今日は7月16日♪ 7月も半分すぎましたねえ。今年は、はやくも夏ばてです。もう、だめかもしれない。
今日の日経はトヨタとマツダが提携するという話題がトップで、次が自民党の解散問題。
どうしようかと考えましたが、時事ネタはやめにして、またまた信託税制ニッチネタを、長文で書きます。
居住用不動産(土地+建物)を信託して、信託受益権を収益受益権と元本受益権にわけます。収益受益権は、信託期間、信託財産が生み出す利益をもらえる権利だけど、この利益って、必ず、有償とは限らないのです。無償もしくは低額のコストで利用できる権利も収益受益権に入るのでは?
じゃ、居住権を対象とした収益受益権を相続や贈与された場合、いくらで評価するの?
現行の財産評価基本通達には、ルールがない。しかし、S39年に発遺された通達では次のようなルールがあったのだ。
収益を受益する場合は、課税時期の現況において推算した受益者が将来受けるべき利益の価額について課税時期からそれぞれの受益の時期までの期間に応ずる年8部の利率による複利現価の額の合計額。この場合において、たとえば、受益者が受ける利益が家屋に無償で一定期間居住することができるものであると決め、その将来受けるべき利益の価額は次による。
(イ) 第1年目は、課税時期におけるその家屋の価額の100分の8相当額
(ロ) 第2年目は、課税時期におけるその家屋の価額から1年部の償却煮を控除した価額の100分の8相当額
(ハ) 第3年目以後は、(ロ)に準じて計算した価額
(ニ)
8%というのは、いまの金利情勢では、異常ですけど、まあそれはおいといて。
じゃ、居住権を対象とした収益受益権の評価を上記の通達をベースに作ればいいのか?
ここで、土地、建物が太郎さんのもので、太郎さんの子供の太朗JRが、ただ同然で住んでいる場合(使用貸借)を考えます。太郎に相続が発生した場合、太郎の持っていた土地は、太朗JRに貸していると考えて、相手の持っている権利の部分を差し引いて評価することはありません。つまり、太朗JRの居住権のような権利は0であるとも考えられるのです。
居住権を対象とした収益受益権は評価すると決めると、使用貸借の場合の評価と異なることになる。経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。
ややこしいから、居住権は0にします♪と決めましたとして、 この信託が、受益者連続に該当する場合とそうじゃない場合の課税関係の差異を検討します。
受益者連続型信託というのは、受益者が、なんらかの要因で次々と変わるものです。このような場合のルールはどうなるかというと、信託期間中は、収益受益者も元本受益者も個人の場合は、収益受益者が、信託財産すべてを有しているものとして相続税の世界では評価をするということになります。つまり、元本受益者は評価0
だったら、受益者連続型信託で、収益受益権の対象が居住権、受益者がすべて個人の場合の評価はどうなるのか。
収益受益者が 居住用不動産そのものをもっていると評価して課税される。
元本受益者 信託期間中は、居住用不動産は全然持ってないとして評価0.
他方、この信託が受益者連続以外の信託で、収益受益権の対象が居住権の場合の評価(居住権は0とする)はどうなるのか。
収益受益者 評価0
元本受益者 居住用不動産そのものをもっていると評価して課税される。
課税関係がまったく逆になりますね。 でも、今の税制だと受益者連続型信託になるのか、そうでないのか、そのボーダーラインが全然わからない。こんなのでいいのか。
上にも書きましたが、経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。
次に、小規模宅地の減額の問題。相続税の世界では、一定の居住用不動産や事業用資産などを相続した場合、価値は高いけど換金性に乏しく、税金倒産するのはよろしくないということで、一定のディスカウントを認めています。じゃ、この小規模宅地の減額は居住権云々の信託で設定した場合適用されるのか?
まず、受益者連続型信託の場合、この場合、居住権を対象とした収益受益権をもっている人が、信託財産すべて、つまり居住用不動産をみんなもっているとして相続税の対象となります。だったら、その人が、小規模の要件を満たしているならば、小規模宅地等の減額の特例を受けることができるのかな? でも、この受益者は、実質的には居住権しかもっていないのですよ。
じゃ、逆に、受益者連続型信託以外の信託で、居住権を収益受益権の対象としたものの場合はどうなるのか。元本受益者が、居住用不動産を全部もっているものとして、相続税法上評価されるから、その人が、たとえば、配偶者の場合は、特例を受けることができるのか?
でも、元本受益者って、信託期間は、経済的メリットを受けられない人なんですよね。
元本受益権と収益受益権に分割して、しかも、受益者連続なんてものまで押しかけてきたら、課税関係がぐちゃぐちゃになりますね。なんども書きますが、経済的に同じ行為なのに課税関係が異なると、必ず、裁定取引が行われますよね。
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