2009年10月 1日 (木)

取引所の相場のない株式を信託したら 議決権評価が0ならどうなる?

10月にとうとうなってしまいましたぁ。

新聞をはらはらめくっても、イマイチピントくる話題がないので、またもやニッチな信託の税金の話を書きます。

株式を信託した場合において、株式の名義人は受託者となり、株主総会での議決権は受託者が行使しますが、議決権指図権者の指示に基づきます。一般的に議決権指図権者は受益者がなるものと考えられますが、受益者以外の者、たとえば、他益信託の委託者がなることも可能です。また、複数の受益者がいる場合に、どの受益者が議決権指図権を有するかも自由に決めることができます。

 取引所の相場のない株式の相続税法上の評価に関しては、もらった人が会社にとってどういうタイプの人なのか、つまり、経営支配するグループの一定のメンバーか否かでかわります。経営支配するグループのメンバーである場合は、会社の純資産などをベースに評価額が算定されますが、取引所の相場のない株式って、譲渡を前提としてないし、あんまり配当も支払ってない。そうなると、純資産の評価というのは、経営支配の対価つまり議決権の対価ではないか。

 ところで、信託においては、株式から生ずる経済的利益と議決権を分離させて別の者が保有することができます。そして、この議決権指図権の評価が0であると考えられています。そこで、議決権0とした場合、どうなるのかについてちょっと事例を使って考えてみます。

 

<事例1>

松千代がX社株式(発行済み株式総数の100% 保有)を遺言信託し、受益者を竹千代,梅千代(各受益権割合50%)とした。竹千代が社長である期間は竹千代が議決権指図権を有し、竹千代が死亡したし梅千代が社長となった時点で議決権指図権は梅千代に移るものとする。遺言信託をした時点でのX社株式の評価額(100%分)は5億円、竹千代から梅千代に議決権が移った時点で8億円とする。

この場合、松千代の死亡時点で、竹千代,梅千代がX社株式を25,000万円ずつ遺贈により取得したものとみなして相続税が課されますが、竹千代から梅千代に議決権が移った時点で梅千代に相続税は課されません。

 会社の支配権という観点から考えると、松千代の死亡により竹千代、竹千代の死亡により梅千代に支配権が移転されます。松千代が遺贈によりX社株式を竹千代に遺贈し、竹千代が遺贈によりX社株式を梅千代に遺贈した場合、松千代,竹千代の相続時点で、竹千代、梅千代に相続税課税が生じますが、こちらの場合の支配権も松千代の死亡により竹千代、竹千代の死亡により梅千代に移転されます。

 取引所の相場のない株式の相続税法上の評価方法のうち原則的評価方法の本質が会社の経営者支配の対価であるならば、同様の支配権の移転にかかわらず、信託を利用することにより異なる課税関係となることが妥当でしょうか。

<事例2>

 松千代がX社株式を信託し竹千代を受益者とした。ただし、松千代が議決権指図権を保有する。

 この場合、信託した時点で、松千代から竹千代にX社株式の贈与があったものとみなして竹千代に贈与税が課されます。議決権指図権を受益者以外の者が有することに関して議論もありますが、たとえば、委託者指図型の投資信託においては、受益者が利益の分配を受けますが、議決権指図権は委託者が保有しているよう名ものが既にあります。取引所の相場のない株式の原則的評価方法の本質が会社の経営支配権の対価と考えるならば、経営支配権をいまだ松千代が保有しているにもかかわらず、竹千代が取得したものとして課税することは合理的でしょうか。

<事例3>

 松千代がX社株式を信託し、竹千代,梅千代を受益権割合各50%の受益者とした。梅千代は剰余金の分配に関する議決権のみを有し、竹千代はその他の議決権を有する。

 このように議決権指図権の内容を分割し、複数の者が異なる議決権を有するような場合においても、受益権割合で竹千代,梅千代がX社株を保有するものとみなして課税されることになることが合理的でしょうか。

                                                                                                            

という具合。ただ、じゃ、どうすれば合理的かというとうっとなる。ただ、私的には、実質的に会社を支配している人が財産を持っていると考えて課税し、利益の分配が行われることにより別の者が利得を受けた時点で、なんらかの税金の精算制度を作って調整を図るのがいいのではないかと。答えにあんまりなりませんが。

| | コメント (0)

2009年9月18日 (金)

土地再開発で民事信託を利用する場合の課税上の問題点

昨日のノリピーの涙の記者会見♪ はかなげな美女は強いなあ。罪までもパワーに転換させてしまうから

 

土地の再開発で民事信託を利用することは昔からよくあります。多くの地権者がいる土地を再開発してマンションを建てる。そして、地権者ができあがったマンションの一室に住むというようなものです。

信託をすると土地の所有者が受託者オンリーになるので開発がしやすいというメリットがあります。また、過去の事例で、このような民事信託を設定した場合、設定した時点で土地の譲渡益課税なんかなされていなかったのではないかと思われます。

この土地の再開発の民事信託がどのような契約で設計されているのかよくわかりませんが、複数の土地の所有者が共同して信託をした場合というのは、基本的には、組合に複数の出資者が出資した場合と同様の課税関係になるのではと思うのです。原則としては、相互譲渡といって、信託した土地のうち、他人の持分になる部分に関しては譲渡があったものとみなすというようなものです。

もし、そうなると信託設定時に課税関係が生じてまずい。

組合設定時に課税関係が生ずると含み益のある資産拠出して組合を使う人がいなくなる。だから、質疑応答事例集においては、組合を組成して土地を提供しても、組合終了時に元の所有者に土地が戻るのであれば、組合の組成時、解散時に土地の譲渡益課税をしなくてもいいよというものがあったと思います。

この事例を信託にあてはめると、共同で土地を信託し、信託終了時に信託した土地が委託者に戻るのだったら、課税関係は生じないということになります。

でも、再開発のための土地の信託というのは、信託した土地が委託者に戻ってくるということはまずありません。信託終了時に受け取るのは、たとえば、マンションの1室と、その1室に対応する敷地権だと思うのです。

そうなると、質疑応答集の事例というのはあてはまらない。だったら、信託設定時に課税関係を生じさせるのか、そして、信託した土地がマンションの一室と敷地権に化けたときにまた課税関係を生じたりさせるのか。そんなことをすると誰も土地の再開発で信託を利用しません。

信託設定時に課税させない。土地がマンションに化けた時点で、所有していた土地を譲渡してマンションと敷地権を取得したものとして課税関係を整理させることが合理的。

でも、今の税法ではそうだとは読めないですよね。

土地の再開発で信託を使うことはこれからもあると思うので、なんとかして欲しいです♪

| | コメント (0)

2009年7月21日 (火)

受益者連続型信託の境界線がみえない

3連休明け 新聞も休み。 何を書こうかなと思って、最近、時々書いている、受益者連続型信託の税制の悪口を

 受益者連続型信託というのは、なんらかの原因で受益者が次々移転するような信託。この信託の課税の特徴は、もし、収益受益権と元本受益権に分離した場合で受益者がみーんな個人の場合、信託期間中は、収益受益者が財産をすべてもらったものとして相続税や贈与税が計算される。どんなけ元本受益者が移転しても、こっちは課税なし。

 受益者連続型信託に該当しない信託で収益受益権と元本受益権に分かれた場合は、信託契約等の効力が生じたときに、収益受益者と元本受益者が財産をもらったものとして相続税や贈与税が課税される。

 つまり、その信託が受益者連続型信託に該当するかどうかにより課税関係が全然かわるので、境界線はしっかり、くっきりしないといけないのですが、これがよくわからない。

 信託というのは、委託者と受益者と受託者の合意により信託を変更することができるというのがスタンダードです。もし、信託野契約書の信託の変更に関する条項が入っていないと、信託の変更は可能となる。信託の変更には、受益者の変更もある。

 たとえば、綾小路虫麻呂が、財産を信託し、収益受益権を静に、元本受益権を頼朝とした。信託の変更に関しては、特に決めていない。ただ、静が収益受益権を受ける代わりに、綾小路虫麻呂の父の牛麻呂の介護の世話をしなければならないと決めた。

 これは、受益者連続にあたらないとして、静と頼朝は申告をした。

 ところが、歳月が流れ、静の夫の義経が海外転勤となり、静も同行することになった。そうなると、牛麻呂の介護の世話ができなくなる。そこで、静は、虫麻呂や受託者の瓢介と相談して、受益者を巴に変更した。

 もし、静が信託期間終了まで受益者であり続けたら、当初の申告は正しかったのだけど、 結果的に受益者が巴に変更したから、この時点で受益者連続信託に該当するとして、当初の申告をやりなおしにするのか

 それとも、当初の信託で、受益者の変更はないと定めていなかったことは、受益者の変更がありえることを黙示していることから、最初の申告自体が間違いとして処理をするのか。

それとも、これは受益者連続型信託に該当しないから、前回の申告はOKで巴が収益受益権を静からもらったとして相続税や贈与税の課税をするのか。それだったら、静の払いすぎの相続税や贈与税を還付してあげたらいいのではないか。今の制度では無理だけど。

| | コメント (0)

2009年7月16日 (木)

居住権を対象とした収益受益権の相続税法上の諸問題

今日は7月16日♪ 7月も半分すぎましたねえ。今年は、はやくも夏ばてです。もう、だめかもしれない。

 今日の日経はトヨタとマツダが提携するという話題がトップで、次が自民党の解散問題。

どうしようかと考えましたが、時事ネタはやめにして、またまた信託税制ニッチネタを、長文で書きます。

 居住用不動産(土地+建物)を信託して、信託受益権を収益受益権と元本受益権にわけます。収益受益権は、信託期間、信託財産が生み出す利益をもらえる権利だけど、この利益って、必ず、有償とは限らないのです。無償もしくは低額のコストで利用できる権利も収益受益権に入るのでは? 

 じゃ、居住権を対象とした収益受益権を相続や贈与された場合、いくらで評価するの?

 現行の財産評価基本通達には、ルールがない。しかし、S39年に発遺された通達では次のようなルールがあったのだ。

 収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額について課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる年8部の利率による複利現価の額の合計額。この場合において、たとえば、受益者が受ける利益が家屋に無償で一定期間居住することができるものであると決め、その将来受けるべき利益の価額は次による。

(イ)   第1年目は、課税時期におけるその家屋の価額の100分の8相当額

(ロ)   第2年目は、課税時期におけるその家屋の価額から1年部の償却煮を控除した価額の100分の8相当額

(ハ)   第3年目以後は、(ロ)に準じて計算した価額

(ニ)   

 8%というのは、いまの金利情勢では、異常ですけど、まあそれはおいといて。

 じゃ、居住権を対象とした収益受益権の評価を上記の通達をベースに作ればいいのか?

 ここで、土地、建物が太郎さんのもので、太郎さんの子供の太朗JRが、ただ同然で住んでいる場合(使用貸借)を考えます。太郎に相続が発生した場合、太郎の持っていた土地は、太朗JRに貸していると考えて、相手の持っている権利の部分を差し引いて評価することはありません。つまり、太朗JRの居住権のような権利は0であるとも考えられるのです。

 居住権を対象とした収益受益権は評価すると決めると、使用貸借の場合の評価と異なることになる。経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。

 ややこしいから、居住権は0にします♪と決めましたとして、 この信託が、受益者連続に該当する場合とそうじゃない場合の課税関係の差異を検討します。

 受益者連続型信託というのは、受益者が、なんらかの要因で次々と変わるものです。このような場合のルールはどうなるかというと、信託期間中は、収益受益者も元本受益者も個人の場合は、収益受益者が、信託財産すべてを有しているものとして相続税の世界では評価をするということになります。つまり、元本受益者は評価0

 だったら、受益者連続型信託で、収益受益権の対象が居住権、受益者がすべて個人の場合の評価はどうなるのか。

 収益受益者が 居住用不動産そのものをもっていると評価して課税される。

 元本受益者  信託期間中は、居住用不動産は全然持ってないとして評価0.

 他方、この信託が受益者連続以外の信託で、収益受益権の対象が居住権の場合の評価(居住権は0とする)はどうなるのか。

 収益受益者  評価0

 元本受益者  居住用不動産そのものをもっていると評価して課税される。

 課税関係がまったく逆になりますね。 でも、今の税制だと受益者連続型信託になるのか、そうでないのか、そのボーダーラインが全然わからない。こんなのでいいのか。

上にも書きましたが、経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。

 次に、小規模宅地の減額の問題。相続税の世界では、一定の居住用不動産や事業用資産などを相続した場合、価値は高いけど換金性に乏しく、税金倒産するのはよろしくないということで、一定のディスカウントを認めています。じゃ、この小規模宅地の減額は居住権云々の信託で設定した場合適用されるのか?

まず、受益者連続型信託の場合、この場合、居住権を対象とした収益受益権をもっている人が、信託財産すべて、つまり居住用不動産をみんなもっているとして相続税の対象となります。だったら、その人が、小規模の要件を満たしているならば、小規模宅地等の減額の特例を受けることができるのかな? でも、この受益者は、実質的には居住権しかもっていないのですよ。

 じゃ、逆に、受益者連続型信託以外の信託で、居住権を収益受益権の対象としたものの場合はどうなるのか。元本受益者が、居住用不動産を全部もっているものとして、相続税法上評価されるから、その人が、たとえば、配偶者の場合は、特例を受けることができるのか?

でも、元本受益者って、信託期間は、経済的メリットを受けられない人なんですよね。

元本受益権と収益受益権に分割して、しかも、受益者連続なんてものまで押しかけてきたら、課税関係がぐちゃぐちゃになりますね。なんども書きますが、経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。

 

| | コメント (0)

2009年7月 6日 (月)

元本受益権って何だろう? 平成21年7月版

今日は、凄いニューズが見つからなかったので信託ねた。といっても非常にコアなので、おたく系の方以外はスルーしてください。

財産を信託して信託受益権をもらう場合、その信託受益権を自由に分けることができます。信託特有の分け方として、収益受益権と元本受益権に分ける方法があります。

今日は、これらの定義の整理と、その発展

あいまいに信託大好きおばちゃんもこの辺の定義を書き続けましたが、それはなぜかというと、財産評価基本通達(相続税を計算するための財産計算ルール)でした、これらの言葉が登場してなくて、それも平成19年の改正前のまんまなんですね。

で、何かということを整理するために、逐条解説(ただし、平成18年改正)を読むと

収益受益権 信託財産の管理および運用によって生ずる利益を受ける権利

元本受益権、信託の終了の場合の信託財産の帰属の権利、すなわち、信託財産自体を受ける権利

元本受益権? これ著者は、信託終了時の財産を受ける権利、つまり、信託法でいう残余財産受益権を強調するために、信託財産自体を受ける権利という言葉を挿入しているのかもしれませんが、

じっくり読むと、 元本受益権の範囲は2つ考えれます。

つまり、信託終了時に財産を受ける権利――――――①

    信託期間を通じて、信託財産を受ける権利――②

この違いが、いろんなところに影響がでてくると思うのですね。たとえば、減価償却費、期間の経過や利用による価値の下落を、一定のルールで使用期間に配分しましょうというものであり、信託期間中のマイナスの信託財産の交付と考えられます。

これを収益受益権と元本受益権のどちらに帰属するのかと考えると

       減価償却費は収益受益者と思う。信託期間中の財産分配も収益受益者の帰属者のものだから

こっちをとった場合、信託期間中の所得は、すべて収益受益者のもの?

