2010年7月14日 (水)

信託受益権の内外判定と日米相続税租税条約

今日もあんまり面白いねたがないので、信託ねた。

 資産を信託したら、受益者には受益権という権利がもらえる。信託した資産と受益権は別。 税法の世界では、信託の利用のされかたで税金の課せられ方がかわるけど、一番メジャーなのが、受益者等課税信託で、信託財産を実際に持っていない受益者が、信託財産を実際にもっているものとみなして課税されます。

 そうすると、どうなるかというと、生きている太郎が土地を信託して受益者を花子とすると、花子は、太郎から受益権を贈与によりもらったんだけど、税法の世界では土地をもらったものとして税金を計算する。

 最近は、経済がグローバルしたから税金もグローバルに考えないといけない。太郎や花子が日本にいる場合もあれば、外国にずっといる場合もあるし、信託した土地が、日本の土地の場合もあれば、外国の土地の場合もある。

 資産が、国内のものか国外のものかを判定するのは、相続税や贈与税を計算する際、非常に大事なので、法律でルールを決めている。

 日本の土地は、当然、国内財産。

日本法では、受益者等課税信託の場合は、受託者がどうかで判断せず、おそらく中身がどこにあるかで判断されるというように条文からは読める。それ以外の法人課税信託や集団投資信託は受託者の営業所等の所在地と条文に書いてある。

で、次に登場するのが、租税条約。租税条約というのは、国際間の2重課税を排除するために作った2国間のルールで、日本では、国内法より租税条約の方がえらい。バッティングする場合は、租税条約を優先する。所得等の租税条約は日本はいろんな国と結んでいるけど、相続税や贈与税の租税条約があるのは、アメリカ。

じゃ、日米相続税租税条約ではどうなっているのか?  不動産だったら所在する場所だけど、

信託して、受益者がもらうのは、受益権でしょ。受益権というのは、受益者の受託者に対する債権であり、債権の場合の内外判定は、債権者債務者の住所 つまり、受託者の住所となる。

日米租税条約では、信託受益権を種類を区分して、判断するようなことはしていない。

じゃあ、日本の不動産をアメリカの信託会社に信託し、信託受益権をアメリカ人の日本の非居住者が贈与や遺贈により取得した場合、つまり、非居住者がもらった、日本の不動産が信託財産のmade in USAの受益権を日本で相続税や贈与税課税することができるかということです。

どうなんだろう?

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2010年7月11日 (日)

アメリカの受益者連続型信託

 日本の世の中的には、選挙ねたなんでしょうけど、なんか、考える気持ちがなえてきそうなので、非常にニッチなアメリカの受益者連続型信託の話題などを

 受益者連続型信託というのは、信託で、受益者が何らかの原因で、次々変わることを約束したような信託だと思う。

 日本においては、受益者連続型信託の税金のかけられかたが、おかしいのではないかという議論がありますが、それはおいといて、信託が資産承継で使われているアメリカの税金の話題を

 アメリカでも受益者連続型信託というのはあるみたいですね。

 受益者が、ABCDというような形で移っていく信託で、基本的にA,B,C,Dは信託の財産のうち、一定部分しかもらえない。Dは、信託が終了して残った財産をもらっている。

 ちょっと文献等を調べているのですが、当初アメリカでは、最初のAと最後のDだけ税金がかかり、B,Cは無税で資産移転ができたらしい。これは、相続税の課税逃れにつかわれるということで、世代飛越税というのが作られ、BCにも課税されるようになった。

BCは、いくら財産をもらおうと最高税率で税金が課税されるらしい。また、Aは、へたなスキームを組むと、相続税や贈与税+世代飛越税がかかり、大変な重課になる。

こんな税金がめーいっぱいかかるなら誰もやらないのだけど、アメリカではそれなりに使われている。なぜか? アメリカでは、少なくとも相続税の基礎控除が結構大きな金額だから、基礎控除の範囲だったら、何をやっても、これらの税金がどうもかからないみたい。

大金持ちは別だけど、小金持ちたちにとっては、非課税の枠内で受益者連続型信託を使って資産承継をするのは魅力的らしい。。。。。

日本では、相続税の増税がうわさされているから、アメリカと同じ課税の仕組みを作ったら、ほんとうに誰も受益者連続型信託を使わなくなってしまう。

でも、最高裁の判決がでてしまいましたから、今の資産評価や課税関係の見直しがあるかもしれないけど。特に気になるのが、受益権が複層化された場合の課税関係(相続税+所得税・法人税) 最高裁の結果を反映させると、結構使えることになるかもしれないけど、はてさて、どうなることやら。。。。

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2009年10月 1日 (木)

取引所の相場のない株式を信託したら 議決権評価が0ならどうなる?

