 そして自分なりに考えると

◎有限会社を使うメリットとして 会社更生法が適用されません。会社更生法が適用されると何らかの担保を持っていても更正担保債権となって、債権者(ローンの貸し手の銀行)にはすぐお金を取り戻すことができないというリスクがあるからです。注1

 会社法の適用になって、有限会社が原則なくなるのですが、その後存在する株式会社、持分会社 特に持分会社の場合、会社更生法の適用はどうなるのでしょうか?これって大事ですよね。

 ただ営業者または匿名組合が破綻した場合、出資金の返還請求権や利益分配請求権とノンリコーソローンでどちらが優先的に弁済を受けるかが問題になりますが、実務上は、匿名組合契約に定める出資金の返還等の支払いが、ノンリコースローンの元利支払いに劣後する旨の停止条件特約をしておけば、有効であると考えられます。注2

 いずれも有限会社にお金を貸した銀行さまのためのメリットですね。

◎信託受益権を使うメリットは、もし不動産そのものを有限会社が手に入れた場合は不動産特定共同事業法の適用になるが信託受益権の場合はならないそうです。

 不動産特定共同事業法の適用を受けるためには有限会社が許可をとらないといけない。つまり余分な時間と金がかかるということ

 それでは、これからプールで1キロほど泳ぎに行ってきます♪

注1 佐藤一雄 「不動産証券化の実践 完全版」P216 ダイヤモンド社

注2 西村総合法律事務所編 「ファイナンス法大全」(下)P295 商事法務

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2006年4月11日 (火)

信託は 印紙税がとってもお得

 最近、不動産そのものを譲渡するのではなく、信託を設定して、信託受益権を譲渡するのが流行ってます。なぜ流行っているのか? 原因はいろいろあるのですが、その1つというか最大の原因が、流通にまつわる税金が安いこと

 流通にまつわる税金の1つとして印紙税があります。ほら、契約書に貼るやつです。

 どのくらい安いか?

 まず 信託を設定した時ですが、これは1通につき 200円なんですね(印紙税法別表第一12号)。

 それで信託受益権を譲渡した場合も 1通につき200円(印紙税法別表第一15号)。

 個人が領収書をもらった場合は、不動産の売買を事業として営んでいるような場合を除き、営業に関しない受取書とみなされ、非課税として実務的には扱われてるみたいですね(印紙税法別表17②)。不動産賃貸を業としてる個人が、その不動産を譲渡したときの受取書も(自宅を売却したときと)非課税のようです。

 法人の場合は金額基準で、1億円なら20,000円でしょうね。

 で、もし生の不動産を譲渡した場合

 たとえば個人が不動産を1億円で譲渡した場合はいくら印紙税かかかるかというと

 原則は 60,000円 ただし平成19年3月日までの譲渡の場合は、45,000円(印紙税法別表第一1号)。

 1億円の不動産を 信託して信託受益権を譲渡した場合の印紙税のコストは200円+200円=400円

 平成19年3月31日までの譲渡なら 44,600円 お得

 平成19年4月1日以後の譲渡なら  59,600円 お得♪

 

 

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2006年4月 7日 (金)

JPモルガン信託 お仕置だ!

 昨日(H18.4.6)の日経新聞を読んでいたら、JPモルガン信託の不動産信託 半年、業務停止にという記事が載ってました。JPモルガン信託銀行だけでなく、グループ金融機関も業務改善命令、業務停止命令などを受けるようです。

 なんとなく肌で感じているのですが、最近は、不動産を直接売買せずに、信託受益権で売買したりするケースをよくみかけます。またTK-YKスキームを筆頭に不動産の流動化、証券化の話もよく聞きます。不動産まわりに関しては、信託受益権を利用する手法が、一般化されてきたのかなあって思います。

 で、こんな不動産の信託ビジネスの中で、一円でも多く儲けてやろうと思うのは、あたりまえのことですが、JPモルガン信託は、やりすぎたのでしょう。外資は業績評価が厳しいのでそうならざるを得ない風潮だったとも思いますが、