       減価償却費は元本受益者だと思う。信託期間中の財産分配(マイナスの財産も含めて)元本受益者帰属と考えられるから

 こちらをとった場合、信託期間中の所得は、すべて元本受益者のもの?または、元本受益者と収益受益者にわける?

     の問題点 現行税制では、信託は総額法で税務上計算しないといけないのですが、どう仕訳をきればいいの?

たぶん次のような人工的な仕訳が必要じゃないのか。

収益受益者   減価償却費 ×××  元本受益者借 ×××

元本受益者   収益受益者貸 ××× 減価償却累計額 ×××

あと、収益受益者が収益の課税を受けるならば、収益受益権としてたとえば、誰かから購入した場合、この対価というのは、営業権みたいなものですよね。だって、減価償却資産に該当するもの以外の営業権みたいな部分についても、信託期間を通じて、償却すべきじゃないか。だって、算定根拠は、将来の利益の現在価値相当額でしょ。

次に元本受益者に減価償却が帰属する場合、もし、減価償却相当分の収入を収益受益者からもらえないのなら、元本受益者が個人と法人で課税関係が異なるのではないかな。つまり個人の場合は必要経費にならない。法人の場合は、たぶん損金なる。たとえ、発生時にならなくても、繰延にすぎない。

この違いがどう影響するか。減価償却資産に基づく元本受益権の取引価値が法人と個人で異なってしまいますね。

アメリカではどうかというと、アメリカの信託税制は日本とちょっと違っていて、原則は、信託をひとつの事業体とみなして、信託に課税するけど、受益者に分配した場合は、その部分は、原則的には控除して計算していいよというシステムで、この場合の減価償却費は、受託者 または 収益受益者のどちらかが負担する。元本受益者は広い意味での収益受益者に含まれるのか、無視かそれはちょっとわからない。

例外的に、一定の委託者が信託財産を持っている場合は、委託者に課税しましょうとなっている。いまの日本の受益者等課税信託の課税の仕方はこっちに近いのではないか。

で、こちらの場合で元本と収益に分割された場合は、原則は、元本受益者に減価償却費が配賦されるけど、収益受益者に配賦してもそれはOKというようなことが、以前もここで紹介した松永和美さんの「米国の信託税制について」にお書きになったエッセンスではないか。

つまるところ、減価償却は日本では、元本受益者と収益受益者のどっちの負担にすべきか? うーん 収益受益者が、信託財産から生ずるすべての所得の納税義務者となるなら、こっちの負担にすべきだし、元本受益者がすべてまたは一部の所得の納税義務者となるならこっちの負担にすべきだと思うし、でも、どちらなのか、いまの条文では全然わからない。 と、思ったまんまを書き並べました。土日にぼーっと再整理したことを書いてみただけですので、不勉強を晒すだけですが、書いてみないとわからないので、そこのところはよろしく♪

| | コメント (0)

2009年6月17日 (水)

受益者連続改造計画3

受益者連続改造計画の3回目 そろそろ別のねたをと思って新聞をはらはら読んだのですが、たいしたことが書いていなかったのでこのねたのとりあえず〆を

受益者連続信託という受益権が次々の次の人にうつるような信託の課税上の取り扱いが、非常に評判悪いので、自分なりに思いついたのが、贈与税・相続税先払い、次の者に移転するときに、使われていなかった部分の精算というシステムです。

これは、お上が最も恐れている信託を利用した相続税回避ができないというお上サイドのメリットはあるのですが、納税者サイドでは、先払いする納税資金がないと使えないというデメリットもあります。

昨日、このブログで書いたのですが、税金を実際よりも多く前払いしたときは、超過部分は還付されるのですが、この還付金に利息がつくのです。この利率がここ数年の推移をみているとアラウンド4%! 自分に権利がないのに払ってしまった部分の相続税や贈与税を税金と考えずに、国に対する債券と置き換えるとどうなるか。つまり、トリプルAの債券の利回りが4%!ということになるのです。

たとえば、大金持ちのお父さんが1億円の普通預金を信託し、収益受益権を10年ごとに子供A,BCと移していき、信託期間が終了したらDに渡すとします。

Aは、お父さんから1億円の信託を受けたときに、贈与税を4,720万円支払います。この資金はAの金庫にあったとします。そうすると、10年間でもらえる収益は110万円として100万円 信託終了時に還付される贈与税は 99%部分だから、4,6728万円

この部分の利息(4%と仮定)すると、約1,870万円! 次にBがまたもや1億円の信託の贈与を受け、4,720万円の贈与税を支払い、10年後に還付されると同じことが起こるのです。

ただ、この利子は、雑所得として課税されるのですね。雑所得の特色は、他の所得(不動産所得や事業所得など)の損失と通算できないところであり、高額な利息だから最高税率で課税されるので、Aの手取りは、ほぼ半分 約930万円くらいです。つまり、手取りでは利回り2% 実質的にはそんなに高利回りではないのですが

相続税・贈与税の前払い精算システムは、租税回避はできない制度ですが、受贈者が税金を払えるならば、税金の運用益?で財産が太る制度。税金払って財産が太る制度なんてだめだ! 利子はなしだあとなると誰もやらないでしょう。さてこの思いつきはいいのか悪いのか♪

| | コメント (0)

2009年6月12日 (金)

受益者連続改造計画♪

 昨日、信託オープンセミナーなるものにもぐりこみました。第2部の講演者は主税局の佐々木さんという平成19年の信託税制の改正を陣頭指揮?された方がお話されました。佐々木さんのご尊顔を拝謁するのは今回が初めてです。非常に遠かったので、事実と異なるかもしれませんが、意外と若作りでしたねぇ。さすがに作った人だけあって 内容は面白かったのですけど、あの話し方というか表現の仕方は信託大好きおばちゃんのブログ調じゃないのかなあ。

 

 佐々木さんのお話の最後に時間を超過させてすみませんとおっしゃりながら受益者連続の課税の仕方についていい考えがあったら信託協会を通じて教えてくれとお話されました。中間にパススルーのビークルをおくとしても、現実的には処理に時間がかかって大変なので、昨晩、大島さくら子先生の英語の授業中に落書きしたことをこのブログに書きとめます。

 非常におたく系ですので、パンピーの方(一般ピープルの方)はスルーしてくださいね。

 受益者連続とは、平成19年の改正で可能になったもので、受益権がなんらかの要因(たとえばその受益者の死亡)により、次々と次の受益者に移転するような信託です。

 このような信託において、たとえば、収益受益権(信託期間中の信託から生ずる利益を受ける権利)が次々と移り、最後の者が死んだときに別の者が残余財産を受ける権利を得るとした場合の、それぞれの課税関係はどうなるかということが論点としてあるのですが、平成19年の改正は、たとえ、収益受益権者が信託財産をちょっとしたもらえなくても、全部もらったものとして課税するという恐ろしい仕組みを作りました。なぜなら、連続して受益者がかわるような収益受益権や元本受益権の評価をすることが難しいから、収益受益者のもらえる部分だけ課税しとくとなると、課税もれがおこるからなのではないかな。

 でも、この課税関係は非常に評判が悪いのです。だって、もらえないとわかっている財産についてもらったとみなして課税するなんておかしいでしょ。じゃどうするかということで、

事例を使って考えます。

Aが死亡し100の信託財産を残した。最初の収益受益者がBで、次がCで、Cが死亡したら信託が終了してDが残余財産を受け取った。

相続税の税率は一律50%とする。 収益受益者Bは20の信託財産を受け取り、C15の信託財産を受け取った。B,Cはもらった財産をそれぞれ、全部生活費として使った。

さて、現行の信託税制だと、この一連の流れがどうなるかと考えると次のようになる。

Aの相続財産     100

Aの相続税     △ 50

差引          50

Bが生前もらった財産△ 20

Bの相続財産      30

Bの相続税     △ 15

差引          15

Cが生前もらった財産△ 15

Cの相続財産       0

信託終了

Dのもらえる残余財産   0

Aは20しか財産をもらっていないのに50も相続税を払わないといけないのは不合理だ! でも、Bのもらえない財産に対して税金を繰り延べると、きっとへんなやつが現れたおかしなことをする!

じゃ、発想を変えて、Aの死亡時にはいまと同じように課税しましょう。このことによりお上の顔がたつ。ただし、Bが死亡したときに、Bが使わなかった、使うことも認められなかった財産について、払いすぎた相続税を清算して還付しましょう。そのかわり、その還付された相続税分はBの相続財産に持ち戻してBの相続税を計算しましょう。同じことをCの相続時にもやりましょう。そうするとどうなるのか?

Aの相続財産      100

Aの相続税     △ 50

差引          50

Bが生前もらった財産△ 20

Aの相続税の還付金   30  50×(50-20)/50

Bの相続財産      60

Bの相続税     △ 30

差引          30

Cが生前もらった財産△ 15

Bの相続税の還付金   15    30×(30-15)/30

Cの相続財産      30

信託終了

Cの相続税      △15

Dのもらえる残余財産  15

収益受益権とか元本受益権というのは、将来の収益予想を前提にするから、絵に描いたもちのようなもの。しかしながら、実際に支払われた収益受益権の額というのははっきりするからおかしなことができない。後で精算だから課税もれはない。収益受益者は自分が生きている間は精算のご利益を受けないから不満かもしれないけど、最終的にはちょっとハッピー いまよりまし♪

他の税制との整合性なんてまったく考えてません。単なる授業中の内職ですから。

ただ、一生懸命考えたので、よくがんばったで賞として、警視庁と背中に書かれたウィンドブレーカーの向こうを張って、財務省と背中に書かれると辛気臭いから、MOFと書かれたウィンドブレーカーをください♪  なお、女性用XLサイズでお願いします。色に関してこだわりはありませんので、そこんとこよろしく!

| | コメント (1)

2009年6月10日 (水)

複層化された信託受益権の課税(ただし、アメリカ)その3

 やっぱりでてきましたね。 信託協会が発行している信託2382009.5に松永和美さんが書かれた「米国の信託の税制について」の論文があります。

 なんか、今週になって急にヒット数が増えてますねえ。こんなニッチでマイナーなのになぜなんだろう?

 さて、今日はとりあえず〆の相続税・贈与税。

 アメリカでは、財産の事業承継を信託を使って行うことが非常に多いのですが、それはアメリカという国では戸籍という制度がなく、相続が発生した場合、遺言があってもなくても裁判所で検認手続きというのをしないといけないのですが、これがコストと時間がかかり、一族の内幕がさらされるという最悪のシステムだそうです。それを避けるために信託というのがリーズナブルでいい制度だからという要因が大きいようです。

 家族信託の場合、しばしば、収益受益者と元本受益者(残余財産受益者)のように受益者をわけわけします。たとえば、奥さんの生存中は奥さんに収益をわたし、奥さんが死亡したら信託が終了し、子供に財産をわたすとか、生前は自分が信託の収益の受益者となり、自分が死んだら信託が終了し、奥さんや子供が財産をもらうというようなものです。

 今後の日本の高齢化世代の最晩年の生活を守る手段として使えそうなのが、後者なので、こちらだけを少し書いてみると

 信託した人が収益受益権を持っているような信託で一定の要件を満たす場合(これを適格受益権というらしい)は、信託財産の価額から収益受益権を差し引いた残余権部分について贈与税の対象となるようです。ちなみに贈与税を払うのは信託した人。日本とは違います。

 この一定の要件を満たさないと、収益受益権が0評価されるそうですがこの要件をアバウトに書くと

残余受益者が親族で 委託者の配偶者、委託者または配偶者の尊属、卑属、委託者の兄弟。収益受益権の評価が大切なのですが、これが容易に評価できるようなものじゃないといけない。いつ、いくらもらえるか、いきあたりばったりのようなものだったら納税者の評価が妥当かどうかも判断できませんからね。

この容易な評価ができるもののひとつとして適格年金式受益権というものがあって、毎年、一定金額を払ってあげますというようなものです。

 ちなみにこの評価はどうするかというと、生命表と、利率(Federal Medium Rateの利率の120%)を用いて算出するそうです。

 収益と元本をどうするかを日本でも考えるならば、受益者連続に該当するか否かの境界線をもっときっちり区分けした方が絶対にいい♪

 たとえば、奥さんの生存中は奥さんが受益者で奥さんが死亡したら信託が終了して元本受益者を子供とした場合、必ず奥さんの死亡時まで子供が生きてるとは限らないでしょ。

だからこのようなケースでは、一般的には子供が死んだときは受益権はその相続人が引き継がれるというようなことが契約書に書かれたりしてますし、書かれなくてもそうなってしまいますよね。

相続税法施行令1の8を読むと死亡等を原因に受益権が他の者に移転する定めがある場合は受益者連続だぁとなっていますが、上記のようなケースで子供が死んだら受益者は相続人と契約書に書くと受益者連続になっちゃうのでしょうか? 

また、契約者に書かなくても、子供が死んだことにより、結果的に相続人に元本受益権が移転したときに、この信託は受益者連続になっちゃったあということで、課税のやり直しをするのでしょうか? 