10月にとうとうなってしまいましたぁ。

新聞をはらはらめくっても、イマイチピントくる話題がないので、またもやニッチな信託の税金の話を書きます。

株式を信託した場合において、株式の名義人は受託者となり、株主総会での議決権は受託者が行使しますが、議決権指図権者の指示に基づきます。一般的に議決権指図権者は受益者がなるものと考えられますが、受益者以外の者、たとえば、他益信託の委託者がなることも可能です。また、複数の受益者がいる場合に、どの受益者が議決権指図権を有するかも自由に決めることができます。

 取引所の相場のない株式の相続税法上の評価に関しては、もらった人が会社にとってどういうタイプの人なのか、つまり、経営支配するグループの一定のメンバーか否かでかわります。経営支配するグループのメンバーである場合は、会社の純資産などをベースに評価額が算定されますが、取引所の相場のない株式って、譲渡を前提としてないし、あんまり配当も支払ってない。そうなると、純資産の評価というのは、経営支配の対価つまり議決権の対価ではないか。

 ところで、信託においては、株式から生ずる経済的利益と議決権を分離させて別の者が保有することができます。そして、この議決権指図権の評価が0であると考えられています。そこで、議決権0とした場合、どうなるのかについてちょっと事例を使って考えてみます。

 

<事例1>

松千代がX社株式(発行済み株式総数の100% 保有)を遺言信託し、受益者を竹千代,梅千代(各受益権割合50%)とした。竹千代が社長である期間は竹千代が議決権指図権を有し、竹千代が死亡したし梅千代が社長となった時点で議決権指図権は梅千代に移るものとする。遺言信託をした時点でのX社株式の評価額(100%分)は5億円、竹千代から梅千代に議決権が移った時点で8億円とする。

この場合、松千代の死亡時点で、竹千代,梅千代がX社株式を25,000万円ずつ遺贈により取得したものとみなして相続税が課されますが、竹千代から梅千代に議決権が移った時点で梅千代に相続税は課されません。

 会社の支配権という観点から考えると、松千代の死亡により竹千代、竹千代の死亡により梅千代に支配権が移転されます。松千代が遺贈によりX社株式を竹千代に遺贈し、竹千代が遺贈によりX社株式を梅千代に遺贈した場合、松千代,竹千代の相続時点で、竹千代、梅千代に相続税課税が生じますが、こちらの場合の支配権も松千代の死亡により竹千代、竹千代の死亡により梅千代に移転されます。

 取引所の相場のない株式の相続税法上の評価方法のうち原則的評価方法の本質が会社の経営者支配の対価であるならば、同様の支配権の移転にかかわらず、信託を利用することにより異なる課税関係となることが妥当でしょうか。

<事例2>

 松千代がX社株式を信託し竹千代を受益者とした。ただし、松千代が議決権指図権を保有する。

 この場合、信託した時点で、松千代から竹千代にX社株式の贈与があったものとみなして竹千代に贈与税が課されます。議決権指図権を受益者以外の者が有することに関して議論もありますが、たとえば、委託者指図型の投資信託においては、受益者が利益の分配を受けますが、議決権指図権は委託者が保有しているよう名ものが既にあります。取引所の相場のない株式の原則的評価方法の本質が会社の経営支配権の対価と考えるならば、経営支配権をいまだ松千代が保有しているにもかかわらず、竹千代が取得したものとして課税することは合理的でしょうか。

<事例3>

 松千代がX社株式を信託し、竹千代,梅千代を受益権割合各50%の受益者とした。梅千代は剰余金の分配に関する議決権のみを有し、竹千代はその他の議決権を有する。

 このように議決権指図権の内容を分割し、複数の者が異なる議決権を有するような場合においても、受益権割合で竹千代,梅千代がX社株を保有するものとみなして課税されることになることが合理的でしょうか。