 記事によると、不動産を委託者から信託する際の審査がずさんで、違法建築や評価をかさ上げした物件まで受けれていたようです。

 信託業法28条2項においては、「信託会社は、信託の本旨にしたがい善良な管理者の注意をもって信託業務を行わなければならない」とされています。この善良な管理者の注意の中に資産査定もあるはずだ!ということですが、そうは書いていないので、善管注意義務のout of 範疇と解釈してつっぱしったのではないかと記事では書いてますね。

 信託を設定しても、当初の委託者=受益者であるならば、別に違法建築だろうとなんだろうと、自己責任!なのかもしれませんが、信託受益権というのは、譲渡可能ですよね。相対取引での譲渡も可能なら、この信託受益権をTMK等に売却して、この資産を担保に発行する社債等を投資家に販売することも可能です。

 もしこの信託受益権の中の不動産に瑕疵があった場合は、信託受益権を買った投資家は将来、損失を負うリスクが生じます。

 今後信託受益権が有価証券化され、金融自由化の総仕上げとして世に広まることが予想されるのに、ババ信託受益権がいっぱい登場したら大変なことになってしまう。

 だから今回は見せしめの意味もこめて厳しいお仕置をしたのでしょう。

 金融庁は、あいまいな規定だと、また何をしでかすかわからないから、指針を改正して信託する資産の査定(例えば法的に問題がないか)をするよう要求するようです。

 金融自由化の実現のためには、透明なマーケットの構築が必要、そのためには発行者側には凛とした自己管理が、投資家側には、凛とした自己責任が求められるということでしょうね♪

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2006年4月 5日 (水)

TMKの作り方

 今朝、布団の中で真剣に読んでいた本があります。それは、編著 社団法人 大阪府宅地建物取引業協会 北区支部 「OSAKA発 特定目的会社 北区不動産会館のすべて」住宅新報社です。

  これは、大阪の不動産業者さんが中心となって、本当にTMK(特定目的会社)を作ったときのデータを開示している本です。TMKの本とかとまると、法律の規定が整然と書いてあって、というのが通常ですが、この本は、実務で携わった人の頭脳に掻いた汗のほとばしりを感じます。

 TMKというのは資産の流動化に関する法律に基づいて作られた、証券化のために作られた会社のことです。この会社を作って、証券化し、投資家に販売するのは、大変な手間やコストがかかるので、いわゆるTK-YK方式という 有限会社に信託受益権を譲渡して、その有限会社を営業者とする匿名組合を組成し、出資をつのるという方法が広まったのだと思います。

 私がぱらぱらっと布団の中で読んで、突き刺さったところを自分なりに書くと

 TMKを使うメリットとして、一定の要件を満たす場合は、投資家に対して支払う配当は損金算入できるんですね。

 その要件として 次のいずれかを満たすことというのがあります。

次のいずれかに該当するものであること。

  • (1) その発行(当該発行に係る証券取引法第2条第3項に規定する有価証券の募集が、同項に規定する勧誘であつて同項第1号に掲げる場合に該当するものに限る。)をした特定社債券(資産流動化法第2条第9項に規定する特定社債券(同条第8項に規定する特定短期社債につき発行をした債券を除く。)をいう。以下この項において同じ。)の発行価額の総額が1億円以上であるもの
  • (2) その発行をした特定社債券が証券取引法第2条第3項第1号に規定する適格機関投資家(以下この号において「適格機関投資家」という。)のみによつて引き受けられたもの
  • (3) その発行をした優先出資証券(資産流動化法第2条第9項に規定する優先出資証券をいう。以下この号において同じ。)が50人以上の者によつて引き受けられたもの
  • (4) その発行をした優先出資証券が適格機関投資家のみによつて引き受けられたもの  

  (租税特別措置法67の14①一ロ)