ということで、いまは怖くて、収益・元本にセパレートした信託なんて、怖くて使えないのです。

| | コメント (0)

2009年6月 9日 (火)

複層化された信託受益権の課税(ただし、アメリカ)その2

やっぱりでてきましたね。 信託協会が発行している信託2382009.5に松永和美さんが書かれた「米国の信託の税制について」の論文があります。

 松永和美さんと書くと、ひょっとして妙齢の美女ではないかと思われるかもしれませんが、   おじちゃんです。

 この論文をざーっと読んで、何のために書かれたかというと、複層化した信託受益権に関するアメリカでの課税関係を所得税や相続税を含めて紹介するというのが目的ですが、もっと根っこは何?と考えると、信託業界において取引高?が非常に多い証券化で用いられている優先受益権や劣後受益権のよりリーズナブルな課税関係をどうしても構築したい、そのためにアメリカの税制を一生懸命調べましたぁという想いがひし ひし と伝わってくるのです。

 信託大好きおばちゃんが、現在、利用されている優先、劣後受益権を定義すると

 優先受益権、 受益権を持っている人は信託期間にもらえる利益はとっても少ないけど、ほぼ100%投資したお金は戻ってきますよというようなもの

 

 劣後受益権  受益権を持っている人は信託期間等にもらえる利益は比較的多いけど、もし、万が一、信託財産の価値が暴落した場合は泣いてねというようなもの

 これらの課税関係をどうすればいいのかということで、4つの類型が考えられるのですが、おそらく、お薦めと思っていらっしゃるのが金融取引モデルだと思うのです。

 金融取引モデルとは、優先、劣後のうち、一番ババ部分の劣後受益権以外は、あたかも社債というか信託債を発行したかのように擬制し、受益者に支払う分配金は利子を支払ったようにする。そして、ババ部分の受益者だけが信託財産そのものをもっているというようにするものです。

 いわゆるペイスルーとパススルーを合体させたようなもの。

 優先受益者は、社債を買って利子を受け取ったような処理を税務上もする。たとえ、信託財産が不動産であってもね。

 税務上は、オリジネーターが、信託した資産を保有し続け、社債を投資家に発行しているようにしている。だから、資産に含み益が生じても、譲渡益という形で課税されることはない。

他方、会計上は(米国のお話ですが) オリジネーターは、資産も負債も有していない。つまり、オリジネーターの財務諸表に載ってこないし、信託設定して投資家が受益権を買ってくれて時点で譲渡損益が認識される。

一粒で2度おいしいというやつ。 退職給付信託の設定と似てますねえ。

ただ、もし、日本でストリップス債(アメリカ国債を元本と利息部分に分けて、それぞれ割引債として発行流通させるようなもの)のような金融商品を組成した場合、つまり、優先劣後ではなく、元本、収益受益にわけわけして、それぞれを流通させるような金融商品を開発したような場合の課税関係はどうなるのかなあ?

| | コメント (0)

2009年6月 8日 (月)

複層化された信託受益権の課税(ただし、アメリカ)その1

 やっぱりでてきましたね。 信託協会が発行している信託2382009.5に松永和美さんが書かれた「米国の信託の税制について」の論文があります。

 信託受益権が優れているところは、ある物を信託したら受益者は信託受益権という権利をもらえますが、この権利を自由にわけわけすることができることです。どんな形にだってわけわけできる。均等にわけわけしないこともできる。証券化で信託した場合は通常、優先受益権、劣後受益権にわけわけ、米国で家族の資産管理、承継で信託を利用する場合は、収益受益権、元本受益権というようにね。

 日本において、信託受益権をどうするこうするという具体的な規定は、実は、相続税の財産基本評価通達にしか書かれてていないです。所得税や法人税には書かれてない。

 だから、たとえば、収益受益権と元本受益権にわけわけした場合、信託期間に生ずる所得はどっちが申告するのということすらはっきりしないのです。課税の基本の基本がわけわからないのに、複層化された信託受益権が日本で発展できるわけがない♪

 で、こんなときに海外の諸事例を調べて、物凄く工夫して輸入するのが日本という国。ところが、ずーっとこの辺について書かれた書籍がなかった。若干、切れ端が載っている書籍があったような記憶はあるのですが、切れ端じゃわけわからん。どうするんだろうと思っていたところ でてきましたね。この時期に(笑)

 アメリカの信託税制も日本同様、いろんなアイテムごとにいろんな手法を用意しています。

 収益と元本に分けわけした場合のベーシックな課税関係は、信託期間に生ずる利益は基本的には収益受益権者に帰属するようです。じゃ、減価償却はどうなるのか? キャピタルゲインはどうなるのか? 基本的にはこちらは元本に関係することだからということで元本受益権者に帰属するらしい。まだ読み込んでいないのですが、

 減価償却という費用だけを元本所有者に帰属させるとなると、日本の所得税では信託から生ずる不動産所得の計算上生じた損失はないものとみなすとされるのでちょっと不合理だよなあ。

 償却資産投資のメリットは減価償却にあるのに、個人では減価償却のメリットがとれない。他方、法人ではとれるというのもねえ。

| | コメント (0)

2008年1月15日 (火)

受益者は、受託者から給与をもらうことができるか?

3連休が終わりました。実は、信託大好きおばちゃんは、草津温泉フリークであり、昨日は、日帰りで草津温泉に出かけてきました。10月に1度出かけて、ハマリ、今回は3度目です。いやーいいですねえ。私は、西の河原露天風呂と、大滝乃湯にいつも入るのですが、前者は景色が抜群、後者の中にある「合わせ湯」が最高です。5つのお風呂があって、それぞれ温度が違う。風呂上りに身に着けた衣服に硫黄のにおいがしみこんで、今でも残り香があります。往復料金は、JRバス5,600円(ネット割り引きあり)です。上記温泉は、西の川原が500円で大滝の方が800円です。

さて、温泉の話はおいといて、久々に信託のお話。 信託から生ずる所得というのは、一般的には、受託者に課税されず、受益者にダイレクトに課税されます。受益者が個人であり、信託財産が不動産で、不動産を賃貸した利益が受益者に分配されるのならば、個人の所得は不動産所得として課税されます。このような信託のことを税法用語で受益者等課税信託といいます。

それでは、受託者が営むのが不動産でなく、一般的な事業だったらどうなるのか? 委託者兼受益者が持っている事業用資産を受託者に信託し、受託者が事業を行ってその利益を分配するということも当然考えられるわけです。この場合の受益者の所得は、事業所得か、雑所得か? 受益者等課税信託というのは、受託者が持っている資産や負債、収益、費用は、受益者のもの。ということは受託者が事業を営んでいたら受益者も事業を営んでいると考えられるから事業所得とも考えられます。

ところが、お上はそう考えていない。「信託における事業への関与度合い希薄であることから、信託による事業にかかる収益及び費用については雑所得として取り扱われることになると考えられます。」(平成19年度改正税法のてびき、113ページ)

事業所得であることを利用して、損失が出た場合、他の所得と損益通算をして節税対策に利用しようということを防ごうとしているのでしょうね。

それでは、この受益者が受託者のところで働いて給料をもらった場合、この収入は給与所得となるのか? 民法上の場合は、出資者が事業をして損益の配分もダイレクトに受け取るから、組合の事業から生ずる所得というのは、事業所得であり、事業主が、自分の事業から給料を受け取るのはおかしいということとされていますよね。りんご組合の判例はあるとしても、原則的な取り扱いとしては。

でもね、信託というのは、受託者に資産が移転し、事業を営んで汗をかくのは受託者であり、利益を受けるのは受益者であるというのが本質なんです。そうすると、受益者が受託者の事業に雇われて、従業員として働くということも考えられる。ここでもらう報酬というのは、従業員としてもらうものであり、経営者としてもらうものではない。であるならば、受益者が受託者に雇われて支払われる対価は給与所得と解して問題ないのではないでしょうか♪

| | コメント (2)

2007年12月21日 (金)

外国投資信託の課税関係の疑問  お返事

 結構、マニアックなエントリーですが、こういうマニアックなエントリーを書くと、必ずプロ関係の人からコメントをいただきます。今日は2,000字くらいあります。

CTA小林さん:調べていた点とは、外国未上場不動産投資信託は法人課税信託のようだけど本当いかな?ということです。

自分の理解では、

不動産投資信託の場合、「国内公募」の要件に該当する場合に限り「集団投資信託(その他の投資信託)」に分類されるものと思います(その投資信託が上場している場合を除きます)。

「国内公募」の要件を満たしていないので法人課税信託となり、国内財産を有する外国法人はその国内財産から生ずる所得は国内源泉所得を構成すると。

なるほど。法人課税信託である謎が解けました!

下記のコメント、少し不安な点が。

外国投資信託の場合は無条件で集団投資信託に該当してしまうのかも。

信託大好きおばちゃん

ぱっと書いてみて、専門用語が乱発しているのでちょっとだけ翻訳を追加

集団投資信託とは、信託財産から生ずる利益については、投資家が受け取った時点で投資家に課税するもの

法人課税信託とは、信託財産から生ずる利益について、受託者に課税され、課税済み所得が投資家に分配されるもの もちろん、投資家段階でも課税の対象となります。

つまり、集団投資信託の方が法人課税信託より税金分利回りが大きいから、集団投資信託にしようとプロの人たちは頭をひねるのです。

投資信託のところの条文がどうなっているかを見ていく必要がありますね。

まず、法人課税信託の場合 (法法2二十九の二)

ニ 投資信託及び投資法人に関する法律第2条第3項に規定する投資信託

この投資信託及び投資法人に関する法律第2条第3項とは?

 この法律において「投資信託」とは、委託者指図型投資信託及び委託者非指図型投資信託をいう。

 法人課税信託になるのは、あくまでも日本の投信法で定めた投資信託だよと

次に集団投資信託のところの条文は、

法法2二十九

ロ 投資信託及び投資法人に関する法律第2条第3項に規定する投資信託(次に掲げるものに限る。)及び外国投資信託

(1) 投資信託及び投資法人に関する法律第2条第4項に規定する証券投資信託

(2)       その受託者(投資信託及び投資法人に関する法律第2条第1項に規定する委託者指図型投資信託にあつては、委託者)による受益権の募集が、同条第8項に規定する公募により行われ、かつ、主として国内において行われるものとして政令で定めるもの

つまり、集団投資信託に該当するものは、日本の投信法で作られた証券投資信託と、日本で公募した日本の投信法による投資信託とそれから外国投資信託となる。

国内公募うんぬんは、あくまで日本の投信法で作られた投資信託のうちとなる。

そうすると、外国未上場不動産投資信託というのは、外国投資信託となる可能性があるのです。でもね。外国投資信託というのが何であるかはっきりわからないのだ!

また、実務的には、ケイマンに作った投資信託が日本の不動産に投資しているようなものもいくつかあるのですが、実際には、直接不動産を購入していません。

どんなスキームかというと

ケイマンに法人を作って資金調達手段として利益参加型社債を発行する。このケイマンの法人にケイマンの投資信託が出資する。ケイマンの法人がTK(匿名組合)の出資者となり日本の営業者(これが不動産を直接投資)に投資する。そして匿名組合の分配金をケイマンの法人が受け取り、利益連動債としてその利益を投資信託に分配する。投資信託はその利益を投資家に分配するというようなスキームにしています。

なぜ、こんなおおげさなスキームをしているかというと、もし、投資信託が直接投資して、外国投資信託であることを否認されたら法人課税信託として課税されるリスクがあるからではないかなと思っています。

今般、信託法が改正されて受益証券発行信託というものが可能となりました。この受益証券発行信託と投資信託というのはどの点が異なるのか、外国で発行されたものに関しては判然としません 受益証券発行信託の場合は、原則法人課税信託で、例外として集団投資信託となる。おそらく、外国投資信託は原則としては、受益証券発行信託に類するものとして取り扱い、例外的に外国投資信託にさせるような気もするものです。そう思う理由が下記の通達

法基通12の6-1-1(受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託の範囲)

 法第2条第29号の2イ((法人課税信託))に規定する受益権を表示する証券を発行する旨の定めのある信託には、信託法第185条第3項((受益証券の発行に関する信託行為の定め))に規定する受益証券発行信託のほか、例えば、外国法を準拠法とする信託で受益権を表示する証券を発行する旨の定めのあるものが含まれることに留意する。

 ちなみに、外国で発行した受益証券発行信託に類するものは、どんなにがんばっても特定受益証券発行信託にはなれないのです。そういう条文のつくりになっているから。

 法法2二十九

ハ 特定受益証券発行信託(信託法(平成18年法律第108号)第185条第3項(受益証券の発行に関する信託行為の定め)に規定する受益証券発行信託のうち、次に掲げる要件のすべてに該当するもの(イに掲げる信託及び次号ハに掲げる信託を除く。)をいう。)

というわうけで、 あとは、自己責任でお考えください。

| | コメント (2)

2007年12月12日 (水)

外国投資信託の課税関係の疑問

今朝は、非常にマニアックな疑問。ほんとうにこのように整理していいのかなということです。

外国投資信託というのがあります。これは、「投資信託が外国において外国の法令に基づいて設定された信託で、投資信託に類するもの」です。 たとえば、ケイマンで作った投資信託。たとえ、その投資信託が日本の不動産に投資しても、投資家が全部日本人であったとしても外国投資信託でしょう。

ケイマンの外国投資信託が日本の不動産に投資して利益を稼いで、投資家が日本人である信託大好きおばちゃんの場合の課税関係はどうなるのだろう。この投資信託が公募されているようなものであるなら、信託大好きおばちゃんが利益を受けた時点で、その利益に税金がかかると思う。これは、すぐわかる。

でも、もし、この投資信託がヘッジファンドのような特別のお金持ちのための私募ファンドの場合はどうなのだろう。もし、利益を分配した時点での課税だとすると、あえて、利益を分配しないときめちゃうと、どんどん利益が投資信託にたまっていき、日本のお上は日本の不動産から利益を得ているのに税金をとれない。日本のお上は決してあほではない。こんなことをお見通しで、ケイマンのような税金がかからない又は、低率の税金しか所得にかからない国の投資信託に日本人が投資した場合で、一定の条件に該当したときは、その投資信託の利益は、たとえ、投資家にお金が分配されなくても税金がかかるというシステムを作っています。

だから、ヘッジファンドが日本の不動産に投資して大儲けをした場合は、その利益が信託大好きおばちゃんに分配されなくても、信託大好きおばちゃんは、その利益を合算して確定申告をして税金を納めないといけない。

ところで、平成19年の税制改正で、信託の税制は大幅に税制改正されました。信託のタイプをいくつかにわけて、そのうちに集団投資信託と法人課税信託というものがあります。

集団投資信託というのは、信託から生じた利益は分配時点で投資家に課税されるもの、法人課税信託は、信託段階で信託から生じた利益に受託者に法人税が課税されるというもの。法人課税信託にはいくつかのタイプがあるけれども、投資信託はいったん法人課税信託とされて、そのうち例外的なものが集団投資信託に入ってくるという形をとっている。

外国投資信託というのは、条文の構成でいうと集団投資信託に入っています。ということは、公募投資信託であっても私募投資信託であっても、たとえ、投資信託が日本の不動産に投資しても、投資信託段階では課税せず、タックスヘイブン税制にかかるような場合だけ日本で課税されるという理解でいいのでしょうか。

外国投資信託が法人課税信託になるということはないのでしょうか。外国投資信託と集団投資信託と法人課税信託とタックスヘイブン税制の関係がいまいちわからない今日このごろです。

| | コメント (6)

2007年11月22日 (木)

インド株をJDRとして、日本で買えるか? No2

 今日 東京版ミシュランが発売されるようですね。味覚に番付をつけるのって、非常に難しいと思うのです。人それぞれですしね。貧乏人の信託大好きおばちゃんは、日経に今朝載っていたお店には行ったことないです。ミシュランには載っていませんが、1ヶ月に1度は顔をのぞかせる店が築地場内市場の「あんこう高はし」という食堂のようなお店です。味は料亭以上! ちょっと高いけど、ほんとうにおいしいです。あー魚食ったぁという満足感をいつもゲットできますからね。

 今日は、超マニアックな話。もし、インド株のJDR(日本版預託証券)が実現したら、税金はどうなるか?