                                                                                                            

という具合。ただ、じゃ、どうすれば合理的かというとうっとなる。ただ、私的には、実質的に会社を支配している人が財産を持っていると考えて課税し、利益の分配が行われることにより別の者が利得を受けた時点で、なんらかの税金の精算制度を作って調整を図るのがいいのではないかと。答えにあんまりなりませんが。

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2009年9月18日 (金)

土地再開発で民事信託を利用する場合の課税上の問題点

昨日のノリピーの涙の記者会見♪ はかなげな美女は強いなあ。罪までもパワーに転換させてしまうから

 

土地の再開発で民事信託を利用することは昔からよくあります。多くの地権者がいる土地を再開発してマンションを建てる。そして、地権者ができあがったマンションの一室に住むというようなものです。

信託をすると土地の所有者が受託者オンリーになるので開発がしやすいというメリットがあります。また、過去の事例で、このような民事信託を設定した場合、設定した時点で土地の譲渡益課税なんかなされていなかったのではないかと思われます。

この土地の再開発の民事信託がどのような契約で設計されているのかよくわかりませんが、複数の土地の所有者が共同して信託をした場合というのは、基本的には、組合に複数の出資者が出資した場合と同様の課税関係になるのではと思うのです。原則としては、相互譲渡といって、信託した土地のうち、他人の持分になる部分に関しては譲渡があったものとみなすというようなものです。

もし、そうなると信託設定時に課税関係が生じてまずい。

組合設定時に課税関係が生ずると含み益のある資産拠出して組合を使う人がいなくなる。だから、質疑応答事例集においては、組合を組成して土地を提供しても、組合終了時に元の所有者に土地が戻るのであれば、組合の組成時、解散時に土地の譲渡益課税をしなくてもいいよというものがあったと思います。

この事例を信託にあてはめると、共同で土地を信託し、信託終了時に信託した土地が委託者に戻るのだったら、課税関係は生じないということになります。

でも、再開発のための土地の信託というのは、信託した土地が委託者に戻ってくるということはまずありません。信託終了時に受け取るのは、たとえば、マンションの1室と、その1室に対応する敷地権だと思うのです。

そうなると、質疑応答集の事例というのはあてはまらない。だったら、信託設定時に課税関係を生じさせるのか、そして、信託した土地がマンションの一室と敷地権に化けたときにまた課税関係を生じたりさせるのか。そんなことをすると誰も土地の再開発で信託を利用しません。

信託設定時に課税させない。土地がマンションに化けた時点で、所有していた土地を譲渡してマンションと敷地権を取得したものとして課税関係を整理させることが合理的。

でも、今の税法ではそうだとは読めないですよね。

土地の再開発で信託を使うことはこれからもあると思うので、なんとかして欲しいです♪

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2009年7月21日 (火)

受益者連続型信託の境界線がみえない

3連休明け 新聞も休み。 何を書こうかなと思って、最近、時々書いている、受益者連続型信託の税制の悪口を

 受益者連続型信託というのは、なんらかの原因で受益者が次々移転するような信託。この信託の課税の特徴は、もし、収益受益権と元本受益権に分離した場合で受益者がみーんな個人の場合、信託期間中は、収益受益者が財産をすべてもらったものとして相続税や贈与税が計算される。どんなけ元本受益者が移転しても、こっちは課税なし。

 受益者連続型信託に該当しない信託で収益受益権と元本受益権に分かれた場合は、信託契約等の効力が生じたときに、収益受益者と元本受益者が財産をもらったものとして相続税や贈与税が課税される。

 つまり、その信託が受益者連続型信託に該当するかどうかにより課税関係が全然かわるので、境界線はしっかり、くっきりしないといけないのですが、これがよくわからない。

 信託というのは、委託者と受益者と受託者の合意により信託を変更することができるというのがスタンダードです。もし、信託野契約書の信託の変更に関する条項が入っていないと、信託の変更は可能となる。信託の変更には、受益者の変更もある。

 たとえば、綾小路虫麻呂が、財産を信託し、収益受益権を静に、元本受益権を頼朝とした。信託の変更に関しては、特に決めていない。ただ、静が収益受益権を受ける代わりに、綾小路虫麻呂の父の牛麻呂の介護の世話をしなければならないと決めた。