この事例では(3)を満たすような優先出資証券を発行しています。

 1億円以下の特定社債(本件の場合8,000万円)を発行する場合には、特定社債管理会社を定め、債権の保全等特定社債の管理を委託しないといけないそうですが、そのためコスト(イニシャルコスト500万円 ランニング年間300万円くらい)が高すぎて、わりにあわないから発行できない(上記書籍 P19)

 出資者は、不動産業者を念頭においていたので、適格機関投資家のみにはあてはまらいからこの要件は満たせない。

 で、優先出資証券で50名以上の出資者をつのったのですが、税務上の論点として、いつの時点で50名以上なければいけないかというのがあります。ずっとなのか 出資払込時点なのか、配当時点なのか?

 これについては、国税局に相談に行かれて、その回答として

 資産の流動化計画の全計画期間を通じてである。(上記書 P23)

 頭脳に掻いた汗を感じます。 また機会があれば熟読したいと思います♪

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2006年3月30日 (木)

不動産管理信託でできること

 不動産管理信託というのがあります。

 これは、不動産の管理業務を信託会社が行うのが基本になりますが、他に不動産管理処分信託(信託された不動産を売却して、代金を受益者に返して信託終了)、他に資産流動化109条による特定社債管理業務や、同法第144条による特定資産の管理および処分にかかる業務(この辺は不勉強なので説明不可)を行う特定目的会社支援業務、生前信託を含む「不動産の遺言信託関連業務」などなどが可能になります。(注1)

 ただし地主さんから不動産の信託を受けて、信託受益権を交付し、その地主さんが信託受益権を売却しようとする場合の売買の代理や媒介を行うためには、信託受益権販売業者の登録が別途必要になります。

 不動産管理信託を利用することによるメリットとして信託会社が訴訟の当事者になれることがあります。たとえば家主がご高齢者の場合で、不動産の管理を業者に委託しても、家賃の回収が滞った場合、「家賃払え!」と訴えることになると思います。この場合、訴えることができるのは、あくまでもご高齢の家主さんであり、不動産管理業者が代わりに裁判の矢面にでることはできません。でもご高齢の方は、裁判にでるのが億劫という傾向があり、それゆえに泣き寝入りしてしまうというケースがあるようです。

 でも信託会社に不動産を信託して、管理を委託してもらう場合は、裁判の当事者にプロの信託会社がなれるので、このような問題は解決できるようになるようです。

 注1 桐生幸之介、米田淳 「不動産の信託」 P122住宅新報社

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2006年1月27日 (金)

土地信託に関する税務上のルール

 税法の考え方として、実質的に利益を受ける人に対して税金をかけましょうねというものがあります。これを実質所得者課税といいます。

 土地信託においても一定の条件のあるものについては、その信託の受益権者は、土地信託の収入や費用は自分の収入や費用だとして税金を計算することになります。

 ですからたとえば建物を信託していた場合、受益権者の税金の計算上、減価償却費を差引くことが出来ます。

 土地を信託して、この信託受益権を譲渡した場合、信託受益権者が個人の場合で、所有期間(その個人が所有していた土地を信託した場合は、個人で直接所有していた期間と信託していた期間を通算できる)が譲渡した年の1月1日で5年を超えるときは、譲渡所得に対して低率で税金が課税されることになります。

 で、その通達の肝 どんな土地信託が受益者に対してパススルー課税ができるかというと下記のようになってます。この続きは来週以降

(用語の意義)