 JDRは、受益証券発行信託(受益権が有価証券として発行される信託)をベースにすると思います。まず、インド株からの配当を受けた場合の源泉税はどうなるのか?

 受益証券発行信託のうち一定の要件を満たす特定受益証券発行信託は、信託段階で税金がかからず、受益者に分配された時点で税金がかかるものです。こういうのは、パススルー課税とは言わない。パススルー課税の信託の場合は、信託財産も収入もダイレクトに受益者のものとされるけど、特定受益証券発行信託は、信託という器と受益者は別のものだという前提のもとに、あえて信託の器で税金をかけていないという仕組みです。

 だから、インド株の発行会社が配当を支払うときは、信託を通り越した受益者にダイレクトに支払うものと税務上考えるのではなく、信託というか受託者に払うものと考えるのでしょうね。そしたら、受託者が日本法人なので、日印租税条約で配当の源泉は10%じゃないかなあ。そうするとインドの会社が100の配当を払ったら10%の源泉を差し引いて90が信託という器にやってくる。

 次に特定受益証券発行信託から受益者に配当を支払うときに源泉税を差し引く。上場の場合の源泉が改正でどうなるかわからないから、とりあえず20%の源泉税を差し引くとする。でも、すでに10%税金を外国で取られているから、この分を控除した残りを源泉徴収する。つまり、当初の配当に実質的に20 の税金が源泉徴収(10% インド、10%日本)されるような仕組みではないかと思うのです。日本では90の配当に20% の税金をかけるのではなく、100の配当に20 の税率で税金を計算して、既に払った10の税金を引いて10を日本での源泉として差し引かれ、日本の投資家には80のお金が入ってくるということかなあ。

この辺どうなっているか、いまいちわからないので、間違っていたらご指摘くださいね。

 じゃ、JDRを売却した場合はどうなるのか? これは日本では株の譲渡と同じ取り扱いだと思います。ただ、JDRの譲渡益にはインドでは税金がかからないようです。

 それでは、JDRの預託証券を株式に転換した場合、転換した時点で、キャピタルゲイン課税するのか? 配当課税なのか? 繰り延べるのか? これは、わかりません。

払い戻しと考えると投資信託とかと整合させるために配当所得なのかもしれませんが、預り証が株に変わるだけだから、繰り延べも考えられる。

 最後に、現物のインド株式を日本で譲渡した場合はどうなるのか? どうも、日本とインドの両方で税金がかかるようです。

 インドの国内法では、インド国外でインド株を譲渡しても譲渡益に課税されるそうです。そして、租税条約でもインドでの課税を認めているようです。実際にインド政府が税金をとれるかどうかはわかりませんが♪

| | コメント (0)

2007年11月18日 (日)

受益証券発行信託計算規則のふ・し・ぎ お返事-2

この議論は、受益証券発行信託のうち、税制上の特典のある特定受益証券発行信託の要件の一つ、利益留保割合が2.5%以下であるということのこの利益留保割合算定時期って何ということです。「受益証券発行信託計算規則のふ・し・ぎ」、「受益証券発行信託計算規則のふ・し・ぎ お返事-1」をご参照くださいませ!

太郎さん 第3期に問題になるのは第1期の「利益留保割合算定の時期の利益留保割合」ですよね。

この「利益留保割合算定の時期の利益留保割合」が第1期のBS日のBS上の割合で算定されるということでしょうか?確かに条文を読むとそうとも読み取れるなあと思うのですが、とするとわざわざ利益留保割合算定の時期をBS提出日にした理由は何なんだろうと思うのですが。

信託大好きおばちゃん: ここでいう、利益留保割合の算定時期というのは、第1信託計算期間から2ヶ月目以内の税務署長に第1信託計算期間の貸借対照表を提出した日のことだと思いますが、これは、会社法でいう決算が確定した日(決算の数値等の変更がないことが、その会社として決まった日)の信託版だということです。会社法の決算の確定日というのは、原則として、株主総会の決議のあった日ですよね(会社法438②)。ところが、信託法では、株主総会を開いて決算を確定するということはない。でも確定した日というのは大事なので、外部に確定したことがわかる日、つまり、税務署長に貸借対照表を提出した日を確定した日ということとらまえ、それを利益留保割合算定の時期と表現しているのだと思います。

上記は、お上がお作りなされた平成19年改正税法のすべて298頁を参照にしています。

これは、財務省のHPでもとれます。

| | コメント (2)

受益証券発行信託計算規則のふ・し・ぎ お返事

太郎さん: 計算期間開始時までに到来した利益留保割合算定時期(事業年度終了後2ヶ月以内のFS提出時)において2.5%以内ですから、利益留保割合が問題になるのは第3期からではないでしょうか?

計算規則は関係ないような気が。つまり1,2期は信託行為に規定さえあればよいのではないかと思います。

信託大好きおばちゃん: 太郎さん こんにちは! 信託大好きおばちゃんです。コメントありがとうございます。

受益証券発行信託(有価証券で受益権が発行される信託)について、一定の要件の場合は、受益者に分配された時点まで、課税が繰延べられる、つまり、信託段階で課税されないシステムになっています。この信託を特定受益証券発行信託というのだけど、その要件の一つに期末の利益留保割合が2.5%以下というものがあります。で、太郎さんのご指摘を受け、もうちょっと、細かく書いていくと、

たとえば、受益証券発行信託を平成2041日に組成する。第1信託計算期間は、平成2041日から21331日、第2信託計算期間は、平成2141日から平成22331日、第3信託計算期間は平成2241日から平成23331日までとする。

同様に、受託者の事業年度も4月―3月とする。

受託者は、事業年度終了から2ヶ月以内に、信託計算期間終了日が事業年度内にある特定受益証券発行信託の貸借対照表を出さないといけない。

上のケースであてはめると、受託者は、平成215月末までに、平成21331日終了の信託計算期間の特定受益証券発行信託の貸借対照表をお上に提出しなければならない。そして、その貸借対照表の数字、すなわち平成21331日末の繰越利益の元本に占める割合 いわゆる利益留保割合が2.5% を超えている場合は、第1信託計算期間から法人課税信託というのではなく、貸借対照表を提出した日の属する計算期間の翌信託計算期間から、つまり、第3信託計算期間から法人課税信託(信託段階で法人税が課税される信託)になってしまうわけです。

だから、第1、第2信託計算期間の利益留保割合は実際は2.5% を超えてもいいというのではない。翌々信託計算期間に天罰が下るから。

あくまでも利益留保割合というのは、会計上の数値をそれも貸借対照表をベースに決めています。だから、この数値が大事なのです。

もし、企業会計と同じ方法で貸借対照表を作ると、100万円出資して、第1計算期間に30万円儲けると、たとえ、29万円受益者に分配しても第1信託計算期間の利益留保割合は30万円/100万円>2.5%となってしまい、この貸借対照表をお上に提出することによって、正しい数値ということがオーソライズざれて、第3信託計算期間から法人課税信託となると思うのです。

もし、受益証券発行信託計算規則に基づくと、29万円の分配を加味した貸借対照表を提出することになるから、利益留保割合が1万円/100万円≦2.5%となり、第3信託計算期間も、受益者分配時課税をキープすることができるとなります。だから計算規則は非常に大事です。

というわけで、ちょっと、前回の記事の書き方が誤解を招いたので、その部分は訂正しておきます。

| | コメント (1)

2007年10月17日 (水)

金融一体課税は本当に実現するの?

今朝は、結構、信託大好きおばちゃんネタになりそうなニュースが多いけど、チョイスしたのは「金融一体課税で一致 政府税調」。

金融一体課税って たとえば預金の利子と株式の譲渡損を通算して税金を計算しましょうということ。いまだったら利子は20%の源泉分離課税、株式の譲渡損は株式の譲渡益としか通算できない、ついでに上場株の配当の源泉は小株主の場合は10%でOKのはず

政府税調は金融一体課税をしましょうねということで一致したけど、税制って政府税調だけできまらなくて、次に党税調というのがある。党税調といえば自民党の税調だけど、今年は民主党の税調も重要になってきた。で、自民党の税調は、金融一体課税もいいけど、今の10%源泉分離課税の延長を続けてほしいという意見もある。

でも、この調子だと金融一体課税って、いつの日か実現するような気もするのですが、でも総論賛成 各論反対というか、ほんとうに実現できるかという疑問符がいっぱいつきます。

金融一体課税を実現するためには、今までのシステムをお釈迦にして新しいシステムを構築する必要がある。つまり膨大なコスト負担が金融機関にのしかかるし、時間もかかる。

それに、新聞に書いていますが、個人の金融税制って、とにかく細かくて複雑で、今、この辺を某原稿に書こうとし始めたのですが、わかりやすい文章をめざそうと思っても、あまりに入り組んでいて信託大好きおばちゃんの実力では書けません。ひとつの理論があって税制が組み立てられているのだったら、どんなに複雑でも理解できるのですが、なんか接木のように設計しているような感じなのでわけがわからない。

あっつこれが鳥瞰図としてわかりやすいと思ったのが、野村アセットマネジメント株式会社(編著)投資信託の法務と実務(第3)社団法人金融財政事情研究会の487頁にある投資信託に関する所得区分

引用させていただくと

所得の種類 投資信託からの収益

利子所得  公社債投資信託等の収益分配金、解約・償還差益

配当所得  公社債投資信託等以外の投資信託の収益分配金、解約・償還差益

     ETF REITその他投資法人等の収益分配金

譲渡所得  投資信託の買取請求による差損益

     ETFREITの売買差損益

     公社債投資信託等以外の投資信託の解約・償還差損(みなし譲渡損)

投資信託ひとつとってもこんな感じ、 金融商品の課税関係を一回全部ばらして、再構築って大変と思うのですが♪

| | コメント (2)

2007年9月21日 (金)

自己信託 固有財産と信託財産間の取引の消費税の取扱い  その2

仕訳シリーズ。一部のマニアのみ興味のある話ですが。 なお、消費税の会計処理は税抜経理

ケース3 集団投資信託(たとえば、特定受益証券発行信託)があるが、Aが委託者として自己信託しており、Aが受益権を40%所有、Bが受益権を60%所有している。Aが固有財産に属する商品1,050(うち消費税50)を信託財産に譲渡した。

集団投資信託で、受託者(受益者)の固有財産に属する資産を信託財産に移した取引は消費税法上の譲渡等にあたるのでしょうか。

消費税法上の譲渡等と考える場合

Aの仕訳   売掛金 1,050  売上 1,000

           仮受消費税    50

           仕入   1,000 買掛金 1,050

          仮払消費税   50

消費税法上の譲渡等とは当たらない場合

Aの仕訳なし。

集団投資信託では、信託財産の取引の消費税の納税義務者は受託者だけど、固有財産の取引と信託財産の取引とは区別することなく、申告を行うことになるようです。(参考 「平成19年度版改正税法の手引き」647頁)

ケース4 

法人課税信託があるが、Aが委託者として自己信託しており、Aが受益権を40%所有、Bが受益権を60%所有している。Aが固有財産に属する商品1,050(うち消費税50)を信託財産に譲渡した。

法人課税信託で、受託者(受益者)の固有財産に属する資産を信託財産に移した取引は消費税法上の譲渡等にあたるのでしょうか。

これは、あたると思う。

A(固有財産の仕訳)  売掛金 1,050  売上 1,000

          仮受消費税    50

A(信託財産の仕訳)   仕入   1,000 買掛金 1,050

               仮払消費税   50

法人課税信託の場合の納税義務者は、集団投資信託と同様に受託者であるが、受託者は固有の財産の取引と信託財産の取引を別々に申告することになるから。(消法15

| | コメント (0)

2007年9月20日 (木)

自己信託 固有財産と信託財産間の取引の消費税の取扱い  その1

久々の仕訳研究シリーズ。 法人税、所得税だけでなく消費税のことも考えないといけないので、いろんなケースで考えています。なお、消費税の会計処理は税抜経理

ケース1  受益者≠受託者である受益者等課税信託がある。 A40% B60%の受益権を持ち、受託者はCである。 Aが商品1,050(うち消費税50)Cが受託者である信託財産に売却した。

この資産の譲渡は、消費税法上の資産の譲渡等に当たると思う。なぜなら、ACだから。

Aの仕訳  売掛金 1,050  売上 1,000

           仮受消費税   50

            仕入   400 買掛金  420

          仮払消費税  20

Bの仕訳  仕入   600 買掛金  630

     仮払消費税  30

ケース2  受益者等課税信託があるが、Aが委託者として自己信託しており、Aが受益権を40%所有、Bが受益権を60%所有している。Aが固有財産に属する商品1,050(うち消費税50)を信託財産に譲渡した。

受益者等課税信託で、受託者(受益者)の固有財産に属する資産を信託財産に移した取引は消費税法上の譲渡等にあたるのでしょうか。

もしあたるとしたら、

Aの仕訳  売掛金 1,050  売上 1,000

           仮受消費税   50

            仕入   400 買掛金  420

          仮払消費税  20

Bの仕訳  仕入   600 買掛金  630

     仮払消費税  30

もし、消費税法上の譲渡等にあたらないとしても、Bに配分される仕入部分に関しては取引があると考えられるから、この部分の仕訳は

Aの仕訳   売掛金 630   売上 600

            仮受消費税  30

Bの仕訳  仕入   600 買掛金  630

     仮払消費税  30


| | コメント (5)

2007年9月13日 (木)

信託の受益者の税務計算 相互譲渡の場合 その5

あ~ さんがやめちゃった。っと切れちゃったんでしょうねえ。

さて、以前やっていた受益者の税務計算 相互譲渡の場合の続きを

 事例 A社とB社は、共同で信託を設定した。A社は土地時価1億円(帳簿価額4,000万円) B社は現金1億円を信託した。 両者は信託の利益を50%ずつ享受する。さて、しょっぱなのA社、B社の仕訳はどうする?

考え方、A社は土地のうち50% 部分をB社にその時点の時価で譲渡したものとみなす。

B社はその時点で時価で土地を購入し、現金を支払ったものとみなす。

AB社の法人税法上の仕訳

A社の仕訳    現金 5,000万円  土地  2,000万円

                  譲渡益  3,000万円

B社の仕訳    土地 5,000万円  現金  5,000万円

税務上というか AB社法人だから法人税法上なんですが,消費税法上はどうなる?