 これは、受益者連続にあたらないとして、静と頼朝は申告をした。

 ところが、歳月が流れ、静の夫の義経が海外転勤となり、静も同行することになった。そうなると、牛麻呂の介護の世話ができなくなる。そこで、静は、虫麻呂や受託者の瓢介と相談して、受益者を巴に変更した。

 もし、静が信託期間終了まで受益者であり続けたら、当初の申告は正しかったのだけど、 結果的に受益者が巴に変更したから、この時点で受益者連続信託に該当するとして、当初の申告をやりなおしにするのか

 それとも、当初の信託で、受益者の変更はないと定めていなかったことは、受益者の変更がありえることを黙示していることから、最初の申告自体が間違いとして処理をするのか。

それとも、これは受益者連続型信託に該当しないから、前回の申告はOKで巴が収益受益権を静からもらったとして相続税や贈与税の課税をするのか。それだったら、静の払いすぎの相続税や贈与税を還付してあげたらいいのではないか。今の制度では無理だけど。

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2009年7月16日 (木)

居住権を対象とした収益受益権の相続税法上の諸問題

今日は7月16日♪ 7月も半分すぎましたねえ。今年は、はやくも夏ばてです。もう、だめかもしれない。

 今日の日経はトヨタとマツダが提携するという話題がトップで、次が自民党の解散問題。

どうしようかと考えましたが、時事ネタはやめにして、またまた信託税制ニッチネタを、長文で書きます。

 居住用不動産(土地+建物)を信託して、信託受益権を収益受益権と元本受益権にわけます。収益受益権は、信託期間、信託財産が生み出す利益をもらえる権利だけど、この利益って、必ず、有償とは限らないのです。無償もしくは低額のコストで利用できる権利も収益受益権に入るのでは? 

 じゃ、居住権を対象とした収益受益権を相続や贈与された場合、いくらで評価するの?

 現行の財産評価基本通達には、ルールがない。しかし、S39年に発遺された通達では次のようなルールがあったのだ。

 収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額について課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる年8部の利率による複利現価の額の合計額。この場合において、たとえば、受益者が受ける利益が家屋に無償で一定期間居住することができるものであると決め、その将来受けるべき利益の価額は次による。

(イ)   第1年目は、課税時期におけるその家屋の価額の100分の8相当額

(ロ)   第2年目は、課税時期におけるその家屋の価額から1年部の償却煮を控除した価額の100分の8相当額

(ハ)   第3年目以後は、(ロ)に準じて計算した価額

(ニ)   

 8%というのは、いまの金利情勢では、異常ですけど、まあそれはおいといて。

 じゃ、居住権を対象とした収益受益権の評価を上記の通達をベースに作ればいいのか?

 ここで、土地、建物が太郎さんのもので、太郎さんの子供の太朗JRが、ただ同然で住んでいる場合(使用貸借)を考えます。太郎に相続が発生した場合、太郎の持っていた土地は、太朗JRに貸していると考えて、相手の持っている権利の部分を差し引いて評価することはありません。つまり、太朗JRの居住権のような権利は0であるとも考えられるのです。

 居住権を対象とした収益受益権は評価すると決めると、使用貸借の場合の評価と異なることになる。経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。

 ややこしいから、居住権は0にします♪と決めましたとして、 この信託が、受益者連続に該当する場合とそうじゃない場合の課税関係の差異を検討します。

 受益者連続型信託というのは、受益者が、なんらかの要因で次々と変わるものです。このような場合のルールはどうなるかというと、信託期間中は、収益受益者も元本受益者も個人の場合は、収益受益者が、信託財産すべてを有しているものとして相続税の世界では評価をするということになります。つまり、元本受益者は評価0

 だったら、受益者連続型信託で、収益受益権の対象が居住権、受益者がすべて個人の場合の評価はどうなるのか。

 収益受益者が 居住用不動産そのものをもっていると評価して課税される。

 元本受益者  信託期間中は、居住用不動産は全然持ってないとして評価0.