1 -1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次のとおりとする。
(1)  土地信託 信託のうち次に掲げる要件のすべてを満たすものをいう。
 土地若しくは土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)又は土地等及びその上にある建物その他の不動産を信託財産とし、その管理、運用又は処分を主たる目的とする信託であること。
 したがって、金銭のみを信託財産として設定する信託は、たとえ土地等の保有をその主たる目的とするものであってもこれに該当しないが、土地等の信託と建物等の建築のための金銭の信託とを併用するいわゆる包括信託は、これに該当するのであるから留意する。
 委託者を受益者とする信託であること。
 信託の利益を受ける権利が、次のいずれかに該当する場合を除き、その信託期間を通じて分割されないものであること。
(イ)  2以上の者が共同して一の信託を設定するため、信託の設定時においてその委託者の数に相当する口数の範囲で当該信託の利益を受ける権利の分割が行われる場合
(ロ)  信託期間中に信託の受益者について相続の開始があったことにより、当該受益者の相続人(包括受遺者を含む。)の数に相当する口数の範囲で当該受益者の有していた信託の利益を受ける権利の分割が行われる場合
 信託の利益を受ける権利の内容が、信託財産の収益を享受する権利と信託財産の元本を享受する権利とに区分されることのないものであること。
 受託者を信託業務を営む銀行とする信託であること。
(2)  信託財産 土地信託の信託財産又は当該信託財産に帰属する財産債務をいう。
(3)  信託財産の構成物 土地信託の信託財産に属する個々の資産をいう。
(4)  信託受益権 土地信託の信託の利益を受ける権利をいう。
(5)  委託者、受託者、受益者 それぞれ土地信託契約上の委託者、受託者及び受益者をいう。

直審5- 6、直審3-74、直審4-39、直所3- 9、直法2- 6、直資1-10、徴管2-40、昭和61年7月9日 土地信託に関する所得税、法人税並びに相続税及び贈与税の取扱いについて

 
 

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2006年1月16日 (月)

不動産信託

 不動産信託というのがあります。 単純にいうと土地の所有権者がその土地を信託し、受託者がその土地を貸したり、ビルを建設して、そのビルを貸したりして、最終的には土地を所有者に返したり、土地を売却して代金を受益者に返したりするものです。

 この信託、最近はやってるのでしょうか。契約書をみる機会がよくあります。

 なぜ土地を直接売ったり、自分でビルをたてたりせずに信託するのでしょうか。

 いろんな理由があります。ひとつは先日書いたように流通にかかる税金(不動産取得税、登録免許税)が、不動産を直接売るよりも安いことでしょうね。

 それから地主さんは、土地を持っているけど、利用してお金を生み出すようなノウハウがない場合でしょうね。持ってるだけだと固定資産税などのコストが発生するだけですから。

 それからいろんな外部の事情で土地を売りたいけど、それは認められない。でも信託受益権という形にしたら売ることは可能という特殊な場合があるようです。

 不動産の信託の中には不動産管理信託と不動産処分信託、不動産設備信託、土地信託があります。

 不動産管理信託は、たとえば受託者から建物の信託を受け、そのテナントを募集し、管理し、その儲けを受託者に分配するような信託です。

 不動産処分信託は、不動産をそのまま売却し、その代金を受益者に分配するような信託です。

 不動産設備信託は、不動産を信託し、その受益権を第三者に売却して、投下資本の早期回収をはかるような信託です。

 土地信託は、信託された土地の上にたとえば受託者がビルをたてて、テナントを募集し、賃貸収入から手数料等経費を差引いて、受益者に利益を分配するような信託です。

 最近ご縁があるのが不動産管理処分信託です。

 1つ手元にある事例では、土地の所有者が建物をたてて、これを信託します。そしてその信託受益権を信託設定後直ちに売却してますね。テナントの募集は受託者が行うのかなと思ったら、契約書によるとこの案件は、買主が探してくるみたいです。

 三菱信託銀行信託研究会 編著の「信託の法務と実務 4訂版」P518によると不動産処分信託はあまり事例がなく、信託銀行子会社または地域金融機関が本体で信託業務を営む場合は、一部の例外を除き不動産処分信託は受託できないことになているそうです。

 受益者が受託者の力を借りず、自分でテナントを探したり、売却先を探す能力があるような場合、つまり受託者はペーパーカンパニー的な存在の場合は、不動産管理処分信託を設定することも可能ということでしょうか。

 この辺は信託業務に従事していないのでよくわかりません。文献からの推定です。

 

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