以前、おばちゃんは法人税法上の仕訳に引っ張られて A社は土地をB社に部分譲渡しているから譲渡部分は非課税と思っていたのですが、そうではないんですね。

法人税法上は 相手持分相当は譲渡したものとするけど、消費税法上、信託した場合は譲渡に該当するから、この場合、課税だ!非課税だとA社、B社においても認識しなのでしょうね。

(消基通4-2-1 信託行為に基づき財産を受託者に移転する行為等

受益者等課税信託(法第14条第1項《信託財産に係る資産の譲渡等の帰属》に規定する(同条第項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。)がその信託財産に属する資産を有するものとみなされる信託をいう。以下第3節及び9-1-29 において同じ。)においては、次に掲げる移転は資産の譲渡等には該当しないことに留意する。

(1) 信託行為に基づき、その信託の委託者から受託者へ信託する資産の移転

(2) 信託の終了に伴う、その信託の受託者から受益者又は委託者への残余財産の給付としての移転

(注) 事業者が事業として行う令第2条第1項第3号《資産の譲渡等の範囲》に定める行為は、資産の譲渡等に該当することに留意する。

ちなみに法人税基本通達の方は、

(法基通)14-4-5  信託による資産の移転等

委託者と受益者がそれぞれ単一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託においては、次に掲げる移転は受益者である委託者にとって資産の譲渡又は資産の取得には該当しないことに留意する

(1) 信託行為に基づき信託した資産の当該委託者から当該受託者への移転

(2) 信託の終了に伴う残余財産の給付としての当該資産の当該受託者から当該受益者への移転() これらの移転があった場合における当該資産(当該信託の期間中に信託財産に属することとなった資産を除く。)の取得の日は、当該委託者が当該資産を取得した日となる。

| | コメント (0)

2007年9月 7日 (金)

信託大好きおばちゃんのセミナー

昨夜は、台風の影響で雨や風が凄かったですね! 実は、昨夜の6時から8時ころ、信託大好きおばちゃんは弁護士会のセミナーでしゃべっていました。台風の影響があるから、受講者は少ないだろうなと思っていたのですが、意外にも(?)、多くの方がいらっしゃって感激です。帰宅してからネットで台風情報をチェックすると、いろんな交通機関がストップしていたみたいですが、お帰りの足に問題はなかったでしょうか。

昨夜のセミナーのタイトルは、信託税制についてー相続税法の基礎から受益者連続型信託まで-― で、2時間弱という時間内に、相続税法の基礎の基礎から、難易度でいうとウルトラCならぬ ウルトラZクラスの信託の税法のところまで引っ張っていたつもりです。

で、今日は、そのときのネタを少しだけ紹介。 以前にもこのブログで書いたことだと思いますが、

一応、前提は、 A,B,C すべて個人ということで、

 <事例1> 委託者Aが財産を信託した。 収益受益権者はB、 残余財産受益者はC BCは対価をAに支払っていない。課税関係はどうなりますか。

信託設定時にBは収益受益権、 Cは元本受益権を取得したものとみなして相続税または贈与税が課税されます。

 <事例2> 委託者Aが財産を信託した。 収益受益権者はB、 残余財産帰属者はC BCは対価をAに支払っていない。課税関係はどうなりますか。

信託設定時にBは信託財産を取得したものとして相続税または贈与税が課税されます。Cは信託が終了し、残余財産を受け取った時点でBから財産を受けとものとみなして相続税または贈与税が課税されます。

<事例3> 委託者Aが財産を信託した。 収益受益権者はB、 残余財産帰属者はA Bは対価をAに支払っていない。また、Aには信託を変更する権利がある。課税関係はどうなりますか。

信託設定時にBは収益受益権を取得したものとして相続税または贈与税が課税されます。Aは信託を変更する権利がありかつ残余財産の給付を受けることができるから受益者とみなされますが、自分が自分に贈与することはないから信託設定時点も残余財産給付時も課税関係は生じないものと考えられます。

<注>

残余財産受益者とは、信託期間中・清算中の受託者に対する監視・監督権+信託期間終了後の財産給付がある者

帰属権利者とは、清算中の受託者に対する監視・監督権+信託期間終了後の財産給付がある者

| | コメント (0)

2007年8月24日 (金)

受益者と信託財産の間で取引をする場合 税務上の仕訳 その1

受益者Aが100%受益権を所有している場合

受益者が商品を2,000円掛仕入れした。

受益者A仕訳  仕入 2,000 買掛金 2,000

この商品を信託財産に3,000円で売却した。

税務上 仕訳なし

受益者の会計では、自分が自分に取引する場合は内部消去するとなってます。(信託の会計処理に関する実務上の取扱いQ5あたり)税務上も自分が自分に売って、買うことはありえないから仕訳はないと考えます。ただし、受託者の会計上は3,000円で仕入たと考えるのではないでしょうか。

信託財産の商品のうち50%を4,000円で掛売りした。すごいぼったくりですが

受益者Aの仕訳  売掛金 4,000円 売上 4,000円

残りの商品は期末に売れ残った。掛取引は期末にすべて決済されていない。

受益者Aの税務上の貸借対照表    受益者Aの税務上の損益計算書

売掛金 4,000   買掛金 2,000  売上   4,000

商品  1,000           売上原価  1,000

                                                売上総利益 3,000

それでは受託者の会計ではどうなるのか

信託財産は3,000円で購入した商品の半分を4,000円で売却して、期末に在庫として1,500円残っている。売買取引はすべて掛で期末に決済されていない。

信託財産の貸借対照表       信託財産の損益計算書

売掛金 4,000 買掛金 3,000   売上   4,000

商品  1,500          売上原価  1,500

                                        売上総利益 2,500

信託の計算書ってお上に提出することが義務付けられていますから、こっちもやっとかないといけない。


| | コメント (0)

2007年8月20日 (月)

土地信託と小規模宅地等の減額

昨夜からNHKで以前放映していた「ハゲタカ」の再放映が始まりました。バブル崩壊後のバルクセール等をめぐる物語であり主人公は外資ファンドの日本社長鷲津です。この鷲津がクールでだけど心に熱いものを秘めて実にカッコイイ。

今週は毎晩あるようです。私は実は早稲田の「信託とファイナンスの特別講座」を受講しているのですが、この授業が終わるのが夜の945分。急いで帰っても30分弱かかるので、月曜日と金曜日のドラマは途中からしか見れない! しゃーないなぁ。

さてと、いつのまにか、信託関係の所得税や相続税や措置法通達がでていました。相続税の通達って日付見ていたら525日ってなっていて公表されたのが723日。いったい2ヶ月も何をしていたのでしょう? 

この措置法通達の69412は信託に関する権利というものであり、相続や遺贈により信託受益権を取得した場合で、その信託受益権の中身に小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例の対象となる建物の敷地の用に供している宅地等がある場合で、被相続人や被相続人の生計を一にしていた親族の事業の用や居住の用に供しているものがある場合は、小規模宅地等の特例の対象を受けることができますよというものです。

小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例とは、被相続人や被相続人等と財布が一緒の親族が土地の上に建物を建てて、そこで住んでいたり、事業をやっていたり、建物を貸しているような場合は、土地の面積のうち一定部分について80%とか50%とか減額しますよという特例です。信託受益権という形で相続人が取得した場合も、生の土地を取得した場合と同様にこの特例の適用を受けることができるというものです。

で、2つほど疑問が生じました。

まず、1つ目。信託っていうのは、受益者じゃなくて受託者が事業を行うものですね。そんな理屈があるから、所得税の世界では、受託者が事業所得を生ずるような事業を営んでも、受益者である個人は事業所得として処理せず、原則としては雑所得だとしています。これは、事業所得だったら損失を他の所得と通算できるので、事業所得を利用した節税策を回避するというネライがあると思いますが。

ここで受託者が事業所得を生ずべき事業を営んでた場合、パススルーして、被相続人が事業をしていたとみて、相続税の世界では、土地に関して80%減額とか可能になるのでしょうか。

事業用宅地の80% の適用されるものの中に被相続人が営んでいた事業を親族が引き継ぎ、かつ、その土地も取得するというものがあります。

これ信託にあてはめると、被相続人は土地と建物を信託し、受託者が事業行うという受益権を持っていた。相続発生後、親族が受益権を引き継いだ。受益権を引き継ぐということは、事業も引き継ぐということだから80%減額OKとなるのでしょうか。親族は受益権は引き継いでも事業は引き継いだものとは考えず、80% 減額の対象にはならないけど、被相続人が事業を営んでいたものを引き継いだから50% の対象にはしてあげるというのでしょうか。それとも、受託者が事業をしていたものであり被相続人が事業をしていたものではないから小規模減額の対象にそもそもならないとなるのでしょうか。

2つ目は、信託受益権を収益受益権と元本受益権に分割した場合、収益受益権については土地が信託財産を構成しないから小規模宅地の減額の対象になるとは思えないのですが、元本受益権(信託期間終了時に土地や建物をもらえる権利)を有する相続人に関しても小規模宅地の減額が使えるのでしょうか。土地や建物を将来もらえる権利だけであり、事業から生ずる利益や居住することによる利益を受けないことから、小規模宅地の減額の対象になるのかどうかはわかりません。

この辺の取り扱いを、ぜひ、公表していただきたいと思うのです。たぶん、実務でわからなくなり、もめるところだと思います。

| | コメント (3)

2007年8月17日 (金)

特定受益証券発行信託を自己信託した場合の課税関係は?

昨日、NHKのテレビで京都の五山の送り火をぼーっと眺めてました。昔、鴨川で五山の送り火をみたことがあります。京都の夏の終わりを告げるイベントですね♪ 大文字、妙法、船形、左大文字に鳥居が煌々と夜の闇に浮かび上がります。特に好きな文字は妙法の「妙」流麗な字です。この文字を見つめていると、いろんな過去の出来事が走馬灯のように駆け巡り、切なくなってしまう。

またまた、特定受益証券発行信託の話。今日は、特定目的信託を作るときに、委託者が財産を受託者に信託しますが、その時点で譲渡損益を計上するのかどうかということです。

受益者等課税信託といわれる一般的な信託で財産を信託した場合、委託者=受益者=1人なら譲渡損益は生じない。 複数の委託者、受益者がいるような場合は、他の受益者の持分に相当する部分については譲渡があったものとして譲渡損益を認識するのが原則です。

では、特定受益証券発行信託のように、信託財産から生ずる所得に関して、受益者に分配されるまでは課税されないような信託の場合はどうなるのでしょうか。

これに関して、平成19年改正前までは条文があって、相手持分がどうのこうのではなく譲渡損益全額に関して課税されるということが明らかにされていました。

ところが、平成19年の改正でこの条文が削除されたのです。じゃ、どうなるんだろうとこのブログでも吼えていたのですが、お上の回答は次のとおり

従来の規定と異なり、集団投資信託の信託財産に属する資産および負債並びに当該信託財産に帰せられる収益および費用は、受託者の所得計算上のみその受託者である法人の資産および負債並びに収益および費用でないものとされるので、他の者の所得計算上は私法上の権利関係と同様に受託者である法人に帰属するものとされます。したがって、集団投資信託に金銭以外の資産を信託した委託者は、従来どおりその資産の譲渡損益が計上されることになります。

(平成19年改正税法のてびき 305頁)。

なるほど、つまり、委託者と受託者は、私法上は別の存在であり、委託者が受託者に資産を譲渡することにより資産の所有権も委託者から受託者に移るから、この時点で、委託者側では譲渡があったものと認識するので、当然に譲渡損益も計上されるべきである。そんなもん、いちいち、条文で書く必要がないでしょということなのでしょ。

わかりました。じゃ、自己信託の場合はどうなる? 信託をしたことにより信託財産は委託者・受託者にとって特別なものになるけど、自分が自分に譲渡するなんてありえないですよね。委託者は受託者にとって他の者ではない。そうすると、信託時点で、譲渡損益を認識する必要はないともとれるのですが♪ 

| | コメント (2)

2007年8月16日 (木)

信託計算規則と特定受益証券発行信託

今朝、未明、東京では地震がありました。揺れで目が覚め、冷房を切って2時間くらいしかたっていないのにムーっ暑い。

QWERTYさん(これって、パソコンとかのキーボードの上から2番目の左から並んでいるアルファベットのことだったのですね。昨日発見しました)が、特定受益証券発行信託は、消費税の節税にもなられるというようなコメントをいただきましたが、こういう視点もあったんだなと感心しました。受益者にとって受益権譲渡した場合、譲渡対価の5%が非課税売上ですからね。課税売上割合が95% を下回るリスク(その結果、仕入れ税額控除が少なくなるから、消費税の納税額が増える)が減りますし、

さて、暑い中、毎日遊びにきていただいていらっしゃる方々のためにも、また、暑苦しい話を続けます。

特定受益証券発行信託(受益証券発行信託のうち、一定の要件に該当するもので、信託財産から生ずる所得については、受益者に分配された時点で課税される)の要件のひとつとして、利益留保割合が2.5% 以下というのがあります。この利益留保割合というのは、未分配利益の元本の総額に占める割合ということですが、これらの数値は、税務上の課税所得をベースとして計算するのか、会計上の数値をベースにするのかという論点があります。で、おそらく会計上の数値をベースにするものと予想されます。

利益留保割合の算定の基礎となる未分配利益の繰越額とされていますが、財務省令では、基本的に、税務計算ではなく信託会計上の金額、すなわち、受益者に開示すべき金額と同じ金額とされる予定です(平成19年改正税法の手引き298頁)。

これで、会計と税務の処理の差異により問題が生ずるリスクがなくなるのは画期的ですが、はたと疑問に思ったことがあるのです。たとえば、上場有価証券って、企業会計の場合は、原則として時価で計上ですよね。その他有価証券の場合だったら純資産の部を増減させるけど、売買目的だったら期中の損益で調整しますよね。で、この上場有価証券の含み損益が未分配利益を構成すると、株価の高い時期は、あっというまに利益留保割合が2.5%を超えるのではないか。そうなると法人課税信託になって、信託段階で法人税が課税されるから、受益者に対する配当の利回りが大幅に減少してしまう。

で、面白いことに気づいたのです。 会社計算規則には次の規定があります。

第5条(資産の評価)

6 次に掲げる資産については、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。

 ◆1 事業年度の末日における時価がその時の取得原価より低い資産

 ◆2 市場価格のある資産(子会社及び関連会社の株式並びに満期保有目的の債券を除く。)

       3 前2号に掲げる資産のほか、事業年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な資産

これに対応する信託計算規則は次のようになっています。

第7条(資産の評価)

6 次に掲げる資産については、信託事務年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことができる。

 ◆1 信託事務年度の末日における時価がその時の取得原価より低い資産

 ◆2 前号に掲げる資産のほか、信託事務年度の末日においてその時の時価又は適正な価格を付すことが適当な資産

この信託計算規則は限定責任信託に関するものですが、会社計算規則の市場価格のある資産を時価評価するという規定に対応するものが信託計算規則にはないのです。つまり、信託財産が上場有価証券を持っていても時価評価しなくていい。そうなると、先ほどの含み益がある場合は2.5%下がってしまうというリスクがなくなるわけです。

あと気になるのは、デリバティブ関連商品ですが、こっちも時価でなくてokなんでしょうかね。

| | コメント (0)

2007年8月15日 (水)

設立1年経過した会社が特定受益証券発行信託の受託者になれる場合

今日も朝から雲ひとつない明るい青空が広がってます。今年は、6月は晴れの日が多く、7月は雨の日が多く、8月晴れの日が多い。ということは、9月は雨の日が多いということなのかな。

特定受益証券発行信託というやつがあります。税法用語ですが。受益権が有価証券化して流通性がパワーアップされたものが受益証券発行信託であり、特定受益証券発行信託というのは、信託から生ずる利益について、受益者が分配を受けた時点で初めて課税しましょうねというようなもの。特定受益証券発行信託以外の受益証券発行信託は、法人課税信託といって、信託財産から生じた所得については、受託者に法人税が課されます。

特定受益証券発行信託になるための条件というのがいくつもあるけど、そのうちのひとつとして資本金の額または出資金の額が5,000万円以上である法人(その設立日以後1年を経過していないものを除く)というのがありますが、これはどんな法人ならOKということなのでしょうか?