 他方、この信託が受益者連続以外の信託で、収益受益権の対象が居住権の場合の評価(居住権は0とする)はどうなるのか。

 収益受益者  評価0

 元本受益者  居住用不動産そのものをもっていると評価して課税される。

 課税関係がまったく逆になりますね。 でも、今の税制だと受益者連続型信託になるのか、そうでないのか、そのボーダーラインが全然わからない。こんなのでいいのか。

上にも書きましたが、経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。

 次に、小規模宅地の減額の問題。相続税の世界では、一定の居住用不動産や事業用資産などを相続した場合、価値は高いけど換金性に乏しく、税金倒産するのはよろしくないということで、一定のディスカウントを認めています。じゃ、この小規模宅地の減額は居住権云々の信託で設定した場合適用されるのか?

まず、受益者連続型信託の場合、この場合、居住権を対象とした収益受益権をもっている人が、信託財産すべて、つまり居住用不動産をみんなもっているとして相続税の対象となります。だったら、その人が、小規模の要件を満たしているならば、小規模宅地等の減額の特例を受けることができるのかな? でも、この受益者は、実質的には居住権しかもっていないのですよ。

 じゃ、逆に、受益者連続型信託以外の信託で、居住権を収益受益権の対象としたものの場合はどうなるのか。元本受益者が、居住用不動産を全部もっているものとして、相続税法上評価されるから、その人が、たとえば、配偶者の場合は、特例を受けることができるのか?

でも、元本受益者って、信託期間は、経済的メリットを受けられない人なんですよね。

元本受益権と収益受益権に分割して、しかも、受益者連続なんてものまで押しかけてきたら、課税関係がぐちゃぐちゃになりますね。なんども書きますが、経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。

 

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2009年7月 6日 (月)

元本受益権って何だろう? 平成21年7月版

今日は、凄いニューズが見つからなかったので信託ねた。といっても非常にコアなので、おたく系の方以外はスルーしてください。

財産を信託して信託受益権をもらう場合、その信託受益権を自由に分けることができます。信託特有の分け方として、収益受益権と元本受益権に分ける方法があります。

今日は、これらの定義の整理と、その発展

あいまいに信託大好きおばちゃんもこの辺の定義を書き続けましたが、それはなぜかというと、財産評価基本通達(相続税を計算するための財産計算ルール)でした、これらの言葉が登場してなくて、それも平成19年の改正前のまんまなんですね。

で、何かということを整理するために、逐条解説(ただし、平成18年改正)を読むと

収益受益権 信託財産の管理および運用によって生ずる利益を受ける権利

元本受益権、信託の終了の場合の信託財産の帰属の権利、すなわち、信託財産自体を受ける権利

元本受益権? これ著者は、信託終了時の財産を受ける権利、つまり、信託法でいう残余財産受益権を強調するために、信託財産自体を受ける権利という言葉を挿入しているのかもしれませんが、

じっくり読むと、 元本受益権の範囲は2つ考えれます。

つまり、信託終了時に財産を受ける権利――――――①

    信託期間を通じて、信託財産を受ける権利――②

この違いが、いろんなところに影響がでてくると思うのですね。たとえば、減価償却費、期間の経過や利用による価値の下落を、一定のルールで使用期間に配分しましょうというものであり、信託期間中のマイナスの信託財産の交付と考えられます。

これを収益受益権と元本受益権のどちらに帰属するのかと考えると

       減価償却費は収益受益者と思う。信託期間中の財産分配も収益受益者の帰属者のものだから

こっちをとった場合、信託期間中の所得は、すべて収益受益者のもの?

       減価償却費は元本受益者だと思う。信託期間中の財産分配(マイナスの財産も含めて)元本受益者帰属と考えられるから

 こちらをとった場合、信託期間中の所得は、すべて元本受益者のもの?または、元本受益者と収益受益者にわける?

     の問題点 現行税制では、信託は総額法で税務上計算しないといけないのですが、どう仕訳をきればいいの?