管理信託会社(資産を管理することを生業とする信託会社)のような仕事をスタートアップからしないといけないのでしょうか? そんなことはないでしょう。もし管理会社のような仕事をしていなとだめなのならそのように条文が書かれるはずです。

なぜ設立1年というしばりをいれているかというと「承認にあたり税務署長が信託事務の適正な実施が可能かどうかについて過去の実績を参考にすることができるようにするためです。」(平成19年度改正税法の手引き P299

この信託事務の適正な実施が可能かどうかとは、過去に信託業務をしていたことではなく、適正な会計処理をする能力が会社にそなわっているかどうかということではないでしょうか。過去に信託事務の適正な実施が必要であるならばそのように条文が書かれるはずです。

特定受益証券発行信託と認めちゃうと、信託された部分は法人税の世界から飛んでいってしまうので、その部分の適正さを担保するのは会計帳簿や計算書類となるのでそれが作れる能力があるならOKだと思うのです。

 私的には、もし、新設した法人を受託者として特定受益証券発行信託を発行したいなら、会社を5,000万円で設立して、休眠会社にするのではなく、受託者業務につながるようなビジネスをする。そして、決算をして、会社法でいう計算書類や事業報告に附属明細書を作り、刺されないようにしておく。この帳簿書類の作成が結構大変なんだけどね。上場していない会社って計算書類は作ってるけど、事業報告やましてや附属明細書なんて作らないもんね。

たぶん、この特定受益証券発行信託の受託者の要件って、入り口は意外なくらい広いような気がします。いわゆる「あめ」

でも、やっている途中で問題がおこったら、ぴしっと法人課税信託に移行してもらうというような感じがします。いわゆる「むち」

| | コメント (1)

2007年8月14日 (火)

お返事 信託の受益者の税務計算 相互譲渡 4

毎日、ほんとうに暑いですねぇ。こう暑いと思考能力はいつも以上に低下傾向。収納棚に積んであったペットボトルのお茶の箱や缶ビールの箱もどんどん減少。

だけど、痩せないなぁ。そう わたしは “樽ドル”信託大好きおばちゃん♪      

えんえんとQWERTYさんとのやりとりが続いてます。

今はどういう論点かというと、 複数の委託者が共同で出資した場合に、会計上も税務上も移転損益が生じないケースがあるのではないかということです。

QWERTYさん移転損益を計上する/しないが会計と税務で異なる場合があることは承知しています。ただ、委託者=受益者が複数の場合でも、税務上移転損益を認識しない場合も(例外的に)あり得るのであり、ASBの信託Q&A公開草案の脚注12の事例はそれにあたるのではということです。

脚注12とは、なお、2(1)で示すように、受益権が各委託者兼当初受益者からの財産に対応する経済的効果を実質的に反映している場合には、受益者が信託財産を直接保有するものとみて会計処理を行うため、信託設定時に損益は生じない。

信託大好きおばちゃん:

上記21)はどのようなケースをあてはめているかというと、「共有していた財産を信託し、その財産に応じて受益権を受け取るような場合のように、委託者兼当初受益者が複数であっても、それぞれにおける経済的効果が信託前と実質的に異ならない場合」のようです。これって、たとえば、土地の共有者が、共同して信託をした場合を想定していると考えます。ただ、このような場合、必ず、税務上、相互譲渡として譲渡損益を計上しなくていいのかというとそうではないと考えます。もし、共有者が信託し受益権を共有割合で受け取るならば税務上譲渡損益を計上しなくていいとするならば、通達等にこのようなケースを書いてもいいはずです。しかし、書かれていない。

では、どのような場合が可能なのかというと、過去に国税庁の出した質疑応答事例にヒントがあるような気がします。これはどのようなケースかというと、石油元受業者が各々土地を現物出資し、共同で利用する民法組合契約を結び、組合契約の解消時には出資財産は出資者に帰属することが合意されているというようなもの。お上の回答として「出資した土地等の持分を他の組合員に移転させないことを目的として、解散時に出資した土地等の現物をその出資者に返還する旨の特約を締結し、この特約に従って組合業務が執行される場合には、出資した土地等の持分の移転がない(権利の移転がない)ことにより、また実態的にも譲渡がないことから、税務上、出資時あるいは返還時のいずれについても土地等の譲渡はないものとして取り扱うものが相当である。」

これを信託にあてはめると、共有の土地を信託して、信託終了後その土地を元の所有者の元の共有持分に応じて戻す特約がある場合は、譲渡損益を認識しないことになります。が、ほんとうにこのような特約があれば譲渡損益を認識しないでいいのかどうかはわかりません。この国税庁の事例は、特殊な特殊な事例なのかもしれません。それに、あくまでも民法上の組合の契約に基づいているので、信託でも同じように使えるのかどうかわかりません。

もしかしたら、

複数の委託者でも会計上移転損益を計上しないケース >>> 複数の委託者でも税務上の移転損益を計上しないケース となるかもしれない。。。。 

おそらく事案にぶつかって、事前にお上と折衝して確認をとることにより判明するのではないかなと考えています。

ま、このブログ、お上系の人たちもいっぱい遊びに来ていらっしゃるから、こういうケースでは、複数の委託者で信託しても税務上譲渡損益を計上しないですよ!と公表していただけるかもしれませんが♪

| | コメント (1)

2007年8月10日 (金)

拠出した資産が減価償却資産の場合、

事例 A社とB社は、共同で信託を設定した。A社は建物時価1億円(帳簿価額8,000万円) B社は現金1億円を信託した。 両者は信託の利益を50%ずつ享受する。さて、しょっぱなのA社、B社の仕訳と減価償却の計算はどうなる。ちなみにこの建物、A社では、定率法で償却しているが(平成10331日以前取得だった)、B社では定額法で償却しないといけない。

AB社の税務上の仕訳

信託時点

A社の仕訳    現金 5,000万円 建物   4,000万円

                  譲渡益  1,000万円

B社の仕訳    建物 5,000万円  現金  5,000万円

減価償却の計算

あんまり減価償却強くないので、間違っていたら指摘してね。

A社の減価償却 これはね、帳簿価額4,000万円部分に関しては、ずっと建物を所有し続けていると考えるから、そのまま定率法で償却計算をしないといけない。

B社の減価償却 こっちは、信託時点で新たに5,000万円の中古の減価償却資産を取得したものと考えるから、信託時点に中古資産の建物を取得したということで、中古資産の耐用年数をはじきだして、定額法で償却しないといけない。

こうなっちゃうから、受託者が信託財産について損益を計算して、それをパシッと50%ずつA社、B社に配分するのは難しいのです。

| | コメント (0)

2007年8月 6日 (月)

お返事 信託の受益者の税務計算 相互譲渡 2

事例 A社とB社は、共同で信託を設定した。A社は土地時価1億円(帳簿価額4,000万円) B社は現金1億円を信託した。 両者は信託の利益を50%ずつ享受する。さて、しょっぱなのA社、B社の仕訳はどうする?

AB社の税務上の仕訳

A社の仕訳    現金 5,000万円  土地  2,000万円

                  譲渡益  3,000万円

B社の仕訳    土地 5,000万円  現金  5,000万円

まゆP(このPはパートナーの略でしょうか)さん:仕訳例についてですが、共同で信託設定した場合、上記の例のA社で譲渡益を計上する必要はありますでしょうか。

任意組合等の場合は、現物出資は他の組合員との共有持分として帰属する部分の譲渡を認識すると整理されている(租税特別措置法施行令第39条の315項あたりでしょうか。)と思いますが、信託の場合は譲渡損益の計上についてどの規定からそのように読み取れますでしょうか。

若しくは、そもそもの考え方として常識、ということなのでしょうか。

信託大好きおばちゃん: 最近 出没時間がばらばらですが、これって税務上の仕訳ですね。

おばちゃんは、次から逆読みしています。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

法基通14-4-5(信託による資産の移転等)

 委託者と受益者がそれぞれ単一であり、かつ、同一の者である場合の受益者等課税信託においては、次に掲げる移転は受益者である委託者にとって資産の譲渡又は資産の取得には該当しないことに留意する。

 (1)信託行為に基づき信託した資産の当該委託者から当該受託者への移転

 (2)信託の終了に伴う残余財産の給付としての当該資産の当該受託者から当該受益者への移転

 (注)これらの移転があった場合における当該資産(当該信託の期間中に信託財産に属することとなった資産を除く。)の取得の日は、当該委託者が当該資産を取得した日となる。

 委託者=受益者が一人で同一人物であるときは、受益者である委託者にとって資産の譲渡にあたらない ということは 委託者=受益者でも複数の場合は譲渡にあたるのではないか、ただ全部譲渡というのも変かな。だって、受益者等課税信託の場合、自分で自分に譲渡して譲渡益課税をするような部分もあるからね。だから組合と同様の課税関係になるのではないか。

もし、組合同様の課税でもなく、信託の委託者が複数の場合は全部譲渡にしろというなら、お上はその辺まで読み取れるようにQ&Aでもいいから、さっさと作っていただきたいものです。

でも、それはないかな? 全部譲渡を認めると、含み損のある資産を信託するのが大ヒットして大変だからね。だって、減損の損金を税務が認めたようなものになるでしょ。 

| | コメント (0)

2007年8月 4日 (土)

お返事 信託の受益者の税務計算 相互譲渡

QWERTYさん: 移転損益と譲渡損益は同じ意味でいいでしょうか。移転損益という言い方は会社分割や営業譲渡の場合によくみるような気がします。

信託大好きおばちゃん: いちおう ASBJの「信託の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」Q4に 「委託者兼当初受益者が複数である金銭以外の信託における委託者及び受益者はどのように処理するかというのがあって、 そこのアンサーで 当該信託の設定は、共同で現物出資により会社を設立することに類似するものであるため、現物出資による会社の設立における移転元の企業の会計処理に準じて、当該委託者兼当初受益者が支配することも重要な影響を及ぼすこともない場合には、その個別財務諸表上、原則として、移転損益を認識することが適当とか考えられる。」とされています。

 移転の方が譲渡よりも範囲は広いような気がします。本件の場合は、税務上の仕訳と整合しといた方がわかりやすいかなと思って譲渡損益としています。

QWERTYさん:会計上、仕訳を一切しないという判断は、どういう考えのもとで正当化されるのでしょうか。土地の所有実態(価値や用途)は受益権に化けてからも継続しているという点を重視するのでしょうか。実態という点でいうと、土地を担保に5000万円借りる取引と近いような気もしますが、土地担保借入の場合は借方現金、貸方借入金と仕訳しますよね。

信託大好きおばちゃん:同じくASBJの「信託の会計処理に関する実務上の取扱い(案)」Q4に 「委託者兼当初受益者が複数である信託を設定した場合、各委託者兼当初受益者は、受託者に対してそれぞれの財産を移転し、受益権を受け取ることになる。この場合も他の信託の設定時と同様に、当該信託の設定により損益は生じないものと考えられる。」とあって、他の信託はどのようにするかというと、たとえばQ3のアンサーによると、「金融資産の信託や不動産の信託など、委託者兼当初受益者が単数である金銭以外の信託は、信託財産を直接保有する場合と同様の会計処理を行うものとされている。このため、信託設定時に、委託者兼当初受益者は、特段の会計処理を要しない(すなわち、信託財産を受益権等の科目に振り替えない。)。」とされています。つまり、受益権に化けても、実態は同じという点を重視しているから仕訳の必要はないということではないでしょうか。

| | コメント (2)

2007年8月 3日 (金)

信託の受益者の税務計算 相互譲渡

 信託の受益者の税務の計算のしくみの基本の基本は法人税通達で書いてあるけど、あれだけじゃ使えない。わからないですよね。そこで、時々、ここで仕訳を書いてみます。根をつめて毎日書くと疲れるので、

 事例 A社とB社は、共同で信託を設定した。A社は土地時価1億円(帳簿価額4,000万円) B社は現金1億円を信託した。 両者は信託の利益を50%ずつ享受する。さて、しょっぱなのA社、B社の仕訳はどうする?

考え方、A社は土地のうち50% 部分をB社にその時点の時価で譲渡したものとみなす。

B社はその時点で時価で土地を購入し、現金を支払ったものとみなす。

AB社の税務上の仕訳

A社の仕訳    現金 5,000万円  土地  2,000万円

                  譲渡益  3,000万円

B社の仕訳    土地 5,000万円  現金  5,000万円

じゃ会計上の仕訳はどうなるの? A社だけにしておきますが、移転損益を認識しない場合は、会計上は仕訳がない。 そうなると、税務と会計で仕訳に差がでるので、法人税の申告書上で3,000万円加算しないといけない。

たとえば、会計上は譲渡損益を認識するという場合はどうなるのか。会計は税務のように相互譲渡という考えはない。この場合、借方の勘定科目を受益権とする。

      受益権 1億円   土地 4,000万円

               譲渡益 6,000万円

そうなるとまたもや税務と会計の仕訳に差がでるので、法人税の申告書上で3,000万減算しないといけない。

| | コメント (3)

2007年7月28日 (土)

登録免許税について どなたか教えてください!