たぶん次のような人工的な仕訳が必要じゃないのか。

収益受益者   減価償却費 ×××  元本受益者借 ×××

元本受益者   収益受益者貸 ××× 減価償却累計額 ×××

あと、収益受益者が収益の課税を受けるならば、収益受益権としてたとえば、誰かから購入した場合、この対価というのは、営業権みたいなものですよね。だって、減価償却資産に該当するもの以外の営業権みたいな部分についても、信託期間を通じて、償却すべきじゃないか。だって、算定根拠は、将来の利益の現在価値相当額でしょ。

次に元本受益者に減価償却が帰属する場合、もし、減価償却相当分の収入を収益受益者からもらえないのなら、元本受益者が個人と法人で課税関係が異なるのではないかな。つまり個人の場合は必要経費にならない。法人の場合は、たぶん損金なる。たとえ、発生時にならなくても、繰延にすぎない。

この違いがどう影響するか。減価償却資産に基づく元本受益権の取引価値が法人と個人で異なってしまいますね。

アメリカではどうかというと、アメリカの信託税制は日本とちょっと違っていて、原則は、信託をひとつの事業体とみなして、信託に課税するけど、受益者に分配した場合は、その部分は、原則的には控除して計算していいよというシステムで、この場合の減価償却費は、受託者 または 収益受益者のどちらかが負担する。元本受益者は広い意味での収益受益者に含まれるのか、無視かそれはちょっとわからない。

例外的に、一定の委託者が信託財産を持っている場合は、委託者に課税しましょうとなっている。いまの日本の受益者等課税信託の課税の仕方はこっちに近いのではないか。

で、こちらの場合で元本と収益に分割された場合は、原則は、元本受益者に減価償却費が配賦されるけど、収益受益者に配賦してもそれはOKというようなことが、以前もここで紹介した松永和美さんの「米国の信託税制について」にお書きになったエッセンスではないか。

つまるところ、減価償却は日本では、元本受益者と収益受益者のどっちの負担にすべきか? うーん 収益受益者が、信託財産から生ずるすべての所得の納税義務者となるなら、こっちの負担にすべきだし、元本受益者がすべてまたは一部の所得の納税義務者となるならこっちの負担にすべきだと思うし、でも、どちらなのか、いまの条文では全然わからない。 と、思ったまんまを書き並べました。土日にぼーっと再整理したことを書いてみただけですので、不勉強を晒すだけですが、書いてみないとわからないので、そこのところはよろしく♪

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2009年6月17日 (水)

受益者連続改造計画3

受益者連続改造計画の3回目 そろそろ別のねたをと思って新聞をはらはら読んだのですが、たいしたことが書いていなかったのでこのねたのとりあえず〆を

受益者連続信託という受益権が次々の次の人にうつるような信託の課税上の取り扱いが、非常に評判悪いので、自分なりに思いついたのが、贈与税・相続税先払い、次の者に移転するときに、使われていなかった部分の精算というシステムです。

これは、お上が最も恐れている信託を利用した相続税回避ができないというお上サイドのメリットはあるのですが、納税者サイドでは、先払いする納税資金がないと使えないというデメリットもあります。

昨日、このブログで書いたのですが、税金を実際よりも多く前払いしたときは、超過部分は還付されるのですが、この還付金に利息がつくのです。この利率がここ数年の推移をみているとアラウンド4%! 自分に権利がないのに払ってしまった部分の相続税や贈与税を税金と考えずに、国に対する債券と置き換えるとどうなるか。つまり、トリプルAの債券の利回りが4%!ということになるのです。

たとえば、大金持ちのお父さんが1億円の普通預金を信託し、収益受益権を10年ごとに子供A,BCと移していき、信託期間が終了したらDに渡すとします。

Aは、お父さんから1億円の信託を受けたときに、贈与税を4,720万円支払います。この資金はAの金庫にあったとします。そうすると、10年間でもらえる収益は110万円として100万円 信託終了時に還付される贈与税は 99%部分だから、4,6728万円

この部分の利息(4%と仮定)すると、約1,870万円! 次にBがまたもや1億円の信託の贈与を受け、4,720万円の贈与税を支払い、10年後に還付されると同じことが起こるのです。

ただ、この利子は、雑所得として課税されるのですね。雑所得の特色は、他の所得(不動産所得や事業所得など)の損失と通算できないところであり、高額な利息だから最高税率で課税されるので、Aの手取りは、ほぼ半分 約930万円くらいです。つまり、手取りでは利回り2% 実質的にはそんなに高利回りではないのですが