常連さんのみうらさん:

登録免許税のご教示を・・

信託にかかる免許税の定めがない場合は、本来の行為の税率が課税される・課税された。ということでしょうか。

たとえば建設機械の抵当権の信託の税率はありませんでしたが、信託登記は可能でした。
抵当権の移転の税率が課税されていた。
ということでしょうか。

信託大好きおばちゃん: ちょっとおばちゃんにはわかりません。どなたか、知見のある方、コメントくださ~い!!

| | コメント (0)

2007年7月26日 (木)

受益者が部分的に決まっていく信託-2

昨日は、このブログの大家さんがメンテナンスをしていたので更新できませんでしたぁ

 昨日の続き

ある会社のオーナーが財産を信託しました。1年間でもっとも業績のあがった社員を毎年、1人選び、その社員が受益者として受益権を受け取ることになっています。信託期間は10年。委託者であるオーナーは、この信託から財産を受け取ることはありません。

一昨日のパターンで、当初、受益者がいないとなると法人課税信託となって、最初の受益者がまず全部もらって、次の受益者からは最初の受益者から受益権をもらうというようなわけのわからない課税関係になってしまいます。これじゃ使えん。はじめは誰が受益者となるかわからないけど受益権を一部ずつもらう人があらわれるような信託のニーズって必ずあると思うのです。そこで、打開策はないか?

やっぱり、みなし受益者というか特定委託者にオーナーがなってもらうしかありません。オーナーが特定委託者に該当した場合は、この信託は受益者のいる信託になるんですね。そうすると、信託財産から生ずる所得は、受益者が現れるまでは、オーナーの所得となる。そして、第一の受益者が現れた場合は、第一の受益者が受益権をオーナーから受け取る。ただでもらうなら第一の受益者は贈与税を払う。第二の受益者は、受益権をオーナーから受け取る。第三の受益者は、、、 となるのではないでしょうか。このことにより、わけのわからん課税関係にはならず、いたってシンプルな課税関係になると思うのです。

特定委託者の条件は、委託者に信託の変更をする権利があり、財産の給付を受けることとされていること。財産の給付って、退職給付信託の例から考えると、通常はもらえないけど、一定の条件があれば財産をうらえる様な場合でもOK。帰属権利者をオーナーにしておけばいいのでしょうか♪

| | コメント (0)

2007年7月24日 (火)

受益者が部分的に決まっていく信託

ある会社のオーナーが財産を信託しました。1年間でもっとも業績のあがった社員を毎年、1人選び、その人が受益者として受益権を受け取ることになっています。信託期間は10年。

委託者であるオーナーは、この信託から財産を受け取ることはありません。

 このような場合の課税関係はどうなるのでしょうか。信託設定時点で誰が受益者になるかわからないのでいわゆる法人課税信託になってしまうと思うのです。オーナー側、法人課税信託側、いずれの側でも課税関係が生ずる。で、次に1年後に一人の社員が決まって、受益権を一部受け取った。このような場合どうなるのか、 受益権として受け取った部分だけ、法人課税信託の資産、負債が社員に移り、その部分だけ、社員の方で、所得が発生したとして税金を計算するのが合理的ですよね。そして、法人課税信託の残りの部分は生き残っている。

 でも、そうならないみたい。このような場合は、最初の社員は一部しかもらわないのに、全部もらったものとする。ただし、信託財産の引継ぎに関して、法人課税信託側、社員側では課税関係は生じない。そして、その社員はとりあえず全部の信託財産から生ずる所得を受け取ったものとして申告納税義務を負う。次の年の業績のあがった社員が決まった時点で、受益権の一部を、前の年に受益権を全部受け取ったものとみなされている社員から贈与に受け取ったものとなるのでしょうね。そうすると、贈与税か。 

なんかへんですが、法律等から読み解くとそうなるような気がするのです。

法法4の7

八 法人課税信託について信託の終了があつた場合又は法人課税信託(第2条第29号の2ロ(定義)に掲げる信託に限る。)に第12条第1項(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する受益者(同条第2項の規定により同条第1項に規定する受益者とみなされる者を含む。次号において「受益者等」という。)が存することとなつた場合(第2条第29号の2イ又はハに掲げる信託に該当する場合を除く。)には、これらの法人課税信託に係る受託法人の解散があつたものとする。

14-4-1(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)

 受益者等課税信託における受益者は、受益者としての権利を現に有するものに限られるのであるから、例えば、一の受益者が有する受益者としての権利がその信託財産に係る受益者としての権利の一部にとどまる場合であっても、その余の権利を有する者が存しない又は特定されていないときには、当該受益者がその信託の信託財産に属する資産及び負債の全部を有するものとみなされ、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用の全部が帰せられるものとみなされることに留意する。

| | コメント (0)

2007年7月23日 (月)

受益者のいない信託で受益者のいないまま終わった場合

 ガンジス河で顔を洗ってきましたぁ! 一週間ぶりにネット世界に復活♪

 受益者のいない信託は、今般の改正で法人課税信託に該当することになりました。法人課税信託というのは、信託財産から生ずる所得について、受託者が自分の所得とは別に申告納税義務を負う信託。

本来、信託は受益者の存在しているものであり、信託財産から生ずる所得は受益者のものであることから受益者課税が原則ですが、受益者の定めのない信託が改正で可能になったり、委託者もいないし、受益者が誰だかわからないような場合、所得の帰属主体がいなくなり税金を取りっぱぐれるリスクがあるので、法人課税信託として強烈に税金をかけることにしたようですね。

で、最後まで受益者がいずに信託が終了し、残余財産は帰属権利者として指名された者が受け取ることになりました。

残余財産を帰属権利者に受け取る場合の課税関係はどうなるのだろう。 帰属権利者は信託期間は、受益者ではないけど、清算中は受益者とみなされます(新信託法183⑥)。この受益者のいない信託の清算中は、受益者のいる信託として存在し、帰属権利者は株主等になるのではないでしょうか(法法47六)。

そうすると、帰属権利者に対する残余財産の分配は、法人課税信託サイドでは清算所得(法法基通126-2-2)となる。一方、帰属権利者の方は、株主が受ける残余財産の分配だし、資本金(いや元本か)がないから、満額みなし配当になるのではないかな♪ 帰属権利者が法人の場合、財産はもらうけど、税金を払わなくてもいいよということになるのではないかな(受取配当の益金不算入のこと)。これ、どこにも書いてないけど、考えていくとそうなるような気がするのです。

なお、受益者のいない信託で、受益者が現れた場合は、法人課税信託が解散し、清算所得が生じないというのは(法法92)、清算中を除くと(法法92②括弧書き)なっているからあてはまらない。

どうなんだろう?

| | コメント (0)

2007年7月10日 (火)

退職給付信託のオフィシャルな回答

6月に二度にわたって、退職給付信託の課税関係はどうなのかという記事を書きました。おばちゃんとしては、これって、信託財産の返還はないのが前提だから法人課税信託じゃないのかな。でもそうなったら大変だ、だからオフィシャルに回答してほしいなともね。

で、昨日、626日付けで財務省のHPに公表された「平成19年度税制改正の解説」をぼーっとながめたら回答がオフィシャルに載ってましたので、引用を。 結論としては、信託財産について、一定の条件の下では委託者に返還されるものだから委託者課税 従来道理。

「一定の条件に該当する場合に委託者に元本または残余財産が給付されることとなる信託(退職給付信託など)が現在存在しますが、このように停止条件が付された信託財産の給付を受ける権利を有する者も、ここでいう『信託財産の給付を受けることとされている者』に該当することになります。」

「平成19年度税制改正の解説」の294

受益者以外の者は、一定の条件の下で財産の給付を受ける可能性がある場合でも受益者とみなされる。

受益者は、停止条件で受益者としての権利(財産給付+監視・監督権)を受ける場合は、停止条件が成就されるまで受益者にはならない。

ただし、信託設定時に財産給付+監視・監督権のいずれも有する受益権者がいても、財産給付が不確実で、最後にならないともらえるかどうかわからないような場合は、受益者とならないときもある。

というふうにまとめるのが正しい理解なのでしょうか♪

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007年7月 6日 (金)

パススルー課税信託の収益、費用の帰属時期

実は、昨日、いつも使っているレッツノート(パソコン)を誤って落とし壊しました。バックアップしていないデータが結構あったのでショックですけど、しゃーない。この事故で悪い運気がどこかへ行ってくれたらそれでいいかなって思ってます。そんなわけで、修理期間中は、予備のレッツノートパソコンで作業をします。

法人税基本通達の信託の部分の続き、 受益者等課税信託(パススルー課税の信託)の費用、収益の帰属時期を、法人の決算にあわせるというのもきついですね。これどういうことかというと、たとえば信託の計算期間末が12月末で、法人の決算が3月末なら、 12月の決算の資産、負債、損益をとりこむのではなく、3月末時点での資産、負債、損益を取り込まないといけない。

税務申告は、信託の所得単独でするのではなく、法人本体の所得に入れ込み、それに調整を加えていくことになる。

たとえば、信託の計算期間が12月末で、受益者の計算期間が3月末法人、 5月末法人 9月末法人の3社あったとすると、3月末法人は 4月―3月の所得、5月末法人は 6月―5月の所得 9月末法人は10月―9月の所得を切り出さないといけない。ちゃんとした申告を作るためだったら、どこの誰に対する収入、費用、資産、負債であるかの把握が必要。それも持分割合に応じてね。たぶん、申告に必要なデータというのは受託者が作るのだから、大変な作業となる。まあ、信託報酬たっぷりもらえるならいいんだけどね。

(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属の時期)

1 4 4 2 法人が受益者等課税信託の受益者(法第12 条第2項((信託財産に属

する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)) の規定に

より、同条第1 項に規定する受益者とみなされる者を含む。以下14-4-6ま

でにおいて「受益者等」という。)である場合において、当該法人の各事業年

度の所得の金額の計算上、当該受益者等である当該法人の収益及び費用とみな

される当該受益者等課税信託の信託財産に帰せられる収益及び費用は、その信

託行為に定める信託の計算期間にかかわらず、当該法人の各事業年度の期間に

対応する収益及び費用となるのであるから、留意する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年7月 5日 (木)

総額法だけって けっこうきつい。

なぜか、6月の末に法人税だけ信託の通達がでました。税務処理なんだけど、総額法onlyなんですね。純額法とか使えない。

総額法というのは、信託の資産や負債、収益、費用を受益者の持分割合に応じて受益者が持っているものとして税金を計算しましょうねという方法。

純額法というのは、受益権を持っていて、信託から生ずる利益、損失をネットで受益権額に加算、減算して税金を計算しましょうねという方法。

組合の計算の場合は、総額法、純額法、折衷法(中間法)の3タイプが認められていたけど、信託は総額法だけ。

総額法を利用すると、税務メリット(所得税額控除や受取配当益金不算入、引当金、準備金の繰入等)を受けることができるけど、結構計算が大変 多数当事者間の加入、脱退なんてね。ひーっといいたくなる。

特に困るのが受益権を優先劣後で発行したような場合。これって出資割合と損益の配分割合が異なるようなケースなんです。純額法なら簡単だけど。

出資割合と損益割合が同じ割合なら、 スパッとBSPLを輪切りにすればあうけど、そうはいかない。損益はすぱっと輪切りにできても、それを資産、負債にどうもっていくか。生じた損益部分を毎期きっちり分配してくれるとまだ計算はしやすいけど、そうならないケースもある。そうなると大変。何が一番合理的な方法なんだろう。

14-4-3(信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属額の総額法による計算)

 受益者等課税信託の受益者等である法人は、当該受益者等課税信託の信託財産から生ずる利益又は損失を当該法人の収益又は費用とするのではなく、当該法人に係る当該信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用を当該法人のこれらの金額として各事業年度の所得の金額の計算を行うのであるから、留意する。

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2007年7月 4日 (水)

お返事: 受益者=受託者の場合

事例: 委託者甲が生きている間 甲が収益受益権者 甲が死亡して、収益受益権者は妻乙、残余財産受益者は子供丙のケース

KRPさん:すみません。重箱な質問です。

この場合で、丙が受託者であった場合(丙が信託業者でなくともなれるると勝手に仮定していることも論点かもしれませんが)、甲死亡時に信託は終了するのでしょうか、それとも継続されるのでしょうか?

みうらさん:終了しません・・

信託大好きおばちゃん: 

信託法では、受託者が固有の財産として1年間受益権を全部所有している場合は信託は終了するとされています(新信託法163②)。信託って、汗をかく人(受託者)と儲けを独り占めする人(受益者)が別人であるというところが本質であるので、受託者=受益者というのはまずいのでしょうね。でもまったく駄目となると実務が止まる(たとえば自己信託の場合など)ので、一定の要件を満たす場合に限り終了というようにしたのだと思います。

で、本件の場合、信託契約は1本で、受益権が2つに分割されている。そのうちのひとつを丙が持ち、丙が受託者であった場合だから、丙が受益権を全部持っていることにはならない。したがって、信託契約終了事由にはあたらないと思います。

もし、丙が収益受益権も残余財産受益権も両方とも持っているなら1年後に終了だと思います。

たとえば、2つの不動産があって、それぞれの不動産について別々に信託を設定し、最初は甲が所有しています。受託者は丙。もし相続により A不動産の受益権は乙 B不動産の受益権は丙が受けた場合、 B不動産の方の信託は相続から1年後に終了すると思います。でも、A不動産、B不動産をまとめてひとつの信託を設定し、甲の相続により この受益権を2つに分割して一方を乙 他方を丙が受けたような場合は、丙がすべての信託受益権を所有したことにはならないので、1年経過しても終了しないのではないかな♪

受託者は個人丙でもなれるか? 民事信託だったら個人でもなれると思います。

| | コメント (1) | トラックバック (1)

2007年7月 3日 (火)

遺言代用信託

遺言代用信託って、委託者の死亡を始期としてある者が受益権を取得し、又は信託財産の給付を受けることを決める信託のこと。

遺言信託は、遺言スタートだけど、遺言代用信託というのは、委託者の死亡前にスタートしますね。

条文や文献を読んでいると、委託者が信託してから死亡するまでの間は受益者が誰もいてなくて、死亡時に受益者があらわれることが前提としているような気がします。でも、そんな信託だったら信託設定時から委託者の死亡時までは受益者のいない信託になっちゃうから法人課税信託だ!となり、税金も多くかかるから誰もやらない。

打開策としては、委託者が生きている間は委託者を受益者とする信託を設定する。別に契約だからこれは可能ですよね。遺言代用信託で委託者死亡前の受益者が委託者であるように設計することを否定するような文言は条文にはないような気がするのです。

委託者甲が生きている間 甲が収益受益権者 甲が死亡して、収益受益権者は妻乙、残余財産受益者は子供丙のケース

信託設定時の受益者は誰? 甲だけ、乙も丙も受益者にならない。甲が委託者で甲が受益者だから、特に課税関係はなし。

甲の生存期間の信託財産から生ずる所得の税金は甲が払う。

甲が死亡したとき、受益者は、乙と丙の2人 乙と丙が、各々の受益権を評価して相続税を払う。

信託法第90条(委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例)

 次の各号に掲げる信託においては、当該各号の委託者は、受益者を変更する権利を有する。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

 ◆1 委託者の死亡の時に受益者となるべき者として指定された者が受益権を取得する旨の定めのある信託

 ◆2 委託者の死亡の時以後に受益者が信託財産に係る給付を受ける旨の定めのある信託

 2 前項第2号の受益者は、同号の委託者が死亡するまでは、受益者としての権利を有しない。ただし、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

法基通14-4-7(受益者等課税信託に係る受益者の範囲)(上記事例は個人なのでこの通達が使えないのはわかっていますが)

 法第12条第1項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1号((残余財産の帰属))に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。

  (2)委託者の死亡の時に受益権を取得する同法第90条第1項第1号((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))に掲げる受益者となるべき者として指定された者(委託者の死亡前の期間に限る。)

 (3)委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者(委託者の死亡前の期間に限る。)

| | コメント (2) | トラックバック (1)

2007年7月 2日 (月)

残余財産受益者の課税時期は?

このブログで、先月、残余財産受益者(いわゆる世間では、元本受益者といわれているようなもの)の課税関係について、あーでもない、こーでもないと書きました。で、先月末に国税庁のホームページで、信託に関する法人税基本通達が公表されました。

なんか、異様に早いですね。それも、法人税だけ! 平成19年の基本通達の例から、早くて来年3月って思ってましたが 信託大好きおばちゃん効果かなあ♪

で、委託者Aが信託して、収益受益権者をBに 残余財産受益者をCにした場合は、Cが残余財産を確実にgetできるような場合は、Cは受益者に含まれるから、Aが信託した時点で、BCが受益権をAからもらったとして課税される。

委託者Aが信託して、収益受益権者をBに 残余財産帰属人をDにした場合、Dは、受益者に含まれない。だから、信託設定時は、Bが全部財産をもらったものとして課税され、Dが財産をもらうときに、Bから財産をもらったものとして課税される。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

14-4-7(受益者等課税信託に係る受益者の範囲)

 法第12条第1項((信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属))に規定する「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)」には、原則として、例えば、信託法第182条第1項第1号((残余財産の帰属))に規定する残余財産受益者は含まれるが、次に掲げる者は含まれないことに留意する。

 (1)同項第2号に規定する帰属権利者(以下14-4-8までにおいて「帰属権利者」という。)(その信託の終了前の期間に限る。)

 (2)委託者の死亡の時に受益権を取得する同法第90条第1項第1号((委託者の死亡の時に受益権を取得する旨の定めのある信託等の特例))に掲げる受益者となるべき者として指定された者(委託者の死亡前の期間に限る。)

 (3)委託者の死亡の時以後に信託財産に係る給付を受ける同項第2号に掲げる受益者(委託者の死亡前の期間に限る。)

また、残余財産受益者であっても信託が終了し、残余財産に対する権利が確定するまで残余財産の給付を受けることができるかどうかわからないような場合には、信託が終了し、残余財産に対する権利が確定するまでは「受益者等」には含まれないこととなるときもあります。

松田洋 「平成19年度 税制改正の解説 相続税法等の解説」476ページ 財務省のHP

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/kaisetsu/index.html

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月28日 (木)

包括信託って?

包括信託っていうのは、信託する財産が、たとえば、土地と建物とか、現金と有価証券というように2以上の資産を信託するようなもの

「信託の種類別残高(平成18年9月末現在)」by信託協会 によると

金銭の信託、金銭以外の信託の合計残高の44・5%も占めているようです。次に多いのが金銭の信託で24.5%なのです。意外な結果ですね。素人から見ると

なぜなのか? 三菱信託銀行信託研究会(編著)「信託の法務と実務4訂版」金融財政事情研究会、665頁に、次のように記載されています。

「類型としては、土地信託の設定の際、土地とともに建築費の一部として金銭を信託するケース、設備信託の設定の際、建物と同時に据え付けられた機械類を信託するケースなどがある。さらに最近では年金信託が金銭と有価証券の包括信託とされる例が多く、残高は急増している。」とのことです。

 これ、例の退職給付信託なんかの影響があるのでしょうね。退職給付信託の設定時に、企業が所有している含み益のある上場有価証券等を信託したようなケースが多かったから、あと、条文から探し出したのだけど、確定給付企業年金で、掛金を株式を信託して支払ったようなケースもあったのかもしれません。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年6月25日 (月)

貸株株券の返還請求権担保信託

貸株って、投資家が証券会社に預けている株式を機関投資家などに貸し出すような業務で、株を貸した投資家は貸株料をもらえる。でも、必ず貸した株が返ってくるとは限らない。で、そのリスク回避のために貸株株券の返還請求権担保信託というのがあるのだと思います。

すなわち、証券会社は投資家から預かった株券を機関投資家に貸し出す代わりに、貸株銘柄の時価相当額の代り金(「貸株代り金」)を受け入れて、その代わり金を信託します。この信託は、収益受益者と元本受益者(新信託法によると残余財産受益者かもしれないけど、とりあえず元本受益者)が別人です。 収益受益権者は委託者である証券会社で、元本受益権者は株を貸し出した投資家。収益は証券会社が受取って、おそらく、その収益から投資家に対する貸株料を払うのでしょう。貸し出した株券が返還されない場合は、元本受益権者に貸株の貸し出し時の時価相当額が支払われるのでしょうね。もし、何事もなく機関投資家から株券が返還されたら、想像なんですが、たぶん、その信託は終了して、信託金は、元本受益者でなく、委託者に返り、委託者が機関投資家に返すのではないかと。つまり信託代わり金を受取る人が、2パターンある。何もないときは、委託者(帰属権利者)、何かあったときは、投資家(元本受益者というか残余財産受益者)。

で、課税関係はどうなるのでしょうか。新税制では、受益者というのは、受益者としての権利を現に有するということが大前提。投資家にとって、元本部分の返還を受けるのは、何かトラブルが起こったような時点、つまり停止条件で元本部分を受取ることになるのです。だから、信託設定時に投資家としての権利を現に有しないとされ、投資家は受益者にならない。委託者の方は、信託設定時点で、信託から生ずる利益はもらえることになっている。つまり、信託設定時は受益者は委託者だけになるから、特に課税関係はない。もし、何事もなく信託が終了した場合は、委託者に信託金が返還されるだけだからこの時点も課税関係はない。もし、トラブルが起こって、元本部分の支払いを投資家になされた場合は、この時点で投資家に対し課税関係が生ずる。すなわち、信託金を受取った時点で、投資家が有していた株券を貸し出したときの時価相当額で譲渡したものとして譲渡所得課税が生ずる。となるのではないでしょうか。

| | コメント (0) | トラックバック (4)

2007年6月22日 (金)

デッドアサンプション信託型スキーム

みうらさん;当社は、社債間限定同順位特約付無担保社債を発行している。

社債権者集会の決議なくしては、会社財産を担保にできない。

が、今回、借り入れをするために、元利金を担保するため、社債権者に満期時に弁済することを目的として、信託する。

社債は、オフバランスとなる。

担保に供しても、社債権者は不利にならない。

よって、決議は不要となる。

この場合、法人課税になるのですか。

信託大好きおばちゃん:

たぶんこれ、デッドアサンプション信託型スキームだと思う。

これは、社債のオフバランス化(貸借対照表の負債の部からなくす)のために行う手法です。

たとえば、仕訳でいうと、 社債を1億円発行し、資金調達する

     社債発行会社の仕訳  現金 1億円  社債 1億円

会社は、国債(投資有価証券)1億円を信託する。この信託は、他益信託である。 委託者は社債発行会社、受託者は信託銀行、受益者は金融機関等 そしてこの受益者は、信託契約とは別に、委託者と債務履行引受契約を結ぶ。これは、委託者に代わって、社債の利子、元本相当分を社債管理会社に支払いましょうというもの。本来なら、社債発行会社が、利子を払い、元本を支払う代わりに、受託者が運用して利子と元本部分を受益者である金融機関に支払い、その金融機関は、社債管理会社に支払い、社債管理会社は、投資家に支払う。信託することにより、たとえ、社債発行会社が倒産しても、社債権者には社債の利子と元本が支払われることになりますよね。

この信託設定時の仕訳はどうなるかというと

社債発行会社(委託者)仕訳   社債 1億円  投資有価証券 1億円

  国債を信託した結果、社債債務を支払う義務が、原則的には、なくなるから。(完璧にはなくならない)

金融機関(受益者)仕訳  信託受益権 1億円 債務履行義務 1億円

これは、受益者が金融機関ということで特定していて、信託財産を受ける時期に停止条件がついていることもないので(信託財産の運用益は信託期間中コンスタントに受け取ると思うので)、受益者がいる信託だから受益者のいない信託として法人課税信託になることはない。また受益者は、信託受益権を他益信託により受取るが、その対価として債務履行義務を負うので、受贈益が生ずることもない。したがって、特に、信託に係る課税リスクはないと思うのですが♪

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2007年6月21日 (木)

信託と株式会社

株式会社って、出資する人と事業を行う人が制度的には異なり、損益の分配を出資する人は受けることはできないけど、利益の分配を受けることができる。

信託は、出資する人と事業を行う人と損益の分配を受ける人は異なる場合もあれば同じ場合もある。

株式会社の場合、出資する人の責任は、出資限度、信託の場合は、出資限度が原則だけど、契約で無限責任にすることもできる。

株式会社の場合、株式会社で生じた債務に対して、事業を行う人たちは、自分の財産をなげだしても支払う責任はない。保証でもしていない限り、会社が債務に対する責任を負う。信託の場合の事業を行う人は、原則として無限責任を負うが、信託財産限度の信託を引き受けることによってリスクを下げることはできる。

株式会社の場合、出資は損益の分配を受けることはできないが、利益の分配を受けることはできる。信託の場合、受益者は損益の分配を受ける。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月20日 (水)

退職給付信託 ほんとうに大丈夫かな?

以前、このブログで、退職給付信託の改正後の取り扱いについて書きました。退職給付信託は、企業が資産を信託して将来退職する従業員の退職金に当てるための他益信託。いわゆる受益者が不特定の信託ということで、今の税制では委託者(信託した企業)課税になっています。これが改正で、委託者課税継続か、法人課税かを考えたところ、委託者課税になるためには、委託者が信託の変更権+財産の給付を受ける必要があります。で、退職給付信託というのは、委託者に信託した財産の返還がなされないようなものだから、おそらく法人税課税になるのでは?と思ったわけです。

 で、気になったのが経過措置、 もし既存の退職給付信託にも新しい税制が適用になると、がーんということになるのです。だって、法人課税のうちの受益者のいない信託だから、委託者側で時価課税、受託者側で時価で受贈益課税になるでしょ。

 さらっと条文を読んだら、改正前に効力が生じた信託については、従前の例による(付則34①)があるから、なんだ、従来道理だと軽く思ったわけです。

 ところが、もう一度条文読んだら同条2項に 信託法施行前に効力が生じた信託(旧信託)が信託法施行日以後に法人課税信託に該当することとなった場合には、当該旧信託を第2条の規定による改正後の法人税法第4条の79号に規定する受益者等がその信託財産に属する資産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託として同項を適用するとなってます。

 これはどういうことかというと、旧信託が法人課税信託に該当することになった場合は、新信託法の適用で法人税課税を適用しますよということだと思うのです。

 で、退職給付信託というのは、現行では委託者課税だけど、新税制では法人課税信託に該当する形態であるとすると、新法適用日に自動的に法人課税信託になってしまう。ということは、2項の適用になるのでは?ということです。

 やっぱりあぶないかと思って、もう一度調べてみたら、「退職給付信託資産の事業主への返還は禁止されていますが、実務指針にはなお書きがあるのです。なお、退職給付信託は、退職一時金及び退職年金制度における退職給付債務の積立不足額を積み立てるために設定するものであり、資産の信託への拠出時に、退職給付信託財産及び年金資産の合計額が対応する退職給付債務を超える場合には、当該退職給付信託財産は本報告における年金資産として認められないことに留意する。」

「なお書き」によると、積立超過となった場合はその限りではないと解されます。したがって、実際の信託契約でも、年金資産が退職給付債務を超過するなどの一定の基準を満たした場合に限り、事業主に積立金を返還できる規定を設けていることが多いようです。

参考 あずさ監査法人のHP

つまり、一定の要件に該当する場合は積立金を返還できる。これは委託者課税の要件である「当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者」にあてはめられるのでは、ちょっと厳しいけど。それだったら従来どおりでOK

 いずれにしても言いたいことは、既存の退職給付信託がいきなり法人課税信託に該当するから課税だ!という事態は避けて欲しいのです。だって、日本中の多くの会社(ほとんど上場会社等会計監査対象会社と思いますが)に影響があるでしょ。

 この件に関しては、早く、オフィシャルに回答出して欲しいと思うのです♪

| | コメント (5) | トラックバック (5)

2007年6月19日 (火)

信託と持分会社

持分会社って、出資をする人と事業を行う人と損益の分配を受ける人が一致している法人のこと。出資をする人と事業を行う人と利益の分配を受ける人が一致している契約は組合というけどね。どうちがうかというと、法人格があるのが会社、ないのが組合

株式会社は、出資をする人と事業を行う人は、制度上は別のものとされている。株式会社の場合、会社で生じた利益は、ダイレクトに株主のものにならず、配当の決議をされた部分が株主に分配される。つまり、会社で生じた利益はいったん会社にたまる。一方、持分会社は、法律上は、会社にたまらずダイレクトに出資者に配分されることになる。でも、法人であるから、持分会社で生じた利益に関しては法人段階で法人税課税がなされる。

信託というのは、財産を信託をした人と資産の管理処分をする人とその財産から生ずる利益を受ける人が異なる場合もあれば、一致する場合もある。信託から生ずる利益は受託者のものではなく受益者のものとなっている。だから、信託から生ずる利益は、原則的には受益者の段階で課税されることになるけど、一定の信託に関しては受託者に法人税課税されることになる。

第674条(組合員の損益分配の割合)

 当事者が損益分配の割合を定めなかったときは、その割合は、各組合員の出資の価額に応じて定める。

 2 利益又は損失についてのみ分配の割合を定めたときは、その割合は、利益及び損失に共通であるものと推定する。

会社法 第622条(社員の損益分配の割合)

 損益分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は、各社員の出資の価額に応じて定める。

 2 利益又は損失の一方についてのみ分配の割合についての定めを定款で定めたときは、その割合は、利益及び損失の分配に共通であるものと推定する。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007年6月18日 (月)

元本受益者とは、

やまとさん:元本受益者って何ですか?元本受益者と残余財産受益者と帰属権利者との違いを教えてください。