相続税・贈与税の前払い精算システムは、租税回避はできない制度ですが、受贈者が税金を払えるならば、税金の運用益?で財産が太る制度。税金払って財産が太る制度なんてだめだ! 利子はなしだあとなると誰もやらないでしょう。さてこの思いつきはいいのか悪いのか♪

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2009年6月12日 (金)

受益者連続改造計画♪

 昨日、信託オープンセミナーなるものにもぐりこみました。第2部の講演者は主税局の佐々木さんという平成19年の信託税制の改正を陣頭指揮?された方がお話されました。佐々木さんのご尊顔を拝謁するのは今回が初めてです。非常に遠かったので、事実と異なるかもしれませんが、意外と若作りでしたねぇ。さすがに作った人だけあって 内容は面白かったのですけど、あの話し方というか表現の仕方は信託大好きおばちゃんのブログ調じゃないのかなあ。

 

 佐々木さんのお話の最後に時間を超過させてすみませんとおっしゃりながら受益者連続の課税の仕方についていい考えがあったら信託協会を通じて教えてくれとお話されました。中間にパススルーのビークルをおくとしても、現実的には処理に時間がかかって大変なので、昨晩、大島さくら子先生の英語の授業中に落書きしたことをこのブログに書きとめます。

 非常におたく系ですので、パンピーの方(一般ピープルの方)はスルーしてくださいね。

 受益者連続とは、平成19年の改正で可能になったもので、受益権がなんらかの要因(たとえばその受益者の死亡)により、次々と次の受益者に移転するような信託です。

 このような信託において、たとえば、収益受益権(信託期間中の信託から生ずる利益を受ける権利)が次々と移り、最後の者が死んだときに別の者が残余財産を受ける権利を得るとした場合の、それぞれの課税関係はどうなるかということが論点としてあるのですが、平成19年の改正は、たとえ、収益受益権者が信託財産をちょっとしたもらえなくても、全部もらったものとして課税するという恐ろしい仕組みを作りました。なぜなら、連続して受益者がかわるような収益受益権や元本受益権の評価をすることが難しいから、収益受益者のもらえる部分だけ課税しとくとなると、課税もれがおこるからなのではないかな。

 でも、この課税関係は非常に評判が悪いのです。だって、もらえないとわかっている財産についてもらったとみなして課税するなんておかしいでしょ。じゃどうするかということで、

事例を使って考えます。

Aが死亡し100の信託財産を残した。最初の収益受益者がBで、次がCで、Cが死亡したら信託が終了してDが残余財産を受け取った。

相続税の税率は一律50%とする。 収益受益者Bは20の信託財産を受け取り、C15の信託財産を受け取った。B,Cはもらった財産をそれぞれ、全部生活費として使った。

さて、現行の信託税制だと、この一連の流れがどうなるかと考えると次のようになる。

Aの相続財産     100

Aの相続税     △ 50

差引          50

Bが生前もらった財産△ 20

Bの相続財産      30

Bの相続税     △ 15

差引          15

Cが生前もらった財産△ 15

Cの相続財産       0

信託終了

Dのもらえる残余財産   0

Aは20しか財産をもらっていないのに50も相続税を払わないといけないのは不合理だ! でも、Bのもらえない財産に対して税金を繰り延べると、きっとへんなやつが現れたおかしなことをする!

じゃ、発想を変えて、Aの死亡時にはいまと同じように課税しましょう。このことによりお上の顔がたつ。ただし、Bが死亡したときに、Bが使わなかった、使うことも認められなかった財産について、払いすぎた相続税を清算して還付しましょう。そのかわり、その還付された相続税分はBの相続財産に持ち戻してBの相続税を計算しましょう。同じことをCの相続時にもやりましょう。そうするとどうなるのか?

Aの相続財産      100

Aの相続税     △ 50

差引          50

Bが生前もらった財産△ 20

Aの相続税の還付金   30  50×(50-20)/50

Bの相続財産      60

Bの相続税     △ 30

差引          30

Cが生前もらった財産△ 15

Bの相続税の還付金   15    30×(30-15)/30

Cの相続財産      30

信託終了

Cの相続税      △15

Dのもらえる残余財産  15

収益受益権とか元本受益権というのは、将来の収益予想を前提にするから、絵に描いたもちのようなもの。しかしながら、実際に支払われた収益受益権の額というのははっきりするからおかしなことができない。後で精算だから課税もれはない。収益受益者は自分が生きている間は精算のご利益を受けないから不満かもしれないけど、最終的にはちょっとハッピー いまよりまし♪

他の税制との整合性なんてまったく考えてません。単なる授業中の内職ですから。

ただ、一生懸命考えたので、よくがんばったで賞として、警視庁と背中に書かれたウィンドブレーカーの向こうを張って、財務省と背中に書かれると辛気臭いから、MOFと書かれたウィンドブレーカーをください♪  なお、女性用XLサイズでお願いします。色に関してこだわりはありませんので、そこんとこよろしく!

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2009年6月10日 (水)

複層化された信託受益権の課税(ただし、アメリカ)その3

 やっぱりでてきましたね。 信託協会が発行している信託2382009.5に松永和美さんが書かれた「米国の信託の税制について」の論文があります。

 なんか、今週になって急にヒット数が増えてますねえ。こんなニッチでマイナーなのになぜなんだろう?

 さて、今日はとりあえず〆の相続税・贈与税。

 アメリカでは、財産の事業承継を信託を使って行うことが非常に多いのですが、それはアメリカという国では戸籍という制度がなく、相続が発生した場合、遺言があってもなくても裁判所で検認手続きというのをしないといけないのですが、これがコストと時間がかかり、一族の内幕がさらされるという最悪のシステムだそうです。それを避けるために信託というのがリーズナブルでいい制度だからという要因が大きいようです。

 家族信託の場合、しばしば、収益受益者と元本受益者(残余財産受益者)のように受益者をわけわけします。たとえば、奥さんの生存中は奥さんに収益をわたし、奥さんが死亡したら信託が終了し、子供に財産をわたすとか、生前は自分が信託の収益の受益者となり、自分が死んだら信託が終了し、奥さんや子供が財産をもらうというようなものです。

 今後の日本の高齢化世代の最晩年の生活を守る手段として使えそうなのが、後者なので、こちらだけを少し書いてみると

 信託した人が収益受益権を持っているような信託で一定の要件を満たす場合(これを適格受益権というらしい)は、信託財産の価額から収益受益権を差し引いた残余権部分について贈与税の対象となるようです。ちなみに贈与税を払うのは信託した人。日本とは違います。

 この一定の要件を満たさないと、収益受益権が0評価されるそうですがこの要件をアバウトに書くと

残余受益者が親族で 委託者の配偶者、委託者または配偶者の尊属、卑属、委託者の兄弟。収益受益権の評価が大切なのですが、これが容易に評価できるようなものじゃないといけない。いつ、いくらもらえるか、いきあたりばったりのようなものだったら納税者の評価が妥当かどうかも判断できませんからね。

この容易な評価ができるもののひとつとして適格年金式受益権というものがあって、毎年、一定金額を払ってあげますというようなものです。

 ちなみにこの評価はどうするかというと、生命表と、利率(Federal Medium Rateの利率の120%)を用いて算出するそうです。

 収益と元本をどうするかを日本でも考えるならば、受益者連続に該当するか否かの境界線をもっときっちり区分けした方が絶対にいい♪

 たとえば、奥さんの生存中は奥さんが受益者で奥さんが死亡したら信託が終了して元本受益者を子供とした場合、必ず奥さんの死亡時まで子供が生きてるとは限らないでしょ。

だからこのようなケースでは、一般的には子供が死んだときは受益権はその相続人が引き継がれるというようなことが契約書に書かれたりしてますし、書かれなくてもそうなってしまいますよね。

相続税法施行令1の8を読むと死亡等を原因に受益権が他の者に移転する定めがある場合は受益者連続だぁとなっていますが、上記のようなケースで子供が死んだら受益者は相続人と契約書に書くと受益者連続になっちゃうのでしょうか? 

また、契約者に書かなくても、子供が死んだことにより、結果的に相続人に元本受益権が移転したときに、この信託は受益者連続になっちゃったあということで、課税のやり直しをするのでしょうか? 

ということで、いまは怖くて、収益・元本にセパレートした信託なんて、怖くて使えないのです。

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